君が笑った、明日は晴れ(34/89)
2020.05.06.Wed.
<1話、前話>
浦野が吐き出したものを手のひらに熱く感じながら、荒い息遣いを耳元に聞いていた。
「はっ、はぁ、山口さん……」
「なんだ」
「やっぱり俺、変だよ」
余裕のない顔で、浦野が俺の目を見つめる。なんだか色っぽい表情だ。
「今度は何が変なんだ」
「俺、山口さんの、触りたい……」
うっとり囁くようにいいながら、浦野は俺の股間に手を伸ばしてくる。
「いいでしょ、山口さん」
布の上からぎゅっと握られたそこは、いつの間にか大きく膨らんでいた。
「お前に出来んのか?」
「うん、たぶん……」
ファスナーをおろすと浦野は中に手を入れてきた。俺のものを握って「大きい……」と呟く。
「家の人、大丈夫なのか?」
「うん、夜まで親、帰ってこないから」
口調まで俺の弟に似て来たな。
浦野は恐る恐るという感じで俺のものを上下に扱いた。ぜんぜん気持ち良くない。
「下手くそ。そんなんじゃ河中に嫌われるぞ」
「そんな……」
困った表情を浮かべる浦野の手に自分の手を重ね、上下に動かした。
「これぐらいやれよ」
「う、うん……」
トロ、と先走りが零れてきた。浦野はそれを指に絡め、亀頭全体になすりつけて握った。指で作った輪でカリ首のあたりを上下に刺激する。
「んっ」
「気持ちいい?」
俺の反応を窺うように見る。
「ああ、その調子」
顔は緊張に強張っていたが、浦野はほっとしたように小さく笑った。
コツを掴んだのか普段のやり方を思い出したのか、浦野の手つきが急に自信を取り戻して大胆になった。指で先を刺激された時はみっともなく声をあげてしまった。
「なんか、すごいね、山口さん」
「なにが」
「俺、宮本さんと同じ人種かもしんない。すっげえ興奮してきたもん」
手を動かしながら浦野がキスしてきた。 舌を絡めながら、俺の顔を見ている。
「山口さん、色っぽい」
「ばか」
そろそろ出そうだ。ティッシュを数枚引っ張り出し、先にあてた。
「出すの?」
「あぁ」
浦野にじっと顔を見られながら射精した。 はぁ、と気だるく溜息をつき、 ティッシュで後始末をする。その間も、浦野は俺のことをずっと見ていた。
「なにをそんなに見てんだよ」
「あ、いや、男同士って出し合って終わりなのかなぁと思って」
「さーな。宮本のほうが詳しいんじゃないの」
「あの人に聞いたら何されるかわかんないよ」
浦野が笑った。笑うとさらに子供っぽくなる。言葉使いもいつの間にか敬語じゃなくなっていたが、それが気にならないのはこいつの子供っぽい言動のせいだろう。
「まぁ、聞いた話だとケツに突っ込むらしいけどな」
「痛くないのかなぁ?」
「案外平気らしいぜ」
俺はそんなに痛くはなかった。まぁ、河中が気を使って充分ほぐしたせいだろうけど。
「河中、入れても大丈夫かな。あいつ体細いし、壊れないかな」
あー……、こいつもやっぱ河中を女役として捉えてるのか。実際はあいつ、タチなんだけどな。教えてやるべきかどうか。
「いやぁ、もしかしたらあいつ、入れるほうが好きかもしれないよ」
「えっ、河中が? まさかぁ。あんなに可愛い顔してるのにそれはないよ」
顔に騙されるな。俺もあの顔に騙されて気を抜いた瞬間、ひどい目にあったんだ。
「そんなのわかんないだろ。俺から見たらお前だって充分可愛いツラしてるよ」
「そうかな?」
浦野は両手を自分の頬にあて、キューっと唇を尖らせ変な顔を作った。
「ぶっさいくな顔」
笑ってやった。浦野も笑った。なんだか本当に弟みたいに思えてきた。
立ち上がって服装を整え、洗面所をかりて手を洗った。浦野も手を洗い、二人揃ってリビングに戻った。
「俺ね、 可愛い顔した奴がいるって聞いて河中を見にいった時から、妙にあいつが気になって忘れられなかったんだ。この前も屋上で宮本さんから僕を取り返してくださいって、河中が山口さんに言ってるの聞いて、なんか嫉妬しちゃって」
それで河中が好きだと自覚したわけか。いつか戸田が、河中はモテると言っていたけど、本当なんだな。たった一目見ただけで惚れさせるなんて、たいしたもんだ。
「で、お前、どうすんの」
「どうしよう」
「どうしたいの」
「……デートしたい」
ああ、そうね。
「じゃ、あいつを誘ってみるんだな。そうしなきゃ先には進めないぜ」
「あいつ、OKしてくれると思う?」
「さあね」
「山口さんから誘ってみてよ」
「俺から?」
想像すると無意識に顔が険しくなった。俺から言い出したら怒り狂うんじゃないかな。どういうわけだかあいつ、偏執的なまでに俺にベタ惚れだからな。
「そういうのは自分で言え」
「うーん、そうだよね。だめもとで1回誘ってみる」
全身に決意を漲らせる浦野を、俺はただ、微笑ましく思っていた。
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浦野が吐き出したものを手のひらに熱く感じながら、荒い息遣いを耳元に聞いていた。
「はっ、はぁ、山口さん……」
「なんだ」
「やっぱり俺、変だよ」
余裕のない顔で、浦野が俺の目を見つめる。なんだか色っぽい表情だ。
「今度は何が変なんだ」
「俺、山口さんの、触りたい……」
うっとり囁くようにいいながら、浦野は俺の股間に手を伸ばしてくる。
「いいでしょ、山口さん」
布の上からぎゅっと握られたそこは、いつの間にか大きく膨らんでいた。
「お前に出来んのか?」
「うん、たぶん……」
ファスナーをおろすと浦野は中に手を入れてきた。俺のものを握って「大きい……」と呟く。
「家の人、大丈夫なのか?」
「うん、夜まで親、帰ってこないから」
口調まで俺の弟に似て来たな。
浦野は恐る恐るという感じで俺のものを上下に扱いた。ぜんぜん気持ち良くない。
「下手くそ。そんなんじゃ河中に嫌われるぞ」
「そんな……」
困った表情を浮かべる浦野の手に自分の手を重ね、上下に動かした。
「これぐらいやれよ」
「う、うん……」
トロ、と先走りが零れてきた。浦野はそれを指に絡め、亀頭全体になすりつけて握った。指で作った輪でカリ首のあたりを上下に刺激する。
「んっ」
「気持ちいい?」
俺の反応を窺うように見る。
「ああ、その調子」
顔は緊張に強張っていたが、浦野はほっとしたように小さく笑った。
コツを掴んだのか普段のやり方を思い出したのか、浦野の手つきが急に自信を取り戻して大胆になった。指で先を刺激された時はみっともなく声をあげてしまった。
「なんか、すごいね、山口さん」
「なにが」
「俺、宮本さんと同じ人種かもしんない。すっげえ興奮してきたもん」
手を動かしながら浦野がキスしてきた。 舌を絡めながら、俺の顔を見ている。
「山口さん、色っぽい」
「ばか」
そろそろ出そうだ。ティッシュを数枚引っ張り出し、先にあてた。
「出すの?」
「あぁ」
浦野にじっと顔を見られながら射精した。 はぁ、と気だるく溜息をつき、 ティッシュで後始末をする。その間も、浦野は俺のことをずっと見ていた。
「なにをそんなに見てんだよ」
「あ、いや、男同士って出し合って終わりなのかなぁと思って」
「さーな。宮本のほうが詳しいんじゃないの」
「あの人に聞いたら何されるかわかんないよ」
浦野が笑った。笑うとさらに子供っぽくなる。言葉使いもいつの間にか敬語じゃなくなっていたが、それが気にならないのはこいつの子供っぽい言動のせいだろう。
「まぁ、聞いた話だとケツに突っ込むらしいけどな」
「痛くないのかなぁ?」
「案外平気らしいぜ」
俺はそんなに痛くはなかった。まぁ、河中が気を使って充分ほぐしたせいだろうけど。
「河中、入れても大丈夫かな。あいつ体細いし、壊れないかな」
あー……、こいつもやっぱ河中を女役として捉えてるのか。実際はあいつ、タチなんだけどな。教えてやるべきかどうか。
「いやぁ、もしかしたらあいつ、入れるほうが好きかもしれないよ」
「えっ、河中が? まさかぁ。あんなに可愛い顔してるのにそれはないよ」
顔に騙されるな。俺もあの顔に騙されて気を抜いた瞬間、ひどい目にあったんだ。
「そんなのわかんないだろ。俺から見たらお前だって充分可愛いツラしてるよ」
「そうかな?」
浦野は両手を自分の頬にあて、キューっと唇を尖らせ変な顔を作った。
「ぶっさいくな顔」
笑ってやった。浦野も笑った。なんだか本当に弟みたいに思えてきた。
立ち上がって服装を整え、洗面所をかりて手を洗った。浦野も手を洗い、二人揃ってリビングに戻った。
「俺ね、 可愛い顔した奴がいるって聞いて河中を見にいった時から、妙にあいつが気になって忘れられなかったんだ。この前も屋上で宮本さんから僕を取り返してくださいって、河中が山口さんに言ってるの聞いて、なんか嫉妬しちゃって」
それで河中が好きだと自覚したわけか。いつか戸田が、河中はモテると言っていたけど、本当なんだな。たった一目見ただけで惚れさせるなんて、たいしたもんだ。
「で、お前、どうすんの」
「どうしよう」
「どうしたいの」
「……デートしたい」
ああ、そうね。
「じゃ、あいつを誘ってみるんだな。そうしなきゃ先には進めないぜ」
「あいつ、OKしてくれると思う?」
「さあね」
「山口さんから誘ってみてよ」
「俺から?」
想像すると無意識に顔が険しくなった。俺から言い出したら怒り狂うんじゃないかな。どういうわけだかあいつ、偏執的なまでに俺にベタ惚れだからな。
「そういうのは自分で言え」
「うーん、そうだよね。だめもとで1回誘ってみる」
全身に決意を漲らせる浦野を、俺はただ、微笑ましく思っていた。
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