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ニコニコドッグ(1/1)

2014.04.05.Sat.
「いらっしゃいませ、ニコニコドッグです」

 ここは全国に38店舗あるホットドッグの専門店。ソース、トッピング、ソーセージの味付けや太さまで、客が自由に選べることが売りだ。
 ソースは5種類、トッピングは21種類、ソーセージは12種類。選ぶ客も迷うが、注文を受ける店員も、同時にいくつか作らなければならない昼間の混雑時などはその種類の多様さに混乱するときがある。
 たいてい新人は必ずミスをやらかす。それも、二か月三か月経つとほとんどミスしなくなるが、三か月前に入った男子高校生の佐賀野だけは、一向にミスが減らない。
 今日もソースを間違え、ソーセージの種類を間違えて持ち帰りの客に渡してしまい、苦情の電話でそれが発覚して、店長の俺が注文通りの商品を家まで届けに行くはめになった。
 運悪く閉店間際のことで、ほかのバイトには時間が来たら帰るように言い、佐賀野には戸締りをしたあと店の留守番を命じておいた。
 新しい商品と割引チケットを渡して店に帰った。店内の照明は落とされ、唯一明るい奥の事務所に、佐賀野は椅子に座ってマニュアルを読んでいた。

「店長、すいませんでした」

 俺が帰ると立ち上がって頭をさげた。ちょっと天然入ってて抜けてるところがあるが、穏やかな優しい性格で遅刻や欠席もしない。いいやつだと思うが、何度もミスが続くのは困る。

「佐賀野、お前ここ来て三か月だぞ。いい加減、覚えようや」
「はい…」
「今日もソーセージの間違いがあったぞ。お前はこの間違いが一番多い。そんなに紛らわしいもんでもないだろう」
「焦っちゃうと、中と大の区別がよく、わかんなくなって」

 中は直径が2.5センチ、大は3.2センチになる。初めは紛らわしいが、最低三日もあればみんな区別がつくようになる。

「待ってろ」

 冷蔵庫から中と大、それぞれ一本ずつ持ち出し、佐賀野に握らせた。

「ぜんぜん違うだろ」
「うーん、よくわかりません…」
「なんでだよ。じゃあ一回咥えてみろ」
「はい」

 佐賀野は中を口に咥え、そのあと大を咥えた。交互に何度も咥え比べる。二本のソーセージを両手に握って、交互に口に…なんかやらしいな…

「だんだん違いがわかってきただろ?」
「はい、たぶん…」

 なんとも頼りない答え。

「よし、目を瞑れ。今から俺が口に入れてやるから、中か大か、答えてみろ。連続で10回正解したら今日はもう帰っていいぞ」
「わかりました」

 佐賀野は素直に目を閉じて、口を開けた。そこへまず大を突っ込む。佐賀野はハムハムと唇でその大きさを確かめたり、舌を突き出してベロベロと舐めた。ソーセージが佐賀野の唾液で光る。咥えてるのはソーセージなのにエロい。

「さぁ、どっちだ?」

 ソーセージを引き抜いた。

「中…?ですか?」
「ブッブー、不正解。じゃあ今度はこれ」

 俺の指を入れた。すぐ異変に気付いて突っ込まれると思っていたが、佐賀野はチュバチュバとおしゃぶりして「小?」なんて言いやがった。持ってきてねえよ。

「ブッブー。次はこれ」

 また中を咥えさせる。佐賀野のやつ、咥えながら顔を前後に揺するもんだから、フェラしているようにしか見えなくなってきた。あ、やばい。ちんこ立ってきた。

「うーん、大?」
「外れだ馬鹿」
「やっぱ難しいですよ」
「じゃあこれは?」

 また指を入れてみた。ぬめる口腔内で佐賀野の舌が俺の指を舐め回し、時に吸ったりする。こいつ、ほんとにわかってねえのか。わざとじゃねえのか。俺のちんこ、完全に立っちまったぞ。

「これやっぱ小ですよ」
「次はこれ」

 大を咥えさせた。大きく口を開いて頬張る姿を見ていたらムラムラしてきた。ソーセージを前後に動かすとイラマチオっぽい…なんて思ったら理性より本能が勝ってしまった。

「大?ですか?」
「大はこっちだ。よく味わって大きさを覚えろよ」

 俺は立ち上がって佐賀野の口に自分の勃起したちんぽを押し込んだ。

「んんっ…んっ…んぐっ…んむっ…」

 さすがにバレるだろ。バレたら大問題だろコレ。怖れながらもちんぽを引き抜くことはしなかった。いやできなかった。佐賀野の口のなかは温かくてぬめっていて、気持ちよかった。

「中と大の違いがわかってきたか?中とは比べものにならないほど大はでかいだろ?」
「ふぁい…ンっ…んんっ…んぐっ…」

 佐賀野は俺の陰茎を掴むと、自分から顔を揺すった。ほんとは気付いてんじゃないのか?!これ完全にフェラじゃん!

「あっ…なんか…肉汁?ダシ?先からなんか出てきました…」

 馬鹿それは俺の我慢汁だよ。佐賀野は先端をチュウチュウと吸い上げ誘うように舐めあげた。

「ふぁ…あ…やべ…」

 気持ちよすぎてつい声が出てしまった。
 ゴプッと亀頭を咥えこんだ佐賀野が、唇で竿を擦るように顔を前後に揺する。

「ううっ…ンッ…ンア…ッ」

 傘を捲るようにしゃぶられ、裏筋を舐められ、鈴口を舌のさきでこじ開けられて我慢の限界、俺は佐賀野の口の中へと射精してしまっていた。

「んっ…ん、ちゅっ…うンッ…」

 コクコクと喉仏を上下させて佐賀野はそれを飲み込んだ。もう完全にバレているはずなのに、佐賀野はなにを考えているんだ?ぼうっとなる頭で佐賀野を見下ろしていると、パチッと目を開いた佐賀野と目があった。普段の穏やかな佐賀野と違っていやに眼光が鋭い。

「これのどこがソーセージなんですか?」
「いやこれは…佐賀野…違うんだ…」
「なにが違うんですか。これセクハラどころじゃなくないですか?」

 俺のちんぽで俺の腹をパチパチ叩く。

「高校生の男の子にわいせつ行為とか、訴えたら店長の人生終わりですよ。これからまともに生きていけると思ってないですよね?」
「ど…どうしたら許してもらえる…?」
「俺にやったことを倍にして店長に返したら…許してあげなくもないですよ?」

 佐賀野は大のソーセージを俺の口許へ押し付けた。受け入れるしか選択肢は残っていなかった。


「これ、どっちですか?」

 四つん這いになり、目を瞑って佐賀野の勃起ちんぽをしゃぶる。佐賀野は普段の穏やかな態度からは想像もつかない鬼畜さで乱暴に腰を振って俺を苦しめる。

「さっ…あっの…のっ…ちんぽっ…んぐっ…」
「せいかーい。じゃあ今店長のケツに入ってるのはどっちですか?」
「ふぐぅっ…うっ…だ…だいっ…」
「こっちも正解。さすが店長ですね。ケツでも違いがわかるなんて普段から自分で入れてるんですか?」
「んんっ…ンンッ…」

 佐賀野のものを咥えながら首を振って否定した。ジュポンッとちんぽが口から出て行ったと思ったらケツのソーセージも引き抜かれた。背後にまわった佐賀野が俺の腰を抱え持つ。

「じゃあ次はどっちだ?」

 と言うなり、さっきのソーセージよりもでかくて硬い極太ちんぽがケツに突っ込まれた。

「ひぐうっっ!」
「店長、答えてください。これはどっちですか?」
「ひぃっ…い、あっ…佐賀野…のっ…ちんぽ…!」
「よくわかりました。ご褒美にたっぷり味わって下さいね」

 ぐぬうと引いて押し込まれれる。繰り返されるうち、潤いのなかった場所の滑りがよくなり、佐賀野は勢いづいて腰を振った。

「おいしいですか?」
「うっ…んぐっ…うあぁっ…!」
「俺のちんぽが店長のケツマンに包まれて、これも一種のホットドッグですよね」
「ひあっ…アッ…あぁっ…アンッ…アァンッ…!」
「ねえ店長、聞いてます?」
「きいて…る…からっ…アンッ…アッ…そんな激し…動く…なっ…!」
「店長のなか、グニュグニュ蠢いてるんですけど、もしかして気持ちよくなってます?」
「ちがっ…あうっ…うっ、ウンッ…アッ、アンッ…ちがうっ…!」
「勃起してますよ?」

 佐賀野にちんぽを掴まれた。これ以上ないほど海綿体に血液が集まっているのがわかる。今にもはちきれそうだった。

「やっ、めっ…さわ…なっ…あっ…駄目っ…触るなっ…あうっ、やだっ…さわんなっ…出るっ…出る…ッ!!」
「やっぱ気持ちよくなってるじゃないですか」

 笑われながら射精した。ビチャビチャッと吐き出された精液が床に小さな水溜りを作る。

「二回目なのに早いですね。早漏なんですか」
「ち、ちが…あうっ!」

 俺の話を聞かないで佐賀野は腰を打ち付ける。佐賀野の勃起は俺のなかを焼き尽くすように熱く、残酷なまでに硬くて太い。そんなもので中を擦られまくったら、年上のプライドはズタズタだ。

「ひっ、いっ、あっ…佐賀野っ…も、止めてっ、感じすぎて…くるし…いっ…アッ、ヤッ…アンッ…!」
「初めてなのにケツで感じられるってやっぱり店長すごいですよ。ソーセージ咥えこむために生まれてきたって感じですね」
「なっ…そんな…ちが…あうっ!奥…ッ…やっ、激し、いっ…あうっ…アッ!アンッ!やだっ…やめ、やっ…!」

 全体で中を味わうように佐賀野は腰をグラインドさせながら抜き差しする。結合部から聞こえる粘着質な水音。耳をふさぎたくなるほど恥ずかしい。

「も…う、許し…てっ…くれ…!頼むっ…う、アッ…アッ…も、許して…っ!」
「いたいけな男子高校生に悪戯する悪い大人をそう簡単に許すわけないじゃないですか」
「そ…んなっ…あっ、あんっ!やっ…もう、動くなっ…あんっ…あぁっ!」
「それにこれ、ソーセージ大好きな店長にしたらご褒美ですよね。キュンキュンに俺のこと締め付けて、体のほうは正直に喜んでますよ?」
「違うっ…ちがっ…お前がっ…擦るから…アッ…やっ…だからっ…喜んでなんか…なっ…アッ、アァッ…」
「口ではそう言ってるけど、また勃起してますよ。先走りがダラダラ垂れて糸引いてますもん。ちんぽ大好き淫乱店長さん」

 言葉で辱められながらちんぽを扱かれる。感覚はもう快楽というより痛みに近い。それでもケツ穴をちんぽで突かれまくると射精感がこみ上げてくる。こんな体なのが自分でも信じられない。

「あぁっ、やっ、やめっ…佐賀野…頼む…も、許してっ…も、頼むからぁっ…!」
「俺ももうイキますから安心してください。中にたっぷりミルクソースぶっかけてあげますね」

 一層腰つきを激しくすると佐賀野は宣言通り俺のなかへ精液を叩きこんだ。射精を内部で感じられるほどの勢い。最奥を汚されたショックで頭を真っ白にしながら、俺も射精していた。


「いらっしゃいませ、ニコニコドックです」

 今日も俺は笑顔で接客する。客からの注文を佐賀野へ通し、次の客の注文を受け付ける。

「店長、これお願いします」

 佐賀野は最近ミスせず調理できるようになった。いまも注文通りのホットドックを作ってトレーに置いた。

「ソーセージ、大でしたよね?」
「あ、あぁ…」
「大、うまいですもんね」
「ああ…」
「こっちでも、うまいでしょ?」

 体を密着させて俺の肛門を指で押しながら小声で囁く。朝、佐賀野に入れられた大のソーセージがさらに奥へと押し込まれた。

「うぐっ…佐賀野…やめ…」
「あとで極太ソーセージ食べさせてあげますね」

 出来上がったトレーを持つと、佐賀野は「4番でお待ちのお客さま」とカウンターで声をあげた。呼ばれた客がやってきてトレーを受け取りテーブルへ戻る。

「そんな物欲しそうな顔しちゃ駄目ですよ、店長」

 クスリと佐賀野に笑われる。エプロンで隠れているが、俺のちんぽはギンギンに勃起して涎を垂らしまくっていた。

健やかなるときも病めるときも(1/1)

2014.04.03.Thu.
※アンケート1位小説「兄弟」

 兄の尚樹は昔はデキが良かった。頭も容姿も人よりぬきんでていたので女にもモテまくっていたが、高校に入っても一向に彼女を作る気配がなく、しかも徐々に成績も落ちてきたので心配した親が尚樹と話し合ってみた結果…尚樹はゲイだということが判明した。
 男しか好きになれず、そのことで悩み勉強が手につかないのだと。
 尚樹の性癖がわかったことで我が家は大混乱。期待していた母さんは寝込んでしまい、自慢の息子がゲイだとわかった途端、父さんは家にいるのが嫌なのか帰りが遅くなった。浮気していたらしかった。尿意で目覚めた深夜、両親が言い争う声で知った。
 階段の一番上で、醜い言葉の応酬を聞いていると、トンと肩を叩かれた。

「寒くないのか?」

 兄の尚樹はどこかへ出かけるかのような服装をしていた。

「どっか行くの?」
「うん」

 ため息交じりに前髪をかきあげる。

「家、出ようと思ってるんだ。今日は無理そうだけど」

 下に目をやって苦笑する。

「家出すんの?」
「うん。迷惑かけてごめんな、貴之」
「ずるいよ。俺が一人になるじゃん」
「…ごめん、貴之」
「俺も連れてってよ!」
「ばか言うなよ。お前はちゃんと学校行け」
「尚樹のせいでこうなったんじゃん!なのに一人で逃げるなんてずるいよ!もとに戻してから行けよ!それが出来ないなら俺を置いていくなよ!」

 泣きながら尚樹に縋り付いた。昔から親の期待は兄の尚樹が背負っていた。一時はそれが妬ましく、この家で疎外感を感じていたが、好き勝手にできる自由に気付いてからは、塾だなんだと我慢を強いられる尚樹よりはましだと思えるようになった。この家は尚樹を中心になりたっていた。その尚樹がゲイだとわかっただけで両親は仲違いするくらいなのだから、いなくなったらもう家族としては成立しないだろう。完全な家庭崩壊だ。
 俺が一晩中泣いて怒って引き留めるので、尚樹は自分が高校を卒業するまでは家にいると約束した。そして高校を卒業後、本当に家を出ていった。尚樹の行動を監視していたから、父さんたちが300万渡して尚樹を家から追い出したことは知っていた。

「落ち着いたら連絡する」

 俺の部屋の机に、尚樹の短い置手紙があった。


 あれから高校を卒業し、俺は大学へと進んだ。両親はあいかわらず仮面夫婦を続けていた。尚樹がいなくなってやっと俺の存在を思い出したようにすり寄ってきたが適当にあしらい、就職が決まり、大学を卒業すると同時に俺も家を出た。
 尚樹が家を出てから6年。一度も連絡を寄こさない薄情な尚樹にはじめは怒りを感じていたが、自分が大人に近づくにつれ、時間がたつにつれ、それもだんだんおさまった。それとは逆に、どこで何をしているのかと心配と不安だけが募っていった。

 家を出てから3年がたったある日、職場の同僚と飲みに行った帰りの駅で、尚樹を見つけた。一目ではわからなかった。どこかで見たことがあるような…そんな気がしてチラチラ何度も盗み見して、やっと尚樹だと気付いた。俺のよく知る尚樹とは違って大人びて見えた。年月を考えれば当然だが、他人のように思えてならなかった。
 尚樹は俺に気付かず改札へ向かって歩いていく。俺もその後をつけ、来た道を戻った。改札を抜けた尚樹はずんずん歩いて何度か角を曲がるとマンションのエントランスに足を踏み入れた。郵便受けで郵便物を取り出すと、エレベーターに乗り込む。俺も慌てて階段を駆け上がった。
 俺が到着する少し前にエレベーターは5階についていた。廊下を歩く尚樹の後ろ姿を見つけあとを追いかける。足音に尚樹が振り返った。顔を前に戻し、また振り返る。

「…貴之?」

 びっくりした顔で立ち止まり、目の前まで追いついた俺と正面から向き合う。

「ほんとに貴之か?」
「薄情もの!」

 つい口をついて出たのはそんな言葉だった。元気で良かった、ホッとした、そう安堵したあとは、俺の知らない場所で知らない時間を過ごしてきた尚樹を目の当たりにして、子供に戻ったような気持ちで尚樹を責めていた。

「ごめん」

 尚樹は昔みたいに俺に謝った。

「連絡するって言ったくせに」
「ごめん」
「俺、ずっと待ってたのに」
「…ごめん」
「俺のこと、どうでもよかったんじゃん」
「そうじゃないよ」
「一回も連絡よこさなかったくせに」
「しようと思ったけど、できなかった」
「嘘だ!」
「嘘じゃない。貴之も俺と関わらないほうがいいと思って」
「そう言ったのは父さんたちだろ!結局尚樹はいつまでも親の言いなりじゃん!だったらホモやめておとなしく家にいればよかったじゃん!なんでホモなんて言っちゃったんだよ!尚樹のせいで家族めちゃくちゃになったんだろ!なんで俺を置いていったんだよ!なんで連絡してこなかったんだよ!尚樹の嘘つき!薄情もの!」

 尚樹はただ項垂れて聞いているだけだった。興奮している俺も後ろから近づいてくる足音に気付かなかった。

「お取込み中悪いけど、近所迷惑だと思うぞ」

 二人そろって声のしたほうを見ると、スーツ姿の男の人が立っていた。

「和臣…」

 尚樹が親しみのこもった声で呼びかける。それだけで、二人がただならぬ関係だとわかってしまい、俺は思わず男を睨み付けた。

「話はなかでしたらどうだ?」
「あっ、そうだね。和臣…ごめん…」
「俺は帰るよ。じゃあまた連絡する」

 手をあげて男は踵を返した。どうも尚樹と約束をしていたようだ。

「貴之、中、入って」

 尚樹は部屋のドアを開けた。


「なにか飲む?」

 ジャケットを脱いだ尚樹がキッチンで腕まくりをする。

「さっきの、誰」
「あぁ、柳瀬さんって人」
「恋人?」

 尚樹はふっと鼻で笑った。

「ただの知り合い」
「親しそうだったじゃん。俺がいなかったら何するつもりだったんだよ」
「貴之には関係ないだろ」

 なにもないな、と呟いて尚樹は缶ビールを二本持って戻って来た。その一本を受け取り一気に半分をあける。

「絶対エッチする気だったくせに」
「違うってば。あの人、俺に恋愛感情ゼロだから」

 手許の缶ビールに目を落としうっすら笑う尚樹はなんだか寂しそうで、尚樹が男に抱く感情に気付かされるには充分だった。

「ふぅん。俺のことほったらかして、自分は男と楽しくやってたんだ!俺のことなんか忘れて!めちゃくちゃにした家族のことなんか忘れて!いいね!そういう無責任な生き方、俺もやってみたい」
「貴之には本当に申し訳なく思ってるよ…」
「謝ってなんか欲しくない!許すつもりないから!」

 ダンと缶ビールをテーブルに叩きつけて立ち上がる。そのまま玄関へ向かうと尚樹が追いかけてきた。

「もう帰るのか?」
「俺がいたらあの柳瀬って人とエッチできないだろ」
「だから、それは…」
「何も聞きたくない!」

 部屋を飛び出し、階段を駆け下り、駅まで走った。


 同僚の誘いを断ったのに、俺は一人で酒を飲みに行き、酔った勢いで風俗へ行き、これでぐっすり眠れるんじゃないかと思って駅のホームに立ったが、気付くと尚樹の部屋の前にいた。
 インターフォンを押す指がためらって宙で止まる。柳瀬が中にいたらどうしよう。真っ最中だったらどうしよう。柳瀬に組み敷かれる尚樹を想像したらカッと頭に血が上り、インターフォンを連打していた。

「ちょっ、うるさいよ」

 尚樹が慌てて出てくる。視線を落として靴チェック。それっぽい靴はなくて安心する。

「ちょっといい」
「…いいよ」

 仕方ないって感じで尚樹はドアを広げた。
 数日前に初めて訪れた尚樹の部屋。ワンルームの部屋はどこも似たり寄ったりで、俺の部屋とベッドやテレビの配置が同じなのがおかしかった。今日は二人掛けのソファに腰をおろした。尚樹は絨毯のないフローリングに胡坐を組んだ。酒を飲んでいたのか、テーブルには酒のビンや缶が何本か並んでいる。

「いつもこんなに飲むの?」
「今日はなんの用?」

 迷惑そうな言い方に傷ついたが、尚樹の目が真っ赤に充血していることに気付いてそれどころじゃなくなった。

「どうした、尚樹?泣いてたのか?!」
「貴之には関係ない」

 と、そっぽを向く。ソファをおりて尚樹の横に膝をついた。

「関係なくない。なにがあった?!」
「別に…振られただけ…」
「柳瀬に?」
「そう。恋人が出来たからもうセックスしないって」
「やっぱあいつとセックスしてたんじゃん」
「俺が誰と寝ようと関係ないだろ!」

 顔をこちらへ向けて尚樹は珍しく声を荒げた。今にも泣きそうな顔をしている。尚樹を組み伏せる柳瀬を想像したら腹が立ったのに、尚樹を振りやがったのかと思うとその倍、むかついた。

「あいつが好きなのか?」
「少し…いいなって…俺が恋人になれたらなって…少し、思ってただけ」

 伏せた目に涙が溢れる。その頬を両手で挟み、上を向かせながら自分も顔を寄せた。唇が触れ合うと、尚樹は驚いて目を見開いた。

「たか…なに…」
「俺じゃ駄目なの?」
「何言ってるんだ…兄弟で…」
「俺は尚樹のこと兄弟だって思ってない。ずっと、好きだったから」
「…っ!」

 酷く驚いた様子で尚樹は絶句する。頭が良くても尚樹はぜんぜん俺の気持ちに気付きやしなかった。俺の肉欲にまみれた視線にも、欲望を模倣した接触にも、なにも。
 好きだと自覚したのは小学生のとき。熱を出して寝込む俺を親身になって看病してくれたのは尚樹だった。冷たい指先に欲情し、その夜、幼いペニスを押さえつける自慰で初めて抜いた。熱のせいかとも思ったが、熱が下がって元気になっても尚樹を思うと勃起した。それ以来、尚樹を兄としてでなく性の対象として見るようになった。
 俺がキスしようとすると、尚樹は顔をそむけた。

「だめ…だ、兄弟で…そんな…父さんたちは知ってるのか?」
「知らない。家出てから連絡もしてない。尚樹を追い出した奴ら、どうだっていい」
「貴之…っ!そんなこと、言っちゃだめだ」
「俺には尚樹だけでいい」

 ぎゅっと抱きしめる。尚樹は逃れようと抵抗していたが、俺が離れないとわかると、諦めて力を抜いた。
 俺は尚樹を押し倒した。


 一生触れられないと思っていた。手に入らないと思っていた。その尚樹がいま、一糸まとわぬ姿で俺の目の前にいる。俺の指や舌に感じて反応している。

「んっ、んっ、アッ…あぁ…っ」

 切なげな表情で甘い声をあげる尚樹を柳瀬やほかの男も見てきたのかと思うと、腹の底がどす黒くなる。体に刻まれたほかの男の痕跡を記憶ごと上書きしてやる。執拗な愛撫に尚樹は体をよじり、嬌声を上げ続けた。
 乳首を吸って甘噛みする。

「いやっ、アッ」

 尚樹は俺の頭をかき抱き、腰を浮かして背をしならせる。感じやすい体。ずいぶんと慣らされた体に嫉妬の念が燃え盛る。
 指で解した場所へ自分の屹立を押し込む。全部がおさまると尚樹は少し泣いた。俺が腰を動かすと涙声で喘いだ。

「んっ…んんっ…あっ…んふっ…うっ、アッ、アンッ…」
「好きだよ、尚樹。尚樹も俺のこと、好きになってよ」
「はっ、んっ、アッ…あっ、アンッ…だめっ…貴之ッ…やっ、アッ…あぁッ…」
「なにが駄目なの。俺のぐっぽり咥えこんじゃってんじゃん。一突きごとに感じまくって喘ぎまくってんじゃん」
「やっ、あっ、言うな…んっ、やっ、アッ…あぁ、んっ」
「あの男のこと、俺が忘れさせてやるから。だから俺のこと好きになれよ」

 腰を寄せる動作とともに穿ちこむ。息をつめて尚樹は顎を反らせた。何度も何度も、強く深く打ち付ける。摩擦に結合部が泡立ち、粘着質な音を立てる。

「うっん、やっ…あっ、アンッ…だめっ、たか…ゆきっ…あんっ、やっ、アッ、だめっ、やだっ…あっ、あうっ…も…だめっ…出ちゃうっ…!」
「まだイッちゃ駄目」
「ど…して…っ」

 赤く濡れた目が俺を見る。ぞくぞくする表情は股間に新たな活力を生む。

「だってまだ尚樹のその顔見てたい。その声、もっと聞いていたい」
「貴之…っ」

 かあっと顔を赤く染める尚樹も可愛い。
 身体を倒してキスした。乗り気じゃなかった尚樹も、俺がペニスを少し扱いてやると震える舌を絡めてきた。俺の唾液を飲み下した。
 尚樹を見下ろしながら突き上げる。

「はぁっ…んっ、あっ、いいっ…あっ、あぁ…気持ち、いいっ…」
「もっと気持ちよくしてあげるよ」
「あんっ、んっ、もっと…気持ちよく…してっ…貴之…もっと、奥まで、きて…っ!」

 何かを吹っ切ったのか尚樹は積極的に俺を求めた。俺もそれに答えた。今はまだ尚樹の頭のなかに柳瀬がいたとしてもいい。時間をかけて、尚樹の中を全部、俺だけにかえてやる。

「やっ、あっ、あんっ、やだっ、も…貴之ッ…やだっ、イクッ…もう…イッちゃうっ…!!」
「尚樹は俺のものだよ」
「やうっ…やっ、アッ、ああぁぁんっ!!」

 盛大に精液を噴き出す尚樹を見ながら、俺も尚樹の中へ射精した。


 ベッドのなかでカチリとライターで煙草に火をつける俺を見て、「貴之も大人になったなぁ」と尚樹はしみじみ呟いた。

「何年ほったらかしにしてたと思ってんだよ」
「ごめんってば」

 責めるつもりじゃなかったとキスすれば、尚樹も目を閉じて唇を合わせる。

「一緒のお墓に入ろうよ」

 鼻をこすり合わせたまま言うと、尚樹はぷっと噴き出した。

「すごいこと言うな」
「俺、本気なんだけど」

 俺の顔を見て、尚樹も笑みを決して真剣な顔になった。

「兄弟だってわかってる?」
「生まれたときからわかってる」
「男同士だってことも?」
「尚樹のチンコにすごく興奮する」
「馬鹿」
「俺のオナネタは最初からずっと尚樹だぞ。こんな一途な男、ほかにいるか?」
「…いないね」

 言葉と裏腹に、尚樹は少し寂しそうに笑った。俺の言葉を信じきれないのかもしれない。時間をかけて信頼してもらうしかない。

「今すぐ好きになってくんなくていい。いまは弟としてでいいから、俺のこと、好きになって」

 すると尚樹は意外そうな顔で、「なに言ってんだよ、好きに決まってるだろ」と言ってくれたので、まぁ及第点。25年待てたんだから、あと何年だって待てる自信あるし。

エンドゲーム(1)

お隣さん(2/2)

2014.04.02.Wed.
<前話はこちら>

 右の乳首を吸われ、左の乳首を摘ままれる。今まで乳首で感じたことなんかあまりないけど、噛まれたり吸われたり舐められたりしていると、だんだんそこも感じるようになってきた。

 指の先でピンピンと弾かれると体がビクビクと震えた。チュウチュウ座れると変な声が出そうになった。目を閉じてその快感を味わっていると、片方の膝を持ち上げられた。

 頭をあげて柳瀬さんを見る。腹と腹の間に、柳瀬さんの勃起したちんこが見えた。柳瀬さんはそれを俺のちんこの下、肛門めがけてツンツンと当ててくる。蟻の門渡りにネチャネチャとした粘液がこすりつけられる。そんなとこ触ったことも触られたこともなかったけど、意外に気持ちいい。

「あぁ、あっ、気持ち、いい、かも」
「指入れて大丈夫?」
「はい、お願いします……」

 なにをお願いしてるんだ俺は。柳瀬さんの指が肛門のなかにグッと入って来た。異物の侵入に俺のケツはそれをおい出そうと動いているのか、なんか漏らしちゃいそうな感じがして落ち着かない。

 柳瀬さんはそんな俺の気持ちもわかっているのか、様子を見ながらゆっくり出し入れしてくれた。そのあいだも乳首を舐めたり、俺のちんこを吸ったりと、どこまでも俺を気遣ってくれる。そこまで奉仕に徹した柳瀬さんに、俺は身も心も開いていった。

「いけそうだったら、柳瀬さんの、入れてください」
「無理するなよ」

 柳瀬さんが苦笑する。

「今だったら勢いでいけそうな気がするんで」

 少し恥ずかしかったが、自分で膝を持ち上げて、柳瀬さんにアナルを晒した。

「もう少し慣らしてから」

 柳瀬さんはちんこを入れてくれず、根本まで入れた指を曲げたりひねったりする。中を擦る速度を少しあげて出し入れされた時は、気持ち悪さじゃない別のものを感じた。体の奥に火がついて、それが体中に広がっていくのがわかる。ちんこも硬くなっている。

「柳瀬さん……!」
「うん、そろそろいけそうだ」

 自分のちんこをシュッシュッと擦ると柳瀬さんは俺のケツ穴にそれを押し当てた。

「ほんとにいいのか?」
「むしろ、はやく入れて欲しいです」

 嘘偽りのない本心だった。

 グヌリ、と亀頭が押し込まれた。意外にスムーズに入ったが、そのあとの竿のところは少し痛みを伴った。ミリミリとむりやり押し広げられる。

「んっ、ぐぅ……っ」
「大丈夫? やめる?」
「全部、入れて下さい……っ」

 目尻から涙が零れて落ちる。今まで経験した痛みのなかじゃ、こんなの、大した痛みじゃないのになんで泣けてくるんだろう。処女を失った女の子が泣くのって都市伝説だと思ってたけど、俺いま泣いちゃってるよ!

「泣くほど痛いのに無理するなよ」
「違うんです、そんなに痛くないのに、なんか俺、涙でちゃって……」

 柳瀬さんは目を細めた。

「可愛いな、奏太は。ゆっくり動くから」

 布団に手をついて、柳瀬さんはゆっくり腰を動かした。柳瀬さんのちんぽが俺の中をグニュゥと引いてまたブニュウゥと戻ってくる。その動作を何度も何度も繰り返される。そのうち、柳瀬さんのちんこの大きさにも慣れてきた。

「はぁっ……んっ……ンッ、ぁあっ、アッ……くぅ……ぅっ、ンッ! アッ!」
「よくなってきた?」
「なんかっ……声、止まんない…っ…アッ! やぁっ!」
「可愛いよ、奏太」

 チュッと額にキスしたあと、柳瀬さんは体を起こし、俺の腰を抱えなおした。

「少し早くするよ。嫌だったら言って。止めるから」
「あぁっ、はいっ……アッ、んっ……」

 俺の太ももを上へ持ち上げる。顔の横に足が見える。少し苦しい体勢でも、それで柳瀬さんを受け入れやすいのだと思うと我慢できた。尻の下に柳瀬さんの膝が入り込む。柳瀬さんが体重を乗せてちんぽを奥まで突っ込んできた。

「あうっ! んぐっ……うっ……アッ、んんぅっ……ンッ」
「苦しい? やめる?」
「やめ……ないっ……やめないで……!」
「無理するな」

 そういいながら柳瀬さんの腰の動きが早くなる。グチュッグチュッと音が立つほど激しい掘削運動。内部が擦られ熱くなるのと同時に俺の頭もぼうっと真っ白になっていく。

「ふっ、アッ、んぁっ……いっ……イイッ…! 柳瀬さん、気持ち、いいっ! アッ、んっ! ヤッ、なか……ど、して……こんな……アッ、あぁんっ、気持ちいいよぉ!」

 太ももに置かれた柳瀬さんの手を掴むと握り返してくれた。

「俺も気持ちいいよ、奏太。お前のなか、いまトロトロに蕩けてる。熱くてきつくて、止まらない」
「うれ、しっ……いっ……俺、嬉しい、ですっ! アッ、アンッ、アッ、アァッ!」

 柳瀬さんが俺のケツで気持ちよくなってくれている。俺も柳瀬さんのちんぽで気持ちよくなっている。なんだかまた泣けてきた。

「泣くな、奏太」

 困り顔の柳瀬さん。俺はむしょうにキスしたくなって……

「キス、して、下さいっ……柳瀬、さ……キス、して……!」

 柳瀬さんはまた目を細めて微笑むと、俺の要求を受け入れてくれた。自分から口を開いて舌を誘う。入ってきた柳瀬さんの舌に必死に舌を絡め、唾液を飲みこんだ。

 はぁ……どうしよ、俺……柳瀬さんのこと、好きになっちゃいそう……

 足を大きく左右に広げられた。俺たちの結合部を見ながら、柳瀬さんはペロリと上唇を舐めた。

「実を言うと、引っ越しの挨拶で初めて見たときから、奏太のこと、可愛いなと思ってたんだ」
「え……そ、なの?」
「うん。だからいま奏太とセックスできることがすごく嬉しい」
「俺も……嬉しい、です……昨日からずっと、柳瀬さんのこと、気になってたから」
「ほんとに? じゃあ俺と付き合ってくれる?」

 えっ、でも尚樹って人が……。俺が黙っていると柳瀬さんも思い出したようだった。

「尚樹のこと? あいつはほんとただの友人。たまにお互いやりたくなったときにヤルだけ。こんな俺、いや?」

 嫌じゃない。あの時の声を聞いて俺は柳瀬さんに興味を持ったんだから。

「俺、柳瀬さんが好きです」
「ありがとう、奏太。俺も好きだよ」

 四つん這いになって柳瀬さんを受け入れる。腰を持って引き寄せられるたび、奥まで柳瀬さんのが当たってくる。前でやるより深い挿入に我を忘れそうになる。

「んあっ、あんっ、アァン、いいっ! アッ、アッ……奥、すご……ンッ、アッ! ヤッ、だ……イキそ、うっ……ンンッ! あんっ! アッ、柳瀬、さ……!」
「和臣でいいよ」
「あっ、ふぅ、ンッ! んんっ……和臣……さ、んっ! アッ、だめ……もう、出ちゃうっ……出ちゃうよぉ……っ!」
「イッていいよ。俺ももう、イキそうだから」

 かすれ気味のバリトンボイスはとてもセクシーだ。胸の奥がキュンとなる。

「アッ、あっ、もう、ダメッ……あっ、んっ、出ちゃうっ……イッちゃう、和臣さんっ! 俺、あぁっ、あっ! イッちゃうッ!」

 ギュッと目を瞑ってちんぽを扱く。奥から熱いものが勢いよく外へと飛び出した。すさまじい快楽に目が眩む。

「俺ももうイクよ」

 イッたばかりの俺に、柳瀬さんのデカチン摩擦は痛いほどの快感があった。

「やっ……あっ、待ってっ……和臣さっ……アッ、アンッ、やっ、やだっ……!」
「ごめん、止められないよ」
「ひっ、やっ! アッ、アンッ! あっ、あんっ! やっ、あっ、アァンッ……だめっ、また……俺、イッちゃうっ! んんっ、アッ、アン! 気持ち、よすぎて……おかしく、なっちゃうっ……アッ、アァンッ! アッ! ヤッ、ヤダッ、アンッ、またイクゥ……!」

 激しい抜き差しの末、柳瀬さんは俺の中に大量の精液を吐き出した。ドクドクと中に熱いものが注がれる。そんなことにも全身で感じてしまい、俺もまた射精していた。

「はぁっ……アッ……はぁ……はっ、ハァ……和臣の、精子……俺のなか、いっぱい……」
「ごめん、外に出すつもりだったんだけど、気持ちよくて止められなかった」
「ううん、嬉し……俺も、中に出して欲しかった……和臣の精子、俺も飲みたかったから……」
「まだ飲める?」
「えっ?」
「奏太が良すぎて、一回じゃ物足りない」
「お、俺もう、二回出しちゃいましたけど」
「じゃあ俺ももう一回イッてもいいよな」

 足を抱え上げられて、今度は正面から挿入された。柳瀬さんのちんぽは本当に硬くてでかいままだった……。



 バイトを終えた俺はそのまま和臣さんの部屋へ帰った。自分の部屋へはたまに荷物を取りに戻る程度。

 先に帰っていた和臣さんが両手で俺を迎え入れ、抱きしめながらキスしてくれる。

「今日、尚樹に会って来た」

 内心ビクリとなる名前。

「もうお前とはセックスしないって言ってきた。可愛い恋人が出来たからって」
「ほんとにそれでいいの?」
「俺の種、全部奏太にあげたいから。ほかの男にやるなんてもったいないだろ」
「もー和臣さんのエッチ!」

 ワハハと笑いあってる俺たちってただのホモのバカップルなんだろうけど、幸せなのでこれでいいのだ。




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お隣さん(1/2)

2014.04.01.Tue.
 布団に寝転がってスマホでアダルトサイトめぐりをする。今日のズリネタはなににしようかな…と。

「……っ……ぁ……っ……ぅ……ンン……っ」

 かすかに聞こえてきた声。体を起こし壁に耳をくっつける。先々月、それまで空き室だった隣に30代くらいの男が引っ越してきた。このご時世に珍しく引っ越しの挨拶をしにきてくれたので名前も知っている。柳瀬という人だ。爽やかでデキるサラリーマンといった感じの人だった。

 あの人が女連れ込んでんのか? 壁が薄いから声がダダ漏れだ。

「んっ……アッ……アァッ……いいっ……和臣のちんぽっ……イイッ……もっと突いて!」
「尚樹はちんぽ咥えこんだらマジ淫乱だな」

 耳に心地よいバリトンボイスが揶揄して笑う。

「アッ、アッ……ンンッ……淫乱にして…ッ…和臣のちんぽで……俺を、淫乱にしてっ!」
「もう充分淫乱だよ」

 男の笑い声。あれ。この声、二人とも男だよな? 出てくる名前も男っぽい。もしかして男二人でセックスしてるのか?! ホモ? あの人ホモなの?! どっちなの?!

「あぁ……あぁんっ、アァ、いいっ、もうイクッ……あぁッ、イクゥ!」
「まだイカせないよ」
「やぁ、ンッ、意地悪しないでぇ……和臣ぃ……」

 壁越しにもパンパンという激しい肉を打つ音が聞こえてくる。やべえ。エロい。勃起しちゃった。

 壁にもたれてズボンからちんぽを出して握った。目を閉じ耳をすます。男に入れられるってどんな感じなんだろう? ケツの穴ってそんなに気持ちいいのかな? 俺も入れられちゃったらあんないやらしい声、出ちゃうのかな?

「ハッ……アッ、アンッ、アッ、アァッ! やっ、もうっ……だめ、出ちゃうぅ! ンンッ、出ちゃう、和臣っ!」
「そんなにイキたいのか? ちんぽから涎がでまくってるぜ」
「イキたい……イカせて……和臣ぃ……アァッ、お願い……!」
「しょうがねえな。イッていいぞ」
「アァァンッ、もうダメッ……イク……イクゥ……!」

 最後は切れ切れのかすれた喘ぎ声をあげながら、男はイッたようだった。俺も扱く手つきを早くする。

「ふっ……あぁ……アッ……やべ、気持ちいい……」

 ティッシュで先端を包みこみ、その中へ射精した。



 翌日、バイトが終わってマンションへ戻ると、ちょうど仕事終わりの柳瀬さんに出くわした。今日もスーツがビシッと決まっている。この人がホモか……。そういう目で見てみると、なんかやらしい人に見えてくる不思議。

「こんばんは」

 柳瀬さんがにこりと微笑む。その声を聞いて柳瀬さんが「和臣」」のほうだと気付いた。

「あ、どうも」
「いま帰り?」
「はい」
「バイト?」
「そうっす」
「大変だね。困ったことがあったらいつでも言って」
「あ、ありがとうございます」

 ホモだけどいい人だ。顔もかっこいいし。タッパもあるし。女にも男にもモテるんだろうな。柳瀬さんはドアノブを掴んだ。

「あっ、あの」
「ん?」

 どうして呼び止めた俺。別に話なんかないのに。

「えと……昨日、部屋にいたの、恋人ですか?」

 なんでこんなこと言っちゃうんだ俺! なに考えてんだよ俺!

 柳瀬さんは「聞こえちゃった?」と苦笑いを浮かべた。

「思ってるより壁が薄いんだなぁ」

 と壁をコンコンと叩く。

「あいつはただの友人」
「友人とあんなことしちゃうんですか?」

 なに言い出すんだよぉ俺えぇ!!

「大人になるといろんな種類の友人が出来るもんなのさ」

 一度ははなしたドアノブを柳瀬さんは再び掴んで捻った。

「あの!」

 また呼び止めちゃう俺。さすがにちょっと迷惑そうに柳瀬さんは少し眉を寄せた。

「まだなにか?」
「お、俺も、柳瀬さんの友人になれる可能性ってありますか?!」

 目を見張る柳瀬さん。それ以上に驚いてパニくってるのは俺のほう。

「……あるよ。部屋においで」

 妖しい微笑みを浮かべながら、柳瀬さんは部屋の扉をあけた。



 玄関に入るといきなり抱きしめられた。

「君もゲイ?」

 耳元に低いバリトンボイスがセクシーだと思う俺はそうとう影響受けちゃってる。

「やっ、あの、俺は別に違うんですけど……ハハ……」
「興味あるの?」

 柳瀬さんを引き留めたのも、あんなこと言っちゃったのも、つまりはそういうことなんだろう。自分にホモッけがあったなんて、20年生きてて知らなかった。俺は意を決して頷いた。

「怖くないよ」

 昔のトレンディドラマみたいに顎の先を掴んで持ち上げられた。柳瀬さんの口がおりてくる。唇に触れたそれは柔らかく、少し湿っている。女の子のキスとかわらないけど、やっぱりどこかが決定的に違う。

 ぬるっと舌が入って来た。咄嗟に顔をそむける。

「あっ、すいません……」
「俺のほうこそ。キスはやめておこう」

 無理強いしない物わかりのいい人でよかった。俺を解放した柳瀬さんはジャケットを脱ぎ、ネクタイを外してワイシャツ姿になった。振り返って「おいで」と言う。いつまでも玄関先で突っ立っていたも仕方がないので、俺も部屋にあがらせてもらった。

 奥にベッドが見えた。昨夜あそこで尚樹って人とセックスしてたんだ……今日は俺が柳瀬さんと……。

「帰るなら今のうちだよ」

 布団を凝視していると、柳瀬さんが俺の肩を抱いた。

 帰ったほうがいいんだろう。引き返すなら今しかない。いま帰らないと、昨日までとは違う俺になってしまう気がする。迷いが渦を巻いていた。

 柳瀬さんを見上げたら、優しく微笑んでくれた。俺がいま帰っても、この人は怒らないで受け入れてくれるんだろう。だったら、別人になってしまった俺のことも、受け入れてくれそうな気がした。だから俺ははっきりきっぱり言い切ることができた。

「帰りません」



 布団の上に座らされた。俺の服を脱がせながら、柳瀬さんが唇以外の場所にキスをしてくる。首筋、鎖骨、乳首、臍まわり……。くすぐったくて身をよじらせながら、俺も柳瀬さんの服を脱がせた。筋肉のついた羨ましい体がだんだん露になる。

「腰、浮かせて」

 手を突いて腰を浮かせたらズボンを下着ごと脱がされた。一糸まとわぬ姿になった俺の膝を柳瀬さんは容赦なく左右に割る。俺の半立ちちんこが白日の下に……!

「やめてほしくなったら言うんだよ。すぐ、やめるから」
「あ、ハイ……わっ」

 思わず声をあげてしまったのは、柳瀬さんが俺のちんこをパクッと咥えたからだ。手コキでもなくいきなりフェラですかっ! しかも舌ッ! ベロンベロン動いてるしっ!

「はぁんっ」

 気の抜けた声が出た。昨夜の情事を思い出す自分の声に胸の奥がくすぐったいようなむず痒いような感じになる。

 チュバッチュバッと唾液を絡めながら啜りあげ吸い上げして、柳瀬さんは超絶テクで俺のちんこをいとも簡単にフル勃起させた。やっぱゲイだけあって男の感じるポイントを熟知している。女とは比べものにならない。しかも……玉まで吸ってくれるとか!

「はぁ……アッ、柳瀬さんっ、すごい、気持ちいいですっ!」

 後ろについた手がプルプル震えて辛くなってきたので、そろりそろりとフェラに影響ないように体を倒した。柳瀬さんは俺のちんぽに吸い付いたまま頭を上下に振っている。俺のちんぽが柳瀬さんの口の中を出たり入ったり。直視するとたまらない恥ずかしさがあった。

「あっ、くっ……やっ、柳瀬、さんっ……出そう、なんです、けどッ」
「いいよ」

 そう言って舌なめずりしたあと、柳瀬さんはまたフェラを続ける。バキュームフェラやばいです。すごい音です。恥ずかしいっ!

「ふぁ……あっ、クッ……んんっ……まじ出そ……うっ、アッ……ふぇ……出る……ッ!」

 我慢しきれず柳瀬さんの口の中へ精液を吐き出した。柳瀬さんはそれを最後の一滴まですすり上げて飲み込む。手慣れた感じでゴクッと一気だ。この人飲んじゃったよ俺の精子!

「すい、すいませんっ、俺、口に出しちゃって」
「いいんだよ。俺が飲みたかったんだから。今更だけど、名前は?」
「あっ、俺、奏太っていいます」
「奏太か。溜まってたのか? すごい味が濃かったぞ」
「あっ、すいません」

 言われて俺、顔真っ赤。精子の味の感想なんか聞きたくないよ。

 俯いている俺の胸に、柳瀬さんは手を置いた。

「これで終わりじゃないよ」
「えっ」
「女になる快感、知りたくて来たんだろ?」
「あっ……」



嫌いな先輩 改訂版

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