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待田くんに春の気配(2/3)

2015.08.31.Mon.
<前話はこちら>

 部屋は散らかっているというのでリビングに通された。本当に親の姿はなかった。もし遠野がいなかったら今頃佐々木と二人きりで、どうしていいかわからず逃げ出したくなっていただろう。

 佐々木はキッチンで俺たちのお茶を用意してくれている。俺はベランダに出た。マンションの最上階とあって景色がいい。ついてきた遠野が「友達とやらはいつ来るんだよ」と小突いてきた。

「俺に言われても知るか。佐々木に聞けよ」
「ほんとにその友達とやらは来んのかね」
「来るだろ。お前のこと好きって言ってるんだから」
「嘘くせえ」
「そんな嘘ついてどうするんだよ」
「いや……まぁいいや。そのうちわかんだろ」

 遠野の機嫌が微妙に悪い。かろうじて笑ってはいるけど、目つきがいつもの柔らかい感じとは違う。いきなりダブルデートみたいなものに連れ出されたのだから怒るのも無理ないかもしれない。

「ごめん」 
「お前に謝ってもらってもね」

 遠野は肩をすくめて部屋に戻って行った。見ると、お茶の用意が終わった佐々木が俺たちを手招きしている。俺も部屋に入った。

「佐々木の友達っていつ来るわけ?」

 ソファに腰をおろして遠野が訊ねた。

「それがね、さっき連絡きて、用事が出来たから来られないんだって」

 遠野の隣に座って佐々木が答えた。テーブルの横で立ったままの俺を、遠野がちらりと見上げてきた。遠野に無駄足を踏ませてしまった。申し訳なくて「帰ろうか」と提案しようと口を開いた時、

「今日は三人でいいじゃない! せっかく集まったんだし楽しくしようよ! 失恋したばっかりだから、人数多いほうが気が楽になるんだよね。ね、いいでしょ、待田」

 佐々木が捲し立てるように言って俺の手を握って来た。しっとりしてて、細くて、男とは違う感触に動転した俺は、勢いにおされて頷いてしまった。遠野にはあとできちんと謝ろう。遠野が居づらくならないように、佐々木がいちゃついてきても相手にしないようにしよう。

 佐々木が「ゲームでもする?」と言い出し、三人でもできるカーレースのゲームをすることになった。子供の頃からあるシリーズもののゲームでつい夢中になった。遠野も楽しそうでほっとする。佐々木がジュースやらお菓子やらを次々出して来るので腹も満たされた。

「なんか、ムキになりすぎて汗かいちゃった。軽くシャワー浴びてくるね」

 ゲームを始めて小一時間が経った頃、佐々木はそう言うと本当にゲームをやめて浴室へと消えた。いろいろ生々しい想像をして俺はもうゲームどころじゃない。

「確かにちょっと汗かいたかも」

 別の意味で興奮していることを誤魔化すためにゲームに疲れたふりをするも、童貞の白々しい演技なんて遠野にはバレバレだったようで、「お前には刺激が強すぎるだろうな」と笑われた。

「俺はお前と違って女の家とか慣れてないんだ」
「あのビッチ、三人でヤル気だ」
「ヤ……まさか!」

 ぎょっとして大きな声が出た。

「俺が渡したゴムはちゃんと持ってるか? いつでも使えるように出しやすいとこに移動させとけよ」
「使わないよ! っていうか三人でとか、いくら佐々木でもそれはないだろ!」
「あいつの股の緩さをお前が知らないだけだよ。ゲームの最中、すげえわざとらしいボディタッチが何度もあっただろ。あれ、誘ってんだよ。最初からそのつもりだったんじゃね? 友達の話とか、嘘臭かったもん」

 確かにボディタッチは多かった。正直、下半身が反応しそうになるくらいに多かった。佐々木はただ楽しんではしゃいでいるだけだと思っていたのに、あれは罠だったのか! しかも最初からそのつもりで遠野を誘ったなんて……!

「さ、ささ、さん、さ、さんっ……まじでっ」
「落ち着けよ、俺はお前と佐々木で3Pなんてちんこ腐っても嫌だから安心しろ」
「俺だって嫌だわ! どーすんだよ! 佐々木はその気なんだろ?!」
「俺はバックレる。先に帰るから、お前は佐々木にゆっくりじっくり手解きしてもらえ」
「えっ、帰んの?!」

 腰をあげかけた遠野の腕を咄嗟に掴んで引き留めた。遠野が帰ったら俺は佐々木と二人きりになってしまう。

「俺も帰る! 俺に佐々木の相手は無理だ! 怖い! だ、だって、俺、童貞だぞ?! 彼女いたことないんだぞ?! どうしていいかわかんねえよ!」
「この前教えてやっただろ。向こうはもうわかりやすいくらい乗り気なんだから、キスして押し倒して乳揉めばいいんだよ」
「そのあとはどうするんだよ! 簡単に言うな! 俺はお前と違うんだ! 途中までしか教えてくれなかったくせに! ちゃんと最後まで教えろよ!!」

 テンパりすぎて俺は遠野を責めるように声を荒げていた。怒鳴られた遠野が驚いた顔して俺を見つめてる。とんでもない責任転嫁だ。自信がないのを遠野のせいにしている。

「お前、自分がなに言ってるかわかってる?」

 薄く目を細めて遠野が囁くように言う。怒らせた! 無理もない。騙されて連れてこられた上、逆切れされたんじゃ俺だってキレる。

「ご、ごめん、俺……やっぱり俺も一緒に帰――ッ」

 言い終わる前に俺の口は遠野の唇で塞がれていた。いきなりのことで固まって至近距離にある遠野の目を見返した。怒ったような遠野の目も、まっすぐ俺を見つめ返して来る。肩を掴まれ押し倒された。軽く押されただけだったのに、俺は簡単に床の上に寝転がっていた。

 床に手をついた遠野が俺の顔を覗きこんでくる。

「ほんとに最後まで教えて欲しいか?」
「さ、最後……?」

 遠野がいつもと違ってまじな顔をするから、俺は怖くなって目を泳がせた。最後まで教えろって確かに言ったけど。そんなの本気で言ったんじゃ……

「この前の続き。教えて欲しいんだろ? 今から教えてやる」

 そう言うと遠野はまた俺にキスしてきた。今度は舌まで入れて来て中を舐め回しながら、それと同時に股間を揉んできた。

「んあ?! ちょ、まっ」
「時間あんまねえぞ」

 遠野の目がすばやく何かを窺うように動いたのを見て、浴室の佐々木のことを思い出した。まだシャワーの音は聞こえるが、いつ出て来るかわからない。

「じゃ、ちょ、やめ……っ」
「今更遅い」

 ズボンのチャックを下ろされ、中から半立ちのものを引っ張り出された。相手は遠野なのに、キスされただけでもうこれだ! 恥ずかしくて顔から火が出そうになる。

 片手で俺のものを扱きながら、遠野はもう片方の手で前をくつろげ、自分のものも取り出した。ついこの前見たばかりの、勃起した遠野のちんこだ。

 遠野は腰を近づけて、亀頭同士を擦り合わせた。手とは違う感触に体がゾクゾク震える。なんだよ、これ……!!

「うっ……」
「これ、兜合わせっていうの」

 ズリズリと大きく動かしながら楽しそうに遠野が言う。裏筋にぬるっとした感触。遠野の先走りだ。そして俺の亀頭もすでにヌルヌルになっていた。

「ふ…っ…ん、あ、あぁ……!!」
「結構いいだろ」
「ひぁ……っ、い、う、んっ……」

 今度は二本をまとめて握って扱かれた。手と遠野のちんこ、両方で擦られてるようで、なんかもうたまんない感じになる。腹がビクビク脈打って、呼吸も乱れて、変な声が出る。

「あっ、あ、そんなにコスるな……!」
「こうやって感じさせて、相手の気持ちが昂ぶってきたら、次のステップな」

 いきなり尻の後ろに手を突っ込まれ、指先で穴を探り当てられた。次のステップって……もしかして突っ込むとこまでやるつもりなのか? 本気?! 俺が突っ込まれる方?!

「なんで!? どこ触ってんだよ!」
「最後まで教えろって言ったの、お前だろ。ここが嫌なら口に突っ込んでやろうか?」
「どっちも嫌だ……って、遠野! おま、指入れんなぁ!!」

 ぐりぐり回しながら遠野の指が奥へと入り込んでくる。本来出す器官だ。半端ない異物感に粟立つ俺を無視して、遠野は指をまわしながら出したり引いたりを続ける。

「遠野っ、お前……おま……う、あっ」

 指の関節を曲げられて中が広げられる。上向きの指でぐっと押されたところが何かのツボなのか、根本の奥のほうがジンと熱くなった。そこを何度も擦られていると射精感が高まって、気持ちいいんだか悪いんだかわけがわからなくなる。

「も…おっ……やめ……ぁっ……あッ……!」
「腰抜けそうになるだろ? ここ、前立腺っつって、男のGスポットみたいなもん」

 なんか聞いたことある名前! だけど、それってだいたい病気かホモネタのときに耳にするんだが。あ、いま俺たちがやってる行為ってホモセックスになるのか! 俺、遠野とセックスしてるのか?!

「う、あぁ……あっ、やめ、遠野っ……あぁ……ん」
「気持ちいい?」

 足の間、俺の息子越しに遠野のニヤついた顔が見えた。なぜにこいつはこんなに楽しそうなんだ!

「お前、なんでこんな……詳し……ンだよ……!」
「男の体も女の体と大差ねえよ。突っ込む穴があって、擦ればお互い気持ちよくなる。現にお前、もうイキそうだろ」

 前立腺をグリグリされながらちんこもゴシゴシ扱かれて強制射精待ったなしといった感じだった。普段一人でやるより正直何倍も気持ちがいい。この快感の中、射精出来たらどんなに……と期待していたら、突然遠野の手が離れて行った。

「……え?」
「ほんとはもっと解した方がいいんだけど、時間もないから短縮バージョン。朝お前にあげたゴム、使うぞ」

 いつの間にか遠野の手にはコンドームが。前回のブラを外す手際といい、こいつにはスリの才能があるようだ。

「お前のことだから付け方もろくに知らないだろ」

 ピリリと袋を破いて中からゴムを取り出すと、遠野は俺の先端にそれを押さえつけ、擦るようにクルクルと巻き下ろしていった。器用だな、と感心する無駄のない動き。逆に言うとどんだけつけ慣れてるんだよ。




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