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おいくら?(2/2)

2018.04.13.Fri.
<前話はこちら>

「ヘタクソ。やってもらったことないのか?」

 床に膝をついて僕のものをしゃぶっている杉本が僕を恨めしげに睨む。

「客を睨むな。金が欲しくないのか?」

 ふてくされた顔でまたフェラを続ける。ただ口に突っ込んで舌を動かしているだけ。本当にヘタクソ。店に行ってこのレベルだったら完全に外れだとがっかりするだろう。

「もういい。下手すぎてイケない」

 安堵の表情で杉本が頭をあげる。さすがに疲れたのかいつもの軽口がない。

「じゃあ次は四つん這い」
「まだやんの?」
「これで金がもらえると思ってるのか?」

 小さな舌打ちが聞こえた。だるそうにベッドに乗り言われた通り四つん這いになる。

 杉本の背中から前に手を回してベルトを外した。

「なにすんの」
「ウリってなにをするか本気で理解してる?」
「してるけど。えっ、俺が宮野を抱くんじゃないの?」
「誰がお前なんかに抱かれるか。僕がお前を抱くんだよ」
「えっ、お前って俺を抱きたいの?!」
「抱きたいわけないだろ。嫌々付き合ってやってるんだろうが」

 ズボンとパンツをずらして直に握った。小さく縮こまっている。

「てっきり俺が宮野を抱くもんだとばっかり……っ……ちょ、手つき、やらしい」

 欲望に忠実な杉本はすぐ反応を見せ始めた。熱く、硬くして涎を垂れ流す。指で掬い取って全体に馴染ませながら擦った。

「ちょおっ……宮野……ハッ……あ、くっ……」

 体を支える手足が震えていた。杉本の背中に体重をかける。胸から振動が伝わってくる。戸惑いと快感と。イキたいという欲望が。

「呆れるほど素直だな。誰でもいいなんて」
「ぅ……あ、ちげ……っ……お前の手、ねちっこい……からだし……!」
「そういえば、日置さんとはしたのか?」
「ひおき……って? え……ああ、え? なんだよ急に」
「最低。元カノのこと、忘れるなよ。わざわざ僕から奪ったくせに」
「まだ怒ってんのかよ」
「許されると思ってるほうが驚きだ」

 僕の初めての彼女だった。軽薄ではあったが目立つグループだった杉本にちょっかいを出されて、彼女はあっさり僕から杉本に乗り換えた。

「日置とはしてない」
「なんで」
「……ホテル行く金がなかった」

 理由が杉本らしくて笑ってしまった。こんな奴に彼女を取られたなんて情けない。しかも金を貸してくれと集ってくるなんてどこまで僕を馬鹿にしているんだ。

「もう入れるぞ」

 自分の陰茎を扱いた。とても乱暴な気分だ。

「ちょ、待って、本気かよ」
「なんにも用意してないけど、最初に辛い目に遭っておいたほうがあとが楽だろ」

 剥き出しにした杉本の尻に屹立したものをあてがう。

「ゴム! コンドームは?!」
「中には出さない」
「そういう問題じゃな──!! あ……、ああッ!!」

 メリメリと杉本の括約筋をこじ開けて強引に中へ突き立てた。窮屈すぎて僕も痛いくらいだ。杉本はきっともっと痛い思いをしているだろう。六万円の代償としてふさわしいのかわからないが、僕の場合は溜まり溜まった杉本へのわだかまりを解消するには安い買い物だった。

「い……ってえ……宮野、痛い……、頼む、抜いて」
「客に指図するな」
「違くて……ほんとに痛いんだって」
「これから何十人と知らない男とやるんだろ、泣き言いうな」

 杉本のうなじを眺めながら腰を前後に振った。潤いが足りなくてただ狭くて痛いだけでぜんぜん気持ち良くない。

「いた、い……ッ、宮野、動くなって……!」
「動かずにイケると思ってるのか」
「まじ、頼むから……痛いんだって、宮野……っ」

 声に涙が混じっていた。ず、と鼻を啜りあげる音もした。杉本が泣いていると思うと胸がすく。もっと泣かせてやろう。僕の前で無様に泣きわめけ。

 僕の先走りか、杉本の体内の防衛本能かは知らないが途中から中が少し濡れてきてスムーズに動くようになった。速度をあげた。リズミカルに杉本の奥を突く。嗚咽が止まることはない。

 ふと思い出して杉本の前を触った。驚いた。杉本は勃起していた。

「この状況で勃つか。ウリはお前の天職だよ」
「人でなし!」
「僕は友達の彼女を横取りしないし、その友達に金の無心もしない」
「ごめ……宮野……ごめん、許して、だから、優しくして……」
「……そろそろ、イクかも」
「えっ、中は……だめ! 絶対外出せよ!」

 杉本があんまり必死に言うからつい出来心で中に出してしまった。相手はどうであれ、初めての中出しはなかなか良かった。そういえばセックス自体、久し振りだ。

 全部出してから引き抜いた。ついでにちょっと精液も零れ出た。杉本の穴がゆっくり閉じていく。非常にエロくて目を背けたくなる光景だった。

「宮野、お前」

 真っ赤な泣き顔で杉本が僕を睨んでいた。

「悪い、つい」
「き……、気持ち良かったか……?」
「は?」
「俺のケツ、そんなに気持ち良かったか?」

 金と引き替えに杉本を犯してやることでこいつに最大限のダメージを与えたつもりだった。プライドを土足で踏み潰してやったつもりだったのに。

 そんな僕の思惑に精液をぶっかけられたような気分だ。杉本の尻でイッたということは、僕が杉本の尻に屈したということでもあるのだ。

「お前なんかただの肉便器だ」
「お下品なこと言うな、良かったくせに」

 手足をぎこちなく動かして杉本は体を起こした。僕と向き合うように座って深い溜息をつく。股間のものは僕と同じように萎れていた。先には白い液体がついている。シーツに目をやると粘ついた付着物があった。

「お前もイッたのか」
「俺は気持ち良かったもん」
「あんなに痛がってたじゃないか」
「途中までは。途中からお前のちんこがヌルヌルになって、いいとこ擦るから気持ちよくなった」

 あっけらかんと語られて、敗北感にうちのめされる僕は何も言い返せない。

「風呂貸して。さすがにこのまま帰れないから」

 腰を庇う仕草を見せながら杉本は浴室へ消えていった。

 僕はなんてことをしてしまったのだろう。杉本相手に、男相手にセックスして挙句六万を払わされるのだ。あいつは何も傷ついちゃいない。何も失っていない。僕だけが損した気分だ。

 ♢ ♢ ♢

 高校時代の夢を見た。良い思い出、悪い思い出、ごちゃまぜの夢だ。

 あの頃、とにかく自分の好きなものに金も時間も全部つぎ込む杉本が少し羨ましかった。

「いつもかっこいいね」

 席替えで杉本の隣になった時、なんとなく声をかけた。杉本は見た目を褒められて嬉しそうだった。ファッションの蘊蓄を放課後になっても延々語られたのは参ったけど、それ以来杉本と一緒にいることが増えた。

 ほとんど一方的に杉本の話を聞くだけだったが、杉本から発せられる生命力とか活力の熱が凄まじくていつも圧倒させられた。今までの友達とは真逆なタイプなのも新鮮で楽しかった。

「最初はみんないいねって褒めてくれんだけど、だんだんお前馬鹿じゃねって感じになってくんの。宮野は嫌な顔しないで話聞いてくれるし、褒めてくれるし、いい奴だよな。すっごい優しい」

 杉本が僕と一緒にいる理由は、馬鹿にしない話し相手が欲しかったから。

 それでも僕たちは意外と馬が合った。僕に初カノが出来て、杉本に取られるまでは。

 それきっかけで疎遠になった。急に連絡がきたのは大学入ってすぐ。ビリヤードしたいから付き合えって呼び出されて正気を疑った。

 ビリヤードは口実で本当は謝りたいのかもしれないと出向いてみれば本当にただビリヤードをしただけだった。

 あの日の帰り、はっきり「もう僕に関わらないでくれ。連絡もするな」と言ったはずなのに、杉本は性懲りもなく僕に連絡を寄越し続け、くだらない用事で僕を呼び出し、僕のあとをつけてマンションを突き止めると勝手に遊びに来るようになった。

 疫病神に憑りつかれたとしか思えない。

 ♢ ♢ ♢

 懐かしい夢から目が覚めると杉本が横にいた。頬杖をついてテレビなんかを見ている。昨夜の出来事が一瞬で蘇る。帰れと言ったのに、腰が痛いだの疲れて眠いだのと駄々をこねて結局居座った。

「お前は疫病神だ」
「わっ、なんだよ急に」

 杉本が驚いた顔で振り返る。六万と引き替えに処女を失った男の顔とは思えない。

「朝からだらしのない顔を見せるな」
「朝くらいそんな顔してもいいだろ」
「お前はいつもそんな顔だ」

 寝転がる杉本を踏みつけてベッドを出た。床には杉本の服と下着が散乱している。それを跨いで洗面所で顔を洗った。

「宮野―、俺、そろそろ帰るよ?」

 僕が引き止めて朝までいてもらったような言い方に聞こえてムッとする。言い返すのも馬鹿らしいから黙って歯を磨く。

「六万、あんがとね。前の二万と合わせて絶対返すから」

 ちゃんと服を着た杉本が洗面所にやってきた。

「六万はお前が体で稼いだ金だろ。返さなくていい」
「そうはいかないって。ちゃんと全部返す。一度には無理かもしんないけどさ」
「本当にウリやるつもりか?」
「考えてみる。案外良かったし。宮野に金借りなくてすむし」
「誰にも借りなくていい金の使い方をしろ」

 アハハと笑って杉本は部屋から出て行った。はぐらかしやがった。今後も金の使い方を改める気はないらしい。

 僕には関係ない。本気でウリをやるなら今後僕に金をせびってくることもなくなるだろうし。

 と、杉本のことは頭の隅へ追いやって、朝食を軽く食べたあと部屋の掃除をした。杉本と寝たベッドのシーツも洗った。杉本の匂いが部屋に残っている気がして窓も全開にした。

 昼過ぎに買い物のため外へ出た。商店街の中にある小さな本屋で文庫本を二冊買い、スーパーで食料品を調達した。帰り道にパチンコ屋の前を通って杉本を思い出した。同時に嫌な予感がした。その予感が当たったと知ったのは、五日後の夜。

 ♢ ♢ ♢

 やっと料金を払ったようで杉本の携帯と繋がった。

『宮野から電話してくるなんて珍しい。どうした?』

 嬉しそうな杉本の声。

「六万でちゃんと家賃払ったんだろうな?」
『なに突然。もちろん払ったよ』
「嘘つけ。どうせあのあとすぐパチスロ行ったんだろ」
『行ってねえよ』
「本当のことを言え」

 電話の向こうで杉本が黙り込む。電波に乗って杉本の迷いが伝わってくるようだ。

『い……行ったけど、六万全部使ってないから』
「やっぱり」
『悪かったって。ちゃんと自分でなんとかするから』
「なんとかできるわけないだろ」
『もう手は打った。ウリができるとこ見つけたんだ。今から行くとこだし』

 なんてあっけらかんと言う。今からウリをしに行くだと? カッと頭に血が上った。怒髪天を突くとはこのことだ。

「なに考えてるんだこの馬鹿!!」

 夜だというのに大声で怒鳴っていた。

「お前なんかにできるわけないだろ!! フェラも下手くそ! 穴の具合だってイマイチ! 痛がって抜いてくれって泣いてたのはどこのどいつだ! 頭を冷やせ馬鹿野郎!!」
『おっきい声出すなよ、近所迷惑だろ』
「誰のせいだ!!」
『でも実際金がないとアパート追い出されるわけで。今日も大家から電話があって、あと二週間以内に振り込まないと出てってもらうってさ』
「僕が出す! 今回だけだ!! もう次はないぞ! だからウリなんてやめろ! お前に務まるわけがないがないだろう!」
『やっぱ宮野って優しいよなあ。大好き』
「なっ、馬鹿! 気色悪い! 調子のいいこと言うな!」
『声、外まで聞こえてるってば』

 直後、インターフォンが鳴った。モニターの杉本が僕に向かって手を振っている。なぜここにいる……?

『俺のこと買わない?』

 笑顔の杉本が言った。膝から崩れ落ちた。こいつ、最初からこのつもりで?!

「……いくら必要なんだ」
『とりあえずあと三万あったら家賃払える』
「お前に一晩で三万の価値はないぞ。前回は特別だ」
『宮野が納得するまで何回でもいいよ』
「少し待ってろ。部屋が散らかってるんだ」

 通話を切ってため息をついた。してやられた感がはんぱない。悔しいし、むかつく。なのになぜ僕のものは勃起しているんだろう。モニターで杉本を見た直後からこれだ。まったく意味が分からない。

 こんなの見られたらなにを言われるかわかったもんじゃない。だから収まるまで待ってくれ。早く。早く収まれ。杉本なんか嫌いだ。だから心臓のドキドキも熱い耳も、全部なにかの間違いだ。頼む、そうであってくれ。




まっくらやみで君と、

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おいくら?(1/2)

2018.04.12.Thu.
 仕事が終わって帰宅したらドアの前に杉本がいた。僕に気付くと媚びの混じっただらしない笑みを浮かべる。

「よ、宮野」
「何の用」
「友達に冷たいな。ただ会いに来ちゃ駄目なのかよ」
「友達だったっけ」

 冷たい目で見れば気まずそうに目を逸らした。

 いつから待っていたのか、杉本の足元には煙草の吸殻が何本か落ちている。

「それ拾ってから入れ」

 つま先で一つを蹴った。杉本は慌ててゴミを拾い始めた。

 杉本を置いて先に部屋の中に入った。明かりをつけて歩きながらコートと背広を脱いで寝室のクローゼットへかけた。玄関に近い洗面所で手を洗っていたら杉本も入って来た。吸殻の乗った手を間抜けに広げながら。

「ちゃんと拾ったぞ」

 自慢げに僕に見せてくる。

「当たり前」
「だけどさ」

 不満げに唇を尖らせた。

「今日は何の用?」
「ただ顔見に来ただけ」
「ならもういいだろ。時間の無駄だ、帰ってくれ」
「わかった、言うよ。その前に、手、洗っていい?」

 風呂場の手桶に水を溜め、そこに吸殻を入れさせた。掃除が面倒だが灰皿がないので仕方がない。

「ちゃんと携帯灰皿くらい持ち歩け。喫煙者のマナーだろ」
「持ってるよ。持ってるけど、中がいっぱいになってさ」
「いつから待ってたんだ」
「えーっと、三時くらい? 今日土曜だから休みだと思ったんだよ」
「急な仕事が入ったんだ。事前に連絡しろと……またか」
「そう。また。携帯、止められちゃった」

 濡れた手をタオルで拭きながら杉本は舌を出した。

 高校の時から何もかわっていない。まるで成長しない。目の前に好物がぶら下げられたら後先考えずに飛びつく。欲望に素直。そして恥知らず。

 知りあったのは高校。杉本は制服の中に着るTシャツや靴、鞄、アクセサリー等にこだわる質で、クラスメートにも評判のお洒落好きな男だった。

 行きつけのショップがあり、新作が出るたびに買っていたからいつも金欠で学校のない時間はバイトに明け暮れていた。

 携帯電話も新機種が出るたび交換していたせいで、親から通話料はバイト代で払うようにとお達しがあり、通話料よりファッション優先の杉本の携帯が止められることは一度や二度じゃなかった。

 あの頃から金の使い道の優先順位がおかしい。高校卒業後、ファッション熱は徐々に冷め、フィギュア集めやビリヤードに一時期凝ったあと、今は携帯代も払えないほどギャンブルに嵌っている。

 本当に学生の頃から何も成長していない。

「それで? また携帯代貸してくれって言うのか? 前に貸した分もまだ返してもらってないのに?」
「覚えてるよ。ちゃんと返そうって、思ってる」
「思うだけじゃなくて早く返してくれ」
「わかってるって。給料入ったらすぐ宮野のとこ来るから」
「今日は給料日じゃないだろ」
「ああ……うん。ちゃんと次の給料入ったらすぐ返すから、絶対返すから、六万貸してくれない?」
「は?! 六万?!」

 前回貸した三倍の額だ。杉本は顔の前で手を合わせた。

「家賃払えなくて追い出されそうなんだ」

 ついにこの馬鹿は携帯代はおろか、家賃さえ払えないほどギャンブルに夢中になっているのか。この調子でいけばいつか身を滅ぼすぞ。

「そんな大金貸せるか。僕だって余裕があるわけじゃないんだ」
「お前の場合、いざとなれば実家があるじゃん。あのでっかい実家が」

 またそれか。呆れて溜息が出る。

 確かに僕の実家は敷地が広い。昔は離れで住みこみのお手伝いさんがいたほど裕福だったと聞いている。でもそれは昔の話だ。

 曾祖父あたりからお手伝いさんを雇う余裕がなくなり、祖父母の代からは二世帯住宅として離れを使うようになり、僕がまだ小さいころに祖父母が他界すると古い屋敷と離れを取り壊し、今風の少し大きな家を建てたというだけだ。

 学生の時、一度だけ杉本が家に遊びに来た。それ以来、金に困るたびに僕の実家のことを言うのでうんざりする。

「実家は関係ない。そもそも人に借りなきゃいけないほど金を使うな」
「五万、四万でもいいから」
「貸さない。僕だって社会人なりたてでそんなに持ってないんだ」
「アパート追い出されたらここに置いてくれる?」
「置くわけないだろ」
「消費者金融に借りるしかないじゃん」
「借りろ。自業自得だ」
「なんでもするからさあ」
「だったらウリでもやれ」
「ウリ?! 俺が?! 誰に? 男に?」
「あるらしいぞ」
「ホモじゃなくても出来んの?」
「本人のやる気次第だろ」

 杉本は少し考えこんだあと「やってみる」と僕に言った。この能天気な馬鹿はどこまで身を落とせば目を覚ますのだろうか。

「本気か?」
「もし気持ち良かったら金ももらえて一石二鳥」

 と僕にVサインを見せる。度を越した楽観主義は見てると殴りたくなるものらしい。

「そんなに甘いものじゃないだろ」
「やだ。もしかして経験者?」

 茶化す杉本に堪忍袋の緒が切れた。腕を掴んで隣の寝室へ引きずり込んだ。ベッドへ投げ捨て、驚く杉本の上へ跨る。

「お前のことだ。ウリの直前で怖くなってピーピー泣きわめいて仕事にならないだろ。そうならないように僕が初めての客になってやる」
「な、なんだよぉ、怖い顔して」

 杉本のだらしない笑顔がひきつる。

「六万欲しいんだろ。杉本に六万の価値があると思えないけど払ってやるよ」
「まじ?」

 戸惑いながらも目を光らせる。貞操の危機を前にしてもこの反応。この愚かしさは死ぬまで治らないのだろう。

「今から僕は客だ」

 


咬みつきたい

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