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視線の先(2/2)

2016.03.02.Wed.
<前話はこちら>

 連れて行かれたのは野球部の部室前。木原は木で出来た扉を両手でガタガタと揺らし、「よっ」と掛け声をかけて扉を開けてしまった。

「ボロいし、建てつけが悪いから、コツさえ掴んだら鍵がなくても開くんだよ」

 木原が先に中に入った。部室は思っていた以上に狭くて散らかっていた。

「畳なんだ……」
「そこで靴脱げよ」

 玄関みたいな狭い三和土に靴を脱いで、擦り切れてボロボロの畳に足を乗せた。左手にロッカーが並び、右手は鞄や用具が乱雑に置かれた棚になっていた。

 ここで冴島が着替えたりチームメイトと話をしたりしているのか。記念に写真を撮りたいと指先がうずいて思い出した。まだスマホは木原に取られたままだ。

「あの、スマホ」
「終わったらな」
「なにが」
「セックスに決まってるだろ。ケツ貸せって言ったのもう忘れたか?」
「セッ……!」

 俺をからかってるんじゃないのか。本当に木原はホモで、俺のケツでやるつもりなのか。

「冗談じゃなくて?」
「冗談ならもっと見た目のいい男選ぶわ」

 悪かったな。じゃあ今から他の男に頭下げて来いよ。

「時間ないから早くしろよ」

 木原が棚を漁って何かを探しだした。

「え、早くってなにを……」
「ズボンとパンツ脱いでケツ出しとけ」
「木原くんはなにを」
「ワセリン探してんだよ。確かこのへんにあったはず……あ、あった」

 薬局で見かけるオーソドックスなワセリンが出て来た。何に使うつもりだ。

「おら、早く脱げ」

 蓋をあけながら木原が俺のケツに蹴りを入れて来る。むちゃくちゃ恥ずかしいし屈辱的だが、スマホを人質に取られているので俺は言われた通り、ズボンとパンツを脱いだ。

「そこに四つん這いになれ」
「ええっ」
「仰向けでもいいけど」
「四つん這いでいいです」

 畳に膝と両手をついた。自分の格好を客観視したら急激に顔が熱くなった。俺は一体なにをしているんだ。野球部の部室で。四つん這いになって。木原にケツを見せて。

 これからなにをされるか本当にわかっているのか? 予想が正しければ俺はいまから木原にレ/イプされるんだぞ?! 男が! 男に!

 どう処理したらいいんだ。いくら冴島のためとはいえ。いや冴島は関係ない。俺が一方的に冴島をストーキングしていただけだ。冴島のせいじゃない。俺のせいだ。本当に俺だけのせいか? 人の弱みにつけこむ木原のせいじゃないか?!

「のわっ」

 いきなり木原が尻を掴んで左右に割って来た。つまり俺の肛門が木原に丸見えなのだ。

「な、なにをっ」
「ワセリン塗るから。ローションなんてないからな」

 俺の尻の前に座り込んだ木原が、ワセリンをつけた指を尻の穴に入れて来た。普段出すばかりの場所に異物を捻じ込まれる不快感は耐え難いものがある。

「なにしてるん、ですか、それっ」
「童貞か。童貞だよな。女と違って男は濡れないから、こういうので潤いを足すんだよ」
「潤いっ、必要ですか?!」
「乾いてると女も痛がるし、こっちも引き攣れる感じがして痛いんだよ」

 木原はやっぱり女と付き合ったことがあるんだ。

「本当にホモ、なんですか?!」
「ホモだよ」

 俺の尻の穴に指を出し入れしながら木原はまたあっさり言った。

「なんで俺にこんなことすんの?!」
「普通に生活してる高校生がホモに出会う確立なんて低いだろ。更に相手と相思相愛なんて奇跡だ。でも欲望だけは溜まってく。だったらこの際、相手はどうでもいいから仲間に出会えたらとりあえず経験したいって思うのが年頃の男子高校生」
「好きな人いないの、ですか?!」
「話聞いてた? たとえ誰か好きになっても、そいつがホモな確立ってすごく低いんだよ。お前もホモならわかるだろ」
「だから俺、ホモじゃないんですけど!」
「冴島のストーカーしといてよくもまぁ。じゃあお前、冴島のこと考えてオナッたことないの?」
「……あるわけないじゃないですか」
「間があったけど」

 クツクツと木原が笑っている。俺は腕の中に顔を突っ伏した。嘘をついてしまった。しかも見抜かれている。本当は何度も冴島を思ってオナニーした。だって冴島のことを考えていたら自然と勃ってしまうのだから仕方ないじゃないか!

「考えようだよ」

 木原は俺の尻から指を抜いた。入念に弄くり倒されたせいで、俺の尻はジンジンと熱っぽい。

「冴島が好きでも報われることは絶対ない。お前も俺で手を打って、ここらへんで性欲発散させといたほうがいいぜ」
「レ/イプでか!」
「優しくするって」

 俺の尻に弾力のあるものが押し当てられた。ああ、まさか。

 ヂュプ、と粘ついた音を立てながらそれが中に入ってくる。むりむりむり! 痛い痛い痛い!ピリピリする! これ裂けてる!!

「きっつ……」
「抜けばいいんじゃないかなぁあ?!」
「痛い?」

 当たり前の質問に腹が立ってヘッドバンギング並みに頷いた。

「ゆっくり動くから」

 俺の腰を持って木原が前後に尻を振る。木原のペニスが俺の中を出たり入ったりしている。内壁擦られる感触が気持ち悪い。

「まだ痛い?」

 痛みより気持ち悪さが勝る。どっちも一緒だと頷いた。

「俺は気持ちいい」

 知るか! っていうかそんなこと言うな!

「ちょっと早く動かすよ」
「無理無理無理!」

 言葉通り、木原の腰の動きが早くなった。ズッチュグチュグチュといやらしい音を立てながらリズムよく腰を振る。俺の尻穴が、木原の男根によって掘削され、何度もピストンされているという事実! 俺のこと忘れていたような相手に! 脅されてレ/イプされている!

「まだ気持ちよくない?」
「き、ンッ! もちよく、なるわけ! なっ! あっ!」
「それって喘ぎ声?」
「断じて、違う! 木原くんが突くからっ! 声、がっ!」
「突くって、やらしい言い方」
「なに言ってンッ! んあっ」
「今のは喘ぎ声だろ」
「違うって!」

 否定したあと手で口を塞いだ。今の声は本当に喘いでしまったかもしれない。ゴリッと擦られた場所がちんこの根本をジンと刺激した。木原は「さっきのは喘いでたって」とジンとした場所を探り当てようとペニスを擦ってくる。

 木原がせっせと塗りたくったワセリンのおかげで俺の中でペニスがズブズブと動いてジンとした場所を何度も擦っていく。

「うっ、あっ」
「ほら、ここだ」
「違っ」
「違わねえだろ」

 心得たりといった感じで木原は的確にそこを責めてきた。俺のペニスの根本、その裏側をゴリゴリと。空気を入れられた風船みたいに俺のペニスが立ち上がる。レ/イプされているのに勃起させてしまうなんて。

「はぁぅ、んっ、あっ」
「良さげ」
「良く、なっ、あんっ! あっ!」
「お前、そういう声出せるんだ」
「嫌だ、やめろっ」
「途中でやめれるわけないだろ」

 ガンガンに掘りまくってくる。すでにずいぶん奥まで発掘されていたのに、さらに奥へと突き進んでくる。まじで吐きそうだ。

「うぅっ、あ、奥っ、深いっ」
「言うこといちいちやらし過ぎ」
「早いっ、ゆっくり!」
「もう俺出そうかも」

 しばらくパンパンと俺の尻を打つようにピストンしていたが、射精の時が近いのか小刻みに腰を振りだした。終わる。やっと終わる。だが待て。まさかこのまま、中に……?!

「待っ……!!」

 止める前に木原は達してしまった。ドクドクと俺の中に木原の精液が注ぎ込まれる。外に出すという選択も出来たはずなのに!

「やばい。超気持ちいい」

 満足げに呟いて、木原がズルリと俺の中から出て行った。出て行ったあともそこがジンジンして熱い。四つん這いのまま首をひねって振り返れば気だるげな表情の木原がティッシュでちんこを拭いていた。あれが俺の中に……

 視線に気付いた木原がティッシュを蹴って寄越す。射精してない俺はナニを拭けばいいんだ。そうか。ケツか。木原の出した精液を拭けばいいのか。俺は本当に汚されてしまったのだ。

 数枚ティッシュを取って尻を拭った。そんなにティッシュは濡れない。ほとんど全部、中出しされてしまった。妊娠しない男で良かった。いや、今回は男だからレ/イプされてしまったんだった。

「トイレ行って出したほうがいいぜ。ジワジワ漏れて来るらしいから」
「もう黙ってて欲しいんですけど」

 レ/イプ魔の親切心なんてクソの役にも立たない。ただ神経を逆撫でするだけだ。

「こんなことして、悪かったな」
「謝るなら最初からするなよ」
「ごもっとも」

 膝に手をついて木原が立ち上がる。いつの間にか身なりを整えている。俺はまだ半裸だというのに。

「俺のスマホ返してくれ」
「あぁ、そうだった。忘れてた」

 木原は棚にあるカゴの一つからスマホを出して俺に渡した。無事だったか俺のスマートフォン! 画面を見て一瞬思考が止まった。カメラが起動している……? タイマーが進んでいる……ということは、これはムービー! しかもまだ録画中!

「ちょっ、なにっ、なんでムービー?!」
「ついでに録画しといた」
「はっ?!」

 急いで停止ボタンを押した。自分のレ/イプ現場を録画されてしまった。二重三重の辱めだ。唯一の救いは木原がこれを強請りのネタに使う気はないということくらいだ。

「頭おかしいの?!」
「それ持って警察行くなりなんなり好きにして」

 じゃあな、と手を振って木原は部室から出て行った。

「警察、行くなり……?」

 言われてみればこれは木原が犯した性犯罪の決定的証拠だ。それをわざわざ奴は残して行った。なぜ? 捕まりたいのか? いや違う。こんなもの持って男が警察に行けるわけがないと高を括っているのだ。誰にも見せられるはずがない、と。

 俺はパンツとズボンを穿いて畳の上に正座した。深呼吸して気持ちを落ち着かせる。

 木原は本当に録画したのだろうか。俺を動揺させるための嘘かもしれない。確かめるために再生ボタンを押した。

 画面いっぱいに木原の顔のドアップが映し出された。角度を調整しているのか画面が大きく揺れる。

『木原くんはなにを』

 俺の声だ。

『ワセリン探してんだよ。確かこのへんにあったはず……あ、あった』

 あの時にカメラをセットしていたのか。ワセリンを持った木原が画面から離れて行く。俺に蹴りを入れるところもバッチリ映っていた。

 パンツとズボンを脱いで俺が四つん這いになる。顔はこちらを向いているのは幸か不幸か。

 カメラは俺と木原の全体を映していた。木原がワセリンを指ですくって俺の尻穴を弄るところもばっちり映っている。生々しい、俺のレ/イプの記録。

 見るのが辛くなって止めようとしたときだ。木原の視線が何度も同じ場所を見ていることに気付いた。画面から向かって右側、ロッカーのある場所。

 カメラから目をあげて、視線の先を探る。

 何の変哲もないロッカーが並んでいる。その中の一つに、冴島の名前が書かれたロッカーを見つけた。ここが冴島のロッカー! 立ち上がってロッカーに手をかけた。鍵がかかっていて開かない。さすが几帳面な冴島だ。

『冴島が好きでも報われることは絶対ない』

 スマホから聞こえて来た木原の声にギクリと身がすくんだ。

『お前も俺で手を打って、ここらへんで性欲発散させといたほうがいいぜ』

 そのあと俺の呻き声。木原のちんこを捻じ込まれているところだ。聞いてられずに再生を止めた。

 深いため息が出た。木原は本当に録画していたし、俺は本当にレ/イプされていた。

 どうしてこんな目に遭わなくちゃいけなかったんだ。俺が冴島のストーカーだから? 木原がホモ仲間を探していたから? だとしても何もかも突飛すぎる気がした。

 ぼんやりと冴島のロッカーを見る。

 もしかして、木原が見ていたのはこれだったのかもしれない。




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コメント
グダグダなんやで!

※規制されている単語に「/」が入ってます。お見苦しくて申し訳ないです。

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