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夏祭り(後編)

2020.12.13.Sun.
<「君と僕」→「初めての温度」→「嫌がる本当のワケ」→「知らない世界」→「初めての右手」→「デジカメを探せ」→「夏祭り 前」>

 神社に戻る途中、親父とおかんに出くわした。

「あら、和也君、久し振りやね」

 とおかんが和也に話しかける。

「永一君らは、もう帰ったど」

 と親父。そこから4人で来た道を引き返し、途中で、和也と別れた。

「兄貴は?」
「祐介はまだ青年団の仕事が残っとるからな。そのあと、彼女送ってから帰る言うてたわ」

 なるほど。彼女とヤッてから帰って来るわけか。

 家について、宴会の料理や酒を座敷のテーブルに並べていると、近所の大人が集まってきた。みんなそれぞれ酒やツマミを持っている。だんだん家が賑やかになってくる。子供の俺は居場所がなくて、台所のテーブルについて、たまにおかんを手伝いながら、酒のアテをつまんでテレビを見ていた。

 二時間近くたって、玄関の方から物音。時間的に兄貴が帰ってきたのだろう。そろそろ自分の部屋に戻るか。

「おかん! メシ!」

 台所に入ってくるなり兄貴が大声を出す。おかんが空き瓶を持って台所へやってきて、

「あんた、まだ食べられるんか?」

 と心配する。

「俺とちゃう、こいつに食わしたってくれ」

 兄貴の背後から、一人の人物が姿をあらわした。俺は一瞬、その人に目を奪われた。

 男? 男だよな? 咄嗟に疑問が浮かぶ中性的な風貌。兄貴より背は低いけど、体つきや服装は男だし。かっこ可愛い、なんて言葉があるけど、その人は、きれい可愛いって感じ。肌が白くて、大きい目はダルそうに伏せていて、睫毛が長くて、たぶん、猫ッ毛なんだと思うけど、肩より少し長い茶色の髪は軽くうねってて。全身から「構うな」オーラ出してるんだけど、それがかえって構いたくなるような、そんな不思議な雰囲気。

 こんな人、はじめてみた。村には絶対いないタイプ。

 おかんも一瞬、びっくりしたみたいだったけど、すぐ正気に戻って、

「ほな、そこ、座り。なんか用意するわ」

 と俺の向かいの席を指差した。

「俺、風呂入ってくるから、春樹は飯食うとけ。貴志、俺が出てくるまで、こいつの相手しとけ」

 兄貴は俺の背中をバシンと強く叩いてから風呂場へ行った。春樹と呼ばれたその人は、黙って俺の前に座った。近くで見てもやっぱりきれいだなぁって感心する。人間が作り出した奇跡だ。兄貴は友達も見た目で選んでるんだろうか、そんなことを考えてしまう。

「あまりもんでごめんやで。足らんかったらまた言うて」

 おかんはお寿司を乗せた皿と味噌汁を置いて、またビール瓶を持って座敷に消えた。俺と春樹、二人きりになってしまった。

 春樹は俺の存在をまったく無視して、黙々と出されたお寿司を食べている。人見知りする人なんだろうか。そう思っていたら、食べ終わった春樹が突然目をあげ、俺を見た。

「祐介の弟か」

 と抑揚のない声で言う。とてもテンションの低い人だ。

「はぁ、まぁ」
「いいよな、祐介の弟で」

 どこがいいんだ? 俺は兄貴の弟に生まれてきて良かった、なんて思ったこと、一度もないぞ?

「俺も祐介の弟になりたかったわ。そしたら、ずっと一緒におれるのにな。あぁ、でも、弟やったらセックスできひんな」

 と春樹はチラッと笑った。え、えーと……いま、なんておっしゃいました? せっくす? 言葉をなくす俺を、春樹は妖しい笑みを浮かべて見ている。

「お前、睦雄のこと、知ってるんやろ? 今日、あいつ来てたか?」

 と聞いてくる。睦雄。春休みに、兄貴の部屋で見てしまった光景がフラッシュバックのように頭に閃く。顔が赤くなる俺を見て、

「あいつが祐介の奴隷やって、知ってるんやろ?」

 と追い討ちをかけてくる。ってことは、この人も知ってるのか。こんなきれい可愛い人の口から「奴隷」なんて言葉、聞きたくなかった……。

「睦雄は今日、ほんまに来てなかったか?」
「き、来てない。夏美って彼女が来たけど」
「夏美な、知ってる。さっきバス停で会ったからな」

 春樹は嫌そうに顔を歪めた。よくわからないけど、三角関係ってやつなんだろうか。いや、睦雄も入るから四角関係か?

「睦雄は今まで何回くらい、祐介に呼ばれて来た?」
「さ、さぁ……俺は離れには、あんまり行かんから」
「睦雄……ほんまにあいつ、邪魔やわ」

 俺から目を逸らし、春樹が呟いた。

「お前はまだ睦雄のこと言うとんのか」

 いつの間にか風呂から出て来た兄貴が、タオルで頭を拭きながら台所へ姿を現した。さっぱりした顔には、苦笑が浮かんでいる。春樹は兄貴に向き直り、

「だって、最近の祐介、あいつに構いすぎや」
「何しょうもないこと言うとんな、そんなことないわ」
「ある! そんなら、俺にもピアスつけてや!」
「ピアス? もうついとるやないか」

 と兄貴は春樹の横に立ち、耳を触った。春樹がそれを払いのける。

「違う! 俺も乳首にピアスつけて欲しいて言うてんの! 睦雄にはつけたったやんか!」

 乳首にピアス?! びっくりする俺をほったらかして、二人は会話を続ける。

「アホか、あれは首輪のかわりや。俺の奴隷ていう印や。お前は奴隷とちゃうやろが。そんなもん、つけんでええのや」
「嫌や、俺もつけたい、つけてほしい、祐介につけてほしい」
「乳首に穴あけんのは痛いのやど?」
「それでもいい、祐介に穴、あけて欲しい、俺の乳首に、穴開けてや」

 春樹は兄貴の体にすがるように抱きついた。兄貴は片頬をつりあげ、犬を撫でるみたいに春樹の頭を撫でる。

「お前はどうしようもないマゾの淫乱やの」
「祐介や、祐介が俺をこんなんにしたんや」

 と、兄貴の胸に額をこすりつける。さっきまで俺に見せていたダルさはそこにはない。

 必死な様子の春樹に対して、兄貴のほうはとても冷静だった。

「ピアスはあかん。お前も俺に黙って勝手にあけんなよ。そんなことしたら捨てたるからな」
「なんで……なんで睦雄にはつけたのに、俺にはつけてくれへんの」
「お前は奴隷とちゃうからやって、何べん言わすねん。次同じこと言うたら、お前でもしばくど」

 兄貴が声を低めて不機嫌に言ったので、春樹は素直に黙った。その時になってようやく、兄貴が俺を見た。

「なんちゅう顔しとんな、貴志、びびっとんか?こいつはな、おとなしそうに見えて、すごい淫乱なんよ、今日も俺に犯されに来たんよ」

 兄貴が春樹の腕を掴んで引っ張り立たせた。背後にまわり、前にまわした手を服の中にいれる。布越しに、兄貴の手が動いているのがわかる。

「なぁ、春樹、お前は乳首が感じんのやろ? もうコリコリになっとる。貴志がおっても関係ないんか?」
「あッ、祐介……、そこ、いいっ」
「年下のガキに見られとんのに、露出狂か、お前は」

 兄貴の含み笑い。春樹の白い頬が赤く染まっていく。俺はそれから目を逸らせない。

「下も勃たせとんのとちゃうか? 貴志」

 名前を呼ばれ、二人に釘付けになっていた自分が急に恥ずかしくなる。兄貴はそんな俺の動揺に構わず、

「こいつのチンポ出したれ、窮屈そうや」

 と言い放つ。

「え、お、俺が……?」
「はよしたれ、こいつ、乳首触っとるだけでイキそうやからの」

 抗えないものを感じて、俺はノロノロ立ち上がり、春樹のベルトに手をかけた。そこにはちょっとの好奇心。

「あっ、ああっ、祐介、嫌や……、二人きりで……」
「まだ時間はあんのや、ちょっと遊んでから、俺の部屋行こや。それに、見てみい、もうギンギンに勃っとるど」

 兄貴の言葉通り、俺が外に解放してやった春樹のものは、怒張し、天を睨んでいた。けっこう立派なもので、きれいな顔と何度も見比べてしまった。このギャップがますます卑猥に見える。

「貴志、こいつのチンコ、しごいたれ」
「えっ! 俺が!? で、でけん、そんなん……」
「でけんのやて。どうする、春樹? おさまりつかんのとちゃうか?」

 依然、春樹の乳首を指でいじりながら、兄貴が意地悪く春樹の耳に囁く。春樹は感じた息を吐く。兄貴の顔を見上げる目が切なげだ。

「お前からも、チンコしごいてくれって、貴志に頼んでみたらどうや? お前から頼んだら、貴志も気がかわるかもせんど?」

 この人は奴隷じゃないとか言いながら、兄貴の態度は、睦雄に対する意地の悪さと何もかわらないように見える。俺にはわからない違いがあるんだろうか。根っからのサディストは、この状況を楽しんでニヤニヤ笑う。

「ほら、春樹、貴志に頼んでみい、いつも俺に言うやないか、例のあれ、こいつに聞かせたれや」
「んあっ!」

 兄貴の手が特別な動きをしたらしく、春樹の体がのけぞった。

 真っ赤な顔で春樹が俺を見る。目がとろんと潤んで、壮絶な色気を漂わせている。俺は思わず生唾を飲みこんだ。

「貴志……俺のチンコ、触って……」

 春樹が言う。

「違うやろ」

 兄貴が言う。

「あぁ……貴志、俺のチンコ、シゴイて、俺をイカせて、俺をもっと淫乱にして、頭おかしなるまで、俺を気持ち良くさせて!」

 観念したのか、開きなおったのか、春樹がはしたない言葉を口にした。俺はただ硬直するばかり。

「この淫売、俺やのうてもええんか」

 自分で言わせたくせに兄貴はそんなことを言って冷笑する。

「ち、違う、祐介やないと、俺……」

 春樹が慌てて言い訳する。

「貴志、残念やったの、春樹は俺やないとあかんのやて。ほな、春樹、俺の部屋行こか。お前が狂うまで気持ちようさせたる」

 腰が抜けたようになった春樹を抱きかかえるようにして、兄貴は母屋を出て行った。

 残された俺は、しばらく呆然とその場に立ちつくした。そこへおかんがやってきて我に返る。

「どないしたん、貴志、ぼうっとして」
「俺、部屋おるわ……」

 と言い残し、自室へ引っ込んだ。さっき見た光景を思い出すと、股間が熱くなってくる。和也とした時、結局俺は出さずじまいだったから、余計に、だ。春樹をネタに自分で処理する。出し終わったあと、和也への罪悪感。

 今日は心身ともに、とても疲れてしまった。



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夏祭り(前編)

2020.12.12.Sat.
<「君と僕」→「初めての温度」→「嫌がる本当のワケ」→「知らない世界」→「初めての右手」→「デジカメを探せ」>

※中2。

 今年の夏祭りは兄貴が18になる年で、我が家は朝からバタバタしていた。夏祭りに参加するはじめての年は、色々準備に忙しく、俺もそれを手伝わされていた。

 早朝から叩き起こされて、兄貴のハッピ姿を見せられ、何度も「カッコいい! 似合ってる!」と褒めさせられた。親父も張りきって、家の前で家族の集合写真なんか撮って。もう勘弁してくれって感じ。

 御供えを持って兄貴と一緒に神社に行き、神主に御供えを渡し、兄貴を残して家に戻ってから、おはぎを作る手伝いをする。初年度の差し入れはおはぎと決まっているのだ。

 そのあと、親父と酒屋に行って酒を買い、仏壇におはぎと酒をお供えして、家族3人で手を合わせる。

 そのあと、兄貴に命令されていたので、彼女を迎えにバス停に行った。兄貴はわざわざ、隣町から彼女を呼び寄せていた。茶髪でバッチリ化粧をして、露出の多い服装の、派手めな人。兄貴と同じクラスの人らしい。

 夏美と名乗った彼女は意外にも礼儀正しくて、はじめは夏美を見て微妙な顔をしたオカンだったが、次第に打ち解け、「夏美ちゃん、祐介のアルバム見る?」と、夏美を可愛がった。もともとオカンは息子より娘が欲しかったそうで、「嫁においでな、いつでも歓迎するで」と冗談だか本気だかわからない口調で言う。(実際、夏美は兄貴の嫁になるのだが、それが決まるのは、夏祭りの三ヵ月後、夏美の妊娠がわかった時だ。今日の夏祭りで仕込んだようだ)

「そろそろや、そろそろ来るど」

 親父がカメラを持って外に出たので、俺とおかんもおはぎを持って外に出た。遠くから掛け声が聞こえてくる。

「あれ? あれがそうなん? 祐くん、あそこにおんの?」

 夏美が俺に聞いてくる。俺は(祐くんて……)と思いながら「そうや」と答えた。

 兄貴たちが家の前にやってきた。おかんが、神輿を下ろした男衆に、おはぎを差し出す。親父は酒を配っていた。

「夏美、よう来たな。貴志はちゃんと迎えに来たか?」

 と兄貴が夏美に話しかけた。兄貴は女を相手にする時は優しい表情と優しい口調になる。普段見慣れない俺は「オエッ」って感じになる。そんな顔をしていたら、兄貴に頭をしばかれた。

「新しいタオル持って来い、もうこれ、汗でビショビショや」

 と、首に巻いていたタオルを俺の顔に押し付けてくる。湿って汗臭いタオル。兄貴が目を細めて睨んでいるので、俺は文句を言わず、そそくさと家から新しいタオルを持って戻った。

「まだ時間あるし、夏美は家で待っとるか。それとも一緒に来るか?」

 俺が持ってきたタオルを首に巻いて兄貴が言う。夏美は「行く!」と一つ返事で、次の家に移動する兄貴たちについて行った。

 後片付けのあと、次は宴会の準備。近所の大人を呼んで、今日は遅くまで飲み明かすのだ。張りきるおかんと親父にこき使われ、落ちつかない夕食のあと、神社へ。兄貴がお神酒を飲む。吐き出す振りをして舌を出す。おとんはそれを写真におさめる。

 酒が村人に振舞われる頃、和也の姿を見つけた。永一兄ちゃんと妹の舞子も一緒だ。そばによって、肩を叩いた。驚いた顔をして、和也が俺に気付く。

「疲れた、和也、朝から働きっぱなしや」

 俺の弱音を聞いて和也が微笑む。

「貴志んとこは、祭り好きやからなぁ」

 そうなのだ。もっとサラッと祝えばいいのに、兄貴が成人の儀で参加するからと、やたら盛り上がっている。それを手伝わされるので、俺はクタクタだ。

「なぁ、夜、会われんし、ちょっといける?」

 くいと腕を引っ張る。察知して、和也が恥じらいの笑みを浮かべる。永一に何か囁き、「行こう」と和也に手を引かれ、神社を出た。

 神社に向かう人の流れに逆らって、和也と歩く。

「朝からで、朝から兄貴にしょーもない用事押し付けられて、おかんの手伝いさせられて、親父は親父でカメラ持ってあーでもないこーでもない言うてるしな」
「あははっ、大変やったな」
「笑い事ちゃうわ、俺は、和也と一緒におりたかったのに」

 真面目な顔つきで言うと、和也も笑みを引っ込め、「俺も、会いたかってんで」と言ってくれた。

 誰もいない俺の家に連れこむ。

「今日、うち、泊まる?」
「うーん……今日はやめとく」

 まぁ、そりゃそうか。今日の兄貴はきっと上機嫌だろう。調子に乗った時、兄貴の意地の悪さは磨きがかかる。俺と和也に絡んでくるに違いない。和也の身の安全を思うと、お泊まりはやめておくのが懸命だ。

 時間もないし、俺の部屋に入るなり、和也をベッドに押し倒した。

「あ、俺、汗かいた……」

 和也が慌てたように言って、首筋に吸い付く俺の頭を押す。

「構へん、俺も朝から動いて汗かいとるし、和也の汗はうまいしな」
「アホか、変態」

 最近、こんな台詞がよく出てくる。確かに俺、ちょっと変態なのかもしれない。本気で、和也の体液なら、なんでも俺の興奮材料になる。

 お互いのベルトを緩め、中から出したチンポをしごきあう。西日が入る俺の部屋は日が沈んだあとも蒸し暑さが残っていて、あっという間に二人共、汗だくになった。

「暑いな……エアコン、つける?」
「あっ、い、いなんっ、離れんといて!」

 どっかに消えるわけでもないのに、和也が俺の背中に手をまわして引き寄せる。お互いの勃起がこすれ合う。その瞬間、イクような、眩暈に似た感覚。

「なぁ、舐めてええか?」

 春休みに睦雄のフェラを見てから、俺は何度もそれに挑戦していた。うまくなって、最近では、すぐにイキそうになるから、和也がフェラされることを嫌がるほどだ。今日も嫌がって首を横に振る。

「舐めたい、和也のん、舐めたいんよ。口でしてやりたいんよ。なぁ、頼むわ、一回、俺の口に出してや」
「いっ、嫌や! そんなん! 絶対でけん!」
「なんでな? 俺がこんなに頼んでもか?」
「そないな恥ずかしいこと嫌や! 飲むもんちゃう!」
「飲むもんで?」

 兄貴は睦雄に飲ませていたぞ?って、あれを基準にしていいのかはわからないけど。

「嫌や!」

 和也はかたくなに拒む。

「ほしたら、飲まんから、口でしてええやろ?」
「…………」

 和也は口をモゴモゴさせた。何を言っても無駄と諦めたのか、「ちょっとだけな」とやっと言ってくれた。

 俺は和也の股間に顔を埋め、先走りでヌメるチンポを咥える。舌を細めて、尿道をつつくと、和也は足をびくつかせた。汁を吸い上げ、口に咥え、舌で愛撫し、余すところなく舐め上げる。

「んっ……はぁっ……あ、貴志……あかん……」

 和也の手が、俺の頭をかきまわす。少し、腰を浮かせている。気持ちいいんだと思うと、嬉しくなる。

 まだ和也は俺の口でイッたことはない。口の中に出すのが恥ずかしいみたいで、遠慮している。今日こそ、俺はそれを受けるつもりでいた。

「あぁぁっ……貴志、はなして! はなして、や! もう、アカン!」

 と布団をタップする。気にせず続ける。

「あぁっ! あっ! やめてや! 貴志! 俺……ほんま、あっ、あっ、あかんて、貴志……!」

 音を立てて口を動かす。イッてええのんえ?。

「あぁ……あ、あ、貴志……あかん、あかん! もう、やめて、あ、あっ、貴志!」

 ビクンと脈打って、勢い良く飛び出た液体が俺の口の奥にあたった。和也のチンポからはまだドクドクと熱い精が吐き出される。はじめて受けた精液の感触に戸惑いつつ、飲み込むタイミングがわからなくてそのままでいたら、口から溢れてきた。射精が止まり、縮んでいく性器から口を離し、決意して飲み込む。

 ……マズッ。いや、でもこれは和也のものなんだ。和也が俺のフェラで気持ちよくてイッたもの。和也の体から出てきたものなんだ。そう考えると、満足感がわきあがってきた。ニヤけ顔で体を起こす。和也は両手で顔を覆って無言。

「和也? どないした?」

 上に覆いかぶさる。

「……なんで、飲むんな?」

 声が震えていた。まさか、と思って和也の腕をどかせると、泣き顔が出てきた。

「なに泣いとんのや、そないに嫌やったんか? なあ? ごめんやで、どうしても、俺、お前の飲みたかってん、ごめんやで」
「ちゃう……嫌やったんとちゃう……、良すぎて俺……」

 和也が抱きついてくる。良すぎたから、泣けてきたってことか? こんな嬉しい言葉、あるかね。嗚咽がおさまるまで、しばらくそのままでいた。

「気、落ち着いたか?」
「うん……」

 和也の横に寝転んで、手で涙を拭いてやる。その手に自分の手を重ね、和也が目を閉じる。

「なぁ……そないに良かった?」
「なっ、なにが」
「俺の口でイッたん、そないに気持ちよかったんか?」
「そっ、さ、さっき、言うたやんか」
「もっと詳しく聞きたい。どんなふうに良かった? 他にこうして欲しいとか、あるか? 俺、もっとお前を気持ちようさしてやりたい」

 和也は横になって俺に背を向けた。その肩に手をかけ、顔を覗きこむ。

「なぁ? 和也?」
「……ない。今で、充分。それ以上うまならんで。俺が、おかしなってまう……」

 ってね、嬉しいことを言ってくれちゃうだな、和也は。すっかり自信をつけた俺……だったんだけど、口の中には和也の精液の味がすんごい残ってて、何か別の味が欲しくて、

「暑くて、のど、かわいたな、和也もなんか飲むか?」

 って、誤魔化しながら、下におりて、麦茶を飲んだ。

「やばいな、もうこんな時間か」

 壁の時計を見ると20時過ぎ。そろそろ祭りもお開きになる頃だ。

「一緒に神社、戻ろか」

 俺が差し出した手を、和也が握って、笑顔で頷いた。