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待田くんに春はこない(2/2)

2015.05.05.Tue.
<前話はこちら>

 ぐいぐい唇を押し付けてきながら、肩にも微妙に力が加わる。緩やかに押されている。

 押し返そうとしたら遠野の唇と強固に密着してしまう。だから反対方向へと俺の体は動く。追いかけるように遠野に迫られて、俺はつい後ろに手をつき、さらに肘を曲げて徐々に背中が床に近づく。

 いつの間にか俺は床に寝転がり、その上に遠野が覆いかぶさる格好になっていた。

「とまぁ、こうやって自然に押し倒すわけ。アンダスタン?」
「い、イエスサー」

 心のなかで敬礼しながら唾液まみれの唇をゴシゴシ拭う。さっきまでカッサカサに乾燥していたはずなのに!

「で、このままキスしながら、胸触って、向こうが乗り気になってきたらホックを外せばいい」
「乗り気になったかなんて、どうしてわかるんだ?」
「女の態度で。例えば、抱き付いてくるとか、足が開いてきたとか」

 遠野の膝が俺の足の間に割って入ってきた。膝を閉じられないことがこんなに落ち着かないなんて。

「急ぐと女は冷めるからな。向こうから早くって言い出すまで服の上からじっくりやってやれ。そうすればあとが楽だ」
「ふ、服の上から?!」

 何をすればいいんだ?!

 混乱する俺の想いを見透かしたように、遠野は見本だと言わんばかりにまた俺にキスすると、ブラの上から胸を揉み始めた。あ、また乳首立ってきた……!

「ん、ちょっ……ぅ……遠野っ……!」
「気分出て来た?」

 首筋を舐めながら喋るから息がかかってくすぐったい。ゾクゾクッとした震えが走る。

「ぁ……はぁ……っ」
「ブラをずらして両乳揉むのが好きなんだよね、俺」

 知らねえよ! ってか俺のぺったんこな胸は揉めねえだろ! なんでまた乳首弄ってんだよ!

「っ、あっ!」

 口に含まれた乳首をクチュッて軽く歯で甘噛みされた。なんだいまの。神経弾かれたみたいにビリビリッときた。

「感度いいじゃん」

 笑った吐息が乳首にかかる。俺の口からも息が漏れそうになる。なんか変だ。呼吸が乱れてエッチな息遣いになっている。

 俺も、遠野も。

 遠野は普段見たことないような笑みの消えた顔で俺のあちこちにキスしながら体を弄ってくる。

 そうか。セックスするとき、人間っていつもと違う顔つきになるのか。確かに俺も一人エッチしてる時はだらしない顔つきになってる時がある。いまの遠野はちょっとかっこいいけど。

 待て待て。
 かっこいいとか。遠野相手になに思っちゃってるんだ俺。

 というかもう遠野と普通にキスしちゃってるし。舌入ってきたし。ベロベロ舐められて絡めさせちゃってるし。

 これがベロチューか。やばい。遠野なのに、気持ちいい。もっとしたいとか思ってしまう。

「はぁ……ん……んっ……」
「欲しくなってきた?」
「……え……?」

 寝起きみたいに目をトロトロに蕩けさせて遠野を見上げる。遠野が優しく微笑む。胸がキュンと鳴った。

「気分、出て来た?」
「た、たぶん」
「こっち、凄いことになってる」

 遠野が俺の股間を手で覆う。しっかりテントを張っている。ちょっとやそっとの強風じゃ倒れませんってくらいカチカチだ。

「ブラより先にパンツ脱がせるのもありだから」

 遠野がベルトを外し、俺の目を見つめながらゆっくりチャックをおろす。この焦らされている感じ、これも遠野のテクニックの一つなんだろう。目がとてもいやらしい。

 パンツの上から遠野が先端を包み込む。先走りでじっとりそこが湿っている。それを広げるみたいに手の平をぐりぐり動かされる。

「う、あっ、それ……!」
「すごい濡れてる」

 パンツの中に遠野の手が入ってきて直接俺に触れた。自分じゃない、他人の手の感触。初めての体験に眩暈がした。

「待田、お前、女の子みたいだよ。グチョグチョになってる」
「は、恥ずかしいこと、言うなっ」
「自分でも音、聞こえるだろ?」

 パンツの中で遠野が手を動かす。クチュ、クチュ、と粘ついた水音が聞こえてきた。

「ううっ……うあ……あっ、あ……」

 自分で扱くのとぜんぜん違う。少し的外れな焦れったさがたまらなくいい。

「大洪水」

 って笑いながら円を描くように先端で指を動かす。もうヌルヌルだ。

「…くぅ……んっ、あ、遠野っ……」
「良さげな顔してる。気持ちいい?」
「いい……やばい」
「人にしてもらうの、超やばいだろ」
「うん」
「腰あげて」

 囁くように言われて俺は素直に腰をあげた。遠野がすばやくパンツを脱がせる。外の空気にさらされて、ひやりと感じたのも一瞬、またすぐ遠野に握られていた。

 手を上下に動かしながら遠野は俺の首筋に顔を埋めて、耳の裏にキスしたり、鎖骨を舐めたりする。

「う、あっ、あ、変な声、出るっ」
「感じてんだよ」

 また乳首を吸われた。ちんこも扱かれ続けている。俺は遠野のシャツを握りしめた。

「やばいっ、や、遠野! 出る! 出るって!」
「どーぞ」

 遠野は手つきを速めた。畜生! なんでこんなに気持ちいいんだ!
 今まで感じたことのない解放感に頭を真っ白にしながら俺は射精した。

 俺に馬乗りになったままの遠野が、口の端に笑みを滲ませて、吐き出される白い液体を見下ろしていた。
 ふいに俺と目を合わせた。

「外したの気付いた?」
「え?」
「ホック。外してんだよ?」
「え、あ、ほんとだいつの間に!」
「亀頭責めしているとき」

 まったく気づかなかった!

「遠野すげえ」
「まあな」

 ちょっとはにかみながら遠野が床に腰をおろした。不自然な位置で膝に置かれた遠野の手は、俺の精液でベトついているのが見て取れた。

「あ、ティッシュ」
「あとでいいよ。先にこっち済ませる」

 遠野は自分の前をくつろげると、半立ちになったものを引っ張り出して俺の目の前で扱きだした。

「なにしてるんだ?!」
「見ての通り」

 俺の精液まみれの手で自分のを握って上下に動かしている。

 わ、遠野の、というか、他人の勃起したものを初めて生で見た。色が微妙に違う。俺と違って何度も使ったことがあるからか?

「遠野、お前、興奮してたのか?」
「お前に興奮したんじゃねーから。状況に興奮しただけ、ただの条件反射みたいなもんだから」

 俺の見ている前で遠野のちんこが育っていく。遠野は恥ずかしいのか顔を伏せていた。手の動きに合わせて前髪が揺れる。

「や、やってやろうか?」
「え」

 顔をあげた遠野の表情に、また胸が高鳴る。やらしいことしている時、こいつって妙に色っぽい表情になるんだ。

「やってくれんの?」
「うん」
「ブラジャーつける? 外す練習しながらやる?」
「いや、いい。無理」
「女とやるときは同時進行で両手使っていろいろやんなきゃなんないんだぜ」
「自信がない」
「だろうな」

 俺を馬鹿にするように薄く笑いながら遠野は手を退けた。男のちんこも千差万別。俺とは色も形も大きさも微妙に違う遠野のちんこ。

 俺は緊張しながら握ってみた。遠野がぴくっと動く。他人の勃起ちんこってこんなに熱く感じるのか。

 目線をあげれば、遠野がまた色っぽい表情で手許を見ている。俺がオナるときみたいに、唇は軽く開いていた。気持ちいいのかな?

 恐る恐る手を上下に動かす。擦る動作に遠野の血管が強く脈打つ。

「…は……っ……」

 遠野の掠れた息遣い。俺までいやらしい気持ちになってくる。

 乱れた呼吸をする口元を見ていたら、キスしたくなってきた。さっき何度もしちゃってるけど、自分から、この雰囲気のこの状況でやるのは、とても不自然なことに思えて恥ずかしい。

 俺がじっと顔を見つめていたからか、遠野が睨むように目を合わせてきた。

「……イキそう……」
「えっ、あっ、いいぞ、来い!」

 遠野はたぶんティッシュで受けろという意味だったんだろうが、そこまで頭がまわらなかった俺は、そのまま手つきを速めて射精を促した。

 後ろに手をついた遠野の呼吸が浅く短くなる。目を閉じて、眉間を寄せた。その瞬間、手の中を熱い塊が走り抜けて飛び出して行った。



 遠野を見送ったあと、バレる前に母ちゃんのブラをタンスに戻した。

 帰り際、俺にラインの画面を見せながら遠野が言っていた。

「佐々木は経験豊富だから、初めてのお前にはいいかもしれないけど、俺はあんまお勧めはしない」

 ラインの日付は一昨日。時間は深夜。佐々木は遠野にも別れた彼氏の愚痴を言い、挙句「じゃあ遠野が私と付き合って」とハートの絵文字を送っていた。

 それを見た俺の口からはため息しか出なかった。

「ありがと」

 って遠野を送り出して。

 俺は無意識に自分の右手の匂いを嗅いでいた。手を洗ったのにまだカルキ臭い気がする。遠野の匂い。不思議とムラッとくる匂いだ。




オタクくんの憂鬱

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待田くんに春はこない(1/2)

2015.05.04.Mon.
※挿入なし。

 学校に行けばクラスの半数は女子だ。普通に会話するし、冗談言い合うし、遊びに行くときは女子が混じっていることだってある。

 なのに今まで彼女が出来なかった。

 見た目は普通だ。性格だって普通のはずだ。女子に避けられる要素は思い当たらない。
 告白はした。中3の夏。受験を理由に振られた。

『待田だったら高校入ってすぐ彼女出来るよ』

 って慰めの言葉をもらったが17になるまで一度も彼女が出来なかった。

 もう告白する勇気なんて残ってなくて、出来るだけ誰も好きにならないでいようとしてた。
 そんな俺にもついに春の気配が。

『じゃあ私と付き合って慰めてよ』

 仲のいいクラスの女子から、失恋の愚痴をラインで聞いていたら、こんな一文が送られてきたのだ。
 ただの冗談だよな。ノリだよ。こんなの。本気にしたら馬鹿みたいだぞ。俺も冗談っぽく返さなきゃな。

『俺なんかでいいのかー?』

 びっくりした顔の絵文字と(笑)をつけて送る。

『だって待田、優しいじゃん』

 そのあと『月曜、学校で会うの恥ずかしくなっちゃった』って送られてきて、手汗まじやばいんですけど。

 え。ほんとに俺と付き合う気あんの? それ確かめたいけど必死すぎwwwって思われそうで『じゃあ今日は俺のことだけ考えて寝ろよ(`・ω・´)』ってウケ狙いで送ったら、

『そうする』

 ってハート付きで返ってきた。

 まじどうすんのこれ。付き合うの? こんな流れで付き合うことになっちゃうの?! それが現代の正しい男女交際なの?!



「と、いうわけなんだけど、佐々木の奴、本気だと思う?」

 同じクラスの遠野を家に呼び出して、俺は昨夜のラインのやり取りを見せた。
 読み終わった遠野は「ふっ」って失笑した。

「佐々木かぁ、あいつ男切らしたことないのが自慢の女だぞ」
「お前みたい」
「シャラップ。童貞のお前の筆おろしにはいいかもよ」
「まだそういう関係じゃないし!」
「え、セックスのやり方教えて欲しくて俺を呼んだんじゃないの?」
「え、やっぱ練習しといたほうがいいの?」
「なんの練習だよ」
「そういう雰囲気の作り方とか、服の脱がせ方とか?」
「あー、ブラのホックの外し方とか? ってお前、やる気満々じゃねーか」
「ブラのホック……?!」

 自分で外すんじゃないのか? 男が外すのか? どうやって?! 構造なんか知らないぞ!?

「普通は中学の間に片手で外せるように練習しとくもんだぞ」
「そうなのか?!」

 おうよ、と遠野は答えて「ブラジャー持って来い。教えてやる」と顎をしゃくった。
 言われた通り、俺は母ちゃんのブラを一つ拝借して戻った。

「お前の母ちゃん、けっこう派手なのつけてんだな」

 遠野は母ちゃんのブラジャーを広げてニヤニヤ笑う。みんな赤とか黒とかつけてんじゃないの?! 恥ずかしい!

「いいから、教えろよ!」

 母ちゃんの赤いブラをひったくる。

「じゃ、お前、つけろ」
「なんで俺が?!」
「まず、俺が見本みせてやる」

 なるほどそういうことか。納得した俺は服を脱いでブラを胸にあてた。

「どうやって留めるんだ?」
「仕方ねえな。後ろ向け」

 遠野に促されて後ろを向く。ぐいっとブラを引っ張られて窮屈になったら、それが固定された。

「きつ」
「そうだろ。女ってこんなにしてまで乳を守ってるんだぜ。触るときはありがたく触らせてもらえよ」

 言いながら背中を触られたと思ったときにはもうブラが外されていて、圧迫感がなくなった。

「もう外したのか?」
「おう」
「すげえ。一瞬じゃん」
「コツがあんのよ。それさえわかりゃ簡単なもんだ」

 もう一度、と遠野はブラを留めると俺を前に向き直らせた。

「たいてい向かい合ってる時に外すからな」

 と顔を近づけてくる。うわ、キスか?! 身構える俺の頬をかすめて、遠野の顔が真横にくる。

「キスしながら一発で外せたら童貞のお前の面目一新」

 耳のそばで遠野が喋る。なんだかいい匂いがする。整髪料か。遠野なのに、この至近距離と匂いで胸がどきどきする。

 遠野の手がブラの上から俺の胸をまさぐる。同じ男の遠野にブラをつけた胸を揉まれてるなんて、なんだこの倒錯した状況は。

「ちょ、ちょい、遠野……っ!」
「とかって佐々木が止めようとしても無視して続けろな。乳触らせた時点でOKって思っていい」

 ほんとかよ。あとで無理矢理だったって交番行かれたら人生終わるんだけど!

 遠野はブラを上にずらすと、直に俺の胸を触って来た。指の関節のあたりで乳首を挟まれ、強弱つけて捏ねられる。

「う、わ……っ……遠野……?!」
「気持ちい?」

 って顔を覗きこんでくる遠野とすぐ近くで目があって心臓が飛び跳ねた。近い近い。近すぎる!

「は、はやく、ホック外せよ!」
「こうやって乳を弄りながら、女が気持ちよくなってる間に外すんだぞ」

 クニクニクニクニ……指で捏ねくりまわし、軽く引っ張る。なんだ。なんだこのむずむずとくすぐったい感じ。腰の奥が落ち着かない。あ。くそ。勃ってきた……!

 やばいと思って膝をこそっと引き寄せる。

「うにゃう?!」

 いきなり、乳首を舐められて変な声が出た。遠野はクックッと肩を震わせている。

「なにその声。うける」
「お前が変なことするから!」
「こうやんなって、童貞のお前に教えてやってんだよ」
「そこまで教えていらない!」
「童貞のお前が百戦錬磨の佐々木を満足させられるのか?」
「うっ」
「無理だろ?」
「確かに」
「だったら俺のやることに集中して、しっかり頭に叩きこめ」
「お前は俺の乳首なんか舐めて楽しいのか?」

 遠野は動きを止めると俺を見据えて低い声で言った。

「いじめるぞ」

 不思議なことに、俺の息子がぴくんと反応した。なぜだ。なぜ前より育った!?

 遠野は前髪をかきあげるとまた俺の乳首に舌を這わせた。先で潰すようにしたり、巻き付けて吸い上げたり。乳首を摘まむ指も動き続けている。

 いったいいつホックを外すつもりだ。ホックを外すまでにこんなに時間をかけるのか。童貞にはじれったい。

「…っ……とぉ、のっ……ホック……!」
「……わぁったって」

 遠野が苦笑する。そして片手を俺の背中にまわし、簡単な動作で見事ホックを外した。

「すご」
「だろ」

 どれだけ慣れてんだ。どれほど外してきたんだ。中学の頃に自主練してたのか。
 見もせず片手で外す手本を見せたのに、遠野はまだ俺の乳首を弄り続けている。

「あ、あの、遠野? いつまでやってるんだ?」
「やめる?」
「続ける気?!」
「次はパンツ脱がそうと思ってたんだけど」
「俺のパンツ脱がせてどうするんだよ!」
「お前の勃起したちんこ見てやろうかと」
「見るなよ!」

 勃ってるのバレてた!

「じゃあ次のステップに進むぞ」

 言うと遠野は俺に抱き付くようにして腕をまわして器用に背中のホックを留めた。もう自由自在じゃないか。

「今のは座った状態だったけど、今度は寝転がった状態で外すパターンな」

 寝てる状態?! なんて難易度が高そうなんだ!

「まずは相手を寝転がらせなきゃなんないわけだけど、どうするかわかる?」
「お、押し倒す?」
「強引なのが好きな女にはいいかもしれないけど、童貞のお前がやったらがっついてるみたいだからダメー」
「じゃあどうするんだ」
「キスしながら体重かけてくんだよ。口で言うより実践のが早いから」

 遠野は俺の肩を掴むとグッと顔を寄せて来た。今度はほんとにビタッと唇を合わせてきやがった。

「お、ちょ、待てっ」
「キスぐらいでガタガタ騒ぐな」
「俺のファーストキス」
「男同士はノーカンなの」

 そうなの? そうなのか? いや、違うだろ。カウントされるだろ。いま確実に0から1にカウンターが回っただろ。

 デタラメなことを言ったくせに、遠野は面倒くさそうに舌打ちするとまたキスしてきた。セカンドキスまで奪っておきながら舌打ちとはどういうわけだ!



インテリ君の恋病