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君が笑った、明日は晴れ(21/89)

2020.04.23.Thu.
1話前話

 カンサイは自分の中指を口に入れ、唾液をからませたそれを俺の後ろにそっと当てた。思わず力が入る。やっぱり怖い。

「心配せんでもいいから。絶対痛くせえへんし、嫌やったらすぐやめるし」

 俺を安心させるように優しい声で言う。改めてなぜこんなことになっているのかと思わずにいられなかった。薄暗い体育倉庫、男同士で何をやっているんだ一体。

 カンサイの太い指がゆっくり中に入ってくる。

「んっ」
「まだいけるやろ?」
「あぁ」

 指が俺の中でクイクイ動いた。異物感しかない。

「痛いか?」
「ん、いや」

 俺の顔を覗き込むカンサイの息遣いが荒い。上から覗きこまれるのが恥ずかしくて顔を横に向けた。

「ごめん、山口、俺のん触って」

 手をカンサイの屹立にあてがわれた。 猛ったカンサイのものは目を見張るほどに大きく成長している。カンサイも出したくて仕方がないようだ。俺はそれを握って扱いてやった。やっぱりでかい。

「ふっ、あ」

 カンサイの鼻から息が漏れる。俺の手の中でカンサイがビクビク震える。

「あっ」

 今度は俺が声をあげた。

 以前河中が言っていた「ゼンリツセン」と言う場所に触れたらしかった。ここを触られると俺の意思に関係なく体が勝手に反応してしまう。カンサイの優しい目が俺をみおろしてきた。

「ここ、いいんか?」

 そんなこと聞かれて、うん、なんて返事できるか!

 手で口を押さえて無視していたらその手を剥がされた。

「ええんやろ、ここ」
「あっ、ん」

 クイ、とカンサイの指が俺の敏感なところを触る。素直に反応する俺を見てカンサイは微笑んだ。

「好きやで、山口。お前とこんなことできて俺、夢見てるみたいや」

 言葉通り夢を見ているような口調で言う。そんなこと言われても恥ずかしくて何も答えられない。

 カンサイの指が俺の中で強弱をつけて動く。無骨な指をしているくせに、繊細な動きでなんだかじれったい。

 カンサイのものを扱いてやりながら、俺の頭は河中の指とカンサイの指を比べていた。やっぱり違う。河中の細くて長い指は的確に俺の弱いところを突いてきて、しかも執拗に俺を追いたてる。カンサイの手つきは優しい。なんだかそれが俺には物足りなく感じてしまうのだ。

 ああ、まただ。もっと、と思うのに、カンサイの指は遠慮して力を抜いてしまう。思わず恨めしくカンサイを睨んだ。 カンサイは感じ入った表情で熱い息を吐き出している。

「山口、出してもええかな」
「あ、うん」

 カンサイが近くに置いてあったティッシュを数枚引っ張り出して先端にあてがった瞬間、俺の手の中でカンサイが爆ぜた。ドクンドクンと脈打つそれを手のひらで感じながら、いったいどれくらい出すんだとその量にも感心した。

 カンサイが後片付けをするのを座って見ながら煙草を口に咥える。

 カンサイの指はもう抜かれているのに、まだ少し異物感が残っていてなんだかむずむずする。胸の奥で何かが燻っているのを感じながら携帯で時間を確認した。

「もうすぐ授業終わるな」
「もうそんな時間か。もっと山口と二人でおりたい」
「何言ってんだ。二人そろって二時間もふけってたらあることないこと噂されるだろ」
「山口とやったら噂になってもいい」

 カンサイの真剣な顔と口調にどぎまぎした。正面に見つめあうのが恥ずかしくて目を逸らす。

「あのさ、カンサイ、俺」
「待って、お前が男好きになられへんのは知ってる。だから今ここで俺を振らんといてくれ。いま、めちゃくちゃ幸せやねん」

 頭をかきながら弱々しく笑う。

 カンサイがそう言うなら、俺から言うことは何もない。

「実を言うとな、俺、お前が教室出て行ったの見て、きっと授業サボるつもりなんやと思って、お前のあとつけて来たねん。とにかくお前と話したくて、一緒におりたくて、俺も必死やったから」
「そうなんだ」

 ぎこちなく返事を返した。言われてみたらカンサイって真面目で授業をサボったりするようなタイプじゃない。わざわざ俺と話をするために授業をさぼらなくても、教室で話しかけてくればいいのに。

「ほんなら、俺先に教室戻るわ。今日はありがとうな」

 カンサイが立ち上がった。

「ん、いや、べつに」

 礼を言われるようなことは何もしてない。

 服装の乱れを正し、カンサイが倉庫から出て行った。俺は溜息をついてマットに横になった。

 1回出しているはずなのに消化不良の気持ち悪さが残っている。

 カンサイに触られながら、河中のことを思い出していた。あいつならもっとうまくやる、あいつならもっと俺を気持ち良くさせてくれる。そんなことを思っていた。

「俺、どうしちゃったんだろ」

 天井に向かってひとりごちた。

 ギギ、と音がして、また倉庫の扉が開いた。カンサイが戻ってきたのかと上体をおこし戸口を窺ったが、背に光を受けて立つその人影はカンサイより小さく細い。誰だ?

「先輩」

 か細い声に体が緊張した。

「河中、か?」
「はい」

 後ろ手に扉を閉め、俺の前までやって来た河中の顔が強張っている。 マットに座る俺を見下ろし、唇を噛んでいる。間違いない、さっきまで俺とカンサイが何をしていたのかこいつは知っているんだ。



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