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One Way(3/3)

2019.08.31.Sat.


 紺野さんは垣内の腰に跨った。ペニスに手を添え、自分のアナルに宛がうと、ゆっくり腰を落としていった。眉間にしわを寄せながら、唇を噛む。その表情がよく見える。白い顔は赤く上気し、セットされた髪は乱れ、汗をかいた額に前髪が張り付き、いつもの冷たい声じゃなく、熱く色のついた声を赤い唇から漏らす。

 今日、家の廊下の暗がりで見た紺野さんの姿を思い出した。あれから想像もできない痴態だった。

 全部を飲みこむと紺野さんはほっとしたように息を吐いた。

「体重分、深く咥えこんでお腹のなかが辛いだろう」
「……ん……はい……」
「どこまで僕のおちんちんが入ってるのか教えてくれるかい?」
「え……あ、こ、この辺りまで、でしょうか……」

 羞恥に満ちた顔で、紺野さんは律儀に答えながら下腹部を手でさすった。

「君のなかは狭くてきつくて、火傷しそうなくらい熱いんだよ」
「そ、そうですか……」
「ここに僕の精液をいっぱい出して、君の腸に吸収させてあげる。僕と君が混じり合って溶け合ってひとつになれるなんて素晴らしいと思わないかい?」
「はい……素晴らしい、です、社長」

 垣内の変態な言葉にも紺野さんは興奮するのか体を震わせた。

「よしじゃあ僕の精子が欲しかったら、頑張って動いてもらおうかな」

 戸惑いの表情で紺野さんがユサユサ腰を動かし始めた。陰部を擦りつけるような生温い動きだ。

「それじゃ僕はいつまで経ってもイケないよ」

 垣内は両手で紺野さんの乳首をいじった。唇を噛んで紺野さんが腹の上でビクビク跳ねる。乳首が感じるらしい。ここまで仕込まれるまでに一体何度、彼は男に抱かれてきたのだろうか。全部、親父の命令で。

「はあぁっ、あっうぅんっ……社長っ……あっ、ど、お……ですかっ……あっ」
「まだまだ全然だめだよ、紺野くん。もっと君の奥で僕のおちんちんを扱いてくれなきゃ。奥でおちんぽしゃぶるのが大好きだろ、君は」
「んっはあっ、は、いっ! お、ちんぽ……奥でおしゃぶり、らい、好きです……!」
「じゃあ遠慮しないで、もっとズボズボ出し入れしてごらんよ。僕のおちんちんが君のお尻の中を出たり入ってるしているところをよく見せておくれ」
「はい、社長……っ」

 紺野さんは垣内の腹の横に手をつくと尻を浮かせた。足と手で踏ん張りながら、腰を大きく上下させる。凶悪な肉棒が紺野さんの尻から見えたり隠れたりする。リズムよく腰を振りながら紺野さんはあられもない声をあげた。

「あっあっあぁぁっ、社長のおちんちんっ私ののおくまで……届いてっ……あぁっあんっあぁんっ!」
「そうそう、やればできるじゃないか。紺野くんは下のお口でもおしゃぶりが上手だね。とても気持ちいいよ」
「んっ! はあっ、あ、良かっ……たっ……アッ! 社長…乳首、やっああっあんっ」
「お尻の穴でおしゃぶりしながらここを弄られるのが好きだろ」
「はぁっあっああっ、あんっ、いやっ、ああっ、らめっ、社長、だめですっああっあぁんっ」
「君の中はずいぶん喜んで僕を締め付けてくるけどねえ。ほら、もっとちゃんと動いて。腰が止まってるよ」
「もうしわけ…ありま、せ……んっ、ああっ」

 垣内は上下運動を手伝うように紺野さんの腰を掴み、また自分からも腰を振った。垣内の腹の上を紺野さんが跳ねあがる。

「あぁっ! あっ! だめっ! 抜けちゃ…ッ…社長っ、だめ、ああっあんっ抜けちゃうっ、そんな……激しくしたらッ……おちんちんがっ……抜けてしまいます……っ!!」
「しっかり僕を咥えこんではなしちゃだめだよ」
「いああっ、あっあっ、ふ、かい……! ああっあっあんっあぁんっ、だめっですっ……社長……ッ」

 もう自分では動けないほどなのか、紺野さんは前に倒れ込み、垣内に抱きついた。垣内は構わず激しい突き上げを繰り返す。

「よし、いくぞっ! 出すぞ、紺野くん!」
「あっ、んっ、社長っ、私のなかに……どうぞ、おだしになって……くださいっ…社長の精子……わ、たしの、おなかに…はあっあ、ああっ…出して……!」
「いやらしい君の淫乱秘書ケツマンコに精子注いでやるぞ……! いくっ、いくっ、出るぞ……!」

 垣内が紺野さんの尻をぎゅっと鷲掴んだ。白い尻に力んだ太い指が食いこむ。隙間なく密着した2人の下腹部。確かめるまでもなく中出しだ。それを受けて紺野さんは恍惚とした表情を浮かべた。もしかしたら紺野さんもイッたのかもしれない。

 二人は音が立つほどのディープキスを始めた。俺はそっと襖を閉じた。

 ~ ~ ~

 事が済み、服を着た垣内が俺のいる部屋に戻ってきた。父ではなく息子の俺を見て一瞬驚いた顔をしたものの、「君が公維くんか。お父さんに似て男前だねえ、羨ましい」すぐ何事もなかったような顔つきに戻った。

「父がお世話になっております」

 深く頭をさげる俺に満足したように頷く。

「あとのことは任せるよ。選挙資金は心配しなくていいと、お父さんに伝えておいてくれるかい」

 俺の肩を叩いて垣内は部屋を出て行った。汗と精液の匂いが部屋に残る。

 隣に視線をやった。物音ひとつ聞こえない。立ちあがり、襖を開けた。布団の上に、精も根も尽き果てた紺野さんが横たわっている。ぼんやり俺を見上げて「先生」と呂律の回らない口で言う。

「親父はあんたを置いて帰ったよ」
「……君は……ああ、公維くんか……」

 のそりと体を起こし、自分の体が精液まみれだと気付くとため息をついた。あたりを見渡しティッシュを見つけて汚れを拭く。垣内は中にも外にもたっぷり出していったようだ。年のわりに俺より元気だ。薬でも飲んでいるのだろう。

「先生に私を押しつけられたんですか」
「まあそんなとこ」
「気分の悪いものを見せて申し訳ありません。先に帰って頂いて結構です」

 もういつも通りの無表情と冷たい声に戻っている。

「そんなことしたら俺が親父に怒られる。紺野さん、まともに歩けないんだろ」
「少し休んで行けば一人でも平気です」
「意地張んなよ。送るから」

 テーブルの上におしぼりを見つけた。それで俺も紺野さんの体を拭いてやる。

「公維くんにそんなことをしてもらうわけには」
「親父がやらせてるんだろ。俺にできるのはこのくらいだよ」

 紺野さんは黙って目を伏せた。悲しげな目元に見えた。

 服を着せ、紺野さんを抱えるように料亭を出た。見送りの女将が「まあまあ。紺野さんたらずいぶん酔ってらっしゃるのね」ととぼけたことを言う。知らないわけがあるまい。表向きそうしておきたいのだろう。

 酔っている紺野さんを後部座席に乗せた。一人暮らしをしているマンションを聞き出し車を走らせた。

 ルームミラーで見る紺野さんは疲れきった顔をしていた。白い顔がいまでは青白いほどだ。そこまでして親父に尽くす必要があるのだろうか。

「紺野さんはなんで親父の秘書やってんの?」
「……その質問には今日お答えしたと思うのですが」
「それは秘書になった理由だろ。いま俺がきいてんのは続けてる理由だよ。あんなことまでやらされて、命令した本人は一人でさっさと帰ってさ。それでも親父の秘書を続ける理由はなに?」

 窓の外に目をやって紺野さんは微かにため息をついた。

「君は気付いているでしょう」
「親父が好きなの?」
「そうです」

 冷たい声が少し熱を帯びた気がする。紺野さんがイラついている。

「どこがいいの? 紺野さんがあのおっさんにやられながら先生先生って親父を呼んでる時、なんて言ったと思う? 気持ち悪いって言ってたんだぜ。自分がやらせてるくせにさ。どんなに尽くしてやっても、親父はあんたに手を差し伸べることはないよ」
「わかっています」

 力んだ声が制止するように言った。

「そんなことは知っています。わざわざ教えてくれるなんて親切ですね。私が気持ち悪いなら構わなければいいんです。もうここでおろしてください」

 とドアに手をかける。

「わ、待て、違うって!」

 慌ててドアをロックした。むすっとした顔が鏡越しに俺を睨む。紺野さんが怒っている。はっきりと不快感を顔と態度に出している。今日は初めて見るものばかりだ。

「紺野さんにあんなことさせてる親父に腹が立ってるだけで気持ち悪いなんて思ってないよ。むしろ、あんな奴のためにそこまでしなくていいのにって思ってる。秘書なんか辞めちゃえばいいのに」
「馬鹿なこと言わないでください。そんなことしたら先生のそばにいられなくなるじゃないですか。くれぐれも先生に余計なことは言わないでください。お節介は間に合ってます」

 言うとツンとそっぽを向いた。ふと、垣内が紺野さんを「かわいそうでかわいい」と言った言葉を思い出した。本当にその通りだと思った。

 そこまで思われるほど、父は政治家として男として魅力があるのだろうか。父子だからか、俺にはまったくわからない。

 肩をすくめて運転を続けた。

「……ン……」

 かすかに声が聞こえた。鏡には、手で口を押さえた紺野さんが見える。切なげな表情は、料亭で見たあのときの顔に似ている。

「どうしたの?」
「……いえ、なんでもありません」

 声も上ずっている。

「なんでもないことないだろ」

 心配になって車をとめた。紺野さんはあいかわらず口を押さえたままだ。俯く瞼が細かく震えている。

「吐きそう? 気分悪い?」
「違い、ます……私は大丈夫ですから」
「いや、どう見ても大丈夫じゃないでしょ」

 車のなかを移動して後部座席へ移った。紺野さんの背中を撫でながらなにかないかと探す。運転席の下にゴミが入ったコンビニの袋を見つけた。それを開いて、紺野さんの顔の前にかざす。

「気持ち悪いならここに吐きなよ」
「本当に……違うんです……」
「いまさら遠慮することないだろ」

 薄目に俺を見て、紺野さんはふと笑った。

「それもそうでしたね」

 言うと背筋を伸ばしてブルッと体を震わせた。

「……垣内社長が……出したものが……少し、漏れてしまったんです」
「──え……? え、あ、ああっ!」

 遅れて意味を理解して俺のほうが動揺してしまった。いま目の前にいる男は、さっき中出しされたおっさんの精液を尻から漏らしていると言っているのだ。

「あ、なんだ、そういうことか。ごめん」
「いえ、私の方こそ……あ、シートを汚してしまいますね」

 紺野さんは背広を脱いで尻の下に敷いた。

「いいよ、そんなことしなくて」
「公維くんは優しいですね。先生とは違う」

 その言葉を聞いてなぜかカッと頭に血が上った。優しくなんかないと認めさせたくて紺野さんを押し倒し、親父とは違うと証明したくてズボンをずり下ろした。

「公維くん、なにをする気ですか……!」
「全部出さなきゃずっと気持ち悪いままなんじゃないの」
「我慢できますから早く運転に戻ってください」
「いや、出そう。手伝うから」
「ヒあ──ッ」

 紺野さんの穴を探りあて、中に指を潜り込ませた。想像していたより熱くて柔らかい。奥まで入れるとグチュリと濡れていた。垣内との性交の証。

「やめっ……公維くん、やめてくださいっ……いやっ……!」

 俺の服を引っ張ったり背中を叩いたりする紺野さんを無視して中から精液を掻き出した。何発出されたのか大量に溢れてくる。あのおっさん、好き勝手やりやがって。思わず舌打ちした。

「公維くん、もう……やめ、てくださいっ…あとは…自分で、やりますから……、きみの手が、汚れます……っ」
「このくらいなんでもないよ」

 紺野さんは俺にしがみつくようにしてぎゅっと固く目を閉じた。

 赤く薄い唇が震えるように動いて「先生……!」と掠れた声を漏らした。その唇にキスしたいと思うなんて、どうか俺の気の迷いでありますように。




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One Way(2/3)

2019.08.30.Fri.
<前話>

 父はゆっくり襖を開けた。

 10㎝ほどの隙間から、布ずれの音と、人のくぐもった声が聞こえてきた。ああ、やっぱり。見るまでもなく、中で行われているのは男女の営みに違いない。

 わかったよ、と父に視線を送ったら、ちゃんと見ろ、と父は顎をしゃくった。

 仕方なく10㎝の隙間から中を覗く。隣の部屋には布団が敷いてあって、小太りな男の背中と、その両脇から伸びる細い足が見えた。男の腰の動きに合わせて細い足がユサユサ揺れる。

 AVで見たことのある光景でも、生で他人がやっている現場は直視しがたいものがる。自然と顔が強張る。もういいだろ、としかめっ面を父に向けた。

 その時だった。中から甲高い声が聞こえてぎょっと視線を戻した。

「んん? ここが良かったのかな?」

 嬉しそうに言いながら男が腰を振る。

「アア──ッ……あっ……ん……ああ……ッ……」

 再び声をあげさせようと男は躍起に腰を振るが、女のほうは必死に声を我慢しているようだ。

「もっとかわいい声を聞かせてくれよ。どこが気持ちよかったのか言ってくれないと、僕にはわからないよ」
「い、や……あっ……ああ──ッ、あっ……んふぅっ……」

 女のわりに低い声だった。

「ちゃんと言ってくれないとイカせてあげられないよ。そんなの、辛いでしょ。ほら、こっちはもうベトベトになってるのに」

 男は腕を動かした。女の前を弄っているのだろう。男の脇から伸びる足がガクガク震えた。

「やめ──ッ、あっああっ、そ、んな……ああ……さわらな……で、くださ、い……!」

 掠れ気味のハスキーボイス。女でいないこともないだろうが、俺はある予感に怖々父を窺い見た。

 父はいつの間にか座布団の上に戻って煙草を吸っていた。

「ほおら、おちんちんからいっぱい透明なお汁がでてきたよ? 紺野くん、これはなにかな? 言ってごらん」
「いや、あ、あぁ……勘弁して、ください……!」

 なんてことだ!

 いつも無表情に冷たい声で喋る紺野さんが取り乱した声を出している。俺の目と耳ががおかしいのかもしれない。部屋の中に三人目を探した。だがどう見ても2人しか見当たらない。

 小太りの男に足を揺さぶられているのが紺野さんだなんて信じられなかった。

「おい、親父!」

 声を押し殺して親父に詰め寄った。

「あれはどういうことだよ。紺野さんになにやらしてるんだよ!」
「あれが紺野くんの仕事だ」
「なに馬鹿なこと言ってるんだよ! あれが秘書の仕事のわけないだろう!」

 前を向いたまま父が煙を吐きだす。事の重大さがわかっていないのか、悠然とした父の態度に腹が立った。こんなことが公になれば父の政治家生命はおろか、望月家が破滅する。録音でもされていたら一発アウトだ。明日から連日ワイドショーで取りあげられ、俺の内定は取り消され、おちおち外も出歩けなくなる。

 議員秘書はどんなことも耐え忍ぶと、父は本気で思っているのだろうか。時代錯誤というより、正気を疑うレベルだ。もしかしたら父はもう呆け始めているのか?

 今ならまだ息子の俺が誠心誠意謝罪すれば内密に示談の方向へ持っていけるかもしれない。マスコミに売ったって自分の恥が世間に知れ渡るわりに金にならないはずだ。父に復讐したい気持ちもあるだろうが、それを上回る金を渡すことができれば、もしかしたら──。

 忙しく頭を働かせている俺を、父は満足げに見ていた。

「なんだよ」
「おまえも成長したなと思ってな」

 呑気な父に思わず舌打ちした。やはり呆けている。

「だが、まだまだだな」

 父は煙草をもみ消すと、襖の隙間を目を向けた。

「はあっ……あっ……アアッ……垣内…社長っ……もぅ……ゆるして……ああ……だめ……そこはもう……いやっ……あっあっ……」

 鼻にかかった甘ったるい声。紺野さんがこんな声を出すなんて。

「よしじゃあ、紺野くんが好きな体位で抱いてやろう。君は後ろから突かれるのが大好きだろう?」
「ヒッ……い、あ、あぁっ」

 中からゴソゴソと物音。恐る恐る覗くと、男が紺野さんの体をひっくり返し、細い腰を引きよせていた。角度がかわったせいで、2人の横顔が見える。小太りの男の相手をしているのは、紛れもなく紺野さん本人だった。

 垣内と呼ばれた男は、焦らすようなゆっくりとした速度で紺野さんの中へ陰茎を抜き差しする。紺野さんは体を顎をあげたり下げたりしながら、切なげに声を漏らした。

 見れば紺野さんも勃起している。粘ついた液体が糸を引いて布団に垂れているのまで見える。

「紺野くんがまだ学生の頃にインターン生としてうちの事務所に来た。ちょうどおまえくらいの年だ」

 父の声にはっと振り返る。父は徳利から酒を注いでいた。

「一目見てわかった。この子は男に組み敷かれることが好きなタイプだとな」

 と一気に酒を煽る。

「卒業後もちょくちょくボランディアとしてやってきた。先生のためなら身も心も捧げますって顔で、俺のことを熱っぽい目で見るんだ。最初は扱いに困ったが、ある時、彼の正しい使い道に気が付いた。それがこれだ」

 隙間へ視線を送る。

「ん──ッ、あ、ああっ……そんな……あぁ……社長っ……ん、ひどい……私を……焦らして……っ」
「ゆっくり時間をかけて責めたほうが、君は素直で可愛くなるからね。それまで僕はイカないし、君もイカせないよ」

 垣内は抜けそうなほど腰を引いて、またゆっくり奥へ押し戻した。それを何度も繰り返す。紺野さんは嫌々をするように首を振った。

「もうすぐ選挙だろう。君の頑張りを望月先生も期待していると思うよ」
「はっ……ああっ、先生……っ、先生……!」
「君の献身ぶりには嫉妬するよ。そんなに望月くんが好きなのかい」
「は……いっ……わたし、を……拾ってくださった、先生には……ご恩がっ……んっ……あぁっ」
「ご恩だけじゃないだろう。本当に君はかわいそうでかわいい子だよ」

 また拷問みたいな長い責めが始まった。紺野さんは熱に浮かされたように親父を呼び続ける。当の親父はいつの間にか立ちあがって背広を羽織っていた。

「親父、どこ行くんだよ」
「俺はどんな女も抱ける自信はあるが、男だけは無理でな。あれには悪いが、見ているだけで気持ちが悪い」
「自分がやらせてるんだろ」

 父は苦笑いを浮かべた。

「その分給料は多く渡してある」

 そういう問題じゃないだろう。紺野さんの性的志向と自分への思いを利用して、選挙のために男に抱かせるなんて、我が父親ながら酷い真似をする。

「終わると紺野くんはまともに歩けなくなるんだ。家まで送ってやってくれ。今日からそれはお前の仕事だ。あとは頼んだぞ」

 勝手なことを言うとスーツの裾を翻して父は部屋を出て行ってしまった。一度言いだしたらきかない性格の人だ。追いかけても頭ごなしに「お前がやれ」と言われるだけだろう。

 納得できないが、紺野さんを置いて帰るわけにもいかない。仕方なく残るしかなかった。

 隣からはあいかわらず垣内の嫌らしい言葉責めと紺野さんの喘ぎ声が聞こえる。前より湿ってすすり泣きみたいな声に変わっている。

 まともに聞いていられない。酒を飲んで気を紛らわせたいが、運転しなきゃならないからそうもいかない。

 まったく面倒なことを押しつけてくれたもんだ。政治家がきれいごとだけでやっていけないと、世間の誰もが知っている。俺だって親父が清廉潔白だなんて思ってはいなかったが、これは予想外だった。種類が違う。

 溜息が零れた。時間の経つのが遅い。

 聞きたくなくても、隙間から紺野さんの声が聞こえてしまう。

「ああ……社長っ、社長……も、許して……、ちゃんと、なかを……っ」
「中をどうして欲しいんだ?」
「社長の……おち……ちんで……私のなかを……強く、こすって、ください……!」

 これをあの紺野さんが言っているのか?

 男と繋がっているのを目の当たりにしてもまだ信じられない。どんな顔で言っているんだ。膝で移動して隙間から中を覗いた。

 四つん這いの紺野さんと、後ろから犯す垣内が見えた。垣内は好色そうな笑みを浮かべている。

「どうしてそうして欲しいんだい?」
「ひどい……知って、らっしゃる、くせに……ッ」
「君の口からちゃんとおねだりして欲しいのさ」
「わ、私が……、おちんちんで、なかを……こすられるのが、好きな、淫乱……だか、ら…です……! おねがいですから……もう、焦らさない、で……!」
「そうだね、君は勃起したおちんちんでズボズボなかを擦られるのが大好きな淫乱秘書だからね」
「は……い……ああ……社長、お願いです……はやく……!」
「よしよし、君の望み通り、僕のおちんちんで擦りまくってあげるよ」

 垣内は宣言すると一気に紺野さんの奥へ根本まで突きさした。突然の激しい突き上げに紺野さんの背中が大きくしなる。

「ひぃ──ッ……!! ひ、あ、アアッ……!!」
「おお、おお。中がきつく締まったぞ。僕のちんぽを食いちぎる気か君は」
「ひあぁ……ぁああっ……あ、ああ……! だめ……いまは、まだ……動いては、だめ……んあぁ……社長、ああ、だめ、社長……っ!」
「はっは、中がびくびく痙攣して絡みついてくる。さては君、気をやったな。僕に無断で気をやるとはこれは許しがたいことだぞ」
「ああ、もうし、わけ……ありませ……んっ……社長のおちんちんが……強すぎ、て……はあぁっんっ」
「よしじゃあ罰として君が動いて僕をイカせるんだ」

 垣内はずぼっとペニスを抜くと布団の上に寝転がった。支えを失ったように紺野さんがぐったり倒れ込む。「上に乗るんだよ、さあ」と垣内は紺野さんの尻を叩いた。

 ハアハアと荒い息をしながら、紺野さんは震える腕で体を起こし、垣内の股間に目をやった。使いこまれた赤黒い極太のペニスがヌラヌラと濡れ光っている。

 紺野さんがごくりと唾を飲みこんだのがわかった。親父にむりやりやらされているのかもしれない。だが行為から快感を得ているのは確かなようだ。



太雄ーーーー!!(好き)

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One Way(1/3)

2019.08.29.Thu.
※モブ姦

 起きたらもう昼前だった。昨夜、仲間と遅くまで遊んだせいだ。二日酔いで頭が痛いし、なんなら軽い吐き気もある。とりあえず顔を洗って薬を飲もう。

 あくびしながら階段を下りたら、親父の書斎の前に人がいた。秘書の紺野さんだ。

「紺野さん、おはよー」
「……もう昼ですが」
「あ、じゃあこんにちはー」

 へらっと笑いながら手を振る。紺野さんは小さく頷くだけ。

 ぱっと見、顔は整ってきれいに見える。眉は細くて、目は一重で切れ長、鼻筋通って、薄い唇は赤い。喜怒哀楽を忘れたようにいつも無表情で肌も生ッ白いもんだから、この人の顔を一分も見ていたら爬虫類を連想するようになる。例えば白い蛇。

 紺野さんが家に出入りするようになって2年ほど経つが、俺がどんな冗談を言おうがからかおうが、この人は1ミリも表情を変えない。笑った顔も怒った顔も一度も見たことがない。能面みたいな人だが、まだ二十代のこの人を親父が私設秘書として雇ったということは優秀なんだろう。

 酒を飲んで親父の機嫌がいい時に「おまえも少しは紺野くんを見習え」と言われたこともあるほどだ。

 銅像のように書斎の前で立っている紺野さんと別れ、顔を洗い歯を磨いた。台所に行くと母親が家政婦の野崎さんとテレビを見ながら話をしている。

「おはよう」
「なにがおはようですか。何時だと思ってるの。今日学校は?」
「昼から」
「本当に? 単位は大丈夫なんでしょうね。留年なんてなったらお父さんカンカンに怒るわよ」
「ハイハイわかってますって。野崎さん、頭痛いから薬欲しいんだけど」

 家政婦の野崎さんが薬箱から鎮痛剤を出してくれた。それを飲んだあと、野崎さんが用意してくれた昼ご飯を食べる。

「昨日は何時に帰って来たの。頭が痛いってどうせ二日酔いでしょう。酒臭いったら。あなた自分が学生だって忘れてるんじゃないでしょうね。毎日毎日遊んでばっかりいて。あなたとお父さんは別々の人間だけど、世間はどうしたって望月欣二郎の息子だって目で見るんですからね。もう少しシャンとしてちょうだい」

 ここぞとばかりに母の説教が始まった。野崎さんは仕方がないという顔で苦笑を浮かべている。世間の評価は俺だって知ってる。望月議員の長男は出来損ないの放蕩息子。ただ年相応の遊びをしているだけでこの言われようだ。俺まで議員並みの品行方正さを求められちゃたまらない。

 政治家の父親なんか持つもんじゃないとつくづく思う。

「とりあえず卒業できればいいなんて考えてちゃ駄目だよ。なんのために大学まで行くのかよく考えなさい。自分のしたいこと、やりたいことを見つけるために行くのよ。そのためのお勉強をする場所なのよ、大学っていうところは」

 返事せずにほうれん草のごまあえを口に運んだ。母の言うことには反発しか感じない。好きな仕事をしろと幼いころから言われてきたが、父と母の口ぶりや眼差しから強い圧力をいつも感じる。後援会の人達はもっと露骨で「公維くんにはお父さんの跡を継ぐ意思をしっかり持ってもらわないと」と面と向かって言われる。

 実は父も世襲議員だ。質実剛健な祖父とは違い、父の最初の頃の評判は巧言令色鮮し仁。

 若い頃の父は銀幕スターかと言われるほどの色男で、女性からの支持も多く、テレビや雑誌の取材ではそれこそ芸能人ばりに愛想を振りまいていたらしい。

 甘言を弄して人心を惑わすが実が伴わない。風当りもきつかったらしいが、祖父が亡くなり告別式での毅然とした父の態度で評判は変わり始めた。質実剛健な祖父を思わせる言動を引き継いでからは剛柔使い分けのできるカリスマ政治家へと見事転身した。

 父に言わせれば、すべて最初から計算だったという。若造がどれだけ頑張ったところで世間は認めない。なら評判を落としておいて、いざという時、ひっくり返せばいい。落ちていた分、評価は爆上りする。

 いまの俺と変わらない年でそんなことを考えていたらしい。

 俺にはそんな計算も野望もない。

 政治家に向いてない、とはっきり言ったこともあるが、判断できるほどの経験もないくせに生意気を言うなと一蹴された。憲法第22条、職業選択の自由は俺には認められていない。だから母の言うことは詭弁である。素直にハイと返事できるはずがない。

「わかったってもう。ただでさえ二日酔いだってのに、ますます飯がまずくなるよ」
「自業自得でしょうが」

 ピシャリと母に言われて、これ以上反論するのはやめた。火に油を注ぐだけだ。

 軽く食べてあとは残した。母の説教のせいで食欲が失せた。

 午後の講義は端から出る気はなかったが、家にいたらまたガミガミ言われそうだから出かけるしかない。誰か誘える知り合いはいないかと頭のアドレス帳をスワイプしながら階段に向かう。

 書斎の前にはまだ紺野さんが立っていた。薄暗い廊下の暗がりに、色の白い顔が浮かびあがる。

 俺から話しかけないと、この人と会話は始まらない。

「さっきからなにしてるの?」

 声をかけると紺野さんは顔をこちらに向けた。あいかわらず能面無表情。

「先生が中で電話中ですので」
「だからそこで突っ立って待ってるの?」
「そうです」

 声に温度があるとしたら、この人の声はきっと冷たいに違いない。

「紺野さんはなんで親父の秘書になったの?」
「先生の政策、政治家としての在り方に強く惹かれたからです」
「俺じゃなくて紺野さんが息子だったら親父も嬉しいんだろうね」

 嫌味と冗談半分で言った俺の言葉に、紺野さんの口角がわずかに持ちあがった。

「私が? それはないでしょう」

 例え冷笑であったとしても、この人が笑うなんて滅多にない。いや初めてみた。茫然と見ていたらすぐ笑みは消えた。

「君は早く学校へ行きなさい」

 ここでも説教されちゃかなわない。すぐ退散した。

 ~ ~ ~

 結局午後の講義に顔を出し、そのあと友人たちと遊びに出かけた。ほとんどのメンバーは親父の会社を継ぐだとかコネ就職が決まっていて気楽なもんだ。俺も親父のツテでとある企業への内定が決まっている。

 そりゃ恵まれてると思うし、世間からやっかまれるのも仕方がないと思う。だけど生まれた時から他人とスタートラインが違うのは、持って生まれた運としか言いようがないので俺のせいじゃない。

 連日午前様だと母の説教が増える。今日は少し早めに帰宅した。「あら珍しい」と母の嫌味を受け流し、野崎さんの晩ご飯を食べる。

 食べ終わって熱いお茶を飲んでいたら家の電話が鳴った。野崎さんが母へ繋ぐ。

「公維なら家にいますけど」

 と母が俺を見たので嫌な予感がした。

 受話器を戻した母が俺に向き直る。

「お父さんが忘れものを届けて欲しいんですって。『いすゞ』まで行ってきてちょうだい。どうせ暇でしょ」

 ほらきた。

「いや、レポートとかあるし」
「帰ってきてからでもいいじゃない。昨日も今日も遊びほうけていて、どの口がレポートだなんて言うのかしらね。本当に勉強するのかどうか、野崎さんに見張っててもらいましょうか?」
「……わかったよ。行くよ。なに持ってきゃいいの?」

 やけくそで言うと、母は部屋を出て、封筒を持って戻ってきた。

「車で来なさいって」
「なんで? タクシーでいいじゃん」
「知らないわよ。お父さんが車で来なさいって言うんだから車なんでしょ」

 わけがわからない。俺が酒を飲んでたらどうするつもりだったんだ。精一杯の抵抗として肩をすくめてみせてから、母から封筒を受け取った。親のすねをかじっている間、どうしたって立場が弱いのは致し方ない。

 車を運転して指定された料亭へ向かった。政治家が密談する場所と言えば料亭。ベタすぎて笑える。「いすゞ」は祖父の代から使っていて父もその伝統を変える気はないようだ。

 話が通っていたようで、中に入るとすぐ仲居がやってきて「こちらです」と奥の座敷へ案内してくれた。仲居はそそくさといなくなった。

 襖を開けたら父がいた。ひとりで煙草を吸っている。

「密談は終わったの?」

 俺の冗談に「馬鹿か」と親父。そういえばいつも一緒の紺野さんがいない。だから車で来いと言われたのかと納得しかけた時、奥の部屋からくぐもった声が聞こえた。

 父は意に介さず煙を吐きだしている。

「おまえ、卒業後の進路はどう考えてるんだ?」

 俺は隣の部屋が気になって仕方がないのに、父はどうでもいい話をし始めた。

「どうって、××物産に内定もらってるじゃん」

 父の口利きだ。まさか忘れたのか。耄碌するにはまだ早いはずだが。

「そうじゃない。そのあとのことを言ってるんだ」
「そのあとって言われても……適当に結婚して子供作って──」
「俺の跡を継ぐ気はあるのかと言ってるんだ」

 呆気に取られて父を見た。父は真面目な顔つきだ。

「はは、ないない。俺には向いてないよ」
「サラリーマンなら向いてると言うのか?」

 向いてると断言できる奴なんているのだろうか。答えに窮していると父は煙草をもみ消した。

「おまえの人生だ。おまえの好きにすればいい。だがもし、俺の跡を引き継ぐ気が少しでもあるなら、おまえに見せておくものがある。あとで文句を言われたくないしな。どうする、見ていくか?」

 親父は奥の部屋に繋がる襖に手をかけた。さっきから明らかに不自然な物音が聞こえている場所だ。好奇心を人質に交渉する親父のやり方は気に食わない。

 政治家なんぞになる気はない。だが隣の部屋でなにが行われているのか興味はある。ある程度想像はつくが、それを目の当たりにしたあと、家に帰って母にどんな顔をすればいいのかわからない。親父もただの男だ。職業柄、精力的な人間でないと務まらないことは理解はできるが……。

「そんなもの、改めて見させられても困るよ。世間が抱く政治家がやってそうなこと、そのまんまじゃないか」
「見る覚悟がないなら帰れ。二度とお前に政治の話はしない」

 人間、切り捨てられるようなことを言われると、途端に惜しくなるものである。

 父が政治家であることで嫌な思いもした。父はほとんど家にいなかったし、帰ってきたとしても大人の誰かと話をしていて子供の俺の相手はしてくれなかった。選挙期間はさらに酷くて母も家に居なくなり、俺の相手をしてくれたのは家政婦の野崎さんだけだった。

 見知らぬ通行人から罵声を浴びせられたこともある。

 しかし嫌な思い出ばかりでもなかった。家に出入りする大人は俺には優しかった。選挙事務所に行けばお菓子やらジュースやらの歓待を受けた。ボランティアのお姉さんが俺の初恋だった。

 当選すればこれまでの罪滅ぼしだと父は俺を目いっぱい構って甘やかした。その時の父は本当に優しくて楽しい父親だった。

 政治家である父のことは嫌いではない。恥ずかしくて口には出せないが、誇りに思っているし憧れがないでもない。政治家になった自分を想像したことだってある。

 結局、覚悟と自信がない、というのが俺の本音なのだ。

 父は無言で俺を見つめる。

 父と子でなく、男同士、腹を割って秘密を共有しようとしてくれているのだと気付いた。俺を一人前に扱ってくれたのは、これが初めてじゃないか?

 その秘密が母には言えない男女の色事であったとしても、俺は父を責める気はない。もちろん軽蔑もしない。若い頃は浮名を流したようだが、母と結婚してからは愛妻家を気取っていた父もただの男だった、それだけのこと。男なんて生き物は常にその機会を狙ってるものだ。だからハニートラップなんて原始的な手がいまだに通用するのだ。

 俺は父に頷いてみせた。

「ここで見たことは他言無用だぞ」
「わかってるよ」

 じっと俺を見たあと、父はゆっくり襖を開けた。





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2019.08.28.Wed.


 しおんの片足を便器に乗せさせて、手を前にまわした。しおんの乳首を抓った。中が更に締まる。

「アア──ッ!! そこ、やっ……さわっちゃ……だめ……っ!」
「しおんは女の子なんだから、おっぱいも触ってあげなくちゃね。ほらもうコリコリにしこって勃起してるよ」
「いやあぁんっ、だめっ、ちくびやだっ、さわっちゃ、やっあぁっああぁんっ」

 クネクネと体をくねらせる。乳首もモロ感らしい。いままで一人で悶々と、男に犯される妄想をしながら自分の体を弄りまわしていたんだろう。

「だめっ、でるぅ……! イッちゃうっ、またイッちゃうっ!!」

 トロッと透明な液体がペニスの先から出た。

 もう立つのも辛そうな体を抱えながら、俺も最後のピストンを開始した。

「ほら、しおんの結腸子宮襞、ちんぽの鬼ピストンでめくれあがってるのがわかるか?」
「ああっあっあんっ! わっ……かんなっ! だめっやっ! あっああぁっ! そんなに激しくしちゃっやっああっ!!」
「しおんの淫乱子宮襞で俺のちんぽチュッチュおしゃぶりしてくれよ、ほら、もっと力入れて、ちゃんと扱いてくれ」
「あっ、ああぁんっ……んっあっあぁっ! おにぃさんのっ、おちんぽ……おしゃぶりっ……するっ……はっ、ああっ……あはぁっ、あっ」
「そうだ、上手にできてるよ、しおん。俺の勃起ちんぽはうまいか?」
「はあぁっ、あっあっあぁ──ッ! は、い……おに……さんの、おちんぽ、おいし……っ!」
「そりゃよかった。しおんがちゃんと女の子になれた記念に、俺の子種汁をいっぱい飲ませてやるからな」
「アア──ッ……あっ、あ──!! ちょう…だ、い……おにいさんの、子種っ……僕のメスマンコに種付けして……!」

 こんな自暴自棄なセックスは初めてだ。だがこれほど興奮するセックスも初めてだった。このあとの賢者タイムは反動がすごそうだ。

「イクぞ、しおん! 望み通り種付けしてやる! 俺の子を孕めよ!」

 しおんを抱きしめながら射精した。まだ大人になりきれていないしおんの腸のなかに、汚れきった俺の精子が注ぎ込まれる。その瞬間は久松のことも頭から綺麗さっぱり消えていた。

 しおんの体がガクガク震えた。声にならない音を喉から漏らしながら、しおんは絶頂を迎えていた。

「ドライでイケたのか。おめでとう、しおん」

 しおんは気を失い、糸の切れた人形のようにぐったり倒れ込んできた。

 ◇ ◇ ◇

 それから数ヶ月後。

 久松の結婚式に出席した。タキシード姿の久松に少し胸が痛んだ。今でも、俺を見る久松の目に特別なものを感じる。なにを言いたい。なにを訴えかけている?

 前ほどその答えが気にならなかった。
 俺は久松を吹っ切れるだろう。

「おめでとう、久松」

 と握手をしたとき、既視感に襲われて一瞬、目の前の久松を忘れた。なにを思い出した? 誰を?
 家に帰ってから、公衆トイレで犯したしおんのことだったと思い出した。

 更に数ヶ月後──。

 異動シーズンで俺は新しい職場にいた。初日の仕事を終え、下駄箱で靴を履き替えようとした時、手紙が入っていることに気付いた。厄介事の予感しかない。

「学校の先生だったんですね。驚きました。先生のおかげで妊娠することが出来ました。この責任、取ってください。これを読んだら三年棟の横の体育倉庫まで来てください。来なかったらあのこと、バラしますよ?」

 手紙を読んで溜息が出た。たちの悪い悪戯だ。それとも誰かの下駄箱と間違えているのか。だとしたら、生徒に手を出した教師がいるということだ。

 どっちにしても、第一発見者の俺がまず対処のため動かねばならない。気が重い。これ以上面倒な仕事を増やさないで欲しい。

 靴に履き替え、指定の体育倉庫へ向かった。もう生徒は全員下校した時間。辺りは静かだった。

 手紙がいつ入れられたのかわからないが、送り主はもう帰っているかもしれない。ただの悪戯であってくれ、と思いつつ、ひとけのない倉庫の扉に手をかけた。

 音を立てながら鉄の扉が開いて行く。中には体育の授業で使うハードルやネットやボールなど、たくさんの道具が置いてあった。誰もいないとほっとしながら視線を右に移動させた先で、マットに座る人影を見つけてしまった。

「来てくれたんですね」

 声を聞いて驚いた。声は男のものだった。

 人影が立ちあがり、近づいてくる。暗がりから姿を現したのは制服を着た男子生徒。

「僕のこと、覚えてますか。先生」

 あまりのことに声も出なかった。

「こんなところでまた会えるなんて思わなかったから驚きました。それにまさか、先生だったなんて」

 と俺を見上げて微笑む。

「──しおん……!」

 胸のつっかえを吐きだすようにその名を呼んだ。

「あれからずっと、忘れられなかったんですよ。でも会えてよかった。責任取ってくださいね?」
「妊娠だって……? なんで、そんな、冗談……」

 しおんを犯したあれこれを思い出して、くらくら眩暈がする。

「冗談なんかじゃないですよ。言い方は過激だったかもしれないけど、僕、先生のこと好きになっちゃったんです。先生に種付けしてもらって、恋を孕んだんですよ」

 言いながらしおんは制服のボタンを外していく。俺は茫然とそれを眺めた。

「先生、あのとき別れ際に言いましたよね。こんな危ないこともうしないほうがいいって。言いつけ守って、あれから誰ともしてないんですよ。僕も他の人とする気になれなかったし。またいつか会えたらいいなって思いながらずっと一人でしてたんです。だから先生がうちの学校に来てくれたの、すごく嬉しくて、夢みたいだなって」

 しおんは全裸になった。以前より体が引き締まって男らしくなっている。股間の一物は天を向いて反り返り、立派だった。

「先生、また僕の淫乱メスマンコに種付けセックスしてください」

 俺に尻を向ける。挿し込まれたプラグが見えた。
 職場の学校で──生徒を相手にだなんて──。

 こんなこと絶対駄目だとわかっているのに、俺の手はしおんのプラグを引き抜いていた。

「今度こそ本当に孕ませてやるぞ」

 後ろ手に倉庫の扉を閉めた。





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2019.08.27.Tue.
<前話>

※淫語注意

「きれいな色だ。毛もないね」

 ふうと息を吹きかけるとそこはいやらしい匂いを放ちながらヒクついた。

「あぁん……早く入れてください……」
「何を入れて欲しいの?」
「おじさんの……ちんちんっ」
「おじさんってひどいな。まだ二十代だよ。お兄さんって呼んでよ」
「あ、ごめんなさ……お兄さんの、おちんちん、入れてください」
「おちんちん、どこに入れて欲しいの?」
「僕の、お尻の穴に……お兄さんの太いおちんちん欲しいです」

 トイレの棚に、彼が持ちこんだであろうローションのボトルが目に入った。

 いくら性欲を持てあます年頃とは言え、こんな場所で見ず知らずの男とセックスしようだなんてふつうは思わない。思っても実行はできない。

 それが出来るということは、彼はふつうじゃない欲望を抱えているということだ。掃除は行き届いていると言っても、アンモニア臭漂う公衆便所で、「誰でもいい。種付けして」と不特定多数の人間が見る掲示板に書きこんで男を待つだなんて、レ/イプ願望があるとしか思えない。非常に危険な行為だ。

 痛い目に遭ってからでは遅い。親が知ったら泣くぞ。

 内心で笑う。俺が言えることじゃない。

 勃起したペニスにローションを馴染ませた。充分にほぐれた場所に宛がう。ねっとり絡みつきながら、トロトロに蕩けた穴は易々俺を飲みこんだ。しかし奥はキツくて処女そのもの。ペニスを食った経験は少なそうだ。

「君のケツマンコ、思ってたよりきついね。今まで何本のちんぽここに咥えこんだ?」
「はじっ……はじ、め、てぇ……ぁあっ、あぁ……お兄さんのおちんちんが……! 初めてぇええっ……!」

 反り返りながら彼が途切れ途切れの声で言う。

「俺が君のケツマン第一号のちんぽなの?」
「う、んっ……はいっ……お兄さんのおちんちん、初めての、第一号おちんぽです……!」
「初めてなのに、処女ケツマンコに俺のちんぽ根本までぐっぽり咥えこんじゃった感想は?」
「はぁあぁ…っ…お、お兄さんの、おちんぽ……んぅ……太くて……おっきくてぇ……あったかいで……すぅっ……ん、はぁんっ」
「アナルプラグより本物のちんぽのほうがいいだろう?」

 彼は何度も頷いた。

「名前、聞いてなかったな」
「し、おんっ……しおんって、言います……っ」

 今時の名前だ。今時の青年が、今時のツールを使って、見ず知らずの男のちんぽをケツに咥えて喜んでいる。世も末だ。

「しおん、動くぞ。俺のちんぽでしおんのエロケツマンコ犯しまくって望み通り種付けしてあげる」
「あぁ……嬉しい、種付け……して、ください……!」

 こんな願望を抱いてしまうなんて、エロ動画の見過ぎだ。

 しおんの腰を抱え、ペニスを出し入れした。たっぷり潤わせたローションが中でグチョグチョと音を立てる。掻き出された分は強い摩擦に泡立った。

「あっああっ……! おちんぽっ……おに、さ……のおちんぽっ、すごいぃっ……!!」
「どうすごいのか教えてくれよ」
「僕の……なかっ……いっぱい、こすってっ……あついっ……ああぁっあ、あんっ……おちんぽ、あつい……!」
「しおんの処女ケツマンコも熱いぞ。ちんぽが火傷しそうだ」

 いったいどのくらいの時間プラグを入れていたのか。しおんの尻の中は本当に熱く熟れていた。男のペニスで犯されることをいまかいまかと待っていたような穴の具合だ。

「しおんは淫乱だな。初めてのくせに、そんなに気持ちいいのか? エロい声がトイレだけじゃなくて外の廊下まで響いてるんじゃないか? 初めてのキツキツケツマンコを、知らない男の勃起ちんぽに犯されてエロ声出してる淫乱な姿、誰かに見られたいのか?」
「ひぁ、あっ、ちがっ……ああぁっ!! あっあっああっあんっ、だめっ……こえ、止まんな……ひぃっ!!」

 高速ピストンでしおんのアナルを責め立てる。前に手を回したら、カウパーでグチョグチョになったペニスが脈打っていた。それも高速で扱いてやった。

「ひぃぁああんっ! あぁっ、だめっ、おちんちん触っちゃやだっ、ああっあっあぁんっ、出ちゃうっ、出ちゃうぅっ」
「出るって何が? しおんの勃起おちんぽからなにが出ちゃうんだ?」

 亀頭を捏ねくり回すとしおんは体を痙攣させた。

「ヒッ──いっ、あ……! それ、だめっああんっ……出ちゃうっ、勃起おちんぽから、おちんぽミルク出ちゃう──ッ!!」
「本当にしおんは淫乱だな。勃起ちんぽでエロマンコ擦られておちんぽミルク出すのか? このちんぽ狂いが」
「ぼくっ、ちんぽ狂いなの……! ずっとちんぽハメて欲しく…て……! ううっ、あはあぁっ……もう、だめッ……いくっ、イクゥ──ッ! おにいさ……んんッ!! 僕もう、イクッ! イッちゃうっ! ちんぽミルク出ちゃうぅ──ッ!!」

 体をビクビク震わせながら、しおんはビューッと大量の精液を吐きだした。

「う──きつっ……」

 思わす顔を顰めるほど強く締め付けられた。中も痙攣して収縮している。

「はあっ……はあぁん……あ、はあっ……」
「休憩するのは早いぞ。俺はまだイッてないんだからな」
「お兄さんの特濃ザーメン、僕に種付けしてください……」

 俺のまともな部分がしおんの将来を不安に思う。だが彼はもう手遅れだろうとも思う。俺もいまさらやめる気はない。しおんが望むまま、己の欲望を果たすまでだ。

「ちゃんと種付けしてやるさ。俺の子を孕めるように、もっと奥、しおんの子宮に直接注いでやる」
「僕の……子宮……?」

 しおんは不安と期待の入り混じったエロい顔で振り返った。

「エロエロのしおんなら知ってるだろ。S字結腸。男の子宮。いま俺のちんぽがキスしてるお前の子宮口、そここじ開けて奥までぶち込んで、俺の子を孕めるように億越えの精子注ぎ込んでやるって言ってるんだよ」
「精子……僕の……子宮に……?」
「そうだ、いくぞ」

 しおんの腰を掴みガン掘りした。勢いをつけてさらに奥へ押し進める。

「いああぁっあぁっあっ、おくまで……入って……るぅっ」
「まだ奥にいくぞ。しおんの子宮の入り口、俺のちんぽでノックしてるのがわかるか?」
「あぁんっ、わかっあ、あっあっ、それいじょう、きちゃ……だめぇえぇっ」
「ほらっ、いくぞ、いけっ、抜けろっ!」

 勢いをつけて突きあげると狭い入り口を亀頭がぶちゅんっと潜り抜けた。熱い粘膜に包まれる。しおんは背中を反らせて体を硬直させた。

「あひ──ッ、アアッ──ッ!! イィ……おく……きちゃ、や……言った、のに……いやあぁっ──ああっ」
「しおんの本当の処女膜、俺のちんぽで突き破っちゃったな。これで正真正銘、しおんのケツマンコはメスマンコになったんだよ、良かったな」
「いやぁ……ああ、だめ……まだ、動いちゃ……だ、め……やっ、おに、さ……やだっ」

 腰をゆっくり前後に揺すった。しおんの奥は生き物のようにうねって俺に絡みついてくる。アナルプラグを突っ込んで男を待つような子だ。家でバイブやディルドも経験済みだろう。アナルで感じるようにすっかり開発されている。

「学校の友達にはなんて呼ばれてるの?」
「ふ……ふつうに、しおんって……」
「君が大人の勃起ちんぽ大好きな淫乱メスマンコだって知ってるの?」
「知らな……知らない、です……っ」
「君の学校の友達にこの姿を見せてやりたいな」
「やっ、いや……ああっ、そんな、恥ずかしい……」

 想像をしたのかキュッときつく俺を締め付けた。

「本当は見てもらいたいくせに」

 強く腰を振った。コールラウシュ襞をグボッブポッと音を立てて中で出し入れする。キュッキュと収縮し、ペニスに絡みついてくる。

「い、やあぁっ──ッ! あ、ああっあっあぁぁんっ、ふかぁ、いっ……いっあっあんっ、おくまで、当たって……やだぁっ! あんっ、あっ! あん! おちんぽ、グポグポ、しちゃ、やっ、あひぃっ!」

 しおんは正気を失ったように声をあげ続ける。

「声、止まらないみたいだね。しおんのエロメスマンコに勃起ちんぽグチョグチョ出し入れされるの、そんなに気に入った?」
「うっ、うんっ──ッ! ああっあっ、これ……! 好きぃっ! きもちいっ! もっと僕のメス子宮、おに、さ……の、おちんぽ出し入れしてっ……グチョグチョに、してぇ……!」
「グチョグチョのドロドロにしてやるよ」

 激しく腰を動かしたら、しおんは悲鳴のような声をあげて達した。

「また俺より先にイッたのか?」
「あっあっ……ごめ…さ……はあぁはあっ……はあぁ、あん……」

 しおんはぐったりとタンクにもたれかかった。まだ体が小刻みに震えている。快感の波が途絶えないのだ。いましおんの全身は敏感になって、些細な刺激にも耐えられない状態だろう。

 しおんの左足を掬い上げ、半身をこちらに向かせた。うっとりした表情のしおんが俺を見上げる。目が合うと、首に腕を回して顔を近づけてきた。

 しおんとのキスは精液の味がした。中を舐め回すとしおんはまた軽くイッた。ペニスの先からトロトロと液体が溢れる。もう勢いのある射精はしない。ドライまでもうすぐそこだ、という手ごたえがあった。





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2019.08.26.Mon.
※未成年、淫語がくどい

 高校時代の友人の結婚が決まったので、ひさしぶりに仲の良かったメンバーで地元に集まり酒を飲んだ。

 スマホで見せてもらった久松の結婚相手は可愛い系。朝の情報番組に出ているお天気お姉さんに似ている、らしい。俺は女に興味がないから、女子アナとかお天気お姉さんには疎い。

「公祐は彼女は?」

 仲間のからかいから逃れて、久松が俺の隣に座って言った。

「彼女? いないよ」
「公祐ならすぐできるだろ」
「そんな簡単にできるわけないだろ。仕事も忙しいし、それどころじゃない」
「激務だ、働き方改革だって言ってるもんな」
「おまえの結婚式には必ず出席するから安心しろ」
「ああ、約束だぞ。おまえには絶対来て欲しいんだ」

 熱く潤んだ目が俺をじっと見つめる。

 どうしてそんな言い方をするんだと訊ければいいんだろうが、そう簡単に聞けない事情があった。

 久松と俺はまわりからニコイチの親友だと認識されるほどいつも一緒にいた。付き合ってるんじゃないのかって、からかわれることもあった。俺のほうは密かに恋心を抱いていた。久松はどうかしらない。でも俺を見つめる眼差しとか、俺にだけ向けるはにかんだ笑顔とか、二人きりになると甘えてくる態度とか、俺を勘違いさせるような言動はあった。

 告白する勇気はなくて、確かめるように距離を詰めた。友達以上に密着して、頬を寄せて、事故に見せかけて唇を触れ合わせたりした。久松は避けも怒りもせず、はにかむだけだった。

 しかしどれも決定打に欠ける気がして、結局最後まで勇気を出せないまま卒業してしまった。

 別の大学に通い、滅多に会わなくなって、久松に彼女ができたことを人づてに聞いた。間違って告白しなくてよかったと胸をなでおろした。

 今度結婚するのは、別の娘だ。俺は男しか無理でも、久松はそうじゃない。高校のころの久松の思わせぶりな態度は俺の思いこみだったのだろう。あるいは、疑似恋愛のようなもの。その真似事にすぎない。

 久松の潤んだ目が訴えかけるものが例えその当時の真似事と同じ類のものだったとしても、今度結婚する久松に問いただす意味がない。傷つくのは嫌だし、振り回されるのも嫌だ。

 だから気付かないふりをして「式には必ず行くよ」と久松から目を逸らした。

 飲み会のあとまっすぐ帰る気にはなれず、久し振りに羽目を外したくなって、実家とは反対方向へ足を伸ばした。移動の電車のなかでハッテン場掲示板を覗く。自分から書きこんで落ち合う度胸はないが、都合のいい人がいたら行ってみたい。

 久松の結婚に少なからずショックを受けている自分がいる。
 そして俺に気が残っているような久松の素振りにも腹が立つ。
 だから憂さを晴らしたかった。

 場所を知っているハッテン場に書きこみがあった。

「誰でもいい。種付けして」

 即物的な書きこみ。リロードしたらすぐ返信がついていた。

「もうそこにいるの?」
「2階のトイレにいます」
「プロフ」
「170 55 20」
「いますぐ行く。ケツ穴解して待ってて」
「オナニーして待ってます」

 出遅れてしまったが、とりあえず俺も行ってみることにした。見るだけでもいい。仲間に混ざるのもいい。ハッテンバで憂さ晴らし。いまの殺伐とした俺の気分にちょうどいい。

 知る人ぞ知るその場所は某駅ビルの男子トイレ。奥まった場所にあって一般の利用者は少ない。

 大学在学中に二度、俺も来たことがある。最初は興味本位。怖気づいてトイレにいる男を見て逃げた。二度目はフェラをしてもらった。

 今までちゃんとした恋人と付き合ったことはない。ネットの出会い系や有料ハッテンバ、デリヘルなんかで性処理するだけで、自分から積極的に恋人を作ろうともしなかった。

 異動のある仕事だし、継続的な関係を築くことが億劫でもあった。

 だから今日も一時凌ぎの性欲発散のつもりだった。

 あたりを見渡してからトイレに入った。奥の個室から人の気配がする。小便器で用を足しながら聞き耳を立てる。くぐもった呻き声と、開放的な息遣い。時折聞こえてくる水音。

 水を流し、そっと個室を覗いた。手前に男の背中。その股間で揺れるもう一人の頭。

 フェラをしている彼が俺に気付いた。二十歳という書きこみだったはずだが、間違いなくそれより若い。未成年だ。

 慌てて引き返そうとしたが、じっと見つめてくる彼から目が離せなくなった。

 手前の男は終わるとそそくさと個室を出て行った。入れ替わりに俺が彼の前に立った。

 近くで見て、やはり未成年だったと確信を持った。まだ高校二年生くらいだろう。こんな年でもうハッテンバに書きこんで男を漁っているのだ。行為の危険性を充分理解できているのかと心配になる。

 こんな場面でそれを言えば無粋になる。第一、ノコノコ現れた俺が説教だなんて笑わせる。

 いつもなら未成年者なんて絶対相手にしない。今日の俺は、冷静な判断ができなくなっている。

「俺のもしゃぶってくれる?」

 跪いたままの彼に問うと、こくんと頷いた。髪は黒く、少年ぽさを残したあどけない表情。制服を着て学校の教室にいる彼をまざまざと想像できる。

 目立つタイプではないが、友達は複数人いて、休み時間は仲間と談笑。年相応の悪いこともこっそりやるが、度を越したことはしない。友達の恋バナに適当に話を合わせ、家に帰ったらスマホで男を見ながら抜いて罪悪感で落ち込む。性欲を発散する相手が見つからず、妄想は過激さを増し、エグイ願望が芽生える。そして溜まった欲望はいつか堰を切ってあふれだす。

それが今日だったのかもしれない。

 俺のペニスを咥える彼を見ながら勝手な想像をする。背徳感はある。やめた方がいいとわかっている。だがやめなかった。彼が高校生の久松だったら、と姿をダブらせて見ると、あの頃の劣情が思い出されて止まらなくなった。

 頭を押さえ付け、喉の奥にまで亀頭を押し込んだ。苦しそうな顔をしながら彼は飲みこんだ。

「苦しくない?」

 涙を滲ませながら彼は健気に頷いた。

「動くね」

 宣言してから腰を振った。彼の喉が痙攣する。子犬みたいな呻き声。

「君、二十歳なんて嘘だろう」

 バレた、という目が俺を見上げて逸らされた。

「高2くらい? こんなところで男のちんぽ咥えるなんて悪い子だ。君が男の勃起ちんぽ喜んでしゃぶってること、学校の友達は知ってるの?」

 彼は首を左右に振った。

「いつもここに男漁りに来るの? いままで何本の雄ちんぽしゃぶった?」

 彼はまた首を振った。目から涙が零れる。答えることを拒否しているのか、訊かれたくないという意思表示なのか。

「きみのくちマンコがきついからもうイキそうだよ。のどでしっかり扱いてね。俺の精子、直飲みさせてあげる。好きだろう? 熱くて濃い雄汁」

 彼は目を見開いて痙攣した。見ると前を広げた股間から勃起ペニスが天を向いて白濁を撒き散らしていた。

「俺より先にイッちゃったの? そんなにのどマンコをちんぽで突かれるのは気持ちよかった? そんなに好きなら俺の特濃精子たっぷり出してのどに絡ませてあげるね」

 頭を押さえ、根本までぎっちりハメて彼の喉へ射精した。彼は顔を歪めながらもそれを飲み下した。乱暴なことをしている自覚はある。見ず知らずの彼にしていることは、完全な八つ当たりだ。

「おとなしそうな見た目のわりにド助平だね。さてはそうとう遊び慣れてるな。じゃあ、後ろの穴も使わせてくれるかな? 今日は一回で終わらせる気はないんだ」

 彼はヨロヨロ立ちあがると後ろを向いた。自分でズボンとパンツをずり下ろし、俺に向かって尻を突きだす。驚いたことにアナルプラグを挿し込んでいる。見た瞬間は眩暈のようなものを感じたが、同時に怒りも湧いた。

「準備万端ってわけか。じゃあ遠慮なくこっちにも突っ込ませてもらおうか。君も欲しかったんだろ、太くて硬いやつが」
「ほ……欲しいです……」

 か細い声が答える。

「さっきの人は……こどもには無理だって……入れてくれなくて……」

 入れ違いで出て行った男のことか。あいつのほうが俺より人としてマシな人間だ。

「俺はそんなこと言わないよ。アナルプラグでほぐれた準備万端のいやらしいケツマンコに、俺の硬くて太いちんぽ奥まで突っ込んでグチャグチャに掻きまわしてあげるから」
「おねがい、します……」

 彼は自分で尻を広げた。輪っかになったプラグの先端に指をかける。ゆっくり引き抜くと、彼のアナルは物欲しそうにパクパクと収縮していった。




唸れ俺のプライド!www

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大事だったのに(3/3)

2019.08.25.Sun.


 一番近いトイレに宝生はいた。突如現れた俺を見て、ぎょっとした顔をする。顔を洗ったのか、前髪と首元のシャツが濡れていた。

「大丈夫か?」
「…………なにが」

 低くて、硬い声だった。顔も強張っている。それでも返事をしてくれたことが嬉しかった。

「食べ過ぎたって」
「………ああ、別に」

 と目を伏せる。睫毛がまだ濡れていて、泣いているように見えた。それを見たら何も言えなくなった。言う資格が、俺にはなかった。

「あ、じゃあ──」

 トイレを出ようと身じろぎした時だった。

「………元気、だった……?」

 思いがけず宝生から話しかけて来てくれた。俺は何度も頷いた。

「ああ、元気だった。宝生は?」
「俺も………普通に………」
「そうか。よかった」

 会話が途切れ沈黙が流れる。宝生に話したいことはたくさんあった。どれものどにつかえて出てこない。胸が潰れそうだ。

「宝生」

 顔を伏せたまま、宝生が目を上げる。

「……………なに」
「あの頃は、すまなかった。おまえのことを考えないで、酷いことばかりして。ずっと、それを謝りたかった。本当にすまない」

 頭を下げた。膝が震えていた。

「いまさら…………そんなこと言われても………」

 もっともだ。宝生が傷つけられたのは今じゃない。こんな謝罪は無意味だ。俺の自己満足でしかないんだ。

「それでも、どうしても、おまえに謝りたかった。ごめん」

 さらに深く下げた。頭を上げようとしたら「待って」と声がかかった。なんだと思う間もなく、腕を引っ張られて、個室に押し込められた。

「宝生?」
「しっ」

 扉を睨みながら、宝生は人差し指を口に当てた。こんなに近くで顔を見るのは久し振りだ。

 見とれていたらトイレに誰かが入ってきた。二人分の足音と話し声。会話の内容から、同窓会のメンバーらしい。二人は女の話をしながら用を足すと、俺たちに気付くことなくトイレを出て行った。

 宝生がほっと息を吐きだす。そして俺の腕を掴んだままだったことに気付いて慌ててはなした。

「ご、ごめん」
「いや、でもなんで」
「えっ」
「別にふたりで個室に入らなくても」
「……あっ! な、なんとなくだよ、咄嗟に!」

 とそっぽを向くが、個室を出る気配はない。扉の前に立っているから、俺も出られない。

 しかしいつまでもここにいるわけにはいかない。宝生だって、俺と近くにいるのは嫌だろう。

「久し振りに宝生に会えて嬉しかったよ」
「えっ。あ、そう」

 俺の言葉に宝生はいちいち驚いたように反応する。怯えられているようでいたたまれない。だとしても、俺の自業自得だ。

「おまえに謝れたらと思って来ただけだから、俺はもう帰るよ」
「えっ、もう?」
「うん。他の奴らと話もできたし」

 思いつめたような顔で宝生が黙り込む。

「あ……、じゃあな。そうだ、腹の具合が悪いなら、ホテルの人に言ったら胃薬もらえるかもしれないぞ」

 聞いているのかいないのか、うんともすんとも言わない。

 扉の前からも退いてくれない。宝生に触ることは躊躇われた。だから言葉にして言うしかなかった。

「そこ、退いてくれるか?」

 宝生は顔をあげた。泣きそうな顔で俺を睨みつける。

「……謝ったくらいで許されると思うなよ」

 想像のなかで何度も言われた台詞だが、本物に言われるとかなり堪える。

「人を物みたいに扱っておきながら」
「ああ、最低だった。本当に悪かったと思ってる」
「おまえに同じことさせろよ、そしたら許してやる」
「同じこと?」
「俺のを咥えろよ」

 宝生はズボンのファスナーを下げた。中からペニスを出して俺に向ける。

「本気か?」
「ほんとに悪いと思ってんなら、できるだろ」

 と俺を挑発する。こんなことを言う奴じゃなかった。言わせたのは俺だ。

 膝を折り、宝生の股間に顔を近づけた。付き合っている間、結局一度もイカせられなかった。これも罪滅ぼしになるんだろうか。
 柔らかいペニスを口に含んだ。

 やったところで、宝生は勃つのか? 俺を嫌っているし、なんだったら怯えているようにも見える。

 当時の不安が頭を擡げた。体温が下がるような心地がする。俺にとってもトラウマになっている。

 口のなかで、宝生の体積は増していった。無心で舌と口を動かした。宝生に頭を掴まれた。ぐっと奥まで押し込まれる。吐き気を堪えながら口淫を続けた。

 何分そうしていたのか。射精するどころか、その気配からどんどん遠ざかる。前と同じだ。俺では宝生をイカせられない。心細さと申し訳なさから、胸が苦しくなる。

「もういい……!」

 ずるっと口からペニスが抜けた。肩を押された拍子に尻餅をついた。

 宝生は顔を擦りながら、萎えたペニスをズボンのなかに仕舞う。

「おい、そんなにしたら……」

 あんまり強く顔を擦るので、心配になって腕を掴んだ。顔を背けた宝生の目元は真っ赤になっている。静かに息を飲む俺の目のまえで、宝生の頬を涙が滑り落ちていった。

 なんで、と言いかけて俺のせいだと口を噤んだ。泣かれるほど、嫌われていたのだ。

「ごめん」

 宝生の腕をはなした。泣くのを堪えるためか、宝生は唇を噛んだ。嗚咽を飲みこみ、肩先を揺らす。

「ごめん、もう二度と関わらないから」

 許してもらえると思っていたわけじゃない。でも心のどこかで、「昔のことだろ」と言ってもらえるんじゃないかと、甘い期待があった。俺は本当に馬鹿だった。

 宝生に触れないよう、トイレの鍵に手を伸ばした。

 いきなり胸倉を掴まれ、奥の壁に打ち付けられた。胸が苦しくなるほどの強い衝撃。宝生の怒りそのものだ。次にくる暴力も受け入れるつもりで、宝生を見つめた。

 泣き顔も隠さないで、宝生は俺を見ていた。

「……このくらいで許さないって言っただろ……!」

 真っ赤な目に涙を溜めて宝生が言う。俺はうなだれるように頷いた。

 瞬きをした拍子に、宝生の目から涙が零れた。

 それを見た瞬間、痛ましさと切なさがこみあげて、衝動的に指で拭っていた。

 驚きと怯えの入り混じった顔を見せたが、宝生は逃げなかった。少ししておずおずと俺の手に頬を押し当ててきた。

「……宝生の気の済むようにしてほしい。どうしたら許してもらえる?」
「簡単に許すわけねえだろ。さんざん酷いことして、人のこと不感症呼ばわりしたくせに」

 と言いながら、俺が親指で頬を撫でることを止めない。ゆっくりした動作で瞼を閉じて、されるがままになっている。

「あれはほんとにごめん。俺がへたくそだったのに、宝生のせいにした」
「ほんとだよ、おまえとやっても、ぜんぜん気持ち良くなかったんだからな」

 ずばりと切りつけられて返す言葉もない。以前の俺なら耳を貸す余裕もなく、躍起になって否定していただろう。

 前に付き合った年上の男からさんざんダメ出しをされたおかげでつまらないプライドは跡形もなく砕け散っていた。おかげで宝生の言葉を素直に聞ける。

「今日も無理だったな。嫌な思いだけさせて、ごめん」
「今日は……」

 宝生の目がうっすら開いた。かと思ったら、目を伏せたまま黙っている。

「宝生?」
「……さっき……、倉持となに話してたんだよ」

 消え入りそうな小さな声だった。いきなりの話題に面食らう。

「倉持と? えっと、おまえとはやく仲直りしろって」
「それだけ?」
「あとは……、高校のとき、おまえにした頼み事を忘れてて欲しいって言ってたな」
「高山に好きな子がいるか、聞いてほしいってやつ?」

 覚えてたのか。そうだ、と頷いた。

「あいつ、おまえのこと好きだったんだよ」
「みたいだな。さっき聞いた」
「いまも好きなのかも」
「ないだろ。昔の話だって言ってた」
「そうは見えなかった。おまえも、デレデレしてた」
「してないよ」

 どうだか、と宝生が唇を尖らせる。手の平に当たる頬が熱い。

「もしかして、嫉妬してくれてる?」
「してねえよ、なんで俺が」

 そう言う宝生の顔は赤い。また身の程知らずな期待をしてしまいそうになる。手を離そうとしたら、押し戻された。挑むような強い目が俺を見上げる。

「倉持に頼まれたから、好きな奴がいるのかってしつこく訊いたんだ」

 高校のときの話だろう。しつこく訊かれて、どうとでもなれと自棄になって宝生が好きだと言った。

「俺だって言われて嬉しかった。俺も好きだったから」

 それは初耳だった。俺もあえて訊かなかった。俺と付き合ってくれたのは、単なる好奇心と、友達を辞めるとまで言った俺にしつこく訊いた罪悪感からだと思っていたからだ。まさか好きでいてくれたなんて、思いもしなかった。

「さっきイケなかったのは、倉持のことが気になったから」
「倉持が、なんで?」
「あいつまだおまえのことが好きなのかもって。おまえも、満更じゃないのかもって思ったら、気になって仕方なくて」

 不安げで頼りなさげに話す宝生に激しく動揺した。胸を掻きむしられるような思いだった。あまりのショックで咄嗟に体が動かなかったのは幸いだった。でないと俺は宝生を抱きしめていただろう。

「最低な奴だってわかってるのに、どうしてもおまえのこと、嫌いになれないんだよ」
「宝生、それは……いまも俺のことを好きだって思っていいのか?」
「やだよ、おまえみたいな嫌な奴。ぜんぜん優しくなくて、自分勝手で……嫌な奴!」

 2回も嫌な奴が出てきた。そう言われても仕方がないほど俺は嫌な奴だった。少しはましになったと思いたい。

「俺はずっと宝生を忘れたことはなかった」
「少しは罪悪感で苦しんだかよ」
「今もずっと苦しんでる。償えるなら償いたい。昔と違う俺を見て欲しい」

 捲し立てるように言った。もしこれが俺に与えられた最後のチャンスなら、絶対逃したくない。

「頼む、俺とやり直して欲しい。変わってないと思ったら、すぐ振ってくれていい。もう二度と付き纏わないし、顔も見せないから」

 迷っているように、宝生の目が揺れる。

「どうせ、ヤリたいだけだろ」

 ポツリとか細い声が呟く。

 付き合っている間、隙をみては宝生の体に触った。宝生がその気じゃなくてもセックスした。嫌がっていたのに、映画館のトイレでしたこともあった。宝生が疑心を抱くのはもっともだ。

「宝生の嫌がることはしない。今度こそ大事にしたい。ちゃんとおまえを愛したいんだ」

 心の底からの本心だった。

 長い沈黙のあと、宝生は微かに頷いた。そっと抱きしめたら体を預けてくる。力を込めたら、頬を擦り寄せてきた。

「今度は優しくしろよ」

 宝生が遠慮がちに言う。それだけで、涙が出そうだった。





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大事だったのに(2/3)

2019.08.24.Sat.
<前話>

 その日は宝生の希望で映画を観に行った。集中してスクリーンを見ている宝生の横顔にムラムラした。暗いのをいいことに、宝生の太ももを撫でた。びくっと体が震える。「やめろ」と小声で咎める。

 これまでの経験から、最終的に宝生はなんでも俺の言うことをきくとわかっていたから、手を奥へ進めた。柔らかいそこを揉んだら宝生は膝を閉じた。手を挟まれたまま、指先で亀頭のあたりを引っ掻いた。

 宝生は息を乱した。

 指で悪戯を続けていたら後ろから咳払いが聞こえた。ギクリと肩を揺らした宝生は座席を立つと、逃げるように外へ出た。

 追いかけて宝生を掴まえた。トイレの個室に引きずり込んで宝生にキスした。触ると宝生はまだ勃起させたままだった。しゃがみ込んでペニスを口に咥えた。頭上から、宝生の荒い息遣いが聞こえる。

 舌と唇を使って奉仕したが、ペニスはどんどん萎んでいった。

「こんなとこでイケないって」

 申し訳なさそうな宝生をひっくり返し、尻に自分のペニスを宛がった。

「何する気だよ、本気か?!」
「俺はこんなところでもイケるんだよ、悪かったな」

 ゴムもローションもない。手順をすっ飛ばして宝生に挿入した。いつもより引っかかりが強い。宝生の体は強張っていた。肩に力が入り、壁についた手も白くなるほど握りしめていた。痛いのだろうが、俺がなにをしたって宝生が良くなることはない。だから黙殺した。

 静かなシネコンの男子便所の個室で、宝生のなかに射精した。

「俺の精子、出したほうがいいぞ。腹壊すらしいから」

 個室に宝生を残し、先にトイレを出た。宝生が出てきたのは、10分ほどしてからだった。

 この一件から、宝生の態度がかわった。

 休み時間はいつも俺のところへ来てくだらない話をしていたのに、俺じゃない別の奴と話しをするようになった。下校も、いつも宝生が俺のところへ来てたのに、来なくなった。ただ待っていると、宝生は俺を置いて先に帰った。別の誰かと。

 話しかければ返事をする。笑いもする。でも俺と二人きりにはなろうとしない。俺を避けていた。

 俺も意地になって、知らないふりをした。俺から一緒に帰ろうと誘わなかった。休み時間も一人で過ごした。

 それが一ヶ月くらい続いた。

 ちゃんと宝生と会話していない。体に触れてない。自慰ばかりで欲求不満だった。

 ジャージに着替えた宝生を掴まえ、体育の授業をサボらせた。誰もいなくなった教室で宝生を机にうつ伏せにして突っ込もうとしたら「口でやるから」と止められた。

 俺が机に座り、宝生は床に跪いた。勃起したペニスを見て怯えた目をする。

「改めて見ると、でけえよな」

 むりやり笑って、口を開く。亀頭を含み、たどたどしく舌を動かした。

 もどかしくて宝生の頭を押さえ込んだ。目を見開き、押し返そうとする。腰を揺すったら宝生ののどが痙攣した。

「オエッ」

 宝生が吐きそうになっても構わず頭を押さえ、腰を振った。宝生はまたあの顔をした。眉間にしわを作り、固く目を閉じ、俺が終わるのを待っていた。その顔を見てカッと頭に血が上った。

 ペニスを引き抜き、宝生の髪を掴んで引っ張り立たせ、机に突き飛ばした。亀頭で尻たぶを割ったら、宝生は喚いた。

「いやだっ、やめろ」
「おまえのフェラが下手だからだろ」
「ほんとに俺のこと好きなのか?」
「好きだからヤリたいんだろ」
「ほんとはヤリたいだけじゃねえのかよ」
「好きだからヤリたい、ヤリたいからヤル、なにが悪いんだよ」
「俺はやりたくないって言ってんだろ! 俺の気持ちは無視かよ」
「面倒なこと言うなよ。どうせおまえは俺がなにしたってイカねえくせに」
「誰のせいで……!」
「俺のせいかよ、不感症」

 感情に任せて、言ってはいけないことを言った。宝生は傷ついた顔で絶句した。宝生がイケないのは俺のせいだとわかっていた。認められなかった。俺にはその器がなかったから。だから責任転嫁した。俺はズルくて卑怯だった。

「……もう、むりだ……、もうおまえ無理、別れる」

 服の乱れを直しながら宝生が言う。声が震えて、顔は真っ青だった。

「いやだ。別れない。勝手に決めるなよ」
「おまえこそ勝手に決めるな。俺がむりだって言ってんだ」
「いやだ、絶対別れない。そんなの許さないからな」
「おまえの許しなんかいらねえよ」

 と教室を出て行こうとする。腕を掴んだら強く振り払われた。そんなふうに拒絶されたことは初めてで驚いたし、ショックだった。

「俺に触んな」
「なんで…俺が言い過ぎたから? 俺ばっかイッて、おまえをイカせてやらなかったからか?」
「馬鹿じゃねえの、そういうとこだよ」
「謝るから! 宝生、行くな! 頼む!」
「おまえと付き合ったのは間違いだった」

 そう吐き捨てて宝生は教室を出て行った。

 それ以来、宝生に話しかけても無視され、露骨に避けられるようになった。宝生の笑顔も、軽口も、俺に向けられることは二度とないまま、高校を卒業した。

 大学に入って、ネットで知りあった男と付き合った。男は俺より五歳年上で、遠慮なく物を言う人だった。

 俺の性格だとか、物の言い方だとか、些細なことでよく注意された。セックスへの駄目だしも多かった。最初はそれが嫌で嫌で仕方がなかったが、有益であることに気付いてからは、受け入れる努力をした。

 基本的に俺は、他人を思いやる気持ちに欠けていたらしかった。言うことやること、すべてが一辺倒でマニュアル通り。エゴ丸出しで独りよがり。

 生きた人間を相手にしているのだから、わからないことは聞け。不満があるなら言え。大事な人が目の前にいるのなら、全神経をつかって集中しろ。心の機微を見逃すな。自然と相手の言いたいこともわかってくるはずだ。余計な知識や駆け引きは必要ない。

 そう教えてくれた。俺には目から鱗だった。

 初めてセックスで褒められた直後、「他にかわいい子を見つけたから」とあっさり振られた。

 落ち込んでいる間、宝生のことをよく思い出した。

 あの頃の俺は最低なクズ野郎だった。

 諦めた恋だったのに、思いがけない展開で付き合えることになった。感謝して大事にしなくちゃいけなかったのに、自分の欲望を吐きだすことに夢中になって、大切な宝生を雑に扱ってしまった。振られて当然だった。

 いつか会えたら、謝りたいと思っていた。自己満足と言われても、一度ちゃんとした謝罪を──。

 宝生と再会したのは、成人後、初めての同窓会でだった。

 酒も飲める年齢になり、ホテルで開かれたわりと豪華な同窓会で、スーツ姿の宝生を見つけた。顔つきや物腰が落ち着いて大人になっていたがすぐわかった。

 誰かと楽しそうに話をしている宝生を、離れた場所からこっそり眺めた。宝生の笑った顔が好きだった。宝生がするくだらない話も楽しかった。一緒にいて心地よかった。大事にしたかったし、愛したかった。それと同じだけ、俺も大事にされて、愛されたかった。

「高山! なにぼーっとしてんの」

 誰かの声で我に返った。隣には見覚えのある顔の女がいた。

「誰だっけ」
「ひっど。三年のとき同じクラスだったんだけど」
「倉持だろ、覚えてるよ」
「ほんとかなぁ」

 倉持は唇を尖らせた。最初わからなかっただけで、覚えていたのは本当だ。倉持は宝生と仲が良くて、よく喋っていたから。

「宝生のとこ、行かないの?」

 倉持に言われて宝生を見る。宝生はまた別の誰かと笑って話をしている。

「あとでいくよ」
「宝生とはもう仲直りしたの?」

 宝生が俺を避けていたのは教室でも目立っていた。それくらい露骨だった。

「いや、まだ」
「早く仲直りしたら? 二人、すごく仲良かったのに」
「俺のことはいいよ。倉持こそ、あいつと仲良かっただろ。行かなくていいのか」
「別に仲良くはないよ」
「そうか? 好きだったんじゃないのか?」

 倉持は顎を引いて口を噤んだ。窺うように俺を見て数秒、「あは」と吹きだすように笑った。

「あの時私が好きだったのは、高山だよ」
「俺?」

 びっくりして大きな声が出た。

「うん、そう。今は違うけどね! 私面食いだったから、完全に顔だけ! そういえば、高山に好きな子がいるのか聞いてって、宝生にお願いしたことあったなあ。懐かしっ、ていうか恥ずかしっ。宝生覚えてるかな。忘れてて欲しいぃ」

 本当に恥ずかしいようで、倉持は顔を赤くしながら、俺の服の裾を引っ張った。誰にだって思い出すと落ち込む過去があるように、赤面して地団太踏みたくなる過去もあるんだろう。

「もう覚えてないんじゃない? 覚えてても、あいつは誰にも言わないよ」
「だといいけど」

 と言って倉持は両手で顔を扇いだ。

 ふと顔をあげたら、宝生と目が合った。怖いくらいの真顔だった。すぐ顔を背けられた。まだ俺のことが許せないんだろう。当然だ。宝生には酷いことをたくさんした。

 倉持とは別れ、他のクラスメートとも少し話をした。宝生に謝る機会を常に窺っていたが、なかなかひとりにならない。

 気になるのは、俺と目があってから宝生の顔色が悪いように見えることだ。笑顔も少なく、ぎこちない。俺と同じ空間にいるのも嫌なくらい、嫌悪されているのかもしれない。

 謝りたいと思っていたが、それすら宝生の迷惑になりそうだった。

 せめて一言だけでも。それすら過ぎた願いなのだろうか。

 宝生がいた場所を見たら、いなくなっていた。まさか俺の顔を見るのも嫌で帰ったのか?

 さっきまで宝生と話をしていた奴に、どこへ行ったか訊ねた。

「食べ過ぎたって、トイレ行ったよ」

 礼を言って会場を出た。





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大事だったのに(1/3)

2019.08.23.Fri.
※イチャラブはない

 俺が好きなのはお前だよ、と言ったときの宝生の顔ったら。

 しつこく訊いたことを後悔しただろう。俺は何度も嫌だと言ったし、これ以上しつこくしたら友達やめるとまで言った。それでも宝生は止めなかった。

「おまえみたいなイケメンってどんな女好きになるんだよ。すげえ理想高そうだもんな。誰だよ、教えろよ」

 後悔したってしらないぞ。

 もうすべての関係を終わらせる気で告白した。宝生への恋心も、友情も、関係も、全部ここで終わりだと自棄になって。

 宝生は冗談だと思ったのか、笑いかけた。いや冗談にしたかったのかもしれない。自分で聞いておいて、逃げようとしやがった。

 でも俺の真剣な顔を見て笑みをひっこめた。葛藤したのか、良心かは知らないけど、それは友情が終わる瞬間、最良の選択だった。

「そういうことだから」

 宝生を屋上に残して教室に戻った。チャイムが鳴って宝生も戻ってきた。俺のほうをチラチラ見てくる。知らん顔した。

 あいつがどう出てくるか、いくつか候補はあるけど、どれも最悪なものだった。気持ち悪がられて避けられるのは間違いない。誰かに言いふらされたら、もう学校も辞めるつもりだった。

 放課後になって宝生は「高山、帰ろうぜ」と何食わぬ顔で話しかけてきた。

「友達やめるって言っただろ」
「冗談だろ」
「冗談じゃない」

 何か言いかける宝生を無視して先に帰った。

 翌日もいつも通りの学校生活だった。誰も俺をホモだとからかってこない。そのことすら知らない風に声をかけてくる。

 宝生は誰にも言わなかったようだ。自分までホモだと言われるのを恐れただけかもしれない。

「昨日、置いて帰るとかひどいじゃん。俺、おまえと友達やめる気ないし」

 休み時間になると性懲りもなく宝生が話しかけてくる。無神経さに苛々した。いや俺が小心なだけだ。生殺しの状況が耐えられない。嫌われるなら徹底的に嫌われたい。辱められて、1ミリの可能性もないくらい宝生を諦めたいのだ。

「俺の言ったこと理解できてる?」
「……できてる。ちょっと信じらんねえけど」
「じゃあ、もう構うなよ。どういうつもりかしらんけど。同情? 良心の呵責? 興味本位? どれも迷惑。もう放っとけ」
「やだよ。なんで俺の返事聞かねえの?」
「聞く必要がない」
「ちゃんと聞けよ。俺、おまえと付き合ってみたい」
「は?」
「は?とか言うな。俺が好きなんじゃねえのかよ。俺と付き合いたくねえのかよ」
「意味わかって言ってるのか」
「わかってるよ、ばかにすんな」

 宝生の顔が赤い。俄かには信じられない。素早くあたりを見渡した。俺たちをニヤニヤ笑って見ている奴らはいない。誰も俺たちを見ていない。いつもの、ダレた、休み時間だ。

「本気かよ」

 宝生は「うん」と頷いた。どうせ好奇心と罪悪感だろう。そっちがその気なら、利用させてもらう。絶対逃がしてやるもんか。

 放課後、ぐずぐずして最後まで教室に残った。誰もいなくなってから宝生を掴まえキスした。ガチガチに固まった体を抱きしめて、舌を入れた。ぎこちなく応えてくる。

「こういう意味だってわかってるんだよな?」
「まじだったんだな」

 宝生はむりやり笑った。引いた? 俺を怖がっているような作り笑い。いまさら後悔したって遅いって言っただろ。おまえはいつも踏みこみ過ぎてから過ちに気付くんだ。

「週末、俺んち泊まりに来いよ」
「えっ、いいけど」

 まだ覚悟も固まらないうちに、実感がわかないうちに、いただけるものは頂いておこう。

 週末になると宝生はほんとうに泊まりにきた。部屋にこもり、何度も宝生にキスした。体を触った。性的な意味合いに気付かないはずがない。なにをするつもりなのか、宝生もわかっているはずだ。具体的にイメージできているかは別として。

 用意しておいたゴムとローションを、わざと見せつけるようにベッドに放り投げた。宝生は顔色を変えた。

「今日、そこまですんの?」
「付き合ってるなら当然だろ」
「は、早くね?」
「なに。テーマパークで手繋いでデートしてからじゃないと駄目?」
「そういう意味じゃなくて、なんかおまえ、急いでない?」
「好きな奴と一緒にいるのに、したくならない奴なんているのか?」
「そうだけど」

 口ごもる宝生をベッドに押し倒し裸にひん剥いた。恥ずかしいだとかおまえも脱げだとか言われたけど、聞こえないふりして手順通りに進めた。

 足を押しひろげ、尻穴を触ったとき、宝生は少し抵抗した。顔は真っ赤だった。

 指にゴムをはめローションで濡らしてから宝生のなかに入れた。宝生は苦痛に顔を顰めて痛いと言った。

 俺だって初めてだ。知識は全部ネットから。なかに前立腺があるはずで、それを探してやみくもに指を動かす。

「痛い、いやだ、やめてくれよ」

 宝生の涙声にも気づかないほど、余裕がなかった。

 それらしい盛り上がりをみつけてそこを執拗に触った。宝生の口からエロい声は出てこない。ただ「痛い」「嫌だ」と呻くだけ。

「嫌っていうなよ! 俺だって必死にやってんのに! おまえ俺とヤリたくねえの? なんで俺と付き合ってんだよ!」

 思う通りにいかなくて宝生に八つ当たりした。宝生は何も言わなくなった。我慢する息遣いだけが聞こえる。宝生のペニスはピクリとも反応しない。焦りだけが募る。ローションを注ぎ足すことにすら、気が回らなかった。

「も……う、いいんじゃね? 入れろよ」

 ぜんぜん気持ち良くなっていないことはわかっていたが、これ以上どうしていいかわからず、言われた通り入れることにした。

 突っ込んでピストンしていれば状況が変わるかもしれないと期待した。

 ゴムをはめ、ローションで慣らし、まったく解れていない宝生の尻に押しつけた。痛いくらいの締め付けだった。腰を動かしたら気持ちよくて止まらなくなった。

 がむしゃらに腰を振った。射精はすぐだった。ゴムを替え、また挿入した。

 二度目になってやっと宝生の様子を見る余裕が出た。宝生の眉間にはずっとしわが寄っていた。唇を噛みしめ、苦痛に耐えるため固く目を瞑り、目尻から涙を流していた。ペニスは力なく腹に横たわったままだ。

 焦りと、怒りがこみあげて、また乱暴に腰を揺さぶった。宝生は喘ぐこともなければ、苦痛の声もあげない。ひたすら黙って苦行に耐えていた。

 二度目を出し終わってから、宝生のペニスを愛撫した。手で扱いて大きくさせ、舐めてみた。固くはなるが、射精はしない。躍起になって触っていたら「もういいよ」と止められて、敗北感に打ちのめされた。

 家族が寝静まった夜、また宝生に挿入した。俺は二回イッたが、宝生はイカなかった。尻だけだと勃つこともなく、手と口でやっと勃起する。だが射精はない。

「俺、感度悪いのかも」

 と宝生は言い訳したが、俺への慰めに聞こえた。

 それから隙を見ては宝生にキスして、体に触って、できる時間や場所があれば宝生の尻にペニスを突っ込んだ。

 動画通りにピストンしているのに宝生は喘がない。勃起もしない。目を閉じ、眉間にしわをつくって、ただ終わるのを待っている。

 それが二ヶ月も続くと、俺も宝生を勃たせようとか、喘がせようとか、思わなくなってきた。それが当たり前になってしまっていた。何も言ってくれないから、何が良いことなのかもわからない。

 いつからかセックスがただの作業になっていた。ゴムをつけ、ローションで慣らし、ピストンして、射精して終わり。

 好きな男の、生きたダッチワイフ。

 セックスのとき以外、宝生はいつも通りだった。冗談を言って、俺をからかい、よく笑い、よく喋る。二人きりの、そういう雰囲気になったときだけ、無口になる。

 照れているのだと、思いこもうとしていた。無口になるわけを聞いたら、宝生が離れてしまうような気がしたから、怖くて聞けなかった。






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誠意の見せ方(3/3)

2019.08.22.Thu.


 また指の動きを再開した。義兄の足は開きっぱなし。閉じる気配はない。俺を受け入れる覚悟ができたらしい。

「もうお義兄さんのなかに入りたいんですけどいいですか?」
「ここまで好き勝手やったんだ。いまさら俺に断りを入れるな」
「それもそうですね」

 膝の裏に手を当て持ち上げた。義兄のペニスは再び勃起していた。指で解した穴はヒクついている。それを見たら喉が鳴った。

「今回はいいですけど、次はちゃんと俺に入れてって言ってくださいよ」
「次はって……!」

 義兄の穴にペニスをあてがい、腰を押し進めた。きつい括約筋を割って亀頭が押し込まれる。

「奥までいきますよ」

 さらに腰を押しつけた。陰茎の見える部分が徐々に少なくなっていく。女より穴の具合が良くてズブッと串刺しにしたあと高速ピストンしたい衝動を抑える。義兄は辛いようで顔を歪ませていた。

「全部入りましたよ。根本までグッポリ。ほら、触って」

 義兄の手を取り結合部を触らせた。隙間なく蓋をされている場所を手で確かめ、義兄は顔を赤くして、色っぽく息を吐いた。

「最初はゆっくり動きます。さっき指で触ったところ覚えてます? あれを思い出してください。そこを擦られる感覚に集中して。一緒に気持ち良くなりましょう」
「君は……本当にこういうことに慣れているんだな」
「男とするのはお義兄さんが初めてですよ」
「怪しいもんだ」

 ふん、と顔を背ける。いちいち仕草がかわいい。

「ほんとですって。俺、女にもモテないですもん」
「既婚者なんだからモテなくていいだろう」
「お義兄さんにはモテたいな。なんちゃって」
「……ばか」

 呟いた「ばか」があまりにかわいかったので俺のちんこはちょっと大きくなった。義兄は眉を顰めた。お義兄さんがかわいいのが悪い。

 チュッチュとキスをしながらゆっくり腰を動かした。何度か擦っただけで出そうになる。他のことを考えなくちゃ。えーと、あの品行方正な義兄がいまは俺の下でケツにちんこ咥えこんでんだよな。股おっぴろげて。……逆効果だ。

 少し腰の動きを速めた。もう俺がもたん。

「んっ……はぁ……はっ……ああ……」

 義兄の口から漏れてくる息遣いもエロい。

「も少し、早くしますよ」

 義兄はこくんと頷いた。大きい動きを意識して出し入れした。グチョグチョと中でローションが掻きまわされる音がする。これもう女とするセックスとかわんねえな。

「はあっ……はっ、んっ……うぅ……ん……ッ」
「さっき俺が触った場所、覚えてます? あそこが熱くなってきたでしょ?」
「……ん……なってきた……」
「その調子でずっと集中して」

 前立腺の場所を意識しながらリズムよく義兄のなかを突く。一突きごとに義兄の表情が変化していく。不安と緊張で硬かった顔が、だんだん蕩けて、切なげに、エロく変わっていく。最高の眺めだ。

「あ、はあっ……はぁんっ……あっ」
「いい感じにトロトロになってきましたよ、お義兄さんのなか」
「そんなこと……いわなくて、い……はぁっ……あ、うっ……んっ、ああっ……」
「お義兄さんの顔も声も体も、全部エロい。普段のお義兄さんからは想像もつかないな。もっと乱れるところを見せてくださいよ」
「いや、だ……そんな……恥ずかしい……」

 口元に手をあて、消え入りそうな声で言う。そんなの見せられたら腰の動き止まんないじゃん。

 義兄の足をさらに押し上げた。ほとんど体を曲げたような格好にさせ、上から叩きこんだ。

「んっ、うっ、あっ、あっ、きつ……い……んあぁっ! あっ、いや、やめっ……尚之くん……いやだっ、この格好……! あっあんっ、深い…奥まで当たってる……!!」
「このまま結腸責めしちゃいます? 男の子宮口、俺のちんぽで突きまくって精子注ぎこんであげますよ」
「なに、言って……! んっ! あんっあっ、いやっ、ああぁっ……ふかいっ、いやっ、あんっ、やだぁっ……! 腰、止めてっ……はぁ、ああっ! あっあっあっ! やっ、あんっあんっ!」

 お義兄さん、もう声止まんないって感じだった。枕を必死に掴んで、イヤイヤするみたいに首を振る。俺ももう止まんなかった。義兄を気遣う余裕もなく一心不乱に腰を振った。義兄の奥深くへ穿ちこんだ。

「いやだっ、尚之くん! 止めろ!! あぁっ、あっ! やぁっ、出る! 出るぅ…あっ、あぁんっ、やだっ、こわい…! こんなの、知らなっ……気持ちいいの、止まらない…! 尚之くん、出るからっ! あぁぁっ、あっ、あんっ、イクッ、イッ──ッ!!」

 ギュッと義兄のなかが締まった。

「うっ、きっつい…!」

 義兄は体を硬直させながら果てた。ペニスから吐きだされた精液が義兄の顔めがけて飛んでいく。義兄のお綺麗な顔がいまやザーメンまみれだ。エロさ増し増し。

 口で荒い呼吸をしながら義兄はうっすら目を開けた。蕩け切って焦点が合ってない。唇を伝う精液を、たぶん何かわからず舐めとった。

「どうでした? 気持ちよかったでしょ?」
「ん…気持ちよくて……おかしくなりそうだ……」

 夢見心地な義兄の受け答え。まだ強い快感が抜けきっていない証拠。無防備な義兄はかわいかった。

「もうちょっと付き合ってくださいよ」

 義兄の両手首を手綱のように掴んでピストンを再開した。イッたばかりの義兄には刺激が強すぎるようで泣くように喘いだ。

「イ、いいっ──ッ、あっ、や──ッ!! まだ動くな、や……! あっあぁっ! い、あぁ! あぁっあっあぁぁん!」

 痛いほど中が締まる。俺も長く持たない。

「大丈夫ですよ、もう終わりますから」
「終わって……くれっ……! 早く、イッて! だめっ、あっあっあぁんっ、おかしくなるっ!!」

 取り乱す義兄を見ながら、遠慮なくたっぷり中出しさせてもらった。

 ¥ ¥ ¥

 その後、義兄を腕枕しながらイチャイチャピロートーク。 

 なんてするはずはなく、俺はまた床に正座させられていた。

 シャワーを浴びてすっきりした義兄は、ベッドに腰かけ鬼の形相で俺を睨みつけている。

「義理の兄弟でこんなこと……! 深雪に顔向けできなじゃないか!」
「別に普通にしてればいいんじゃないですか」
「ずいぶん慣れているようじゃないか。今回が初めてじゃないな? やっぱり君、浮気の常習だろう!」
「そんなことないです。本当にお義兄さんが初めてですよ」

 素人相手にセックスしたのはこれが初めてだ。風俗なら何度もあるけど。俺の性欲が強すぎて、深雪が毎回は無理!と音を上げ、風俗通いはOKになった。

「このことは絶対深雪には言うな」
「言えるわけじゃないじゃないですか。俺たち共犯ですよ、お義兄さん」
「気持ち悪い言い方をするな」
「またしましょうよ、俺たち体の相性良かったし」
「馬鹿か?! 正気か?!」

 義兄が目を剥く。ここで素直に「気持ちよかった、またしたい」と言える義兄ではないのだ。

「お義兄さんが相手してくれなかったら俺、他の女と浮気しちゃうかもしれないなー。そんなことしたら深雪が悲しむだろうなー」
「……我慢すればいいだけの話だろう」
「我慢できないから、こういう事態になってるんですよ。また美人局に引っかかったらどうしよう。深雪、泣いちゃうだろうなー。かわいそうだなー。お義兄さんは深雪が悲しんでもいいっていうんですかー?」
「俺を脅しているのか?」
「違いますよ。俺のだらしない下半身をお義兄さんが見張っててくれれば深雪は悲しまない、俺もお義兄さんも気持ちいい、誰もがハッピーって話です。正直に言うと俺、お義兄さんとこれっきりにしたくないんですよ。お義兄さん、すっごいかわいかったから。今まで知らなかった一面を知れて嬉しいっていうか、もっと仲良くなれるんじゃないかって思ってるんです。お義兄さんにももっと俺を知ってもらいたいし、もっとかわいいとこ俺に見せて欲しいんですよ。お義兄さんなら俺のわがまま全部許してくれるって期待しちゃってるんですよね」

 義兄のやり方をまねて矢継ぎ早に言いながらじりじり近づいた。足を組んだ義兄の膝にキスした。義兄がうろたえる気配。上目遣いに見つめると、義兄は俺から目を逸らした。

「た、確かに、どこの馬の骨ともわからん女に引っかかるくらいなら、俺が君を見張っているほうがいいかもしれんな」
「そうでしょ。お義兄さんと仲良くなれば深雪も喜びますし」
「深雪のためなら、仕方ない」
「俺と仲良くしてくれるってことですか?」
「仕方なく、だ。また仕事中に呼び出されるのは困るしな」
「じゃさっそく都合のいい日、教えてもらえません?」
「……週末、俺の家に来ればいい。住所は知っているだろう」

 これってお泊りのお誘いだよな。我慢しきれず義兄を押し倒した。

「おい、もう今日は無理だ!」
「わかってますよ、キスだけ。お義兄さんかわいい。俺もう、あんたにメロメロだよ」

 こうして俺と義兄のいけない関係が始まってしまったのだった。





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