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よくある話(1/2)

2019.01.25.Fri.
<前作「洞窟」>

※若干ホラー風味

「星野! 親戚が別荘貸してくれるって! 次の休みはここに決まりだ!」

 あれこれあって付き合うことになった矢野が、恋人になって初の連休は特別なものにしたい!と持ってきた話がこれだった。

 矢野の言う別荘は某県の山奥にあるらしい。

 1時間かけて県境を越え、メインの峠道を外れて舗装さえされていない山道を車で行くこと更に1時間。

 途中分かれ道が出てきたときはどちらを進むかは賭けだった。車のナビでは道路の一本さえ記されていないような、そんな山奥。

 対向車が来たら困るくらい狭い道。幸い一台の車も出会わずこれた。というか、バイク一台、人っ子一人見ていない。そういえば電信柱一本見た覚えがなかった。

 木造の建物は別荘のイメージとは遠く、民家のような印象。相当年季が入っているのは間違いない。使われている木材の変色具合から見てもわかる。

 矢野が借りて来た鍵を使って中に入った時、部屋は埃とカビの湿った匂いで充満していた。空気も重苦しい。

 家の中は大型家具以外、きれいに片付けられてがらんとしていた。居間の隣の和室になぜか毛布が一枚置いてあるのがなんだか不気味だ。

「親戚が新しい布団置いてってくれたらしいよ」

 窓をあけて換気をしながら、憂鬱な空気を振り払うように矢野が言う。矢野もここまでの道中とこの別荘の雰囲気になにやら不安になった様子だ。

「まさかこの毛布のことか?」
「二階の一番大きい部屋に置いたって聞いたけど。あとで見に行ってみようぜ」
「その親戚はどこに住んでんだよ?」
「近くに住んでるって聞いたけど」
「近くに? じゃあなんでこんな場所に別荘なんて」
「さあ? 山の新鮮な空気を吸うために?」

 首を傾げる矢野になんだか嫌な予感がする。こいつは過去、吊り橋効果を狙ってわざと危険な冒険プランを何度も持ってきた。まさかまだ続けてるのか? もう意味ないのに?

 いやきっと考えすぎだ。

「ちゃちゃっと軽く掃除して飯にしようぜ」
「俺荷物下ろしてくる」

 矢野が外の車へ戻った。その間に俺は部屋の明かりをつけ、水道の水質チェックをし、ガスコンロが使えることを確認した。

 戻ってきた矢野と一緒に、来る途中寄った大型スーパーで買った食材を冷蔵庫の中へ入れていく。ブレーカーをあげたばかりで冷蔵庫の中はまだ冷えていない。冷蔵庫も年代物で、ちゃんと冷えるのか不安だ。

 掃除をしたら少し汗をかいた。矢野も同様。

「先に風呂に入るか?」

 俺の提案に顔を赤くして矢野が頷く。

 床と壁は目の細かいタイル張り、小振りな浴槽、小さな窓、という田舎のおばあちゃんちを思い出すような風呂場。日が陰ってきてオレンジ色の明かりが窓から差し込む。

 順番に体を洗って狭い浴槽にふたりで入った。俺の前に座る矢野の首筋に吸い付く。矢野が身じろぎする。手を前に回し、半立ちのちんぽを握った。

「あ、だめ、お湯汚しちゃうだろ」
「やりまくるつもりでここに来たんだろ」
「だめだって、星野、あっ…」

 湯船のなかで手を動かしたら簡単に勃起した。

「やだ、あ、ああん」
「いつもより感度いいくせに」
「ちが…あ、アアッ、止め…、ほんと、出ちゃうって」
「立てよ、口でやってやる」
「いいよ、そんなっ」
「ほら、早く」

 しぶる矢野を立たせてこちらを向かせる。目の前にびしょ濡れの勃起ちんぽ。少し湯気が立っている。前は男のちんぽなんか触るのも嫌だったのに、今じゃ平気で口に咥えられる。唾液からめながらジュルジュルジュルッて吸い上げたりしゃぶれたりもできる。

 環境が人を変え、成長させてくれるんだなあ。

「あ! や、だめ、星野…! もうやめて、出る、出ちゃうから…あぁんっ」
「いつもより早いな」
「だって、気持ちいい…ッ、あ、あ! ほんと出る、出るってば!」

 ビューッと勢いよく咽喉の奥に生温い液体がかかる。顔を横に向け、排水口めがけてそれを吐きだした。さすがにまだ飲み下すのはハードルが高い。

「次は俺の番だぞ。そのまま壁に手をつけよ」

 ボディソープと一緒にこっそり風呂場に持ちこんだローションの蓋をあけた。これからなにをする気かなんて矢野もとっくにわかっているから、俺に向けた尻たぶを自分で広げて待っている。

 付き合い出してすぐ、いつから俺のことが好きだったのか、オナネタに使っていたのか、興味本位であれこれ聞いた。大学入学してすぐ俺のことを好きになり、それ以来ずっとオナネタは俺だと言う。

 その頃から俺に抱かれる妄想をして後ろの穴も弄っていたらしい。ここを自分で、と思いながらローションを矢野の穴になじませていると妙に興奮する。

 昨夜もセックスしたせいか、中は柔らかい。

「そろそろいいか」

 俺の独り言に矢野が「早く入れて」と応える。体を密着させて風呂に浸かっていたときから俺のちんぽはすでに勃起していた。あえて立たせる必要のないちんぽにもローションをなじませ、矢野の穴に生のまま、ゆっくり挿入した。

「はあ……!! ああ、あ、あぁん、き、た…ぁ…星野のちんぽ、はぁああ、おっきぃ…!」

 矢野は気持ち良さそうに中をうねらせながら締め付けてきた。何度味わっても新鮮な驚きを感じる具合の良さ。矢野と付き合う前に女とは経験済みだがそれを上回る気持ちの良さだ。

「あんま締めるな、すぐ出ちまうだろ」
「ちが、だって…俺またイキそうだから…、ああっ! 待って、まだ動くのやめ…、あ、あぁんっ!」

 矢野の体を掴んで腰をゆっくり振った。矢野とセックスするようになってから、少しでも気持ち良くさせてやりたくて俺も男同士のセックスを勉強したつもりだ。そこで知った前立腺に当たるように亀頭を擦った。

「あ、あぅん……だめ、そこ、あ、ああ……っ」

 だめと言いながら矢野は壁に爪を立ててさらに俺を締め付けてくる。少し離れると「だめ、抜ける…!」と自分から尻を押しつけてくる。

 焦らすように殊更ゆっくりちんぽを押し込み、また抜ける寸前まで引いた。何度か繰り返しただけで穴は充分に解れ、矢野は立っていられないくらい、出来上がっていた。

「もう、焦らさないでよ……もっと激しくしていいから…星野ぉ…」

 物欲しそうな、切ない矢野の声。俺も限界なので今度は激しくピストンする。ブチュンバチュンと笑っちゃうくらい下品な音が結合部から聞こえる。湯船のお湯も波が立ってバシャバシャ跳ねる。

「やっ! あっ、ああん! なか、すご…! あ、あん! 星野の、ちんぽ、気持ちい…!」
「もっと声出せよ、こんな山奥のド田舎、誰もいないんだから」
「ああ! あ、あ! や、やだ、あぁん! そこ、触ったら、だめ、声、止まんない…!!」

 さっきからベチンベチンと間抜けな音を立てていた矢野のちんぽを扱く。矢野はゆらゆら腰を揺らしながら、あんあん声をあげる。

 ふと思いついて窓をあけた。涼しい空気が一気に流れ込んでくる。ここから見えるのは鬱蒼と立ち並ぶ木ばかり。おかげでもう外は薄暗い。

「窓、閉めろ、よ……あ、あん、ああん!」
「開放的でいいだろ。風呂場で声が響くから、初めてお前とヤッた洞窟を思い出すな」
「あ、う、うん、思いだ…ひ、い、やあ、あ、ん」
「あの時からお前感度抜群だもんな。エロすぎるだろ、お前の体。ほら、もっと声出せよ」
「は、ずかし、から…言うなよ…ぁ…あ、あん、もうだめ、出る!」
「矢野の声、もっと聞きたい」
「や、ああっ、星野ぉ、あっ、あんっ、もお、イク…! ごめ…、また俺…! ああっ、ん! あっ、イク、イクゥ!!」

 大きな声で喘ぎながら矢野は射精した。外の樹木がその声を吸収する。

 物音がしない静かすぎる山奥。動物の鳴き声さえ聞こえない。

 俺も雰囲気の飲まれてたんだと思う。だから余計、矢野に声を出させたくなってしまったのだ。



 風呂を出て夕飯を作った。と言っても切るだけ、温めるだけの、簡単な料理だ。

 恋人と二人の食事を楽しんでいたら突然「ジリリリリッ」と家中に響くような呼び鈴がなった。

 矢野と顔を見合わせる。

「こんな時間に誰だ?」
「わかんない……、あ、親戚のおじさんかも。一回顔出すって言ってたから」

 小走りで矢野が玄関に向かう。慌ててあとを追った。ミステリー小説を読まない俺だって、この登場の仕方は不吉だってわかる。

 訪問者を親戚だと疑わない矢野が玄関の戸を躊躇なく開けた。傘立てにささっている謎の鉄パイプを俺は横目に確認した。怪しい奴ならこいつで撃退してやる。

「やあ、こんばんは」

 玄関に立っていたのはハンチングをかぶり、泥のついたチノパンと深緑のジャンパーを着た初老の男。男は満面の笑みで俺たちに挨拶をした。

「あ、水戸のおじさん?! お久しぶりです!」
「ひさしぶりだねェ。元気にしてたかい?」
「はい、おかげさまで。あと、別荘貸してくれてありがとうございます。こっち、俺の友達の星野です」

 矢野の紹介を受けて俺も男に挨拶をした。男は一瞬俺を見るとすぐ矢野へ向き直った。

「不便はないかい? 何か困ったこととか、かわったこととか」
「なにもないです。それどころか新しい布団を用意してもらっちゃって…。すいません、僕たちで用意しなきゃいけないのに」
「いいよ、そんなこと。もしかして、夕食の最中だった?」

 水戸のおじさんは鼻をスンスン動かした。

「あ、良かったらおじさんも食べて行きませんか? レトルトのカレーなんですけど。酒はいっぱいありますよ
「いやあ、二人の邪魔しちゃ悪いよ」

 水戸のおじさんがねっとりと意味深な目で俺たちを見る。

 え、もしかして。

「ごめんね、さっき裏で作業してたら、二人の声が聞こえちゃってね」
「え? 声って?」

 こんなところで矢野が天然ボケをかます。なんてこった。思わず天を仰いだ。

「二人で一緒に風呂入ってたでしょう? 声がね、丸聞こえだったんだわ」

 絶句した矢野の顔が瞬間的に真っ赤になった。水戸のおじさんも照れ隠しか大きな鼻の頭を掻く。

「すいません、あれはふざけてただけっていうか」

 固まってしまった矢野にかわって俺が悪あがきの言い訳。水戸のおじさんは皆まで言うなとばかりに手で制した。

「いいよいいいよ。都会の若い子は進んでるからなあ。初めてで驚いたけど、別に悪さしてるわけじゃないんだから」

 ハンチングを目深にかぶり直すと、おじさんは「なんかあったら遠慮なく言いな」と俺たちに背を向けた。思い出したように振り返って「いつ帰るんだったっけ?」と問う。矢野はまだ固まっているので俺がかわりに明後日の昼前に出るつもりだと答えた。

「見送りに来るよ」

 それじゃあ気を付けて、と水戸のおじさんは帰って行った。

「もー! 星野のばか! 何が開放的だ! どこがド田舎だ! ばっちり聞かれてんじゃんかよー!!」

  解凍された矢野が真っ赤な顔で俺に抱きついてくる。

「こんな場所で他に誰かいるなんて思わないだろ。お前だってノリノリだったくせに俺一人のせいにするなよ。だいたいお前の声がでかすぎるんだろ」
「気持ちよかったんだから仕方ないだろー!」

 痴話喧嘩にもなんないようなくだらなくも平和な言い争いをしたあと、食事に戻り、夜になり、俺たちはまた性懲りもなくセックスしていた。

 水戸のおじさんに聞かれていたショックが相当でかかったようで、矢野は声を抑えめだ。

「窓締めてるから大丈夫だって」
「まだ裏で作業中かもしれないだろ」
「こんな真っ暗なのにいるわけないだろ」

 チュッチュとキスしながら体中を愛撫してやる。矢野の体から力が抜けていく。弱い乳首を吸うと泣きそうな声をあげた。

「もお…早く入れて……!」
「どこに? なにを?」
「ばか…! わかるだろ」
「だってまた俺のせいにされちゃかなわないからな」
「……星野の、ここに、入れてよ……!」

 自分から足を掬い上げて、その奥を俺に見せつける。ひくつく穴にカウパーをなすりつけた。ぐ、と力を入れるとブリュンッと亀頭が飲みこまれた。

 ズブブと竿を奥に進める。

「は、ああ、あぁんっ」

 蕩け切った顔で矢野が喘ぐ。娯楽がひとつもない山奥に明後日までいる予定。俺たちはいったい何回セックスするだろう。セックス三昧の連休を想像しただけで、下腹部が熱くなった。





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