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楽しい記憶喪失!(2/3)

2016.09.15.Thu.
<前話はこちら>

 歯磨きを済ませた西山は「おやすみなさい」と俺に挨拶すると、寝室のほうへ移動した。西山のいなくなったリビングで俺はため息をついた。

 西山に記憶が戻る様子は少しもない。一度家に戻ろうとした西山が引き返してくれたときは何か思い出すんじゃないかと期待したが、甘かった。

 父親を追い出したあとの西山は俺を知らない中3の西山のままで、名前にさん付けのままだし、敬語も崩さない。

 高校時代の話を教えて欲しいというから話して聞かせたが、自分が経験した人生の話なのに、いちいち驚いたり関心したりする。

 西山は色恋のことも知りたがった。梨香という彼女がいたことを話したら、なぜ別れたのかと聞かれて返答に困った。俺が原因だと言ったらきっと俺を恨むだろ。性格の不一致ということにして、園孝雄が高校まで西山を追いかけてきたぞ、と話題を変えた。

 園の好意を知っていながら、好きじゃないからと冷たくあしらって来た西山なのに、小中一緒だった園のことはちゃんと覚えていた。「困った奴だなあ」と親しみのこもった苦笑に嫉妬した。

 どうして俺と出会う前までのことしか覚えていないのだろう。どうして高校1年では駄目だったのだろう。喧嘩した直後の記憶喪失。俺のことが面倒になったから、存在そのものを忘れたかったのだろうか。

 このまま思い出さなかったらどうしよう。いまの西山も充分に西山らしい。でも俺の知ってる西山じゃない。俺の隣に座らないし、風呂を覗きにこないし、隙あらば触ってこないし、甘えてキスもしてこない。

 数日ならいいけど、何週間、何カ月と記憶が戻らない可能性だってある。俺のことを忘れた西山と暮らしていくのはけっこう辛い。

 悪いことばかり考えて気持ちが落ち込む。だから考えるのはやめにして、俺も寝ることにした。

 電気を消してソファに寝転がり、毛布を被った。西山の温もりや、肌が懐かしい。恋しい。泣きそうになって毛布を頭まで引きあげた。

「あのー、中根さん」

 いきなり声がした。毛布から顔を出すと、リビングの入り口に西山が立っている。

「どうした?」
「もしかして、僕たちって一緒に寝てたんじゃないですか?」

 西山は指をもじもじさせながら、恐る恐るというふうに訊ねる。心臓がバクン! と跳ね上がった。なにか思い出したのか?!

「どうしてそう思うんだ?」

 逸る気持ちを表に出さないよう、声を押し殺した。

「サイドテーブルの引き出しにゴムとジェルを見つけちゃったんですよね。サイズ的に、僕が使ってたって可能性が一番高いなと思って」

 と西山ははにかんだ。確かに、西山が使うコンドームはネットで注文するXLサイズ。それでも窮屈だと嫌がって使わない場合がほとんどだ。

「ゴミ箱みたら、まだ新しいティッシュも捨ててあったし。いつも一人でやる時とティッシュの捨て方が違うから、誰かとエッチしたのかなって」

 俺を窺い見るように西山は小さく首を傾けた。

「で? なんで俺と一緒に寝てたと思ったわけ?」
「一人だけソファなんておかしいですもん。それに思い返してみると、中根さんの僕を見る目つきって、ちょっと普通じゃないですよ。大学の友達だっていう人たちとは明らかに違う。病院に来てくれた時も、事前に記憶喪失だって聞いてるはずなのに、顔色は真っ青だったし、一人だけ泣きそうだったし」
「そりゃ、一緒に住むくらい仲はいいんだから心配するだろ」

 普通じゃないと言われた目を伏せたら、西山が近づいてきた。床に膝をついて、ソファに手を乗せ、顔を覗きこんでくる。

「中根さんは僕の恋人なんですか?」

 核心をつく質問。嘘は許さないくりっと大きな目が俺をまっすぐ見つめてくる。俺はその目を直視できなかった。ソファに置かれた西山の大きな手に視線を落とした。

「もし、そうだったら?」
「一緒に寝ましょう。いつも通りにしていた方が、早く思い出せるかもしれない」

 あっけらかんとした口調だった。俺は顔をあげた。

「気持ち悪いとか思わねえの?」
「父も昔、男と付き合ってたことがあるんですよ。その話を聞いてたからかな、驚きはあるけど、案外受け入れちゃってます」

 西山は俺の頬に手を添えた。俺の顔をじーっと見つめたあと口角を持ち上げた。

「それによく見ると、中根さんって意外にかわいいですよ」

 意外ってなんだよ、意外って。中3でもこいつはとことん失礼だ。何か言い返してやりたいけど、胸が詰まってなんも言えねえ。

 行きましょ、と西山は俺の手を引いた。2人で寝室のベッドに入る。俺が左側、西山は右側。いつもの場所だ。西山本人なのに、別人と一緒に寝ているような緊張感。

 西山に背を向けていたら、背後から抱きつかれた。しかも、手が俺の股間を鷲掴んでいる。

「おい、お前──!」
「僕たち、セックスしてるんですよね?」

 耳元で囁く声。それはスイッチが入った時の西山の声だった。

「お前とはしてねえよっ!」
「……それ、今の僕とはって意味ですよね? 記憶失くす前の僕とはしてたんですよね?」

 大きな手がゴリゴリと玉と竿を一緒に揉みしだく。同じ掌なのに、やはりいつもと触り方が違う。それなのに下半身に血液が集まって勃起させてしまう。

「放せ、よ! この……ばか!」
「頭は忘れても体は覚えてるもんなんですね。中根さんとベッドに入ったら、こんなになっちゃいました」

 尻のあたりにごついものが押し当てられた。焼きゴテかと思うほど熱くて硬い。思わず腰が引けた。

「これを中根さんの中に入れてたんですか?」

 首筋に西山の熱い息が吹きかかる。人の首元でハァハァするな!!

「僕も入れさせて下さい」
「なんでっ……」
「記憶を取り戻すためですよ」

 言いながら俺のズボンとパンツをずり降ろし、直接握った。明確な意図を持った手つきで俺のちんこをしごいている。

「やめ……ろよ、こんなことして思い出すわけねえだろうが!」
「前に読んだ漫画に、手術中に記憶を取り戻す話がありましたよ。セックス中に思い出すかも」

 こいつの口八丁手八丁は昔からだったんだな。関心してる場合じゃない。俺の首筋にキスしながら、先走りを指ですくって全体に馴染まるように上下に動かす。裸に剥かれた尻には西山の勃起ちんこが擦りつけられる。いつの間に外に出したんだ。先端が尻たぶを割って奥をツンツンと叩く。大量の我慢汁が出ているようでネチャネチャと粘ついた音がした。

「ふ……ぅ……っ……あ、ああ……」
「実は僕、童貞なんです。美衣って彼女がいるんですけど、痛がって入れさせてくんなくて」

 猫の鳴き声みたいな名前の彼女は、きっと中3当時に付き合っていた子だろう。彼女はいるのにサイズの問題でさせてもらえないのは盛んな年頃には気の毒な話だ。

 しかしなんだ、この感覚。どっかで見たような光景。デジャヴュ? 違うわ、高3の時の合宿だ。みんなの前で西山に犯されたあの日、同じようなやりとりしたんだ。こいつ全然変わってねえ。

「だから入れてもいいですか?」
「駄目に決まってん……あっ!」

 ちんこから手が離れたと思ったら、今度は俺のケツを撫でてきた。そろそろと中心へ近づいて来る。割れ目にそって指を滑らせ、穴に辿りつくと軽く押した。

「男同士ってここに入れるんですよね」
「ばかっ、入れんな……入れん、なっ、あっ! やだっ……!」

 グググ、と指が捻じ込まれる。潤いが足りなくて痛い。

「抜けよ……! も……っ……ちが……ぁ……痛えからっ……ローション使えこのクソ馬鹿!!」
「あっ、そっか」

 指を抜くと西山はサイドテーブルの引きだしからローションを出した。そしてそれを俺の穴に突っ込んで一気に中身を押しだした。

「最初は慣らしたほうがいいですよね」

 独り言みたいに呟いて指をそっと入れる。中のローションを擦りつけるように指を回したり、出し入れしたりする。

 いつもなら指で刺激される場所がスルーされる。中3の西山が前立腺の場所や存在なんか知るわけないのだ。たまに当たってもすぐ行き過ぎてしまう。10段階で言うと、2か3程度の快感しか与えられない。物足りなくて、もっと欲しいと勝手に腰が揺れる。

「気持ちいい? 中根さん」

 耳元で西山が囁く。俺は返事に困って黙った。気持ち悪くはないのだが、気持ちいいと言うと嘘になる気がする。西山だったらもっとうまくやる。俺が欲しがるところは過剰なほどに、気付かないところも愛撫して、俺を善がり狂わせる。

「なんか、思い出したかよ……?」

 返事をせずに、祈る気持ちで問い返した。今度は西山が返事をしなかった。訝しんでいると仰向けにひっくり返された。いきなりの乱暴な動作に驚いて西山を見上げる。怒りと戸惑いの入り混じったような顔が俺を見下ろしていた。尖った唇は拗ねた子供みたいだ。

「西山……?」

 西山は無言で俺の足の間に陣取ると、またローションを継ぎ足して指を入れてきた。グチュグチュと音を立てながらあちこち指で擦る。

「んっ」

 俺が声をあげたところで一瞬動きを止めた。見つけた、と言わんばかりの顔でそこを執拗に弄りまくる。

「んっ、あっ、あっ」
「ここだ。ここがいいんだね?」
「あぁっ、やっ……あ…ッ…あ、いっ……」

 勝ち誇った顔で舌なめずりしたかと思ったら、頭を下ろして俺のものをぱくっと咥えた。いつもの西山なら驚かないが、今は中3の西山だ。女とセックスしたことはおろか、男なんて性の対象外だったはずなのに、いきなりなんだ、この順応性は! 応用力は! 躊躇のなさは!!

「なっ、なに……やってんだよ、お前っ!」
「だって、負けたくないじゃないですか」
「誰に?!」
「記憶を失う前の僕に。僕のやり方じゃ気持ちよくなかったんでしょ? 前の西山だったらこうするのにって考えてたでしょ? 言わなくてもわかりますよ。セックスしてる最中、他の男のこと思い出されるの、むかつくじゃないですか。それが自分でも、誰かと比べられたら負けたくないじゃないですか」

 バレてた……!! 西山の勘の鋭さにびっくりだ。気まずさに目が泳ぐ。西山は意に介さず、フェラを再開した。飴を転がすように口に含んだ亀頭を舐め回し、蜜を吸うように先走りを啜った。

「……っ……んっ……あ、あ……まっ……ああ、あ……ッ」

 なかに入れた指を動かすことも忘れない。中を押し広げつつ、俺が反応を見せる場所を指の腹で擦りあげる。俺は腰をガクガク揺らしながら、西山の髪の毛を搔き乱した。

「だめ……、西山ぁ……! ああっ……も…ぉ…イクッ……から、はなせ……!」

 軽く頭を押した。なのに西山は根本まで咥えこんで頭を上下に動かした。

「や、ん、あああっ……やめ……出ちゃ……っ……からっ……!! 西山……あっ、はあぁ……ん、あっ……あ、ああ──……ッ!!」

 達する瞬間、気が遠のいた。俺が出し続けている間、西山は咥えたまま全部口の中に溜めた。出し終わると口を離し、ごくりと音を立てて飲みこんだ。

「飲ん……! なんで!? 馬鹿、飲まなくていいんだよ!」
「中根さんのだったらいいかなって」

 唇を舐めつつ、にこりと爽やかに笑う。抵抗感なしかよ。そういえば合宿でヤラれたあともトイレでこいつにフェラされたんだっけ。そのあと中出しされたザーメン吸い出してあげるとも言われた。さすがにそれはさせなかったけど、俺が嫌だと言わなければこいつのことだ、きっとやっていただろう。それも喜々として。

 ずっと一緒にいて忘れかけてたけど、こいつ根っからの変態なんだった。




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