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更新履歴・お知らせ

2019/1/26
よくある話2、完結

2019/1/25
よくある話1、更新

2018/12/7
カインとアベル3、完結

2018/12/6
カインとアベル2、更新

2018/12/5
カインとアベル1、更新

2018/11/27
Tedious story15、完結

2018/11/26
Tedious story14、更新

2018/11/25
Tedious story13、更新

2018/11/24
Tedious story12、更新

2018/11/23
Tedious story11、更新

2018/11/22
Tedious story10、更新

2018/11/21
Tedious story9、更新

2018/11/19
Tedious story8、更新

2018/11/18
Tedious story7、更新

2018/11/17
Tedious story6、更新

2018/11/16
Tedious story5、更新

2018/11/15
Tedious story4、更新

2018/11/14
Tedious story3、更新

2018/11/13
Tedious story2、更新

2018/11/12
Tedious story1、更新

2018/9/7
面倒臭い二人、更新完結

2018/8/28
愛で殴る2、完結

2018/8/27
愛で殴る1、更新

2018/8/26
宙ぶらりん2、完結

2018/8/25
宙ぶらりん1、更新

2018/8/23
とどめを刺されたい3、完結

2018/8/22
とどめを刺されたい2、更新

2018/8/21
とどめを刺されたい1、更新

2018/8/16
生温い2、更新完結

2018/8/15
生温い1、更新

2018/6/28
続・盲目の狼2完結

2018/6/27
続・盲目の狼1更新

2018/6/23
盲目の狼2更新完結

2018/6/22
盲目の狼1更新

2018/6/21
往事渺茫…15更新完結

2018/6/20
往事渺茫…14更新

2018/6/19
往事渺茫…13更新

2018/6/18
往事渺茫…12更新

2018/6/17
往事渺茫…11更新

2018/6/16
往事渺茫…10更新

2018/6/15
往事渺茫…9更新

2018/6/14
往事渺茫…8更新

2018/6/13
往事渺茫…7更新

2018/6/12
往事渺茫…6更新

2018/6/11
往事渺茫…5更新

2018/6/10
往事渺茫…4更新

2018/6/9
往事渺茫…3更新

2018/6/8
往事渺茫…2更新

2018/6/7
往事渺茫としてすべて夢に似たり1更新

2018/5/6
妄想2、更新完結

2018/4/13
おいくら?2、更新完結

2018/4/12
おいくら?1、更新

2018/3/31
ズッ友だょ、更新完結

2018/3/2
利害関係の終了2、完結

2018/3/1
利害関係の終了1、更新

2018/2/23
勝手にやってろ2、完結

2018/2/22
勝手にやってろ1、更新

2018/2/20
続・嫁に来ないか2、完結

2018/2/19
続・嫁に来ないか1、更新

2018/1/20
嫁に来ないか2、完結

2018/1/19
嫁に来ないか1、更新

2017/11/21
雨の日の再会2、完結

2017/11/20
雨の日の再会1、更新

2017/11/19
ピンクの唇、完結

2017/11/2
赤い爪、完結

2017/10/28
スカートめくり、完結

2017/10/23
続続続・ひとでなし2、完結

2017/10/22
続続続・ひとでなし1、更新

2017/10/21
続続・ひとでなし2、完結

2017/10/20
続続・ひとでなし1、更新

2017/10/19
続・ひとでなし2、完結

2017/10/18
続・ひとでなし1、更新

2017/09/08
ひとでなし2、完結

2017/09/07
ひとでなし1、更新

2017/09/02
ほんとにあったら怖い話2完結

2017/09/01
ほんとにあったら怖い話1更新

2017/07/28
コンビ愛更新、完結

2017/07/06
第二ボタン2更新、完結

2017/07/05
第二ボタン1更新

2017/05/25
ちょろくない2更新、完結

2017/05/24
ちょろくない1更新

2017/05/16
やっぱちょろい2更新、完結

2017/05/15
やっぱちょろい1更新

2017/02/11
メリクリあけおめ2更新、完結

2017/02/10
メリクリあけおめ1更新

2016/11/14
義父の訪問更新、完結

2016/10/27
覗き2更新、完結

2016/10/26
覗き1更新

2016/10/22
終わらない夜2更新、完結

2016/10/21
終わらない夜1更新

2016/10/16
凹の懊悩2更新、完結

2016/10/15
凹の懊悩1更新

2016/09/28
可愛さも憎さも百倍2更新、完結

2016/09/27
可愛さも憎さも百倍1更新

2016/09/22
利害の一致2更新、完結

2016/09/21
利害の一致1更新

2016/09/16
楽しい記憶喪失!3更新、完結

2016/09/15
楽しい記憶喪失!2更新

2016/09/14
楽しい記憶喪失!1更新

2016/09/13
楽しい同棲!2更新、完結

2016/09/12
楽しい同棲!1更新

2016/09/11
Phantom15更新、完結

2016/09/10
Phantom14更新

2016/09/09
Phantom13更新

2016/09/08
Phantom12更新

2016/09/07
Phantom11更新

2016/09/06
Phantom10更新

2016/09/05
Phantom9更新

2016/09/04
Phantom8更新

2016/09/03
Phantom7更新

2016/09/02
Phantom6更新

2016/09/01
Phantom5更新

2016/08/31
Phantom4更新
リンク一件追加

2016/08/30
Phantom3更新

2016/08/29
Phantom2更新

2016/08/28
Phantom1更新

2016/08/04
嘘7更新、完結

2016/08/03
嘘6更新

2016/08/02
嘘5更新

2016/08/01
嘘4更新

2016/07/31
嘘3更新

2016/07/30
嘘2更新

2016/07/29
嘘1更新

2016/07/18
Love Scars3更新、完結

2016/07/17
Love Scars2更新

2016/07/16
Love Scars1更新

2016/07/13
行きつく先は5更新、完結

2016/07/12
行きつく先は4更新

2016/07/11
行きつく先は3更新

2016/07/10
行きつく先は2更新

2016/07/09
行きつく先は1更新

2016/07/04
電話が鳴る7更新、完結

2016/07/03
電話が鳴る6更新

2016/07/02
電話が鳴る5更新

2016/07/01
電話が鳴る4更新

2016/06/30
電話が鳴る3更新

2016/06/29
電話が鳴る2更新

2016/06/28
電話が鳴る1更新

2016/06/16
今日の相手も2更新、完結

2016/06/15
今日の相手も1更新

2016/06/08
今日の相手は2更新、完結

2016/06/07
今日の相手は1更新

2016/05/25
いおや2更新、完結

2016/05/24
いおや1更新

2016/05/14
奇跡2更新、完結

2016/05/13
奇跡1更新

2016/04/28
ターゲット2更新、完結

2016/04/27
ターゲット1更新

2016/03/02
視線の先2更新、完結

2016/03/01
視線の先1更新

2016/02/23
性癖の道連れ2更新、完結

2016/02/22
性癖の道連れ1更新

2016/02/15
DL販売お知らせ

2016/01/20
尾行2更新、完結

2016/01/19
尾行1更新

2015/12/07
遺作2更新、完結

2015/12/06
遺作1更新

2015/12/02
昼夜2更新、完結

2015/12/01
昼夜1更新

2015/11/26
大小2更新、完結

2015/11/25
大小1更新

2015/11/15
彼はセールスマン2更新、完結

2015/11/14
彼はセールスマン1更新

2015/10/22
2度あることは2更新、完結

2015/10/21
2度あることは1更新

2015/09/18
死神さんいらっしゃい2更新、完結

2015/09/17
死神さんいらっしゃい1更新

2015/09/08
Congratulations2更新、完結

2015/09/07
Congratulations1更新

2015/09/01
待田くんに春の気配3更新、完結

2015/08/31
待田くんに春の気配2更新

2015/08/30
待田くんに春の気配1更新

2015/08/11
亀の恩返し2更新、完結

2015/08/11
亀の恩返し1更新

2015/08/07
Aからのメール2更新、完結

2015/08/06
Aからのメール1更新

2015/07/06
5年後2更新、完結

2015/07/05
5年後1更新

2015/07/04
待っててね2更新、完結

2015/07/03
待っててね1更新

2015/05/11
その後3更新、完結

2015/05/10
その後2更新

2015/05/09
リクエスト小説
その後1更新

2015/05/05
待田くんに春はこない2更新、完結

2015/05/04
待田くんに春はこない1更新

2015/04/30
楽しいシーソーゲーム!2
更新、完結

2015/04/29
楽しいシーソーゲーム!1更新

2015/04/21
楽しい親子喧嘩!1
楽しい親子喧嘩!2更新、完結

2015/04/16
楽しい放課後!2更新、完結

2015/04/15
楽しい放課後!1更新

2015/04/06
楽しい合コン!2更新、完結

2015/04/05
楽しい合コン!1更新

2015/04/01
楽しいお見舞い!2更新、完結

2015/03/30
楽しいお見舞い!1更新

2015/03/24
楽しい旧校舎!2更新、完結

2015/03/23
楽しい旧校舎!1更新

2015/03/16
楽しい入院生活!2更新、完結

2015/03/15
楽しい入院生活!1更新

2015/03/05
楽しい遊園地!2更新、完結

2015/03/04
楽しい遊園地!1更新

2015/02/27
楽しいロッカールーム!2更新、完結

2015/02/26
楽しいロッカールーム!1更新

2015/02/16
楽しいOB会!2更新、完結

2015/02/15
楽しいOB会!1更新

2015/02/14
一周年!!
いつもありがとうございます!
君は日向の匂い更新、完結
シンデレラアイドルのSSです

2015/02/13
保健室の先生2更新、完結

2015/02/12
保健室の先生1更新

2015/02/11
teeth2更新、完結

2015/02/10
teeth1更新

2015/02/09
楽しい初カノ!2更新、完結

2015/02/08
楽しい初カノ!1更新

2015/01/31
楽しい勉強会!2更新、完結

2015/01/30
楽しい勉強会!1更新

2015/01/23
楽しいお泊り!2更新、完結

2015/01/22
リクエスト小説
楽しいお泊り!1更新

2015/01/08
明けましておめでとうございます!
本年も宜しくお願い致します!
リクエスト小説
両想い1、2更新、完結

2014/12/12
楽しい合宿!2更新、完結

2014/12/11
楽しい合宿!1更新

2014/12/01
アガルタ2更新、完結

2014/11/30
リクエスト小説
アガルタ1更新

2014/11/23
朝のお楽しみ2更新、完結

2014/11/22
リクエスト小説
朝のお楽しみ1更新

2014/11/14
即位式2更新、完結

2014/11/13
即位式1更新

2014/11/04
裏ドSくん3更新、完結

2014/11/03
裏ドSくん2更新

2014/11/02
裏ドSくん1更新

2014/11/01
ひみつのドSくん2更新、完結

2014/10/31
ひみつのドSくん1更新

2014/10/30
伴侶1、2更新、完結

2014/10/27
支配人3更新、完結

2014/10/26
支配人2更新

2014/10/25
支配人1更新

2014/10/24
隣人3更新、完結

2014/10/23
隣人2更新

2014/10/22
隣人1更新

2014/10/15
元上司2更新、完結

2014/10/14
リクエスト小説
元上司 1更新

2014/10/10
ニコニコドッグⅡ 2更新、完結

2014/10/09
リクエスト小説
ニコニコドッグⅡ 1更新

2014/10/04
茶番2更新、完結

2014/10/03
リクエスト小説
茶番1更新

2014/09/12
「ちょろい 2」更新、完結

2014/09/11
「ちょろい 1」更新

2014/09/08
「新雪の君」更新、完結

2014/09/06
コメントお返事させて頂きました

2014/09/05
「すばらしい日々3」更新、完結

2014/09/04
「すばらしい日々2」更新
コメントお返事させて頂きました

2014/09/03
リクエスト小説
「すばらしい日々1」更新
コメントお返事させて頂きました

2014/09/01
「好きと言って4」更新、完結

2014/08/31
「好きと言って3」更新

2014/08/30
「好きと言って2」更新

2014/08/29
リクエスト小説
「好きと言って1」更新

2014/08/24
「純粋に近付いた何か2」更新、完結

2014/08/23
リクエスト小説
「純粋に近付いた何か 1」更新

2014/08/15
コメントお返事させて頂きました

2014/08/14
再会2更新、完結
コメレスさせて頂きました

2014/08/13
リクエスト小説「再会1」更新
「ノビ」の続編です

2014/07/26
コメントお返事させて頂きました

2014/07/25
息子さんを僕にください2更新完結

2014/07/24
リクエスト小説「息子さんを僕にください1」更新
娘さんを僕に下さいとは無関係ですw

2014/07/22
コメントお返事させて頂きました

2014/07/20
久しく為さば須らく2更新、完結
コメントお返事させて頂きました

2014/07/19
リクエスト小説「久しく為さば須らく1」更新
コメントお返事させて頂きました

2014/07/18
コメントお返事させて頂きました

2014/07/16
コメントお返事させて頂きました

2014/07/15
コメントお返事させて頂きました

2014/07/14
コメントお返事させて頂きました

2014/07/13
リクエスト小説「嫉妬せいでか2」更新、完結
コメお返事させて頂きました

リクエスト小説「嫉妬せいでか1」更新

2014/07/11
拍手お返事させて頂きました
お知らせ一件

2014/07/10
コメント、拍手お返事させて頂きました

2014/07/09
拍手お返事させて頂きました

2014/07/08
コメント、拍手お返事させて頂きました
耽溺 2更新、完結

2014/07/07
拍手お返事させて頂きました
リクエスト小説「耽溺 1」更新

2014/07/06
拍手お返事させて頂きました

2014/07/05
拍手お返事させて頂きました

2014/07/04
コメント、拍手、お返事させて頂きました

2014/07/03
コメント、拍手、お返事させて頂きました
吉原と拓海その後 2更新、完結

2014/07/02
コメント、拍手、お返事させて頂きました
吉原と拓海その後1更新しました

2014/07/01
コメントお返事させて頂きました
シンデレラアイドル2更新、完結

2014/06/30
拍手お返事させて頂きました
シンデレラアイドル1更新しました

2014/06/29
リクエスト募集してます

2014/06/27
拍手お返事させて頂きました

2014/06/24
目は口ほどに 更新、完結

2014/06/17
茶々丸更新、完結
獣姦っぽい

2014/06/11
連鎖 2更新、完結

2014/06/10
連鎖 1更新

2014/06/07
拍手お返事させて頂きました

2014/06/06
拍手お返事させて頂きました

2014/06/05
拍手お返事させて頂きました

2014/06/04
元旦那さん 2更新、完結

2014/06/03
元旦那さん 1更新
旦那さんの続きです

2014/05/29
昨日の記事の続きで拍手お返事させてもらっています

2014/05/28
旦那さん 2更新、完結

2014/05/27
旦那さん 1更新

2014/05/22
夢の時間2更新、完結

2014/05/21
アンケート1位小説「親子」
夢の時間1更新

2014/05/16
この物語はフィクションです更新、完結

2014/05/14
アンケート1位小説「教師と生徒」で先生受け。
信じて下さい更新。完結

2014/05/11
純粋とは程遠いなにか2更新。完結
ダウンロード販売のお知らせ

2014/05/09
純粋とは程遠い何か1更新

2014/05/01
長男としての責務2更新。完結

2014/04/30
長男としての責務1更新

2014/04/27
セフレ更新。完結

2014/04/21
嘘が真になる2更新。完結

2014/04/20
嘘が真になる1更新。
アンケート終了しました
投票してくださった皆さんありがとうございました!

2014/04/15
親切が仇になる2更新。完結

2014/04/14
親切が仇になる1更新

2014/04/11
家庭教師更新。完結

2014/04/09
惚れ薬2更新。完結

2014/04/08
惚れ薬1更新

2014/04/05
ニコニコドッグ更新。完結

2014/04/03
健やかなるときも病めるときも更新。完結
アンケート設置1ヶ月記念更新
回答ありがとうございます!

2014/04/02
お隣さん2更新。完結

2014/04/01
お隣さん1更新

2014/03/28
B3-17 はるか更新。完結

2014/03/27
会話の語尾は常にハートマーク更新。完結

2014/03/24
僕の居場所更新。完結

2014/03/21
兄弟愛(3/3)更新。完結

ストックを全て出し切ってしまいましたので毎日更新は今日で終わりになります。
これからは書き終わり次第更新していきますので、引き続きよろしくお願い致します。

2014/03/20
兄弟愛(2/3)更新。

2014/03/19
兄弟愛(1/3)更新。

2014/03/18
7歳の高校生更新。完結

2014/03/17
7歳の高校生更新

2014/03/16
裏の顔更新。完結
アンケート2位「教師と生徒」
少し違う感じになりました。

2014/03/15
残業も悪くない更新。完結
アンケート結果を反映させてみました。
アンケートに答えてくださった皆さんありがとうございます。引き続きお願い致します

2014/03/14
片思い更新。完結

2014/03/13
クラスの地味男更新。完結

2014/03/12
吉原と拓海更新。完結

2014/03/11
罠更新。完結

2014/03/10
同級生更新。完結

2014/03/09
目覚め更新。完結
FC2小説にて、
閃光戦士フラシュレッド!公開。完結。

2014/03/08
やってられない更新。完結

2014/03/07
地下の城ピュラタ更新。完結

2014/03/06
地下の城ピュラタ更新。

2014/03/05
部室にて更新。完結

2014/03/04
すべからく長生きせよ更新。完結

2014/03/03
秘め事更新。完結
アンケート設置。ご協力お願いします

2014/03/02
映画館にて更新。完結

2014/03/01
大迷惑@一角獣更新。完結

2014/02/28
大迷惑@一角獣更新。

2014/02/27
僕はセールスマン更新。完結

2014/02/26
俺のセールスマン更新。完結

2014/02/25
夏の夜更新。完結

2014/02/24
妄想更新。完結

2014/02/23
先生 その2更新。完結

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よくある話(2/2)

<前話>

 翌朝、またあの「ジリリリリッ」という騒音が家中に鳴り響いた。気のせいか窓まで震えている気がする。

「うう…、うるせえ」

 時計を見ると朝7時過ぎ。いつもなら起床している時間でも、深夜遅くまでセックスしていた俺たちには早すぎる時間だ。

「また水戸のおじさんかも」

 矢野はふらつきながらベッドから起き上がった。寝惚け眼で服を着ると「星野は寝てて」と優しい言葉を残して下へおりていった。

 うつらうつらと、かすかに聞こえてくる声を聞いていた。しばらくして、ドタドタと慌てた足音。戻ってきた矢野が俺から布団を剥ぎ取った。

「星野!!」

 悲痛な叫び声に目を開ける。

「なんだよ、大きな声出して」
「み、水戸のおじさんが来た!」
「ああ、うん。え、ここ来るのか?」

 昨日、アノ声を聞かれているとは言え、裸で出迎えるわけにはいかない。急いで服を着ようと床のパンツに手を伸ばしたら、

「違う! おじさんはもう帰ったんだけど…! おじさんじゃなかった!!」

 興奮した矢野の言うことはよくわからなかった。

「まだ寝ぼけてるのか? 話が見えないんだけど」
「おじさん! 水戸のおじさんだったんだよ! さっき来たのが!!」
「だろうな」

 こんな辺鄙なところ、持ち主以外他に誰が訪ねてくるって言うんだ。

「さっき来たのが本物で! 昨日来たのは水戸のおじさんじゃなかったんだよ! 偽物だったんだ!!」

 服を着る手が止まった。

「どういう意味だ? じゃあ、昨日のおじさんは誰なんだ?」
「知らない! 俺もおじさんに訊いたんだ、昨日ここに来たかって。そしたら来てないって」
「え、でもお前、昨日のおじさん見て、水戸のおじさんって呼んだだろ」
「最後に会ったの子供のときだし、最近やりとりしたのは電話だったし……、おじさんが来るって聞いてたからてっきり。それに、昨日の人、俺が水戸のおじさんって言っても否定しなかったし!」

 確かに。昨日のおじさんが水戸のおじさんでないなら、なぜあの男は矢野に話を合わせたのだろう?

「気味が悪い話だな」
「そうだろ? なんか体がゾクゾクして怖くなっちゃってさ」
「こっち来い。あっためてやるから」

 矢野を抱きしめて布団に寝転がる。矢野の背中を撫でながら、頭では昨夜の男の言動を思い返してみる。

 男の目的は空き巣だろうか? 見るからに空き家だとわかる放置された家に金目のものがあると思うだろうか? 家主には見抜けなかった骨董品狙いか?

「裏で作業してたって言ったけど、何してたんだろう?」

 ポツリと矢野が言った。

「そういえば服が泥で汚れてたな、偽物のおじさん」
「ちょっと俺、確認してくる!」

 飛び出していきそうな矢野をひっ掴まえ、俺も急いで服を着て一緒に家の外へ出た。正面からは木に囲まれて見えるが、裏は明らかに人の手によって作られた開けた土地があった。

 長年の放置により雑草が生い茂ってはいるが、よく見ると畝のような起伏があるし、離れた場所には作業場のような掘っ立て小屋もある。そのそばには鍬やら鋤やら一輪車もあった。どうやらここは以前、畑だったようだ。

「いまは何も育ててなさそうだな」

 荒れ放題の広い土地を見れば一目瞭然だった。

「昨日の男はここでなにをしてたんだろ?」

 不思議そうに呟いて矢野は辺り見渡した。

 やっぱりあれは空き巣だったんだ。住人の不在を確かめたら俺たちが出てきた。若い男二人じゃ敵わないとみて、なにも盗らずに逃げたのだろう。

 しかし何かがひっかかる。風呂場から聞こえた俺たちの声で、男が二人とわかったはず。それに服の泥。

 ふと、荒れた畑の隅に目を止めた。規則的に、何かが刺さっているように見える。いや、生えている……?

 目を凝らし、ゾッと背筋が凍った。

「矢野!」

 驚く矢野の腕を引っ張って家の表に戻った。心臓がデタラメに高鳴り、顔には嫌な汗が流れる。

「どうしたんだよ、星野」
「携帯! 持ったな?! よし、行くぞ!」
「行くってどこに?」

 矢野の質問には答えず、家を飛び出し車に乗った。震える手でエンジンをかけ、車を出す。木の影から昨夜の男が出てくるような気がして、バックミラーを何度も確認した。

 焦っちゃ駄目だ。落ち着け俺。事故なんか起こしたら元も子もない。

 星野は説明を求めて何度か話しかけてきた。運転に集中するために悪いが無視した。ただごとでない雰囲気を察したのか、星野も静かになった。

 メインの峠道に出た。他の車と合流してやっと一安心できた。

 途中に出てきた蕎麦屋の駐車場に車を入れた。

「そんなに蕎麦が食べたかったのか?」

 怒りもせず、矢野が俺をからかう。

「中でちゃんと説明する。あそこにはもう怖くていらんなかった」

 その前に。俺は警察へ電話をした。



 十分ほどで店の前にパトカーが到着した。半信半疑な警官と一緒に来た道を戻る。

「本当に人の腕でしたか?」
「そう見えました。怖かったんで、近づいてまでは確認しませんでしたけど」

 畑の隅に俺が見たもの──、それは人の腕だった。正しくは人の腕の骨。肘から上の部分が地面から出て、白く細い指も5本、あった。それも複数。

 雑草を踏み分けながら、俺が説明した場所に警官が進む。畑から生える無数の人間の腕を確認すると、警官たちは慌てて無線で仲間を呼んだ。

 小一時間で、静かだった山奥の家は警察車両で囲まれ、警察官だらけになった。

 俺たちは最寄りの警察署に移って何度も事情を聞かれた。特に、昨夜訪れた偽物のおじさんのことを。人相書きにも協力した。

 人の手を見たのは俺だけ。矢野は気付いてもいなかったから、聞き取りは俺のほうが時間がかかった。終わって廊下に出ると矢野が待っててくれた。

「お疲れ」
「疲れた」

 矢野の労わる笑顔に一気に疲労がこみあげる。警察署だろうが構うもんかと、矢野に抱きついた。ポンポンと背中を叩く手が心地いい。

「水戸のおじさんとさっき会ったよ。呼ばれたみたい。なんか、悪いことしちゃったな」
「仕方ない。俺たちにはどうしようもない」
「本当に人の手だったのか?」
「ああ。なんか白いものが見えるなって目をこらしたら、五本の指が見えた。それが何本も。しばらく夢に見そうだ」
「ごめん、俺のせいで」
「お前のせいじゃないだろ」

 矢野が泣きそうな顔で俯く。こいつを慰めてやる必要がありそうだ。

 帰ろうとしたら俺の聴取をした刑事に呼び止められた。手には俺たちの荷物が入った鞄。

「大変な目にあわれましたね。畑には複数の遺体が埋まっていました。矢野さんたちは事情を知るとと思われる男の顔を見ています。決定的な証拠がないため、警察ではお二人を保護することはできません。そのかわり、自宅周辺のパトロールを強化するよう所轄の警察署には要請済みです。気休め程度ですが。念のため、お二人も注意なさってください」

 おいおい、まさかあの男が俺たちの居場所を付き止めてやって来るかもしれないっていうのか? もう白骨化も進んだ遺体がいくつか発見されて、似顔絵も作成されたっていうのに? なんのために? 事件発覚のきっかけになった俺たちを、腹いせで殺しに来るって? 冗談じゃないぞ。

 すっかり顔が青くなった矢野をつれて帰宅した。1人になるのが怖くてなんとなく俺の家に集まる。しばらくして、所轄の警察官が二人、挨拶をして帰っていった。

「犯人、本当に俺たちのところに来ると思う?」

 夜になってポツリと矢野が呟いた。帰りの車のなかもずっと無口で元気がなかった。すっかり精神が参っている様子だ。

「来るわけないだろ。第一どうやってここを調べるんだよ。心配しすぎだって」
「連休は星野と二人っきりになりたいって俺が下心出したせいだ」
「馬鹿だなあ、そんなこと考えてたのか」
「星野になにかあったら俺、どうしたらいいんだよ」
「あるわけないだろ、そんなこと」

 笑い飛ばして矢野を抱きしめる。不安がらせないよう強がってはいるが、俺だって矢野のことが心配だ。

 偽物のおじさんが、あの遺体を埋めた犯人だと決まったわけじゃない。殺したという証拠もない。ここに来るかも、わからない。

 何一つ定かじゃない状況に放置されるから余計に不安で怖い。

 とりあえずいま最優先でしなきゃいけないことは、矢野を安心させてやることだ。

 上を向かせてキスした。こんな状況なのに、俺たちのちんぽはギンギンにいきり立っていた。生存本能ってやつか?



 テレビや週刊誌では連日、今回の事件が大々的に報道された。

 裏の畑に植えられていた遺体の数は全部で5体。全員男だったらしい。4体は白骨化していて、身元判明に時間がかかるそうだ。そして死後間もない遺体が1体。

 男は俺たちがイチャついているまさにその時、新しい遺体を裏庭に埋めていたと思われる。

 腕だけを地面から出していた理由は、犯人のみぞ知る。鑑賞して悦に入っていたのだとしたら、悪趣味この上ない。

 そして、あとから聞いてゾッとしたのは、水戸のおじさんの家には俺たち以外の第三者が使用していた形跡があった、というのだ。

 誰のものかわからない指紋、見覚えのない家具、ゴミ。一階和室に置いてあった毛布は、その第三者が使っていたのではないか、と。

 裏に広い庭があり、辺鄙な場所で滅多に人がこない無人の家。人殺しの隠れ家にはもって来いだったというわけだ。

 殺人鬼と思われる男とニアミスした俺たちは、タイミングが悪ければ殺されていたかもしれないとわかって金玉が縮み上がった。

 水戸のおじさんは、仕方ない話、一番最初に疑われたらしい。

 まずなぜ家の近くに別荘を持っているのか。

 それは、家の近くに別荘を買ったのではなく、元々住んでいたのがあの別荘だったという。

 近くに引っ越した理由は、単に生活に不便だったから町に近い場所に移っただけ。古い家を手放さなかったのは、土地だけでも二束三文にしかならず、しかも古い家屋を取り壊さないと買い手も見つからないから。山奥の家となると取り壊し作業も大変で費用も嵩む、という理由で仕方なくあの家を別荘と呼んで所有し続けていただけだった。

 こんな事件に使われた場所とあっては、なおさら売れなくなるだろう。水戸のおじさんには同情しかない。

 そして不安なまま、事件発覚から二週間が経ったある日、怪しい男を捕まえた、と警察から俺たちに連絡が入った。作成した似顔絵に似ているので一度確認をして欲しいと言う。

 急いで警察署にかけつけた。取調室のなかにいる男を外から見せてもらう。ハンチングはあの夜と同じだがジャンパーの色は黒にかわっていた。だが、間違いなく、水戸のおじさんの偽物だった。

 二人で「あいつです」と証言したあと、今後の話し合いのため別室へ呼ばれた。そこで男が捕まった経緯を教えてもらった。

 ほんの数時間前、パトロール中の警察官が、今回の事件の重要参考人である男の似顔絵に似ている人物を見かけ、声をかけた。男は職務質問を拒否し、警官に抵抗してその場で取り押さえられた。

 男の鞄の中にはロープ、結束バンド、鉈に包丁にスタンガンなど物騒な物が入っていたらしい。

 しかも、男を捕まえた場所というのが、矢野の自宅付近だったというのだ。

「俺を殺すために、遠路はるばる来たって言うんですか?」

 震える声で矢野が言うと、刑事は「おそらく」と頷いた。

「所持していたものをみても、そう考えるのが妥当かと」
「なんで?! 意味わかんないんですけど!」
「これはまだ世間に発表していないことなのでお二人も口外しないで頂きたいのですが、最後の新しいご遺体の体には、何者かの体液が残されていたんです」
「ええ?」
「──あっ」

 矢野は首を傾げていたが俺はわかってしまった。報道によると遺体はすべて若い男性だと言われていた。男の体に、体液──つまり精液が残されていたということは。

「あいつは、矢野を犯して殺すつもりだった?」

 俺の言葉に刑事が神妙に頷く。

「まだ推測ですが、これから取り調べをしてきっちり全部吐かせます。自白しなくても、物証あげて逃がしません。金輪際、あいつに怯える必要はありませんから安心してください」

 と言われて安心できるはずもなく。

 ましてや、男は矢野の自宅近くまで迫っていたのだ。

 心底びびって腰が抜けている矢野を抱えて一旦俺の家に連れ帰った。

「犯人捕まって良かったよな」
「そうだけど。犯行を素直に認めるかな?」
「DNAとか、物証とかで追い詰めるだろ。日本の警察は優秀なんだから任せておけば大丈夫だって」

 しかし矢野は浮かない顔だ。

「安心しろって言われてもできないよな。俺だって、刑事さんに話聞いて心臓止まるかと思ったもん。お前に何もなくて良かったよ」
「星野も無事で良かった」
「で考えたんだけど、お前もまだ一人じゃ不安だろうし、俺もお前を一人にするのは心配だ。もうこの際、一緒に住まないか?」
「えっ」

 ずっと沈んでいた矢野の顔に少し生気が戻る。

「嫌か?」
「嫌じゃないよ! 星野こそ、いいのか?」
「お互いの家を行き来すんのも楽しいけど、帰る場所が同じほうがいいだろ?」

 うんうん、と力強く何度も頷いて矢野が俺に抱きついてきた。

「それともう一個朗報があるぞ」
「なに?」
「風呂場でヤッてた声を聞かれたのが親戚のおじさんじゃなくて良かったな」
「えっ、あ、こんな時になに言ってるんだよ!」

 怒ったふりをする矢野にキスをする。

 結局今回もなんだかんだあって俺たちの距離は一層縮まる結果となった。

 そして例の男は死体遺棄罪で逮捕され、数日後には殺人罪で再逮捕された。

 俺たちは新居でそのニュースを聞いた。







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2019-01-26(Sat) 21:39| よくある話| トラックバック(-)| コメント 0

よくある話(1/2)

<前作「洞窟」>

※若干ホラー風味

「星野! 親戚が別荘貸してくれるって! 次の休みはここに決まりだ!」

 あれこれあって付き合うことになった矢野が、恋人になって初の連休は特別なものにしたい!と持ってきた話がこれだった。

 矢野の言う別荘は某県の山奥にあるらしい。

 1時間かけて県境を越え、メインの峠道を外れて舗装さえされていない山道を車で行くこと更に1時間。

 途中分かれ道が出てきたときはどちらを進むかは賭けだった。車のナビでは道路の一本さえ記されていないような、そんな山奥。

 対向車が来たら困るくらい狭い道。幸い一台の車も出会わずこれた。というか、バイク一台、人っ子一人見ていない。そういえば電信柱一本見た覚えがなかった。

 木造の建物は別荘のイメージとは遠く、民家のような印象。相当年季が入っているのは間違いない。使われている木材の変色具合から見てもわかる。

 矢野が借りて来た鍵を使って中に入った時、部屋は埃とカビの湿った匂いで充満していた。空気も重苦しい。

 家の中は大型家具以外、きれいに片付けられてがらんとしていた。居間の隣の和室になぜか毛布が一枚置いてあるのがなんだか不気味だ。

「親戚が新しい布団置いてってくれたらしいよ」

 窓をあけて換気をしながら、憂鬱な空気を振り払うように矢野が言う。矢野もここまでの道中とこの別荘の雰囲気になにやら不安になった様子だ。

「まさかこの毛布のことか?」
「二階の一番大きい部屋に置いたって聞いたけど。あとで見に行ってみようぜ」
「その親戚はどこに住んでんだよ?」
「近くに住んでるって聞いたけど」
「近くに? じゃあなんでこんな場所に別荘なんて」
「さあ? 山の新鮮な空気を吸うために?」

 首を傾げる矢野になんだか嫌な予感がする。こいつは過去、吊り橋効果を狙ってわざと危険な冒険プランを何度も持ってきた。まさかまだ続けてるのか? もう意味ないのに?

 いやきっと考えすぎだ。

「ちゃちゃっと軽く掃除して飯にしようぜ」
「俺荷物下ろしてくる」

 矢野が外の車へ戻った。その間に俺は部屋の明かりをつけ、水道の水質チェックをし、ガスコンロが使えることを確認した。

 戻ってきた矢野と一緒に、来る途中寄った大型スーパーで買った食材を冷蔵庫の中へ入れていく。ブレーカーをあげたばかりで冷蔵庫の中はまだ冷えていない。冷蔵庫も年代物で、ちゃんと冷えるのか不安だ。

 掃除をしたら少し汗をかいた。矢野も同様。

「先に風呂に入るか?」

 俺の提案に顔を赤くして矢野が頷く。

 床と壁は目の細かいタイル張り、小振りな浴槽、小さな窓、という田舎のおばあちゃんちを思い出すような風呂場。日が陰ってきてオレンジ色の明かりが窓から差し込む。

 順番に体を洗って狭い浴槽にふたりで入った。俺の前に座る矢野の首筋に吸い付く。矢野が身じろぎする。手を前に回し、半立ちのちんぽを握った。

「あ、だめ、お湯汚しちゃうだろ」
「やりまくるつもりでここに来たんだろ」
「だめだって、星野、あっ…」

 湯船のなかで手を動かしたら簡単に勃起した。

「やだ、あ、ああん」
「いつもより感度いいくせに」
「ちが…あ、アアッ、止め…、ほんと、出ちゃうって」
「立てよ、口でやってやる」
「いいよ、そんなっ」
「ほら、早く」

 しぶる矢野を立たせてこちらを向かせる。目の前にびしょ濡れの勃起ちんぽ。少し湯気が立っている。前は男のちんぽなんか触るのも嫌だったのに、今じゃ平気で口に咥えられる。唾液からめながらジュルジュルジュルッて吸い上げたりしゃぶれたりもできる。

 環境が人を変え、成長させてくれるんだなあ。

「あ! や、だめ、星野…! もうやめて、出る、出ちゃうから…あぁんっ」
「いつもより早いな」
「だって、気持ちいい…ッ、あ、あ! ほんと出る、出るってば!」

 ビューッと勢いよく咽喉の奥に生温い液体がかかる。顔を横に向け、排水口めがけてそれを吐きだした。さすがにまだ飲み下すのはハードルが高い。

「次は俺の番だぞ。そのまま壁に手をつけよ」

 ボディソープと一緒にこっそり風呂場に持ちこんだローションの蓋をあけた。これからなにをする気かなんて矢野もとっくにわかっているから、俺に向けた尻たぶを自分で広げて待っている。

 付き合い出してすぐ、いつから俺のことが好きだったのか、オナネタに使っていたのか、興味本位であれこれ聞いた。大学入学してすぐ俺のことを好きになり、それ以来ずっとオナネタは俺だと言う。

 その頃から俺に抱かれる妄想をして後ろの穴も弄っていたらしい。ここを自分で、と思いながらローションを矢野の穴になじませていると妙に興奮する。

 昨夜もセックスしたせいか、中は柔らかい。

「そろそろいいか」

 俺の独り言に矢野が「早く入れて」と応える。体を密着させて風呂に浸かっていたときから俺のちんぽはすでに勃起していた。あえて立たせる必要のないちんぽにもローションをなじませ、矢野の穴に生のまま、ゆっくり挿入した。

「はあ……!! ああ、あ、あぁん、き、た…ぁ…星野のちんぽ、はぁああ、おっきぃ…!」

 矢野は気持ち良さそうに中をうねらせながら締め付けてきた。何度味わっても新鮮な驚きを感じる具合の良さ。矢野と付き合う前に女とは経験済みだがそれを上回る気持ちの良さだ。

「あんま締めるな、すぐ出ちまうだろ」
「ちが、だって…俺またイキそうだから…、ああっ! 待って、まだ動くのやめ…、あ、あぁんっ!」

 矢野の体を掴んで腰をゆっくり振った。矢野とセックスするようになってから、少しでも気持ち良くさせてやりたくて俺も男同士のセックスを勉強したつもりだ。そこで知った前立腺に当たるように亀頭を擦った。

「あ、あぅん……だめ、そこ、あ、ああ……っ」

 だめと言いながら矢野は壁に爪を立ててさらに俺を締め付けてくる。少し離れると「だめ、抜ける…!」と自分から尻を押しつけてくる。

 焦らすように殊更ゆっくりちんぽを押し込み、また抜ける寸前まで引いた。何度か繰り返しただけで穴は充分に解れ、矢野は立っていられないくらい、出来上がっていた。

「もう、焦らさないでよ……もっと激しくしていいから…星野ぉ…」

 物欲しそうな、切ない矢野の声。俺も限界なので今度は激しくピストンする。ブチュンバチュンと笑っちゃうくらい下品な音が結合部から聞こえる。湯船のお湯も波が立ってバシャバシャ跳ねる。

「やっ! あっ、ああん! なか、すご…! あ、あん! 星野の、ちんぽ、気持ちい…!」
「もっと声出せよ、こんな山奥のド田舎、誰もいないんだから」
「ああ! あ、あ! や、やだ、あぁん! そこ、触ったら、だめ、声、止まんない…!!」

 さっきからベチンベチンと間抜けな音を立てていた矢野のちんぽを扱く。矢野はゆらゆら腰を揺らしながら、あんあん声をあげる。

 ふと思いついて窓をあけた。涼しい空気が一気に流れ込んでくる。ここから見えるのは鬱蒼と立ち並ぶ木ばかり。おかげでもう外は薄暗い。

「窓、閉めろ、よ……あ、あん、ああん!」
「開放的でいいだろ。風呂場で声が響くから、初めてお前とヤッた洞窟を思い出すな」
「あ、う、うん、思いだ…ひ、い、やあ、あ、ん」
「あの時からお前感度抜群だもんな。エロすぎるだろ、お前の体。ほら、もっと声出せよ」
「は、ずかし、から…言うなよ…ぁ…あ、あん、もうだめ、出る!」
「矢野の声、もっと聞きたい」
「や、ああっ、星野ぉ、あっ、あんっ、もお、イク…! ごめ…、また俺…! ああっ、ん! あっ、イク、イクゥ!!」

 大きな声で喘ぎながら矢野は射精した。外の樹木がその声を吸収する。

 物音がしない静かすぎる山奥。動物の鳴き声さえ聞こえない。

 俺も雰囲気の飲まれてたんだと思う。だから余計、矢野に声を出させたくなってしまったのだ。



 風呂を出て夕飯を作った。と言っても切るだけ、温めるだけの、簡単な料理だ。

 恋人と二人の食事を楽しんでいたら突然「ジリリリリッ」と家中に響くような呼び鈴がなった。

 矢野と顔を見合わせる。

「こんな時間に誰だ?」
「わかんない……、あ、親戚のおじさんかも。一回顔出すって言ってたから」

 小走りで矢野が玄関に向かう。慌ててあとを追った。ミステリー小説を読まない俺だって、この登場の仕方は不吉だってわかる。

 訪問者を親戚だと疑わない矢野が玄関の戸を躊躇なく開けた。傘立てにささっている謎の鉄パイプを俺は横目に確認した。怪しい奴ならこいつで撃退してやる。

「やあ、こんばんは」

 玄関に立っていたのはハンチングをかぶり、泥のついたチノパンと深緑のジャンパーを着た初老の男。男は満面の笑みで俺たちに挨拶をした。

「あ、水戸のおじさん?! お久しぶりです!」
「ひさしぶりだねェ。元気にしてたかい?」
「はい、おかげさまで。あと、別荘貸してくれてありがとうございます。こっち、俺の友達の星野です」

 矢野の紹介を受けて俺も男に挨拶をした。男は一瞬俺を見るとすぐ矢野へ向き直った。

「不便はないかい? 何か困ったこととか、かわったこととか」
「なにもないです。それどころか新しい布団を用意してもらっちゃって…。すいません、僕たちで用意しなきゃいけないのに」
「いいよ、そんなこと。もしかして、夕食の最中だった?」

 水戸のおじさんは鼻をスンスン動かした。

「あ、良かったらおじさんも食べて行きませんか? レトルトのカレーなんですけど。酒はいっぱいありますよ
「いやあ、二人の邪魔しちゃ悪いよ」

 水戸のおじさんがねっとりと意味深な目で俺たちを見る。

 え、もしかして。

「ごめんね、さっき裏で作業してたら、二人の声が聞こえちゃってね」
「え? 声って?」

 こんなところで矢野が天然ボケをかます。なんてこった。思わず天を仰いだ。

「二人で一緒に風呂入ってたでしょう? 声がね、丸聞こえだったんだわ」

 絶句した矢野の顔が瞬間的に真っ赤になった。水戸のおじさんも照れ隠しか大きな鼻の頭を掻く。

「すいません、あれはふざけてただけっていうか」

 固まってしまった矢野にかわって俺が悪あがきの言い訳。水戸のおじさんは皆まで言うなとばかりに手で制した。

「いいよいいいよ。都会の若い子は進んでるからなあ。初めてで驚いたけど、別に悪さしてるわけじゃないんだから」

 ハンチングを目深にかぶり直すと、おじさんは「なんかあったら遠慮なく言いな」と俺たちに背を向けた。思い出したように振り返って「いつ帰るんだったっけ?」と問う。矢野はまだ固まっているので俺がかわりに明後日の昼前に出るつもりだと答えた。

「見送りに来るよ」

 それじゃあ気を付けて、と水戸のおじさんは帰って行った。

「もー! 星野のばか! 何が開放的だ! どこがド田舎だ! ばっちり聞かれてんじゃんかよー!!」

  解凍された矢野が真っ赤な顔で俺に抱きついてくる。

「こんな場所で他に誰かいるなんて思わないだろ。お前だってノリノリだったくせに俺一人のせいにするなよ。だいたいお前の声がでかすぎるんだろ」
「気持ちよかったんだから仕方ないだろー!」

 痴話喧嘩にもなんないようなくだらなくも平和な言い争いをしたあと、食事に戻り、夜になり、俺たちはまた性懲りもなくセックスしていた。

 水戸のおじさんに聞かれていたショックが相当でかかったようで、矢野は声を抑えめだ。

「窓締めてるから大丈夫だって」
「まだ裏で作業中かもしれないだろ」
「こんな真っ暗なのにいるわけないだろ」

 チュッチュとキスしながら体中を愛撫してやる。矢野の体から力が抜けていく。弱い乳首を吸うと泣きそうな声をあげた。

「もお…早く入れて……!」
「どこに? なにを?」
「ばか…! わかるだろ」
「だってまた俺のせいにされちゃかなわないからな」
「……星野の、ここに、入れてよ……!」

 自分から足を掬い上げて、その奥を俺に見せつける。ひくつく穴にカウパーをなすりつけた。ぐ、と力を入れるとブリュンッと亀頭が飲みこまれた。

 ズブブと竿を奥に進める。

「は、ああ、あぁんっ」

 蕩け切った顔で矢野が喘ぐ。娯楽がひとつもない山奥に明後日までいる予定。俺たちはいったい何回セックスするだろう。セックス三昧の連休を想像しただけで、下腹部が熱くなった。







2019-01-25(Fri) 20:35| よくある話| トラックバック(-)| コメント 0

カインとアベル(3/3)



「前に彼女とエッチしたのいつ?」
「いつって……わかんね……、三ヶ月? くらい、前」
「回数も、俺としてるほうが多いんじゃない? 最近忙しくてしてなかったけどさ。それでも三ヶ月も前ってことはないでしょ」

 押されてベッドに仰向けになった。俺の足を押し開いて、守がのしかかってくる。

「弟よりセックスしてない彼女と、ほんとに結婚する気?」
「えっ? あ」

 さっきむかついて彼女と結婚するとかしないとか口走った気がする。

「あ、あれは……ただの勢いつーか、あくまで未定の予定であって……」
「じゃ、まだ結婚はしない? 彼女もつれこない?」
「……来ない」

 というか、守の気を引くための嘘だ。

 良かった、と守は嬉しそうに笑った。

「お互い誤解も解けたし、兄ちゃん、俺にちんぽ入れて欲しい?」
「な、なんで、毎回それ言わすんだよ……! なんの意味があるんだよ、どうせやること同じだろ!」
「同じじゃないよ。ちゃんと兄ちゃんに言って欲しいんだよ。兄ちゃんに求められてんだって実感したいの」
「そんな……でも……」
「兄ちゃんは昔からなんでもできて優秀だったよね。俺の憧れだったよ。その兄ちゃんが俺のために恥ずかしいの我慢してくれんのがすっごい嬉しい。だって兄ちゃん、高校入ったくらいから冷たくなったじゃん。反抗期になった俺の相手が面倒臭かったんだろうけど。おまけにその頃ショタだって自覚してさ。だからあの日、俺の部屋に来て、俺のためにセックスしてくれて、死ぬほどうれしかったよ。俺、出来損ないだからさ。こうでもしなきゃ、兄ちゃんに触ることもできないんだ」
「お前は出来損ないなんかじゃない!」

 電話でも守は自分を出来損ないだと言った。俺も頭に血が上って、守に出来損ないだと言ってしまった。

「さっきは……頭きて。お前に彼女できたと思って。俺とやってる時に、彼女の電話出るとかまじありえないだろって。だから……、出来損ないだなんて、ほんとに思ってない」
「ユキさんに、嫉妬したってこと?」

 頷くと守は笑った。

「兄ちゃん、俺のこと超好きなんじゃん。じゃあ、言えるよね? 俺のなにが、どこに欲しい?」

 亀頭を肛門になすりつけながら守が意地悪く訊ねる。

「う、あ、守の……、ちんこ、俺の、後ろ……!」
「何回も言ってるのにまだ恥ずかしい? 守の勃起おちんぽ、兄ちゃんのおまんこに入れて、でしょ」
「なんで……! 俺、いま、翔太だろ」
「俺はもうずっと、兄ちゃんだと思って抱いてたけど?」
「ど、どういう」
「わかるでしょ。俺も兄ちゃんのこと、超好きだってこと」

 ずぶっと守のちんこが入ってきた。

「はあっ!」
「あれ、さっきまで入れてたのになんかキツい。仲直りセックスで興奮してる?」
「守、守……! あ、あ、やば……変、ああ、ああっ」

 俺のちんこから精液がビューっと飛び出した。

「すっげ、トコロテンじゃん。兄ちゃん、スケベな体になったよね」
「ああっ、守、動くな、まだ……動いたら……ッ!」

 頭の中が真っ白になった。体がガクガク震える。精液が出ていないのに俺は絶頂を迎えていた。

「またイッた? ドライ? まじで?!」

 楽しげに興奮した守の声も遠く聞こえる。頭の先からつま先まで快感が全身に広がっている。気持ちよさがホワホワと心地よい感覚。

「そんな気持ちいい?」
「い、い……気持ちい……!」
「兄ちゃん、俺のちんぽ好きでしょ?」
「う、うう」
「素直になんなよ。守のおちんぽだいしゅきって言ってみな」

 なんでこいつは毎回俺に言わせようとする言葉がかわるんだ。しかも決まって恥ずかしい言葉に。

「メスイキするくらい、気持ちよかったんだろ? 彼女とヤッてここまで気持ち良くなったことあんの? ないだろ」

 守のちんこがゆっくり出たり入ったりしている。二度続けてイッたばかりの俺にはそれすら快感が強すぎる。

「待っ──あ──……あ、やめ、あ、あぁッ」
「またイキそ? すっげー。めちゃくちゃ敏感になってるじゃん。ほら、素直に言わなきゃ、また強制アクメきちゃうよ?」

 俺のちんこの根本を強く握って守が腰を振る。

「わかっ……!! わかった、だからやめ……ストップ!!」
「じゃ、言って。守のおちんぽ気持ち良すぎてメスイキとまんないって」
「ま、守の、おちんぽ、気持ちよくて、メスイキ、とまんない」
「兄ちゃんかわいい」

 嬉しそうに言うと守は俺にキスをしてきた。ヌルヌルと溶け合うようなねちっこいやつ。どっちのかわかんない唾液を何度も飲み下した。

「俺とセックスすんの、好き?」
「さっき言っただろ」
「あれは俺のちんぽが好きかどうかだろ。いま訊いてんのは俺とセックスすんのが好きかどうか。さっき兄ちゃん、嫌々してるって言ってたじゃん。自分を犠牲にして、我慢して俺とセックスしてたって」
「あっ、あれも、お前に彼女が出来たと思ったから」
「ああいう時って本心が出るよね。あれが兄ちゃんの本心だったわけ?」
「違う! いや、最初はそりゃ嫌々だったけど……! でも、今は違うって……、そんなん、俺の反応間近で見てるお前が一番よくわかってんだろ」

 守は意地の悪い顔でニヤニヤ笑っている。

「まあね。いくら弟がホモでショタコンの引きこもりでも、家から出すために普通セックスしないよね。言われるままに恥ずかしい格好して、外でヤッたり、あそこの毛、剃らせたりさ。素質がなきゃやんないし、あんなに何度もイカないよね」
「わかってるくせに、今更訊くなよ」
「兄ちゃんがかわいい反応するから、いじめたくなっちゃうんだよ」

 俺の乳首を弄りながら守は腰を動かした。心地よい快感がじんわりそこから広がっていく。それに身を任せたらまたイケる自信がある。何度もイクのが怖い。経験したことないような強い絶頂感だった。あれを立て続けに何度も食らったら気が狂いそうだ。

「あっ、そだ、また忘れるとこだった」

 守は机のスマホを取った。俺にレンズを向けてシャッターを切る。

「ちょ! なにするんだよ!」
「ユキさんにね、兄ちゃんとのハメ撮り見せろって言われてたんだ」
「ハメ……! お前! ユキって奴にどこまで話した?!」
「全部知ってるよー。そこまでしてくれるなんて、素晴らしいお兄さんだねって褒めてたよ」
「なんでそんなこと! 兄弟なんだぞ!」
「ユキさんて聞き上手なんだもん。口は堅い人だから安心していいよ。だから俺もフィギュアの制作、頼めたんだし。あ、データは渡さないから。だってユキさん、兄ちゃんオカズにシコりそうだもん。俺に負けず劣らずの変態だからさー」

 しゃべってる間も守はシャッターを押し続けた。パシャ、パシャ、と俺の顔や体、勃起ちんこや結合部に至るまで、すべてを撮影した。

「写真撮られて興奮してる? 我慢汁いっぱい垂れてるよ。中もギチギチに締め付けちゃってさ」
「や、やめ……、恥ずかしい、だろ……!」
「兄ちゃんのいやらしいフィギュア、作ってもらおうね」

 スマホを横に置くと守はガンガン突き上げてきた。

 俺と守の関係を、見ず知らずの第三者に知られている。それどころか、ハメ撮り写真を見られてそれを参考にフィギュアを作られるのだ。

 守はそれをどうする気だろう。部屋に飾ってたまに動かして、時々はオナニーに使ったりするんだろうか。守にとって俺は少年より性欲をかきたてられる存在になれたのだろうか。

「守……、俺、もう、ショタの格好、しなくてもいいのか……?」
「しなくていいよ。はっきり言って、初めから似合ってなかったしね。兄ちゃんがしたいなら別にしてもいいけど。俺はどんな格好の兄ちゃんでも興奮できる性癖になったから」
「じゃあ、もうしない」
「どんな姿でも、兄ちゃんはかわいいよ」
「俺のこと、好きか?」
「好きだよ」

 嬉しいと同時に悲しい。

 親父、母さん、親不孝な息子でごめん。たぶん俺も守も、一生独身。誰とも結婚しないし、子供も作らないと思う。

 誰にも迷惑かけずに、二人だけで生きていくから。それが俺たち兄弟の幸せだから。

「忘れないうちに、もう一回、メスイキしとこうね」

 ガクガクと激しく揺さぶられる。

「ああっ! あ、あんっ、だ、めっ、そんな強くしたら、あっ、ああっ!」

 強い刺激にまた頭の奥から白い靄が広がっていく。

「兄ちゃんのアヘ顔も写真撮っとかないと。これはユキさんには見せないよ、俺だけのものだもん」

 守の声。カメラのシャッター音。全部が遠い。

 ただただ、ぬるま湯みたいな気持ち良さに包まれて、俺は幸せだった。




蟷螂の檻(1)




2018-12-07(Fri) 19:06| カインとアベル| トラックバック(-)| コメント 2

カインとアベル(2/3)

<前話はこちら>

 あいかわらず翔太くんの衣装はきつかった。スカートから俺のちんぽははみでてるし、上の衣装も小さくて腹が見えている。

「兄ちゃん、ここ、伸びてきちゃってんじゃん。ちゃんと剃らなきゃ」

 自分のちんこを俺にぶっさしながら守が俺の陰毛を撫でる。中途半端な伸びかけで手に引っかかる感触が気持ち悪い。

「もう、剃んねえよ……!」
「こんなので、彼女とセックスしてたの?」
「するわけないだろ」
「セックスレスで、彼女に怪しまれない?」

 守の言う通り。彼女には浮気の探りを何度か入れられた。

 守に剃られたのは二度目。一度目は疲れているとかなんとかで誤魔化せた。立て続けの二度目はそれも通用しなくなって、守が会いにくるせいで休日も会えない日が続き、彼女が浮気を疑うのも当然だった。

 実際、これは浮気みたいなもん。いや、実の兄弟でセックスしてるなんて浮気以上か。人を異常な泥沼に引きずり込んでおいて、守のクソ野郎は……!

 ゆさゆさ揺さぶられて、もうすぐイキそうって時に守のスマホが鳴った。

「あっ」

 と声をあげた守は机のスマホに手を伸ばし、こともあろうか電話に出た。

「もしもし!」
「嘘だろ……」

 ショタアニメのコスプレさせた実の兄にちんこ突っ込んでる状況で電話に出るか?!

「いま思い出したとこ! ほんとだって!」

 家族以外と明るく話をする守なんて何年ぶりにみるだろう。小学/生以来じゃないか?

「それはあとで……うん、そう……何言ってんの、おかしいんじゃない。本気で言ってる?」

 キャッキャと守が笑う。電話の相手はそれなりに親しい相手。まさかと思うが彼女じゃないよな?

「もー、仕方ないなあ。ユキさんだから特別だよ。でもちょっとだけ!」

 ユキ?! いまこいつ、ユキっつったか?!

 まじで相手彼女かよ!!

「……ほんとそれな! いまのとこ就職してよかったわー。ユキさんいなかったらとっくに辞めてたかもしんない」

 はあ?

 こいついまなんつった?

「いやほんと。俺って出来損ないだからさ。生きてく楽しみできたのも、ユキさんのおかげだよ」

 ギュッて。心臓のあたりが苦しくなった。

 こいつをあの部屋から出すために俺が払った犠牲はなんだったんだ?

 どんな理由であれ、こいつがまっとうな大人として働きだして、兄として嬉しかったんだぞ。

 俺の処女も、近親相姦の罪の意識も、精液まみれのプライドも、俺が差し出したものは一切守の口からは語られない。

 ユキさんのおかげ? ユキさんがいなきゃ仕事辞めてた? ユキさんのおかげで生きていくのが楽しい?

 ふざけやがって。

 俺はなんだったんだよ。

 俺はお前のなんだったんだよ!!!

「あ、うん、それは明日……送らないよ、俺だけのもんだもん。見せるだけ。また明日……て、あ、ちょっ……」

 守を突き飛ばしてベッドから飛び降りた。ずるっとちんこが出る感触に危うく感じそうになったが、腹立つわ情けないやらでそれどころじゃない。

「なに、兄ちゃん、いきなり」

 守は通話を切ったスマホをまた机に戻すと、仁王立ちでブルブル震えている俺に手を伸ばしてきた。

「触んな、死ね!!!」

 俺の剣幕に驚いて守が手をひっこめる。

「あ、電話出たから怒ってる? ごめん、ちょっと約束あって、忘れてたから咄嗟に出ちゃったんだよ」
「だったらそっち……! 優先しろや……!!」
「えっ、なんで泣いてんの?」

 慌てて守が立ちあがる。守は全裸。俺はピチピチのコスプレ衣装。なにこの兄弟。いい年して、なんでこんな馬鹿げた格好で馬鹿げたやり取りしてんだろう。

「お前最悪! 俺にこんなことさせておいてさあ!!」
「えっと……、そんなに翔太くんやだった? 今更どうしたんだよ。いつもノリノリだったじゃん」
「いつも嫌々だったに決まってるだろ!! お前みたいな出来損ない! どうにかしなきゃと思って! 俺が犠牲になれば済む話だと思ったから! 我慢してお前の相手してやってたんだよ!」

 傷ついた顔で守が絶句する。なに被害者面してんだよ?! 俺にやったこと全部棚あげか!? 忘れたなんて言わせねえぞ!

「もう嫌だ! もうこんなことやめる! もう二度としないからな! 約束?! 知るか! お前がまた引きこもりに戻ろうが男の子に手を出して捕まろうが俺の知ったこっちゃねえ! お前のことなんかどうでもいい! 野垂れ死のうが、彼女とよろしくやってようが! 俺にはなんっっっっっっの! 関係もない!!!」

 怒鳴りながら涙が溢れて止まらなかった。情けねえ。弟にいいようにされて。挙句、ポイと捨てられて。

 裏切りだ。人を変態の道に引きずり込んでおいて、自分だけさっさとまともな道に戻るなんて。俺はもう、引き返せないっていうのに……!

「そんなに嫌々俺の相手してくれてたんだったら謝る。けどその前に、いっこ訊いていい? 彼女ってなんのこと?」
「はあ?! しらばっくれんな! 母さんも知ってんだぞ! お前がいま電話してた相手! ユキって女! 彼女なんだろ?!」

 ぽかんと顔をしたあと「ぶはっ」と守が吹きだした。

「ユキさん? 彼女? ありえねー!」

 腹抱えてエビぞりになって笑う。

「ユキさんて、俺の会社の人で男だよ、おとこ! 雪本って苗字でみんなからユキさんって呼ばれてるだけ。え、母さんも勘違いしてんの? まじかー」
「ごまかされねえぞ。さっきも電話で好きだとか会いたいとか話してたの聞いてたんだからな!」
「えー? あー、あれ! あれは……サプライズだからあんま言いたくないんだけど」
「言え!」

 考える時間を与えてはいけないと思って間髪入れず叫ぶ。

「仕方ないなあ。ユキさん、造形師でさ、兄ちゃんのフィギュア作ってもらってんの」

 どんな嘘も見破ってやるぞと待ち構えていたが、思いがけないワードに思考が一瞬止まった。

 ぞうけいしってなんだ。俺のフィギュア?

 フルチンのまま守はベッドに腰かけて話しだした。

「ユキさんが作ったフィギュア、俺もいっぱい持っててさ。覚えてる? 俺の部屋にあったやつ。あれ、三分の一はユキさんが作ったんだよ。いまのとこも、ユキさんがいるから面接受けたんだし。ユキさん、俺の性癖一発で見抜いてさ。ユキさんもショタ好きなんだよね。そんなわけで意気投合して、フィギュア作ってもらえることになったわけ」
「俺、俺の?」
「そう」
「兄ちゃんの小さい頃の写真いっぱい持ってって見せたんだけど、なんか違うなーって。どうせ作ってもらうならいまの兄ちゃんの姿がいいと思って。だから兄ちゃんの写真撮ってくるから待ってってお願いたタイミングで兄ちゃんが家に来るからさ。今日写真撮れそうってユキさんに電話してたの。好きだって言ったのはユキさんが作るフィギュアのこと。会いたいって言ったのは、兄ちゃんのフィギュア。これで誤解、解けた?」

 辻褄は合っている。無理なところも破綻しているところもない……気がする。それでもどこかおかしいところはないかと守の話を反芻する。どこも見つけられない。というか、守の話を信じたい俺がいる。

「兄ちゃん、おいで」

 とまた守が手を伸ばす。なんで年下のお前のほうが兄貴ぶってんだ。

「おいでって、ほら」

 強引に俺の腕を掴んで隣に座らせた。

「俺に彼女できたかもって思って怒ったの?」
「ちげーし」
「もう俺の相手すんの、やになった?」
「だっ……それ、は……」
「そりゃ怒るよね。こんな格好させられて」

 守は翔太くんのスカートをもちあげた。

「ここ、こんなにされて」

 と伸びかけの股間の毛を撫でる。

「兄ちゃんはもう、俺のちんぽなしじゃ生きられないのにね?」
「なっ、そんなわけ!」

 守は俺の首を舐めながらちんこを握ってきた。萎えてたのに、真相がわかって、守に触られただけでそこはまた立ちあがる。







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2018-12-06(Thu) 22:29| カインとアベル| トラックバック(-)| コメント 0

カインとアベル(1/3)

<「長男としての責務」→「久しく為さば須らく」>

「あら、珍しい」

 久しぶりに実家に顔を出したら母さんが驚いた顔をした。

「ほい、土産」

 来る途中で買った饅頭を渡してリビングへ。親父がゴルフを見ているが守の姿はない。日曜の昼間だってのに、あいつはどこにいったんだ。

「守ならいないわよ」

 母さんの一言にぎょっと焦った。俺と守がしてるあれやこれやを見透かされたんじゃないかと思って。でも母さんは俺なんか見てなかった。饅頭の包みを開けながら、

「守ね、彼女できたみたい。ユキさんって名前の。最近ずっとメールとか電話でやり取りしててねー。嬉しそうな顔してんの。これもみんなお兄ちゃんのおかげだわ」

 と嬉しそうに言う。

 半年ほど前まで守は引きこもりだった。

 結婚を意識した彼女が俺の親に会いたいと言いだして、俺は長年見てみぬふりをしてきた引きこもりの弟をどうにかしなきゃと守の部屋を訪ねた。

 そこで初めて守がショタコン変態野郎だと知った。守は半裸の少年のポスターやフィギュアに囲まれた部屋で自分の変態世界に浸り切っていた。

 こうなるまで放置した責任は長男である俺にもあると思って、文字通り一肌脱いで守を社会へ引きずりだすことに成功した。

 あいつのために。あいつの言いなりになって。

 着たくもない小さな服を着せられて。なりたくもないショタコンアニメの主人公になりきって。したくもない守とのセックスに耐えてきたというのに。

「あいつに、彼女……?」

 腹の底にゾワゾワと黒いものが蠢いた。

 自分の存在を盾にして俺に変態趣味を強要していたくせに、自分はなにちゃっかり彼女とか作ってんだよ?!

 お前は小さな男の子にしか興奮しないショタホモだろうが! お前の歪んだ欲望に付き合ってやれるのは俺だけだろうが! 女とか! お前がさんざん汚らしいと罵倒してきた相手と今頃!!

 社会に出てみて、やっと生身の女の良さに気付けたって?!

 ざっけんな! 引退して髪の毛伸ばし始めた高校球児みたいな俺の股間はどうなるんだよ! お前が剃らせてくれって拝み倒してきたんだろうが!

 どうりで! 最近顔見せないと思ったら、彼女とやりまくってたからかよ!

 そういや、あいつのショタホモ趣味も本物か怪しいもんだ。いくら俺とセックスする条件があったからって、それまで後生大事にしてきたフィシュアやポスターをあっさり捨てられるなんて、所詮その程度の性癖だったってわけだ。

 ファッションショタホモかよ。矯正可能の性癖なんて偽物じゃねえか。本物のショタホモ野郎共に謝りやがれってんだ!!

「晩ご飯、食べてくでしょ? 今日はお鍋にしようかしらね~」

 親父と饅頭を頬張る母さんは嬉しそうだ。一時はどうなるかと将来が不安だった守が、自分の部屋を出て、鬱陶しかった髪の毛を切り、就職先を見つけてきたと思ったら今度は彼女だ。そりゃ嬉しいに決まっている。

 俺の預かり知らぬところでそういう展開だったなら、俺も素直に喜べただろう。だがしかし、俺はがっつり預かり知っている。なんなら巻きこまれている。挙句、使い終わったテイッシュみたいな扱いを受けている。

 処分されたフィシュアやポスターのように。守は俺を処分するだろう。俺が最初、守の存在を恥ずかしいと思ったように。守は彼女に、俺の存在を隠そうとするだろう。なかったことにするだろう。

 俺をさんざん犯しておきながら。ただの思いつきで人の股間パイパンにしておきながら。

「許すまじ」

 怒り心頭。体が震えた。



 夜の十時過ぎになって守が帰ってきた。玄関の靴で俺がいることには気づいているだろうにリビング素通り!

 階段上る守に「ごはんはー?」と母さんが声をかける。

「食べてきたからいらない」

 三週間ぶりぐらいに聞いた守の声。

「彼女と食べてきたのかしらねー」

 母さんは嬉しそう。確かに、誰かと外食している姿なんて半年前の守からは想像もできない。というか、厨二病こじらせた中三くらいからあいつ友達いなかったから、人付き合い自体いったい何年ぶりだって話になる。

 兄としては、弟がまともに生活していることを喜ぶべきなんだろうが。

 私生活にまで影響受けるくらい被害を被った俺としては、一言文句言ってやらなきゃ気がすまない。

 親父と母さんはクイズ番組を見ている。お互い回答を言い合う、仲睦まじい夫婦だ。彼女と結婚したら親父たちみたいになりたいと、密かに思っていた。今は二人に申し訳ない。

 のっぴきならない状況だったとはいえ俺は血の繋がった守とセックスした。そのことを知ったら二人は卒倒するだろう。

 勘当レベルのことをしたのに、当の守は俺の罪悪感なんかお構いなしで彼女なんか作りやがって。

 俺はそっとリビングを離れた。



 守の部屋の前で立ち止まる。中から微かに話声が聞こえてくる。誰かと一緒かと思ったが、守の声しか聞こえないから電話でもしているのだろう。

 あの守が、家族以外の誰かと電話で会話している。社会人なら当たり前の行動に、俺はまだ驚いてしまう。

 もしかして電話の相手は彼女かもしれない。ドアに耳をあて、聞き耳をたてる。

「……た……さすが……ユキ……ずっと……ん、好きだ……た……会いたい……」

 あー、もうこれ確定っすわ。

 電話の相手は彼女。守に彼女!!

 俺の自尊心も! 兄としてのプライドも!! 全部踏みにじって精液まみれにしてくれやがった守に彼女!!!

 笑わせやがる。

 ドアを蹴破らんばかりに開けると、守がビクッと体を震わせた。

「兄ちゃん……」
「あー、悪い悪い。電話中だった?」
「いや、いま終わったとこ」

 スマホを机に置いて、守はコートを脱いだ。コート脱ぐ間も惜しいくらい、早く彼女と電話でお話したかったんですね、わかります!

「最近どうよ」
「ぼちぼちやってるよ。仕事はしんどくて辞めたいけど、まあ、楽しいこともあるし」

 楽しいことってもちろん彼女のことデスよねー! もしかして相手は同僚か?

「兄ちゃんこそ、どうしたの。珍しいじゃん、こっち来るなんて」
「んー、ちょっと? こっちに用あって?」
「なに、俺の顔見たくなった?」

 どの口がそんなこと言うんだよ。

「ちげーよ。そろそろさー、彼女と正式な顔合わせ? した方がいいのかなーって思って」

 出任せに嘘をついた。守の顔から笑みが消える。

「結婚するってこと?」
「そりゃあお前、そのつもりで付き合ってんだし」
「ふうん」

 俺に背を向けコートをクローゼットにかける。下の引きだしをゴソゴソやって守が振り返る。手に持っているのは翔太くんの衣装。

「結婚してもこれは続けてよ。約束なんだから」

 と俺の足元に翔太くんの衣装を投げ捨てた。

「着て。早く」

 口調も動作もなんかキレ気味。

 おかしくない? お前はキレる立場にいないだろ。彼女いるくせになんでこんなことさせるのか意味わかんねえよ。やっぱお前、俺でしか興奮できないんじゃないのか?

 腕を伸ばし、衣装を拾った。







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2018-12-05(Wed) 20:43| カインとアベル| トラックバック(-)| コメント 0

ご挨拶

お越しくださりありがとうございます。 初めに「当ブログについて」をご一読くださいますようお願い致します。
管理人が以前、某掲示板で書いていたものをここで再利用しています。決してパクリでは御座いません。そしてお願い。GKさんの小説を保存しておられる方いましたらぜひご連絡頂けないでしょうか。いまとても読みたいのです…

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