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夢の時間(2/2)

2014.05.22.Thu.
<前話はこちら>

 大地の手が俺のペニスを握った。縮こまっているものをくにくにと揉む。情けなさと怒りと自己嫌悪、申し訳なさと怖れとで感情がこんがらかる。鼻の奥がつんと痛んで目が熱くなった。

「やめろ、大地! こんなことは間違っている!」
「母さんがいなくて寂しかったんだろ。だから俺がキスしたとき、母さんと間違えて応えてくれたんだろ。寂しいなら俺を母さんと思えばいいじゃん。俺は身代わりでもいいから」
「馬鹿! なんてことを…! お前を身代わりに思えるわけがないだろう! そんなこと、母さんにも失礼だ! それにお前とどうこう出来るわけないだろ! 親子なんだぞ!」
「親子だったら俺を助けてよ。男同士ってだけでも問題なのに、親子なんだぜ。頭がおかしくなりそうだよ。父さんのこと考えてマスのかきすぎで勉強も手につかない。このままじゃ試験に落ちる」

 俺を想ってマスをかいているだと?! 息子の口からきかされる衝撃の事実に言葉を失った。

 尻に冷たいものが垂らされた。そのあとまた指が入れられる。

「ちゃんと解すから、我慢して」

 ちゅっと尻にキスされる。馬鹿! なんてことを!

 円を描くようになかに入れた指をぐりぐり動かしながら俺のペニスを扱いてくる。刺激に呼応して大きく育ってゆくのが涙が出るほど情けなかった。

「…くっ…!」
「夢だと思って、さ」

 ぐぅっと深くまで指が挿し込まれる。指の腹で押すようにしながらまた引き抜く。大地は潤滑剤を継ぎ足しながら同じ動作を繰り返し、いつの間にか指を二本に増やしていた。

「いつからなんだ…いつから俺を…」
「正直わかんない。子供が父親に抱く愛情とごっちゃになってるし。性的な意味で好きだなって自覚したのは中学三年くらいかな。眠れなくて父さんのベッド入って、父さんに抱き付いてたら、なんか興奮してきて勃起した」

 俺の匂いを幼い脳裏に刷り込んで甘やかして育てた結果がこれだ! 俺の育て方が悪いから大地を近親相姦のホモにしてしまったんだ!

「そろそろいいかな」

 後ろで大地が呟くと同時に指が引き抜かれた。ホッとしたのもつかの間、今度はそこへ大地のものが押し当てられた。瞬間的にビクッと俺の体に力が入る。

「大丈夫。いきなり入れたりしないから」

 高校生の息子に宥められる。

 大地は亀頭に潤滑剤を垂らし、俺の肛門に塗りたくった。その間、ペニスを扱く手も動かし続けている。実の息子相手だというのに、ぎんぎんに逞しく育っている。

「それだけはやめてくれ……」
「だからもう手遅れだって。明日から父さん、俺に指一本触らせてくれなくなんでしょ、どうせ」

 明日。これが夢でなく明日に続くというのなら、俺はもう二度と大地をベッドに入れることを許さないだろうし、部屋に入ってくることも禁止するだろう。大地からそんな素振りを見せられたら殴ってでもやめさせるし、それでも止めなければ学校に近いアパートを見つけてそこへ大地を追い出す。

 背後で大地のため息が聞こえた。

「絶縁覚悟でやってんの、俺は。だからやめないよ」

 絶縁なんてそこまでは…!

 気を抜いた一瞬のすきに、大地の亀頭が俺のなかへ入ってきた。事前に充分解したのと、潤滑剤のおかげでか痛み少なく入り込んだ。

「意外にすんなり入った」

 大地が呟く。残る竿の部分にドプドプと潤滑剤をかけると、もう空になってしまったのかボトルを床に投げ捨てた。なじませるように陰茎を撫でた手で俺の肛門の周りを指先でなぞり、下へ潜り込ませて門渡りから袋へまわってきた。

 ピクンと体が反応する。

 ぬるぬるの手で俺の勃起を握りしめ、音を立てながら扱く。

「はぁっ…くっ…」

 声が漏れて歯を食いしばった。こんな声、息子に聞かせていいはずがない。

 背中に大地がおりてきた。触れ合った肌はお互い熱く湿っていた。

「好きだよ」

 父親に愛の言葉を囁きながら大地が俺の背中やうなじにキスをしてくる。

「受け入れてとは言わないから、俺の気持ちだけは認めてよ」
「…っ…うっ…!」

 大地に扱かれながら射精してしまった。詰めていた息を吐き出したとき、大地のものがぐぐっと奥へ入ってきた。裂けるような痛みに顔が歪む。

「ごめん、ちょっと今の痛かったかも」

 大地の声は上ずっていた。性欲に任せて独りよがりになってしまう精力真っ盛りの高校三年生が、自分の快楽より相手の体を気遣えるのは立派だ。合意のない行為だったとしても、そこだけは褒めてやろう。

 大地はゆっくり慎重に時間をかけて全部を収めた。おかげで取り乱すほどの痛みは感じずに済んだ。しかもすぐには動かずに、俺に慣らす時間を与えてくれる。

「前を、向きたい」
「え?」
「お前の顔が見たい」
「でも…嫌じゃない? 実の息子に犯されてんのに」
「今更だ。お前がそうなったのは俺の育て方のせいだ。俺の責任だ。お前が罪を背負うなら、俺も同じ罪を背負わなくちゃならない。だからそれをしっかり見ておきたい」

 大地が無言でのしかかってきた。大きな体に押しつぶされる。大地は俺の左足を抱えて持ちあげた。抜けないよういぐいぐい腰を押し付けながら、ゆっくりと持ち上げた足を力点に俺の体を開いて仰向けにする。ずいぶん慣れた手つきに面食らう。

「どこで習った」
「ネット」

 大地の顔がおりてくる。咄嗟に避けようとしたが思いとどまった。これが最後と思っているなら、今日くらい大地の好きにさせてやろう。それに拒んだところでもう大地とは経験済みなのだから。

 唇同士が触れ合う。大地の舌が入ってくる。やはり夢で妻としたキスと同じだった。大地の舌が俺の口のなかを動き回る。飲み込めない唾液が頬を伝う。キスをしながら大地の手が乳首を触る。くすぐったいような痛いような。

「女じゃないぞ」

 言ったあとからムズムズしてきた。痛気持ちいい。自分でもそこがしこって立ち上がるのがわかる。大地によって女にされる。これ以上ない禁忌に眩暈がした。

 二人の腹の間で潰されていたペニスが隆起し始める。俺の舌を吸っていた大地が離れて胸に吸い付くと、出来た隙間のなかでペニスが頭をもたげた。三度目の勃起ということになる。俺にまだそんな体力があったなんて。

 片手で自分の体を支えながらもう片方の手で俺のペニスを育てるために動かしている。俺のなかにいる大地が時折大きく膨れたりピクピク動く。興奮しているはずなのに、その自制心には感心する。これが彼女相手の行為であれば、と思わずにいられない。

「俺のことはもういいから」

 ポンポンと頭を叩くと大地は目をあげた。

「動いていいの?」
「あぁ、いいぞ」

 これ以上息子を焦らすのは親として同性として気が引ける。

「痛かったら言って」

 腕立て伏せみたいに手をついて大地がゆらりと上体を起こす。ポタリと俺の腹に大地の汗が流れ落ちた。大地が俺のために流した汗だ。我慢の結晶と言ってもいいだろう。決して許される行為ではないが、大地が俺の体を労わる優しさには胸が熱くなった。

 俺の両足を抱え持ち、その下に自分の膝を潜り込ませると、大地が上にのしかかってきた。限界まで入っていたと思ったものが、さらに奥深くこじ開けられる。出そうになった呻き声を飲み込むかわりに大地の腕を掴んだ。

「ごめん、痛い?」
「平気だ」
「無理しなくていいんだよ」

 大地が微笑む。こんなに優しく男らしい息子が妻を娶り、子供を持ち、家族を作ることが出来ないなんて。どこへ出しても恥ずかしくない自慢の息子なのに。申し訳ない。こんなにいい男に育ったのにどうして俺なんかを。俺なんかを…。

「泣くほど痛い?」
「いや。お前の父親になれてよかった」
「本気? 父親を犯すような息子なのに」
「これは合意の上だ」

 大地の頬を両手で挟んで頷いて見せた。そうだ。これは合意の上での行為だ。俺は大地とセックスしているんだ。実の息子と。それがなんだ。タブーがなんだ。こんな愛の形があったっていいじゃないか。

「好きだよ、父さん」
「俺もだ」

 大地の顔がおりてくる。その首に手をひっかけながら、頭を持ち上げ舌を突き出した。触れ合う粘膜。混じり合う唾液。一つに戻るDNA。罪悪感も後ろめたさもすべてを溶かして飲み込んだ。

「動くから」

 離れた大地がそう宣言をし、ゆっくり腰を前後に揺すった。俺のなかでさらに大地が存在感を増す。大きく膨らんだカリが俺のなかをめくりあげていく。

「う…っ、う……」
「痛くない?」
「あぁ、立派だな」
「恥ずかしいからそういうの言うなよ」

 ハハッと声をあげて笑ったが実際はそんな余裕はなくて、大地の硬くて太いものが動くたび、胃が押しあげられるような圧迫感に必死に耐えていた。何度も唾を飲み込んでいたら、俺の事情を察したように大地がペニスを触ってきた。

 俺の気を逸らすためにじれったいほど我慢強い精神力で自分のことを先送りにする。また胸が熱くなると同時に甘酸っぱいものが広がった。

 少し体勢をかえながら、大地が息を吐き出す。触れる腕の若々しい筋肉。しっとり熱い肌。爆発をこらえて慎重に動く大地が愛おしかった。

「大丈夫だ、お前の好きに動け」
「でも」
「もう慣れてきた」

 ほんと? と疑わしそうな大地に頷いた。ゆっくり引いて、ゆっくり戻す。ゆっくり、ゆっくり…その速度がだんだんあがっていく。俺は力を入れないように歯を浮かせ、深呼吸した。

 次第に大きさに馴染んできた。動かれても痛みはなく、圧迫感も我慢できる程度にまでなった。内側を擦られるとそこから熱を帯び始めた。何度も摩擦されていくうちに、股間がムズムズとしてきた。それが角度をあげていく。

 あぁ、俺はケツ穴で感じているのか。ショックより安心した。演技せず、大地と向き合える、そう思ったからだ。

 自分でペニスを扱いた。

「気持ちいい?」
「あぁ……」

 大地は腰の動きを早くした。小気味いい音を奏でながら打ち付けてくる。俺の奥に叩きこんでくる。

「はっ…はぁっ、あっ……」

 大地が声を漏らす。ようやく大地も自分を優先してくれたようだ。

 ペニスを扱きながら顎を反らした。ギュッと固く目を瞑る。大地に擦られている場所が気持ちいい。胸が跳ね上がる。鼻から息が漏れる。声を殺すのも限界だった。

「ううっ、あっ…、ああっ…!」
「父さんのその声、ずっと聞きたかった」
「はぁっ、んっ…んぁっ…くっ…」
「あ…出る…父さん、ごめん、ずっと我慢してたから、もう出そう…!」

 最後まで聞くと同時に体の奥に迸りを感じた。

 膝をついて体を起こした。不自然な体勢が苦しかったが、俺は大地の口づけを求めた。大地がそれに応えてくれる。

 手つきを激しくしながら舌を絡ませ、俺も射精した。


 大地はその後抜かずに2発、3発と立て続けに射精した。少し休憩を挟んだあと、また大地が求めてきた。底の見えない精力に逃げ出したくなったが、好きだと言われながら体を触られていると結局俺もその気になって足を開いていた。

 明るい部屋に気付いて我に返った。もう六時前になっていた。

「大変だ。一睡もしてない」
「俺は若いから大丈夫だけど」
「俺は若くない」
「ちょっとでも寝たら? ギリギリで起こしてあげるから」

 横に寝そべる大地が俺の髪を梳きながら優しい目を向けてくる。まるで恋人同士みたいだ。大地に見つめられながら眠れる自信がなくて俺はそれを断った。

「今後のことを話し合おう」

 途端、大地の目は暗く沈み、笑顔が消えた。

「夢の時間はもう終わりか」

 と呟く。

「俺はお前の父親だ。そしてお前は俺の息子だ」

 大地はいじけたような顔で俺の髪を無言で弄っている。

「世界にたった二人きりの親子だ。俺は誰よりもお前のことを愛している」

 大地の指がぴたっと止まった。

「誰がなんと言おうと、お前が俺のもとを去るまでは、俺はお前のものでいようと思う」
「……それって」
「決して母さんのかわりじゃないぞ。それに同情や罪の意識からでもない」
「それって…父さん…」

 見開かれた大地の目が濡れて光る。俺は微笑みながら頷いた。

 罪も罰も大地の分まで喜んでこの身に引き受けよう。俺は大地を愛している。大地が俺に抱く愛情と違う種類のものであったとしても、それは今だけのことでいつか必ず同じものになる。そう確信が持てる。この胸からこみ上げてくるものが愛でないなら、俺は妻も愛していなかったことになるからだ。

「父さん」

 涙声で大地が抱き付いてきた。息子から恋人になった大地を俺は強く抱きしめた。



※続きを読むで拍手コメのお返事させてもらってます

5/22拍手コメ下さった方

目次・本文が読みずらいというご指摘ありがとうございました。
目次はトップ記事の下にまとめたもののことでしょうか?確かにあれは見にくいですね。左側のカテゴリから「小説」を選んでいただくと更新順に小説一覧が現れますので、そちらのほうが見やすいと思いますのでそちらをご利用いただけたらと思います。
本文につきましては、文字の大きさはブラウザの拡大縮小機能でお好みに変更して頂くとして、こちらでも改行を増やしていきたいと思います。特に昨日更新分は冒頭の説明部分が長くて改行もなく見にくかったですね。
文体についてのご指摘でしたら癖のようなものなのでなかなか変えることは難しいです…(汗)
他にお気づきの点ございましたらお気軽におっしゃってください。かえられるところはかえていきたいと思います!

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