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更新履歴・お知らせ

2017/11/20
雨の日の再会1、更新

2017/11/19
ピンクの唇、完結

2017/11/2
赤い爪、完結

2017/10/28
スカートめくり、完結

2017/10/23
続続続・ひとでなし2、完結

2017/10/22
続続続・ひとでなし1、更新

2017/10/21
続続・ひとでなし2、完結

2017/10/20
続続・ひとでなし1、更新

2017/10/19
続・ひとでなし2、完結

2017/10/18
続・ひとでなし1、更新

2017/09/08
ひとでなし2、完結

2017/09/07
ひとでなし1、更新

2017/09/02
ほんとにあったら怖い話2完結

2017/09/01
ほんとにあったら怖い話1更新

2017/07/28
コンビ愛更新、完結

2017/07/06
第二ボタン2更新、完結

2017/07/05
第二ボタン1更新

2017/05/25
ちょろくない2更新、完結

2017/05/24
ちょろくない1更新

2017/05/16
やっぱちょろい2更新、完結

2017/05/15
やっぱちょろい1更新

2017/02/11
メリクリあけおめ2更新、完結

2017/02/10
メリクリあけおめ1更新

2016/11/14
義父の訪問更新、完結

2016/10/27
覗き2更新、完結

2016/10/26
覗き1更新

2016/10/22
終わらない夜2更新、完結

2016/10/21
終わらない夜1更新

2016/10/16
凹の懊悩2更新、完結

2016/10/15
凹の懊悩1更新

2016/09/28
可愛さも憎さも百倍2更新、完結

2016/09/27
可愛さも憎さも百倍1更新

2016/09/22
利害の一致2更新、完結

2016/09/21
利害の一致1更新

2016/09/16
楽しい記憶喪失!3更新、完結

2016/09/15
楽しい記憶喪失!2更新

2016/09/14
楽しい記憶喪失!1更新

2016/09/13
楽しい同棲!2更新、完結

2016/09/12
楽しい同棲!1更新

2016/09/11
Phantom15更新、完結

2016/09/10
Phantom14更新

2016/09/09
Phantom13更新

2016/09/08
Phantom12更新

2016/09/07
Phantom11更新

2016/09/06
Phantom10更新

2016/09/05
Phantom9更新

2016/09/04
Phantom8更新

2016/09/03
Phantom7更新

2016/09/02
Phantom6更新

2016/09/01
Phantom5更新

2016/08/31
Phantom4更新
リンク一件追加

2016/08/30
Phantom3更新

2016/08/29
Phantom2更新

2016/08/28
Phantom1更新

2016/08/04
嘘7更新、完結

2016/08/03
嘘6更新

2016/08/02
嘘5更新

2016/08/01
嘘4更新

2016/07/31
嘘3更新

2016/07/30
嘘2更新

2016/07/29
嘘1更新

2016/07/18
Love Scars3更新、完結

2016/07/17
Love Scars2更新

2016/07/16
Love Scars1更新

2016/07/13
行きつく先は5更新、完結

2016/07/12
行きつく先は4更新

2016/07/11
行きつく先は3更新

2016/07/10
行きつく先は2更新

2016/07/09
行きつく先は1更新

2016/07/04
電話が鳴る7更新、完結

2016/07/03
電話が鳴る6更新

2016/07/02
電話が鳴る5更新

2016/07/01
電話が鳴る4更新

2016/06/30
電話が鳴る3更新

2016/06/29
電話が鳴る2更新

2016/06/28
電話が鳴る1更新

2016/06/16
今日の相手も2更新、完結

2016/06/15
今日の相手も1更新

2016/06/08
今日の相手は2更新、完結

2016/06/07
今日の相手は1更新

2016/05/25
いおや2更新、完結

2016/05/24
いおや1更新

2016/05/14
奇跡2更新、完結

2016/05/13
奇跡1更新

2016/04/28
ターゲット2更新、完結

2016/04/27
ターゲット1更新

2016/03/02
視線の先2更新、完結

2016/03/01
視線の先1更新

2016/02/23
性癖の道連れ2更新、完結

2016/02/22
性癖の道連れ1更新

2016/02/15
DL販売お知らせ

2016/01/20
尾行2更新、完結

2016/01/19
尾行1更新

2015/12/07
遺作2更新、完結

2015/12/06
遺作1更新

2015/12/02
昼夜2更新、完結

2015/12/01
昼夜1更新

2015/11/26
大小2更新、完結

2015/11/25
大小1更新

2015/11/15
彼はセールスマン2更新、完結

2015/11/14
彼はセールスマン1更新

2015/10/22
2度あることは2更新、完結

2015/10/21
2度あることは1更新

2015/09/18
死神さんいらっしゃい2更新、完結

2015/09/17
死神さんいらっしゃい1更新

2015/09/08
Congratulations2更新、完結

2015/09/07
Congratulations1更新

2015/09/01
待田くんに春の気配3更新、完結

2015/08/31
待田くんに春の気配2更新

2015/08/30
待田くんに春の気配1更新

2015/08/11
亀の恩返し2更新、完結

2015/08/11
亀の恩返し1更新

2015/08/07
Aからのメール2更新、完結

2015/08/06
Aからのメール1更新

2015/07/06
5年後2更新、完結

2015/07/05
5年後1更新

2015/07/04
待っててね2更新、完結

2015/07/03
待っててね1更新

2015/05/11
その後3更新、完結

2015/05/10
その後2更新

2015/05/09
リクエスト小説
その後1更新

2015/05/05
待田くんに春はこない2更新、完結

2015/05/04
待田くんに春はこない1更新

2015/04/30
楽しいシーソーゲーム!2
更新、完結

2015/04/29
楽しいシーソーゲーム!1更新

2015/04/21
楽しい親子喧嘩!1
楽しい親子喧嘩!2更新、完結

2015/04/16
楽しい放課後!2更新、完結

2015/04/15
楽しい放課後!1更新

2015/04/06
楽しい合コン!2更新、完結

2015/04/05
楽しい合コン!1更新

2015/04/01
楽しいお見舞い!2更新、完結

2015/03/30
楽しいお見舞い!1更新

2015/03/24
楽しい旧校舎!2更新、完結

2015/03/23
楽しい旧校舎!1更新

2015/03/16
楽しい入院生活!2更新、完結

2015/03/15
楽しい入院生活!1更新

2015/03/05
楽しい遊園地!2更新、完結

2015/03/04
楽しい遊園地!1更新

2015/02/27
楽しいロッカールーム!2更新、完結

2015/02/26
楽しいロッカールーム!1更新

2015/02/16
楽しいOB会!2更新、完結

2015/02/15
楽しいOB会!1更新

2015/02/14
一周年!!
いつもありがとうございます!
君は日向の匂い更新、完結
シンデレラアイドルのSSです

2015/02/13
保健室の先生2更新、完結

2015/02/12
保健室の先生1更新

2015/02/11
teeth2更新、完結

2015/02/10
teeth1更新

2015/02/09
楽しい初カノ!2更新、完結

2015/02/08
楽しい初カノ!1更新

2015/01/31
楽しい勉強会!2更新、完結

2015/01/30
楽しい勉強会!1更新

2015/01/23
楽しいお泊り!2更新、完結

2015/01/22
リクエスト小説
楽しいお泊り!1更新

2015/01/08
明けましておめでとうございます!
本年も宜しくお願い致します!
リクエスト小説
両想い1、2更新、完結

2014/12/12
楽しい合宿!2更新、完結

2014/12/11
楽しい合宿!1更新

2014/12/01
アガルタ2更新、完結

2014/11/30
リクエスト小説
アガルタ1更新

2014/11/23
朝のお楽しみ2更新、完結

2014/11/22
リクエスト小説
朝のお楽しみ1更新

2014/11/14
即位式2更新、完結

2014/11/13
即位式1更新

2014/11/04
裏ドSくん3更新、完結

2014/11/03
裏ドSくん2更新

2014/11/02
裏ドSくん1更新

2014/11/01
ひみつのドSくん2更新、完結

2014/10/31
ひみつのドSくん1更新

2014/10/30
伴侶1、2更新、完結

2014/10/27
支配人3更新、完結

2014/10/26
支配人2更新

2014/10/25
支配人1更新

2014/10/24
隣人3更新、完結

2014/10/23
隣人2更新

2014/10/22
隣人1更新

2014/10/15
元上司2更新、完結

2014/10/14
リクエスト小説
元上司 1更新

2014/10/10
ニコニコドッグⅡ 2更新、完結

2014/10/09
リクエスト小説
ニコニコドッグⅡ 1更新

2014/10/04
茶番2更新、完結

2014/10/03
リクエスト小説
茶番1更新

2014/09/12
「ちょろい 2」更新、完結

2014/09/11
「ちょろい 1」更新

2014/09/08
「新雪の君」更新、完結

2014/09/06
コメントお返事させて頂きました

2014/09/05
「すばらしい日々3」更新、完結

2014/09/04
「すばらしい日々2」更新
コメントお返事させて頂きました

2014/09/03
リクエスト小説
「すばらしい日々1」更新
コメントお返事させて頂きました

2014/09/01
「好きと言って4」更新、完結

2014/08/31
「好きと言って3」更新

2014/08/30
「好きと言って2」更新

2014/08/29
リクエスト小説
「好きと言って1」更新

2014/08/24
「純粋に近付いた何か2」更新、完結

2014/08/23
リクエスト小説
「純粋に近付いた何か 1」更新

2014/08/15
コメントお返事させて頂きました

2014/08/14
再会2更新、完結
コメレスさせて頂きました

2014/08/13
リクエスト小説「再会1」更新
「ノビ」の続編です

2014/07/26
コメントお返事させて頂きました

2014/07/25
息子さんを僕にください2更新完結

2014/07/24
リクエスト小説「息子さんを僕にください1」更新
娘さんを僕に下さいとは無関係ですw

2014/07/22
コメントお返事させて頂きました

2014/07/20
久しく為さば須らく2更新、完結
コメントお返事させて頂きました

2014/07/19
リクエスト小説「久しく為さば須らく1」更新
コメントお返事させて頂きました

2014/07/18
コメントお返事させて頂きました

2014/07/16
コメントお返事させて頂きました

2014/07/15
コメントお返事させて頂きました

2014/07/14
コメントお返事させて頂きました

2014/07/13
リクエスト小説「嫉妬せいでか2」更新、完結
コメお返事させて頂きました

リクエスト小説「嫉妬せいでか1」更新

2014/07/11
拍手お返事させて頂きました
お知らせ一件

2014/07/10
コメント、拍手お返事させて頂きました

2014/07/09
拍手お返事させて頂きました

2014/07/08
コメント、拍手お返事させて頂きました
耽溺 2更新、完結

2014/07/07
拍手お返事させて頂きました
リクエスト小説「耽溺 1」更新

2014/07/06
拍手お返事させて頂きました

2014/07/05
拍手お返事させて頂きました

2014/07/04
コメント、拍手、お返事させて頂きました

2014/07/03
コメント、拍手、お返事させて頂きました
吉原と拓海その後 2更新、完結

2014/07/02
コメント、拍手、お返事させて頂きました
吉原と拓海その後1更新しました

2014/07/01
コメントお返事させて頂きました
シンデレラアイドル2更新、完結

2014/06/30
拍手お返事させて頂きました
シンデレラアイドル1更新しました

2014/06/29
リクエスト募集してます

2014/06/27
拍手お返事させて頂きました

2014/06/24
目は口ほどに 更新、完結

2014/06/17
茶々丸更新、完結
獣姦っぽい

2014/06/11
連鎖 2更新、完結

2014/06/10
連鎖 1更新

2014/06/07
拍手お返事させて頂きました

2014/06/06
拍手お返事させて頂きました

2014/06/05
拍手お返事させて頂きました

2014/06/04
元旦那さん 2更新、完結

2014/06/03
元旦那さん 1更新
旦那さんの続きです

2014/05/29
昨日の記事の続きで拍手お返事させてもらっています

2014/05/28
旦那さん 2更新、完結

2014/05/27
旦那さん 1更新

2014/05/22
夢の時間2更新、完結

2014/05/21
アンケート1位小説「親子」
夢の時間1更新

2014/05/16
この物語はフィクションです更新、完結

2014/05/14
アンケート1位小説「教師と生徒」で先生受け。
信じて下さい更新。完結

2014/05/11
純粋とは程遠いなにか2更新。完結
ダウンロード販売のお知らせ

2014/05/09
純粋とは程遠い何か1更新

2014/05/01
長男としての責務2更新。完結

2014/04/30
長男としての責務1更新

2014/04/27
セフレ更新。完結

2014/04/21
嘘が真になる2更新。完結

2014/04/20
嘘が真になる1更新。
アンケート終了しました
投票してくださった皆さんありがとうございました!

2014/04/15
親切が仇になる2更新。完結

2014/04/14
親切が仇になる1更新

2014/04/11
家庭教師更新。完結

2014/04/09
惚れ薬2更新。完結

2014/04/08
惚れ薬1更新

2014/04/05
ニコニコドッグ更新。完結

2014/04/03
健やかなるときも病めるときも更新。完結
アンケート設置1ヶ月記念更新
回答ありがとうございます!

2014/04/02
お隣さん2更新。完結

2014/04/01
お隣さん1更新

2014/03/28
B3-17 はるか更新。完結

2014/03/27
会話の語尾は常にハートマーク更新。完結

2014/03/24
僕の居場所更新。完結

2014/03/21
兄弟愛(3/3)更新。完結

ストックを全て出し切ってしまいましたので毎日更新は今日で終わりになります。
これからは書き終わり次第更新していきますので、引き続きよろしくお願い致します。

2014/03/20
兄弟愛(2/3)更新。

2014/03/19
兄弟愛(1/3)更新。

2014/03/18
7歳の高校生更新。完結

2014/03/17
7歳の高校生更新

2014/03/16
裏の顔更新。完結
アンケート2位「教師と生徒」
少し違う感じになりました。

2014/03/15
残業も悪くない更新。完結
アンケート結果を反映させてみました。
アンケートに答えてくださった皆さんありがとうございます。引き続きお願い致します

2014/03/14
片思い更新。完結

2014/03/13
クラスの地味男更新。完結

2014/03/12
吉原と拓海更新。完結

2014/03/11
罠更新。完結

2014/03/10
同級生更新。完結

2014/03/09
目覚め更新。完結
FC2小説にて、
閃光戦士フラシュレッド!公開。完結。

2014/03/08
やってられない更新。完結

2014/03/07
地下の城ピュラタ更新。完結

2014/03/06
地下の城ピュラタ更新。

2014/03/05
部室にて更新。完結

2014/03/04
すべからく長生きせよ更新。完結

2014/03/03
秘め事更新。完結
アンケート設置。ご協力お願いします

2014/03/02
映画館にて更新。完結

2014/03/01
大迷惑@一角獣更新。完結

2014/02/28
大迷惑@一角獣更新。

2014/02/27
僕はセールスマン更新。完結

2014/02/26
俺のセールスマン更新。完結

2014/02/25
夏の夜更新。完結

2014/02/24
妄想更新。完結

2014/02/23
先生 その2更新。完結

2014/02/22
洞窟更新。完結

2014/02/21
洞窟更新。

2014/02/20
先生 その1(1-2)更新。
先生 その1(2-2)更新。完結

2014/02/19
娘さんを僕にください更新。完結

2014/02/18
ノビ更新。完結

2014/02/17
ノビ更新。

2014/02/16
1万3千円更新。完結

2014/02/15
1万3千円更新。

2014/02/14
ファンレター更新。完結

2014/02/14
ブログ始動。
「ファンレター」公開。

よろしくお願いします。

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DiGiket.comさん

薔薇色の日々
  (「裏の顔」改訂版)

不埒な短編集
 短編3つ

不埒な短編集第二
 短編3つ

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5年後(2/2)

<前話はこちら>

 当然のように健人が俺にキスをしようとしてくる。反射的に顔を背けたら頬にキスされた。そのまま唇が首、鎖骨へとさがっていく。

「ちょ、健人っ」

 健人が俺の乳首をちゅっと音を立てて吸った。ビリッと電気が走ったような刺激が体を駆けぬける。俺の記憶にはないけれど、俺の体には記憶されている刺激だった。初めてじゃない、日常的に与えられる快感だと体は知っていた。

「や、いやだ、健人」

 俺の腕を押さえつけて、健人は舌を動かし続ける。強弱つけて吸われたり噛まれたりしていると、甘酸っぱい感覚が体中に広がって行った。

「健人っ……ほんとに、やめろって……!」
「まだ仕事まで時間あるじゃん」

 俺は仕事をしているのか。どんな仕事なんだろう。ほんとに時間は大丈夫なのか。目を動かして時計を探したら、サイドテーブルにシンプルな置時計を見つけた。6時12分。余裕のありそうな時間だとわかって、夢のなかなのにほっとしてしまう。

「はっ、話、話がしたいっ」

 どんどん下へおりていく健人の肩を叩く。

「なんの話?」

 体中にキスをしながらついに健人の頭は俺の股間にまでさがった。

「――や、やめっ……!!」

 ぱくり、と健人は俺のものを咥えこんだ。ぬるっとして温かい口腔内。俺の亀頭を健人が舐めまわしている。

「う、わ……!! 健人! や、嫌だっ、やめろって、ば……ッ」

 俺の言うことなんか聞かないで音を立てて吸ったりしゃぶったりと好き放題やってくれる。一番敏感な場所を直接的に愛撫されたらひとたまりもなくて、健人相手だというのに勃起させて腰がビクビク震えた。

 健人はこういうことに慣れているのか、舌使いに一切の迷いがない。しかも心得ていると言わんばかりに俺を追い立てるのが上手い。心拍数が上がって呼吸が乱れる。しかもいつもと違う、甘ったるい声が勝手に口から出てくる。

「んっ……あ……ぁ……やだ……健人、そんなっ……強く、吸うなっ……!」

 嫌だと言いつつ、心の底ではやめないで欲しいと願ってる。それくらい気持ちがよくて、形ばかりの抵抗をしながら健人の髪に指を入れてその感触にさえゾクゾクと体を震わせた。

 どうせ夢なのだから。それに、ここでは俺と健人は恋人同士なわけだし。

 今まで健人に好きだと言われても軽くあしらってきた。いつか諦めるだろうと思っていたのに、健人は何年も一途に俺だけを想ってくれていた。ただ好かれるだけの立場に罪悪感を抱き始めていた頃だった。これは健人との関係を真剣に考えるいい機会になるかもしれない。

「ま……って……健人の……仕事は?」
「俺もまだ大丈夫」

 顔をあげた健人が子供みたいに笑う。受け入れてしまうと、素直に感情表現する健人が可愛くて愛おしくなる。

「あっ! ちょ……、どこ触って……!」

 いきなり後ろに指を入れられて声が裏返った。そこがジンジンと熱く脈打つ。経験がないのに、そこで昨夜、健人を受け入れたのだとわかる。

「う、あっ、あっ……うそ……あぁ……健人、やめっ……」

 奥まで入った指が中で動かされる。そんなところ、触ったことも触られたこともない。未知の羞恥に涙が出て来た。

「ごめん、痛かった?」

 心配そうに顔を覗きこまれて「違う」と首を振った。

「はっ、恥ずかしくて、どうにか、なりそうで」
「なんだか昔のしいちゃんに戻ったみたい。はじめの頃を思い出すね」

 健人はまた指を動かしはじめた。健人にあんな場所を触られているなんて恥ずかしくて死にそうだ。

「俺と、健人は、いつからこういう……?」
「忘れたの?」

 健人がむっと顔つきをかえる。

「じゃなくて……っ、覚えてる、けど、健人も覚えてるか、答え合わせ……」
「俺が忘れるわけないじゃん。付き合い始めたのは俺が高3の夏休みだよ」

 高3! 一年後じゃないか。俺はそんな願望でも持っているというのか?! ただの危機感だと思いたい。

「どうして、付き合うことになったんだっけ……?」
「高2の夏に寝惚けたしいちゃんが俺にキスしてくれたのがきっかけだったよね。それまでは弟扱いしかしてくれなかったしいちゃんが、それでやっと俺のこと意識するようになってくれて、あとは押して押しておしまくったよね」

 高2の夏といえばまさに今ぐらいの時期だ。いやいや待て待て、これは夢だ。現実になるわけじゃない。いくら寝惚けていたって、俺が健人にキスするはずないじゃないか。

 俺のなかから健人の指が抜けて行った。終わったのかと思いきや、健人は自分のものを扱いていた。

「まさかっ」
「ちゃんとゴムはつけるから」
「あっ、嫌だ、健人!!」

 足を開かされた中心に、健人の太いペニスがあてがわれる。自分が突っ込まれるところまで想像していなかった!!いくら夢でもこれはない! 

「う、うあぁ……っ……いや、だぁ……あっ……健人……ッ!!」
「昨日もいっぱいしたのに、もうきついね、しいちゃんのここ」
「やだ、やっ、あぁっ……無理、抜いて、健人っ」
「無理じゃないよ、大丈夫、しいちゃん」

 子供みたいにあやされながら、最奥まで健人のものが挿し込まれた。狭い場所が全て健人で塞がれている。

 怖いのに、その大きな存在感に満ち足りたものを感じて不思議と胸が熱くなる。夢のなかの俺と健人は、何度も体を重ねて愛し合ってきたのだろう。でなければ男同士でセックスしているのに、こんなに幸福感を得たりはしない。

「もう慣れて来た? 動くよ?」
「……う……うん……でも、ゆっくり……して……」
「ほんとにしいちゃんはいつも可愛いね」

 体を倒してきた健人にキスをせがまれる。どうせ夢なんだからと健人の首に腕をかけて引き寄せ、自分から唇を合わせた。口のなかで健人の舌が動き回る。

「……ん……っ……んぅ……」

 健人はゆっくり腰の抜き差しを始めた。中を擦られると力が抜けていくような感じがする。

「はぁ……あっ……あ、はぁ……っ」
「中がトロトロに蕩けてきたよ」
「わ、かんな……っ……あっ、あぁっ、健人、それ……あぁ!!」

 だんだん健人の腰の動きが早くなる。肌と肌のぶつかる音。結合部から立つ卑猥な水音。摩擦で与えられる悦びも強くなって理性が飛んでいく。

「やぁっ、あっ! やだ、健人……! うそ、俺……そんな…したらっ……出る……出ちゃうよ!!」
「出していいのに」

 苦笑交じりに健人が言って俺のペニスを握った。

「あっ、だめ、やだっ、健人やめてっ」

 何度か擦られただけで射精してしまった。ボタボタッと自分の出したものが胸にかかる。夢のなかでは経験豊富かもしれないが、俺は初めてだったのに。なのにこんなに気持ちよくなって簡単に達してしまうなんて。

「可愛いよ、しいちゃん」

 俺の足を抱え持った健人がパンパン腰を打って来た。ペニスの根元を内側からゴリゴリ押されるような刺激にまたそれが立ち上がる。

「あぁっ、あっ、も……や……ぁあんっ、あっ、また……くる……っ!」

 気が遠くなるような強い快感に、俺の理性は完全に焼き切れてしまった。

 ※ ※ ※

 ベッドが揺れて、「しいちゃん」と名前を呼ぶ声で目が覚めた。

 目を開くと健人がベッドに腰掛けて俺を見ていた。

「俺……気絶してた……?」

 俺が二度目の射精をしたあと健人もイッて、ゴムを外すとまた挿入してきた。あまりに激しいセックスで途中から意識が飛んでいた。

「そんなに疲れてるの?」
「わかってるくせに」

 笑いながら睨んだら、健人が驚いたように目を見張り、そして切なそうな表情になって顔を近づけて来た。ほんとに健人はキスが好きだなぁと思いつつ、頬に手をそえて俺も目を閉じた。触れあった健人の唇はなぜか震えていた。

「どうした、健人?」
「えっ、だって、キスさせてもらえると思わなかったから……っ」

 初心な反応に頬が緩む。かわいい。昔の健人みたいだ。昔の……

「っ!!!!」

 心臓が止まりかけた。

 健人はいつの間にか高校生に戻っていた。部屋も俺の部屋だ。戻ったんじゃない。夢から覚めただけ、これは現実なんだ!

「あっ! あの! これは! 違うっ、違うから! えっと、間違えて!! 間違えただけんなんだ、ごめん!!」
「誰と間違えたの? まさか、真帆?」

 どうしてここで生駒が出て来るんだ……ッ!! かといって健人と間違えたなんて言ったら変に期待を持たせてしまう。第一夢のなかで健人とあんなことしたなんて口が裂けても言えない。

「真帆の夢みてたの?」
「見てないっ!」
「じゃあ誰と間違えてキスしたの?」

 ギシッと俺の上に馬乗りになってくる。夢の体験と重なって全身が熱くなる。

「誰でもないって! もう、俺の上から退けよ!」
「しいちゃんは誰にも渡さないからね」

 真剣な目が俺を射抜く。馬鹿。そんな目で俺を見るなよ。心臓が壊れそうなほどどきどきしてるじゃないか。顔の火照りがおさまらない。汗が止まらない。健人と目を合わせられない。泣きそうなくらい、俺は混乱している。





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2015-07-06(Mon) 20:20| 5年後| トラックバック(-)| コメント 5

5年後(1/2)

<前編「待っててね」はこちら>

 今日も隣の健人がうちにやってきた。チンジャオロース片手に「しいちゃん、一緒に食べよう」と上がり込む。

「もうすぐレポートの締切なんだ。だから」

 帰ってくれと俺が言う前に「邪魔しないし、しいちゃんもお腹すいたでしょ」と皿をテーブルに置いてラップを剥がしてしまった。なんとか追い返す術はないかと考えていたら、今度は「健人、ご飯忘れてるよ!」と玄関を開けて生駒がやってきた。そんなもの持って来るなよ。俺は頭を抱えた。

「あとで取りに行くつもりだったんだよ。なんで真帆が来るんだよ」
「持ってきてやったのになにその言い草!」

 姉弟喧嘩はうちでやって欲しいのに、生駒は健人を置いて帰ってしまった。お茶碗二つ持った健人が振り返り「食べよ」と満面の笑顔で言う。ため息が出た。

 仕方なく食卓についた。今日もお母さんの帰りは遅いので俺の分まで食事を用意してくれるのはとてもありがたいし感謝しているのだが、問題はこの健人だ。

 健人は同じ男である俺を好きだと言って憚らない。

 いきなり「好きだ」と告白されたのは、健人がまだ小学五年の時。そのときどさくさに紛れてキスまでされたが、なにかの冗談だろうと思っていた。だけどそのあとずっと健人は俺に好きだと言い続けて高2の今日まできた。

 はじめの頃は健人が幼すぎるが故に恋愛感情を理解できていないのだと思って、恋愛は女の子とするものだと説明してきた。だけど健人は納得せず、中学にあがっても俺を思い続けた。さすがにこれは勘違いしているだけじゃないぞと俺も気付いて、口説いてくる健人を強く拒否してみたらこれが裏目に出て「しいちゃんはやっぱり真帆が好きなんだ!」とあらぬ方向へ話が進んだ。

 健人はなぜか、俺が生駒のことを好きだと思い込んでライバル心をメラメラ燃やしていた。確かに小さい頃は家族ぐるみで毎日遊んでいた仲でも、思春期にさしかかると異性だということに気付いてしまい、今まで通り親しくできなくなったのは事実だ。それが健人の目には、俺が生駒を意識していると映っていたらしかった。

 それは違うと説得してたら「しいちゃん好きだよ」と手を握られ、キスを迫られ、また振りだしに戻ってしまうということを繰り返していた。

 中学三年で俺より大きくなった健人に迫られるのはなかなかの恐怖だ。今まで弟のように思っていた健人が別人に見える瞬間が増えて、高校生になった今では昔の健人を見つけるほうが難しいほどになっている。

 目の前でご飯を口に詰め込む男は確かに健人の面影を残しているけれど、昔のように可愛いだとか、構ってやりたいという気持ちは沸かず、一緒にいて落ち着かない存在になってしまった。

「そういえば笑子が結婚するんだって」

 口の中のものを飲み込んで健人が言った。小さいころはなんだかんだ文句を言っていたのに、やはり姉の結婚は嬉しいらしく目を輝かせている。

「へぇ、相手はどんな人?」
「俺はよく知らないけど、なんか野生の動物の研究をしてる人とかで、その人について北海道に行くらしいんだよ! しいちゃん! 北海道だよ! あれはただの夢じゃなかったんだ!!」

 健人は興奮気味に大声で北海道を強調する。もしかしたら笑ちゃんが遠くへ引っ越すのが嬉しいだけなのかもしれない……。夢で見てしまうほどに。昔さんざん泣かされてきたものな。

「北海道かぁ……遠いな」
「清々するよ。あと一人、真帆がいなくなったら言うことないんだけどな」

 口の端を持ち上げて健人が笑う。健人の家庭環境には同情するところもある。姉の結婚を清々すると言ってしまうのも、幼少期から強い姉二人にからかわれ、いじめられ続けたせいだろう。健人が男に走ってしまったのも姉が原因の女性不信が最大の理由だと俺は思っている。

 いま通っている高校でその思い込みをぶち壊すような可愛い女の子との出会いがあればいいのだが。

 食事のあと食器を洗った。健人が手伝うと隣に並ぶ。また少し背が伸びたんではないかと横目に見上げたら、視線に気づいた健人が俺を見てにこりと笑った。女の子にモテないタイプでもなさそうなのに。

「しいちゃんの手って綺麗だよね」

 急に健人が泡だらけの俺の手を触って来た。好きだと言われ続けているので、そんな些細な接触にも警戒してびくりと肩が飛び跳ねる。

「普通の手だよ」
「指が長くて、俺は好きだな」

 指の間に健人の指が滑り込み、手を握って来た。

「やめろってば」
「しいちゃんの指先から髪の先まで、全部好きだよ」
「健人っ」

 離れようとしたけど、握った手で引き戻された。真顔の健人が顔を近づけて来る。子供の表情じゃない、大人の顔をして。

「何度も言ってるけど、俺は健人をそういうふうに好きになれない」
「真帆なら好きになれるのに?」

 また生駒を引き合いに出して来るのか。生駒はただの隣に住む幼馴染みだ。恋愛の対象として見れない。どちらかというと、こうして度々迫ってくる健人のほうが、嫌が応でも意識させられているぶん可能性があるというものだ。

「生駒をそういう目で見たこともない」
「ほんと?」
「本当」
「少しも好きじゃない?」
「ただの幼馴染みだ」

 はっきり否定したのに健人は暗い表情で目を伏せた。

「結婚は決まったけど、笑子はまだ北海道に行ってない。真帆としいちゃんがいい感じになるのはもう少し先なんだ。だからまだ安心できないんだよ」

 子供のように不安そうに呟く。

 健人はなぜかいつも、俺と生駒が付き合うと決まっているかのような口振りで話す。その思い込みの激しさはなんなのだろう。それほど生駒と親しくしてきたつもりはないし、高校が別になってからは会話もほとんどなくなって、たまに挨拶を交わすくらいなのに。

「俺は未来を変えたい」

 目をあげた健人がまたキスを迫って来た。油断していたせいで避けるのが遅れ、ぶつかりそうになる。

「そんなことするなら、もう家に入れてやらないぞ」
「ごめん、しいちゃん、好きだから怒らないでよ」

 好きだからと言えばなんでも許してもらえると思ったら大間違いだぞ。

 俺は泡を洗い流し、「勉強するから」と健人を置いて自分の部屋に戻った。健人もそのうち家に帰るだろう。

 ベッドに寝転がって耳を澄ますと、食器の擦れる音と水の流れる音がする。洗い物の続きをやってくれているらしい。あとでやるからしなくていいのに。

 悪いなと思いつつ、瞼が重くなってきて目を閉じてしまった。

 ※ ※ ※

 ベッドの軋みに目を開くと、隣で知らない男が寝ていて一気に目が覚めた。ガバッと起き上がって男を凝視する。見覚えのない顔だった。しかもどうしてこの人は裸なんだろう。寝起きと、突然のことにパニクって対処の仕方がわからない。

 とりあえず逃げ道を確認するために部屋を見渡して、全身から血の気が引いた。ここは見知らぬ部屋だった。さっき確かに自分の部屋の自分のベッドで寝たはずなのに。

 隣の見知らぬ男といい、自分がまともなのかすら確信が持てなくなってくる。

 一人言葉を失っていると、隣の男が呻きながら身動ぎして、すうっと目を開いた。

「……おはよう、しいちゃん」

 呼ばれ慣れた名前に少し自分を取り戻す。俺は静雄で間違いない。その部分は正常だ。じゃあここはどこだ。これは誰だ。

 男は欠伸をしながら前髪をかきあげてガシガシ頭を掻いた。目をしばしばさせながら俺に微笑みかけて来る。見覚えのある笑顔に心臓が早鐘を打つ。あぁ、まさか。

「健人……?」
「早いね、しいちゃん。いま何時?」

 言いながら健人が俺の腰に抱き付いて来た。健人が大人になっていることと、裸の健人に抱き付かれたこと、そしてなんと俺自身も裸だということに気付いて、俺はまたパニックに陥った。

 えーっと、どうして二人とも裸なんだ? まるで何かあったあとみたいじゃないか! しかもどうして健人が大人になってるんだ?

 というかここはどこだ?! 俺は夢を見てるのか?!

 夢!!!!! そうだ、これは夢に違いない! だって確かについさっきまで俺は二十歳の大学生で、健人は17歳の高校二年生だったんだ。それがいきなりこんな……! 夢でなければ俺の頭がおかしいことになるじゃないか!

 夢だと思えば多少落ち着きを取り戻して健人を観察できた。高2のあの時よりまた大きくなっている。体つきがすっかり大人だ。

「そうだ、健人、何歳なんだ?」
「恋人の年齢忘れちゃう? 22でしょ」

 そっか22か……じゃなくて! 恋人だって?! いくら夢でもとんでもないぞ! 俺が夢に見るほど健人を意識してるとでもいうのか?!

「じゃあ、えっと、ここは……?」
「あー……しいちゃん、寝惚けてるね。まだ引っ越してきたばっかだから仕方ないけど。ここは俺たちの家だよ。俺が大学卒業してやっと一緒に住めるようになったんじゃん」

 そういう設定の夢なのか。そういう……俺と健人が同棲までする恋人同士の……。同じベッドに素っ裸で寝ている本当の意味を理解した。恥ずかしくって健人の方を見られない。

「どうしたの、しいちゃん。顔、真っ赤だよ」

 健人が体を起こして俺の肩を抱いた。肌と肌が触れ合う。生々しい感触と温度にさらに体温があがった。

「は、離れて」
「ほんとにどうしたの、しいちゃん?」

 心配する声とともにそっとベッドに押し倒された。健人が顔を覗きこんでくる。恋人を見守る優しい眼差しで。あの健人がこんな大人っぽい表情をするなんて。

「恥ずかしいから、あんまり、見ないで欲しい」
「しいちゃん可愛い。いっぱい見たい」





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2015-07-05(Sun) 20:39| 5年後| トラックバック(-)| コメント 0

待っててね(2/2)

<前話はこちら>

「もう健人のうちに行こうか」

 しいちゃんが少し恥ずかしそう言い出した。

「大学の勉強するんじゃないの?」
「帰ってからするよ」

 真帆に会いたいから? そう思ったら無性に腹がたった。中学生のしいちゃんは俺んちに来るのを嫌がってたのに、真帆を好きになったら行きたくなるの? 俺がどんなに誘ってもなかなか来てくれなくて、珍しく来てくれたと思ったら俺がどんなに引き留めてもさっさと帰っちゃうくせに!

「真帆なんか好きになっちゃ駄目だよ、しいちゃん!」

 俺が怒鳴るとしいちゃんは顔から笑みを消した。

「あいつ最低の女なんだ! パンツでうろつくし、俺のおやつ取るし、平気でちんことか言うし!」
「どうしたんだ、健人」
「しいちゃんは騙されてるんだよ! 真帆なんか最悪の女なんだってば!!」
「……俺に生駒を取られると思って怒ってる?」
「違う! そうじゃない! 真帆にしいちゃんを取られたくないんだよ!!」

 勢いで口から出た言葉に自分ではっとなった。そうだ、俺はしいちゃんを真帆に取られたくないんだ。あいつがデリカシーのない性悪女だからじゃない。俺は誰にもしいちゃんを取られたくない。俺が独り占めしたいんだ。

「だって……ッ、だって、俺、しいちゃんが好きだから……!!」
「えっ」

 驚いた顔をするしいちゃんをぎゅっと抱きしめた。幼稚園くらいのころ、しいちゃんに抱き付いた記憶が遠くから甦る。あの時は俺の方がぜんぜん小さくて、腰にしがみつくだけだったのに、今の俺はしいちゃんを丸ごとすっぽり腕の中に抱きしめることができる。

「しいちゃんが好きなんだ」
「ちょ、健人……っ」

 もがくようにしいちゃんが俺の胸を押す。少し腕に力を入れたらその抵抗も簡単に封じ込められた。

「しいちゃん、好き」

 顔を寄せていってキスした。狭い腕の中でしいちゃんが逃げる。追いかけて顔中にいっぱいキスした。しいちゃんを丸ごと飲み込んでしまいたい。それくらい大好きなのに、それをうまく伝えられなくてもどかしい。

「健人……! だめ、だ……やめろ、健人……!!」
「やだ。だって俺、しいちゃんが好きだもん」

 逃げるしいちゃんを追いかけ続けるうちにバランスを崩してソファに倒れ込んだ。俺の下敷きになったしいちゃんが、困ったような怒ったような顔で俺を見上げてくる。

「俺、ずっとしいちゃんの弟になりたいって思ってたんだ。しいちゃんの家族になったらずっと一緒にいられるし、たくさん甘えられると思って」
「俺はずっと健人のこと弟みたいに思ってたよ」
「だけど俺より真帆のこと好きになったじゃん。俺より真帆のほうが仲いいじゃん。俺、しいちゃんのメアド知らないよ!」

 困惑したようにしいちゃんが眉を寄せる。

「どうしたんだ、健人。なんだか昔の……子供に戻ったみたいだ」

 しょうがないじゃないか! 体は大きくなっても中身は子供のままなんだから!

「子供のときからしいちゃんのこと好きだったんだ」

 しいちゃんの胸に顔を乗せた。そしたらしいちゃんが「ありがとう。気付かなくてごめん」って俺の頭を撫でてくれた。優しい手つきが嬉しいのに、細くて硬い指の感触に胸がどきどきと苦しくなって息苦しい。熱を出した時みたいに体が熱くなって、俺は口で息をした。

「しいちゃん……好きだよ。真帆より俺のこと好きになってよ」
「……ごめん、それは出来ないよ」
「なんで?!」

 頭をあげて問いただす。

「だって、健人は男だし、さっきも言ったけど弟みたいな存在だから、恋愛の対象としては見られないよ」

 はっきりと拒絶されて泣きたくなった。同時に腹も立った。そして、どうせこれは夢なんだからと開き直った。

「俺はしいちゃんの弟じゃないよ。体だってこんなに大きいし、しいちゃんのことも大好きだ」

 しいちゃんを押さえつけながらキスした。顔を背けられると、頬や耳の裏や首筋にたくさんキスした。心臓が潰れそうなほど高鳴ってる。

「…ッ……けんと……! こら……っ!!」

 キスしたり舐めたりしてたら股間がムズムズしてきた。笑子に電気あんまやられたときみたいに勃起しちゃったんだと思う。経験がまったくなくても知識までないわけじゃない。俺はずぼんをずりおろした。飛び出してきたものが見慣れないものだったので驚いたが、それより触りたいという欲求のほうが強くてそれを握った。

「健人……! なに、してるんだ……!!」

 俺がちんこを扱いているのに気付いてしいちゃんがぎょっと目を見開く。

「しいちゃんに触ってると心臓がどきどきして、ここがムズムズしちゃうんだ」
「な、なに言って……いい加減にしろ、俺の上から退けっ、退いてくれ!」
「しいちゃんも、ここ、触ったら気持ちいい?」
「――ッ健人!」

 俺はしいちゃんの股間に手を当てた。ふにゃりと柔らかい感触。ジタバタと暴れるしいちゃんを押さえ込みながら、俺はそこをグイグイと押してみた。

「健人、やめろ! そんなとこ触るな!!」
「少し、硬くなってきたみたい。見てもいい?」

 か細い悲鳴みたいな声でしいちゃんが俺の名前を叫ぶ。興奮して頭に血がのぼっている俺はその声を無視してずぼんを脱がした。ゆらりとしいちゃんのちんこが頭を持ち上げる。しいちゃんも勃起するんだ。なんだか感動しながら、俺はしいちゃんのものを握った。

「……やっ……健人、嫌だ! やめろ、はなせ!!」
「しいちゃんも気持ちいいんでしょ?」
「良くない!」
「じゃあどうして勃ってるの?」

 ゴシゴシ扱いていたら先から透明なものが滲み出て来た。

「い……ッ……健人、痛い、やめて……」
「痛い? もっとゆっくり?」

 力を緩めて上下に擦るとしいちゃんのちんこがむくむくと大きくなっていった。やっぱり気持ちいいんじゃないか。

「…ん、く……ぅ……いや……いやだ、健人、嫌だ……ッ」
「ほんとは気持ちいいくせに。しいちゃんの嘘つき」
「ちがっ……あっ、嫌だっ、なにする……!!」

 俺は自分のぶんもまとめて握ってちんこを扱いた。しいちゃんのと擦れてすごく気持ちいい。俺のちんこの先端からもヌルヌルする液体が溢れて来て、しいちゃんのと混ざり合った。

「しいちゃん、大好き、大好きだよ」

 扱きながらしいちゃんにキスする。最初は顔を背けてたしいちゃんも、諦めたのか逃げなくなった。固く閉じた唇を舌でこじ開けて中に進入する。押し返そうとするしいちゃんの舌を絡め取って吸い付いた。俺の体の下でしいちゃんが身悶える。

「しいちゃん大好き。しいちゃんの全部が好き。しいちゃんの全部が欲しい」
「ん……ぁ……あ……いや、ぁ……健人……っ」

 クチュクチュと水音を立てながら初めてのキスに没頭する。ぬるっとした感触が癖になる。ちんこが痛いくらい勃起している。

「はぁっ、あ……アッ……ん、止め、て……健人、だめ、止めてっ……」
「どうしたの?」
「手、だめ、動かすな……ッ、あっ、あ……ッ!!」

 俺の腕を掴んで、しいちゃんがぎゅっと目を瞑る。痛くしてしまったのかと手を止めたら、その直後、しいちゃんのちんこから白い液体が飛び出した。手にかかったそれは温かくて、粘ついてて……俺はこれがなんなのかわかって嬉しくなった。

「しいちゃん、射精したんだね! 気持ちよかった?!」
「……こんなことしといて、そんなこと聞くなよ……」
「だってこれ射精でしょ? 気持ちよくならないとしないんでしょ?」
「もうこれ以上なにも言わないでくれ」

 しいちゃんは腕で顔を隠してしまった。どうしたんだろう。耳まで真っ赤になっている。そんなに恥ずかしがらなくていいのに。大人ならみんなやってることなんだろう?

 じゃあ俺も射精してみよう。手の動きを再開する。しいちゃんが腕の隙間から俺を見ている。

「しいちゃん、キスしたい」
「嫌だ」

 嫌だと言いつつ、俺が顔を近づけたらしいちゃんは腕を退かしてくれた。キスしながら、俺も生まれて初めての射精をした。

 ※ ※ ※

 パチッと目が開いた。目に前にしいちゃんはいなくて、さっき見ていたバラエティ番組のエンディングが流れている。俺が抱きしめているのはしいちゃんじゃなくてクッション。俺は夢から覚めてしまったのか。

 だけどまだ夢の途中みたいに胸はドキドキしている。呼吸も荒い。

 頭をあげると、ダイニングテーブルで勉強している中二のしいちゃんがいた。姿かたちが完全にもとに戻っている。
 俺の視線に気づいたしいちゃんが顔をあげた。

「寝るなって言ったのに」

 と笑う。見慣れた優しい笑顔に安心する。

「俺、なんか寝言いってた?」
「寝言はないけど、ちょっとうなされてたみたい」

 しいちゃんはシャーペンを置いてノートを閉じた。伸びをしながら、「そろそろ帰ったほうがいいんじゃない?」と俺に言う。
 そうだ。極悪姉妹から逃げ出して、ここに匿ってもらってたんだった。

 体を起こして違和感に気付いた。なんだか股間がネチョネチョする。もしかして、漏らした?

「トイレ貸して!」

 ちょっと前かがみになりながらトイレに駆け込みパンツをずりおろして愕然とした。なんだこの白いの! 一瞬のパニックのあと射精したんだと気付いた。夢で出したのと同時に、こっちでも出してしまったようだ。精通がまさか夢精とは。

 トイレットペーパーで拭き取ってパンツをあげる。冷たくて気持ちが悪い。これじゃ帰らざるをえないな。

 トイレを出てしいちゃんに「帰る」と告げた。しいちゃんが椅子から立ち上がって見送りに来てくれる。

「生駒も悪いとこあると思うけど、本当は健人が可愛くてしかたないんだよ」

 前なら俺を慰めるための言葉だと思っただろう。だけど、あの夢をみたあとじゃ印象は違った。

「しいちゃんは真帆が好きなの?」
「えっ、違うよ」

 否定が早すぎる気がした。もしかして最近うちに寄り付かなくなったのは真帆を意識してるからなんじゃ……。そう思ったら胸がもやもやした。

「しいちゃん」
「なに?」
「俺はしいちゃんが好きだよ」
「急だな。でも嬉しいよ」
「しいちゃんは? 俺が好き?」
「好きだよ」

 どうせ弟程度の好きなんだろ。わかってる。これから本気で好きになってもらうから今はそれでいい。

「俺が大きくなったら夢の続きしようね」
「えっ?」

 踵をあげて、ぶつかるようにしいちゃんにキスした。しいちゃんは驚いた顔で口をパクパクさせている。

「それまで待っててね」

 しいちゃんに手を振って家を出た。



僕の可愛い酔っぱらい



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2015-07-04(Sat) 22:57| 待っててね| トラックバック(-)| コメント 5

待っててね(1/2)

※未挿入

 一番上の笑子がデートだとかでシャワーを浴びたあとせっせと厚化粧をしている。受験生なのに遊び惚けて大丈夫なのか? 真ん中の真帆も鏡を覗きこんで「お姉ちゃんかわいいー。今度私にも化粧教えてー」とか騒いでいる。まだ中二のくせに必要ないだろ。

 俺はいま学校の宿題をやっているんだ。静かにしろ。だいたいどうしてリビングで化粧なんかやるんだ。騒ぐなら自分の部屋でやれ。

 母さんは夕飯の準備に忙しくて二人を注意しない。俺が注意したらそれこそ百倍になって二人から言い返されるので、ここは苛立ちをぐっと我慢して計算問題に集中するしかない。末っ子で男は俺一人。数と年齢の違いには勝てない。

「健人、ティッシュ取って」

 笑子がテレビの横に置いてあるティッシュを指さす。確かに俺のほうが若干近いけど、どうして俺がわざわざ勉強を中断してまでお前のためにティッシュを取ってやらなきゃいけないんだ。

「そのくらい自分で取れよ」
「あんたのほうが近いでしょ」
「笑ちゃんいま動けないんだからティッシュぐらい取りなさいよ」

 真帆が偉そうに口を挟む。だったら見てるだけのお前が動け。

「やだぁ、こいつ睨んでくるんですけどぉ」
「綺麗になった姉ちゃんに見とれてるの~?」
「誰がお前らみたいなブスに」
「誰がブスだって?!」

 笑子が立ち上がり俺に向かってくる。動けないんじゃなかったのかよ。やんのかコラ。ファイティングポーズを取ったら足をつかんで引っくり返された。すかさず真帆が頭のほうへ来て俺の腕を掴む。こいつらしょっちゅう喧嘩するくせに、俺を攻撃するときだけはなぜか息ぴったりなんだ。

「さっきからチラチラ姉ちゃんの胸見てるの知ってるんだぞ」

 風呂上がりにタンクトップでうろついてるから嫌でも視界に入ってくるんだよバーカ!

「誰が見るか、そんなきったねえもん!」
「あたしの胸が汚いっていうなら、健人のここはどうなのさ」

 あろうことか笑子が俺に電気あんましやがる。これが年頃の女のすることかよ!

「やめろよお前らまじで最低ぶっ殺す!!」
「笑ちゃん、健人のちんこ、潰しちゃって!」

 女がちんことか口に出してんじゃねえよ! 家の外じゃ猫被ってるの知ってんだぞ! 今度お前らの本性隠し撮りしてYouTubeにあげるぞ!!

「やだー! なんか足の下で大きくなってきた気がするー!!」
「最低なの健人のほうじゃん。変態が弟なんてやだー!!」

 似た者同士の性格最悪な姉妹が顔を見合わせ下品な笑い声をあげる。こんな奴らの弟に生まれてしまったのが俺の人生最大の不幸だ!!

「そろそろご飯よー、いつまでも遊んでないで手伝って」

 キッチンで母さんが声をあげた。力が緩んだ隙に、笑子の足と真帆の腕を振り払って逃げ出した。靴も履かずに家を飛び出し、マンションの通路を走って階段に駆け込む。2階ほどおりたところで階段に座り込んだ。

 膝を抱えて顔を埋める。悔しくて涙が出て来る。笑子の電気あんまで俺のちんこは確かにちょっと大きくなってしまっていたのだ。いっつもこうだ。いつも俺が一方的におもちゃにされて、笑いものにされるんだ。

 デリカシーのない女は糞だ。あいつらのせいで俺はクラスの可愛い女の子を見ても、家の中だと裸でうろついて口汚いのだと想像したらときめくことが出来なくなってしまった。

 どうして俺はあんな奴らの弟に生まれてしまったんだろう。家に帰りたくない。どっかよその家の子になりたい。

「健人?」

 メソメソしてたら優しい声がして、頭をふわっと撫でられた。この声は隣のしいちゃんの声だ。顔をあげたらやっぱりしいちゃんで、泣き顔の俺からいろんな事情を察したように優しく微笑んだ。

「また生駒と喧嘩した?」

 しいちゃんと真帆は同級生だ。同じ中2同士なのに、しいちゃんのほうが大人っぽくて優しくて思いやりがあって真帆とは大違いだ。しいちゃんが俺のお兄ちゃんだったら良かったのに。

「靴も履いてないじゃん。まだ帰りたくない?」
「一生帰りたくない」
「じゃあちょっとだけ俺んとこおいで」

 しいちゃんが伸ばした手に掴まって俺は階段から腰をあげた。

 あの極悪姉妹に泣かされるたび、しいちゃんはこうやって救いの手を俺に差し伸べてくれた。たまに真帆に注意してくれたりもした。真帆は「鍛えてやってんのよ」とぜんぜん聞く耳持たなかったけど。

 8階に戻っても通路には誰もいなかった。小学生の一人息子が飛び出したのに、母さんも姉ちゃんたちも薄情だ。

 しいちゃんはポケットから鍵を出して扉を開けた。しいちゃんちは三年前におじさんが亡くなってからおばさんと二人暮らし。おばさんは仕事で帰りが遅くなることがよくあった。そのたび母さんがしいちゃんに声をかけてうちで預かってたけど、中学に入ったくらいからしいちゃんが遠慮するようになった。しいちゃんがいてくれる間、あのデンジャラスコンビが少しおとなしくなるから俺は大歓迎だったのに。

 しいちゃんは明かりをつけながら奥へと進んで行った。しいちゃんちは部屋が片付いてて綺麗だ。家具も統一感があってキャラクターものが散乱するうちとは大違いの落ち着きがある。

「ご飯は食べた?」
「まだ」
「お腹すいてない?」
「ちょっと」
「おにぎり食べる?」

 しいちゃんはコンビニの袋をガサガサやって鮭おにぎりを俺に差し出す。

「それ、しいちゃんの晩御飯じゃないの?」
「いいよ。食べな」

 受け取ったおにぎり。なんだか申し訳なくて食べづらい。

「そうだ、あとでうちに食べにおいでよ。たぶん今日カレーだから」
「うーん、今日のお昼、カレーだったんだ」

 とやんわり断られる。

 俺は給食も晩ご飯もカレーで平気だけど。しいちゃんは最近うちに来るのを嫌がっているような気がする。俺はどんどん来て欲しいし、なんだったら昔みたいに泊まって行ってほしいのに。きっとうちが騒がしすぎるからだろう。恥ずかしい。

 しいちゃんはお弁当を温めて、インスタントのお味噌汁を作った。しいちゃんがおかずを食べたのを見て、俺もおにぎりをかじった。うまい。

 しいちゃんはから揚げも俺にくれた。お味噌汁も勧めてくれた。どうして血の繋がりのないしいちゃんのほうが俺に優しくしてくれるんだろう。本当に俺、しいちゃんちの子供に生まれたかった。しいちゃんの弟になっていっぱい遊んでもらいたかった。

 食べ終わってバラエティ番組を見てたらしいちゃんが「そろそろ帰る?」と訊いてきた。追い出そうとしてるんじゃなくて、俺を心配して気遣うような口調だ。

 まだ帰りたくない。でもこれ以上の長居はしいちゃんの迷惑になる。返事を迷って黙り込むと、しいちゃんは苦笑して「うちにいるって、生駒にメールだけ送っとくから」とスマホを取って操作しだした。

「しいちゃん、真帆とメールしてるの?」
「同じクラスになったときに。家は隣だけど、知ってたほうがいろいろ便利だからって」

 俯いてメールを打つしいちゃんを見ながら俺は嫉妬してた。こうやって優しくしてもらっていても、俺より真帆のほうがしいちゃんと親しいんだ。男同士で分かり合えるつもりだったけど、しいちゃんと俺はやっぱ対等じゃなくて、同級生の弟、隣の家の末っ子程度の認識なんだ。

 クッションを抱えてソファに寝転がった。

「寝るなよ」

 ってしいちゃんが俺の足を軽く叩く。俺は唇を尖らせて返事をしなかった。

 ※ ※ ※

「健人!」

 名前を呼ばれながら揺り起こされた。いつの間にか寝ていたらしい。枕にしていたクッションから頭をあげると、化粧ばっちりの笑子が俺を見下ろしていた。まだデートに行ってなかったのかよ。

「まぁた静雄んちに入り浸って。迷惑考えなさいよ」

 笑子がしいちゃんを静雄と呼び捨てたので驚いた。家族全員しいちゃんと呼んでいるのに。

「静雄もこんなの相手にしなくていいからね。こいつ、甘やかすとつけあがるから」
「甘やかしてるつもりはないけど。逆に生駒は昔から健人に厳しすぎるよ」

 ダイニングテーブルに寄りかかっている男の人が言う。これは誰だ? しいちゃんに似ているけど年齢が違う。この人は大人だ。背も高い。そして声は少し低い。しいちゃんの親戚? だけど笑子はこの人を静雄って呼んだ。ということはしいちゃん? 待て、待て待て待て! いまこの人、笑子を「生駒」って呼んだぞ?! もしかして、

「……お前、真帆……?」
「他に誰がいるのよ」
「笑子じゃなくて?」
「はあ? 笑ちゃんは結婚して北海道でしょ! 寝ぼけてんの?!」
「結婚?! 北海道?! 」
「駄目だこいつ、完全に寝ぼけてるわ」

 笑子だと思った女は両手を広げて首を振った。化粧か。化粧のせいか。確かに真帆に見えなくもない。だけど真帆だとしたらこっちも背が高いし、髪も長くなってるし、む、胸もでかい!

「今日はうちでご飯食べなね。母さんが静雄も呼びなって。ハンバーグ。好きでしょ」

 大人になった真帆がしいちゃんらしい男の人へ言う。男の人は「好き」と笑った。あぁ、この優しい笑顔はしいちゃんに間違いない。だけどどうして急に二人とも大人になってしまったんだ。夢か。これはきっと夢なんだな。色も音声もなにもかもこんなにリアルな夢は初めてだ!

「あたしも一緒に作るんだ。初めて作るから失敗するかもしれないけど」
「きっとおいしいよ」
「そんなの食べなきゃわかんないじゃん」

 大人の真帆が顔を赤くして下を向いた。なにかわい子ぶってんだか。俺にはしらじらしい仕草なのに、しいちゃんもほんのり頬を赤くして頭を掻いてる。なんだこの二人の間にある甘酸っぱい空気は。

「7時くらいに出来る予定だけど、暇だったら今からうちに来てテレビ見てればいいし」
「うん、大学のレポートちょっとやったら行くよ」
「その時うちの馬鹿も連れて来て」

 真帆は「うちの馬鹿」と言うとき俺のほうを見た。相変わらず口は悪いが、顔は幸せそうに緩みきっている。

「静雄の邪魔するんじゃないわよ」

 言うと真帆はしいちゃんの家から出て行った。

 見届けたしいちゃんが「はあ」と深いため息をつく。まるで今まで呼吸するのも難しかったみたいに胸をおさえて息を整えてる。まさかとは思うけど。

「しいちゃん、真帆と付き合ってんの?」
「えっ!」

 しいちゃんが目に見えて動揺している。

「まだ、だよ。あ、まだっていうか……」

 言葉に詰まってみるみる顔を赤くしていく。真帆の様子からもしいちゃんが好きなのは確か。二人は両想いなのか。

「しいちゃん、騙されてるよ! 真帆はそんな可愛い女じゃないよ!」

 ソファから立ち上がったらいつも以上に目線が高く伸びて、俺は思わずしいちゃんの肩に掴まった。その感触にまた驚いた。しいちゃんは大人になっているのに、肩は子供みたいに華奢に感じたのだ。

 違う。

 しいちゃんを見下ろしながら俺は違和感の正体に気付いた。しいちゃんが華奢なんじゃない。俺の体がでかくなっているんだ。

「……しいちゃん、俺より小さい」
「なんだよ改めて。健人が中学のときに俺を追い抜いたんだろ」

 夢の世界じゃそういうことになっているのか。しいちゃんが大学生ということは今の俺は高校生くらいということか。小5だった俺が高校生!! しかもしいちゃんよりでかくなってる!!





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2015-07-03(Fri) 20:14| 待っててね| トラックバック(-)| コメント 4

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