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三食ゲーム付き(2/3)

2020.03.28.Sat.
<前話>

 口を諦めた前田は、今度は背ける俺の首筋に吸いついてきた。ベロリと舐めあげられ、全身総毛だった。

「気色悪いことするな」
「じゃあ、キスしてもいい?」
「駄目だ」
「じゃあ、学校に来てくれる?」
「どうしてそうなる」
「僕、中/学生の時からずっと杉村のことを追いかけてたんだよ。杉村に近づくために一生懸命勉強だってしたし、性格だってかえるように努力した。同じ高校に行って同じクラスになれたのに杉村が来てくれないんじゃ意味がないよ」
「知るか」

 短く弾き返すと、それが気に障ったのか前田はムッと眉を寄せた。

「来てくれなきゃ、毎日来るよ」
「毎日無視する」
「窓を破って中に入るよ」
「おまえの親に連絡して窓ガラス代を請求する」

 唇を尖らせた前田の眉間の皺が深くなった。

「じゃあ、今ここで杉村を犯す」
「どうしてそんな話になるんだ。犯罪だぞ」
「今度は警察に連絡する? 男に犯されましたって、言えるの、杉村」

 前田の顔がまた近づいてきた。それから逃れるために精一杯右を向く。耳に口を寄せて前田が笑った。「ふふっ」と吐息が耳にかかる。

「杉村、お風呂入ったでしょ? いい匂い。ちょうどいいね」

 と匂いを嗅ぐ鼻先で首を撫でられた。それと同時に、前田の下半身が押し付けられた太ももで、異様な変化を感じ取った。ある一部分が、明らかに硬く大きくなっていた。

「前田、おまえ」

 俺と目が合った前田は恥ずかしそうに一度目を伏せたが、すぐ視線を戻し、挑むように見てきた。開き直りとも取れる微笑が口元に浮かんでいる。

「僕は本気だよ」

 囁くように言う。前田は体をずらし、膝で俺の股間を押した。

「本当はこんなことするつもりじゃなかったけど、杉村が学校に来ないって我侭言うなら、仕方ないね」

 刺激に応じて性器が大きくなる。この三日、ゲームばかりしていて性処理はおろそかになっていた。俺の意思とは無関係に、前田の膝なんかで感応してしまう。

「待て、前田」
「学校、来てくれる?」
「考える」
「行くって言ってくれなきゃ、やめないよ」

 俺の右手から前田の手が離れていった。その手が下がって俺の股間を掴む。思わず息を飲んだ。本当に犯されてしまう――そう思ったらさすがに焦った。

「わかった、行く」
「本当?」

 スエットのズボンの中に前田の手が忍びこんできた。勃起したものを下着越しに優しく包みこまれる。長い指が形をなぞるように動いた。全身の毛穴が開く。

 体重を乗せられている上、体格でも力でも敵わない。家には誰もいないから助けを呼ぶ相手もいない。前田が本気を出せば、俺は間違いなく犯される――好きでもない男に。

「行く、学校に行く」
「約束だよ?」

 俺の顔を見ながら、前田が憎たらしい顔で笑う。女子から騒がれる顔は、今の俺には怖気立つものでしかない。

「もし約束を破ったら、今度は本当に犯しちゃうからね?」

 指を動かしながら、前田は更なる恐怖を引き出す言葉を吐いた。こいつ、狂ってやがる。

「行く、行くからもうどけっ」

 ありったけの力で前田を押しのけ、起き上がった。

 ラスボスでパーティが全滅しかけた時より慌てた。今まで貞操の危機など感じたことはなかったが、これほど恐ろしい状況だとは考えもしなかった。あとになって急に心臓がドクドク鳴りだして、苦しく感じられる。胸を押さえたらその鼓動が手に伝わってきた。

「約束だからね。明日からちゃんと学校に来てよ、杉村」

 前田は右手を前に出し、小指を立てた。

 ※ ※ ※

 俺が二度目のプレイをしている間、前田は毎日やってきた。前田に犯すと脅され、学校に行くと言いはしたが、最初からそんなつもりはなかった。指きりさせられたがそんなものに効力はない。口約束を破ったところで俺が負う責任は何もないのだ。俺の言葉を信じた前田が甘っちょろいというだけだ。

 前田は約束が果たされないと気付いた翌日から家にやって来た。家の戸締りは完璧。部屋の雨戸も閉めたから、窓を破られる心配はない。雨戸まで壊すようなら、その時は警察に連絡だ。

 母親がいない間は無視して過ごしたが、仕事が休みで母親がいる時に来た時は、少し緊張した。さすがのあいつも、俺の母親を押しのけてまで部屋に来るほど非常識ではなかった。長い間玄関で俺の母親に詰め寄っていたが、「本当に今は留守でいないのよ」と同じことを何度も言われて諦めて帰って行った。誰か来ても留守で通すよう、俺から母親に強く言っておいたのだ。

 そのうち諦めて俺のことは忘れるだろう、そう高を括っていた。俺は昔から、人を好きになる気持ちがよく理解できなかった。恋愛ごとに夢中になる奴の気が知れなかった。好きな奴を前にすると顔が赤くなって挙動不審になる、四六時中、そいつのことを考えてしまう、そんなことを言う奴を、俺は醒めた目で見ていた。前田にしてもそうだ。俺を好きだという感情は、一時の熱病のようなもの。あるいは勘違いから生まれた擬似恋愛なのだと思っていた。

 それが俺の間違いだったと認めるに至ったのは、前田との約束を破った五日目、週明けの月曜だった。

 あいつは担任を引き連れやって来た。担任は俺を学校へ呼ぶことをとっくに諦めていたから、前田に説得されてついて来たに違いない。こしゃくな真似をする。

 担任がやってきたのに玄関先で追い返すわけには行かず、俺の親は二人を中に招き入れた。

 しばらく三人分の話し声が聞こえていたが、いつしか二人に減り、かわりに階段をあがってくる足音が聞こえた。

 やっていたゲームを放り出し、俺はドアノブに飛びついた。両手でがっちり握る。いつか感じた大きく跳ねる心臓の苦しさがまた迫ってくる。

「杉村、中で怯えてるの?」

 笑いを含んだ前田の声が、扉の向こうから聞こえた。

「約束を破るからいけないんじゃないか。開けてくれないかな」

 俺の手の中でドアノブが回った。必死に抵抗したがノブは回され、体当たりされた扉は俺まで弾いて開いた。床に尻持ちをつく俺を、中に入ってきた前田が見下ろす。

「学校に来るようにって、先生がおばさんと話してる。杉村は僕と話をしようか」

 ゲーム音楽に気付いて前田の目がテレビに逸れた。

「またゲームしてたの? この前もしてたよね」
「学校に行くより、ゲームをしていた方がマシだからな」
「僕があんなに頼んだのに?」

 しゃがみこんで俺の頬に手を添える。前に触れられた時も思ったが熱い手だ。きっと平熱が高いのだろう。

「明日、明日は学校に行く」

 床に膝をついた前田が顔を寄せてきた。その目は俺の口元を見ている。

「また口先だけなんだろ? もう騙されないよ」
「今度は本当だ」
「じゃあ、契約書を書いてくれる?」
「書く」

 犯されるくらいなら学校に行ったほうがいい。前田の目を睨みながら頷いた。満足してにっこり笑った前田が、自分の鞄から紙を一枚取り出した。

「はい、契約書。サインして」

 と、机にそれを置いた。事前に契約書なんて用意していたのか。どこまでも小賢しい奴だ。渋々サインした。

「これでいいだろ、もう帰れ」
「約束を破ったペナルティは受けてもらわないと」

 構える前に腕を掴まれ、ベッドに投げ出されていた。前田がすかさず俺の上にのしかかる。

「言ったよね、犯すって」
「前はただの口約束だ、なんの拘束力もない」
「そんなこと言うんだ。はじめからそんなつもりで行くなんて言ったんだ? じゃあ、あの契約書も、なんだかんだ理屈をこねて反故にするつもりなんだろ?」
「違う、次はちゃんと守――ッ!」

 前田に口を塞がれた。すぐ舌が入ってきて、中を傍若無人に舐めまわす。

「やめ……っ」

 逃げても背けてもしつこい追いかけてくる。開いた口の端から唾液が垂れた。抵抗を試みたが、俺がこいつに力で勝てないことは以前、証明されている。それでも前田の体を押し返そうと暴れた。

「学校来ないでずっとゲームばっかりしてるの?」

 首に前田の唇が触れる。手が、服の中に入り込んでくる。アンダーシャツをたくし上げ、直に触られた。

「学校なんかくだらねえ」

 なんのつもりか乳首を触ってくる。俺は女じゃないんだぞ。ひねるな、痛い。

「せっかく同じクラスになれたんだよ? 学校に来てよ、同じ班になって修学旅行も一緒に行こうよ」
「馬鹿、舐めるなっ」

 前田は乳首を口に含んで吸ったり、軽く歯を立てたりする。噛み切られたら痛そうだ、と俺は冷や汗を流した。

「僕と同じクラスの間は学校に来てよ、クラスが分かれたら来なくてもいいから、そのほうが僕も安心だから……」

 乳首をいじっていた手が下におりた。撫でるようにズボンのなかに侵入し、性器を握る。

「どこ触ってるんだっ」
「一緒に、気持ち良くなろう?」

 揉むように性器を触ってくる。太ももに感じる前田の股間も、いつのまにか大きくなっていた。そんなもの、擦りつけてくるな。

「ねぇ、僕のも触ってよ」
「嫌だ」
「じゃあ入れさせて」

 どこに何を――。気付いて言葉を失った。どうしてここで難易度があがるんだ。普通、レベルをさげた妥協案を提示する場面だろう。

「わかった、触ってやる」
「さすが。杉村は物分りがいいね」

 カチャカチャとベルトを外す音が聞こえた。前をくつろげた前田が、俺の下半身で馬乗りになる。下着から引っ張り出された前田の性器は、俺が大きくするまでもなく、怒張し、反りかえっていた。



消えた初恋 1

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