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相方自慢(4/4)

2020.02.06.Thu.


 その後、俺はまったく問題なく生活を送れている。朝起きてトイレに立ってもほとんど恐怖心なく扉を開けられるし、楽屋も事務所の会議室も、どこの扉だってまったく平気。

 風呂に入っているときとか、夜寝る前の布団のなかで、たまに女のことを思い出すことはある。そんな時は恐ろしくなるが、女はいない、と理性的に対処できている。恐怖心が作りだす妄想に負けることはない。

 夜明のそばにはまた、市原が金魚のフンのように付き纏う姿が復活した。こいつ本当に仕事してるのかと疑いたくなるレベルで頻繁に見かける。夜明も少しは拒否ればいいのに。酔っぱらってどさくさにキスしてくるような奴。まじで夜明は貞操の危機感を持ったほうがいい。

 今日もとっくに自分たちの出番を終えたはずの市原が劇場に残って夜明の帰りを待っていた。

「夜明さん、今日はどこに行きますか! やっとミヤさんから解放されたんだから今までの分遊びましょう!」
「いや俺今日、森さんと約束あるから」

 夜明は先輩芸人の名前をあげて市原の誘いを断った。森さんは俺たちの三年先輩で、夜明とは風俗仲間だ。全国各地のちょっとかわったプレイをするお店の情報をお互い共有しあっている。その森さんとの約束ということは、今日は2人で風俗店へ行くつもりらしい。

 それは市原も察して「俺もお供させてくださいよ!」と食い下がる。

「森さんがいいって言ったらな」

 夜明はスマホを出してどこかへ電話をかけた。相手はきっと森さんだ。図々しい市原の頼みなんか断ってしまえばいいのに。

「いいってよ」

 通話を切って夜明が言う。市原がガッツポーズを取って喜ぶ。市原の夜明への思いはどこまで本気なんだろう。夜明になら抱かれてもいいと言っていたし、抱きたいとも言っていた。本当に夜明とそういう仲になりたいのだろうか。それともそのくらい尊敬している、という意味なのか。まあ俺には関係ないけど。

 俺も後輩を誘ってご飯に行こうかとも思ったが、まだ部屋にたくさん残っている段ボールの片づけを優先することにした。夜明や他の芸人たちに挨拶しながら劇場を出た。駅に向かう途中の店で軽く食事し、最寄り駅で電車をおりた。

 駅から徒歩20分の新居。集合ポストから郵便物を回収して6階へ。扉を開ける瞬間はいまだに緊張するが、もう躊躇なく開けられるようになった。

 部屋の明かりをつけ、荷物をおろしたあと手洗いうがい。これはは夜明の家に居候していた時から習慣となった。

 腕まくりをし、まず一つ目の段ボールに取り掛かる。夏物の服が出てきた。収納ケースに入れる。2つ目の段ボールはコントで使った衣装や小道具が出てきた。いつぞやのローションも出てきた。余ったから、と持って帰らされたものだ。

 それを見てたら無性に寂しくなった。家でも仕事場でも、ここ数日ずっと夜明と一緒だった。それが当たり前になってしまっていた。なのに今夜明はいない。待ってても帰って来ない。森さんと市原と風俗に行って楽しんでいる頃だろう。

 置いてけぼりをくらったような寂しさと、見放されたような心細さ。明け透けに夜明を好きだと言ってくっついていける市原への嫉妬。

 寂しいような、怒りたいような。複雑な感情が湧きあがって持てあましてしまう。

 ローションは段ボールに戻した。これはこのままクローゼットにでも突っ込んでおこう。

 3つ目の段ボールを開けた。重いと思ったら本や雑誌が入っていた。俺たちが表紙のお笑い雑誌。夜明の顔を見たらもう駄目だった。

 スマホを取って夜明に電話をかけた。2コールで繋がる。

『どうした?』

 少し緊迫感の孕んだ夜明の声。また俺になにかあったと心配してくれたのかもしれない。電話の向こうは少し騒がしい。どこかの店にいるようだ。

「どうってことはないんだけど。いま電話大丈夫?」
『大丈夫。ちょうど飯食い終わったとこ』

 てことは今から風俗店か。

『ミヤはもう家か?』
「うん、部屋の片付けしてた」
『1人で?』
「そうだよ。この前使ったローション出てきた」

 なんでこんなこと言ってしまったのか。電話の向こうから夜明の忍び笑い。

『せっかくだから使えよ』
「相手がいねえよ」
『引っ越し祝いにテンガ買ってやろうか』
「いらねえ。彼女作るわ」
『できんのかよ』
「その気になれば俺だって」

 背後から「またミヤさんですか!」って市原のでかい声が聞こえた。

「悪い、もう切るよ」
『なにか俺に言いたいことがあったんじゃないのか?』

 耳元で聞く夜明の声は妙に優しい。

「いや別に。なんとなく……お前いま何してんのかなと思って」

 自分でも気持ち悪いこと言ってる自覚はある。顔が熱い。これ明日相当いじられるぞ。

『俺がいなくて寂しくなったか?』
「違くて。実家出て初めての一人暮らしみたいな」
『ふはっ』
「前に戻っただけだし。すぐ慣れる」
『今からお前も来るか?』
「やだよ、コンビで一緒に風俗行くとか。邪魔して悪かったな。楽しんで来いよ」

 笑いながら通話を切った。そのあと大きな溜息が出た。なにやってんだ俺は。構ってちゃんかよ。

 自己嫌悪を抱えながら部屋の片づけを続けた。気を紛らわそうとテレビをつける。滅多にテレビ出演のない市原がこんな時に限ってテレビに出ていた。筋肉ギャグを披露しながら夜明への愛を叫び、「気持ち悪いよ」と相方に突っ込まれるのが最近の定番。

 よけいに気分が悪くなったから、ある程度片付けたら風呂に入った。もう今日は寝る。

 風呂を出て晩酌に一本開けて飲んでいたらインターフォンが鳴った。胸がざわついた。恐る恐る見たモニターには夜明がいた。

「おまっ……なにしてんの?」
『開けろ、寒い』

 どうして夜明がここに? 驚きつつ解除ボタンを押した。数分して夜明がやってきた。

「お前、森さんは?」
「風俗はまた今度っつって抜けてきた」
「なにしてんの?」
「俺が恋しくなったから電話してきたんだろ」
「ちげーよ」
「ローション見て俺を思い出したくせに」
「それはっ」
「久々の風俗断って来てやったんだぞ。ちゃんと穴埋めしろよ」

 言うや夜明は俺に抱きついた。首筋で深く息を吸いこんで「風呂入って待ってた?」と笑いの含む声で言う。

「ど、どういう意味だよ?!」
「ローションどこにある?」

 間近に目を覗きこまれた。いつも見ている夜明の顔。今日は雄臭さが滲んでて、思わず生唾を飲みこんだ。

 ~ ~ ~

ベッドに押し倒されて俺は夜明を見上げた。夜明の手が俺のズボンをパンツごとずらす。 

夜明はここへ来る前、ドラッグストアへ寄ったらしい。そこで購入したテンガにローションを垂らし俺のちんこに装着した。

「なんでこんなことすんだよ……!」
「楽しいからに決まってるだろ」

 俺の顔を見ながら手を動かす。グチョグチョと激しく音が鳴る。

「風俗行けなくて溜まってんならお前が使えよ!」
「俺がコレで満足できると思ってるのか?」

 それどころじゃなかったっていうのもあるけど、ここんとこ夜明と一緒だったから俺も自己処理はおろそかになっていた。だから刺激に感応してあっさり勃起するし、ぶっちゃけもう出ちゃいそうだった。

「ちょ、待って夜明! やばいって!」
「早いな」

 と笑う。それにむかついて、俺も夜明の股間へ手を伸ばした。半立ちの状態を確かめてジーンズの上から強く握る。

「触ってくれんの?」
「出せよ、俺のせいで風俗行けなかったんだろ」

 お言葉に甘えて、と夜明が前を開ける。パンツをずらして夜明のちんこを引っ張りだした。夜明はテンガを使って俺のちんこを扱き、俺は素手で夜明のちんこを扱いている。普通コンビでこんなことしないのに、コントの練習中に流れで夜明とセックスしちゃったせいか、ハードルが低くなってるっていうか、あまり抵抗がない。

 扱き合うだけで終わるだろうか、なんて考えている。別にその先を期待しているわけじゃない。ただもう、一回火がついたら行きつくとこまで行かなきゃ鎮火しない気がするだけ。

「夜明、俺もう出そう」
「どうぞ」

 夜明の手つきが早くなる。テンガってすごい。手でやるより断然良い。あっという間に射精した。引き抜かれたテンガからローションだか精液だかわかんない液体が糸を引く。

「お前こそ溜まってただろ」
「だってほんと久し振りで」
「俺んちいる間、一回も抜かなかったのか?」
「お前がいるのにできるわけないだろ」
「風呂入ってる間も?」
「さすがに人んちでは」
「だったら早くこうしてやりゃ良かったな」

 夜明はローションを手に出すと、俺の後ろの穴に指を入れてきた。

「うわっ! なにしてんだよ!」
「初めてじゃあるまいし、わかるだろ」

 かき分けるように指がなかに入ってくる。それをゆっくり出し入れしながら中を押し広げるような動作をする。

「まじでまた……、い、入れる気かよ」
「お前のために風俗断って来てやったんだぞ」

 指で俺のアナル拡張をしながら夜明は今日行く予定だった風俗店の話を始めた。そこはゾンビ娘にいたずらできるというコンセプトらしく、見た目グロいゾンビの格好をした女の子に噛まれないよう気を付けながら、性具を使ったりして遊んだあと、最後フェラさせて終わりらしい。

「精液飲んだらゾンビ化が治るんだってさ。面白いだろ」

 面白い? 面白くねーわ。

「尻、もうやだ……なんか変、気持ち悪い……」
「前に教えただろ、前立腺。あれ以来、触ってないのか?」
「触るわけないだろ」
「じゃあここ、俺以外誰にも使わせてない?」
「当たり前だ!」

 夜明は無言で微笑んだ。やってる行為は最低なのに、こんな時でも顔は良い。くそ腹立つ。夜明は指を抜いて、かわりにちんこを入れた。解されたとは言え指とちんこのでかさは比べ物にならなくて、俺は夜明にしがみついて痛みと不快感に耐えた。

 ケツにちんこ入れられるのはこれで二度目。二度とも夜明だ。俺は相方となにをしてるんだろう。何度目かわからない自問自答が頭をよぎった。

「奥まで入った。わかるか、ミヤ」

 顔のすぐ近くで夜明が言う。俺は頷いた。夜明の熱い塊が、内臓に届いてんじゃないかって感じがする。

「ゆっくり動くから」

 俺の体の上で夜明が動く。思い出したように乳首を弄られた。

「んっ」

 乳首なんか触っていらないって思う。今まで自分が触る側だったから余計にそう思う。ちんこ突っ込まれてる上、乳首いじられながら気持ちよさそうな声をあげる自分が気持ち悪い。興醒めもいいところだと思うんだけど、夜明はゆっくり腰を動かしながらあいかわらず乳首を弄り続けている。

 夜明の腰の動きがだんだん大きくなっていった。動きに合わせて俺も声を漏らす。女の子とセックスしてる時には絶対出さないような、甘えた声。俺は夜明に甘えてるのか。

「ん、はあっ、はっ、ああっ」

 さっきまで夜明が指でいじくってた場所を夜明のちんこが擦りあげる。覚えのある感覚に怖くなって夜明の腕を掴んだ。

「お前が俺んちにいる間、どうして一回も手を出さなかったかわかるか」

 わからずに首を振る。

「一回やったら歯止め効かなくなって毎日やりそうだったからずっと我慢してたんだ」
「ふあっ、あっ、あんっ」

 激しさが増していく。擦りきれそうな摩擦。どんどん熱くなっていく内部。再び立ちあがったちんこから撒き散らされる先走り。

「まさかお前から誘われるとは思わなかった」

 夜明の体が伸びあがる。深い挿入に息がつまりそうだ。

「誘っ……た、わけ、じゃ……っ」
「俺としたこと思い出して電話してきたくせに」

 からかうように笑って、夜明は俺にキスした。確かにそうだ。ローションを見てあの日のことを思い出した。電話したのも下心があった。モニターに映る夜明を見たとき、こうなることを予感したし期待もした。夜明は全部お見通しだった。恥ずかしい。手で顔を覆い隠す。

「次やりたくなった時もちゃんと俺を呼べよ」

 呼べるか!

 夜明の腰のリズムは軽快だ。楽しそうに俺の奥を突く。数分して夜明は達した。

 そのまま面倒だからと俺の部屋に夜明は泊まっていった。ソファも来客用の布団もないから仕方なく俺と一緒のベッドで。

「いいとこだな。さっき住人っぽい女の子とすれ違ったけど、レベル高かった」

 それさっきケツに中出しした相手に言うかね。

「とりあえず戸締りだけはしっかりしとけよ」
「わかってるよ。もう確認済みだし。窓に防犯用のシートも貼るつもりだし」
「これからもちょくちょく来てやるから。お前が俺んち来てもいいし」
「ますますホモだって噂される」
「否定はできねえな」

 夜明にちんこを鷲掴まれた。横目に睨むと夜明はニヤリと笑う。夜明の手が性的な動きを見せる。さっき2人ともシャワーを浴びたばっかなのに。振りほどけずに、俺はされるがまま。




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コメント
続く……の、かな?
続きがあるといいな。
夜明くんは、溺愛&鬼畜が似合いそうですね。


先日は、あまりにも怖かったので、「嫁にこないか」シリーズを読んでから寝ました。
ええ。眠れちゃいました。

嫁シリーズも続き……あったらいいな……

いつか。
訂正します。
夜明くん、溺愛&鬼畜が似合いそう、といいましたが、溺愛し過ぎていじめちゃいそう、に訂正します。
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お返事
そめお様

コメントありがとうございます!眠れたんですね、良かったです!^^
この2人はまだはっきりくっついたわけじゃないのでなんとでも書ける自由度の高い2人ですんで、おそらくまた続きを書くと思います!w
夜明は常に自分の目の届くところに三宅を置いておきたいタイプですよね~。溺愛&いじめちゃう、似合うわ~w
「嫁にこないか」もちゃんとくっつくまで書くつもりでいます!こういう終わらせ方にしようってのがぼんやり頭にあるので、そこまでぜひお付き合いくださると嬉しいです!


ゆい様

コメントありがとうございます!
「コンビ愛」の二人は個人的に好きな2人だったりするので、楽しんでもらえたならすごく嬉しいです!
一応まだくっついていない2人なので、続編はいつか書く予定です!その時もまたぜひ読んでやってくださいませ^^

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お返事
aki-musa様

リクエストありがとうございました!なにげに好きな2人だったので嬉しかったです!
今はまだ付き合っていないので、洒落とか冗談で済ませられるところを攻める夜明のズルさというか諦めというか、この焦れったさはいまの期間限定なので書くのが楽しかったですw
また続編書きたいと思いますので、その時はまた読んでやってくださいませ!ありがとうございます!!^^


インディゴ様

コメントありがとうございます!
わーい!楽しんでいただけましたか?!だとしたら良かったです~!
夜明はまだ冗談で済ませらるところからちょっかい出してて自分のダダ漏れさには気付いてないという設定ですw
明かすつもりはないし諦めてる夜明が早く諦められないところまでいってほしいなと、書いてる私も楽しみです。
萌えるネタが思いついたら焦れ焦れと引っ張りたいとか思っていたり。
市原は、わき目もふらず誰かに愛情表現し続けるとこは好きなので今後も出ると思いますが完全なる当て馬というかネタキャラですw
うまく使えたらいいんですけども。
続編できたら、その時はまた読んでくださると嬉しいです!


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