FC2ブログ

君が笑った、明日は晴れ(59/89)

2020.05.31.Sun.
1話前話

 先輩の行動はあきらかにおかしかった。

 まず、キスの仕方が夏休み前と違った。いつも僕からキスするからか、先輩は受身になることが多いのに、今日はなぜか積極的で抵抗感も一切ない様子だった。

 おまけに自分から言い出して僕のものを触ってくるなんて、今まで一度もなかったことだ。

 手で扱きながら僕の首にキスした。目が眩むほどの快感の中、僕はいってしまった。相手をしているのが先輩だと思えないほどのかわりぶり。

 誰かに仕込まれたとしか思えない。

 浦野? あいつは夏休み中、ほとんど毎日僕にメールを送ってきたし、嘘をつけるタイプじゃないから、先輩と何かあったらすぐ顔や態度に出ていたはずだ。そんな素振りはまったくなかったらきっと違う。第一、浦野が先輩に影響を与えるほどのテクニックを持っていないことは僕が一番よく知っている。

 だとしたらカンサイか? クラスで見る限り、カンサイと先輩はそんなに仲が良さそうには見えなかった。僕の知らない間に連絡を取り合い、夏休みに会っていた可能性はあるが、先輩の微妙な指使いはカンサイの大きな体には不似合いで、カンサイに仕込まれたとは考えにくい。

 だったら他に誰がいる?

 バイト先、海の家の誰かなのか?

 先輩のやり方は女を相手にしてきたものじゃない、間違いなくなく男を相手に経験してきたものだ。でなきゃ、浦野とのことを差し引いても先輩が自分から「やってやる」なんて言い出すわけないし、なんの躊躇もせず僕のを握って扱き上げ、吐き出したものをわざわざ僕に見せてきたりはしない。楽しんでいる。そこが今までと一番違うところだ。

 誰に仕込まれた? 先輩、誰にそこまで慣らされちゃったんですか?

※ ※ ※

「河中、お前、何考えてる」

 トイレの個室に押し込まれた先輩が非難の目で見てきたが、そんなもの気にならないくらい、正直僕は切羽詰っていた。

 先輩はいつも僕の知らないところで誰かと関係を持つ。体育倉庫でカンサイと、浦野の家で浦野と、そして夏休みには僕の知らない誰かと。

 ノンケなのに、僕を入れて4人の男と経験がある。もしかしたらそれ以上かもしれない。

 僕がきっかけだったのは間違いない。それ以降、先輩の抵抗感はどんどん薄れ、いつの間にか積極的にさえなっている。それなのに、僕とはどうだ? 最後までした性交渉なら、僕が知る限り、カンサイや浦野よりは多いが、キスの回数や肌を合わせた回数なら浦野の方が多いかもしれない。

  先輩に嫌われまいと、僕が遠慮し過ぎていたんだろうか。もっと積極的にいっても良かったんだろうか。

 夏休みを落ち込んだまま過ごさずに、彼女なんて気にしないでもっと会いに行けば良かった。会いに行って家に誘ってキスしてそれ以上のこともすれば良かった。

 でないと先輩はどんどん僕から離れていく。そんな焦燥を感じ、僕は背中にじっとり汗をかいていた。

「僕が考えているのはいつも先輩のことだけです」
「そういう意味じゃなくて、こんなとこで何する気かって聞いてんだよ」
「身体検査。ここで先輩を抱きます」
「ばっ、ここトイレだぞ」
「夏休みに男と寝ましたか?」

 先輩に近づき、首筋にキスした。

「寝てねえよ」
「正直に答えて下さい。でなきゃ、ほんとにここでしますよ」
「させるかよ」

 首を舐め上げながら、ズボンのベルトを外し、緩んだ前から手を中に差し込んだ。もう固くなっているそれを外に引っ張り出す。

「わかるんですよ。先輩、男と寝たでしょう?」
「だったら? お前に関係あるか?」

 関係? ないでしょうね、先輩には。でも僕には大有りなんですよ。他の誰にも先輩に触らせたくないんです。僕以外の誰とも寝て欲しくないんです。

「認めるんですね」
「さあな」

 口の端をあげ、先輩がニヤリと笑った。僕は理性を保てなくなった。




関連記事
スポンサーサイト
[PR]

コメント

管理者にだけ表示を許可する