君が笑った、明日は晴れ(37/89)
2020.05.09.Sat.
<1話、前話>
浦野がだんだん興奮していくのがその舌使いや荒い息でわかった。俺を押し倒しそうな勢いだ。俺も過去に身に覚えのある昂りだから、今の浦野の状態は痛いほどよくわかる。
顔は悪くないからいつ彼女が出来てもおかしくないのに、男子校だから男を好きになって男相手にキスするしか出来ないなんて、こいつもかわいそうになぁ。
舌を抜いた浦野が俺の首に抱きついてきた。
「どうした?」
「ううん、なんでもない」
「また勃ったのか?」
短い間のあと浦野が頷く。まわりに視線を飛ばし人気のないことを確認して浦野の股間に手をあてた。浦野の体がびくりと震える。
「やってやろうか?」
「……でも」
「誰も見てないよ。ツライんだろ?」
「うん」
顔が綻ぶ。どうしてか俺はこいつを甘やかしてしまう。一緒にはなりたくないが、少しだけ宮本の気持ちが理解できるかもしれない。
ズボンから引っ張り出した浦野のものはすでに大きくなって先から我慢汁を滲ませていた。それを手に取って扱く。
「ふっ、あっ」
首に抱きついたまま浦野が声をあげる。その声が俺の耳をくすぐる。なんか変な気分だ。
「出す時言えよ」
「え、どうして……」
「服、汚さないようにしないと駄目だろ」
「うん……」
俺の肩で小さく頷く浦野をかわいいと思ってしまった。やばい、本当に宮本と同じになってしまうぞ。
浦野のものを握りながら、俺は河中のことを思い出した。
浦野と同じ1年生。中性的で浦野よりかわいい顔をしている。性格は、たまにうるさくてしつこくて鬱陶しくて偏執的なところもあるが、基本的には素直だ。なのにどうして俺は浦野と同じように素直な気持ちで後輩としてかわいがってやることが出来ないんだろう。
やっぱり最初が最悪だったからかな。縛られ犯されイカされた。あれがなかったら河中の印象もかわっていたかもしれない。あれも馬鹿な男だよな。あんなことしなきゃ今頃違ってたかもしれないのに。
「あっ、山口さん、も、出るっ」
浦野の声に我に返った。俺が慌てて先端を外に向けるのとほぼ同時に精液が飛び出し地面に落ちた。間一髪。
「山口さんは……?」
気だるい表情で浦野が言う。俺は勃っていなかったので首を横に振り、「手洗ってくるわ」とトイレに向かった。
手を洗い終わったところに浦野が入ってきてハンカチを渡してきた。こんなもん持ち歩いてるなんて女子か。手を拭いてそれを返した。
「そろそろ帰るか」
「う、ん」
「どうした? もしかしてまだ出したりないのか? それは家に帰って自分でやってくれよ」
苦笑する俺に浦野が抱きついてきた。
「まだ帰りたくない」
「駄々こねるなよ」
「俺、山口さんともっとキスしたい。それ以外のこともしたい」
それ以外って……
浦野が顔をあげ、熱っぽい目で俺を見る。なに、その熱い視線。
「俺、山口さんとしたい。山口さんなら俺、挿れられてもいい……」
なんの冗談だ?
「お前が好きなのは河中だろう!」
「うん、でも、キスしてから山口さんのこともずっと気になってて、正直今、どっちが好きかよくわかんないんだ」
こいつ、こういうとこも弟に似てる。弟は以前、好きでもなんでもなかった女の子からバレンタインにチョコをもらった。本命は別にいたが、チョコをもらった途端その子のことを意識しまくって、いつの間にか好きになっていた、というのだ。
そういう単純なところ、そっくりだよ。
「いいか、よく聞けよ。お前が好きなのは河中だ。俺のことを好きかもって思うのは、俺としたことが気持ち良くて好きって感情と勘違いしてるからだ。わかるな?」
納得してない浦野の顔。まったくもう世話のやける。
「第一俺、お前に突っ込む気ないから」
「そ、そんな言い方すんなよ!」
「なに真っ赤になってんだ。お前が入れてくれと言い出したんだろ」
「俺そんな言い方してないよ!」
「でもこっちのほうが的確だろ? 男同士のセックスってのはそういうことだよ」
「なんだよ、知ったふうな口きいて!」
あいにくと知ってるんだよ俺は。黙って息を吐き出し、浦野を押しのけてトイレを出た。まともに相手するだけ時間の無駄だ。
「待ってよ山口さん」
「もう二度とあんなくだらないこと言うなよ。ほんとに犯すぞ」
「犯せないくせに」
かわいくないこと言うね。反抗期か?
「子供は帰ってマスでもかいてろ」
浦野の頭を軽く叩いて俺は公園をあとにした。あー、焦った。
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浦野がだんだん興奮していくのがその舌使いや荒い息でわかった。俺を押し倒しそうな勢いだ。俺も過去に身に覚えのある昂りだから、今の浦野の状態は痛いほどよくわかる。
顔は悪くないからいつ彼女が出来てもおかしくないのに、男子校だから男を好きになって男相手にキスするしか出来ないなんて、こいつもかわいそうになぁ。
舌を抜いた浦野が俺の首に抱きついてきた。
「どうした?」
「ううん、なんでもない」
「また勃ったのか?」
短い間のあと浦野が頷く。まわりに視線を飛ばし人気のないことを確認して浦野の股間に手をあてた。浦野の体がびくりと震える。
「やってやろうか?」
「……でも」
「誰も見てないよ。ツライんだろ?」
「うん」
顔が綻ぶ。どうしてか俺はこいつを甘やかしてしまう。一緒にはなりたくないが、少しだけ宮本の気持ちが理解できるかもしれない。
ズボンから引っ張り出した浦野のものはすでに大きくなって先から我慢汁を滲ませていた。それを手に取って扱く。
「ふっ、あっ」
首に抱きついたまま浦野が声をあげる。その声が俺の耳をくすぐる。なんか変な気分だ。
「出す時言えよ」
「え、どうして……」
「服、汚さないようにしないと駄目だろ」
「うん……」
俺の肩で小さく頷く浦野をかわいいと思ってしまった。やばい、本当に宮本と同じになってしまうぞ。
浦野のものを握りながら、俺は河中のことを思い出した。
浦野と同じ1年生。中性的で浦野よりかわいい顔をしている。性格は、たまにうるさくてしつこくて鬱陶しくて偏執的なところもあるが、基本的には素直だ。なのにどうして俺は浦野と同じように素直な気持ちで後輩としてかわいがってやることが出来ないんだろう。
やっぱり最初が最悪だったからかな。縛られ犯されイカされた。あれがなかったら河中の印象もかわっていたかもしれない。あれも馬鹿な男だよな。あんなことしなきゃ今頃違ってたかもしれないのに。
「あっ、山口さん、も、出るっ」
浦野の声に我に返った。俺が慌てて先端を外に向けるのとほぼ同時に精液が飛び出し地面に落ちた。間一髪。
「山口さんは……?」
気だるい表情で浦野が言う。俺は勃っていなかったので首を横に振り、「手洗ってくるわ」とトイレに向かった。
手を洗い終わったところに浦野が入ってきてハンカチを渡してきた。こんなもん持ち歩いてるなんて女子か。手を拭いてそれを返した。
「そろそろ帰るか」
「う、ん」
「どうした? もしかしてまだ出したりないのか? それは家に帰って自分でやってくれよ」
苦笑する俺に浦野が抱きついてきた。
「まだ帰りたくない」
「駄々こねるなよ」
「俺、山口さんともっとキスしたい。それ以外のこともしたい」
それ以外って……
浦野が顔をあげ、熱っぽい目で俺を見る。なに、その熱い視線。
「俺、山口さんとしたい。山口さんなら俺、挿れられてもいい……」
なんの冗談だ?
「お前が好きなのは河中だろう!」
「うん、でも、キスしてから山口さんのこともずっと気になってて、正直今、どっちが好きかよくわかんないんだ」
こいつ、こういうとこも弟に似てる。弟は以前、好きでもなんでもなかった女の子からバレンタインにチョコをもらった。本命は別にいたが、チョコをもらった途端その子のことを意識しまくって、いつの間にか好きになっていた、というのだ。
そういう単純なところ、そっくりだよ。
「いいか、よく聞けよ。お前が好きなのは河中だ。俺のことを好きかもって思うのは、俺としたことが気持ち良くて好きって感情と勘違いしてるからだ。わかるな?」
納得してない浦野の顔。まったくもう世話のやける。
「第一俺、お前に突っ込む気ないから」
「そ、そんな言い方すんなよ!」
「なに真っ赤になってんだ。お前が入れてくれと言い出したんだろ」
「俺そんな言い方してないよ!」
「でもこっちのほうが的確だろ? 男同士のセックスってのはそういうことだよ」
「なんだよ、知ったふうな口きいて!」
あいにくと知ってるんだよ俺は。黙って息を吐き出し、浦野を押しのけてトイレを出た。まともに相手するだけ時間の無駄だ。
「待ってよ山口さん」
「もう二度とあんなくだらないこと言うなよ。ほんとに犯すぞ」
「犯せないくせに」
かわいくないこと言うね。反抗期か?
「子供は帰ってマスでもかいてろ」
浦野の頭を軽く叩いて俺は公園をあとにした。あー、焦った。
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