楽しいお見舞い!(2/2)
2015.04.01.Wed.
<前話はこちら>
ジェルと指で解したとは言え、大振りな亀頭一つ入れるのも大変な負担がある。しかも西山のちんこはカリ高でカサも肉厚なので括れに到達するまでがとてもきつい。俺の括約筋は限界にまで広げられるのだ。
そこを通過しても、今度は極太のサオが待っている。弾力のある亀頭と違い、鋼鉄のような硬さと女の腕ほどの太さがある。それがずっと続くのだ。
「くぅ……う、ううっ……あ、あっ……や……まだ……かよっ!」
「一昨日の晩から抜いてないからいつもより大きいかも」
少し申し訳なさそうに言う。熱でオナニーどころじゃなかったのだろう。毎日抜いてるらしい西山にしたらたった一日しなかっただけでも相当貯まっているはずなのに、自制を効かせて慎重に腰を進めてくる。見上げた顔は興奮のために色づいて、額には汗が光って見えた。
「ばか、お前……熱あるってのに」
額の髪の毛を梳くって汗を拭ってやると、その手にキスされた。小指を噛まれ、口に含んで舐められる。熱い舌が指にねっとり纏わりつくのが見える。やべぇ、エロい。
「俺も下の名前で呼んでいい?」
「だめ」
反射的に断って西山がむっと眉を寄せた。
「なんで矢神くんは良くて俺は駄目なの?」
「だって、高校の奴らみんな苗字呼びだし」
尻すぼみに声が小さくなる。反対する正当な理由なんてない。ただ俺が恥ずかしいだけだ。
「なおさら祐太って呼びたい」
「呼ぶな」
「祐太」
「呼ぶなっつってんだろ」
「怒った顔も可愛い」
「はっ? 頭おかしいんじゃね」
「顔、真っ赤だよ、祐太」
にこにこ言われてますます顔が熱くなる。小中の親しい友達は下の名前で呼ぶ奴が多い。別になんとも思わなかったのに、西山に「祐太」って呼ばれると恥ずかしい。なぜかわからないけど、すごく気恥ずかしくて顔を隠したくなる。
「好きだよ、祐太」
「…っ……るせぇ……」
「寝てる間ずっと祐太のこと考えてた」
「考えんな」
「祐太がずっとそばにいてくれたらいいのになって」
西山が身動ぎ、俺のなかをごりっと擦る。
「はっ! あぁ……んっ」
「だから一緒に暮らさない?」
「……え……えっ?」
いまなんつった?
「毎日会えるのが当たり前だったけど、これって今だけなんだよ。だから卒業したら一緒に暮らそう」
「う、あっ、なに……言って…ン……だよっ」
ぐぷっぐぷっと西山が抜き差しを始めた。話をしている間に大きさに馴染み、苦痛も少ない。それを俺の様子から感じ取った西山は徐々にスピードをあげていった。
「俺は本気だよ。本気で祐太が好きだ」
「お、まえっ……男……同士だぞ……っ…・…!」
「わかってる。同じものついてんだから」
きゅっと俺のちんこを握って上下に手を動かす。
「い、やっ……あ、あっ、さわる……な!」
「こんな気持ちになったの、祐太が初めてなんだ。おかしくなりそうだよ」
引いたものを一気に奥まで捻じ込まれた。
「ああぁっ!! んっ……や……あ、ああっ……!」
「料理上手な可愛い子と結婚して、子供も二人くらい作って普通に暮らしてくもんだと思ってたのにね」
引きは浅く、押しは強く腰を振ってさらに奥までこじ開けられる。
「だったらっ……そ……しろよっ!」
「こんなに祐太が好きなのに、他の誰かに目が行くと思う?」
俺に覆いかぶさりピストンを激しくする。ジュプッジュボッてジェルと体液が掻きだされる音がするくらい、極太ペニスが俺のなかを凶暴に擦りあげていく。
「はぁん! あっ……あぁ! いやぁっ、やっ、やだっ……そんな、に……すん……な!」
「祐太しか目に入らない。他の誰にも興味がない」
「あっ、や……う、そ……ばっか……」
「ほんとだよ」
今まで見たことないくらい西山は優しく微笑んだ。冗談でも嘘でも場を盛り上げるだけの睦言でもないんだとわかる。
「俺と一緒に暮らそう、祐太」
「ん、はぁっ……やっ……名前…や…だ……呼ぶなって、ば……あ、んん……!」
「祐太がいてくれたら何もいらない。俺のそばにずっといてほしい」
耳を塞ぎたいほどだった。西山の声で紡ぎ出される言葉一つ一つが俺の心を愛撫していくのだ。ほだされるとはこういう感覚なのかもしれない。セックスの最中聞かされるとこっちの理性が乱されてどうにかなりそうだ。
「い……っ、あ、い、いいっ……でる……っ」
「俺の全部祐太にあげる。だからずっと俺のそばにいて」
「もぅ……や、あ、あぁっ……西山ぁ……もっとして……おく……してっ……きもち、いいっ……もう、出ちゃ……から……もっと、こすって……イカせて……!」
まともじゃいられないくらい、気持ちよかった。女みたいにあんあん声あげて、もっととねだりながら西山を締め付けていた。
俺の要求にこたえて西山もピストン運動を激しくする。西山も限界に近いのがわかる。一緒にイキてえ……なんてゲロ甘いこと考える俺がいる。
「あっ、あっ! イク―――ッ!!」
「俺から離れられなくなればいいのに」
射精する瞬間、目を細めながら西山が呟く声が聞こえた。
36.8度。もう一度計ったら36.7度。興奮収まって下がってきてるじゃねえかよ。
「お前、ほんとに熱あった?」
ベッドに全裸のまま寝そべる西山を見下ろす。西山は目を逸らした。
「朝はあった」
「俺が来たときは?」
「朝は39度あった」
「ふらついたのは演技か?」
「昨日は立つのも辛かった」
「また俺を騙したのか?」
「……イチゴ渡したらすぐ帰りそうだったから」
毎度のことだし、いい加減学習しないで騙される俺にも問題がある。メシ平らげて盛る元気があるんだからもっと早い段階で気付けたはずだ。
いやでもやっぱ腹立つけど。
「トイレ借りる」
「あっ、じゃあ」
「お前は来るな」
こいつが来たら余計に時間がかかる。西山は残念そうな顔で一度持ち上げた頭を再び枕に戻した。
さすがにフルチンでウロウロはできないのでパンツをはいてシャツを着た。部屋を出て階段をおりる。広くて静かな家。あいつがここで一人きりだったのにかわりはない。それに同情だけじゃないのは、俺自身、もう隠せなくなっていた。
精液をあらかた出してからトイレを出た。外国みたいに広い洗面所で手を洗って上へ戻ろうとしたら、リビングの明かりがついていることに気付いた。
そういえば下に来たときも明るかった気がする。電気の消し忘れだろうかと何気なく近づいて、かすかに香るにおいに違和感を覚えた。
香水の匂い。初めて嗅ぐ匂い。西山は香水なんてつけないから、いったい誰が――。
固まっていたら肩を叩かれ飛び上がった。
「あぁ、ごめん。驚かせたかな?」
振り向くと、大柄な男が一人立っていた。柔和な笑みを浮かべる男は西山にとてもよく似ていた。後ろへ撫でつけた髪や、落ち着いて余裕のある笑みは別人だが、目尻の優しさや、凛々しい眉と顎の形はそっくりで、父子なのだと初対面の俺でもすぐにわかった。
西山の親父さんは仕事帰りなのかワイシャツにスラックスのままだった。
いったいいつ、帰って来たのだろう。熱を出して寝込む息子を心配して、帰宅してすぐ部屋に様子を見に行ったかもしれない。
「あ、俺――僕、えっと」
自分がシャツにパンツ姿だと思い出し、カアッと顔に熱があがった。
「恵護は元気になったようだね」
意味深に笑みが濃くなる。やっぱり全部バレているんだ……! 羞恥が限界を超えて卒倒してしまいそうだった。
西山の親父さんは「ふふっ」と息子そっくりな笑い方をした。
「僕にも覚えのあることだから、そんなにあたふたしなくたっていいよ」
「す、は、あ、すいません……」
「男子校にはよくあることだよ。それこそ一過性の発熱みたいなものだ。若くて経験の少ないうちはそれを本気だと勘違いしてしまうけれどね」
笑顔のまま冷たい眼差しで射すくめられて血の気が引いた。
「君だって遊びだろう? まさか本気だなんて馬鹿なこと言わないだろうね?」
親父さんはソファの背もたれに腰をおろし首を傾げた。俺は何も言えずに俯いた。膝が震えているのが見える。
「あれはね……、恵護はああ見えて非常に頑固でね、自分で決めたことは意地でも曲げない奴なんだ。だけど、人を傷つけられない優しい奴でもある。だから、君から恵護をフッてやってくれないかな? 君の言うことならきくと思うから。今ならまだ、ありきたりな若気の至りで済む話だよ」
親父さんの言う通りだろう。今ならまだ笑い話で終わらせられる。
西山に一緒に暮らそうと言われた時、そんな未来を少し想像して、あいつと一緒なら楽しいだろうなと思った。あいつが馬鹿をやって、それに俺が怒って、だけど、なんだかんだでうまくやっていけるんじゃないかって……。
でもきっとそれは子供同士だから成立する話なんだ。現実はそんなに甘いもんじゃない。もうすでに父親から反対されている。俺の親だって、俺たちがしていることを知ったら猛反対するだろう。あれほど西山を気に入っていた母親だって、二度と会うなと言ってくるに違いない。
「恵護は女の子が好きだったはずなんだけど、君は」
「僕も、そうです」
奥歯を噛みしめた。恥ずかしい。そして、西山を誘ったのは俺からのように言われて屈辱的だった。
「なら、未練なんか感じずに、恵護と別れられるね?」
「もともと付き合ってませんから」
顔をあげ、西山の父親を睨む。親父さんは薄く息を飲んだ。
「そう。じゃあ、わざわざこんなこと言う必要もなかったね」
「失礼します」
一礼して背を向ける。
「あぁ、待って」
腕を掴んで引き留められた。
「恵護のことで困ったことがあったら連絡をして」
と名刺入れから名刺を一枚出した。これこそ必要ねえよ。
「……お邪魔しました」
ひったくるように名刺を受取ってリビングを出た。こめかみがドクドク脈打っていた。頭が痛い。きっと香水のせいだ。
部屋に戻って深呼吸した。西山はベッドの上で大の字になって寝息を立てていた。
「すっきりした顔しやがって」
学校じゃふざけたことばかりやる奴だけど、根は優しいし、めったに怒らないし、顔だっていい方だ。背も高いし、本来の身体能力は優れているほうだし、成績だって悪くない。他校の子が告白してきたこともある。男子校でなければ、きっともっとモテてただろう。
若気の至り――――口の中で呟く。
愛だの恋だの言ったって、卒業して身近に女がいる環境になれば西山も我に返って目を覚ます。俺がさんざん言ってきたことだ。男同士でありえないって。
何度も肌を合わせて、何度も好きだと言われて、言葉でも行動でも好意を示され続けて、感覚が麻痺しちゃったんだな。ほだされかけてほんと馬鹿みたいだ俺。
西山が目を覚まさないよう静かに服を着て部屋を出た。親父さんに捕まりたくなくて、それこそ尻尾を巻いて家から逃げ出した。
スポンサーサイト
ジェルと指で解したとは言え、大振りな亀頭一つ入れるのも大変な負担がある。しかも西山のちんこはカリ高でカサも肉厚なので括れに到達するまでがとてもきつい。俺の括約筋は限界にまで広げられるのだ。
そこを通過しても、今度は極太のサオが待っている。弾力のある亀頭と違い、鋼鉄のような硬さと女の腕ほどの太さがある。それがずっと続くのだ。
「くぅ……う、ううっ……あ、あっ……や……まだ……かよっ!」
「一昨日の晩から抜いてないからいつもより大きいかも」
少し申し訳なさそうに言う。熱でオナニーどころじゃなかったのだろう。毎日抜いてるらしい西山にしたらたった一日しなかっただけでも相当貯まっているはずなのに、自制を効かせて慎重に腰を進めてくる。見上げた顔は興奮のために色づいて、額には汗が光って見えた。
「ばか、お前……熱あるってのに」
額の髪の毛を梳くって汗を拭ってやると、その手にキスされた。小指を噛まれ、口に含んで舐められる。熱い舌が指にねっとり纏わりつくのが見える。やべぇ、エロい。
「俺も下の名前で呼んでいい?」
「だめ」
反射的に断って西山がむっと眉を寄せた。
「なんで矢神くんは良くて俺は駄目なの?」
「だって、高校の奴らみんな苗字呼びだし」
尻すぼみに声が小さくなる。反対する正当な理由なんてない。ただ俺が恥ずかしいだけだ。
「なおさら祐太って呼びたい」
「呼ぶな」
「祐太」
「呼ぶなっつってんだろ」
「怒った顔も可愛い」
「はっ? 頭おかしいんじゃね」
「顔、真っ赤だよ、祐太」
にこにこ言われてますます顔が熱くなる。小中の親しい友達は下の名前で呼ぶ奴が多い。別になんとも思わなかったのに、西山に「祐太」って呼ばれると恥ずかしい。なぜかわからないけど、すごく気恥ずかしくて顔を隠したくなる。
「好きだよ、祐太」
「…っ……るせぇ……」
「寝てる間ずっと祐太のこと考えてた」
「考えんな」
「祐太がずっとそばにいてくれたらいいのになって」
西山が身動ぎ、俺のなかをごりっと擦る。
「はっ! あぁ……んっ」
「だから一緒に暮らさない?」
「……え……えっ?」
いまなんつった?
「毎日会えるのが当たり前だったけど、これって今だけなんだよ。だから卒業したら一緒に暮らそう」
「う、あっ、なに……言って…ン……だよっ」
ぐぷっぐぷっと西山が抜き差しを始めた。話をしている間に大きさに馴染み、苦痛も少ない。それを俺の様子から感じ取った西山は徐々にスピードをあげていった。
「俺は本気だよ。本気で祐太が好きだ」
「お、まえっ……男……同士だぞ……っ…・…!」
「わかってる。同じものついてんだから」
きゅっと俺のちんこを握って上下に手を動かす。
「い、やっ……あ、あっ、さわる……な!」
「こんな気持ちになったの、祐太が初めてなんだ。おかしくなりそうだよ」
引いたものを一気に奥まで捻じ込まれた。
「ああぁっ!! んっ……や……あ、ああっ……!」
「料理上手な可愛い子と結婚して、子供も二人くらい作って普通に暮らしてくもんだと思ってたのにね」
引きは浅く、押しは強く腰を振ってさらに奥までこじ開けられる。
「だったらっ……そ……しろよっ!」
「こんなに祐太が好きなのに、他の誰かに目が行くと思う?」
俺に覆いかぶさりピストンを激しくする。ジュプッジュボッてジェルと体液が掻きだされる音がするくらい、極太ペニスが俺のなかを凶暴に擦りあげていく。
「はぁん! あっ……あぁ! いやぁっ、やっ、やだっ……そんな、に……すん……な!」
「祐太しか目に入らない。他の誰にも興味がない」
「あっ、や……う、そ……ばっか……」
「ほんとだよ」
今まで見たことないくらい西山は優しく微笑んだ。冗談でも嘘でも場を盛り上げるだけの睦言でもないんだとわかる。
「俺と一緒に暮らそう、祐太」
「ん、はぁっ……やっ……名前…や…だ……呼ぶなって、ば……あ、んん……!」
「祐太がいてくれたら何もいらない。俺のそばにずっといてほしい」
耳を塞ぎたいほどだった。西山の声で紡ぎ出される言葉一つ一つが俺の心を愛撫していくのだ。ほだされるとはこういう感覚なのかもしれない。セックスの最中聞かされるとこっちの理性が乱されてどうにかなりそうだ。
「い……っ、あ、い、いいっ……でる……っ」
「俺の全部祐太にあげる。だからずっと俺のそばにいて」
「もぅ……や、あ、あぁっ……西山ぁ……もっとして……おく……してっ……きもち、いいっ……もう、出ちゃ……から……もっと、こすって……イカせて……!」
まともじゃいられないくらい、気持ちよかった。女みたいにあんあん声あげて、もっととねだりながら西山を締め付けていた。
俺の要求にこたえて西山もピストン運動を激しくする。西山も限界に近いのがわかる。一緒にイキてえ……なんてゲロ甘いこと考える俺がいる。
「あっ、あっ! イク―――ッ!!」
「俺から離れられなくなればいいのに」
射精する瞬間、目を細めながら西山が呟く声が聞こえた。
36.8度。もう一度計ったら36.7度。興奮収まって下がってきてるじゃねえかよ。
「お前、ほんとに熱あった?」
ベッドに全裸のまま寝そべる西山を見下ろす。西山は目を逸らした。
「朝はあった」
「俺が来たときは?」
「朝は39度あった」
「ふらついたのは演技か?」
「昨日は立つのも辛かった」
「また俺を騙したのか?」
「……イチゴ渡したらすぐ帰りそうだったから」
毎度のことだし、いい加減学習しないで騙される俺にも問題がある。メシ平らげて盛る元気があるんだからもっと早い段階で気付けたはずだ。
いやでもやっぱ腹立つけど。
「トイレ借りる」
「あっ、じゃあ」
「お前は来るな」
こいつが来たら余計に時間がかかる。西山は残念そうな顔で一度持ち上げた頭を再び枕に戻した。
さすがにフルチンでウロウロはできないのでパンツをはいてシャツを着た。部屋を出て階段をおりる。広くて静かな家。あいつがここで一人きりだったのにかわりはない。それに同情だけじゃないのは、俺自身、もう隠せなくなっていた。
精液をあらかた出してからトイレを出た。外国みたいに広い洗面所で手を洗って上へ戻ろうとしたら、リビングの明かりがついていることに気付いた。
そういえば下に来たときも明るかった気がする。電気の消し忘れだろうかと何気なく近づいて、かすかに香るにおいに違和感を覚えた。
香水の匂い。初めて嗅ぐ匂い。西山は香水なんてつけないから、いったい誰が――。
固まっていたら肩を叩かれ飛び上がった。
「あぁ、ごめん。驚かせたかな?」
振り向くと、大柄な男が一人立っていた。柔和な笑みを浮かべる男は西山にとてもよく似ていた。後ろへ撫でつけた髪や、落ち着いて余裕のある笑みは別人だが、目尻の優しさや、凛々しい眉と顎の形はそっくりで、父子なのだと初対面の俺でもすぐにわかった。
西山の親父さんは仕事帰りなのかワイシャツにスラックスのままだった。
いったいいつ、帰って来たのだろう。熱を出して寝込む息子を心配して、帰宅してすぐ部屋に様子を見に行ったかもしれない。
「あ、俺――僕、えっと」
自分がシャツにパンツ姿だと思い出し、カアッと顔に熱があがった。
「恵護は元気になったようだね」
意味深に笑みが濃くなる。やっぱり全部バレているんだ……! 羞恥が限界を超えて卒倒してしまいそうだった。
西山の親父さんは「ふふっ」と息子そっくりな笑い方をした。
「僕にも覚えのあることだから、そんなにあたふたしなくたっていいよ」
「す、は、あ、すいません……」
「男子校にはよくあることだよ。それこそ一過性の発熱みたいなものだ。若くて経験の少ないうちはそれを本気だと勘違いしてしまうけれどね」
笑顔のまま冷たい眼差しで射すくめられて血の気が引いた。
「君だって遊びだろう? まさか本気だなんて馬鹿なこと言わないだろうね?」
親父さんはソファの背もたれに腰をおろし首を傾げた。俺は何も言えずに俯いた。膝が震えているのが見える。
「あれはね……、恵護はああ見えて非常に頑固でね、自分で決めたことは意地でも曲げない奴なんだ。だけど、人を傷つけられない優しい奴でもある。だから、君から恵護をフッてやってくれないかな? 君の言うことならきくと思うから。今ならまだ、ありきたりな若気の至りで済む話だよ」
親父さんの言う通りだろう。今ならまだ笑い話で終わらせられる。
西山に一緒に暮らそうと言われた時、そんな未来を少し想像して、あいつと一緒なら楽しいだろうなと思った。あいつが馬鹿をやって、それに俺が怒って、だけど、なんだかんだでうまくやっていけるんじゃないかって……。
でもきっとそれは子供同士だから成立する話なんだ。現実はそんなに甘いもんじゃない。もうすでに父親から反対されている。俺の親だって、俺たちがしていることを知ったら猛反対するだろう。あれほど西山を気に入っていた母親だって、二度と会うなと言ってくるに違いない。
「恵護は女の子が好きだったはずなんだけど、君は」
「僕も、そうです」
奥歯を噛みしめた。恥ずかしい。そして、西山を誘ったのは俺からのように言われて屈辱的だった。
「なら、未練なんか感じずに、恵護と別れられるね?」
「もともと付き合ってませんから」
顔をあげ、西山の父親を睨む。親父さんは薄く息を飲んだ。
「そう。じゃあ、わざわざこんなこと言う必要もなかったね」
「失礼します」
一礼して背を向ける。
「あぁ、待って」
腕を掴んで引き留められた。
「恵護のことで困ったことがあったら連絡をして」
と名刺入れから名刺を一枚出した。これこそ必要ねえよ。
「……お邪魔しました」
ひったくるように名刺を受取ってリビングを出た。こめかみがドクドク脈打っていた。頭が痛い。きっと香水のせいだ。
部屋に戻って深呼吸した。西山はベッドの上で大の字になって寝息を立てていた。
「すっきりした顔しやがって」
学校じゃふざけたことばかりやる奴だけど、根は優しいし、めったに怒らないし、顔だっていい方だ。背も高いし、本来の身体能力は優れているほうだし、成績だって悪くない。他校の子が告白してきたこともある。男子校でなければ、きっともっとモテてただろう。
若気の至り――――口の中で呟く。
愛だの恋だの言ったって、卒業して身近に女がいる環境になれば西山も我に返って目を覚ます。俺がさんざん言ってきたことだ。男同士でありえないって。
何度も肌を合わせて、何度も好きだと言われて、言葉でも行動でも好意を示され続けて、感覚が麻痺しちゃったんだな。ほだされかけてほんと馬鹿みたいだ俺。
西山が目を覚まさないよう静かに服を着て部屋を出た。親父さんに捕まりたくなくて、それこそ尻尾を巻いて家から逃げ出した。
- 関連記事
-
- 楽しいお見舞い!(2/2)
- 楽しいお見舞い!(1/2)

[PR]

今回はパパさんが登場。次は西山の元彼女が出てくる予定です!
パパさん…また出て来る予定なのですが、ちゃんとハッピーエンドになりますのでご安心下さい!!^^ そんなにシリアスにはならない二人です。
好きだと言ってもらえると本当に嬉しいです(∗❛ัᴗ❛ั∗)
Nさん
辛いですよね~花粉症。ティッシュの減りが早いのなんの。
本、読んでくださったんですね。ありがとうございます!!丁寧な感想までもらえて嬉しい(><)
1つ目は完全に軽いスランプ中に書いてたものです。受けのキャラを迷いながら書いていたのを思い出しましたww
そしてエロに特化した2つ目、3つ目でスランプ脱出。受け目線の重要性に気付いた1冊でした…。
楽しんでもらえて本当によかったです。正直、金返せ!とか言われるかもしれないとビクビクしてたのでホッとしました。ありがとうございます!
西山パパさん、こういう役割の人もそろそろ登場させとかないと…というわけで出てもらいました。強姦という始まり方をした二人なのでそれぞれの気持ちを確かめる意味でも一度離れることも必要だろう、と。
近々更新できると思いますので、またのお越しお待ちしております♪