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彼はセールスマン(2/2)

2015.11.15.Sun.
<前話はこちら>

 この事務所は隣を倉庫として使っているので池田を責める玩具は文字通り売るほどある。その中の一つの手錠で池田の手を拘束し、媚薬入りローションで肛門を解し、前立腺バイブを突っ込んだ。

「んんっ、あ、あ、ああぁぁ……!!」

 前立腺をゴリゴリに押された池田が、ソファの上で身悶える。ビクビク震える平らな胸にローションを垂らし、ローターを乳首に当てた。

「あぁっ、や、だ……やめて…っ…嫌だ、ぁあ……んんっ」

 今度は勃起したペニスにオナホを嵌めてやった。グチュグチュと音を立てながら扱くと池田は声をあげなら射精した。それでも手を休めず動かし続けた。

「や、ん……めて……! もぉ……やめ……ああぁ……っ!」

 数分後に2度目の射精をした。小さいローターをオナホに仕込んで放置し、今度はバイブを手に取った。いろいろ角度をかえ、池田の前立腺を刺激する。

「やだっ、あ、あんっ……も…お…休ませて……っ!」
「こんなに感じやすい体で、よくいままで女相手にヤレてたな」
「はぁ……あっ、あぁんっ……いや、だぁ……手……止めて……」
「ホモビデオを撮るか? そっちのほうがお前には合うかもいれないな」
「いや……っ……だ……許して……もう…限界、なんです……!」

 許しを請う目が俺に向けられる。その目が一瞬、俺を通り越して壁の時計を見た。時間が気になるようだ。もしかしたらこのあと、誰かと待ち合わせをしているのかもしれない。

 相手は誰だ。これまで数えきれないほどの女と寝ていたが、恋人は作らなかった。個人的に親しい人間なんて、俺以外に知らない。この仕事から足を洗いたくなる相手はいったい誰なんだ!?

「女の相手に飽きたなら、別の仕事をやる。営業でも事務でも撮影現場でもいい。玩具を売り歩いたお前なら新商品の開発にも向いてるかもしれない。お前のやりたいことをやらせてやるから、残って俺を助けてくれよ」

 池田は苦悶の表情で首を横に振った。

「結論を急ぐ必要はないだろ。じっくり話し合おうぜ、お前の気がかわるまで」

 バイブを引き抜いた。

「新商品を試してみよう。これはピストン運動と射精機能がついてるんだ。吸盤素材のカバーを外して先端にローションを仕込めば、セットした時間がくると中出しする」

 カバーを戻してローションを垂らし、池田のアナルに嵌め込んだ。さっきとは違う形に、池田の体がビクビクを跳ねた。

「タイマーは15分後にセットしておいた。それまでよく考えてくれ」

 スイッチを入れたら池田の中でバイブが暴れだした。内側が高速で前後に振動し、外側はワンテンポ遅れたリズムで前後運動する。頑丈なシリコン素材だから破れる心配はない。

「ひ、い……あっ……ああっ……あぁんっ……先輩っ……止めて……くださ……いっ……」
「ついでに使用感の感想も聞かせてくれ。気持ちいいか?」
「あ、あはぁあ……って……る……当たって……いい……きもちぃ…!」

 こんな状況でも律儀に教えてくれる。オナホを握って扱いてやった。

「ああぁ!! だめっ、せんぱ……あぁっ、あんっ! 扱かな…で…だめ……!!」

 ゆっくり扱きながら、ローターで乳首を責め続けた。

 池田は髪を振り乱して喘いだ。
 苦しいと言ったが無視した。
 もう出ないと言ったが続けた。
 池田の顔も体も上気して赤く染まっていた。
 汗で髪が張り付いていた。
 喘ぎっぱなしで口の中がカラカラなのか声も掠れて来た。
 乾燥した唇を舐めて潤してやった。
 そのまま口を塞いで舌を入れたが、応えてくれなかった。
 もう何も考えられないような状態に見えた。

 気付くと肛門を犯していたバイブが静かになっていた。故障かと思って引き抜いたら先からローションが垂れ落ちた。信じられなかったがあれから15分が経過していたようだ。

「なぁ、残ってくれるだろ? 辞めるなんて言わないよな?」

 充血して潤んだ目がぼんやりと俺を見る。焦点は合っていないが、しっかり俺を見ながら池田は強情にも左右に首を振った。頑固な態度にさすがに苛立ってきた。

「今度はSM用の道具を使ってみようか? お前は毛嫌いしてたけど」

 表情をかえて狼狽する池田を見て満足してしまう。隣の部屋からいくつか見繕って持って戻ると、逃げようとしたのか池田がソファからずり落ちていた。抱き起してソファに戻す。

「まだ時間はあるだろ?」

 このあと誰かに会いに行く気だろうが、行かせてやるものか。お前を最初に見つけたのはこの俺なんだ。俺のそばに一生いればいいんだ。

「カメラの前では勃たないって言ってたな? ほんとかどうか試してみるか」

 スマホを出して池田に向ける。池田は顔を背けた。嫌がる素振りに興奮する。池田のことが好きなのか、本当は嫌いなのか、自分で自分がわからなくなってくる。

「録画するぞ。ほら、こっちを向け」

 池田の顎に手をかけ強引にこちらを向かせた。嫌悪の滲む冷たい目が俺を見た。猛烈に「好きだ」と言いたくなった。誰かが扉をノックしなければ、本当に言っていたかもしれない。

 池田のことに没頭しすぎていてノックの音に気付くまでに少し時間が要った。外の誰かは大きめのノックをしてきた。無視していれば諦めて帰るだろうと思っていたが、そいつはドアノブを回した。ゆっくり扉が開いて行く。

 客が直接ここへ来ることはない。可能性が高いのは在庫を切らした従業員だろう。この状況の言い訳を必死に考える。新商品を試していた? 池田が自分で使ってみたいと言い出した? どれも不自然で怪しまれる。適当な言い訳なんか何も思いつかない。

 固まる俺の目の前で扉が完全に開き、学ランの男子高校生が中に入って来た。アダルトショップだと勘違いしたのか? 止める間もなく、高校生は一直線に池田の元へと駆け寄った。

「なにやってんだよ」

 高校生は学ランを脱ぐとそれを池田の体にかけた。そして振り返って俺を睨み付けて来た。

「おい、あんたもこの人の客か?」

 この高校生は池田の知り合いらしい。池田の仕事を知ってるということは客だろう。男にも売っていたのか。確かに需要はあるだろうが。

「俺はここの責任者で、そいつはここの従業員だ」

 俺の言葉を確かめるために高校生が振り返る。池田は頷いた。

「どうしてここがわかったんだい?」
「浮気アプリ、あんたの携帯に仕込んどいた」
「勝手なことを。僕は許可してないぞ」
「でも役に立った。ここで何してたのさ」
「新商品を試して欲しいと頼まれたんだ」

 俺を庇う池田の言葉に驚いた。

「どうしてあんたが。もうこの仕事は辞めるんじゃなかったのかよ」
「辞めるよ。今日で最後だ。そこの鍵を取ってくれ」

 高校生はテーブルに置いてあった鍵を見つけ、池田の手錠を外した。自由になった腕を、池田は高校生の首に巻き付けた。それを見て、さっきの言葉は俺を守るためじゃなく、この高校生のための嘘なのだと気付いた。

「昨日は一週間分出したからもう無理だって言ってなかった?」

 オナホを取り外し、その中を見て高校生が池田に詰め寄る。ただの客じゃない。二人はそういう関係なのだ。

 池田はバツの悪そうな顔でオナホを取り上げ、ゴミ箱めがけて放り投げた。そんな顔も、乱暴な仕草も、俺は初めて見るものだ。ショックだった。

 池田が仕事を辞めると言い出した原因はこいつ。きっとこのあと会うつもりだったのもこいつ。

「疲れたんだ。文句ならあとで聞くから、今日はもう帰りたい」

 と高校生に抱き付く。当然のようにそれを抱き留める高校生に殺意が湧いた。そこのガラス製の灰皿でぶん殴ってやろうか。

 高校生は池田に服を着せると、肩を貸しながら立ち上がった。体中ローションまみれで、精液臭い池田に嫌な顔一つしない。「タクシー呼ぶね」と耳打ちしたついでに、池田の頬にキスなんかしてる。

「先輩、今までお世話になりました」

 池田が頭を下げてきた。

 引き留めたい気持ちはたっぷりある。でも引き留める言葉は、二人を目の前にして何も出て来なかった。二人は壁の向こうにいた。

 二人が事務所から出て行く。俺は睨んでくる高校生を睨み返すことも出来なかった。もともと俺は、そんな立場じゃなかったのだ。




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