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可愛さも憎さも百倍(2/2)

2016.09.28.Wed.
<前話>

 肛門にひろ君の先端があてがわれる。俺は鋭く息を吸いこんだ。次の瞬間、硬いペニスが俺を引き裂きながら中に入って来た。

「ひぃ……い、いっ……! あ、ああぁっ……!!」
「あー、すっごい、きつい……」

 ひろ君は少し顔を歪めて笑いながら、背を伸びあがらせた。反り返ったペニスが俺の内部をグリッと抉って俺は息を詰まらせた。

「真吾のここ、想像してたよりすごくいいよ。処女まんこみたい」
「い、あっ……ひろ君……! やだぁあっ、あ、痛いっ……痛いよおぅっ」
「痛い? ……ほんとだ、少し血が出てるね。あとで手当てしてあげるよ」

 俺に酷いことしながら、いつも通りの優しい口調で言う。言ってることと、やっていることがちぐはぐだ。これは本当にひろ君なのか? これは現実?

「ああぁっ、やだ、ひろ君、やめてっ、あっ、あっ」

 ひろ君は抜き差しを止めない。頭を持ち上げると、ひろ君のペニスが俺の中を出たり入ったりしているのが見えた。

「やあっ、あっ、あんっ、だめぇっ」
「どこだったかな……ここ? ここかな?」

 ひろ君は腰を小刻みに動かしながら、中での位置を微調整する。さっき指で見つけた前立腺とやらを探しているんだろう。

「あっ、や、そこ、いやっ」

 ビクンッと体が跳ねあがる場所を突かれた。俺の様子を見てひろ君はにやりと笑った。

「ここか。真吾も気持ちよくしてあげるからね」

 ひろ君は器用に前立腺を的確に擦りながら腰を振った。

「あっ、あんっ、あぁあっ、そこだめっ、ひろ君! やだっ、あっ、はぁんっ!」

 痛みのなかに快感が生まれる。ペニスの根本を内側から刺激されて、そこを中心に快楽が広がっていく。だらんと力の抜けていた俺のペニスが、ふるふると立ちあがり始めた。

「真吾、気持ちいいだろう? 中がうねってる」

 ふふっとひろ君の笑い声。俺は曖昧に首を振った。

「ああっ、違っ……気持ちよく、なっ、ああぁんっ」
「体は正直だよ。ほら、こんなに濡れてる」

 俺のペニスを握り、先端をクチュクチュと揉みしだく。さっきの射精の残滓だけじゃない潤いが、そんないやらしい音を立てているのだ。顔だけじゃなく、体中が熱くなった。

「やっ、あっ! はぁっ! あんっ」
「気持ちいいんだろう? 真吾」
「ああぁんっ、やらっ……気持ち、よく、なっ……っ」
「真吾のオマンコは、グチュグチュに濡れて喜んでるよ」
「オマンコじゃ、ないよっ、はっ、あっ、ああっ」
「ちんこ突っ込まれたら、そこはもう、オマンコなんだよ。真吾は女の子になっちゃったんだ」
「違うっ、俺は……! 女じゃ、な、あっ、あぁんっ」

 ペニスをごしごし扱かれて、咄嗟にひろ君の腕を掴んだ。

「そんな、しちゃ……、また、出ちゃうよ、ひろ君……」
「イッちゃいなよ。真吾のイクところ見せて。俺が好きなんだろ? お願い聞いてくれるよね?」
「なんで……? なんでこんなこと、するの? ひろ君は、俺のこと……好き?」
「もちろん。俺も真吾のことが好きだよ」
「誰よりも……? 彼女より?」

 べそをかく俺を見て、ひろ君は苦笑した。

「順番に意味なんかある? そんなつまらないことにこだわっていたら、俺とこんなこと、出来ないよ? それでいいの?」
「いやっ……、あ、わかんない……っ、わかんないよ」
「真吾はまだ子供だから」

 俺を子供扱いすることで、ひろ君はこの話題を切りあげてしまった。俺の腰を抱え直し、パンパンと音を立てながらペニスを突きたてる。

「ああっ、あんっ、だめ、ひろ君! 出ちゃうっ! また精液出ちゃうよ!」
「俺のことが好きなら、エッチな真吾を見せて」
「はあぁっ、あっ、あっ! ひろ君、好きっ! 大好き! 見て! 見てて! イクところ……! 俺がイクとこ、見てて……ッ!!」
「見ててあげる。イッてごらん、真吾」

 俺はひろ君に見守られながら精液を吐きだした。ひろ君はあいかわらず優しい眼差しを俺に向けている。口の端には笑みが浮かんでいて、ひろ君の期待通りにできたのだと、俺は嬉しくなった。

「じゃあ、そろそろ俺も終わりにしようかな」
「ひろ君もイクの?」
「そうだよ。どこに欲しい?」
「えっ」
「真吾の中がいい? 顔? 口の中がいいかな? 初めてだから、真吾の希望を聞いてあげるよ」

 ひろ君が提案する一つ一つの場面が、勝手に頭に描かれる。どれであってもぞくぞくと甘美な震えが走る。全部がいい。全部して欲しい。それはさすがに無理だから、俺は、「中に出して」とお願いした。

 ひろ君は口を左右に吊り上げた。

「お望み通りに。俺の可愛い真吾」

 そう言って、ひろ君は激しいピストンを開始した。

 ※ ※ ※

 夕飯を食べていたら、母さんが思い出したように言った。大学を出たあと、ひろ君は家を出て一人暮らしをするらしい、と。

「そんなの俺、聞いてない!」

 先週の日曜に、ひろ君の部屋でセックスした時には何も言われなかった。だから心底驚いてつい大きな声が出た。

「どうしてあんたに言わなきゃいけないの」

 母さんは俺の剣幕に鼻白んだ顔つきで、次のおかずに手を伸ばす。

 俺にはそれを聞く権利があるはずだ。だって、中三のあの日から、俺とひろ君はセックスする仲なんだから。

 ひろ君はモテるから、俺の他にも大勢の女の子とセックスしている。ひろ君は皆を愛してくれるけれど、誰にも夢中にならない。平等にその愛を分け与えてくれる。この三年で俺以外に二人の男ともセックスしたみたいだけど、「やっぱり真吾が一番いい」と俺を抱いて言っていた。

 男の中で俺が一番なら、それ以上望むことはない。人気者のひろ君を独占したいなんて、身の程知らずもいいところだ。けれど、愛の供給が終わるなんて話は受け入れられない。それがなくちゃ生きていられないほど好きにさせたのは、ひろ君本人なのに。

 夕飯のあと、俺はひろ君の家に向かった。玄関を開けたのはひろ君のお母さんで、「宏之は自分の部屋にいるわよ」と教えてくれた。

 ひろ君の部屋の戸をノックして、ドアノブを回す。勉強机に向かっていたひろ君が振り返り、俺だとわかると困った顔をした。

「これから出かけなきゃいけないんだ」
「彼女に会うの?」
「友達だよ」
「セックスする友達?」
「しない方の友達だよ」

 ひろ君が苦笑する。ということは、大学の男友達なのかもしれない。

「引っ越しするって聞いた」
「ああ、おばさんに? そうだよ。ここからじゃ、就職先に遠いからね」
「俺を置いていくの? 俺はどうなるの?」
「俺のことは忘れて受験勉強に集中するんだね」
「嫌だ。今更ひろ君を忘れるなんてできないよ。俺のこと、好きって言ってくれたじゃん」
「好きだよ。今も昔も俺の可愛い真吾だよ。もう、可愛いって形容できる姿じゃなくなったけどね」

 この三年で俺のほうが体格がよくなっていた。

「俺もひろ君が好きだよ。誰よりも好きだよ。だから行かないでよ」
「たまに遊びに来るといいよ。今はまず、受験に集中しないとね」

 高校受験の時に俺に手を出しておいて、引っ越しするからと俺を突き放すなんて無責任だ。こんなに好き合っているのに。

「ひろ君、俺はもう子供じゃないよ」
「そうだね。だったら、俺の事情もわかるだろう?」
「初めてセックスした時の、ひろ君と同じ年になったよ」

 一歩一歩、ひろ君に近づいた。ひろ君の顔から笑みが薄れていく。俺が目の前に立つと、その顔から完全に笑みが消えていた。

「ひろ君、俺が好きでしょ?」

 何か言おうとしてひろ君の口が開いた。でも言葉が発せられることはなかった。

「俺もひろ君が好きだよ。だから、抱いてあげるね」

 ひろ君は目を見開いた。椅子から立ちあがり逃げようとする。その腰に抱きついてベッドに押し倒した。ひろ君は見たことのない顔で「ふざけるなっ」と俺を殴った。酷い。三年前のひろ君と同じことをしているだけなのに。俺はあの時、殴ったりなんかしなかったのに。

 カッとなってひろ君の首に手をかけた。力を込めるとひろ君は目を剥いた。俺の腕に爪を立て、足をばたつかせる。顔が赤くなっていくひろ君にキスした。

 手を緩めると、ひろ君はゴホゴホと咳き込んだ。充血して涙の滲む目で俺を睨みつける。

「お前……っ、なんてこと……、くそっ! ゴホッ……退け! 可愛がってやった恩も忘れやがって!」

 バチンと頬を打った。手加減したのに、ひろ君の体は大きく傾いでベッドに突っ伏した。ひろ君は怯えた顔で俺を見上げた。

「い、嫌だ、やめろ……!」
「土壇場になって怖くなっちゃった? 大丈夫だよ、誰だって最初は怖気づくものだから」

 ひろ君は顔を歪めた。まさか自分が言ってきた言葉を聞かされる側にまわるとは思わなかったんだろう。

 俺はひろ君の上に乗って、服のなかに手を入れた。

「ひっ……やめっ……真吾、嫌だっ、やめろ……!」
「静かにしないと、おばさんに聞かれちゃうよ」

 ひろ君は助けを求める目を部屋の外へ向けた。でも結局迷って目を伏せた。年下の男に襲われている姿なんか誰にも見られたくないよね。馬鹿だなぁ。つまらないプライドにこだわって、逃げだせるチャンスを自分で諦めるんだから。

 でも、そんなところも、俺は愛してあげるよ。

「俺の可愛いひろ君」




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