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ファンレター(2/2)

2014.02.14.Fri.
<前話はこちら>

 座布団の上に正座する青年は、私の仕事場である書斎を興味深げにキョロキョロ見渡していた。ギリシャあたりの裸像によくありそうな、端正な美青年だ。どうして私のような男に抱かれたいなどと思うのだろうか。

「君は同性愛者なのかな」

 煙草に火をつけながら訊ねた。青年は顔を赤くしながら頷いた。

「どうして私に抱かれたいなどと?」
「先生の小説を読んでいると、自分が男たちに犯されているような気になってくるんです。そうしたらだんだん書いている先生に興味がわいてきて、顔写真を見た時にタイプだと思って、それからずっと、僕は先生に抱かれることを想像していました。ついに我慢出来なくなって、先生にお手紙を……」

 恥ずかしそうにはしているが、青年はスラスラと喋った。

「そしたら、先生が僕のファンレターに似た小説をお書きになって……、あれは僕へのお返事だったんですよね? 会いに来なさいと言うメッセージだったんですよね?」

 青年が意気込んで聞いてくるので、今更違うともいえず、私は曖昧に頷いた。青年はぱぁっと顔を明るくし「嬉しい」と呟いた。
 男としたことはないが、こんなに若い美青年が相手なら、一度くらい過ちを犯してもいいだろう、と私は青年のそばへ寄り、彼を押し倒した。

「私は衆道の経験がない。君を気持ち良くさせてやれるかわからんよ」
「構いません、先生と抱き合えるだけで僕……、幸せです」

 彼がうっとりと囁き、私の首に腕を絡ませて来た。細いが女の腕ほどではない。それでも私は興奮が高まって行くのを感じていた。


 彼の裸体もまた素晴らしいものだった。無駄な肉は一切なく、ほどよく引き締まり、男色の気がない私でも思わず見とれる均整のとれた肉体だった。

 芸術作品を慈しむような手つきで撫でながら、彼の体を味わった。それがくすぐったいのか、彼は時折声をあげながら、身を捩った。次第に熱を帯び、体が朱に染まって行く様は、一種の感動を私にもたらした。

 彼のペニスが頭をもたげ、ゆらりと立ち上がった。私はそれを横目に見ながら、わざとそこをさけ、彼の体中に愛撫を施し、彼の胸の小さな突起を口に含んで甘噛みした。

「アァッ……先生……先生……っ!!」

 彼が私の頭を掻き抱く。ここが感じるようだ。私は執拗にそこを責めて立てた。

「アァァ……!! いや……先生……、そんなにしないで……くださいっ……」
「女のように乳首が感じるのだろ? そうでなくて、こんなによがったりはしない」

 また胸に吸いついた。彼は嬌声をあげ、腰を振ってきた。揺れる性器から、透明な液体が腹に糸を垂らして光っていた。彼がそれを自分で触ろうとする。その手を掴んで止めた。

「自分で触っていこうというのか? 私に抱かれたいのなら、私に頼まなくては。どうして欲しいんだね?」

 彼は上気した顔で私を一心に見つめてきた。潤んだ目が彼の色気をさらに増していた。私は微笑みながら彼の言葉を待った。やがて観念した彼は震える唇で、

「僕のペニスを触ってください」

 と言って来た。私はペニスを握った。

「ンッ!」

 それだけで彼は反応した。感じやすい体のようだった。

「いやらしい子だ。自分のふしだらな姿をちゃんと見てごらん。ほら、もうヌルヌルとしているよ」

 先を指の先で擦ると、また汁が溢れてきた。それが下に落ち、へその窪みに溜まった。

「アッ、ヤッ……やめ……」
「私の小説を読んでいるのだろう。だったら、登場人物になりきって、気持ちいいと言いなさい。私の小説に出てくる女はみな、性に正直で積極的だ。君も本当はそうなのだろう?」

 ペニスをゆっくりしごきあげた。

「はい、先生……気持ちいいです……アァ……もっと……もっと……」
「もっと? なんだね?」
「もっと僕のペニスを扱いてください……僕をドロドロに溶かしてください……あぁ、感じる、先生、気持ちいいです」

 彼は大きく足を広げ、自分でそれを抱えあげた。

「先生に僕のいやらしい姿を見て欲しい……先生、見てください、僕の全てを見てください」

 望み通り、体の隅々まで見てやった。私に視姦されることで彼の興奮はいやまし、またさらに透明な液体をあふれさせた。本当に濡れやすい子のようだ。

 彼の肛門はヒクヒクと卑猥な動きをしていた。綺麗なピンク色だった。ここを使ったことがないのだろうか。私は身をかがめ、彼の肛門に舌を這わせた。

「アァァッ!!」

 彼がひときわ大きな声をあげた。ピチャピチャと犬のようにそこを舐めまわした。私の唾液でぐっしょり濡れたころ、私は舌を中に入れた。括約筋に締め付けられながら、鼻先を突っ込んで、彼の中を愛撫する。

「ア……アァ……先生……イカせて下さい」

 彼が私の頭髪をクシャクシャとかきまわした。私の手の中で彼のペニスは限界を迎えようとしていた。私は扱く手を早めてやった。

「アァッ、アッ、出る、出るッ……くっ、あっ、あっ、アァァァーーーッ!!」

 大きく脈打ち、彼が爆ぜた。精液が吹き上がる感触を手で感じながら、私は舌を抜き、ゆっくり起き上がった。着物を脱ぎ捨て、全裸になった。怒張した赤黒い男根がしっかり上を向いていた。彼は荒く息をしながら後ろ手に体を起こし、私の前に跪いた。口を開き、舌を出して、私のペニスをしゃぶりだした。巧妙な絶技に翻弄されながら、私は腰を振って、彼の口を犯した。彼の目じりから涙が伝って落ちた。

「これが欲しいかね」

 私の問いに、彼は唾液をこぼしながら頷いた。言われる前にさっきの体勢になり、膝を抱え寄せ、私にアヌスを見せつけた。

「先生……、僕もう、壊れちゃいたい」

 子供のような口調で私を煽ってくる。実は彼が相当遊び慣れているとわかったところで、私の興奮はさめなかった。むしろ過去の誰よりも彼をよがらせたいという闘争心すらわきあがった。

 彼の上に覆いかぶさり、自身の肉棒に手を添え、彼を串刺した。


 
 私は自分の精も魂も尽き果てるまで彼を愛した。泥のように眠り、目が覚めた時には彼はいなくなっていた。彼の体を忘れられず、私は毎夜、男を買いあさる日々を送っている。



ラノベ作家の不埒な日常

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ファンレター(1/2)

2014.02.14.Fri.
 大衆向けの雑誌に官能小説なぞを書き、それを生業としている私のもとに、毎月、わずかではあるが、ファンレターというものがくる。
 今日も編集者が3通、昨日脱稿した原稿と引き換えに置いて行った。その中の一通に目を引くものがあった。

『あなたに抱かれたい』

 流麗な文字でたったそれだけ、書かれてあった。封筒の裏面を見ても住所も名前も書いていない。

 いったいどんな女なのだろうかと想像していたら、次回の小説のネタになりそうで、空想を広げ、その勢いで小説を書いた。

 内容はこうだ。
 売れない小説家のもとへ一通のファンレターが届く。そこには『わたくしはあなたの熱烈なファンです。一度あなたに抱かれたいとそればかりを夢想しています。一度わたくしと会ってはいただけませんか?』と書かれてある。

 小説家は、自身の小説の中で、その女にしかわからぬよう、その返事を書き記した。そして本が発売された当日、目も眩むような女がやってきて「抱いてください」と着物を脱ぎ捨て、小説家に迫ってくる、というもの。

 現実はこんなうまい具合に話が進むわけもない。そう思っていたが、その小説が載った雑誌が発売されてすぐ、また私のもとへファンレターが届いた。

『先生の作品、拝読致しました。あれは承諾と受け取っていいのでしょうか? とても感激しています。何度も読み返し、自身を慰めております。近々、会いに参ります。』

 私はそれを本気にしなかった。おおかた、旦那に相手にされない欲求不満の主婦が悪戯心で暇つぶしに手紙を送ってくるのだろう。そう高をくくっていた。

 ところが、ある日の夕暮れ、近所へ煙草を買いに行った帰り、私の家の前に一人の青年が立ち、門の前で中を窺っているのを見つけた。

「おい、君、そこで何をしている」

 私の声に体を震わせ、青年がこちらを振り返った。大学生くらいの、見目の美しい青年だった。私にこんな知り合いはいない。

「ここは私の家だ。何の用だね」

 威圧的に話しかけると、青年は俯き、白い頬を赤く染めた。

「先生、ファンレターを送った僕です。会いに来ました」

 と言った。

 私は顔にこそ出さなかったが、内心ではかなり慌てていた。本当に会いに来ると思っていなかった上に、まさか差出人が男の子だとは夢にも思わなかったからだ。

「き、君は私が男だと知っていたのかな」
「もちろんです。以前、雑誌で先生の顔写真を拝見しましたから」
「き、君は私に抱かれたいと本気で思っているのかな」
「はい」

 小さい声ではあったが、青年ははっきり返事をし、頷いた。

「ここではなんだから、入りなさい、独身者で散らかっているけどね」

 青年の背中を押した。

 小説家としての性か、妙な探究心からか、男色を経験しておくのも勉強のうちだ、と私は考えていた。いつか小説に使えるかもしれぬ。