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死神さんいらっしゃい(1/2)

2015.09.17.Thu.
 僕の担当地区でまだ死ぬ予定のない人が手違いで死んでしまったと連絡があり、急いで現場へ向かった。

 ぽつんと空に浮かんでいる霊体を見つけた。手許の端末によると17歳の男子高校生、生島亮太。彼は83歳になる春、大往生を遂げるとある。やはり手違いであるようだ。

「すみません、生島さん」

 近づいて声をかける。彼は眼下に広がる世界を見たまま、「あれは俺か」と呟いた。

 彼の視線を辿ってみると何やら交差点が騒がしい。魂の回収を仕事にしている僕には見慣れた交通事故現場。大型トラックにはねられた生島亮太が地面に倒れている。頭の方から大量の出血も見られる。

 僕はもう一度端末を操作し、本部へ問い合わせた。彼は事故で本当に死んだように見える、手違いではないのではないか、もう一度確認願いたい、と。すぐに返事はきた。間違いではない、彼は83歳まで生きる、とあった。

 あの状態で本当に83歳までもつのかと思いつつ、魂を体へ戻せとの命令なので僕は彼に説明をした。

「かくかくしかじかで、こちらの手違いだったようなのです。あの事故では間違っても仕方がないですよね」
「お前は死神か」
「人間の皆様にはそう言われてます」
「黒い服着てカマ持ってねえのかよ」
「以前は威厳を持たせるためにそのような制服を着ていた時期もあったのですが、現在は、ご霊体を怖がらせないよう教育されていますので、制服もこのようにスーツが決まりです」
「ふぅん。で、俺はあんたらの間違いで殺されたわけね」
「はい、大変申し訳ありません。ですがご安心ください。すぐに体に戻して生き返って頂きますので」
「詫びは? 間違いで殺されてはいそうですかじゃ済まねえよな。生き返らせるから許せって? 俺は器が小さいから、そんなの納得できねえな」

 彼の言葉は僕には意外だった。死ぬ予定のない人が死んでしまう手違いはたまにある。その時は今の様に事情を説明すれば、ほとんどの人は安心して今すぐ生き返らせろと言う。自殺者ならともかく、ただの事故で若い青年が間違って死んでしまったのに、この落ち着きというか図々しさは一体なんなのだろう。 

「ですが我々は人間界のお金を用意することはできませんし、今後の人生に便宜を図ることもできません。謝罪しかできないのです」
「ほかに出来ることがあるんじゃねえの」
「そう言われましても……僕に出来ることは、あなたを体に戻して差し上げることしか」

 いきなり彼が僕の肩を掴んだ。

「触れるのか」
「暴力は意味がないですよ」
「暴力なんてふるわねえよ、ただちょっと、試してみたいだけだ」
「試すって何を」

 掴んだ肩を引き寄せられた。唇同士がぴたりと密着する。キスという行為だと知っていた。それがおもに男女間で行われるということも。

 なぜ僕にこんな真似をするのか理解できないまま固まっていると、口の中に彼の舌がぬるりと入り込んできた。僕の歯や口蓋をべろべろと舐めあげる。なんだろう、このくすぐったい感じは。

「やめて下さい」
「死神でも感じるわけ?」
「僕たちは仕事上、人間の形をしているだけですので、痛みはもちろん快感もありません」
「ほんとかな」

 股間部分をぎゅっと掴まれた。本部はそんな部分まで人間と同じに作ったので、僕の股間には飾りだけの生殖器がくっついている。彼はそこをグニグニと揉んだ。

「触っても何もかわりませんよ」
「でも少し、大きくなってるぜ」
「嘘です」

 ほんとだよ、と彼は僕のズボンを脱がした。いつも小さく垂れ下がっているだけのペニスが、別の生き物のようにむくむくと膨らみながら立ち上がって行くではないか。

 人間界でたまに腹上死のご霊体を引き上げるが、その時見たように、ペニスが大きくなって天を向いていた。

「死神でも感じるんだな」
「こんなことありえません」
「先走りも出て来たぞ」

 彼は僕のペニスの小さな口から溢れる液体を指の腹でくるくると撫でまわした。体がぞくぞくっと震えて、僕は思わず彼の腕を掴んだ。

「顔が赤いぞ、死神」
「僕のペニスを触るのをやめて下さい」
「僕のおちんぽって言うんだよ」
「それははしたない言葉です、それくらい知っています」
「じゃあちんぽを扱き続けたらどうなるかも知ってるか?」
「あっ、あっ、そんなに手を動かさないで下さいっ」

 彼は空中をすいと移動して僕の隣に並ぶと、ペニスを扱きながら耳をべろりと舐めてきた。ぞわぞわと首筋に鳥肌が立つ。

「息も荒いぞ。やっぱ感じてんだろ」
「違います、これはっ……ん、あぁっ……あ、耳の中……舐めないでっ」

 今度は背後にまわると、彼は僕の服の中に手を入れて乳首をつねってきた。出産をした女には授乳に必要なものだが、乳も出ない男の体になぜこれがついているのかわからない。

 彼は乳首を捏ねるように指を動かし、時に引っ張ったり弾いたりした。そのたびに、僕の体がビクビクッと反応を見せた。

「んっ、あぁっ、嫌、嫌です! どうして感じてしまうんですか?!」
「気持ちいいからだろ?」

 僕の耳に息を吹き込むように彼が言う。僕たちには痛覚がない。そして快感もない。そう聞いていたのになぜ僕のペニスは硬くそそり立ち、弄られる乳首からむず痒いような感覚が生まれて来るのか。僕の口から声が止まらないのはなぜなのか。

 彼の手つきが一層早くなった。グチグチと濡れた水音が聞こえるほど、僕のペニスからは液体がダラダラと溢れている。

「あっ、あぁっ、そんなにしないで下さい! だめ、本当にだめです!!」
「イキそうなんだろ」

 これがイクという感覚なのか。彼の手が僕を刺激する動きと連動して、僕の体の奥にある熱い塊を一刻も早くどうにかしたくてたまらなくなるのだ。

 人間たちの営みをずっと見て来た。性交する彼らの姿を浅ましいと思っていた。だが、自分が経験してみると納得した。普段と違う声が出てしまうのも、いやらしい気分になってしまうのも、陰部を擦り合わせてしまうのも、すべて気持ちが良すぎて仕方のないことだったのだ。

「生島さんっ、僕はイクようです、もう耐えられません!!」
「おう、イケ、死神の精液見せろ」
「はぁっ、あぁ……あっ、イクっ、おちんぽ熱いですっ、生島さん、僕のおちんぽッ……あぁぁっ……!」

 体の奥にあった熱い塊がペニスの中の管を通って体外へと飛び出していった。ビュッビュッと大量に出て来る。なんという強烈な快感だろう。一瞬だが頭の中が真っ白になったように意識も思考も消え去った。こんなことを経験しては、また次がしたくなるのも納得だ。

「どうだ死神。初めての射精は」
「はい……とても……気持ち良かったです……」

 そう答える僕の顔はだらしなく緩んでいることだろう。「もう一度」と言ってしまわないのが不思議なくらい、僕は快楽の虜になってしまっていた。

「もっと気持ちいいことしようぜ」

 これ以上に気持ちのいいこと、といったら……

「男同士でも可能なのですか」
「こっちの穴を使えば問題ない」

 彼は僕の尻の奥にある穴を探りあて、指を突き入れて来た。僕たちには必要ないが、人間の場合そこは排泄に使われる器官である。男同士なのに、本当にそんなところで気持ちよくなれるのだろうか。

 僕の心配は杞憂に終わった。彼の指が僕のなかを押し広げるように動いているうちに、ジンとした気持ち良さを感じる場所があることに気付いた。その快感はペニスに直結していて、何度も擦られているうちにまた勃起した。

「あぁ……生島さん……そこ、気持ちがいいです……あっ、そこっ!! あっ、あんっ! もっとグリグリしてください……生島さんのペニスで擦って下さい……っ」
「俺のちんぽ欲しいか?」
「欲しいです……僕のそこに」
「ケツマンコって言うんだよ」
「僕のケツマンコに……生島さんのおちんぽ、下さい……!」
「淫乱な死神だなぁ。名前は?」
「名前……? 僕の名前はっ……なき、哭彦っ……あっ、あ、入って……あぁっ、おっきぃ……生島さんのおちんぽ、おっきくて僕……困ってしまいます」

 後ろから僕の両腕を掴んで彼は腰を振った。彼の肉棒で刺すように奥まで貫かれる。僕をおかしくしてしまう場所を硬くて熱い特大ペニスがゴリゴリと擦り上げる。

「あぁぁ! そんなに強くされたら……!! 僕、またイッてしまいそうです! また精液出してしまいます!!」
「初めてのくせに、感じまくりだな。っとに、スケベな体しやがって。ここか? ここがいいのか?」

 彼は少し角度をかえ、強弱つけながら僕を狂わせるポイントを責めてくる。僕は仕事中だということも、彼が人間であることも忘れて、ひたすら与えられる快感を追い求めた。

「あ、あぁん! そこ、です! そこが好きっ……でも、やだっ、だめ、あっ! 感じすぎて……怖いです! またイキます! 精液でます! 生島さん、僕イッちゃいます……!!」

 僕は自分でペニスを扱いて射精をした。一度目とかわらない衝撃。恍惚となったあとに襲い掛かってくる疲労感。体が重いと感じたのは初めてのことだ。

「詫びる立場のお前が俺より先に2回もイッてちゃ世話ねえな」
「す、すみません……なにぶん初めてのことで、慣れておらずに……」
「お前じゃ話にならねえな。上司呼べ。そいつに謝罪してもらうわ」
「えっ、上司ですか……」

 いつも眉間にしわをよせて不機嫌そうな上司の顔が思い出される。人にも自分にも厳しい人がこの状況を知ったらどうなることやら。しかも今は昇格試験の勉強をしていていつも以上にピリピリしているというのに。

「それだけは勘弁してもらえませんか」
「勘弁ならん。早く呼べ」

 仕方なく僕は上司に連絡を取った。性交したこと以外の事情を話すと案の定叱られた。しかし今すぐ行くと言ってくれたので待つことにした。

「上司の名前はなんていうんだ?」
「夜錫耳です」
「ヨスズジ? どんな奴?」
「優秀で厳しい人です」
「楽しみだな」

 彼は舌なめずりをして笑った。




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コメント
更新しました
ぜんぜん新婚さんと関係ないんですけど、タイトル何にしようと思ったとき真っ先に頭に浮かんだのがこれでこの内容ならちょっとふざけたくらいがいいかと決定しました。

雨がやんだらまた日中暑いですね…
体調を崩す人が多いようです。私もあやうく風邪をひきかけました。健康第一で頑張りましょう!


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