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嘘 (3/7)

2016.07.31.Sun.
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 泡を洗い流したあと、中原は俺の体を拭いてくれた。そしてベッドに横たわった俺の足に跨って、はちきれそうなペニスを口に咥えこんだ。あの中原が!

「うっ、待っ……!!」

 熱い粘膜に包まれながら、軽く唇でしごかれただけであっという間に昇りつめた。自己最速記録で、中原の口の中に精液を叩きつけていた。

 さすがに予想外だったようで、中原は眉を寄せて俺を睨んだ。モゴモゴと口周りを動かしたあと、「早えんだよ、早漏が」と俺を揶揄することで飲みこんだことを証明した。

「飲んだ……」
「で、次どーする?」
「えと……、もう一回、口で」
「好きだなぁ、伊藤ちゃん。まさかずっとしゃぶらせる気かよ? さてはお前、童貞だな?」

 中原の口が近づいて、俺のペニスに熱い息が吹きかかったと思ったら、再び熱い口腔内に包まれていた。中原は頭を上下させて俺のペニスをしゃぶった。くらくらするような快楽。

 頬の形がへこんだり膨らんだり変形している。中原の口から溢れた唾液が、陰茎を伝い落ち下に溜まる。感じる刺激と、目の前の光景が結びつかない。

 高校時代の数か月、中原ときちんと話をしたことは一度もなかった。いつも一方的に嫌がらせをされていた。言い返せば嫌がらせがしつこくなるだけだとわかっていたから、「うん」とか「違う」くらいしか言ったことはないし、こちらから話しかけたこともない。面と向かい合ったこともなかったんじゃないだろうか。

 みんな、そんな感じだった。中原はクラスの嫌われ者だった。内心では馬鹿にして、見下して、罵詈雑言を浴びせかけていた中原が今、俺のものをうまそうにしゃぶっている。いまにも射精しそうな快感は、俺の高校中退の原因を作った中原によってもたらされているのだ。

「出る、かも」

 また早いと言われるかと思ったが、どうぞ、というふうに、中原は先端を二度吸った。一度目は中原の口に出した。二度目は違う場所がいい。

「君の、祐樹の、顔に出したい」

 熱を孕んだ目で俺をじっと見たあと、中原は軽く頷いて口を離した。亀頭を自分の顔に向けながら、手で扱く。金のためとはいえ、こんなことを甘んじて受け入れるなんて意外だった。本当は元からこういうことが好きだったのだろうか。

「祐樹は、いつから、この仕事してるの?」
「高校卒業してから」

 俺は中退したのに、中原はちゃんと卒業したのか。

「いつからホモなの?」
「早く出せよ」

 低い声とともに、鋭い眼差しが矢のように飛んできた。少し気圧されたものの、このタイミングを逃すまいと質問を続けた。

「高校の時は、もうホモだったの?」
「うるせえな、噛むぞ」
「好きな男、いた?」

 中原は口を閉ざして唇をへの字に曲げた。機嫌を損ねた駄々っ子みたいな表情だ。

「いたんだ?」
「いちゃ悪いか」
「誰?」
「聞いても伊藤ちゃんにはわかんねえだろ。てか、早く出せよ。腕が疲れて来た」
「名前だけ。知りたい」
「……門田。満足か?」

 挑発的な目が俺を睨む。門田という名前にはなんとなく聞き覚えがあるようなないような、曖昧な感覚しか持てない。同じクラスだった連中のほとんどの顔と名前を忘れてしまっているから思い出せないだけかもしれない。二年以降の中原のクラスメートだとしたら、俺にはわからない。

「かっこいい人?」
「しつけえな。まだ聞くのかよ。ぜんぜんかっこよくねえよ。俺、男の趣味悪いって言われてるから」
「口も悪いもんね」
「うるせえ」
「告白した?」
「できるわけねえだろ。もういい加減にしねえと、止めるぞ」
「ごめん、もう、出すよ」

 ちょっとほっとした顔で、中原は俺のペニスに視線を戻した。

 中原に見つめられながら俺はその顔へ射精した。目に入るのを避けるために中原は目を閉じる。眉間から鼻梁へ、その脇から口元へと、俺の吐きだした精液が中原の顔を汚している。

 征服感が尾てい骨のあたりからゾクゾクとこみあげて来て、俺の体はブルッと震えた。

 顔が俺の精液まみれの中原は、赤い舌が出し、唇に溜まる白い液体を舐めとった。目を開け、俺を見据えながら、口周りの精液を指先で口元へ運び、その指の汚れも俺に見せつけるように舐めた。

「次はどーする? 伊藤ちゃん」
「次……?」
「入れたい? 入れられたい?」
「えっ!」
「これで終わりでも、俺は別に構わねえけど」

 俺が中原に……、入れる? 入れられる?! 入れられるなんてまっぴらごめんだ。どうして俺が中原のちんこを突っ込まれなきゃいけないんだ。じゃあ、入れる? それもどうだろう。中原のケツに入れたいか? そこまでしたら完全に俺までホモじゃないか? 俺はただ、高校時代の憂さ晴らしをしたかっただけだ。

 これでもう充分なような気がする。でも、せっかくだから、という欲も出て来る。

 マンションのデブ男のように、中原をヒイヒイ善がらせるのも、面白いかもしれない。

「い、入れる……ほう、で」
「オッケー。じゃ、準備するわ」

 中原は体を起こすとホテルの備品のローションを手に出して、それを尻になすりつけた。俺のほうへケツを向けているから、中原が指を出し入れしているのが見えた。意外につるんと綺麗な尻だ。ローションのせいでそぼ濡れるアナルも、出張ホストをしている割に色づきは薄い。

 そっと尻を触ったら、中原は「わっ」と声をあげて背を逸らした。

「なんだよ、急に」
「スベスベしてる」
「あー、ケツだけは褒められる」
「ケツだけなんだ」

 と笑ったら「うるせえ、殺すぞ」と中原は口を尖らせた。自分が言ったくせに。

「伊藤ちゃん、3回目だけど、勃つのか? また口でやってやろうか?」

 必要に迫られた事務的な感じで肛門を解しながら中原が言った。

「もう、入れて大丈夫なの?」
「まあ、大丈夫っちゃあ、大丈夫だけど」

 大丈夫という言葉を聞いて、俺は中原の腰を掴んで背後から挿入を試みた。ぬめついた肛門に亀頭を押し当て、ぐぐっと押し込む。フェラしてもらう必要はなかった。中原が指を出し入れしているのを見ているだけで勃起した。

「ちょっ、待っ……!! あ、ううっ……!!」

 ベッドにうつ伏せになって、中原が呻く。狭くて突っ張る感じはするが、ローションのおかげで引っかかるような痛みはない。中原は違うのかもしれない。

「痛い?」
「伊藤ちゃん程度のちんこ、痛いわけ、ねえだろ」

 短小と言われたっけ。今更ながら傷つく言葉だ。それに、童貞だと言い当てられたし。なにがなんでも善がらせたい。マンションのデブ男にできたんだ、俺にだってできるはずだ。

 ゆっくり引いて、また戻す。という動作を何度も繰り返した。中原の中はとても暖かくて、狭くて、吸い付いて来る粘膜は動くたびうねって俺を奥へと誘い込むようだった。

 慣れているのかと思いきや、健気な緊張感も保っていて、それに味をしめた俺は猿みたいに何度も何度も出し入れした。

「うっ、ううっ、あ、あぁぁっ……!!」

 ベッドに顔を押し付けたまま、中原が声をあげる。デブのマンションで聞いた声と少し違う気がする。

「気持ちよくない?」

 確認したら、中原はシーツに額を擦りつけるように首を左右に振った。

「気持ちいいから、もっとして……!! いっぱい、突きまくって……!!」

 言われた通り、ピストン運動の速度と強度をあげた。陰茎を扱かれて俺のペニスがさらに充血する。

「あっ、ううっ……、んっ!! いいっ……! 気持ちいいっ!! 伊藤ちゃんのちんこ、気持ちいいっ!!」

 叫ぶように言いながら、中原は自分でペニスを扱いた。

「はぁぁんっ、あっ、あっ……ちんぽ気持ちいい……ッ! あっ、そこ……ッ……もっと、してっ!! あ……あっ……前立せ……あたって……ぁ……ああ……っ!! も……して……っ!!」

 前立腺。聞いたことがある。どこだと探しながら腰を振った。ある場所を擦ると中原は髪を振り乱した。きっとここだ。そこを徹底的に責めた。

「ああぁっ……だめっ、そんなっ……しちゃ……ぁ……だめっ……やだっ……ッ……気持ちよくて……イッちゃ……イッちゃうからっ……! はあぁんっ……いとう、ちゃ……あっあっ!!」

 中原の声が聞こえなくなると同時に、体が強張った。そして、大きく息を吐きだしながら弛緩した。ぐったりした背中が大きく上下している。

「イッたの?」
「……それ聞いてどーすんの」
「だとしたら、良かったと思って。俺、短小で童貞だから」

 首を捻って中原が俺を睨む。

「まぁ、確かに、短小で童貞で早漏でテクニック無しだけど、初めてのわりに良かったんじゃね?」
「テクニック無しが増えた」
「童貞なんだから当たり前だろ。何様だお前」
「でも祐樹、すごい喘いでた」
「全部演技だよ、バーカ」
「えっ、そうなの」
「冗談もわかんねえのか、バーカ。早くイケよ。今度は遅漏かよ」
「俺も出すよ」

 中原の悪口に苦笑しながらピストンを再開する。

 高校生の頃は苦手でしかなかった中原の口の悪さが今では平気に聞き流せるのが不思議だった。学校の教室という閉ざされた空間、逃げられない条件が揃っていたから、神経質になっていただけだったのだろうか。

 いや、確かに中には酷い中傷もあったから、やっぱり中原が人格異常者なのだと思う。

 そんなことを考えながら三度目の射精をする。出したあとで、中出しして良かったのかと不安になったが、中原は何も言わないから、これもサービスの内なのだろう。どうせ男同士で妊娠もしないのだし。




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