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裏ドSくん(3/3)

2014.11.04.Tue.
<前話はこちら>

 触れ合った場所から伝わってくる斉藤の熱さが俺の判断力を鈍らせる。いまこの世に頼れるのはこいつしかいないという感覚に陥って斉藤にしがみついた。

「イッ…あ、イクッ、忍、もう、俺…!」
「わかってるよ」

 斉藤は俺の頭を抱いて、ポンポンと軽く叩いた。思いがけない優しい仕草に混乱しながら俺は射精していた。先端にかぶせていた斉藤の手に吐き出されたものが跳ね返り、二人のペニスをべっとり濡らす。

「気持ちよかったか?」

 アンバーの瞳に嘘をつけなくて頷いた。

「ずいぶんあっさり認めやがったな。これからが本番だってのに」
「え…っ?」

 射精の余韻に浸る間もなく裏返しに壁に押し付けられた。濡れた手が尻の間に入り込み、奥の窄まりに指を突き立てられる。

「ひっ、いっ、やめ…!」
「俺がまだイッてねえっての」
「いやだっ、いや…っ、それは、嫌だっ!」
「じゃあしゃぶってくれんのかよ?」
「なっ…! バカッ、変態っ! 誰がそんなこと!」
「だったらおとなしく掘られてろ」

 グチッ、と斉藤の怒張が押し入って来た。ぬめる感触は俺の吐き出した精液だ。斉藤は腰を押し進めながらペニスを扱いているらしく、背後から音がする。これ以上大きくするなよ。いまでも充分圧迫感があってきついのに。

「やめろ、いやだ、斉藤! ばかっ、死ねっ、抜けよこの野郎!」
「もう全部入った。エッロい光景。写メっとこ。あとでお前にも見せてやるよ」
「なっ?! 嘘だろっ、やめろっ、なに考えてるんだよ!」

 喚く俺を無視して斉藤は本当に写真を撮っていやがった。しかも複数枚。

「そんな締め付けんなよ、写真撮られて興奮したか?」
「そんなわけないだろ! あとで覚えてろ、絶対ぶっ殺してやる!」
「うわ、惚れそう。楽しみにしとくぜ、いまはこっちが先だけどな」

 俺の腰を掴むと斉藤が動き出した。俺のなかを目いっぱい擦りながら斉藤のものが出たり入ったりする。まじで斉藤に犯されている。男なのに。男に。

「声出せよ、つまんねえな。泣いてんのか?」
「黙ってやれ…っ、さっさと終わらせろ」
「俺はお前と違って早漏じゃねえからそんなに早く終わんねえよ」

 誰が早漏だ!
 調子づいた斉藤の腰つきが早くリズミカルになっていく。狭い個室に音が響き渡る。合間に濡れた音も聞こえて死にたくなる。この音が、俺のケツから聞こえているなんて。

「なか、熱くなってきたぞ」
「黙ってやれよ…!」
「気持ちいい?」
「死ねっ」
「図星?」

 確かめるように手を前にまわしてペニスを掴んだ。背中に斉藤の体温がかぶさってきて、耳元で湿った笑い声を聞いた。

「体は正直、ってな」

 壁についた手を握りしめた。奥歯を噛みしめて必死に声をかみ殺す。

「俺ら、体の相性最高なんじゃね?」
「最悪の間違いだろっ」
「これからもヤろうぜ」
「誰が、お前なんかと…っ」
「お前の許可はいらねえんだよ、俺のやりたいときにやるんだから。今日からお前、俺のもんな」
「なにっ…あっ…!」

 体の奥からゾクゾクッと震えがきて背を反らした。

「感じちゃった?」

 笑いの混じる声にすら感じる。

「耳元で、しゃべるな…っ!」
「敏感すぎ」
「は、アッ」
「そろそろイクぞ」

 そう宣言した斉藤に腰を引き寄せられた。頭の位置が下がり、尻を突き出した格好になる。

「おい、斉藤…っ」
「忍だって」

 いきなり最奥まで貫かれて息がつまった。まだ未開だった場所がこじ開けられている。その衝撃に慣れる前に引き戻ったものが再度叩き込まれた。

「ん、うっ、あはぁっ、あっ、ゆ…っくり、しのぶ…っ」
「中は悦んでるぞ」
「あっ、んっ…ちが、あっ、くるし…っ」
「うねって俺を引き込んでるぜ」
「いっ、あぁっ、んっ、違う、俺は…っ、あっ、あぁっ」
「気持ちよくってぶっ飛びそうだろ? 認めろ、淫乱」
「ひぅっ、ちが…あっ、あんっ、違う…っ!」
「てめえの体、見てろよ」

 視線の先には俺の勃起したペニスが、斉藤の動きに合わせて揺れていた。先から透明なものが糸を引いて垂れ落ちている。

「あっ、いやっ、だ…っ、あっ、あぁっ」
「中に出してやるから、じっくり味わえよ」
「いやっ、やめろっ、いやだっ…!」

 俺の制止なんか聞かないで、斉藤はたっぷりと吐き出してくれやがった。

※ ※ ※

「初めてだってのに、お前、感じまくって結局何回イッてたよ?」

 意地悪い顔でのぞき込みながら斉藤は手を動かす。斉藤の胸倉をつかんで引き寄せ、肩口に顔を埋めた。斉藤の匂い。麻薬みたいに癖になる。

「黙れよ、おしゃべり野郎」
「あの日の写メ、まだ残ってるんだぜ。見るか?」
「消せって言っただろ!」
「パソコンにも保存してるから」
「まじで死ね! 変態!」
「自分が一番の変態じゃねえか」
「俺のどこがっ」
「今の自分の格好見てもわかんねえの?」

 トイレで勃起したペニスを男に扱かれている。確かに人のことは言えない。
 あの日から斉藤は宣言通り、自分がやりたくなったとき、俺を無理矢理抱いてきた。最初は抵抗しても最後は流されてヤッちゃってる俺もどうかしている。

「俺が女と話してんの見て嫉妬したか?」
「するわけないだろ、自惚れ屋」
「素直んなれよ、俺が好きなんだろ?」
「そんなわけあるかっ、捕まらないならとっくにお前のこと殺してる」
「殺したいほど俺を独占してえか? 安心しろよ、俺の種、全部お前にくれてやるって言っただろ」

 そんな話、聞いたことねえよ。誰と間違えてるんだよ。俺以外に、そういうこと言う相手がいるのかよ。

「お前みたいなド腐れ野郎のDNAを欲しがる女がいるなんて驚きだ」
「てめぇ、孕ませるぞ」

 斉藤の目つきがかわる。剣呑な目。本気の眼差し。獲物に噛みつこうと構えるウルフアイ。
 背筋がぞわりと逆立つ。

「やってみろよ、ほんとに出来たら、お前の子供産んでやる」

 斉藤の眉間に皺が寄る。目元がひきつっているのは、斉藤が興奮している証だ。

「メチャクチャにやられてえみてえだな」

 顔が近づいてくる。苦しいほど脈打つ鼓動の音を聞きながら、俺はそれを受け入れた。


春の音

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裏ドSくん(2/3)

2014.11.03.Mon.
<前話はこちら>

 憎たらしいことに、斉藤は容姿がいいだけじゃなく、運動神経も良いほうで、なにをやらせても人並みかそれ以上にこなしてしまう嫌味な奴だった。
 だから惑わされて好きになってしまう女子があとを絶たないのだろう。今日だってバスケをする斉藤を見に、授業をさぼった女子が数人体育館に集まっていた。

 体を動かして暑くなった斉藤がジャージの上着を脱いだだけで悲鳴があがる。まったくうるさいったらない。
 体育の後、斉藤が水道で顔を洗えばすかさず女の子がタオルを差し出す。斉藤はそれを見て顔をしかめる。

「そんなきたねえもんで拭けるかよ」

 と女子を追っ払うと、自分の体育着をまくって顔を拭いた。絶対そっちのほうが汗で汚れているのに。斉藤は少し潔癖症なのかもしれない。保健室であんなことを平気で出来るくせに。
 視線に気づいた斉藤と目が合った。

「なんか言いたそうだな」
「別に」
「俺のこと気になる?」
「馬鹿馬鹿しい」
「俺とのキスが忘れられない?」
「黙れ」
「意識しまくり?」
「死ね」
「俺とヤル?」

 俺の肩に腕を乗せて、斉藤は顔を近づけてきた。耳のそばで囁かれた声に、背筋がぞくりとなる。

「ふっ…ざけんな、気持ち悪い」
「その言葉、忘れんなよ」
「あ、おい……っ!」

 もう誰もいない体育館に戻り、なかにあるトイレに連れ込まれた。個室に入って後ろ手に鍵をかけると、斉藤は俺を見据えてニイッと凶悪に笑った。 

「なに、考えてる」
「お前が期待してることだよ」
「期待なんか、してな…っ」

 肩を掴んでキスされていた。閉じた唇をこじ開けて斉藤の舌が中に入ってくる。

「んっ…ふぅ、ん…!」

汗の混じった斉藤の匂い、それを近くで吸い込むと腰のあたりが痺れるような感覚がして、思わず斉藤の肘に掴まった。

「や、め…っ、やめろっ…ん!」

 口の中も周りも、俺と斉藤の唾液で濡れていた。上を向いて顔を背ければ咽喉元に舌を這わせて来る。

「はっ…ん、ばか、やめ…っ!」
「ここ、感じんのかよ?」

 喉仏から耳の裏までをベロリと舐めあげられて、ゾクゾクと体を震わせた。

「ハッ、なんて顔しやがる」
「な、どんな、顔…っ」
「犯してくれって顔だよ」

 足元を左右に蹴られて開かされた。その間に膝を入れて来る。
 体操服のなかに手を入れてきた。脇腹を斉藤の長い指がかすめていって身が縮こまった。

「感じやすいな、お前」
「ちがうっ」
「いつまでそんな強情はってられんだか見物だな」

 斉藤の手が這いあがってくる。乳首に指が触れた瞬間、ジンと頭の中で何かが溶けたような感じがした。
 親指が下から擦りあげ、人差し指で挟み込まれる。

「ふっ、くぅ…んっ」

 固く目を瞑った。余計に感覚がリアルになった。斉藤の指が体操服の中で動いている。俺の体を弄んでいる。
 いきなり耳を舐められた。ぞぞっ、と聴覚が犯される。

「やめろ、変態…!」
「黙れ、ドM」
「誰が!」
「ここ、こんなに腫らしてなに言ってやがんだよ」

 ズボンの上から股間を触られた。斉藤の指摘通り、そこが大きくなっている。

「やめ、違うっ、触るな!」
「乳首弄られただけでおっ立たせてるくせに、なにが違うって言うんだよ?」
「だから…っ、触る、な…って…!」
「どんどんでかくなってくぞ?」

 楽しそうに言いながら布越しにそこを擦る。形がはっきり浮き上がってくると指を添え、扱くように動かした。

「やめっ…斉藤、お前、いい加減にしろ…!」
「忍って呼べ、特別に許してやる」
「何が特別だっ…、絶対呼ぶもんか」
「可愛くねえな。そそるけど」

 先をキュッと強い力で掴まれた。

「はぁっ、あっ…、い、たい…っ!」
「忍って呼べ」
「い、いや、だ…!」

 斉藤の手にジワジワと力が加わっていく。

「やめっ…や…呼ぶ、呼ぶから! 忍っ、忍! これでいいだろっ!」

 俺の悲鳴に近い叫びを聞くとやっと手を離してくれた。

「お前、まじで興奮するわ」

 痛みで涙を滲ませる俺を見て、斉藤は舌なめずりをした。

「お前は、おかしい、変態だ、医者に診てもらえ」
「これでもイカれてる自覚はあるんだよ」

 止める間もなくズボンをずりおろされた。下着もずれて下腹部が露出する。斉藤が直に触って来た。

「んっ、い、嫌だっ…やめろよ!」
「抵抗もほどほどにな。やりすぎると興奮しねえで苛ついてくっから」
「知るかっ、はなせ、この…っ!」

 力いっぱい肩を押したが、体重を乗せて来る斉藤には敵わず腕を伸ばすこともできない。

「なんでこんなことするんだよ…!」

 プライドはズタズタだ。情けなくて思わず泣き言を漏らすと斉藤は愉快そうに笑い声をあげた。

「お前が嫌がるからに決まってんだろ」
「…っ! お、お前は最低だっ! 最低の人間だ!」
「知らなかったのかよ」
「知ってたよ! いま再確認したんだよ! なんでお前みたいなのが女にモテるんだよ!」
「顔がいいからだろ」
「しれっと言うなよ、クズ野郎! ホモ! 変態! ドS! いい加減離れろ!」
「ぎゃあぎゃあうるせえな」

 眉間に皺を寄せた斉藤に口を塞がれた。口で、だ。油断していたせいで簡単に侵入を許してしまい、俺の口のなかに斉藤の舌が動き回る。口蓋をなぞられたとき、脊椎に電流が走ったようにビクンと体が持ち上がった。

「はぁっ…んっ! あ…あっ…」

 口の中を犯されながらペニスを扱かれた。血液が集まって熱くなっていく。
 薄く目を開くと、琥珀色の目が俺を見つめていた。頭の中まで覗かれるような目だ。

「…あっ…や…!」

 蕩けた表情をしていたのではないかと急に恥ずかしくなって顔を背けた。絶対からかわれると思ったのに、斉藤は何も言ってこなかった。

「もう、はなせよ…」

 股間で動き続ける斉藤の腕に手をかけた。

「こんなとこで止めていいのかよ? グチョグチョになってるぜ」
「お前のせいだろ!」
「だから責任取ってやるって」

 斉藤はズボンを下ろすと、自分のものを取り出して俺のものと合わせた。亀頭同士が触れ合う。それを斉藤の手が包み込み、上下に擦る。

「んっ…それ、やめっ…」
「気持ちいいだろ」
「お前のが…グリグリ当たって…嫌だ…っ」
「涎垂らしそうな顔してよく言うぜ」
「そんな顔してなっ…い…はぁ…はっ…」
「お前のギチギチだぞ。そろそろイキてえんじゃねえのか?」

 躊躇ったあと、頷いた。正直我慢も限界で、いまにも爆発しそうだ。

「その顔、すげえエロい」

 とまたキスしてくる。その接触だけでイキそうになる。

「んっ、あ、斉藤…っ」
「忍だっつってんだろ」
「あ、し、忍…っ、やばい、離せ、もう…無理だから…」
「一回イッとくか」

 呟くと斉藤は慣れた手つきで俺を追い立てた。


僕の先輩

裏ドSくん(1/3)

2014.11.02.Sun.
※「ひみつのドSくん」の斉藤と中崎の話です。ちゃんとBLです。

「清潔感のない女って終わってるよな」

 今日も告白してきた女の子をきつい一言で追い返して、斉藤忍は愉快そうに笑った。
 性格が最悪なのになぜか斉藤はモテる。はじめは日本人離れした容姿故かと思っていたが、どうやらこの口の悪さがそれに拍車をかけているようなのだ。

 思うに、女子の闘争本能に火をつけてしまったのではないだろうか。その証拠に、最近では他校の生徒まで斉藤に告白しにくる始末だ。そのどれもが可愛い子ときてる。斉藤忍を落としたとなれば、一躍有名になれること間違いなしで、そのネームバリューだけで挑んでくる子も多そうだ。

「なんつう顔で俺のこと見てんだよ」

 俺の視線に気づいて斉藤がニッと笑った。

「いや。お前なんかのどこがいいのかと思って」
「自分の胸に手を当てて考えてみればすぐわかんだろ」
「わからないから不思議なんだよ」
「じゃあ、力づくでわからせてやろうか?」
「なっ、ちょ…!」

 むりやり近くのトイレに連れ込まれた。

「お前と最初にヤッた時のこと、思い出すよなぁ?」

 ベルトを外しながら斉藤は不敵に笑った。

※※※

 その日は朝から頭が痛くて熱っぽかった。時間が経てばおさまるだろうと楽観していたが結果はその逆でどんどん酷くなっていく。
 耐え切れず、昼休みに保健室へ向かった。
 戸を開け、足を一歩踏み入れた瞬間、妙な感じがした。空気が重苦しかった。人のいた気配は残っている。すぐ戻ってくるだろうと思い、俺はベッドで休ませてもらうつもりで近くのカーテンを引いた。

「キャッ」

 白衣を着たまま、スカートをまくりあげた池野先生がベッドの上にいた。

「す、すみません」

 慌ててカーテンを閉めた。池野先生の下に紺色のズボンが見えた。相手は男子生徒。
 ここを去らねば、と気付いたとき、シャッとカーテンが開き、池野先生が保健室を飛び出して行った。
 茫然とそれを見送ったあと恐る恐る振り返ると、制服の乱れをそのままに俺を睨む、同じクラスの斉藤忍と目があった。

 斉藤はそのずば抜けた容姿で入学当初から目立つ存在だった。見た目に反して性格は最悪で、好意を寄せてくれる女の子を泣かすことも度々だった。それなのに、斉藤に告白する女の子がいなくならないのは不思議な話だった。

 こいつが池野先生の相手。白昼堂々と学校でヤルなんてこいつらしいと妙に納得してしまった。

「お前ってそんな顔もすんのな」
「えっ」
「人のこと虫けらみたいに見下した顔。いつもは僕ちゃん優等生ですってツラしてんのに」
「そんな顔してないだろ」
「どっちの顔のこと?」

 女子が綺麗だと騒ぐ斉藤の琥珀色の目が光った。確かに宝石みたいに綺麗だ。

「あーあ、ったく、邪魔してくれてんじゃねえよ。おかげでイキそこねたじゃねえか」
「ごめん…」

 俺が謝るべきなのか? というかこいつは今日、欠席していなかったか?

「こんなところでなにしてるんだよ」
「見りゃわかんだろ。童貞か、お前」
「うるさい、早くその汚いもの仕舞えよ」
「汚いってこれのことか?」

 斉藤はニヤニヤ笑いながら自分のものを扱き始めた。ピンクのゴム越しに、斉藤のものがビギビキと脈打っているのがわかる。

「お前にもついてんだろうが」
「こんなところで扱くな!」
「お前のせいだろ、責任取れよ」
「ばっ――アッ!」

 斉藤に腕を引っ張られ、俺はベッドに倒れ込んだ。咄嗟に手をついた先に、斉藤の勃起ペニスが待ち受けていた。

「んー? なに、しゃぶってくれんの?」
「馬鹿言うな! 誰が!」
「俺はそっちでもいいぜ、気持ちよくしてくれんなら」
「ふざけんな!」

 体を起こしたら眩暈がしてよろめいた。最悪なことに斉藤が俺を抱き留める。

「顔真っ赤じゃねえか。体も熱いし」
「熱が、あるんだ」
「どれどれ」

 額に額を当てて来る。なんでこいつ、男のくせにいい匂いするんだよ。

「まじで熱あんな。なにしてんだよ」
「お前が、俺を怒らせるから…っ」
「寝とけ、ばか」

 自分が寝ていた場所に俺を横たえた。

「変なのついてないだろうな…」
「だからまだ一回もイッてねーって」

 パチンと音を立ててゴムを外し、それをスチール製のゴミ箱に叩きこむと、斉藤はどこからか見つけだした体温計を持って戻って来た。

「池野の奴、恥ずかしがってしばらく戻ってこねーと思うぞ」
「お前…いつから先生と、あんな…」
「入学してすぐ? 向こうから誘ってきたんだよ」
「最低」
「お前、童貞だろ」
「うるさい、黙れ」
「あの程度であんなにうろたえちゃって」
「早く教室に戻れよ」
「俺が誰かに優しくしてやるなんて滅多にねえんだぞ」
「知るか、自惚れ屋」
「誰が自惚れてるって?」

 ギシッとベッドに手をついて斉藤がのしかかってきた。

「口の利き方、間違えてんじゃねえか?」
「そうやって凄めばびびると思ってるんだろ、そこが自惚れ屋だっていうんだ」
「うるせえ口だな」

 と言うや、斉藤は俺にキスしてきた。

「んっ!」

 ぬるっと舌を入れてきて中をまさぐる。歯頚部をなぞられたとき、ゾクゾクと震えが走った。

「熱いな、お前の口んなか。ここに突っ込んでしゃぶらせたら、めちゃくちゃ気持ちいいだろうな」
「な、なに…言って…っ」

 舌なめずりする斉藤が本気に見えてゾワリと血の気が引いた。

「そんな怯えた顔すんなよ。泣かしたくなんだろ」
「誰が…っ」

 殴ろうとあげた手を簡単に掴まれた。

「…あんまりさ、俺のこと煽るのやめろよ。まじで犯したくなるから」
「なっ…!」
「病人はおとなしく寝てな」

 意味深な含み笑いを残して、斉藤は保健室を出て行った。ピピッと電子音がして体温計を出すと、熱は三九度近くまであった。

「絶対あいつのせいであがった…」

 額を押さえて熱い息を吐き出した。