奇跡(2/2)
2016.05.14.Sat.
<前話はこちら>
スマホをポケットに戻してベッドに腰かけた。振動で木原が目を覚まし、俺の腰に腕を巻きつけて来た
「まだ起きてたのか、お前」
人のベッドを占領しておいてよく言うよ。
「自分ちに帰らないの?」
「もう電車ないだろ」
歩いて帰れよ。
「明日朝から授業だ、忘れてた……明日、起こしてくれよ」
知ってるよ。だけどお断りだ。自分で起きろ。
「もう寝るぞ」
と俺を抱きよせ、抱き枕にする。
「酒臭い」
文句を言ったら「ごめん」と素直に謝ってくる。
「木原くん、好きな子いるの?」
「……いるよ」
「ふーん」
「気になる?」
「別に」
「俺のこと、好きなのに?」
「何度も違うって言ってると思うけど」
「俺のこと嫌いなんだっけ?」
木原の手が下におりていく。股間に触れて、また笑った。
「じゃあなんで勃たせてんの?」
ズボンの中に入って来た手が半立ちのペニスを握った。腰に腕を回されたときからこうだった。セックスに慣れてしまった弊害だ。
「触られたら勃つ、だろ」
「嫌いな奴でも?」
木原は俺に覆いかぶさると、首筋をペロリと舐めた。ゾクゾクとした震えがさざ波のように押し寄せる。シャツをたくしあげて、今度は俺の乳首に吸い付いた。口の中で乳首をこねくりまわしながら、右手はペニスを扱き続ける。
「ふ、あっ」
「俺のこと、嫌いなんだろ」
濡れた乳首に木原の息がかかる。視線を合わせたら木原は意地悪く笑った。嫌いだ、こんな奴。自分勝手で傲慢で自己中で我が儘で人の迷惑考えられないような奴、大嫌いだ。
足を広げられ、その中心に指を突っ込まれた。なかでグニグニと指を動かされる。根本に近い前立腺をグッと押されるとおかしな声をあげてしまう。
「あ、ふっ、あぁ、あ、あ、指…ッ…なか、いや……、そこ、押すの、だめ……ッ!」
しつこく擦られると腰から力が抜けてしまい、尿を漏らしてしまいそうな感覚に焦る。実際漏らすことはないだろうが、気を抜いていると射精してしまいそうだ。尻だけで達してしまったら、今後一生木原にからかわれそうで、それだけは避けたい。
ある程度解すと木原は指を抜いた。それでもまだ刺激が残っていて、俺の体はビクビク震え続けた。
ベルトを外し、前をくつろげ、木原はペニスを取り出した。扱かずとも、すでに充分育ったものを、俺の中へと埋めてきた。
木原は毎回入れる側だから本来排泄するばかりの場所へ異物を挿入される苦しみがわからないんだ。しかも俺のと比べて若干大きめ。そんなものでゴリゴリ擦られる身にもなってみろ。
「んんぅ……! う、あぁっ、あ、はぁっ! 入っ……は……木原くんっ……おっきぃから……ゆっくり、おねが……い!」
「中、俺でいっぱいだろ?」
問いかけにうんうんと頷く。木原が少し体勢を変えた拍子に一番敏感な場所をグリッと擦られた。
「あはぁあ……ッ! そこ! まって……当たっ……まだ……まだ、動くのやだぁっ……」
「気持ちいいとこ当たってる?」
俺の膝を左右に押し開いて木原は腰を動かした。
「当たって……る…んッ……あ……っあぁ……木原くんの、あ……当たって……あぅ、ん……」
ピストン運動が激しくなっていく。前立腺を刺激されて俺のペニスは痛いくらいに勃起した。触らなくても先走りが溢れてるのがわかる。
肌のぶつかる音に水音が混じるようになってきた。耳を塞ぎたい恥ずかしい音。取り繕うこともできない俺の嬌声。勝手にいやらしい声が出て来る。これは俺じゃない。別人だ。
「あっあ……ふっ……ぁ……木原く……俺、おれ……ど、なっ……ちゃう、の……っ」
「ん?」
「なん…で……っ……こ、んなっ……気持ち…い……の……ッ……?」
女の体じゃないのに、男に抱かれてどうしてこんなに気持ちよくなってしまうんだろう。大嫌いな木原にむりやり犯されているのに、どうして体に触れられただけで反応してしまうんだろう。俺はただの肉便器なのに。
情けなくって泣きたい。鼻の奥が痛んで湿り気を帯びる。ズッと啜りあげたら、音に気付いた木原が俺を見て軽く目を見開いた。
「なんて顔してんの、お前」
「なんでも、ないっ……」
誤魔化せるかと思ったが、濁った涙声が出た。
「あぁ、もう……お前のそういうとこ、ほんとかわいい」
ため息混じりに言ったあと、木原は目を細めて笑った。
かわいい? 俺が? 俺を形容するのに一番ふさわしくない言葉が木原の口から出て来て驚いた。
木原が本気で俺を可愛いと思っているなら、これで木原の好きな子の条件が全部揃ってしまったじゃないか。
高校の時の知りあいで、酷いことして、かわいいと思ってるのは、ほんとに俺のことだったというのか?
勘違いするなと思い切り馬鹿にされることに怯えながらも確かめずにはおられなかった。
「俺なの? 木原くんの、好きな子って」
「他に誰がいるの」
あっさりと木原は認めた。
罵倒ではなく優しい笑みを返されて面食らう。
「……っ……う、……うそ……」
「こんな嘘ついてどうするんだよ」
「でも、だって……ぁあっ!!」
体の中でまた木原のものが動きだし、俺は声をあげた。木原は俺の太ももを押し上げてガンガン奥を突き上げる。「嘘に決まってるだろ」って言うタイミングはもう過ぎている。ニヤニヤと笑ってもいない。額から汗を流すほど、俺の体に穿ちこむ行為に没頭している。
木原は俺のことが好き。
口のなかで呟いたら顔が熱くなってきた。
好きだから俺に会いに来て、俺を抱く。同じクラスだったことも忘れていたような、俺のことが。
木原の弱点は、まさかの俺。
「お前も俺のこと好きだろ?」
前髪を揺らしながら木原が訊ねる。しつこいくらい好きか嫌いか確認してくるのは、実は自信のなさの表れなのかもしれない。
「好きじゃ、ない」
「嘘つき」
と木原はいつも通り笑う。少しぎこちなく見えるのは気のせいだろうか。
「ほんとは、好き」
試しに言ってみると木原は固まった。びっくりした顔で俺を見つめる。
「もう一回言って」
催促され、もう一度「好き」と言ってやったらいきなりキスしてきた。噛みつくようなめちゃくちゃなキスだ。腹を圧迫された苦しい体勢で息もままならない。
「やっと素直になったな」
口を離した木原は例によってお目出たい発言をする。その嬉しそうな顔ったらもう。滑稽なのを通りこして可愛いくらいだった。
これでやっと俺の復讐が始められる。
相思相愛だと思わせておいて、最高に傷つく形で木原を振ってやる。だからそれまでは恋人ごっこに付き合ってやるとする。
スポンサーサイト
スマホをポケットに戻してベッドに腰かけた。振動で木原が目を覚まし、俺の腰に腕を巻きつけて来た
「まだ起きてたのか、お前」
人のベッドを占領しておいてよく言うよ。
「自分ちに帰らないの?」
「もう電車ないだろ」
歩いて帰れよ。
「明日朝から授業だ、忘れてた……明日、起こしてくれよ」
知ってるよ。だけどお断りだ。自分で起きろ。
「もう寝るぞ」
と俺を抱きよせ、抱き枕にする。
「酒臭い」
文句を言ったら「ごめん」と素直に謝ってくる。
「木原くん、好きな子いるの?」
「……いるよ」
「ふーん」
「気になる?」
「別に」
「俺のこと、好きなのに?」
「何度も違うって言ってると思うけど」
「俺のこと嫌いなんだっけ?」
木原の手が下におりていく。股間に触れて、また笑った。
「じゃあなんで勃たせてんの?」
ズボンの中に入って来た手が半立ちのペニスを握った。腰に腕を回されたときからこうだった。セックスに慣れてしまった弊害だ。
「触られたら勃つ、だろ」
「嫌いな奴でも?」
木原は俺に覆いかぶさると、首筋をペロリと舐めた。ゾクゾクとした震えがさざ波のように押し寄せる。シャツをたくしあげて、今度は俺の乳首に吸い付いた。口の中で乳首をこねくりまわしながら、右手はペニスを扱き続ける。
「ふ、あっ」
「俺のこと、嫌いなんだろ」
濡れた乳首に木原の息がかかる。視線を合わせたら木原は意地悪く笑った。嫌いだ、こんな奴。自分勝手で傲慢で自己中で我が儘で人の迷惑考えられないような奴、大嫌いだ。
足を広げられ、その中心に指を突っ込まれた。なかでグニグニと指を動かされる。根本に近い前立腺をグッと押されるとおかしな声をあげてしまう。
「あ、ふっ、あぁ、あ、あ、指…ッ…なか、いや……、そこ、押すの、だめ……ッ!」
しつこく擦られると腰から力が抜けてしまい、尿を漏らしてしまいそうな感覚に焦る。実際漏らすことはないだろうが、気を抜いていると射精してしまいそうだ。尻だけで達してしまったら、今後一生木原にからかわれそうで、それだけは避けたい。
ある程度解すと木原は指を抜いた。それでもまだ刺激が残っていて、俺の体はビクビク震え続けた。
ベルトを外し、前をくつろげ、木原はペニスを取り出した。扱かずとも、すでに充分育ったものを、俺の中へと埋めてきた。
木原は毎回入れる側だから本来排泄するばかりの場所へ異物を挿入される苦しみがわからないんだ。しかも俺のと比べて若干大きめ。そんなものでゴリゴリ擦られる身にもなってみろ。
「んんぅ……! う、あぁっ、あ、はぁっ! 入っ……は……木原くんっ……おっきぃから……ゆっくり、おねが……い!」
「中、俺でいっぱいだろ?」
問いかけにうんうんと頷く。木原が少し体勢を変えた拍子に一番敏感な場所をグリッと擦られた。
「あはぁあ……ッ! そこ! まって……当たっ……まだ……まだ、動くのやだぁっ……」
「気持ちいいとこ当たってる?」
俺の膝を左右に押し開いて木原は腰を動かした。
「当たって……る…んッ……あ……っあぁ……木原くんの、あ……当たって……あぅ、ん……」
ピストン運動が激しくなっていく。前立腺を刺激されて俺のペニスは痛いくらいに勃起した。触らなくても先走りが溢れてるのがわかる。
肌のぶつかる音に水音が混じるようになってきた。耳を塞ぎたい恥ずかしい音。取り繕うこともできない俺の嬌声。勝手にいやらしい声が出て来る。これは俺じゃない。別人だ。
「あっあ……ふっ……ぁ……木原く……俺、おれ……ど、なっ……ちゃう、の……っ」
「ん?」
「なん…で……っ……こ、んなっ……気持ち…い……の……ッ……?」
女の体じゃないのに、男に抱かれてどうしてこんなに気持ちよくなってしまうんだろう。大嫌いな木原にむりやり犯されているのに、どうして体に触れられただけで反応してしまうんだろう。俺はただの肉便器なのに。
情けなくって泣きたい。鼻の奥が痛んで湿り気を帯びる。ズッと啜りあげたら、音に気付いた木原が俺を見て軽く目を見開いた。
「なんて顔してんの、お前」
「なんでも、ないっ……」
誤魔化せるかと思ったが、濁った涙声が出た。
「あぁ、もう……お前のそういうとこ、ほんとかわいい」
ため息混じりに言ったあと、木原は目を細めて笑った。
かわいい? 俺が? 俺を形容するのに一番ふさわしくない言葉が木原の口から出て来て驚いた。
木原が本気で俺を可愛いと思っているなら、これで木原の好きな子の条件が全部揃ってしまったじゃないか。
高校の時の知りあいで、酷いことして、かわいいと思ってるのは、ほんとに俺のことだったというのか?
勘違いするなと思い切り馬鹿にされることに怯えながらも確かめずにはおられなかった。
「俺なの? 木原くんの、好きな子って」
「他に誰がいるの」
あっさりと木原は認めた。
罵倒ではなく優しい笑みを返されて面食らう。
「……っ……う、……うそ……」
「こんな嘘ついてどうするんだよ」
「でも、だって……ぁあっ!!」
体の中でまた木原のものが動きだし、俺は声をあげた。木原は俺の太ももを押し上げてガンガン奥を突き上げる。「嘘に決まってるだろ」って言うタイミングはもう過ぎている。ニヤニヤと笑ってもいない。額から汗を流すほど、俺の体に穿ちこむ行為に没頭している。
木原は俺のことが好き。
口のなかで呟いたら顔が熱くなってきた。
好きだから俺に会いに来て、俺を抱く。同じクラスだったことも忘れていたような、俺のことが。
木原の弱点は、まさかの俺。
「お前も俺のこと好きだろ?」
前髪を揺らしながら木原が訊ねる。しつこいくらい好きか嫌いか確認してくるのは、実は自信のなさの表れなのかもしれない。
「好きじゃ、ない」
「嘘つき」
と木原はいつも通り笑う。少しぎこちなく見えるのは気のせいだろうか。
「ほんとは、好き」
試しに言ってみると木原は固まった。びっくりした顔で俺を見つめる。
「もう一回言って」
催促され、もう一度「好き」と言ってやったらいきなりキスしてきた。噛みつくようなめちゃくちゃなキスだ。腹を圧迫された苦しい体勢で息もままならない。
「やっと素直になったな」
口を離した木原は例によってお目出たい発言をする。その嬉しそうな顔ったらもう。滑稽なのを通りこして可愛いくらいだった。
これでやっと俺の復讐が始められる。
相思相愛だと思わせておいて、最高に傷つく形で木原を振ってやる。だからそれまでは恋人ごっこに付き合ってやるとする。
- 関連記事
-
- 奇跡(2/2)
- 奇跡(1/2)

[PR]

木原も恩田もかわいすぎですね!
嫌悪→相思相愛イチャラブって…おいしいもんてんこ盛りって感じです。プリンアラモード的な…(←?)
どんどん続きが楽しめるシリーズものもいいですが、あんまりハラハラドキドキが続くとオバサンの私の心臓には負担が大きいので、3話目くらいで胸がぎゅうぅぅううってなるくらいのハッピーエンドな『視線の先』からの3部作は、とてもシアワセな気分に浸らせてもらえるお話しでした~。
ありがとうございました!ごちそうさまです!!
ちゃんと相思相愛が伝わっていて良かったです!
恩田を頑固に書きすぎて「これちゃんと好きになってるの伝わるだろうか…」と心配でした。プライド高いけど単純な恩田です。
イチャラブで〆るハッピーエンド。実は今回どちらも達してないんですよねw いわゆるイキオチじゃないっていう。私もエロを書くと気力体力奪われる年齢になりましたwお互い健康第一で頑張りましょう!^^;
コメントありがとうございました!一日遅れてしまって申し訳ないです!