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楽しいOB会!(1/2)

2015.02.15.Sun.
楽しい合宿!楽しいお泊り!楽しい勉強会!楽しい初カノ!

※軽くモブ×中根・西山

 三年の向井さんに呼び出されて指定された駅前で待っていたら、目の前に黒のバンがとまり、いきなり中へ連れ込まれた。
 拉致られたのかと焦ったが、中には向井さんがいて「こっちOBの荻野さん」と運転手のニット帽の男を紹介してくれた。

「あ、二年の中根っす」
「女にフラれたばっかなんだって?」

 荻野さんは運転しながらチラッと俺を見た。曽我さんのことを言っているんだろう。

 向井さんを含め、野球部のほとんどの連中は俺が曽我さんにフラれて別れたと思っている。ほんとのところは、西山に近づくために曽我さんは俺と付き合うふりをしていただけで、俺なんかまったく眼中になかったという、噂よりも情けないのが真相だ。

 なので深く追求されたくなくて、俺は黙って頷いた。

「その話したら荻野さんがお前も連れて来てやれって誘ってくれたんだぞ」
「今からどこに行くんですか」
「馴染みの居酒屋だって。飲み会やんだよ」

 フラれて傷心している後輩を慰めてやろうということらしい。

「俺も向井さんも、未成年すよ」
「俺がお前らくらいん時は普通に飲んでたぞ」

 ハンドルを切りながら荻野さんが言う。まずいことになんなきゃいいけど。嫌な予感が胸に広がる。



 馴染みと言うだけあって、荻野さんが挨拶すると店員も「おう」と親しげに返し、親指で二階を指さした。
 店の端の細い階段をのぼって二階に向かった。すでに何人か飲み始めていた。年齢は二十歳前半が多い。みんな野球部の歴代OBなのだそうだ。

 みんななぜか俺がフラれたことを知っていて、座る前から「飲め飲め」とビールや酎ハイを勧めてくる。
 三年の向井さんをちらっと見ると、ビールの入ったグラスを傾けていた。いいのかよほんとに。問題になっても知らねえからな。

 仕方なく酎ハイに口をつける。俺だって別にいい子ちゃんじゃないから好奇心や興味から酒を飲んだことも煙草を吸ったこともある。ただこんなにおおっぴらに店で飲酒することは初めてで不安になる。しかも全員が野球部関係者ときてる。ばれたら廃部間違いなしだ。

 チビチビ飲んでたのが気に食わなかったのか、周りのOBたちが「ガンガン飲め!」と俺の前にグラスを並べた。
 横目に見た向井さんは隣の荻野さんと話し込んでて助け舟を出してくれる気配もない。

「いや、俺、あんま飲めないほうなんで」
「俺らの後輩がなに情けないこと言ってんだよ」
「今のうちにある程度飲めるようになっとかないと、大学の新歓で泣くぞ」

 体育会系の酔っ払いほどタチの悪いものはない。上下関係を振りかざし、こちらの言い分は少しも聞かずに無理難題を押し付けてくる。

 なんとか躱していたが、一人に頭を固定され、酒の入ったグラスを口に押し付けられた。零すと「なにやってんだ」と怒鳴られて、仕方なく開いた口に一気に流し込まれる。

 気管に入って俺が咳き込んでいようが、ただゲラゲラと陽気に笑ってもう次のグラスを用意している。
 問題になる前に俺が殺される。

「ちょっと、俺、トイレ」

 掴もうとする腕から逃れて階段を駆け下りた。
 店員に水をもらって一息つく。このまま帰ってしまいたい思いが洪水のように押し寄せる。だが何も言わずに姿を消したら月曜のシゴキが恐ろしい。

 そうだ、と思いついて綾瀬に電話した。十分くらいしたら俺の携帯を鳴らしてもらって、用事が出来たんで帰る、と芝居を打とうと考えたのだが留守電に繋がった。

「チッ、仕方ねえ」

 今度は西山に電話した。呼び出し音が続く。一度切ってもう一度かけなおした。

『はい』

 やっと西山が出た。

「早く出ろ」
『ごめん。どうかした?』
「いま、向井さんたちと飲んでるんだけど、絡み酒でうざいんだよ。あと十分くらいしたら俺の携帯慣らしてくれ。なんか理由付けてこっから出るから」
『どこで飲んでるの?』

 うろ覚えの住所と店名を教えた。

『迎えに行こうか?』
「来るな。ややこしくなる。じゃあ電話頼んだぞ」

 携帯電話をポケットにねじ込み、トイレに寄ってから二階の座敷に戻った。

「遅いぞぉ、なにやってんだ」
「お前が来ない間に、酒が増えちゃったぞ」

 テーブルの上に色とりどりの酒が並んでいた。なんとか時間を稼ぎつつ、あと二杯くらいは飲むしかないか。
 溜息を飲み込んで座席についた。すぐさま両隣の二人が俺を体に腕をまわして拘束する。

「フラれた女のことなんか忘れちまえ!」
「女なんて星の数ほどもいるんだぞ!」

 と酒臭い息を吹きかけて俺の傷をえぐってくる。酔っ払いなんか大嫌いだ。

 あれこれ見当違いの励ましを受けながらぐいぐい酒を勧められる。もう結構な時間が経った気がするのにまだ電話は鳴らない。西山の野郎、忘れてんじゃないだろうな。

「そういえば、お前、男にヤラれたことあるんだって?」

 シルバーアクセをジャラジャラつけた右隣の男が唐突に言い出してぎょっとした。

「えっ、誰にそんな」
「二年に田辺修都っているだろ。そいつ俺の弟。合宿で遊んでたらヤラれた奴がいるって聞いたぞ。二年の中根ってお前だろ?」

 呂律はところどころまわっていなかったが意味はわかる。緑のカットソーの上に緑のポロシャツを着た左隣の男が聞き逃さずに「まじか」と反応した。

 確かに合宿のあの日、あの場に田辺もいた。野球部のくせにシュートって名前の田辺め、誰にも言うなって口止めしたのにペラペラ喋りやがって!

「確かにお前ってちょっと間違い起こしそうな可愛い顔してるもんな。どんなもんよ、男って。相手ってかなりの巨根だったらしいのに、よがりまくってたんだって?」
「なっ、よがってませんよ!」
「やっぱおっきいほうが気持ちいいの?」

 おいダサ緑、気持ち悪い声出してんじゃねえよ!

「一回試してみたかったんだよな。男のケツ」
「わっ!」

 田辺兄は俺の股間をわし掴んだ。田辺兄の肩越しに、「あちゃぁ」って顔してる向井さんが見えた。助けろよ先輩なら! あんたが俺を誘った張本人なんだぞ!

「慣らさないと駄目なんじゃね?」

 ダサ緑が俺を羽交い絞めにする。

「めんどくさいじゃん。このまま突っ込んでも平気だろ」

 田辺兄は膝立ちになると、カチャカチャとベルトを外してちんこを外に出した。さすが男子校の野球部OB、ここが居酒屋だろうが躊躇がない。しかもなんで半立ちなんだ。

 ちんぽ丸出しの格好で、田辺兄は俺のズボンに手をかけて引きずりおろした。足をバタつかせたらダサ緑の足が俺の足に絡みついて抵抗を封じる。

「さすが元バッテリー。息ぴったり」

 テーブルの向こうから見てた外野が冷やかしてくる。でも止める気配はない。余興みたいなもんだと思ってやがる。

「大丈夫、お前も気持ちよくしてやっから」

 ダサ緑が俺のちんこを握る。当然ながら縮こまっているそれをクニクニと揉み始めた。

「いっ、や――、やめて下さいよ!」
「うわぁ、レイプみたいで興奮する」

 田辺兄は心底楽しそうな顔で言うと、そばにあった酒をぐいっと口に含み、俺にキスしてきた。口移しで酒を飲まされる。どさくさに紛れて舌まで突っ込んできた。噛み千切ってやろうか。

 散々口のなかを凌辱したあと、離れて行った田辺兄は舌なめずりしながら、

「俺のもそこそこでかいぜ」

 ってちんこを扱いた。確かにでかいほうなんだろうけど、西山のを見慣れた俺には失笑もののサイズだ。

 田辺兄が俺の膝を割り開く。

「あ、や、やだ……ッ! 勘弁して、ください……!」
「お前をヤッた奴と俺のと、どっちがいいかジャッジしてくれよ」

 ちんこに手を添えて田辺兄が迫ってくる。
 やだ――嫌だっ――に、西山――ッ!!

「っ邪魔しまーすっ!!!」

 大声とともにスパーンと大きな音を立ててふすまが開いた。一瞬喧騒が止む。田辺兄も動きを止めて音のしたほうを振り返った。

 鴨井をくぐって現れたのはなんと西山だった。

「に、西山?」

 向井さんの驚いた声を無視して、西山は周囲を見渡し、羽交い絞めにされて今まさにレイプされそうな俺を見つけるとグワッと鬼のように目を剥いたが、すぐ口を左右に吊り上げ笑顔になった。

「ひどいじゃないですか、向井さん。飲み会があるなら俺も誘って下さいよ。俺も可愛い野球部の後輩でしょ」

 入り口のそばに座る向井さんの肩を叩いてにこりと笑う。「お、おう」と顔を引き攣らせてこたえる向井さんも、西山の張り付いたような不気味な笑顔に気付いているのだろう。顔は笑っているが、目は笑っていない。普段決して見ることのない西山の尋常ならざる様子に向井さんは言葉が出ないようだった。

「二年の西山っす!」

 ぽかんとしている他の連中に西山はペコリと頭を下げた。そして「あっ、酒余ってるんですか」と俺と田辺兄の間に割って入ると、グラスを手に取って一気に飲み干した。まさにすとんと胃に落とすような飲みっぷりに、周囲は拍手喝采し、邪魔された田辺兄の怒りの声をかき消した。

「こんな奴が野球部にいたのか」
「おいもっと酒注文しろ」
「次のOB会にも連れてこい」

 だらけていた空気だったのに西山登場で一気に活気が戻った。ダサ緑も、これ以上続けたら場が白けると思ったのか俺を解放した。田辺兄は勃起したちんこの処理に困り、不満げに俺と西山を睨んでいたが、最終的にはちんこをズボンの中に仕舞った。

 はぁ。助かった。
 まさか西山に助けられるなんて。電話だけでいいって言ったのに、ほんとに迎えに来てくれたのか……。

 ちょっと感動して西山を見てたら目が合いウィンクされた。ばか。

「しかしでかいなお前」
「胸板も厚いし、腕も太い」

 西山のガタイの良さを誉めそやす。誰かが脱げ、と言い出した。もちろん西山は一つ返事で裸になった。煩いほどの爆笑のなか、西山は部室でよくやるようにボディビルの真似事を始める。

「筋肉やべええっ!」
「なんだそのちんこ!」
「そんなもんぶら下げてんじゃねえよ、もはや凶器だろ」

 ギャハハッと馬鹿笑いするなか、田辺兄だけは悔しそうに引き攣った笑いを浮かべていた。自分が井の中の蛙だって気付いたみたいだ。

「これ持ち上げられるか? そんなに立派なんだからこれくらい朝飯前だよなぁ? でなきゃ宝の持ち腐れだろ」

 田辺兄は、誰かが御茶漬を頼んだときに店員が持ってきた急須を引き寄せた。

「余裕です」

 鼻で笑い飛ばさんばかりに西山がちんこを扱く。ムクムク成長していく変化に周囲がどよめく。さらに大きくなるのを見て絶句し始めた。中には我に返って写メる人もいる。

 大きくさせると西山は急須の取っ手に引っかけて持ち上げた。それはもう、軽々と。

「おおおおっ、すっげえええぇぇっ!!」
「なか入ってんのか? 空だろ?!」
「酒入れろ! 満タンで持ち上げてみろ!」

 急須に溢れるまで酒が注がれる。腰に手を当てた西山は鼻歌でも歌いそうな顔でそれを上げ下げした。

 それを見ていつもみたいに馬鹿じゃねえのとは思えなかった。俺を助けに来て、俺のかわりに犠牲になってる西山にそんなこと思えるわけがない。

 トントンと向井さんに肩を叩かれた。

「今のうちにお前は帰れ」
「えっ、でも」

 西山を置いては帰れない。

「かなり酔ってるから中根を先に帰してくれって西山が俺に耳打ちしてきたんだ。外にタクシーを待たせてるからそれで帰れって」

 驚いて西山を見上げる。西山は急須の中身を器用にコップに注いでいた。馬鹿のくせにかっこつけてんじゃねえよ。

 みんなの視線が西山に集まっているすきに、向井さんと階段をおりて店の外へ出た。本当に待っていたタクシーに俺を乗せると、向井さんは運転手にお金を渡そうとして断られた。

「さっきのお客さんに前金もらってるから」

 それを聞いた向井さんが苦笑する。

「あいつ、お前の何なんだ?」
「なんでもないですよ」

 焦ってこたえる俺の顔はきっと真っ赤だっただろう。

 今日は悪かったな、と言うと向井さんは店に戻った。外にいても二階の馬鹿騒ぎの声は聞こえてくる。あそこに西山がいる。俺の身代わりになって。

「運転手さん、もう少し待ってもらってもいいですか。あと一人乗せて帰りたいんで」

 運転手のおじさんは駐車場に車を入れた。



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コメント
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お返事
ういさん
ありがとうございます~!なんとか1年続きました!
意外と楽しいシリーズを好きだと言って下さる方がいて嬉しいです。書きやすい二人なのでまだもうちょっと続けさせてもらえたらと思っています。この二人に関しては第三者介入という縛りを作ってしまった(なぜ作った…)なので、これからますます総受け、総攻めの様相を呈してくると思います笑 でも浮気はあんまりさせない方向なのでご安心下さい!

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