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君が笑った、明日は晴れ(80/89)

2020.06.21.Sun.
1話前話

 昨日の放課後も河中はやってこなかった。

「おまえが不機嫌に怒ってるからだよ」

 戸田は俺が悪いように言うが、実際のところ、河中は浦野と会っていたのだ。昨日の昼休みに浦野がそう言っていた。俺には関係ない。

 今朝も、駅に河中の姿はなかった。いよいよ俺に飽きて見限ったらしい。勝手にしろ。いない方が清々する。

 昼休みになっても河中は来なかった。

「重夫のせいだ。重夫が河中に冷たい態度取ったから来ないんだ」

 食堂で飯を食いながら、戸田が俺を責める。

「あのなぁ、あんまりくどいとてめえでも怒るぞ」
「もう怒ってるくせに」

 と唇を尖らせ俺を睨む。イラついたので戸田のうどんに唐辛子を大量に入れてやった。

「あぁ!! なにするんだよ! 真っ赤じゃん!」

 胸がすっとしたのも束の間、戸田は俺のカレーにソースをぶちまけやがった。

「何すんだ、馬鹿!」
「あれ、おまえってソース派じゃなかったっけ?」

 ニヤッと戸田が笑う。

「おまえ、カレーうどん好きだったよな、やるよ」

 戸田のうどんにソースカレーをかけた。いろんな色と具材が混ざってエグイことになっている。

「どうすんだよ、これ」

 呆然と戸田が呟く。

「案外うまいかもしんないよ。食ってみろよ」
「無理だろこれは」

 言いながら戸田はうどんを一口すすった。難しい顔で恐る恐る噛み締め、味を確かめる。

「ありかなしかで言うと……ありかもしんない」 

 なんて言う。

「まじで?」

 戸田の手から箸をひったくり、俺も一口食べた。

「無理」

 箸を戸田に突き返す。うまいのに、と戸田は残りを食べはじめた。こいつの味覚はどうなってるんだ? 呆れつつ、唐辛子ソース味のカレーライスうどんを食べる戸田を眺めた。

 その背後、5列ほど離れた席に宮本が座っているのが見えた。河中と一緒かと思ったら意外な奴が隣にいた。浦野だった。

 あいつ、また宮本に捕まったのか。助けに行ってやろうかと思ったが、浦野は笑みを浮かべながら宮本と話をしている。嫌々ではない雰囲気。アレ、と思ってしばらく様子を見る。

 宮本が指をさし、浦野がテーブルの調味料を取って渡す。宮本が何か言うと、浦野は声をあげて笑った。

 どういうことだ。いつの間にあの二人、あんなに親しくなったんだ?

 今ここで浦野を助けに入ったら俺のほうが無粋な邪魔者になる。そんな二人だけの世界をあいつらは作っていた。

 じゃあ、河中は? あいつは宮本と寝ていた。浦野とも夏休み前から付き合っていた。なのに、河中は今どこにもいない。どこにいるんだ、あいつ。

「あれって浦野って子だよな」

 俺の視線を辿って戸田が言った。

「あの子、宮本さんとできちゃったんだ?」
「さぁ。河中とうまくいったって聞いたのに」
「河中と? それはないよ。だって河中はおまえに夢中だもん」
「気色悪いこと言うなよ」
「ほんとだよ。昨日だってお前に本気だって、おまえしか考えられないって言ってたもん」
「嘘つけ」

 だったらどうして宮本や浦野とやってんだよ。今日もどうして俺に会いに来ないんだよ。

「ほんとだって。あれはマジの顔だったよ。あいつ、本気でおまえに惚れてんだよ。だから俺も応援してやろうと思ったんだから」

 あ、カライ、と戸田は水を飲んだ。

 俺だって、あいつが本気で俺を好きだと言ってるんだと思ってたんだ。だから鬱陶しく付きまとわれてもそのままにさせてきたんだ。

 縛られて強/姦されたって、河中があんまり必死に好きだと言ってくるから、どんなに俺から冷たくされても突き放されてもめげずに近寄ってくるから、俺もあいつを気に入ってそばに置いてやったんだ。その一途さをかってたのにそれを裏切られた。あいつの本気なんて信用できない。

「あいつの言うことなんて信じない方がいいぞ」
「やっぱ河中となんかあったの? 昨日、あの子にえらい怒ってたじゃん」
「怒ってねえって何度も言ってんだろ。むしろ優しかっただろうが」
「うん、移動教室ン時ね。おまえ、ブチ切れたら逆に優しくなるもんね」

 なにを知ったような口を。

「俺、パン買ってくる」

 これ以上河中の話をするのが嫌で席を立った。サンドイッチを買って食堂を出る。渡り廊下を抜けて校舎の中へ。

 階段に向かって歩いていたら、保健室の戸が開き、中から河中が出てきた。




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コメント
あぁ……
今日で80話まで来てしまいましたね……

なんだろう、この、明日も読みたいけど、明日がずっと来なかったらいいのに、っていう相反する気持ち。


コロナ収束してないので、収束祈願・第二弾とか考えませんか?
こんなに長く更新してくださってるのに、よくばりですよねー(´Д`;)
お返事

そめおさん

ついに終了カウントダウン!です!!
長いような早かったような……。正直みなさん、飽きてんじゃないかしら?と思っていたので、そう言ってもらえると嬉しいですよ~!恥ずかしさを乗り越えて公開した甲斐があるってものです!

収束祈願第二弾、やります?!できないことはないのですよ。昔のサイトのやつがまだストックあるのでできるっちゃできる!
若さ全開で死ぬほど恥ずかしいやつがあるんですが、この際恥のかき捨てで公開しようと思いますw
シリーズものになります!よ、読んでやってくださいね……?i-237

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