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行きつく先は(1/5)

2016.07.09.Sat.
「今日の相手は」「今日の相手も」

※出番:当て馬女子>攻め

 海の見える洒落たレストラン。見渡す限り男女の二人組ばかり。そのうちの一組が、俺たち。

「早瀬さんから、是非もう一度会いたいって連絡をもらった時、正直に言うと驚いてしまったんです」

 ワイングラスの縁を指でなぞりながら、見会い相手の花井さんは赤い唇を左右に持ち上げた。

「勝手に連絡をしてしまったのは父ですが」

 引きつる笑みで返したが、花井さんは気にも留めずクスクスと笑う。

 見合いのあと、俺の父親が先方へ連絡を取り、勝手に話を進めてしまった。断ってくれればいいのになにを思ったかこの人は承知して、約束の日時を決めてしまった。

 勝手な真似をした父には当然抗議したが、おまえがいつまでも愚図愚図しているからだと逆に怒られ、約束してしまったものは仕方がないのでこうして会うことになった。

「息子は恥ずかしがり屋でどうしようもないっておっしゃっておいででしたわ。でもそれを聞いて納得しました。お見合いの時、照れていたからあんなに不機嫌そうだったんですね」
「照れる年でもありません。あれが僕の地ですよ」

 デザートに出されたアイスを、スプーンでぐちゃぐちゃとかき混ぜる。俺を嫌いになれ。俺に幻滅しろ。

「女性とのデートはいつもあんな感じなんですか?」

 花井さんは首を傾げ、目をくりっとさせて俺を見る。そんな小賢しいテクを駆使されたって俺には通じないというのに。

「だいたいそうですね。時間の無駄だと感じてしまう」
「私とこうしておしゃべりしている時間も無駄ですか?」
「そうですね。花井さんも、僕なんかといても、楽しくないでしょう?」
「そんなことありません。実はここだけの話なんですけど」

 花井さんは体を前に倒すと、口の横に手を当てた。

「私、どちらかというとMッ毛のあるほうなんです。だから早瀬さんみたいな男の人、嫌いじゃないんです」

 ひそめた声でとんでもないことを告白してきた。会って二度目だぞ。知り会って数時間の相手とベッドインする俺が言えたことじゃないが、この人には羞恥心や良識というものはないのだろうか。

「僕もMなんですよ」

 とにかく彼女の好みの真逆をいけばいい。

「どういうわけか、私と付き合った男性って、みんなMっぽくなっていくんです。どうしてかしら?」

 と、肩を持ち上げて首を傾げる。なにを言っても無駄だと悟り、ナフキンで口元を拭って立ちあがった。

「出ましょうか」
「はい」

 にこりと微笑む花井さんと店を出た。大通りでタクシーを拾い、彼女を押し込むつもりが逆に背中を押された。

「早瀬さんもご一緒に」
「帰る方向が逆ですから」
「良かったらお茶でも飲んで行ってください」
「仕事を残しているので」
「一時間くらい平気でしょう」

 イラッとして、彼女の腕を引き、肩を押してタクシーに放り込んだ。強引なやり方だが、もともと嫌われるのが目的だから構わない。出てこようとする花井さんを遮るためにドアを乱暴に閉めた。

 さよならも言わずに歩き出すと、「連絡お待ちしてます」と窓をあけた花井さんの声が聞こえたが、無視した。

 こんな日はまっすぐ帰る気にならないから、菱川くんに電話した。今日はバイトではないのか、すぐに電話に出た。

『はい』
「今からそっちに行ってもいいかな?」
『僕は大丈夫です』
「じゃあ今から行く」

 ちょうど見えたタクシーを止めて、菱川くんの家へと向かった。

 出迎えてくれた菱川くんに抱きついてキスする。性急に服を脱がせようとしたら「どうしたんですか」と手を止められた。

「しないなら帰る」
「帰る必要はないです」

 掴まれた手を引かれ、奥にある安物のベッドへ連れて行かれた。俺の上に跨った菱川くんが、俺にキスをしながら服を脱がせていく。俺も腰を浮かせながら彼の服を脱がせた。お互い全裸になると、菱川くんは俺の両足を左右に開き、その中心へ指を入れて来た。

「よかった。ここ、使ってないみたい。僕以外の誰かとしてきたのかと思った」

 ローションを継ぎ足しながら菱川くんがほっとした顔で言う。彼と「恋人」のような関係になってから俺は他の誰とも寝ていない。彼の嫉妬を引きだすために、他の男を匂わすような発言を度々してきたから、それを真に受けた菱川くんが心配するのも無理はない。

「しようと思ったけど、出来なかったんだ。やっぱり好みじゃないって気付いて……だから疼いて仕方ない……、早く入れて……君のが欲しい」
「僕だけじゃ駄目ですか?」

 指を増やして菱川くんは不安そうな顔をする。そんな顔を見ると俺は安心する。

「束縛は嫌だって言ったろ」
「束縛じゃないです、嫉妬です。早瀬さんが僕以外の男と寝るのは嫌です。それに早瀬さんが心配だから言ってるんです」
「説教は聞きたくない。萎える前に、早く入れろよ」

 菱川くんは諦めたのか口を閉ざし、抜いた指のかわりに硬いペニスを入れて来た。律儀に毎回コンドームを着けている。

「ふうぁ……あ、ああっ……!!」

 刺し貫かれる充足感に勝手に背がしなる。咽喉を晒して声をあげた。

「狭い……、前に僕としてから、誰ともしてないんですか?」

 嬉しそうな菱川くんの声。誰ともしてない。でもそれを正直に言うつもりはない。

「たまたま仕事で忙しかったんだ」
「他の誰ともしないで下さい」

 俺の腰を抱えもって菱川くんが動きだす。俺のなかを硬くて太く熱いものが出し入れされる。それに熱中している間、俺は性器を受け入れるだけの入れ物に成り果てることが出来る。女に興味のある振りをしなくていいし、結婚しろとうるさい親の相手もしなくていい。

「あっ……そ、こ……菱川くんの…あたって……あっ、ああっ! もっとして……っ!!」
「僕のこれ、好きでしょ?」

 心得たとばかりに彼は俺の前立腺を擦りあげた。

「ぅああっ……んっ、あぁぁんっ……すき…っ…好き! はあぁっ……あぁ……菱川くん、すっ……ご……いい……!!」

 彼の当て勘は素晴らしいものがある。本当に俺としか経験がないのだろうか。疑いたくなるほど、見えもしない前立腺を探し当てるのがうまいし、具合よくカリで擦ってくれる。

 彼くらいの年齢だと生中出しに幻想を抱いてそうなのに、毎回ちゃんとコンドームをつけるし、もしかしたら、嘘をつかれているのは俺のほうなのかもしれない。

「浮気したら……殺す、から……ッ!!」
「しませんよ。こんなに好きなのに」

 さんざん浮気を匂わす言動をしている俺には文句も言わず、菱川くんはにこりと笑って言った。

 菱川くんの顔が近づいて来る。口を開いたら唇がくっつくより先に舌が入って来た。それに舌を絡め、濃厚なディープキスをする。キスしながら菱川くんは俺の足を持ち上げ、折りたたむように頭のほうへ持ってきた。

「自分で持ってて」

 言われた通り自分の足を持った。菱川くんが腰を振る。ペニス付け根の裏側がゴリゴリ擦られる。ほら、見事な当て勘。ペニスの先にセンサーでもあるのか?

「ああぁ! あっ、あ! きもち、いいっ……!! 前立せっ……菱川く、の……ちんぽ、あたっ……て…ッ…ヒッ、い、あはぁあっ……あぁんっ! もっと、してぁああっ!!」
「も……、トロトロになってきましたよ、早瀬さんの、ここ」

 ここ、という言葉に合わせて、菱川くんのペニスが中からグイと押してくる。自分でもわかるほど中がじんじん熱くなっている。膀胱も押されてるもんだから、あやうく漏らしてしまいそうなほど、下半身が緩んでしまっている。

「グチャグチャにしてっ……君のおちんぽで、俺を馬鹿なメスマンコにして……っ!!」

 俺がどんな下品な言葉を口走ろうと、菱川くんは受け止めてくれる。40手前のおじさんの乱れっぷりが、ただ哀れなだけなのかもしれないが。

 慈愛溢れる優しい微笑を浮かべながら、菱川くんは俺の望み通り、精液まみれでグチャグチャのドロドロになるまで犯してくれた。





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