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ターゲット(2/2)

2016.04.28.Thu.
<前話はこちら>

 少しでも良くさせてやるのがせめてもの償いだと思って、恩田の乳首を口に含み、手で股間のものを扱いてやった。

「ちょっと! なに! なに! なんで!」

 慌てた声をあげて恩田が身じろぐ。同じことしたら、冴島もこんな風に慌てるんだろうか。まったく同じことしたら、その前にぶん殴られるか、成功したとしても、軽蔑されて一生を口きいてもらえないだろうな。
 
 ノコノコついてくるこいつは、学習しない馬鹿だ。馬鹿な奴ほどかわいいというのは正しいかもしれない。恩田相手にそういう感情が湧いて来る。

「気持ちいいだろ?」

 乳首が立ってるし、手の中のものも芯を持ってきた。

「いい、わけ、ない! ない! 離せ!」
「ほんとに良くない?」

 乳首に歯を立てたら恩田は体をビクンと跳ねさせた。

「ひっ、いっ、いやっ、だ!」

 チュウチュウと吸い上げながら恩田のちんこを扱いた。恩田の息遣いが乱れる。泣きそうな顔で俺のこと見て、されてること直視した恩田は顔を真っ赤にした。

「…ふぁ…っ…あ、あぁ……嫌だ、木原くんっ」
「お前のちんこ、ガチガチなんだけど。我慢汁いっぱい出て来るし、むりやりヤラれるのが好きなほう? Мなの?」
「違うっ、そんなこと、あるわけな……はっ、あぅん、あっ、先っぽ、指、だめ、やだ!」

 鈴口を指で絞るように扱きながら、左手でベッドの下から漫画やらゲームソフトやらを色々詰め込んでる引きだしを引っ張りだした。ガラクタの下からローションを探りだし、それを右手に出した。

 二度目だから、恩田もこれから自分がされることを充分理解していて、怯えた目で俺を見る。

「お、俺なんかとして、木原くんは、ほんとに、満足なの?」
「満足はしないけど、体の欲求は満たされる。お前のこともイカせるから」
「いやいやいや! そ、そん、頼んでないし! 必要ないし!」
「お互い気持ちいいほうがいいだろ」

 ローションまみれの指を恩田のケツに入れる。熱い内部に冷たいローションがすぐ温まる。広げるように指を出し入れしながら、ローションも継ぎ足して充分そこを潤わせた。

 閉じないように押さえていた恩田の膝が震えていた。

「怖い?」
「これ、強/姦なんですけど」
「同意じゃないの?」
「全力で拒否してますけど!」
「お前も俺なんかじゃなく、冴島のがいいよな。ごめんな」

 謝られたのが予想外だったのか、恩田は「べ、別に、冴島くんは今関係ないし」とブツブツ言いながら俺から目を逸らした。尖らせた唇が子供みたいだ。

 恩田の体から少し力が抜けていた。俺は自分のちんこにローションを垂らし、馴染ませてから恩田の尻に突っ込んだ。きついがぬめりのおかげでちんこは奥へと飲みこまれていく。

「嘘、急に…ッ…あ、あぁ……待っ……てっ…ゆっくり……木原くんの…太い、から、お尻、壊れる……ッ」

 前回も思ったけど、こいつの言葉のチョイスはいやらしい。俺を煽る利点がこいつにはないから、おそらく天然だろう。

「俺のって太い?」

 問いかけると潤んだ目でコクンと頷いた。やっぱ、馬鹿な奴ほどかわいいとは真理だ。

「痛いのやだろ?」

 うんうんと恩田は頷く。

「だったらお前も擦られて気持ちいいとこあったら言えよ。痛いの我慢するより気持ちいいほうがいいだろ?」

 えっ、と恩田が言葉を詰まらせる。レイ/プされてるのに、気持ちいいと言えと強要されてるんだから当然だ。

「ここはどうだ? 痛いか? 気持ちいいか?」

 腰を小刻みに刻んだ。恩田は首を左右に振った。

「そっ……そこ、良く、ない……ッ」

 断れない恩田は素直に答える。痛いと言わないのは俺への配慮なのか、ただ痛くないだけなのかは判断できなかいが、ここが気持ちよくないのは確かなので、場所をずらした。

「ここは?」
「ひっ、いっ、ちがっ」
「じゃ、ここ?」
「うぅっ……わかん、ない……」
「ちゃんと教えなきゃ駄目だろ。ここはどうだ?」
「あ、ん!」

 明らかに今までと違う声が出た。前回も聞いたことのある色のついた声だ。答えはわかりきってるけど、ちゃんと恩田の口から聞かないと。

「どう?」
「えっ、わかんない、けどっ……たぶん」
「わかんない? もちょっと擦るよ」

 同じところを擦った。

「はっ、あっ、あぁっ……んめっ、だ、めっ、そこ……!」

 角度や挿入距離、恩田の反応を見ながら場所を絞っていく。ここだってポイントを見つけた。恩田は藁をもつかむように俺の腕を掴んだ。

「どう? ここ。痛い?」
「…ッ…たく、なっ…あんっ、あっ、や!」
「やだ? いい? どっち?」
「どっちっ……はぁあっ、あっ、いい……そこ、あふ……気持ち、い……!」

 強請られるまま、恩田は「気持ちいい」と言葉に出した。嘘偽りないことは、恩田の勃起ちんこを見れば一目瞭然。俺の動きに合わせてピタンピタンと恩田の腹に頭を打ち付けて、カウパーをまき散らしている。

 このままここを責め続けたらすぐイッてしまいそうだ。恩田の中で自分のちんこを扱きながら、恩田のいいところを擦りあげた。

「ふあぁっ、木原くん……! それ、そこ、あっ、あぁん! あ、めて! やめ、てっ!」
「やめて? 気持ちよくない?」
「ちが……くて、それ、あ、あっ、気持ちい、からっ、出そう……なるっ!!」

 射精しそうということらしい。恩田の手を自分のちんこに導いてやった。

「自分で扱いてイッていいよ」

 恩田はちんこを握ると手を上下に動かしだした。俺の目の前だってことも考えられないくらい、頭の中射精への期待でいっぱいなんだろう。

「あふ、あぁ、あ、あっ、イキそう…ッ…、木原くん、俺……ッ!!」

 泣きそうな顔で訴えかけて来る。俺にどうして欲しいんだかわからない。キスでもしてやりゃいいのか?

 女とする時みたいに体を倒して恩田にキスした。乾いた唇を舐めたあと、舌を入れて中を弄った。ほんの少しだけ、恩田も応えた気がする。

 唇を離し、ピストン運動を再開した。恩田はちんこを握りしめたままだ。

「いかねえの?」
「うぅ……い、イク……」

 って言ったあとまた手を動かし始めた。ぎゅっと目を閉じて手つきが早い。射精はすぐだろう。

 俺も終わらせようと集中する。恩田相手にケツを振ってる。キスもした。好きじゃなくてもセックスはできる。ぜんぜん親しくなくても、肌を合わせれば誰よりも親近感が湧く。

 きゅっと奥が狭くなった。恩田が射精した。少しあと、俺も恩田の中に放った。

 ※ ※ ※

 それからも、なにかと口実をつけて恩田を呼び出しセックスした。嫌そうな顔をしながら毎回ついてくる恩田は信じられないほどの馬鹿だった。

 警察につきだされることもないまま卒業し、俺は大学へと進んだ。いわゆるFラン大学だが、意外に講義は面白く、参加したサークルでも新しい出会いがあって充実した毎日を送っていた。

 恩田の事を思い出さないこともなかった。あいつは自分のことを語らなかったし、俺もきかなかったから、卒業後の進路は知らない。

 今頃どうしているのか。俺を憎んでいるか。俺に犯されながらなにを考えていたのか。なぜ、毎回俺に付き合ってセックスしていたのか。聞いてみたいという好奇心に、自分勝手な期待がこもっている。都合のよすぎる返事を想像するのは時間の無駄だ。

 もしかしたらまだ冴島を思っているかもしれないというのに。

 野球とは無縁の生活を送っていたが、プロに進んだ冴島のことはテレビでずっと見ていた。プロ一年目から新人とは思えない活躍ぶり。

 もうずいぶん遠い存在になってしまった。一緒のチームでプレーしていた時のことを思うと、少し胸が締め付けられる程度だ。

 手の届かない相手をいつまでも思い続けるほど俺は一途じゃないから、大学でたまたま見つけたゲイの奴と付き合い出した。

 名前は塚原で年はふたつ上。見た目は地味なくせに相当な遊び人で、週末になると二丁目やらハッテン場やらに出入りするような人だ。

 俺の他に何人か男がいるらしいから、付き合ってるんじゃなく、この人のセフレの一人になったという表現が正しい。俺もそっちのほうが気楽でいい。

『このあと会える?』

 と午後の講義が終わったタイミングで塚原からメールがきた。特に予定もないから『会える』 と返したらすぐ、自分のマンションに来てほしいと返事がきた。

 学校を出て、電車に乗って、コンビニに寄ってから塚原のマンションへ向かった。3階の部屋の前でインターフォンを鳴らしたが無反応。自分から呼び出しておいて留守はないだろうと電話しようとしたら塚原が通路をやってきた。見慣れた鞄を背負った通学スタイルだ。

「いま帰り?」
「ちょっと、確かめたいことがあって」

 こそっと囁いた塚原は俺の腕を取り体の向きを反転させた。手すりから下を覗きこんで「あれ」と俺にも見るように促す。

「なに?」
「いま壁の隙間に隠れたけど、大学からここまでずっと、木原のこと尾行してる奴がいたんだ」
「えっ、俺を?」

 隠れたと言われる壁と壁の隙間を探してみる。さっきは気付かなかったが、黒い鞄のようなものがはみ出ている場所があった。

「前に木原といる時に妙な視線を感じて気付いたんだ。最初は俺のストーカーだと思ってここんとこ用心してたんだけどどうも違うみたいだし。まず第一に見覚えがない。俺、寝た男の顔は絶対忘れないから。俺じゃないなら木原かもしれないだろ? だから今日はわざと先に行かせて、あとをつけてたんだ。ちょっと遠くてわかりにくいけど、こいつ、知ってる?」

 塚原はスマホを俺に見せた。ここに来る前に寄ったコンビニ前。看板の後ろに隠れる人影をズームする。

「あ」

 思わぬ人物を見て声が出た。

「知ってる奴か?」
「恩田っていう、高校の時の……クラスメート」
「付き合ってた?」
「付き合ってないけど」

 付き合ってはないけど、セックスはしてた。なんであいつ、今頃現れたんだ。なにしに? 復讐? 今更?

 何ヶ月ぶりかに見る恩田の顔から目が離せなかった。着てる服が制服じゃないだけで、ちっとも変わってない。

「尾行だけじゃなくて、隠し撮りもしてたぞ」
「俺を?」

 何のために? 俺は冴島じゃないのに。ストーキングの相手を間違えてるんじゃないのか。プロ野球選手になった冴島じゃなく、高校最後の年にレギュラー外されてFラン大学に通ってる俺なんかをストーキングしてどうするんだよ。格が違いすぎるだろ。

 スマホを塚原に返した。隠れきれてない鞄で所在を確かめながら通路を戻る。

「あいつのところに行くのか? 俺もついていこうか?」

 心配して声をかけてくれる塚原を手で制し、俺は階段を駆け下りた。エントランスを出た瞬間、恩田が壁の隙間から飛び出して反対方向へ走り出す。逃げる恩田を追いかけた。

 もしあいつが冴島なんてスーパースターじゃなく平凡な俺で手を打とうという考えなら、俺も恩田で手を打ってやってもいい。あの馬鹿を可愛いと思える人間なんておそらく俺くらいのもんだろうから。

 元野球部の脚力舐めるな、帰宅部め。

 数百メートルでおいついて恩田の腕を掴んだ。激しく抵抗する恩田を無理矢理振り向かせた。




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ターゲット(1/2)

2016.04.27.Wed.
<前話「視線の先」はこちら>

※無理矢理


 野球ばかりやってきたのに、いまさら勉強に集中しろってのが無理な話だ。しかも、高校最後の年、後輩にポジションを取られて甲子園に出られないという不完全燃焼な終わり方をしたから気持ちの切り替えが難しい。

 せめて甲子園の土の上で終わりたかった。

 チームメイトはみんな俺に気を遣うから引退前から受験勉強を理由に練習をさぼるようになった。誰も何も言わない。腫物扱い。まともに話しかけてくれるのは冴島だけ。

 絶対的なエースとして周囲に期待され、またその期待に応えて来た男。冴島を見て初めて才能の存在を実感した。努力が才能の足元にも及ばないことを知った。しかも冴島は人一倍努力家でもあったから、凡人たちとの差は開く一方で、俺たちは足を引っ張らないように必死だった。

 冴島が嫌な奴なら、俺たちも毎日汗水垂らしてきつい練習をしなかっただろう。冴島は誰よりも努力して、誰よりもチームの事を考えていて、謙虚で、素直で、いい奴だった。

 心の中では面白く思っていない奴もいただろうが、大半の連中は、冴島を甲子園で活躍させてやりたいと思っていたはずだ。そう思わせる奴だったから。

 気付けばまた冴島のことを考えている。野球より未練を残しているかもしれない。俺はこんなに未練たらしい男だったのか。

 ただ授業についていけないだけだと思いたい。そろそろ本気を出して勉強しないとどこの大学にも行けないってのに授業内容が理解出来ない。これが集中できずに余計なことを考えてしまう原因だろう。

 放課後、参考書を買いに行こうと決めた。

 一日の授業が終わり、放課後になって、冴島からLINEがきていることに気付いた。部室に俺の荷物がまだ残っていたらしい。冴島を経由しないと誰も俺に話しかけることも出来ない。それほど俺は哀れに思われているのか。

 使わないし処分して欲しいと返すと、ポケットに入れる前に返事がきた。

『俺が預かっておくよ。今度会う時に渡すから!』

 冴島には会いたいが、会えない。優しくされるのが辛い。そばにいると胸が苦しい。冴島はドストレート。望む関係には絶対なれない。諦めるしかない。でも、諦められるほど簡単な想いでもない。

 靴を履き替えて校舎を出たら、見覚えのある後ろ姿が少し前を歩いていた。速足で近づいて肩を組むと、恩田は小動物みたいに飛び上がった。

「あ、木原、くん」

 俺をびくびくと見上げて来る。一年の時同じクラスだったらしいけどまるで記憶にない。それくらい影の薄い男。こいつの存在に気付いたのは、俺と同じような視線を冴島に送っていたから。

 しかもこいつは盗撮までしていた。

「警察にはもう行った?」
「まだ、ですけど」

 恩田を犯したのは五日前。土日を挟んだから行動する時間は充分あったはずなのに。

「なんで警察に行かねえの」
「行けるわけ、ない、でしょ」

 もぞもぞと肩にまわされた俺の腕をおろそうと体を動かしている。嫌ならはっきり言えばいいのに言わない。振り払えばいいのに振り払わない。出来ない意味がわからない。

「案外良かった?」
「馬鹿じゃない」

 腹が立ったなら怒ればいいのに、恩田は感情を殺して俺を睨むだけだ。

「一緒に帰ろう」
「えっ、なんで」
「仲間だろ」
「なんの」
「ホモ」
「だから、俺は違うって」
「まだ認めないの? 頑固だな」

 あんなにねちっこい視線を送って冴島を見ていたくせに好きだと認めない。俺もあんな目で見ていたのかもしれないと気を付けるきっかけになるほどあけすけだったのに。

 肩を組んだまま学校の敷地を出た。恩田は嫌そうだったけど、強く断れない性格らしく、腕はそのまま、結局一緒に駅に向かって電車に乗った。

「あ、そうだ。参考書買いたいから本屋ついてきて」
「一人で行けばいいだろ」
「野球ばっかやってきたから授業にぜんぜんついてけないんだよね」
「人の話を……」
「降りるぞ」

 恩田の腕をつかんで電車を出た。なにかごちゃごちゃ言いながらも、恩田は俺のあとをついて改札を抜け、「本屋どっちだっけ?」と質問すれば「こっち」と教えてくれた。

 参考書を選んでいる間も所在無さげではあるがそばに立って待っていた。

「種類多すぎてわかんねえな。どれがいいと思う?」
「苦手な教科は?」
「全部」
「……とりあえず総復習のやつ買えばいいんじゃないかな。これで本当に苦手なところがわかると思うけど……」
「なるほどな。じゃあ、これにしよ」

 高校三年間の総復習が出来ると書かれたやつを買うことにした。レジに並んでいる間に中身を見たが解ける自信はまったくなかった。

「そうだ。お前、頭いいの?」
「よくない。普通くらい」
「勉強教えてくれよ」
「いやいや、人に教えるとか、無理」
「大丈夫大丈夫」

 不満げな恩田と駅に戻った。

「勉強はどこでする? 俺んち? お前んち今日大丈夫?」
「今日?!」
「今日」
「えぇ……じゃあ、木原くんの家、で」

 恩田をつれて家に帰った。

 自分の部屋に入れてから、リビングにしとけばよかったと後悔した。起きたままのぐしゃぐしゃの布団とか、ゴミや服が散らかった部屋がみっともないのもあるが、野球部で使っていた鞄や道具を他人に見られるのが一番嫌だった。

「適当に座れ」

 と脱ぎ散らかした服を上に被せて隠そうとしたけど、恩田はしっかりそれを見たあと、同情的な目を俺に向けた。俺が甲子園に出られなかったことを知っているんだろう。

「一時間、だけなら」

 恩田は床に正座した。本当はいますぐ帰りたいくらい嫌だけど、俺が可哀そうだから言う通りにしてくれたのかもしれない。

 俺は恩田を押し倒した。

「木原くん!」
「ついてきたってことは、なにされてもいいってことだろ」
「違うよ!」

 恩田が叫ぶ。俺だって最初からこんなつもりじゃなかった。本当に勉強しようと思ってたんだ。

 服をたくしあげ、直に触った。相手が恩田でも体温を感じれば興奮して一瞬でその気になる。ベルトに手をかけた。

「木原くんが好きなのは、冴島くんだろ!」

 恩田の言葉に手が止まった。

「いま、なんて」
「俺を冴島くんの代わりにしてなんになるって言うんだよ!」

 恩田にバレていた。冴島への気持ちを見抜かれていた。俺と同じ理由で気付いただけかもしれないが、そうなると冴島にもバレている可能性が出て来た。気を付けていたつもりでも、俺も恩田のようにあからさまな視線を送っていたのかもしれない。

「お前が冴島の代わりになるわけないだろ」

 俺の言葉に恩田は目を逸らして「わかってるよ」といじけたように呟いた。

「どうして冴島のことが好きだってわかった?」
「だって木原くんもずっと冴島くんのこと見てたじゃないか。普通じゃない目で。俺に酷いことしながら、ずっと冴島くんのロッカー見てた」 

 酷いこと。強/姦のこと。恩田を犯しながら、確かに俺は頭のなかに冴島を思い描いていた。最初はその才能に嫉妬して、敵わないと認めたら純粋に尊敬し憧れて、気付いたら好きになっていた。

 親友面して邪な目と手で冴島に触れて。その記憶と感触で何度も冴島を汚してきた。妄想のなかで冴島を貫きながら、恩田を犯していた。

「冴島くんが好きなら、俺は、関係、なくない?! 身代わりにもならないなら、尚更」

 俺の下で身をよじって恩田が逃げようとする。それをまた押さえこんだ。

「あいつは優しいからさ、俺が好きだって告ったとしても、嫌な態度は取らないと思うんだよ。でも受け入れてくれることは絶対ないんだ。あいつ、完全に女しか無理なタイプだから。俺もあいつのこと困らせたくないから、絶対言うつもりはねえけど」
「そういう気持ちは理解できるけど、だからって俺に八つ当たりは」
「お前も吹っ切りたいだろ」

 恩田のズボンをパンツごとずりおろした。恩田が手で股間を隠す。

「ほんとに嫌なら俺のこと殴ればいいし、警察行けば俺の人生潰せるぞ」
「自棄になるの、よくないと思うけど」

 今の気分を言い当てられて少し驚く。成就しない恋愛。報われない努力。先の見えない未来。自分一人だけ取り残されているのがわかっているのに、何から手をつければいいのかわからなかった。だから自棄になっていた。どうなったっていいと思っていた。

「自棄になんなきゃ、こんなこと出来ないからな」

 俺は恩田に口づけた。驚いた恩田が口を閉じる。その隙間から舌を割り込ませ歯の表面を舐めたら堪えきれないように口が開いた。さらに奥へと舌を潜り込ませて中で動かす。噛まれるかもと思ったが、ぎゅっと目を瞑った恩田は石像のように固まってなすがままだ。

 俺と恩田の唾液が混ざりあう。コクン、と恩田の咽喉が鳴った。

 キスしながら恩田の胸に手を這わせた。見つけた小さな乳首を弄ると恩田の吐息が乱れた。

「はっ、あ、んむ」

 貧乳の女とセックスしたことがあるけど手触りがまるで違う。膨らみ以前に、柔らかさがない。匂いも違う。汗と体臭。髪もいい匂いがしない。俺も男は恩田しか知らない。たぶん、恩田も。

「お前、処女で童貞だよな?」
「はっ?!」

 久しぶりに開いた恩田の目は少し赤くなっていた。

「木原くんに関係ないと思うけど!」
「ファーストキスも、全部、俺が初めての相手だよな?」
「言い方! やめろ! これはノーカン! だって強/姦!」
「ラップかよ」

 恩田は必死なのかもしれないが思わず笑ってしまった。馬鹿にされたと思ったのか、恩田は不機嫌顔だ。自分の意見を言うことは苦手でも、よく見れば表情はとても雄弁だ。

 相手が俺じゃなく冴島だったらこいつも喜んだだろう。俺だって、出来ることなら冴島を抱きたい。相手に不満があるのはお互い様だ。だからって強/姦の免罪符にはもちろんならないけど。





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