ちょろい(2/2)
2014.09.12.Fri.
<前話はこちら>
押さえこまれた俺はまず猿ぐつわをかまされた。押し出そうとしてもビクともしない。口の端から涎がダラダラ零れる。
男たちは俺をベッドルームに連れ込むと、両手を縛り上げた。一人の男が頭のほうで俺の腕を押さえ、もう一人は足を。もう一人はカメラを回していた。
「……っ!」
「あっ、びっくりしちゃった?これね、警察に垂れ込まれたら困るから保険ね。それと販売用」
最初のスーツが言う。
販売?!
「大丈夫、目線入れて顔隠すから。じゃ、始めよか」
スーツが俺にのしかかってくる。俺の口周りをベロベロと舐めながら、首筋にもキスしてくる。気持ち悪い。全身に鳥肌が立った。
男の手が俺の太ももを這う。スルスルと上に上がって、男は体を起こした。
「おい、お前」
低く押し殺した声で言いながらスカートをめくった。ボクサートランクスを見たまわりの男たちが落胆するのが空気でわかった。
「お前、男かよ。なに紛らわしいことしてくれてんだよ」
「どうすっよ。女子高生レ/イプもの撮るんだろ」
「男じゃできねえっしょ」
「…いや、あー…くそっ…仕方ねえからこのままやるぞ。ホモに売りつけりゃいい」
袋叩きにあって解放されると思っていたのに、思わぬ方向に話が進む。俺は目を見開きながら必死に首を左右に振った。
「んんんっ!! んっ! んんんっ!!」
「そんな真似して大人を騙そうとした自分を恨め、この馬鹿が」
スーツは上着を脱いで腕まくりをした。投げやりに俺の股間を揉みしだく。
「オラ、とっとと立たせろよ」
「ふぐぅっ、んっ、んんっ」
無理無理!こんな状況で立たせられるか!
「これ使え」
腕を押さえる男がスーツに電マを渡した。ブーンと音をたてたそいつを俺の股間に押し当てる。
「ふぐあぁぁっ、あっ、あッ、あぁぁっ」
痛い。ただ痛いだけでちっとも気持ちよくなんかない。俺は涙を零しながら頭を振り乱した。
スーツの手が俺のパンツを脱がす。縮こまったものを見て舌打ちした。諦めて終わってくれ。土下座でもなんでもして詫び入れるから。殴られても文句言わないし警察にもいかないから!
股間にトロリと冷たい感触。スーツが俺のちんぽにローションを垂らしていた。険しい顔付きでベトベトになったちんぽを扱く。ヌルヌルする。
頭の男が制服の中に手を入れてきた。冷たい手で胸を触り、乳首を探り当てるとコリコリと摘まんでくる。痛い。
「お、やっと立たせてきたな」
スーツの手で扱かれたちんぽがムクムク大きくなっていた。男同士でどこがいいのかツボは心得ている。俺の意思に関係なく立ち上がる。
ヌチュッヌチュッと卑猥な音を立てながらちんぽを扱かれる。痛いだけだった乳首も、執拗に弄られ続けているとなんだか気持ちいいような気がしてきた。
「ふっ、んっ、んん…ンッ…」
「スケベな声、出てきたじゃねえか」
猿ぐつわを外された。
「すいませんでした! 許してください! 絶対警察には行きませんから!」
「はいはい、メシ奢ってやっただろ。その分働いてくれたら帰してやるよ」
足元の男が手にバイブを持っていた。
「なに、するんすか…」
「レ/イプ」
男はバイブにローションを垂らした。もしかして。まさか、と恐怖に顔が引きつる。声が出せない。悲鳴も出ない。
男はローションが滴るバイブを俺のケツの穴に突き立てた。
「ぐううううっ…! うっ、あっ、痛い、いっ、いやだ…あぁ…痛い、抜いて…」
身を捩って暴れていると腹のうえにスーツが跨った。俺の膝を持ち上げるて左右に広げる。しっかり掴まれて足を閉じることができない。恥ずかしい場所が男たちの目にさらされる。カメラが近づいてくる。
「へへっ、ヒクヒクしてるぜ、お前のここ。案外悦んでんじゃねえか」
「ちがうっ…いやだ、抜いて下さい…お願いします…すいませんでしたっ、お願い、抜いて、ください…!」
俺の願いは聞き入れられず、バイブのスイッチが入れられた。
「ヒッ、いあっ、ああぁぁっ」
いきなり目の前が真っ白になった。神経が焼けつく。スーツの笑い声と言葉で自分がイッたことがわかった。
「すげえな、入れた瞬間イキやがったぜ」
「前立腺だっけ? そこ弄ったら女以上によがるらしい」
「まじかよ。そこ責めないわけにはいかねえな」
俺の反応を見ながら男がバイブを押し付けて来る。
「いっ、ああぁっ、やっ、そこやだぁ…!」
「お、ここか」
刺激が脳天まで走り抜ける。
「こっちも触ってやんなきゃな」
スーツがちんぽを扱いてくる。頭の男も乳首を弄ってくる。三点同時責めで全身性感帯になったように、スーツのネクタイが触れるだけでも感じてしまう。勝手に体が痙攣して、目の焦点も合わない。
「ひやっ、あぁっ、あ、んんっ…るして、許してくらさい…もうやらあぁぁっ」
「おーすげえ、またイッた」
「男でもエロいもんだな。俺、起ってきたからしゃぶらせてみるわ」
口元にブニュ、と何かが押し当てられた。
「口開けてしゃぶれ。噛むなよ、ベロベロ舐めろ」
射精してもなお続く快楽で頭が真っ白だった。何も考えられずに言われた通り口を開いた。大きい肉が突っ込まれる。えづきそうになったが、噛むなという言葉を思い出した大きく口を開いて舌を這わせた。
「うわぁ、エッロい、気持ちいい。女装した男ってのがまた興奮するな」
男は俺の顔の上に跨りながら、電マを乳首にあてた。小刻みで強い振動が痛気持ちいい。
「ふっ…んんっ、んっ、あ、はぁっ…」
股間のバイブが抜かれたと思ったら、熱くて硬いものがかわりにはいってきた。スーツのちんぽだった。
男に犯されている。俺は男に輪姦されている。
「くっそ…いきなりキュンキュンに締め付けてくんな、食いちぎる気かよ…女より締り具合がいいな」
「今度は俺にかわってくれよ」
「そう焦んなって。この部屋一晩レンタルしてんだから時間はたっぷりある」
スーツが腰を振る。パンパンと音を立てながら俺のケツを犯す。
「イクぞ、飲めよ」
頭の男が言うと同時に口の中に生温いものが吐き出された。溢れたものの臭いが鼻腔を抜けていく。覚えのある臭い。こんなにクソまずいのか。
寝ている体勢というのもあって、半分以上は吐き出した。口から男の精液が垂れ落ちる。男はそれを俺の顔に擦り付けてた。顔中、男の精液臭い。
カメラを回している男の指示で俺は四つん這いにさせられた。スーツが後ろから俺を犯す。さっきより深い挿入に顔が歪む。
俺の下に男が潜り込んで乳首を舐めながらちんぽに電マを当てて来る。もう痛みより快感が強い。
「あっ、ああぁ、んっ、やっ、ちんぽ、やだっ、もうやめて、あっ、あぁぁ…っ!」
「やじゃねえだろ。こんなにちんこおっ立たせて、涎垂らしまくってよ」
「お前のケツマンは正直だぜ。チンポ大好きって食いついてくるぞ」
「やだっ、違うっ! …んっ、んんっ、あんっ、あっ、深い…奥まで当たってる…っ!」
「何が当たってるのかなあ?」
「あんっ、あっ、ちんぽっ…ちんぽが俺のケツマンの奥…当たってるっ!」
「そんなに男のちんこが好きか? じゃあこれ舐め舐めしてくれるかな? うまそうにしゃぶれよ」
顔の前にちんぽが差し出された。その横でカメラが俺を映している。
俺は舌を突き出しながら口を開けた。カメラに見せつけるように下から上へと舐めあげて亀頭を口に含む。
「これけっこう売れんじゃね」
「これっきりにすんのは惜しいな」
男たちの悪い囁き声を聞きながら俺はまた射精した。
押さえこまれた俺はまず猿ぐつわをかまされた。押し出そうとしてもビクともしない。口の端から涎がダラダラ零れる。
男たちは俺をベッドルームに連れ込むと、両手を縛り上げた。一人の男が頭のほうで俺の腕を押さえ、もう一人は足を。もう一人はカメラを回していた。
「……っ!」
「あっ、びっくりしちゃった?これね、警察に垂れ込まれたら困るから保険ね。それと販売用」
最初のスーツが言う。
販売?!
「大丈夫、目線入れて顔隠すから。じゃ、始めよか」
スーツが俺にのしかかってくる。俺の口周りをベロベロと舐めながら、首筋にもキスしてくる。気持ち悪い。全身に鳥肌が立った。
男の手が俺の太ももを這う。スルスルと上に上がって、男は体を起こした。
「おい、お前」
低く押し殺した声で言いながらスカートをめくった。ボクサートランクスを見たまわりの男たちが落胆するのが空気でわかった。
「お前、男かよ。なに紛らわしいことしてくれてんだよ」
「どうすっよ。女子高生レ/イプもの撮るんだろ」
「男じゃできねえっしょ」
「…いや、あー…くそっ…仕方ねえからこのままやるぞ。ホモに売りつけりゃいい」
袋叩きにあって解放されると思っていたのに、思わぬ方向に話が進む。俺は目を見開きながら必死に首を左右に振った。
「んんんっ!! んっ! んんんっ!!」
「そんな真似して大人を騙そうとした自分を恨め、この馬鹿が」
スーツは上着を脱いで腕まくりをした。投げやりに俺の股間を揉みしだく。
「オラ、とっとと立たせろよ」
「ふぐぅっ、んっ、んんっ」
無理無理!こんな状況で立たせられるか!
「これ使え」
腕を押さえる男がスーツに電マを渡した。ブーンと音をたてたそいつを俺の股間に押し当てる。
「ふぐあぁぁっ、あっ、あッ、あぁぁっ」
痛い。ただ痛いだけでちっとも気持ちよくなんかない。俺は涙を零しながら頭を振り乱した。
スーツの手が俺のパンツを脱がす。縮こまったものを見て舌打ちした。諦めて終わってくれ。土下座でもなんでもして詫び入れるから。殴られても文句言わないし警察にもいかないから!
股間にトロリと冷たい感触。スーツが俺のちんぽにローションを垂らしていた。険しい顔付きでベトベトになったちんぽを扱く。ヌルヌルする。
頭の男が制服の中に手を入れてきた。冷たい手で胸を触り、乳首を探り当てるとコリコリと摘まんでくる。痛い。
「お、やっと立たせてきたな」
スーツの手で扱かれたちんぽがムクムク大きくなっていた。男同士でどこがいいのかツボは心得ている。俺の意思に関係なく立ち上がる。
ヌチュッヌチュッと卑猥な音を立てながらちんぽを扱かれる。痛いだけだった乳首も、執拗に弄られ続けているとなんだか気持ちいいような気がしてきた。
「ふっ、んっ、んん…ンッ…」
「スケベな声、出てきたじゃねえか」
猿ぐつわを外された。
「すいませんでした! 許してください! 絶対警察には行きませんから!」
「はいはい、メシ奢ってやっただろ。その分働いてくれたら帰してやるよ」
足元の男が手にバイブを持っていた。
「なに、するんすか…」
「レ/イプ」
男はバイブにローションを垂らした。もしかして。まさか、と恐怖に顔が引きつる。声が出せない。悲鳴も出ない。
男はローションが滴るバイブを俺のケツの穴に突き立てた。
「ぐううううっ…! うっ、あっ、痛い、いっ、いやだ…あぁ…痛い、抜いて…」
身を捩って暴れていると腹のうえにスーツが跨った。俺の膝を持ち上げるて左右に広げる。しっかり掴まれて足を閉じることができない。恥ずかしい場所が男たちの目にさらされる。カメラが近づいてくる。
「へへっ、ヒクヒクしてるぜ、お前のここ。案外悦んでんじゃねえか」
「ちがうっ…いやだ、抜いて下さい…お願いします…すいませんでしたっ、お願い、抜いて、ください…!」
俺の願いは聞き入れられず、バイブのスイッチが入れられた。
「ヒッ、いあっ、ああぁぁっ」
いきなり目の前が真っ白になった。神経が焼けつく。スーツの笑い声と言葉で自分がイッたことがわかった。
「すげえな、入れた瞬間イキやがったぜ」
「前立腺だっけ? そこ弄ったら女以上によがるらしい」
「まじかよ。そこ責めないわけにはいかねえな」
俺の反応を見ながら男がバイブを押し付けて来る。
「いっ、ああぁっ、やっ、そこやだぁ…!」
「お、ここか」
刺激が脳天まで走り抜ける。
「こっちも触ってやんなきゃな」
スーツがちんぽを扱いてくる。頭の男も乳首を弄ってくる。三点同時責めで全身性感帯になったように、スーツのネクタイが触れるだけでも感じてしまう。勝手に体が痙攣して、目の焦点も合わない。
「ひやっ、あぁっ、あ、んんっ…るして、許してくらさい…もうやらあぁぁっ」
「おーすげえ、またイッた」
「男でもエロいもんだな。俺、起ってきたからしゃぶらせてみるわ」
口元にブニュ、と何かが押し当てられた。
「口開けてしゃぶれ。噛むなよ、ベロベロ舐めろ」
射精してもなお続く快楽で頭が真っ白だった。何も考えられずに言われた通り口を開いた。大きい肉が突っ込まれる。えづきそうになったが、噛むなという言葉を思い出した大きく口を開いて舌を這わせた。
「うわぁ、エッロい、気持ちいい。女装した男ってのがまた興奮するな」
男は俺の顔の上に跨りながら、電マを乳首にあてた。小刻みで強い振動が痛気持ちいい。
「ふっ…んんっ、んっ、あ、はぁっ…」
股間のバイブが抜かれたと思ったら、熱くて硬いものがかわりにはいってきた。スーツのちんぽだった。
男に犯されている。俺は男に輪姦されている。
「くっそ…いきなりキュンキュンに締め付けてくんな、食いちぎる気かよ…女より締り具合がいいな」
「今度は俺にかわってくれよ」
「そう焦んなって。この部屋一晩レンタルしてんだから時間はたっぷりある」
スーツが腰を振る。パンパンと音を立てながら俺のケツを犯す。
「イクぞ、飲めよ」
頭の男が言うと同時に口の中に生温いものが吐き出された。溢れたものの臭いが鼻腔を抜けていく。覚えのある臭い。こんなにクソまずいのか。
寝ている体勢というのもあって、半分以上は吐き出した。口から男の精液が垂れ落ちる。男はそれを俺の顔に擦り付けてた。顔中、男の精液臭い。
カメラを回している男の指示で俺は四つん這いにさせられた。スーツが後ろから俺を犯す。さっきより深い挿入に顔が歪む。
俺の下に男が潜り込んで乳首を舐めながらちんぽに電マを当てて来る。もう痛みより快感が強い。
「あっ、ああぁ、んっ、やっ、ちんぽ、やだっ、もうやめて、あっ、あぁぁ…っ!」
「やじゃねえだろ。こんなにちんこおっ立たせて、涎垂らしまくってよ」
「お前のケツマンは正直だぜ。チンポ大好きって食いついてくるぞ」
「やだっ、違うっ! …んっ、んんっ、あんっ、あっ、深い…奥まで当たってる…っ!」
「何が当たってるのかなあ?」
「あんっ、あっ、ちんぽっ…ちんぽが俺のケツマンの奥…当たってるっ!」
「そんなに男のちんこが好きか? じゃあこれ舐め舐めしてくれるかな? うまそうにしゃぶれよ」
顔の前にちんぽが差し出された。その横でカメラが俺を映している。
俺は舌を突き出しながら口を開けた。カメラに見せつけるように下から上へと舐めあげて亀頭を口に含む。
「これけっこう売れんじゃね」
「これっきりにすんのは惜しいな」
男たちの悪い囁き声を聞きながら俺はまた射精した。

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ちょろい(1/2)
2014.09.11.Thu.
クラスのユカが中年チョロい、という話をしていたので聞いてみた。
ユカは家出少女を装って掲示板に書き込みし、ご飯を食べさせてくれた上にお小遣いまでもらったと自慢げに話す。
「犯されんぞ」
「警察にすぐ電話できるようにしてるからって言えば、相手も迂闊に手出しできないから」
「まじでメシくって金もらったのか?」
「うん、まじでそれだけ。デートしてる気分になんじゃね?はっきり言ってキモイから食欲わかなかったけど」
「いくらもらった?」
「一万」
「ボロいな」
「女に生まれてよかったわぁ」
こんな舐め腐った女、キモメンに犯されちまえ。と思いつつ、はっきり言ってこんな楽に金が手に入るこいつが羨ましくて妬ましくて仕方なかった。
「俺もやってみようかな」
「男のくせにどうやってやんのよ」
「女装して」
絶対無理だとひとしきり俺を笑いものにしたあと、ユカは急に乗り気になって化粧道具を取り出した。
「あたしの制服貸してあげる。今日はジャージで帰っから。汚したらまじ承知しねえから」
ファンデーションを塗られ、チーク、アイシャドウ、付け睫毛までつけられた俺は鏡の中ではなかなかいい女に見えた。
「ぶっさいわぁ。これかなり無理あるわ」
「お前の化粧が下手なんだろ」
「これカツラいるな。演劇部からパクッてくる」
驚く行動力を見せたユカは本当にかつらを持って戻って来た。それを俺にかぶせて「どうよ」と鏡を突き出す。
けっこうありなんじゃね。けっこう可愛いんじゃね?
「お前より可愛くね?」
「まじぶっ殺すぞ」
そのあとユカはトイレでジャージに着替えると、制服を俺に貸してくれた。脱ぎたて。JK脱ぎたての制服。売ったらいくらになるんだろう。
「売るなよ」
「エスパーやめて怖い」
教室で生着替え。少しきついがなんとか着られる。ニットのカーディガンを羽織ればペタンコの胸も隠せる。
「こっち向け。写真撮るぞ」
片目をつぶって舌を出した。
「キモッ。ほれ、これですね毛剃ってこい」
借りたカミソリですね毛を剃って足もツルツル。やばい。俺、まじで女の子。超JK。
「あたしがかわりに掲示板に書き込みしといてやったから。ミワちゃんにさっそくメール来てるよ」
ミワってのは俺の名前が美和だから。ミワじゃなくてヨシカズと読むのだが。
「ごはんだけで一万だって。どーする?」
「行く」
「ノリノリやな。犯されんなよ」
俺は待ち合わせ場所へ向かった。底辺校なので、授業なんか関係ありません。
待ち合わせ場所で携帯を弄っていたら男が話しかけてきた。こいつか。と思ったらただのナンパだった。俺ってちゃんと女に見えてんじゃん。自撮りした写真をラインで友達に送る。「ナンパされた(ハート)」送信っと。
「ミワちゃん?」
顔をあげると二十代半ばの男が立っていた。スーツ姿でお堅い感じ。
「掲示板の…」
声でバレるといけないので俺はコクリと頷いた。男は安心したように笑った。
「可愛くてびっくりしちゃった」
可愛いと褒められたのが嬉しくて俺まで笑顔になってしまった。
「お腹すいてる? もう食べに行く?」
「うん」
出来るだけ可愛い声を心がけて返事した。
繁華街の中にある、学生の懐にも優しい価格設定のファミレスに入った。
「遠慮しないでね」
じゃあお言葉に甘えて。
ドリンクバーとハンバーグセット。食後のデザートを頼んでメニューを閉じた。
男はニコニコ俺を見てるだけ。
「食べないの?」
裏声のか細い声で尋ねると、男は「ミワちゃんが食べてるの見てたいから」とキモいことを言う。
料理を待つ間がつらかった。あまり声を出せないから話ができない。男からの質問に頷いたり首を振るだけ。何かを質問されたときは首をかしげて「わかんない」
やっと料理が運ばれてきた。ナイフとフォークを持ってがっつく。そんな俺を男は黙ってみている。食べにくいんだけど。
「いい食べっぷりで見てて気持ちいいよ」
「ほんとに食べないの?」
「俺は食事の時間を決めているから、それ以外は間食もしないようにしてるんだ」
ふーん、と残りを頬張り、デザートも平らげた。お勘定は男がした。ちらりと見えた財布には札がたくさん入っていた。金持ち…!
「このあとどうする?」
店を出たあと男が言った。え。メシ食ったら終わりじゃないの?これで一万もらえるんじゃないの?
そういえばクラスの女は「デートしてる気分なんじゃね」と言っていた。これ以外にもなにかデートっぽいことをしたのかもしれない。
「カラオケとかどう? 若い子は好きでしょ」
いいね、と思ったが声を出せないと思い出して首を振った。
「どうしようか。困ったな。俺の部屋にくる?」
「えっ」
思いっきり地声が出てしまったが、男は俺が難色を示したことのほうに焦って気付いていないみたいだった。
「別になにもしないよ、変な意味じゃなくて、もし今日行くところがないならうちに泊まったらどうかなって。部屋は余ってるから、好きなところ使ってくれていいから」
財布にあ金がたくさん入っていた。家も広いようだ。ちょっと良い気にさせてやれば、一万と言わずもっと出してくれるかも。というか、この上質なカモ、逃がす手はないだろ
「ほんとになにもしない?」
上目使いで男を見上げる。男はコクコク頷いた。
「じゃあ、行く」
男に連れられて入ったマンションはモデルルームのようで生活感がなかった。ソファにはクッション、テーブルにはテーブルクロス、窓辺には観葉植物。こんな部屋、テレビでしか見たことねえよ。
「奥さんいるの?」
「いないよ。俺一人。なにか飲む?」
「あ、うん」
冷蔵庫をあけ、男が飲み物をグラスに注ぐ。俺はソファに座って待つ。どうぞ、と渡されたそれはピンク色の炭酸水。飲む前からアルコールだとわかっていた。
「これ、お酒」
「いまどきの若い子はみんな飲むんでしょ?」
「…やっぱ帰ろうかな」
「怒っちゃった? ごめんごめん。飲んだほうがリラックスできるんじゃないかと思って」
「何する気?」
「なにしたい?」
「やっぱ帰る」
「ごめんってば。じゃあ、キスだけ、いい?」
ブンブン首を振る。なんで男相手にキスなんか!
「追加一万でどう?」
諭吉一名様追加! キスだけで! 一万も! これはおっさんちょろいと言われても仕方ないんじゃないか。こんなに楽に稼げるのか日本の女子高生は!
どうしよう。キスするだけで一万円。おっさんとしたくないけど一万円。
「一回、だけ、なら」
「うんうん」
男は俺の横に座ると肩を抱いてきた。うわきもい。顔を寄せてブチュ、と唇を押し付けて来る。レロ、と唇をこじ開けて中に舌を入れてきた。軟体動物みたいなものが俺の口のなかを這いまわる。気持ち悪くて吐きそう。
男の手が俺の太ももを撫でた。
「おい!」
反射的に男を突き飛ばした。もう女の振りとかやってらんない。
「ごめんごめん、びっくりしちゃった?」
「さっ、触んなよ…! キスだけだろ」
「いくら払ったらヤラせてくれる?」
クラリと眩暈がした。
「無理。帰る」
「お金欲しくないの? じゃあちょっとだけ胸触っていい? 触られるのが嫌だったらパンツだけ見せて? お金は払うから」
しつこく食い下がる男に吐き気がした。もう金なんかいらない。一刻も早くここを出て男から離れたい。
立ち上がったら腕を掴んで引き戻された。振りほどこうとしても男はがっちり俺の手を掴んだまま、ニタリと笑った。
「ここまで来ておいてそれはないんじゃねえの? そんなに世間は甘くないよ?」
お堅そうな雰囲気は消え、口調も粘つくガラの悪い感じにかわった。
「世の中には悪いおじさんもたくさんいるんだぜ」
隣の部屋の戸が開いた。三人の男があらわれた。
ユカは家出少女を装って掲示板に書き込みし、ご飯を食べさせてくれた上にお小遣いまでもらったと自慢げに話す。
「犯されんぞ」
「警察にすぐ電話できるようにしてるからって言えば、相手も迂闊に手出しできないから」
「まじでメシくって金もらったのか?」
「うん、まじでそれだけ。デートしてる気分になんじゃね?はっきり言ってキモイから食欲わかなかったけど」
「いくらもらった?」
「一万」
「ボロいな」
「女に生まれてよかったわぁ」
こんな舐め腐った女、キモメンに犯されちまえ。と思いつつ、はっきり言ってこんな楽に金が手に入るこいつが羨ましくて妬ましくて仕方なかった。
「俺もやってみようかな」
「男のくせにどうやってやんのよ」
「女装して」
絶対無理だとひとしきり俺を笑いものにしたあと、ユカは急に乗り気になって化粧道具を取り出した。
「あたしの制服貸してあげる。今日はジャージで帰っから。汚したらまじ承知しねえから」
ファンデーションを塗られ、チーク、アイシャドウ、付け睫毛までつけられた俺は鏡の中ではなかなかいい女に見えた。
「ぶっさいわぁ。これかなり無理あるわ」
「お前の化粧が下手なんだろ」
「これカツラいるな。演劇部からパクッてくる」
驚く行動力を見せたユカは本当にかつらを持って戻って来た。それを俺にかぶせて「どうよ」と鏡を突き出す。
けっこうありなんじゃね。けっこう可愛いんじゃね?
「お前より可愛くね?」
「まじぶっ殺すぞ」
そのあとユカはトイレでジャージに着替えると、制服を俺に貸してくれた。脱ぎたて。JK脱ぎたての制服。売ったらいくらになるんだろう。
「売るなよ」
「エスパーやめて怖い」
教室で生着替え。少しきついがなんとか着られる。ニットのカーディガンを羽織ればペタンコの胸も隠せる。
「こっち向け。写真撮るぞ」
片目をつぶって舌を出した。
「キモッ。ほれ、これですね毛剃ってこい」
借りたカミソリですね毛を剃って足もツルツル。やばい。俺、まじで女の子。超JK。
「あたしがかわりに掲示板に書き込みしといてやったから。ミワちゃんにさっそくメール来てるよ」
ミワってのは俺の名前が美和だから。ミワじゃなくてヨシカズと読むのだが。
「ごはんだけで一万だって。どーする?」
「行く」
「ノリノリやな。犯されんなよ」
俺は待ち合わせ場所へ向かった。底辺校なので、授業なんか関係ありません。
待ち合わせ場所で携帯を弄っていたら男が話しかけてきた。こいつか。と思ったらただのナンパだった。俺ってちゃんと女に見えてんじゃん。自撮りした写真をラインで友達に送る。「ナンパされた(ハート)」送信っと。
「ミワちゃん?」
顔をあげると二十代半ばの男が立っていた。スーツ姿でお堅い感じ。
「掲示板の…」
声でバレるといけないので俺はコクリと頷いた。男は安心したように笑った。
「可愛くてびっくりしちゃった」
可愛いと褒められたのが嬉しくて俺まで笑顔になってしまった。
「お腹すいてる? もう食べに行く?」
「うん」
出来るだけ可愛い声を心がけて返事した。
繁華街の中にある、学生の懐にも優しい価格設定のファミレスに入った。
「遠慮しないでね」
じゃあお言葉に甘えて。
ドリンクバーとハンバーグセット。食後のデザートを頼んでメニューを閉じた。
男はニコニコ俺を見てるだけ。
「食べないの?」
裏声のか細い声で尋ねると、男は「ミワちゃんが食べてるの見てたいから」とキモいことを言う。
料理を待つ間がつらかった。あまり声を出せないから話ができない。男からの質問に頷いたり首を振るだけ。何かを質問されたときは首をかしげて「わかんない」
やっと料理が運ばれてきた。ナイフとフォークを持ってがっつく。そんな俺を男は黙ってみている。食べにくいんだけど。
「いい食べっぷりで見てて気持ちいいよ」
「ほんとに食べないの?」
「俺は食事の時間を決めているから、それ以外は間食もしないようにしてるんだ」
ふーん、と残りを頬張り、デザートも平らげた。お勘定は男がした。ちらりと見えた財布には札がたくさん入っていた。金持ち…!
「このあとどうする?」
店を出たあと男が言った。え。メシ食ったら終わりじゃないの?これで一万もらえるんじゃないの?
そういえばクラスの女は「デートしてる気分なんじゃね」と言っていた。これ以外にもなにかデートっぽいことをしたのかもしれない。
「カラオケとかどう? 若い子は好きでしょ」
いいね、と思ったが声を出せないと思い出して首を振った。
「どうしようか。困ったな。俺の部屋にくる?」
「えっ」
思いっきり地声が出てしまったが、男は俺が難色を示したことのほうに焦って気付いていないみたいだった。
「別になにもしないよ、変な意味じゃなくて、もし今日行くところがないならうちに泊まったらどうかなって。部屋は余ってるから、好きなところ使ってくれていいから」
財布にあ金がたくさん入っていた。家も広いようだ。ちょっと良い気にさせてやれば、一万と言わずもっと出してくれるかも。というか、この上質なカモ、逃がす手はないだろ
「ほんとになにもしない?」
上目使いで男を見上げる。男はコクコク頷いた。
「じゃあ、行く」
男に連れられて入ったマンションはモデルルームのようで生活感がなかった。ソファにはクッション、テーブルにはテーブルクロス、窓辺には観葉植物。こんな部屋、テレビでしか見たことねえよ。
「奥さんいるの?」
「いないよ。俺一人。なにか飲む?」
「あ、うん」
冷蔵庫をあけ、男が飲み物をグラスに注ぐ。俺はソファに座って待つ。どうぞ、と渡されたそれはピンク色の炭酸水。飲む前からアルコールだとわかっていた。
「これ、お酒」
「いまどきの若い子はみんな飲むんでしょ?」
「…やっぱ帰ろうかな」
「怒っちゃった? ごめんごめん。飲んだほうがリラックスできるんじゃないかと思って」
「何する気?」
「なにしたい?」
「やっぱ帰る」
「ごめんってば。じゃあ、キスだけ、いい?」
ブンブン首を振る。なんで男相手にキスなんか!
「追加一万でどう?」
諭吉一名様追加! キスだけで! 一万も! これはおっさんちょろいと言われても仕方ないんじゃないか。こんなに楽に稼げるのか日本の女子高生は!
どうしよう。キスするだけで一万円。おっさんとしたくないけど一万円。
「一回、だけ、なら」
「うんうん」
男は俺の横に座ると肩を抱いてきた。うわきもい。顔を寄せてブチュ、と唇を押し付けて来る。レロ、と唇をこじ開けて中に舌を入れてきた。軟体動物みたいなものが俺の口のなかを這いまわる。気持ち悪くて吐きそう。
男の手が俺の太ももを撫でた。
「おい!」
反射的に男を突き飛ばした。もう女の振りとかやってらんない。
「ごめんごめん、びっくりしちゃった?」
「さっ、触んなよ…! キスだけだろ」
「いくら払ったらヤラせてくれる?」
クラリと眩暈がした。
「無理。帰る」
「お金欲しくないの? じゃあちょっとだけ胸触っていい? 触られるのが嫌だったらパンツだけ見せて? お金は払うから」
しつこく食い下がる男に吐き気がした。もう金なんかいらない。一刻も早くここを出て男から離れたい。
立ち上がったら腕を掴んで引き戻された。振りほどこうとしても男はがっちり俺の手を掴んだまま、ニタリと笑った。
「ここまで来ておいてそれはないんじゃねえの? そんなに世間は甘くないよ?」
お堅そうな雰囲気は消え、口調も粘つくガラの悪い感じにかわった。
「世の中には悪いおじさんもたくさんいるんだぜ」
隣の部屋の戸が開いた。三人の男があらわれた。