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君が笑った、明日は晴れ(6/89)

2020.04.08.Wed.
1話前話

 寝苦しくて目が覚め、その時初めて自分が寝ていたのだと気付いた。妙に体が重い。目を開けると見知らぬ部屋の天井。あぁ、河中の家に来たんだっけ、と思い出して、あれ、いつの間に俺寝てたんだろうといぶかしんで頭をあげた。

「おはようございます。よく寝てましたね」

 河中の笑顔があった。

「あぁ? お前……なんで俺の上にのっかってんの」

 ベッドで横になる俺の腹をまたいで河中が座っている。俺の顔の横に両手をつき、 顔を近づけ目を覗きこんできた。

「先輩、ビデオ見ながら寝ちゃったんですよ。だからベッドに寝かせてあげたんです」
「それはわかったけど……、俺が訊いてるのは、なんでお前が俺の上に乗ってんのかってことだよ」
「縛られた先輩をじっくり見るためですよ」
「はあ!?」

 起き上がろうとして手足が自由に動かないことに気付いた。大の字になって、ベッドに両足を縛られている。

「なんだよ、これ!」

「僕ね、中学の時ずっと先輩に片思いしてました。どうして告白しなかったのかって、先輩が卒業してからすごく後悔したんです。だから高校に入って先輩に会った時、僕、もう絶対後悔したくないって思ったんです」
「だからって何で俺を縛るんだよ!」
「もちろん、先輩を逃がさないためにですよ」
「おい、河中、ふざけるのもたいがいにしろよ。今ならまだ許してやるから早く解け!」
「嫌です。さっき言ったじゃないですか。僕、吹っ切れたんです。本当はもっとゆっくりしようと思ってたんですけど、もう我慢しないことにしました」

 河中は天使のような微笑を浮かべた。こんな状況でなかったら思わず見惚れるその笑顔が、 今はやたら薄気味悪く、俺は背筋がぞっとするのを感じた。

「か、か、河中、俺、無理だよ、 お前を相手に出来ないよ。俺、女好きだから、お前相手じゃ勃たないよ」
「何か勘違いしてませんか、先輩」

 河中の細い指が俺の頬を撫でるように上から下へすっと移動した。

「この3年間、僕のズリネタは先輩だったんですよ。先輩が勃たなくても、何も問題ありません。僕は先輩が相手だといつでもどこでも勃っちゃいますから」

 こいつ、何を言っているんだ。ズリネタなんて言葉、河中の口から聞かされるなんて思わなかった。

「ずっと先輩の中に挿れるの、夢見てたんです」

 うっとり囁く。

「なん、何言ってんの、河中……」

 俺の顔から血の気が引いていく。こいつ、俺を犯す気か?!

「僕ね、こう見えてバリタチなんですよ」

 とにっこり笑った。





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