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Phantom (1/15)

2016.08.28.Sun.
※性犯罪、長い、退屈、後味悪い、ツッコミ処満載

 その匂いで目が覚めた。

 目隠しをされているから、視覚以外の五感は以前より鋭くなっていた。特に、匂いには敏感になった。男がつけている香水の匂い。懐かしい、白い微粒子のような粉っぽさと、冷たさと、甘さのある、匂いだ。

 その匂いが部屋の残り香と合わさって濃度を増している。男が帰って来たのだ。

 耳を澄ますと部屋を移動するかすかな足音も聞こえる。振動する空気が全身に伝わってくる。

 芳明は呼吸を乱れさせた。

 近づいて来る気配。男がすぐそばに立ったのがわかる。見えないながらも、男の気配のするほうを見上げる。男も、ベッドに座っている自分を見下ろしているのだろうと思った。

 男の足音が遠のいていった。きっと、排泄用のバケツの中身を捨てに行ったのだ。少しして男が戻って来ると、そばで空になったバケツを置く音がした。

 その音を聞いた直後、冷たいものが頬に当てられた。湿り気のある男の手。バケツを綺麗にしたあと、自分の手を洗ったのだろう。

 その手が芳明の頬を包みこみ、緩い力で上を向かせる。荒い呼吸を繰り返す口を、温かく柔らかなもので塞がれた。すぐさま、ぬるりとした舌が入り込んで芳明の舌を絡めとる。

「ふぅ……んっ……ん……ふ……ぁ……ッ……」

 芳明の鼻から空気と共に甘ったるい声が漏れる。

「ぁあっ」

 まだ冷たい男の手が、芳明のペニスに触れた。男の気配を追ってるうちに勃起していた。正確には、匂いで男の帰宅を知った瞬間から、血液がそこへ集まりだしていた。

 芳明はここへ監禁されてからというもの、数えきれないほど、男から犯されていた。

 ※ ※ ※

 いつも通り会社から帰る途中だった。急に襲われ、気が付くと全裸でこの部屋のベッドの上にいた。

 手は拘束され、左足首には頑丈そうなバンド。そこからロープが伸び、クローゼットのパイプに繋がれていた。必死に引っ張ってみたが、そのパイプはびくともしなかった。

 激しい動悸を感じながらあたりを見渡した。知らないワンルーム。家具はベッドだけの、生活感のない部屋だった。

 ベランダのカーテンが見えた。そこへたどりつく前にロープの限界が来て芳明は倒れ込んだ。

 その鼻先に一枚の紙があった。

『おはよう。手荒な真似をしてすまなかった。俺にはどうしても、君をここに連れて来る必要があった。スタンガンの火傷跡はいずれ消えるだろうから安心してくれ。

 君は今、自分の置かれている状況が飲みこめず、パニックに陥っているだろうが、どうか気を落ち着けてこの手紙を読み、内容をしっかり理解して欲しい。それが君のためになる。

 まず、この部屋は防音になっているから叫ぼうが喚こうが時間の無駄だ。時期がくれば解放する。それまでおとなしくしていれば命の保証はすると約束しよう。もし反抗的な態度を取るなら、その約束は守れない。

 この部屋にはカメラを仕込んである。俺のいない間に妙な真似したら、二度とそんなことが出来ないよう、その手足を使い物にならなくしたあと、更に拘束をきつくし、自由を制限する。一生、車椅子で過ごしたいなら、好きにしろ。

 繰り返し言うが、君が俺の言うことにおとなしく従ってくれるのなら、殺しはしない。これは脅しではない。俺は実行する。君の今の状況が俺の決意の証拠だ。

 ここに君がいることは誰も知らない。君の生死を誰も確かめられない。第三者にここを突き止められることもない。計画は用意周到だ。

 理解できたなら、ベッドの上にある布で、きつく目隠しして欲しい。俺の顔を見られないためだ。もし、見られてしまったら、君を殺すしかない。生きて帰りたいなら、俺の顔を見ようなんて思わないことだ。小細工は通用しない。』

 プリントされた紙を持つ手が震えた。何かの間違い。誰かの悪戯。自分の身に降りかかったことが信じられなかった。

 ベッドに視線を移せば、折りたたまれた黒い布があった。震える手でそれを取り、芳明は自分で目隠しをした。幅広で遮光性の高い布だ。視界も光もすべてが遮断された。

 気が狂いそうだった。ベッドの隅で膝を抱えて、夢ならはやく覚めてくれと願った。

 男が部屋に入って来たのはその数分後だった。本当にどこかで見ているのだと恐怖に身がすくんだ。顔を見たら殺される。目隠しをしていても恐ろしさから顔を俯けた。

 足音が背後にまわった。生きた心地がしなかった。男は目隠しの結び目をさらに強固にすると、芳明の肩に手を置いた。その温度と、皮膚の感触が、男は実在すると知らせて来た。不気味さに悲鳴をあげそうになった。

 男の手が肩から腕へ下りた。ふいに離れたと思ったら、前にまわって胸を触って来た。暴力に怯えていた芳明は、それとは正反対の手つきに吐き気を催した。女と間違えているのかと思った瞬間、全身から血の毛が引いた。

 助けて、と叫んだ。許して、とも。男は無言で芳明を触り続け、体中に口づけた。芳明が抵抗を見せると、バチバチバチ、と火花の散るような音が耳のすぐそばでした。スタンガンだ。芳明は抵抗を止めた。

 男は芳明を四つん這いにさせると、尻を割り開いた。それだけは嫌だと必死に懇願した。アナルに温かい吐息が吹きかけられ、ピチャリと舐められた。芳明は子供のように泣いた。

 皺の一つ一つ、丹念にそこを舐められた。舌を捻じ込まれ、中まで、男の唾液で潤った。芳明の恐怖と羞恥が諦めにかわるまで、男はそこを舐め続けた。長い時間だった。

 舌が抜けていったあと、今度は指が入って来た。冷たい液体をまとった指を何度も出し入れする。液体はローションだった。丁寧に括約筋を解された。

 指が抜かれた。次は芳明が想像していた通り、男のペニスが入って来た。すすり泣く芳明の背中をあやすように撫でながら、男はゆっくり、自身を埋めた。

 慣らすためかすぐには動かず、入れたまま芳明の体を後ろから抱きしめて、首筋や背中に舌を這わせながら、芳明のペニスを弄んだ。

 芳明の体から少し力が抜けると、男は動きだした。痛がると止まった。でも抜いてはくれない。少しずつ慣れさせながら、男は気長に芳明のアナルを広げた。

 男が達するまで、どれほど時間をかけただろうか。最初は縮こまっていた芳明も、緊張を持続させる体力が切れるとペニスは勃起した。混乱のなか、射精もした。

 男が抜けた時には精も根も尽き果て、ぐったりと横たわった。男はタフだった。温かいタオルで芳明の全身を拭いたあと、その体を抱きあげ布団のなかに寝かせた。

 布団をかけられると、いつの間にか寝てしまっていた。

 それ以来、男はやってくると芳明を犯した。体に触れて来る時は、乱暴とは正反対の優しい手つきだった。極限状態の恐怖から芳明が暴れた時に一度頬を打たれただけで、おとなしくしていれば手荒なことはされなかった。

 食事も与えられた。美味しそうな匂いの、温かいものを、男の手から食べた。芳明は雛鳥のように口を開けているだけでよかった。

 トイレには行かせてもらえなかった。尿意を訴えたらバケツを手渡された。これは許して欲しいと訴えたが、無視され、仕方なく、そこへするしかなかった。

 いつからか感覚が麻痺して、当たり前のようにバケツで排便もした。

 風呂は二日に一度くらいの割合でシャワーを浴びることが許された。体も頭も男の手によって丁寧に洗われ、髭も剃られた。

 男に犯されるか、寝るか、それだけの毎日を過ごしながら、男の目的はなんなのだろうかと頭の片隅で考えた。

 精神に異常をきたした人間の考えることなど理解できないが、目的は自分なのかもしれないと思った。男のやり方はレ/イプではなく、恋人同士のセックスのようだったからだ。

 自分だけが快楽を得るのではなく、芳明に負担をかけさせないよう気を配りながら、芳明を感じさせることに重きを置いた行為がほとんどだった。

 男はきっと、自分のことが好きなのだ。思いを募らせた結果、この異常な行動に走ってしまったのだ。

 ストックホルム症候群だとはわかりつつも、甲斐甲斐しく自分の世話をしてくれる男に対して嫌悪は薄れていった。何度も肌を合わせているうちに、男は絶対自分に乱暴なことはしないという安心感から、与えられる快楽に身をゆだねるようになった。

 素直に受け取ると男の興奮が増す気配がした。荒くなる息遣いを聞くと、芳明の鼓動も早くなった。

 男の匂いを嗅ぐと体温があがった。香水の匂いに頭が痺れたような感覚になった。匂いは、目が見えない芳明にとって男の存在を証明するものだった。

 男は唯一の命綱でもあった。

 無意識に男に媚びるようになったのは、生きたいという本能からだ。甘えたように額をこすりつけると男の喜ぶ気配がした。一言も言葉を発しないが、男の心情が手に取るようにわかった。

 男が来ればセックスをする。いなくなれば眠る。男が来ると食事をし、またセックスをする。いつしか男の匂いは、セックスの合図になっていた。

 ※ ※ ※

「あ……ん……んん……や……あ……」

 男にペニスを扱かれ、芳明は喘いだ。

「はぁあ……んっ……あ……あぁ……あん……やだ……イッちゃう……」

 芳明は男の胸にもたれかかった。男もそれを抱きとめる。芳明は肺一杯に、男の匂いを吸いこんだ。何度でも吸いたくなる匂いだ。

「あっ、ぁん……イク……イッちゃう……僕がイクとこ、見て……見てて……っ!」

 芳明は男の胸にすがりつきながら、ビクビクと体を震わせ、男の手に吐き出した。それを褒めるように、男は芳明のおでこにキスをした。

 芳明にとって男とのセックスは日常になっていた。当たり前にする行為。睡眠、食事、性交。それしかすることがない生活を何日も続けていたからだ。

 法律も常識もない空間で、視界を塞がれたまま男にしつこく犯され、まともとな精神状態とは言えなくなっていた。

 本能的に男を喜ばすことが生き残る手段だと悟り、そう変化していった。誰も芳明を責められない。

 男が服を脱いだ。勃起しているペニスを芳明の鼻先に持っていく。匂いでそれを察知した芳明は、男のペニスを口に咥えた。前後に頭を振って扱き、頬の内側に亀頭を押し当てながら陰茎を舐めた。くびれや尿道にまで舌の先をこじ入れ、余すところなく舐めあげた。

 最初は抵抗があったが、今では当たり前になっていた。この舌触りも、匂いも、味も、すべてに慣れた。これが男自身だと思うと愛おしくもあった。顔は見せてくれないし、声も聞かせてくれないが、一番大事な部分を預けてくれているのだと思うと、喜びさえ感じた。

 芳明は男に奉仕した。一心不乱にしゃぶった。頭を撫でられるとエクスタシーを感じた。大事にされていると胸が震えた。

 優しく肩を叩かれたあと、男のペニスがゆっくり口から抜けていった。芳明は寝転がり、自ら足を開いた。いつもならすぐに入れてくれるのに、男はなかなか入れてくれない。

「……どうしたの? 早く、入れて……っ……僕のなか、もうトロトロだよ……? あなたのを入れて欲しくてヒクヒクしてるの……見えるでしょ……?」

 膝の裏を持って男にアナルを見せつける。芳明のペニスは再び硬くなり、先走りを溢れさせていた。

「ねえ、早く……僕のなか、あなたのでグチャグチャに掻きまわして……っ」

 芳明の頼みを、男はやっと叶えてくれた。ベッドを軋ませながら覆いかぶさってくると、ペニスを挿入してきた。

「ぃああっ……あっ……ぁああぁん……ん、んふぅ……お、っくぅ……ッ……まで……あ、あ……はいって…る……!! んんぅ……っ……ぁ……あはぁん……!!」

 みっちり男のペニスで穴を塞がれると芳明は軽く絶頂を味わった。男の腕に指を食いこませながら遠のきそうになる意識を手繰り寄せ、その存在を味わうために締め付けた。

「は……ぁ……っ……! あ……!! やっ……あん……気持ちいい……ッ!!」

 小刻みに、時に激しく、腰を回すように突きあげられる。

「あぁんっ、あっ、あっ! もっとして……! ちんぽで……ッ……いっぱい、擦って…ぇ…!! あぁん! そこ…………きもち……いいっ……!!」

 男の頬を手で挟み込むと、芳明は自分のほうへ引き寄せた。舌を突きだし、男の口を探りあてる。唇を舐めていたら男の口が開いた。すぐさま舌を滑り込ませ、男の歯列や口蓋を舐め回し、男の唾液を啜った。

「あぁ……ん……んん……ぅ……ふぅ……ぁ……はぁ……んっ」

 無我夢中で男の舌を吸った。腰がゆらゆら揺れるのも、無意識だった。

「……ぁ……あ、やっ、だ……また……キタ……あぁ……ん……またイッちゃう……ズボズボされて……また僕……イッちゃうよ…ぉ…」

 男がどんな顔をしているのか想像もつかない。興奮した顔つきでも、冷ややかであったとしても、腰の内部からこみあげて来る熱い塊を止めることは出来ないだろう。

「あぁっ、ああん! イクゥ……イク、イク…………うッ!!!」

 芳明のペニスから吐きだされたものは、芳明自身の胸にかかった。芳明は微笑みながら、それを自分の胸に塗り広げた。

「はあ、はあ……次は……あなたの番……僕に種付けして……、孕みたい……僕、あなたの赤ちゃんを産みたい」

 ぐっと腰を抱え込まれた。中の男が一回り大きく育ったような気がした。小刻みな律動で、また前立腺を擦られる。射精したばかりの身には強すぎる刺激だ。芳明はまた狂ったように喘いだ。

「……ひっ、いいっ、あぁああっ、あぁん!! や……だめっ……やらぁあっ……あぁんっ、あんっ、あんっ!!」

 かと思うと、今度は根本まで挿入された。腰をグラインドさせながら、奥をえぐられる。

「あっ、あひっ、あっ、らめっ……ちんぽ強すぎ……らめぇえっ……」

 もはや呂律も回らなくなった。男は扱くように腰を前後させると、動きを止め、芳明の体の奥へ精を放った。大量の精液が放出される。その跳ね返りを感じて体をビクビク震わせる芳明の唇から、涎が零れ落ちた。




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