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両想い(1/2)

2015.01.08.Thu.
<前話「片思い」はこちら>

 ベッドの上で壁に凭れて週刊雑誌を読みながら、俺は同じくベッドに仰向けになって漫画を読む誠司のことを何度も盗み見していた。
 文字を追って動く黒目だとか、時折唇を舐める赤い舌だとか、ゆっくりと上下する胸だとか。

 数週間前、勉強に疲れてマッサージをしあっていたらマスのかきあいをする流れになった。その時、キスまでした。同性で同級生の誠司と。
 俺は誠司のことが好きだから恥ずかしくも嬉しい展開だったけど、誠司はあの時のことをどう思っているんだろう。あんなことが出来るくらいだから嫌悪感はないんだろうけど。

 漫画を読み終わった誠司はヘッドボードに積まれている他の漫画を物色しだした。そのなかの一冊を抜き取って「トモってこういうの読むの?」と俺に表紙を見せた。
 それはいつまでも経っても彼女が出来ない俺を心配した妹が「これ読んで女心を勉強したら」とお節介にも押し付けてきた少女漫画だった。

「ち、ちげーよ! それは弥生が勝手に置いてったんだよ!」
「ほんと弥生ちゃんと仲いいな」

 と笑いながら誠司はパラパラとページをめくって拾い読みを始める。

「うわ、なんか恥ずい。こんな男いないって」

 とかなんとか言いながら読み進めちゃって気に入ってるじゃん。

「女ってまじでこんな男がいいのかな?」
「知らないよ」
「壁ドンとかさ」
「ただしイケメンに限るってやつだろ」
「トモはさ」

 誠司が俺を見たと思ったら、壁にもたれたままの俺にいきなり『壁ドン』を実践してきた。

「こういうのされたら、ドキドキする?」

 と至近距離で目を覗きこんでくる。
 急だし、顔近いし、さっきまでやらしいことを思い出していた俺は、無防備なまま誠司の目を見つめ返してしまった。心臓バクバク。呼吸が苦しい。顔が熱い。

 意識しちゃ駄目だと思うと余計に自然に振る舞えなくて、勝手に泳ぎ出した目は最悪なことに視線を誠司の唇に落とした。
 キスしたときのことを思い出して下半身に血液が集まりだした。俺は体育座りの膝を引き寄せた。

「トモ」

 優しい声で囁く誠司の口元に笑みが浮かぶ。もう直視できなくて俯いたら、誠司に顎を掴まれ、上を向かされた。

「ちゃんと俺のこと見ろよ」
「えっ……」

 魔法の言葉みたいに誠司の黒目から目が離せなくなった。誠司の匂いがわかるくらい近い。

「お前、俺が好きなんだろ」
「――ッ!!」

 バレて――!!

「って言うんだってさ」

 にやっと笑うと誠司は視線を落として手元の少女漫画を見た。台詞も漫画を真似たらしいと気付いて、火が付いたように顔が熱くなった。

「な、なに、その恥ずかしい台詞、よく言えるな」

 強がったら無様に声が震えた。ドキドキして馬鹿みたいだ。胸を苦しくさせてもしかしてなんて一瞬でも期待してほんと馬鹿みたいだ。

「また泣きそうな顔してる」

 誠司は困った顔で慰めるみたいに俺の頭を撫でた。そんなこと言われたら自覚してなくても泣きそうになってくる。ほんとに鼻の奥が潤みだして慌てた。

「触んな」

 誠司の手を振り払った。

「ドキドキした?」

 赤面して泣きそうな顔なんて見られたくないのに、誠司は意地悪く覗きこんでくる。顔を背けても追いかけて来るので睨み付けたら、誠司は「やっぱトモってかわいい」と嬉しそうに笑って俺の頭を撫でた。犬扱いやめろ。

「そんな顔されたら、また前みたいなことやりたくなっちゃうだろ」

 前みたいなことってもしかして、と思わず反応して誠司を見上げると同時にキスされていた。驚いて目を見開く俺を見つめながら誠司が舌を入れてくる。
 嘘。嘘!
 後頭部をつかまれてがっつり深い口づけを俺は茫然と受けていた。離れて行った誠司が「目くらい閉じろよ」と照れた顔で言って我に返った。

「なっ、なにしてんだよ、男同士で!」
「前もやったことあんじゃん」
「だからって……、また、やるとか、い、意味わかんねえし!」
「嫌だった?」
「嫌に決まってんだろ!」
「ここ、こんななのに?」

 誠司に膝を割られて「うわっ」と俺は声をあげた。股間の膨らみを見て、誠司は「ふふっ」と笑う。

「また、しようよ」
「なに……や、やだ」

 誠司は俺のうなじに手をかけると自分も体を前に倒しながら引き寄せた。顔がすれ違い、誠司の肩に顎がくっつく。俺の後頭部を撫でつけながら誠司はもう一度言った。

「また、前と同じことしようぜ」
「や、いやだ……っ」

 誠司の胸を押し返した。ぜんぜん力が入らない。頭上から誠司の含み笑いが聞こえる。

「やだって言われても困るんだけど。俺、もうそのつもりになっちゃったから」

 動かした視線の先には俺と同じように膨らんだ誠司の股間があった。見た途端、混乱も羞恥も恐怖も消し飛んで、触れたいと猛烈に思った。力強く心臓がドクンと高鳴って体中に血液を勢いよく送り出す。

「ほ、本気、かよ、男同士なのに」
「気持ちイイことに、そういうの関係なくね?」

 誠司の言葉に苦しいほど心臓が早鐘を打った。また、出来る。前と同じことが、また、出来る。
 気持ちいいことを思い出して体が疼いて震えだす。でも頭のどっかで、誠司がこんなことをやりたがるのは俺が好きだからじゃなくて、ただ快楽を求めているだけなんだとわかってがっかりしている。相手が俺なのは、流れで一度そういうことをしたから。ただ身近にいたから、それだけ。
 目の表面がじわっと熱くなったので、俺は誠司の大きな胸にしがみついた。

「トモ?」
「やんなら、早くしろよ、変態誠司!」

 俺のこと好きじゃなくたっていい。好きになってもらえるなんて始めから期待してない。両想いでもないのにこんなこと出来るだけ俺はラッキーだ。これ以上を求めたらバチが当たる。
 誠司の手が俺の前をくつろげてちんこを引っ張り出した。

「トモも触って」

 耳元で囁かれてゾクリとなりながら、俺も誠司のものを外へ出した。何度か擦るとさらに硬く太く育っていく。俺は静かに唾を飲み込んだ。

「俺の足に跨るようにして」

 意味がわからず首を傾げた。誠司は俺の足から衣類を抜き取ると、両足を抱えるように腰のほうへ引き寄せた。距離が詰められ、股間も触れ合うほど近づく。

「これならよく見えるし、やりやすいだろ」
「ばかっ、こんな恥ずかしい格好……ッ」

 誠司の体を挟むように俺は股間をおっぴろげた体勢だ。閉じたくても閉じられない。額をつき合わせた至近距離から誠司に見つめられながらペニスを扱かれている。

「ンッ……」
「カウパー出てきた」

 親指が俺の先端でグルグル円を描く。そこは充分ぬめっていた。

「お前だって」

 鈴口から溢れる粘液に指を絡める。それを亀頭全体に伸ばしながら竿を扱いた。
 誠司の口から荒い呼吸が漏れ出す。

「トモ、キスしよう」
「バカッ、やだよ!」

 いつもの意地っ張りが反射的に出て後悔したけど、誠司はそんなのお構いなしで鼻をこすり合わせて顎をもちあげてくる。
 あとは俺も顎をあげればいいだけ。それだけで簡単に唇が触れ合う。

「トモ」

 ちょっとかすれ気味の声で催促されて腰のあたりがジンと痺れた。一回拒絶したとかそんな手前はどうでもいい。俺もゆっくり顔をあげた。

 二人とも少し唇がかさついていた。それも相手の出方を探るみたいに何度も唇を合わせているうちに湿り気を帯び始め、仕掛けてきた誠司の舌が俺の口の中をまさぐり始めると唾液で濡れた。

「ハァ、ん……んん……」

 先を尖らせた誠司の舌が俺の口内をつついたり舐めたり歯列をなぞったりする。口蓋を舐められた時、くすぐったさにあやうく誠司の舌を噛みそうになった。

「んっ、も…やめ……」

 誠司を押し戻して零れた唾液を拭った。誠司の顔つきが普段と違った。口の端に笑みの残滓があるだけで、濡れた目で俺を見て、興奮してまだらに顔を赤くしていた。

「気持ちよくない?」

 上擦った声でそんなことを訊かれて俺はまた泣きそうな気分になった。
 気持ちいいに決まっている。でも俺は天邪鬼だからつい反対の言葉を言ってしまうのだ。

「下手糞!」

 誠司は眉を下げながらため息みたいな笑い方をした。

「じゃあもう聞かない」

 誠司は両手で俺のペニスを握った。右手で亀頭を、左手で竿を扱き、ついでに下の陰嚢を揉む。

「あ、あ、ん……っ」
「トモは体の方が正直だもんな」

 俺だって素直になりたい。だから咄嗟に言い返したいのを我慢して黙って俺も手を動かした。ネチャネチャと粘ついた水音が二人の股間から聞こえてくる。

「あっ……や、待って、イキそ……」
「出していいよ、トモ」

 誠司の手つきが早くなる。カリの段差を行き来されると気持ちがいい。先端を包むように擦られるともう出そうになる。

「アァ……ほんとに、出ちゃうよ……っ」
「イクとこ、見せて」
「やっ、やだ、アッ、あんっ、誠司ぃ、やだ、出ちゃう、出ちゃうよぉ……!」

 誠司は手を動かしながら、上り詰めていく俺のことをじっと見ていた。

「あ、アァッ……っ、イクッ、イク、誠司、あ、イクッ……!!」

 誠司の肉棒を握りしめながら俺は射精した。ドクンと吐き出した大量の精液が二人の手に降り注ぐ。恍惚の表情を浮かべているに違いない俺を見ながら誠司は「可愛いよ、トモ」と最後の一滴まで絞り取った。

「いっぱい出た」

 精液まみれの両手を広げて誠司が笑う。

「お前も早くイケよ!」

 俺も両手を使って誠司を扱いた。熱くてカチカチに硬くて脈動が手に感じられるほどなのに誠司はまだイク気配がない。



昨日までは、友達1

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