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君が笑った、明日は晴れ(63/89)

2020.06.04.Thu.
1話前話

 フェラの仕方はすでに森下さんから教わっていた。それを参考にしつつ、自分がやられて気持ちがいいと思うことを森下さんの反応を見ながらしてやる。

 口の中で大きくなったものに歯を立てないよう、頭を上下するのはなかなか大変なことだ。河中も森下さんも、よくこんなことを難なくこなすと感心する。

 森下さんに軽く頭を押さえつけられた。上目遣いに見ると森下さんは目を瞑って感じ入った表情で顎を反らしている。腹が大きく上下して……、俺の口の中に熱い迸りが吐き出された。

 息を止め口でそれをうけたがすぐティッシュに吐き出した。俺にはとても飲み込むなんて無理だ。

 あまり味わわないように、冷蔵庫から取り出したビールで残滓を流し込み、一息ついた。

 ベッドに寝そべりながら頬杖をつく森下さんが、自分の前のスペースをパンパンと手で叩く。ここに来い、ということらしい。ビールを森下さんに差し出すと、

「口移しで飲ませて」

 と面倒くさいことを言う。仕方なく口に含んでそのままキスした。零さないよう、それでもわずかに口の端からこぼしながら口移しで飲ませる。咽喉を鳴らして飲み込んだ森下さんは俺を抱き寄せ、首、胸に何度もキスした。

「重夫は?」
「俺は今日はもういい」
「相手は同じ学年の子?」
「え、いや……、1年」
「年下?」

 驚いた森下さんの声に恥ずかしくなる。

「君が年下に組み敷かれるなんて想像出来ないな。何がきっかけでそういう関係になったの?」

 縛られて犯された、なんていえるか!

「たまたま、な、そういう感じに」
「そういう感じにねぇ。うまくやったね、そいつも。なんて高校だったっけ?」
「N高校」
「N高校……の1年か。相手はどんな子? かっこいい? かわいい?」
「なんでそんなこと聞くんだよ」

 できれば河中の話はしたくない。なのに森下さんは「重夫をものにした奴がどんな男が知りたいから」と言ってきかない。

「顔は……女みたいな顔してるな。うち男子校だから、他の男から目つけられて本人は困ってるみたいだ」
「へぇ、可愛い系かぁ。なんて名前?」

 そんなこと聞いてどうするんだ?

「河中って奴。まさか見にくる気じゃないだろうな」
「どうしようかな?」

 冗談めかして悪戯っぽく笑う森下さんがイマイチ信用できなくて、俺はなんだか嫌な予感がした。

「おい、ほんとに見にくんなよ」
「何をそんなに心配してるんだ? 俺が見たって別に構わないと思うけど」

 河中を一目見てあれをタチだと思う奴はまずいないだろう。その気のなかった俺だってはじめはあの外見に惑わされて調子を狂わされたんだ。 それくらいあいつは「可愛い」面をしている。おまけに華奢で俺より背も低い。そんな奴に俺が掘られているなんて知られたくはない。男のコケンに関わるというものだ。

「つまんねえ奴だよ、見てどうすんだ」
「ふふ、わかったよ。学校にはいかないから安心して」

 なんだかイマイチ信用できないんだよな。この人。知り合った時も、自分の浮気が原因で別れた男に付きまとわれていたし、簡単に客に手を出して関係持っちゃうような人だし。

 河中のことも、若くて可愛い男の子、くらいに思ってツマミ食いするつもりなんじゃないのか?

 頼むからあいつに興味持つのだけはやめてくれ。絶対馬鹿にして笑われる。

「それにしてもすごい執着心だよね、このキスマーク」

 俺の体にいまだに残る河中の残した印を指先でなぞり、森下さんがふっと笑った。たしかに、ずいぶんたくさんつけられている。

 あいつ、俺が他の男と寝ていると気付いて相当頭にきたみたいだから、冷静でいられなかったんだろう。俺に向かって「僕のことを好きになるまで抱きます」なんて宣言してきたし。あんなふうに河中が俺に言ってくることなんて今までなかったことだ。

「重夫は本当にその子が好きじゃないのか?」
「ああ、好きじゃない、ただの後輩だ」
「俺のことは?」
「あんたはただの知り合い」
「冷たいなぁ。少しの愛情もないのか?」
「愛情? もってどうする。どうせいつか終わっちまうのにくだらない感情に振り回されたくないだろ」
「俺より徹底してドライに割り切ってるね。じゃあ、割り切りついでにもう一回しようか」

 はぁ。俺は疲れてるんだってさっきも言っただろうが。

「俺はしないって」
「今は、ね。夕飯食ったらまた気もかわるさ。今はとりあえず俺も眠いから、おやすみ」

 と欠伸をした森下さんは俺を後ろから抱き締めたまま目を閉じた。俺もつられて欠伸が出た。しばらくして俺も眠った。



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