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君が笑った、明日は晴れ(62/89)

2020.06.03.Wed.
1話前話

 いくら俺でもカラオケボックスのトイレなんて際どい場所でエッチしたことはなかったぞ。

 河中と駅で別れてから俺は苦々しく思い出していた。河中の馬鹿、完全に理性失って無茶しやがって。

 森下さんとのセックスが河中にバレるほど、俺はかわったんだろうか。確かに抵抗感はほとんどないと言ってもいいが、河中のものをしごいてやったのは、同じ男として辛いだろうと思ってしてやっただけだ。そんな些細なこととキス一つでバレてしまうなんて驚きだ。

 俺が思っている以上に、そういう行為というのは繊細なものだということか。

 携帯が鳴った。森下さんからだった。

『もう学校終わった? 今日からだったんだろ?』
「終わったよ」
『昼飯どう? 迎えにいくよ」

 頭に河中の顔が浮かんだが、OKした。俺があいつに遠慮することはない。

 車で拾いやすい場所に出て森下さんを待った。30分ほどして見慣れた車がやってきて、運転席から森下さんが笑って手を振る。俺を助手席に乗せると車はまた動き出した。

「高2の2学期か。一番大事な時だね」

 前を向いたまま森下さんが言った。

「俺はそんな自覚まったくないんだけど」
「おい、大丈夫か。あっというまに受験生だぞ。大学はいくつもりなんだろ?」
「うーん、わかんねえ。大学って楽しい?」
「一応勉強しに行くところだけど、楽しいよ、俺は。いろんな奴が集まってくるからいい刺激にもなる」
「まだ自分が将来何をしたいかも決まってねえよ」
「俺もさ。それを決めるために大学に行ってるようなものかな」

 森下さんちの近くのファミレスに入った。そこで昼食を済ませ、森下さんの部屋に向かった。

 部屋に入った途端後ろから抱きすくめられた。

「一緒にシャワー浴びよう」

 俺の頭にキスしながら森下さんが言う。今日はそんな気分じゃないから首を横に振った。

「何かあった?」
「なんも」

 つい数時間前、カラオケボックスで2回出してきたなんて言えない。

「したい。君が食事してるの見ながらずっとやらしいこと考えてた。したいよ、重夫」
「今日はほんとに無理だよ、悪いけど、勘弁して」
「入れない、それならいい?」

 しつこいなぁ。溜息が出た。森下さんはすっかりその気になっている。気持ちを逸らすほうが時間がかかりそうだった。

「風呂場ですんなよ、疲れるから」
「うん」

 嬉しそうに頷いた森下さんと風呂場へ。後ろから服を脱がしながら、森下さんは首、背中に唇を這わせていく。さっき俺が言ったこと、覚えてるのかな。

 背中を押されるように浴室に入り、シャワーを浴びた。熱いシャワーを浴びると、体のダルさが少しマシになる。

  森下さんはボディソープを泡立て、俺の体を洗っていく。いつものことで、そのままにさせた。不意に、前にまわった森下さんが手を止め、俺をじっと見てきた。

「なに?」
「これ、キスマークじゃない?」

 ハッと自分の体を見た。河中が吸い付いて出来た鬱血が体中のあちこちにあった。あいつ、いつの間にこんなにつけてやがったんだ。

「ここに来る前にヤッて来たから俺と出来ないって言ったのか。なるほど、なるほど」

 森下さんは意地悪く笑いながら、キスマークを指先で一つ一つ触っていく。

「ずいぶん激しく愛されたんだな。相手は独占欲が強いらしい。こんなにたくさん残すなんてなかなか手間だよ」

  その一つを森下さんが舐めた。ゾクっと反応してしまう。

「前に言ってた学校の奴?」
「……あぁ」
「やっぱりそいつは君のことが好きなんだよ、間違いないね。どんな奴?」

 森下さんは屈んで俺の袋を口に咥えた。

「どんなって……普通の奴だよ」
「好きなの?」
「まさか」
「そりゃひどいな」

 クッと笑った森下さんの指が後ろから中に入ってきた。

「おい、今日はしないって」
「さっき他の男に抱かれてたなんて考えたら興奮してきた。ほんとだ、ここ、すごく熱い」

 クイクイと中で指が動く。河中のものの形を覚えているそこは、指の刺激に簡単に反応した。

「頼むから、今日は無し」
「じゃあ口でしてくれる?」

 嫌だ、と言いかけ口を閉ざした。飲まずに吐き出しゃいいか。一回出せばこの人も落ち着くだろう。

「部屋に戻ってからな」

 ニコッと笑い、森下さんは俺の体にシャワーをかけ、泡を流した。適当に水滴を拭かれ、ベッドに連れ込まれる。押し倒され、体中にキスされた。

「おいおい、口ですんだろうが」
「やっぱりダメ?」
「だめ」

 今度は俺が上になり、森下さんの屹立を握った。これを舐めたのは一度きり。やっぱり勇気がいる。

「無理なら、後ろ使わせろよ」

 森下さんは悠然と微笑んだ。憎たらしい顔だ。

 意を決して、それを口に含んだ。



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