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Tedious story(13/15)

2018.11.25.Sun.
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 高校を卒業した、と純に呼び出された。純は眠たそうな顔だった。卒業式だった昨日は夜遅くまで遊んでいて、今日目が覚めたのは昼過ぎだったらしい。今日くらいおとなしく寝ておけと言ったら「時計買ってもらう約束でしょ」と純はあくびをした。

 すでに目星はついていたらしく迷いなく一軒の店に入り、「これ」とひとつの時計を指さした。12万弱をカードで支払った。純は店を出ると嬉しそうに腕時計をはめた。

 12万に負けていない。見た目がイケてる奴はどんなものも簡単に着こなしてしまう。

「12万円分、ご奉仕してもらわないとな」

 ホテルに純を連れこんで、シャワ完をしてやる。この時はさすがの純も恥ずかしそうな顔をする。それが見たくて手伝う。

 綺麗になった穴を舐めほぐし、ローションで濡らしてから挿入した。触らなくても純も勃起させていた。鈴口から先走りが垂れる。

「気持ちいいか?」
「うん、気持ちいい」

 とろんと蕩けた表情で純が答える。突き上げると純は声をあげた。苦痛ではなく、快楽の声だ。

「見て、見てて、今井さん……っ、俺、イクから! いっ、ぁ……んっ……んんぅっ!」

 言われた通り純を見守る。純のペニスが弾け、精液を吐きだした。脈打つ動きに合わせて純の腹に垂れ落ちる。純は触っていなかった。俺の腕を掴みながら、荒い呼吸を落ち着かせている。

「見た……? 俺、お尻だけでイケたよ……」
「ああ、見てた。すごいな」
「お尻でイクの気持ちいいよ。もっといっぱいして、もっと俺のこと見て」

 そんなかわいらしいことを言う純が珍しく、煽られるまま言葉攻めと同時進行で少し乱暴に扱った。純は乱れた。体をくねらせ、淫らな言葉を口走りながら何度も射精した。ゴムを取り替える間も惜しく、生で突っ込んだ。純のなかに出した。

 疲れてぐったりする純の顔にもぶっかけた。俺と純の精液まみれになっても、純はきれいなままだった。汚せば汚すほど、きれいになる気さえする。

 動けなくなった純をつれて風呂に入った。湯船のなかで純が俺にもたれかかり、キスをねだってきた。よほど疲れたようで舌の動きが緩慢だ。勃起したが我慢した。

 ベッドに戻ると二人ともすぐに眠ってしまった。夜中に一度空腹で目が覚めた。腕の中に純がいた。こどもみたいなあどけない寝顔だった。自然と口元が緩む。やっと自覚した。俺はこいつが好きなんだ、と。

 執着以上の感情で、ちゃんとこいつが、好きだ。



「起きて! 今井さん!」

 声とともに布団を剥ぎ取られて目が覚めた。いつの間にか服を着た純が俺を見下ろしている。

「昨日からなにも食べてないからお腹すいた」

 と昨日俺が買ってやった時計を見る。

「何時?」
「もうすぐ10時。ほら、出るから支度して」

 ベッドから追い出された。俺は昨夜のだるさがまだ残っているが、純は完全回復した様子だ。さすが十代。

「腰は平気なのか?」
「今井さんがめちゃくちゃするから痛いしだるいよ。でもそれだけ今井さんが俺に夢中なんだってわかって、嬉しかったけどね」

 俺の首に腕をからめ、音を立てて頬にキスする。学校の男子生徒の頬にキスしていた純が頭に浮かんだ。次いで彩加の顔が。そのあと俺の知らないその他大勢の「お友達」の存在を思った。純にとって俺はその友達の一人に過ぎない。

 いまの言葉も、金蔓を引きとめるためのリップサービス。言葉はタダだ。愛想を振りまくことで、純は見た目に釣られたカモを利用する。ある意味需要と供給が成立している。

 俺はただ、立場を弁えて純の思わせぶりな言葉に騙されたふりをしていればいい。そうすればご褒美をもらえる。

 帰り支度ができるとホテルを出た。

「今井さん、なに食べたい? 俺まじでお腹すいてるから結構がっつり食べたいんだけど」
「俺はなんでも。お前に合わせる」
「それじゃ、ステーキ」
「朝から肉か」
「なんでもいいって言ったじゃん」

 駅に向かって歩いていた。その背中に「純くん!」女の叫ぶ声が浴びせられた。

 二人同時に振り返った。ホテルの入り口の前に彩加が立っていた。殺気だった様子で俺たちを睨んでいた。

「彩加じゃん。おはよ。こんなとこで会うなんて奇遇だね」

 わかっているのかいないのか、純がすっとぼけた会話を始める。偶然出会うような場所じゃない。彩加はここに純がいるとわかって来た。もしかしたら昨日から後ををつけていたのかもしれない。彩加の顔色は悪い。

「どうして最近会ってくれないの? 私、何回も電話したよね?!」
「俺も言ったよね。用事があるから会えないって」
「用事ってその人?!」

 彩加が俺を指さす。

「その人って、前に純くんを助けてくれた人だよね? 純くんが私にあんまり会ってくれなくなったのってその人と知り合ってからだよね? その人と会ってたの? その人とホテルで何してたの?」
「聞きたいの?」

 純は笑顔で言った。一見人懐っこい笑み。しかしよく見ると冷たい微笑。

「彩加って俺が相手してやるまで処女だったからわかんない? ホテルですることなんてセックスしかないじゃん。彩加も俺としたことあるでしょ? 純くん、してって。何回も俺を誘ったじゃない」

 彩加は顔を歪めて泣き始めた。

「私のなにがいけなかったの? 純くんの重荷にならないように、純くんが他の子と遊んでても文句言わなかったでしょ? ずっと我慢してたのに、どうして?」

 純は大きな溜息をついた。うんざりとした顔で。

「そうやってすぐ被害者面するよね。先に声かけてきたのはそっちのくせにさ。彩加がなにを我慢してたのかは知らないけど、それって俺が頼んだわけじゃないよね? 彩加が勝手に我慢してたんでしょ? どうして俺が責められなきゃいけないの?」
「私は純くんのことが本当に好きだったから!」
「その気持ちは嬉しいけどさ、最初に言った通り彩加を友達以上には見られないよ。彩加みたいに重い人、俺苦手なんだよね」

 崩れ落ちた彩加が号泣する。純のリップサービスを真に受け、それに溺れた愚かな女のなれの果て。俺もいつか、こうなるのか。純が彩加に言った言葉はそっくりそのまま俺にも当てはまる。俺が声をかけ、勝手に好きになった。彩加に同情はないが、同類の憐れみは感じる。

「ごめん、今井さん。行こう」

 俺の腕を掴んで純が歩き出す。何事もなかったような純の顔。むしろさっぱりとしている。

「もっとマシな別れ方ってのがあるだろ」
「正直、ちょっと面倒な人だったんだ。重荷になりたくないとか言いながら俺の交友関係探ってきたりさ。彼女でもないのに、そういうの鬱陶しいでしょ?」
「酷い奴だな」
「今井さんに言われたくない」

 後ろではまだ彩加が泣いているのに、純はもう存在すら忘れたみたいな顔で笑っている。人として大事なものが欠落しているのだろう。俺も、純も。

「……えして」

 微かに聞こえた声に振り返った。鬼のような形相の彩加が突進してくる。

「返して! 私の純くん返して!!」





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