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更新履歴・お知らせ

2018/2/19
続・嫁に来ないか1、更新

2018/1/20
嫁に来ないか2、完結

2018/1/19
嫁に来ないか1、更新

2017/11/21
雨の日の再会2、完結

2017/11/20
雨の日の再会1、更新

2017/11/19
ピンクの唇、完結

2017/11/2
赤い爪、完結

2017/10/28
スカートめくり、完結

2017/10/23
続続続・ひとでなし2、完結

2017/10/22
続続続・ひとでなし1、更新

2017/10/21
続続・ひとでなし2、完結

2017/10/20
続続・ひとでなし1、更新

2017/10/19
続・ひとでなし2、完結

2017/10/18
続・ひとでなし1、更新

2017/09/08
ひとでなし2、完結

2017/09/07
ひとでなし1、更新

2017/09/02
ほんとにあったら怖い話2完結

2017/09/01
ほんとにあったら怖い話1更新

2017/07/28
コンビ愛更新、完結

2017/07/06
第二ボタン2更新、完結

2017/07/05
第二ボタン1更新

2017/05/25
ちょろくない2更新、完結

2017/05/24
ちょろくない1更新

2017/05/16
やっぱちょろい2更新、完結

2017/05/15
やっぱちょろい1更新

2017/02/11
メリクリあけおめ2更新、完結

2017/02/10
メリクリあけおめ1更新

2016/11/14
義父の訪問更新、完結

2016/10/27
覗き2更新、完結

2016/10/26
覗き1更新

2016/10/22
終わらない夜2更新、完結

2016/10/21
終わらない夜1更新

2016/10/16
凹の懊悩2更新、完結

2016/10/15
凹の懊悩1更新

2016/09/28
可愛さも憎さも百倍2更新、完結

2016/09/27
可愛さも憎さも百倍1更新

2016/09/22
利害の一致2更新、完結

2016/09/21
利害の一致1更新

2016/09/16
楽しい記憶喪失!3更新、完結

2016/09/15
楽しい記憶喪失!2更新

2016/09/14
楽しい記憶喪失!1更新

2016/09/13
楽しい同棲!2更新、完結

2016/09/12
楽しい同棲!1更新

2016/09/11
Phantom15更新、完結

2016/09/10
Phantom14更新

2016/09/09
Phantom13更新

2016/09/08
Phantom12更新

2016/09/07
Phantom11更新

2016/09/06
Phantom10更新

2016/09/05
Phantom9更新

2016/09/04
Phantom8更新

2016/09/03
Phantom7更新

2016/09/02
Phantom6更新

2016/09/01
Phantom5更新

2016/08/31
Phantom4更新
リンク一件追加

2016/08/30
Phantom3更新

2016/08/29
Phantom2更新

2016/08/28
Phantom1更新

2016/08/04
嘘7更新、完結

2016/08/03
嘘6更新

2016/08/02
嘘5更新

2016/08/01
嘘4更新

2016/07/31
嘘3更新

2016/07/30
嘘2更新

2016/07/29
嘘1更新

2016/07/18
Love Scars3更新、完結

2016/07/17
Love Scars2更新

2016/07/16
Love Scars1更新

2016/07/13
行きつく先は5更新、完結

2016/07/12
行きつく先は4更新

2016/07/11
行きつく先は3更新

2016/07/10
行きつく先は2更新

2016/07/09
行きつく先は1更新

2016/07/04
電話が鳴る7更新、完結

2016/07/03
電話が鳴る6更新

2016/07/02
電話が鳴る5更新

2016/07/01
電話が鳴る4更新

2016/06/30
電話が鳴る3更新

2016/06/29
電話が鳴る2更新

2016/06/28
電話が鳴る1更新

2016/06/16
今日の相手も2更新、完結

2016/06/15
今日の相手も1更新

2016/06/08
今日の相手は2更新、完結

2016/06/07
今日の相手は1更新

2016/05/25
いおや2更新、完結

2016/05/24
いおや1更新

2016/05/14
奇跡2更新、完結

2016/05/13
奇跡1更新

2016/04/28
ターゲット2更新、完結

2016/04/27
ターゲット1更新

2016/03/02
視線の先2更新、完結

2016/03/01
視線の先1更新

2016/02/23
性癖の道連れ2更新、完結

2016/02/22
性癖の道連れ1更新

2016/02/15
DL販売お知らせ

2016/01/20
尾行2更新、完結

2016/01/19
尾行1更新

2015/12/07
遺作2更新、完結

2015/12/06
遺作1更新

2015/12/02
昼夜2更新、完結

2015/12/01
昼夜1更新

2015/11/26
大小2更新、完結

2015/11/25
大小1更新

2015/11/15
彼はセールスマン2更新、完結

2015/11/14
彼はセールスマン1更新

2015/10/22
2度あることは2更新、完結

2015/10/21
2度あることは1更新

2015/09/18
死神さんいらっしゃい2更新、完結

2015/09/17
死神さんいらっしゃい1更新

2015/09/08
Congratulations2更新、完結

2015/09/07
Congratulations1更新

2015/09/01
待田くんに春の気配3更新、完結

2015/08/31
待田くんに春の気配2更新

2015/08/30
待田くんに春の気配1更新

2015/08/11
亀の恩返し2更新、完結

2015/08/11
亀の恩返し1更新

2015/08/07
Aからのメール2更新、完結

2015/08/06
Aからのメール1更新

2015/07/06
5年後2更新、完結

2015/07/05
5年後1更新

2015/07/04
待っててね2更新、完結

2015/07/03
待っててね1更新

2015/05/11
その後3更新、完結

2015/05/10
その後2更新

2015/05/09
リクエスト小説
その後1更新

2015/05/05
待田くんに春はこない2更新、完結

2015/05/04
待田くんに春はこない1更新

2015/04/30
楽しいシーソーゲーム!2
更新、完結

2015/04/29
楽しいシーソーゲーム!1更新

2015/04/21
楽しい親子喧嘩!1
楽しい親子喧嘩!2更新、完結

2015/04/16
楽しい放課後!2更新、完結

2015/04/15
楽しい放課後!1更新

2015/04/06
楽しい合コン!2更新、完結

2015/04/05
楽しい合コン!1更新

2015/04/01
楽しいお見舞い!2更新、完結

2015/03/30
楽しいお見舞い!1更新

2015/03/24
楽しい旧校舎!2更新、完結

2015/03/23
楽しい旧校舎!1更新

2015/03/16
楽しい入院生活!2更新、完結

2015/03/15
楽しい入院生活!1更新

2015/03/05
楽しい遊園地!2更新、完結

2015/03/04
楽しい遊園地!1更新

2015/02/27
楽しいロッカールーム!2更新、完結

2015/02/26
楽しいロッカールーム!1更新

2015/02/16
楽しいOB会!2更新、完結

2015/02/15
楽しいOB会!1更新

2015/02/14
一周年!!
いつもありがとうございます!
君は日向の匂い更新、完結
シンデレラアイドルのSSです

2015/02/13
保健室の先生2更新、完結

2015/02/12
保健室の先生1更新

2015/02/11
teeth2更新、完結

2015/02/10
teeth1更新

2015/02/09
楽しい初カノ!2更新、完結

2015/02/08
楽しい初カノ!1更新

2015/01/31
楽しい勉強会!2更新、完結

2015/01/30
楽しい勉強会!1更新

2015/01/23
楽しいお泊り!2更新、完結

2015/01/22
リクエスト小説
楽しいお泊り!1更新

2015/01/08
明けましておめでとうございます!
本年も宜しくお願い致します!
リクエスト小説
両想い1、2更新、完結

2014/12/12
楽しい合宿!2更新、完結

2014/12/11
楽しい合宿!1更新

2014/12/01
アガルタ2更新、完結

2014/11/30
リクエスト小説
アガルタ1更新

2014/11/23
朝のお楽しみ2更新、完結

2014/11/22
リクエスト小説
朝のお楽しみ1更新

2014/11/14
即位式2更新、完結

2014/11/13
即位式1更新

2014/11/04
裏ドSくん3更新、完結

2014/11/03
裏ドSくん2更新

2014/11/02
裏ドSくん1更新

2014/11/01
ひみつのドSくん2更新、完結

2014/10/31
ひみつのドSくん1更新

2014/10/30
伴侶1、2更新、完結

2014/10/27
支配人3更新、完結

2014/10/26
支配人2更新

2014/10/25
支配人1更新

2014/10/24
隣人3更新、完結

2014/10/23
隣人2更新

2014/10/22
隣人1更新

2014/10/15
元上司2更新、完結

2014/10/14
リクエスト小説
元上司 1更新

2014/10/10
ニコニコドッグⅡ 2更新、完結

2014/10/09
リクエスト小説
ニコニコドッグⅡ 1更新

2014/10/04
茶番2更新、完結

2014/10/03
リクエスト小説
茶番1更新

2014/09/12
「ちょろい 2」更新、完結

2014/09/11
「ちょろい 1」更新

2014/09/08
「新雪の君」更新、完結

2014/09/06
コメントお返事させて頂きました

2014/09/05
「すばらしい日々3」更新、完結

2014/09/04
「すばらしい日々2」更新
コメントお返事させて頂きました

2014/09/03
リクエスト小説
「すばらしい日々1」更新
コメントお返事させて頂きました

2014/09/01
「好きと言って4」更新、完結

2014/08/31
「好きと言って3」更新

2014/08/30
「好きと言って2」更新

2014/08/29
リクエスト小説
「好きと言って1」更新

2014/08/24
「純粋に近付いた何か2」更新、完結

2014/08/23
リクエスト小説
「純粋に近付いた何か 1」更新

2014/08/15
コメントお返事させて頂きました

2014/08/14
再会2更新、完結
コメレスさせて頂きました

2014/08/13
リクエスト小説「再会1」更新
「ノビ」の続編です

2014/07/26
コメントお返事させて頂きました

2014/07/25
息子さんを僕にください2更新完結

2014/07/24
リクエスト小説「息子さんを僕にください1」更新
娘さんを僕に下さいとは無関係ですw

2014/07/22
コメントお返事させて頂きました

2014/07/20
久しく為さば須らく2更新、完結
コメントお返事させて頂きました

2014/07/19
リクエスト小説「久しく為さば須らく1」更新
コメントお返事させて頂きました

2014/07/18
コメントお返事させて頂きました

2014/07/16
コメントお返事させて頂きました

2014/07/15
コメントお返事させて頂きました

2014/07/14
コメントお返事させて頂きました

2014/07/13
リクエスト小説「嫉妬せいでか2」更新、完結
コメお返事させて頂きました

リクエスト小説「嫉妬せいでか1」更新

2014/07/11
拍手お返事させて頂きました
お知らせ一件

2014/07/10
コメント、拍手お返事させて頂きました

2014/07/09
拍手お返事させて頂きました

2014/07/08
コメント、拍手お返事させて頂きました
耽溺 2更新、完結

2014/07/07
拍手お返事させて頂きました
リクエスト小説「耽溺 1」更新

2014/07/06
拍手お返事させて頂きました

2014/07/05
拍手お返事させて頂きました

2014/07/04
コメント、拍手、お返事させて頂きました

2014/07/03
コメント、拍手、お返事させて頂きました
吉原と拓海その後 2更新、完結

2014/07/02
コメント、拍手、お返事させて頂きました
吉原と拓海その後1更新しました

2014/07/01
コメントお返事させて頂きました
シンデレラアイドル2更新、完結

2014/06/30
拍手お返事させて頂きました
シンデレラアイドル1更新しました

2014/06/29
リクエスト募集してます

2014/06/27
拍手お返事させて頂きました

2014/06/24
目は口ほどに 更新、完結

2014/06/17
茶々丸更新、完結
獣姦っぽい

2014/06/11
連鎖 2更新、完結

2014/06/10
連鎖 1更新

2014/06/07
拍手お返事させて頂きました

2014/06/06
拍手お返事させて頂きました

2014/06/05
拍手お返事させて頂きました

2014/06/04
元旦那さん 2更新、完結

2014/06/03
元旦那さん 1更新
旦那さんの続きです

2014/05/29
昨日の記事の続きで拍手お返事させてもらっています

2014/05/28
旦那さん 2更新、完結

2014/05/27
旦那さん 1更新

2014/05/22
夢の時間2更新、完結

2014/05/21
アンケート1位小説「親子」
夢の時間1更新

2014/05/16
この物語はフィクションです更新、完結

2014/05/14
アンケート1位小説「教師と生徒」で先生受け。
信じて下さい更新。完結

2014/05/11
純粋とは程遠いなにか2更新。完結
ダウンロード販売のお知らせ

2014/05/09
純粋とは程遠い何か1更新

2014/05/01
長男としての責務2更新。完結

2014/04/30
長男としての責務1更新

2014/04/27
セフレ更新。完結

2014/04/21
嘘が真になる2更新。完結

2014/04/20
嘘が真になる1更新。
アンケート終了しました
投票してくださった皆さんありがとうございました!

2014/04/15
親切が仇になる2更新。完結

2014/04/14
親切が仇になる1更新

2014/04/11
家庭教師更新。完結

2014/04/09
惚れ薬2更新。完結

2014/04/08
惚れ薬1更新

2014/04/05
ニコニコドッグ更新。完結

2014/04/03
健やかなるときも病めるときも更新。完結
アンケート設置1ヶ月記念更新
回答ありがとうございます!

2014/04/02
お隣さん2更新。完結

2014/04/01
お隣さん1更新

2014/03/28
B3-17 はるか更新。完結

2014/03/27
会話の語尾は常にハートマーク更新。完結

2014/03/24
僕の居場所更新。完結

2014/03/21
兄弟愛(3/3)更新。完結

ストックを全て出し切ってしまいましたので毎日更新は今日で終わりになります。
これからは書き終わり次第更新していきますので、引き続きよろしくお願い致します。

2014/03/20
兄弟愛(2/3)更新。

2014/03/19
兄弟愛(1/3)更新。

2014/03/18
7歳の高校生更新。完結

2014/03/17
7歳の高校生更新

2014/03/16
裏の顔更新。完結
アンケート2位「教師と生徒」
少し違う感じになりました。

2014/03/15
残業も悪くない更新。完結
アンケート結果を反映させてみました。
アンケートに答えてくださった皆さんありがとうございます。引き続きお願い致します

2014/03/14
片思い更新。完結

2014/03/13
クラスの地味男更新。完結

2014/03/12
吉原と拓海更新。完結

2014/03/11
罠更新。完結

2014/03/10
同級生更新。完結

2014/03/09
目覚め更新。完結
FC2小説にて、
閃光戦士フラシュレッド!公開。完結。

2014/03/08
やってられない更新。完結

2014/03/07
地下の城ピュラタ更新。完結

2014/03/06
地下の城ピュラタ更新。

2014/03/05
部室にて更新。完結

2014/03/04
すべからく長生きせよ更新。完結

2014/03/03
秘め事更新。完結
アンケート設置。ご協力お願いします

2014/03/02
映画館にて更新。完結

2014/03/01
大迷惑@一角獣更新。完結

2014/02/28
大迷惑@一角獣更新。

2014/02/27
僕はセールスマン更新。完結

2014/02/26
俺のセールスマン更新。完結

2014/02/25
夏の夜更新。完結

2014/02/24
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2014/02/23
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2014/02/21
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2014/02/20
先生 その1(1-2)更新。
先生 その1(2-2)更新。完結

2014/02/19
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ノビ更新。

2014/02/16
1万3千円更新。完結

2014/02/15
1万3千円更新。

2014/02/14
ファンレター更新。完結

2014/02/14
ブログ始動。
「ファンレター」公開。

よろしくお願いします。

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続・嫁に来ないか(1/2) 

<前話「嫁に来ないか」>

 中田さんにあんなことをされてから二週間。俺のなかであの出来事はトラウマになり、いまでもその後遺症に悩まされている。

 視界の端、街のあちこちで中田さんを見つけてしまうのだ。

 ほんとうはただ年齢と背格好が似てるだけの赤の他人なのに、一瞬本人登場かと思って焦ってしまう。中田さんがウォーリーなら俺は誰よりも早く見つけられるんじゃないだろうか。

 昨日も「アイドルの手も借りたい!」で地方ロケがあったが、そこでも中田さんの幻を見てしまった。忘れてしまいたいのに、行動を監視されているようで、もうノイローゼになりそうだ。

 そんな理由で出不精になりつつあった二週間の俺を心配して、共演がきっかけで仲良くなった芸人の城野さんが今日は食事に誘ってくれた。

「最近元気ないし誘っても断るし、どうしたん?」

 乾杯が終わったあと城野さんから柔らかい口調で訊かれた。あれをどう説明すればいいのだろうか。クスリ盛られて犯されたなんてことは口がさけても言えないから、そこのあたりはボカすしかない。

「ロケ先で会った素人さんが強烈な人で……こっち帰ってきてからも、なんかその人の幻を見ちゃうんですよね」
「へえー、女?」
「男ですよ」
「どう強烈やったん?」
「常識が通じないっていうか、話も通じないっていうか」
「なんかされたん?」
「いや! なにもされてはないですけど。なんか、理解できない人種だったなぁって」
「ヤッバイ人って世の中腐るほどおるからなぁ。そういう人ってこっちの世界の理をぜんぜん理解しようとせえへんし配慮もないから、相手するだけ疲れるよ」
「ほんとですよね」
「アイドルはイメージ大事やし、邪険にできんから大変やな。俺ら芸人は『アホんだら、どつきまわすぞ!』って言えるけど」

 城野さんはツッコミだからそういう悪態も世間に通じるが俺の場合そうはいかない。ただでさえメンバーの小東が未成年の時に大麻使用で世間を騒がせた過去があるのだ。これ以上悪いイメージは今後の芸能生活に関わる。

「あんま気にしいなや。強烈な奴に引っ張られたらこっちの精神まで参ってしまうで」
「そうですね」

 忘れることは不可能でも思い出さないようにすることは出来るはずだ。似た男を見るとビクついてしまうのは俺がいつも中田さんを思い出しているからに他ならない。思い出さないでいれば、群衆の中から中田さんに似た人物を見つけることもなくなるはず。

 その後、城田さんの後輩芸人も二人やってきて賑やかで楽しい食事会になった。日付がかわるころお開きになり、タクシーで自宅マンションに帰った。帰宅したときの癖で郵便受けを確認していたら「おかえりなさい」と声をかけられた。

「あ、どうも」

 マンションの住人だと思って振り返った。顔を見て心臓が止まりそうになった。足元がぐらりと揺れて、目の前に中田さんがいることが理解できなかった。

 これも幻なんだろうか。いつもは二度見したら消えていたり、他人の空似だとすぐ気付くのに、今日の幻は消えないし別人にもならない。

「ずいぶん遅いですね」

 しかも声までかけてきた。

「え……本物? なんで、どうして、ここに……?」
「今までなにをしてたんですか?」
「なにって、知り合いと飲んでただけ……っていうか、ほんとなんでここにいんの?!」

 夜中だってことも忘れて大声が出た。幻でないとしたら、どうして俺の家を知っているのか、そっちの恐怖でパニック寸前だ。

「なっ、なんで……! ここ、なんで知ってんだよぉ!」
「大きな声は近所迷惑じゃないですか。とりあえず部屋行きません?」

 と俺の腕を掴んでくる。俺は半狂乱でそれを振り払った。

「警察! 警察呼ぶから!!」
「その前にこれ」

 ポケットから中田さんが出したのはスマホ。操作して俺に画面を見せる。我が目を疑った。軽い眩暈がした。拒否する目の焦点をなんとか合わせてちゃんと確認した。裸の俺の写真。苦しそうに顔を歪め、口は半開き、胸には白い付着物も見える。精液だ。

 あの時の写真。あの夜の後半の出来事はほとんど記憶にない。執拗に責められて意識は飛びかかっていた。自分がなにを口走ったか、どんな乱れ方をしたかも覚えてない。写真を撮られたことすら理解していなかった。

「なんでそんなもの!」
「記念に残しておきたいと思って。あとこれ」

 また別の画像を見せられた。と思ったら動画だった。耳を塞ぎたくなるような卑猥な音声が辺りに響き渡った。

『あっ、ああぁ、あぁんっ、奥、当たって……ぁあんっ、あ、はああっ、やっ、やめ……またイクッ……中田さん、イカせて……!』

 男に揺さぶられながら喘ぐ俺の姿。考えるより先にスマホに飛びついていた。寸前でかわされた。中田さんを睨みつけた。

「……俺を脅しに来たのか?」
「まさか。やっと繋がった大澤さんとの縁を切りたくなかったんですよ」
「金蔓にして死ぬまで強請る気か!!」
「僕の収入で大澤さんを養いたいくらいなのに、そんなことしませんよ」
「じゃあ、なにしに来たんだよ」
「悪い虫がついてないか、心配で様子を見に来ました。城田さんとはいつから親しいんですか? 『お昼はごきげん』で共演してからですか?」

 城田さんの名前が出てきて血の気が引いた。

「あんた……俺のあと、つけてたのか……?」
「はい。とりあえず話は中でしませんか?」

 中田さんは人の良さそうな顔でにこりと笑った。笑顔が怖い。俺の家で待ち伏せされていたことも、俺の行動を監視していたことも、俺の人間関係まで把握していることも、全部が怖かった。

 反撃することも考えたが、体格は中田さんのほうが上。しかも向こうはなにを準備しているかわからない。上着のポケットにナイフが入っているかもしれないと思うと反撃の勇気はでなかった。

 逃げだそうかとも思った。でも移動はもっぱらタクシーの自分が、毎日農作業で鍛えている中田さんから逃げおおせるとは思えなかった。逃げることで中田さんを逆上させてしまうことも怖かった。

 2、3秒の間でいろいろ考えたが、中田さんに腕を掴まれ促されると逆らえなかった。一緒にエレベーターに乗り込み、自分の部屋へと招き入れてしまった。この優しい顔の悪魔を。






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2018-02-19(Mon) 21:08| 続・嫁に来ないか| トラックバック(-)| コメント 0

嫁に来ないか(2/2)

<前話はこちら>

 いつの間にか中田さんの手に小さなチューブ。それを浣腸するみたいに俺の尻にぶっ指すと中身を押しだした。冷たいものが俺の尻の中に入ってくる。

「なんだよこれ!!」
「ローションです。こっちも媚薬入り」
「そんな変なもん俺に使うなよ!! 仮にも俺のファンだろ!?」
「ファンなんて軽いもんじゃないです。僕の愛は」

 もはや絶句するしかなかった。その隙をつくように中田さんの指が入って来た。

「わあっ!! やだっ、抜いて! 抜けってば!!」
「僕の指、嫌ですか?」
「嫌に決まってんだろ!」
「ここは?」

 ぐりっと中を押された。

「気持ち悪い!! 抜け、この変態野郎!」
「じゃあここだ」
「あっ、う」

 そこを押されて思わず腰が引けた。

「ここ、熱くなってきましたね。媚薬の効果です」

 言わると確かに中がじんわりと熱くなってきた。意識するとかゆいようなピリピリとした刺激もある。

「なにこれ怖い……副作用、大丈夫?」
「安全なものですよ」

 中でグチュグチュと音を立てて指が動いた。俺のちんこをおっ立たせる場所。それが何かは噂程度に知っている。前立腺というやつだ。前立腺オナニーにハマると普通のオナニーじゃイケなくなるとのことだ。

 そんなところを今、媚薬入りローションでグッチョグチョに掻きまわされているのだ。声が出るのは仕方がない。

「あっ、あっ、やだっ、それやだ! グリグリすんな……ッ……ああぁっ!!」
「気持ちよくなってきたみたいですね。また立ってきた。さっきより硬いですよ」

 シュッシュとちんこを扱かれる。

「ああぁっ、出るっ、そんなしたら、出る!!」
「僕に遠慮は不要です」
「やだぁっ、ああぁっ、あんっ、あっ、や、イクッ、イクッ」

 泡立つほどの勢いで前立腺をグチョグチョ掻きまわされながらちんこを扱かれてまさかの三度目の射精。勢いは衰えを知らず俺の胸に飛んできた。

 体を伸ばした中田さんが、その飛沫を舐めとった。

「……変態じゃん」

 俺の素直な罵倒にも中田さんはにこりと微笑むだけ。中田さんは変態の上に鬼畜でもあったようだ。まだ穴を弄り続ける。

「もう、無理……出ないって……」

 と言っているのにまだ中で指を動かし続ける。違和感に気付いた。さっきはイカせる目的で前立腺責めだった。いまはやたら中で指がグネグネと動く。関節を曲げて……、そう押し広げるように。

「まさか、あんた……!!」

 慌てて体を起こそうとしたが、膝を持ち上げられて簡単に仰向けに戻された。

「大澤さん、さっきの話なんですけど」
「な、なに」
「ほんとに僕のところに嫁に来ませんか?」
「来るわけないだろ!!」
「僕、いつまでも待てるタイプなんで」

 さんざん弄り倒された穴にぴたりと肉の感触。

「や、やめ──ッ!!」

 叫んで止めたが無駄だった。ブリュリッと太い肉の塊が押し込まれた。指で広げたのとローションの滑りで意外にすんなり入った中田さんの亀頭。ついに処女喪失。まさかこんな場所、初めて会った素人相手だなんて!

 今まで仕事やプライベートでもゲイやオカマには会ったことはあった。割とまじで口説かれたこともある。既婚のくせに酔うと男にキスしてくる業界人もいた。その時俺は笑って耐えてきた。仕事がなくなるよりはマシだと思って!

 なのに、芸能界でなんの権力も地位もないド素人相手にまさか強/姦されるとは。こんなことなら俺に仕事をくれるプロデューサーあたりに犯られたほうが百倍マシだった!!

 声にならない絶望の絶叫を頭に響かせている間に、中田さんのちんこがグリュッと中で動いた。さらに奥へと押し進められている。太い陰茎部分はさすがに痛みが走った。

「やっ、あああっ……やだっ、抜いてっ」
「すみません、止められない」

 初めて聞いた余裕のない中田さんの声だった。ゆっくり、しかし着実に奥へと入ってくると、中田さんは最後に大きな息を吐いた。どうやら全部収まったらしい。その大きな存在感に俺のほうがびびる。ほんとに全部入ったのかよ。中田さんのちんこだぞ?!

「中、大丈夫そうですね。トロトロに出来上がってる」

 満足げな呟きのあと、恋人に見せるような笑みを浮かべる。その額から汗が滴り落ちた。俺もそうだが、中田さんの体も熱かった。何に催淫剤を入れたのか知らないが、もしかしたら中田さんも飲んでいるのかもしれない。だってちんこがめちゃくちゃ熱いし硬いし太い。

「動きますよ」

 中でその熱くて硬くて太いものが動いた。ようやく落ち着いてきた前立腺をご丁寧にゴリッと擦っていく。そこをやられると半強制的にちんこが立ちあがってしまう。勃起のスイッチがあるとしか思えない。

 ゆっくり引いて、またゆっくり戻って来る。

「はあぁ……はあぁっ……あ、ああぁぁ……ぁ……」

 中田さんのちんこに擦られたところから、じわじわとした熱が体中に広がっていく感じがする。いきなり振り切れるような快感じゃなくて、じりじりと焦らされるような快感だ。これを気持ちいと認めている俺はもう普通のオナニーじゃ満足できない体になっているのかもしれない。いや、催淫剤と媚薬のせいだ。そうに決まってる。

「ああっ、あっ……ああぁ、ん……」
「もっと早く動いて大丈夫ですか?」
「だい……だいじょう、ぶ……」

 なに普通に返事してるんだ俺。でもこんなロースピードな刺激じゃ物足りないのも事実。時間は巻き戻せない。失ってしまった処女も戻らない。先輩アイドルの紹介で一晩寝たことのある女の子たちと同じことをしているだけ。今回は俺が入れられる側だったというだけで、芸能人ならこの程度のお遊びも嗜めてなんぼのもんじゃいと開き直ればいいのだ。

 グチュグチュと音を立てて中田さんが出し入れする。その速度があがる。快感という熱が結合部を中心に波紋上に広がっていく。俺の勃起したちんこは動きに合わせて涎を撒き散らす。

「はぁぁん、あ、あんっ、あはあっ、あああん!」

 信じられないくらい気持ち良かった。催淫剤すごい。素直にそう思う。もう自分が自分じゃないみたいだ。

「やあっ、あっ、あ、中田さんっ、そこ、やだっ、ああぁんっ」
「大澤さんのその顔、ずっと見たかったんです。謝罪会見を見た日から、ずっと好きでした」

 謝罪会見は渡された原稿を丸暗記して、ただそれを言うだけだった。俺は当時18歳。頭が真っ白になって自分がなにを喋っているかもわからなかった。記者からの質問にもしどろもどろだった。逃げだしたい。アイドルなんかやめて普通の高校生に戻りたい。何度も泣きそうになりながら終えた記者会見だった。

 その時の俺を見て惚れるなんて中田さんは相当歪んでる。人に催淫剤飲ませる時点で悪人だとわかっているのに、人の良さそうな笑顔と優しい物言いに本当はいい人なんじゃないかと騙されかけた。

「……中田さ……ぁん……また、出る……俺……ッ……うっ……ああ……またイクッ……」
「いっぱい出しましょう。夜はまだ長いですから」
「ああっ、あ──ッ!! イク──ッ、イッ……ぁ、あ! はあぁああっ……ッ!!!」

 中田さんの腕に指を食いこませながら俺は達した。

 ※ ※ ※

「おはようございます、大澤さん」

 聞き覚えのある声に目が覚めた。いきなりカメラと目が合い、現状の理解に数秒、昨夜の出来事を思い出して一気に覚醒した。
 布団を首元まで引き上げてから自分の体を触った。ちゃんと服を着ていた。パンツもズボンも穿いている。

「お、おはようございます」

 掠れた声は寝起きのせいだと思われただろうか。ゆうべ、一晩中喘いでいたせいだとはバレていないだろうか。こっそり部屋の匂いを嗅いだ。精液の匂いはしていないだろうか。俺自身、臭ってはいないだろうか。麻痺しているのか俺にはわからない。

「ぐっすり眠れたみたいですね」

 スタッフのからかう声に笑い返す。何時に寝たか記憶にない。窓の外が明るくなってからだったのは確かだ。ほとんど気を失うように寝てしまった。居間から寝室にあてがわれた部屋に移っているのは、俺が寝てしまったあと中田さんが運んでくれたのだろう。

「中田さんは……?」
「もう起きてます。朝飯、作ってくれてますよ」

 カメラは俺を撮り続ける。よほどのことがない限り、これがいつかお茶の間に流される。夕方の情報番組のワンコーナーだから主に主婦が、そして学校から帰って来た子供たちも見るだろう。男とセックスした直後の俺の姿を。

 布団から出て居間に顔を出した。中田さんがせっせと朝食をテーブルに並べている。田舎のばあちゃんの朝食だ。腹が鳴った。

「おはようございます、大澤さん」
「お、おはよう」

 何事もなかったかのように中田さんが笑いかけて来る。直視できないのは俺だけかよ。

 顔を洗って歯を磨いた。その頃には朝食の準備が終わっていた。中田さんの向かいに座って手を合わせる。

「「いただきます」」

 俺と中田さんの声がかぶった。思わず中田さんを見る。目が合うと中田さんは笑った。恥ずかしさで顔が熱くなった。周りにスタッフがいる。カメラも回っている。なのに、昨夜の言葉を思い出してしまった。

 ──僕のところに嫁に来ませんか?

 中田さんと二人で暮らしたらこんな朝を迎えるのだろうと、思わず想像してしまったのだ。死にたい。

 食事のあと着替えをして、簡単に部屋を片付けたあと、中田さんとの別れのシーンを撮った。

「また遊びに来てください」

 差し出された右手を握り返すことに一瞬躊躇した。が、カメラの前なのですぐ手を取った。俺の体中を触った手だ。生々しい記憶が一気に溢れ出しそうですぐ手をはなした。

「お世話になりました」
「こちらこそ」

 お辞儀をして、中田さんの家から遠ざかる。いつまでも、いつまでも、熱い視線が体に付き纏っているのを感じた。







2018-01-20(Sat) 21:23| 嫁に来ないか| トラックバック(-)| コメント 2

嫁に来ないか(1/2)

「お疲れさまでした! 今日の撮影はこれで終了になります!」

 カットがかかって箸を置いた。ここは東京から車で二時間弱のところにある普通の民家。夕方の情報番組のワンコーナー「アイドルの手も借りたい!」の撮影のためにやってきた。

 俺を迎え入れてくれたここの主人は農家の前は小学校の教師をしていたらしい。亡くなった祖父のかわりに農業の手伝いをしていたが教師より畑仕事のほうに魅力を感じ、両親の反対を振り切って退職。農業のいろはを教えてくれていた祖母も去年他界し、1人手探り状態で試行錯誤しているところへ俺が呼ばれたというわけだ。

 朝から晩まで土にまみれて本格的な手伝いをしたあと、お風呂に入って夕飯をご馳走になった。俺のためにずいぶん豪勢な食事を用意してくれていた。田舎のばあちゃんを思い出すメニューでお世辞抜きにうまかった。

「それじゃ我々は一旦撤収して、明日の朝また迎えに来ます」

 機材を持ってスタッフが民家から出て行く。

 このコーナーはお手伝いに行った先の人たちとの交流にも重きを置いていて、手伝いをするかわりに一宿一飯をお願いしている。なのでスタッフが全員帰ったあとも俺は一人ここに残らねばならないのだ。

 このコーナーを任されて半年。見ず知らずの人と一晩過ごすくらいもう慣れっこだ。それになんとしてもこのコーナーは存続させなければならない。俺は崖っぷちアイドル。アイドルデュオとしてデビューした一年後、メンバーの小東がなんと大麻所持で捕まった。未成年のアイドルが大麻使用だなんて相当騒がれた。当然小東は解雇、デュオは解散。ソロになった俺の初仕事は小東が起こした不祥事の謝罪会見。

 デビュー曲は歌えなくなり、新曲が出る見込みもなし。まだなんの経験も積んでいなかった俺を使ってくれるところはなく、先輩アイドルのバックダンサーに逆戻り。

 辞めるか続けるか悩み続けて5年が経った頃、バラエティでやっと小さな仕事をもらえるようになった。細々と続けてさらに7年。端役だが舞台やドラマの仕事もくるようになった。

 世間はまだ小東の事件を完全には忘れていない。俺も当時、薬物検査を受けさせられた。シロだと出ても世間は疑いの目を俺に向ける。

 そして30歳を迎えた去年、このワンコーナーが俺に任された。好感度をあげるためなら畑仕事だろうがどんな汚れ仕事だって引き受ける。バラエティで使える印象を残さないと今後の仕事に差し支える。生き残るために俺だって必死だ。

 こうやって訪問した先の人に好印象をもってもらうのも大事だ。今はネット社会。悪口が書きこまれたら俺みたいな力のない芸能人はすぐ消されてしまう。

「ほんとおいしいですね! 中田さん!」

 カメラが止まったとたん、料理を食べなくなったなんて書きこまれたら印象が悪い。なので出された食事は完食を心がけている。

「タメでいいですよ。僕のほうが年下なんだし」

 中田さんは27歳、独身。数年前まで教師だったことが関係あるのか、中田さんはとても柔らかな物腰で言葉遣いも優しい人だ。俺が失敗しても責めないし嫌味も言わない。「疲れてませんか。休憩しますか」一時間毎に声をかけてくれてたんじゃないだろうか。

 たまにものすごく無口な人や意地の悪いことばかり言う素人さんもいるので、中田さんみたいな人はとても助かる。年も近くてしゃべりやすい。

「じゃ、中田さんもタメで!」

 と言いながら中田さんのグラスにビールを注いだ。

「ほんとに泊まって行くんですね。テレビ上の演出だけで、本当は帰ってるんだと思ってました」
「うちはガチですから~」
「大変なお仕事ですね」
「そんなこと! 楽しい時もたくさんありますよ。こうやっておいしい料理を食べられたりするし」
「お世辞でも嬉しいです」
「お世辞じゃなですって。ほんとおいしい。ばあちゃんの料理思い出しますもん」
「料理は祖母に教わったので、そのせいかもしれませんね」
「道理で。懐かしい味だもん」
「良かったです」

 カメラの前ではどことなく表情が硬かった中田さんだが、いまは酒も入ってすっかりリラックスした顔つきだ。こういう顔をしてくれた人は俺のことを悪く言わないでくれる。今までの経験でわかる。

「中田さん、結婚は?」
「ぜんぜんその予定はないです」
「モテそうなのに」
「農家の嫁は大変だってイメージ強いですからね」
「俺は今日一日楽しかったけどなぁ」
「じゃあ、大澤さん、うちに来ませんか?」
「仕事なくなったらここで使ってもらおっかな」
「いつでも大歓迎です」

 ワハハと笑って酒を飲む。ほんとに芸能界で仕事がなくなったら困る。いまさら引退してまっとうな職についたって、元アイドルって肩書は一生付き纏うんだ。

 食事が終わると食器の片づけを手伝った。少し飲み過ぎたようで足がふらついた。

「大丈夫ですよ。大澤さんは先に休んでてください」
「いや。ご馳走になったせめてもお礼です。ほんとおいしかった」
「こんなものでよければ毎日作ってあげますよ」
「中田さんの奥さんになる人が羨ましいなあ」
「なりますか? 僕の奥さんに」
「ええ?」

 冗談に笑いを返す。でも中田さんは笑っていなかった。俺の聞き間違いだろうかと考えていたらいきなり抱きしめられた。

「ちょ、中田さん?!」
「そろそろクスリ、効いてきたかな」
「クスリ?!」

 物騒な呟きにぎょっとなる。

「クスリってなんの……」
「催淫剤」
「さいいんざい……?」
「そうです。エッチな気分になるっていうやつ」

 間近にある顔がにこりと笑う。邪悪さがまったくなくて冗談なのか判断つかない。

「え……嘘だよね?」
「顔が赤いですよ。体熱いんじゃないですか?」

 言われてみれば。さっき暑くてパーカーを脱いだばかりだ。

「え、嘘嘘嘘。嘘でしょ?」
「嘘かどうか、確かめてみますか?」

 中田さんの顔が近づいてきてブチュッと唇が合わさった。茫然としている俺の口を割って中に舌がはいってくる。ベロベロと好き勝手に中を舐められてゾワゾワッと鳥肌が立った。

「んんっ、ちょっ、あ、待ってっ」

 胸を押し返して顔を離す。間髪入れず、今度は股間を揉みしだかれた。

「あっ、ちょっと! 何してんの!」
「ほら、立ってきた。クスリ、効いてるみたいですよ」

 楽しげに中田さんが笑う。俺のちんこを揉みながら。言われた通り、俺のちんこが硬く熱くなってきた。嘘だ。信じられない。

「中田さん! これ、犯罪ですよ!!」
「見てください。もうこんなに大きい」

 ズボンのチャックが下げられて、パンツの中に手が入り込んできた。俺のちんこをぎゅっと握るとシコシコ手を動かす。

「や、やめて下さいって! まじで! 勘弁してくれよ!!」
「先っぽヌルヌルなの、わかりますよね」

 耳元で中田さんが囁く。そんなこと言われたらつい意識が先端へ向けられる。ここだぞと言わんばかりに中田さんが先を弄る。粘ついた水音が聞こえてさらに体温が上がった。

「知り合いにもらったクスリだったんで半信半疑だったんですけど、効果抜群ですね。出さなきゃつらいでしょ? 僕が責任持ってイカせますから」

 確かにここまで育ったらもう出してしまいたい。

「自分でやるって! 中田さん、まじで冗談キツイですよ」

 ロケ先の素人さんを殴るわけにはいかない。俺の好感度、俺の芸能人生を守るために、なんとか冗談で済ませようとしているのに中田さんは手を動かし続ける。だけじゃなく、居間のソファへ誘導するように俺の体を押してくる。抵抗したいが、催淫剤のせいなのか力が入らない。

 中田さんに軽く押されて俺はソファに腰を落とした。畳の上に膝をついた中田さんが俺のズボンとパンツに手をかける。

「ん」

 と目で促される。モメるのも面倒で腰をあげた。すぐさま脱がされ、下半身が露わになった。痛々しい蛍光灯の明かりの下、先走りで濡れ光る俺の勃起ちんこが晒される。昨夜は今日に備えて早く寝た。オナニーもしてない。天を睨みつけるちんこは早く出したくてたまらないと震えていた。

 それに影がさしたと思ったら、中田さんが俺のちんこを口に咥えた。

「中田さん!?」

 俺のちんこを咥える今日会ったばかりの素人男性。

 熱い口腔内に包まれた俺のちんこは危うく発射しかけたがなんとか耐えた。口の中でベロベロと舌が動く。啜りあげ、吸い上げ、頬の肉で扱かれる。うますぎるだろ。

「いやいやいや、駄目だって、中田さん! もうこんくらいにしないと!」

 肩を押してもビクともしない。頭を押さえたらさらに深く咥えこまれて俺は思わずのけぞった。

「はああぁぁ……んっ」

 卑猥な音を立てながら激しく頭が上下する。太ももが我慢の限界を訴えてブルブル震えた。

「なかっ……さん!! まじで! やめ……!! やっ、あっ、ほんと、シャレんなんない……!!」

 腰が蕩けそうな快感に声も弱々しい。制止の声をかけながら本気で逃げるのを躊躇うくらいに気持ちがいい。

「あっ、ああぁ、も……知らね……からっ!!」

 どうとでもなれ! と最後の踏ん張りを解いた。堰き止められていた欲望が一気に管を通って中田さんの口の中へ。あろうことか中田さんはそれをゴクリと飲みこんだ。唇を舐めて上目遣いに俺を見てニコッと笑う。

「中田さん、そっちの人ですか」

 嫌な予感に声が裏替えった。

「僕がまだ学生の頃、風邪ひいて学校を休んでいた時に、ワイドショーでずっと大澤さんの謝罪会見が流れてたんですよ。僕とあまり年の変わらない人が、たくさんのカメラの前で、仲間が犯した犯罪の謝罪と自分自身の身を潔白を訴えて涙ぐむ姿にやられたんです。その時初めて男相手に可愛いとか、いじらしいって感情を持ちました。大澤さんをネタにマスかいたのもその時が初めてです」
「俺でマスかいたの?!」
「それからほぼ毎回、大澤さん一筋ですよ」

 柔和な物腰のままにこりと微笑むが言ってる内容は常軌を逸している。

「そういうの、正直に言ってくれなくていいんで」
「やっぱり実物はいいですね。テレビで見るよりかわいい」

 というと中田さんはまた俺のちんこを咥えた。

「もう! いいって! 中田さんの気持ちはわかったから!! そういうのやめましょって!!」
「まだクスリの効き目、切れてないでしょ」

 中田さんの手がするりとシャツの間に忍び込んできた。しっとり熱い手が脇腹をかすめながら俺の乳首を探し当てコリコリと扱く。今までそんなとこで気持ちいいと思ったことはなかったのに、クスリのせいかつねられたり弾かれたりすると刺激を感じて体がビクビク跳ねあがった。

「あっ、うそっ、やだって! もういいってば!! 気持ち悪い!!」
「僕下手ですか?」

 シャツをまくりあげられた。止める間もなく、中田さんが右乳首に吸い付いた。左乳首とちんこを弄る手も休まず動き続ける。三点同時責めだ。もう何が気持ちよくて気持ち悪いのか、痛いのかくすぐったいのか、わけがわからなくなってくる。

「はあっ、ああん、やだっ、やだって!」
「ほら、立ってきたでしょ。見てごらん」

 先生みたいな口調で言われて素直に見てしまう。俺と中田さんの腹の間に見える復活した俺のちんこ。二回目だって言うのに早い。クスリのせいだ。

「やだ、もう……クスリ、いつ切れんだよぉ……っ」
「二時間ほどです。頑張りましょう」

 にこやかな中田さんはまた俺のちんこをしゃぶった。

「ああっ……だめっ、待って……イッたばっかりだから……!」

 さっきみたいに激しいのじゃなく、中田さんはねっとり優しく俺を舐めた。駄目だ。もうイキそう。

「中田さん、ちょっと待って……はあぁ……あぁ、ん……あっ! ああっ!」

 乳首をキュキュッとつままれて体が小刻みに震えた。ちんこしゃぶられながら乳首をいじられるとバカみたいに気持ちいい。乳首もビンビンにしこっているのが自分でもわかる。

「もお……イクッ……中田さ……、俺、出ます……!」

 予想してた通り、中田さんはまた口で俺の精液を受け止め、ごくりと飲みこんだ。立て続けに二回も出して腰がすごくだるい。胸も苦しい。気持ちいいって、しんどいことなんだな。

「疲れました? 横になりますか?」

 農作業をしていた時みたいに言って中田さんは俺の肩を押した。そのまま俺はソファに仰向けに寝転がった。見知らぬ天井に、俺は何をやっているんだと冷静さを取り戻す。戻したのも束の間、膝を割られたと思ったら尻の奥を指で撫でられて飛び起きた。

「中田さん!!!!」
「無理強いしたりしませんから、安心してください」







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2018-01-19(Fri) 20:36| 嫁に来ないか| トラックバック(-)| コメント 0

雨の日の再会(2/2)

(前話はこちら)

 結局、仕事が終わるまで生田のことが頭から離れなかった。高校生の頃にした色々なこととか、今頃可愛い彼女とセックスしてんのかな、とか。

 俺もそうだけど、あの頃生田はまだ童貞だった。今はもう童貞じゃないんだろうな。もしかしてまだ童貞だったりして。とか。そんなくっだらないことばかり考えていた。

 仕事が終わり、従業員通用口へ向かう。意外な再会にずっと胸がザワザワと騒ぎっぱなしだ。普通に帰る気になれない。いつもと違うことをして気を紛らわせたい。

 今日は一人で飲みに行こうか。いつもの安酒じゃなく、ちょっと値の張る……お姉ちゃんのいる店とかでもいいかもしれない。

 そんなことを思いながら守衛さんに挨拶をして店を出た。駅に続く角を曲がる。柱にもたれて立っていた男が俺を見つけて手をあげた。

「お疲れ」

 親しみのこもった笑顔で近づいて来るのは生田だ。

「お前、なんでここに……」
「待ってた。良かったー。ラストまでだったらかなり待つなーって思ってたから」
「だからなんでここに……彼女は?」
「振られた」
「はあ?」
「その話はいいから。このあと時間ある?」
「ねえよ」

 咄嗟に嘘をついた。だって、生田のことで頭いっぱいになってる時にいきなり目の前に現れて「待ってた」とか言われたらどういう態度取ればいいかわかんなすぎる。

「デート?」
「ちげえよ」
「じゃ何」
「別に。飲みに行こうと思ってただけ」
「誰と?」
「……一人で」
「じゃ今度一緒に飲みに行こう。奢るし」

 言うと生田は俺の肩に腕を回してきた。生田に押されるように足を踏み出す。

「村上って彼女は? 結婚はしてなさそうだけど」

 俺の左手を見て生田が言う。

「彼女も嫁もいねえよ」
「なら良かった。約束、覚えてるよな?」
「約束?」

 さっき会った時に何か約束したっけ? やり取りを思い出してみるがそれらしきものはない。

「次は全部使うって約束。ローション、いっしょに買いに行く?」

 生田の言葉の意味がわかってさらにパニクッた。高校時代の約束のことを言っているのだ。生田と会った最後の日、今度はスカート、マニキュア、口紅、全部使ってやろうという約束を。

「なっ、なに言って……!」
「駅の裏手、ちょっと行ったとこにラブホあったよな。そこ、いこっか」
「ほ、本気かよ?!」
「やだ?」
「やじゃないけど」

 何も考えず即答したあと急激に顔が熱くなった。前にもこんなことがあった気がする。

「ラブホならローションあるよな。スカートはないけど」
「別に……必要ないだろ」

 肯定的な俺の言葉に生田は笑って頷いた。

 まじか。数年ぶりの予期せぬ再会を果たした直後、心の準備も出来てないのにラブホに行くことになっちまった。もう俺たちは大人だ。素股なんかじゃ終わらないに決まってる。ついにやってしまうんだ。本番を!!



 生田とこれからやることにドキドキしすぎていて男同士でホテルに入る羞恥や抵抗感などすっかり忘れていた。

「さきシャワー浴びる?」

 と生田に訊かれなんとなく頷いた。気が付いたら腰にバスタオルを巻いてベッドに座っていた。記憶が飛ぶほど緊張と興奮がすごい。

 同じくシャワーを浴びた生田が戻って来た。前は図体がでかいという印象しかなかったけど、こうしてみると逞しいというか羨ましいというか男として嫉妬するというか、まぁなんだ、つまりはエロいよな。直視できずに俯いてしまう。

「あった、ローション」

 ベッドに乗った生田から無邪気な声がした。ろーしょん? ああ、ローション。あったんだ。ローション。

「じゃ、素股からする?」

 手に中身を出しながら生田が言った。素股から順番にやってく気かよ。こっちはもう心臓爆発しそうなんだぞ。

「それは……もうやったし……どうせならしてないこと、しよう」
「それもそうだな」

 笑みを濃くすると生田はいきなり俺に覆いかぶさりバスタオルの中に手を入れて来た。むぎゅっとちんこを握る。ローションがヌルヌルする。その手でグチュグチュと扱かれた。

「じゃあ、なにしよっか」

 ハァハァする俺を見下ろしながら生田が呟く。なにってもう決まってんじゃん。

「い、生田のしたいことで」
「いいの?」

 頷いたらバスタオルをはぎ取られた。勃ったちんことそれをしごく生田の手が丸見えだ。なんてエロい光景だろう。

「村上ってほんと、快楽に流されやすいよな。昔っから」
「お前だってっ」
「俺はさー、けっこう我慢と忍耐の人だったよ。雑だったけど計画的犯行だったし。あんなにうまくいくと思わなくて逆にびっくり」
「なっ、なんのことだよ」
「ほんとにまだわかんない?」

 生田の手がちんこから離れたと思ったらその奥をヌルッと触られた。ちんこの奥。尻の間。本来排泄器官のそこ。今日はそこ使うんだと思ってさっき入念に洗った記憶だけは混乱のなか覚えている。

「引っ越しするってわかってから、なんとかしてお前に触る方法はないかって、苦し紛れの策だったんだぜ。スカートめくりから素股っておかしいと思わなかった?」
「え、お、思わなかっ……あ? あっ、あ……」

 指が俺のなかに入ってきた。ツプリ、と一本。ゆっくり奥まで押し込まれる。

「マニキュア塗って扱き合うとか。口紅塗ってフェラとか。普通、男同士でそこまでするか? もしかして、気持ちよけりゃ誰でも良かったってこと?」
「ちがっ……あ、う……生田の、指、がっ……」

 中でグリグリと回転しながら動かされた。解しながら広げているんだろう。そしてそこに生田はちんこを突っ込むつもりなんだ。

「俺だったからってこと?」
「あ、当たり前だろっ……今だって! こんな恥ずかしいこと……お前とじゃなきゃできねえよ!」
「痛い? ちんこ、小さくなってる」
「痛くないけど……初めてだし、やっぱ怖えよ」
「優しくする」

 生田の言葉を聞いてカァッと全身火がついたみたいに熱くなった。優しくする、だって。現実にそんなこと言う奴いるんだ。そんでもって、処女の女の子みたいな自分が恥ずかしい。

「そろそろ入れるぞ」

 生田は俺の膝を両脇に抱え持ち、ぐいと自分のほうへ引きよせた。それだけでもう股間が密着してしまう。

「さすがにもうわかってると思うけど、俺、お前のこと好きだったんだ」
「いいっ、いま言わなくてっ」
「引っ越して諦めたつもりだったけど、やっぱり忘れられなくてたまに村上の画像見て思い出したりしてた」

 俺の画像というと、例のあのエロ画像か。ゆみりんじゃなく、俺をおかずにして抜いてたんだろうか。そうだとしたら、俺と同じじゃん。

「今日、偶然会って、諦めるなんて無理だってわかった。村上だって気付いた瞬間に、抱きしめてキスしてめちゃくちゃセックスしたいって思ったからな。逆に一緒にいる彼女にまったく性欲わかなくて、正直に言ったら振られたしな」
「だからっ、そういうのいま言うなって」

 恥ずかしすぎて両手で顔を隠した。自分が期待していた以上の出来事にどう対処していいかわからない。

「いま言わないと、次、ないかもしれないだろ」
「なんでないって決めつけるんだよっ、また前みたいに急にいなくなる気かよ!」
「お前に振られたらそうなる」
「振らねえよ! いいからさっさとちんこ入れろよ!」
「やる前にちゃんとしときたかったけど……、流されやすいお前じゃ無理か。いいよ。時間かけて俺のこと好きになってもらうから」

 呆れたように、そしてちょっと楽しげに言うと生田はちんこを俺のなかに入れてきた。でっぷりとした亀頭がまずギュウッと押し込まれ、さすがの苦痛を和らげようと体の力を抜くことに集中している俺のちんこを優しく扱きながらゆっくり竿も入れてきた。

「これを耐えられるってことは、ちょっとは俺のこと好きだよな?」

 生田のちんこが中でグングンと動くのを感じる。熱くて硬くて逞しい。そんなもので貫かれているのに、どうしてこんなに幸せを感じるんだろう。これが愛ってやつだろうか。

「俺のこと好きだったから、フェラしてくれたのか?」
「まだそこ? そうだよ、好きだからフェラしたんだよ。ほんとはお前の精子飲みたかったけど、引かれると思ってやめた。あれが今でも悔やまれる」

 これもやっぱり愛なんだろう。生田は俺が好き。ちんこ突っ込まれることが気持ちいい俺も、生田が好きなんだ。俺だってちゃんとわかっている。

「俺も、生田のちんこしゃぶって精子飲んでみたいかも」

 ぎょっと生田は細い目を目いっぱい見開いた。

「お前なに言ってるかわかってる?」
「わかってるよ」
「ああもう! 絶対わかってない!」

 もどかしそうに大きな声を出したあと、生田は俺の腰を抱えなおすとモノを出し入れし始めた。

「痛くないか?」
「気持ちいい……っ」
「お前なあっ」

 俺は正直に答えたのに生田のほうは変な顔つきだ。怒っているようにも、困っているようにも見える。とりあえず俺の体のことを考えてくれたのか、ローションを注ぎ足した。

 滑りがよくなって生田の腰の動きが早くなった。摩擦で中が熱い。

「気持ちい……もっと、なか擦って」

 さっきまであんなにおしゃべりだったくせに今は黙って腰を振っている。だからグチュグチュとか、パンパンとか、セックスのいやらしい音がよく聞こえる。生田の息遣いも荒い。俺も変な声が出る。

「あ、あっ、生田、そこ! そこがいいっ……そこもっとして……!」
「ここ?」
「ああっ、あっあんっ」

 尾てい骨をビリビリっと電気が走ったみたいだった。そこに狙いをつけて腰を動かす生田の顔は元に戻っていた。

 高校の頃より精悍で、男の色気が増した顔。

「俺と付き合ってくれる?」
「それ、俺の台詞だから」
「生田、チューしたいっ」

 ねだったら生田の顔が近づいて来た。ベロチューのあまりの気持ちよさに俺はあっけなく昇天してしまった。





オロチの恋 (2)




2017-11-21(Tue) 20:56| 雨の日の再会| トラックバック(-)| コメント 2

雨の日の再会(1/2)

(「スカートめくり」→「赤い爪」→「ピンクの唇」)

 夕方になって店内のBGMが変わった。どうやら外は雨が降って来たらしい。

 朝に見た天気予報では降水確率は60パーセント。出かける前の空は明るかったから大丈夫だと思って傘をもってこなかった。駅直結の百貨店だから店から駅まで濡れる心配はないが、最寄り駅から家までの道のりを考えると帰りが憂鬱だ。

 しかもあと二時間ほどであがりの時間。止んでいる可能性は低い。

 今日の晩飯は何にしよう。実家を出て早3年。一人暮らしスキルはぜんぜん向上していない。汚部屋だし、洗濯は洗濯機任せ、皺のついたシャツでも平気で着てるし、炊飯器はあるけど米を炊いたのは一人暮らしを始めた頃の数回だけだ。

 見かねた母ちゃんが頃合いを見て掃除をしに来てくれる。そのたびに「早く彼女作りなさいよ」と急かされるのが鬱陶しい。

 大学の頃に一度彼女はできた。おとなしめでかわいい子だった。何度か家に来て掃除や料理もしてくれた。彼女っていいもんだなと実感してたのは俺だけだったようで、突然「村上くんとは合わないと思う」と言われて振られた。

 言われた瞬間は腹が立った。その理由もなんだ、と納得できなかったが、問い詰めて話し合うことを考えたら面倒臭くなって腹立ちは収まった。

 その後も、好きになれそうないい子はいたけど、付き合えたあとを想像したら急に面倒になって、1人のまま25歳になってしまった。
 別に不便も不満もない。洗濯はなんとかなってるし、掃除はたまに母ちゃんがやってくれるし、食事は外食やコンビニで充分。下の処理は雑誌やDVDで間に合ってる。

 不便も不満もないけど、たまに漠然とこのままでいいのかなーってのはある。今日みたいに雨が降ってなんとなく憂鬱な気分の時に、女連れでやってくる客を見たときなんか。

「啓ちゃん、これ似合いそう」

 売り場であがる女の声。新作のニットカーディガンを恋人らしき男に合わせている。若くて可愛い子だ。そんな子に服を選んでもらっている男の顔は後ろ姿で見えない。タッパはある。これで顔も良くて収入も高かったら世の中不公平だよな

「あ、こっちもいいかもー」

 女の子が男の腕を引いて移動した。すかさず男の身なりをチェックする。スーツも時計も靴も安くはないけど高くもないものばかりだ。ファッションにあまり興味がないタイプなのかもしれない。

「啓ちゃんも選んでよ」
「なんでもいいよ」
「誕生日プレゼントなんだよ。啓ちゃんが気に入ったものあげたいの」

 ダサくはないけど垢ぬけてもいない彼氏のために、彼女が服を選ぶなんてのはよく見る光景だ。俺の生活のなかにはないけど。

 困ったように頭を掻く男の横顔が見えた。平均ど真ん中のフツメンで安心する。あれならまだ俺のほうがちょっとイケてるはずだ。なのにどうして俺には若くて可愛い彼女がいないんだろう。

 他に欠点はないか男をまじまじ観察する。彼女は冬物小物を見ているのに、男のほうは興味なさそうにコートを眺めている。結婚したら彼女の尻に敷かれるタイプだろうな。

 あんまりジロジロ見過ぎていたので男と目が合ってしまった。営業用スマイルで軽く会釈する。たいてい目礼を返されて目を逸らされるのに、男は俺を凝視していた。

「……村上?」

 男の口から出て来たのは俺の名前だった。驚いて男の顔を見つめ返した。過去の知り合いファイルをひっくり返して目の前の顔と照合する。ヒットしたのは高校時代のあいつ。

「生田?」

 さっきまでつまんなそうだった男の顔に笑みが広がった。細い目がさらに細くなる。見覚えのある笑い顔。生田で間違いない。

「久し振りだな。最初わからなかった」

 ツカツカ近づいてきて生田が懐かしそうに言う。俺は名前を呼ばれるまで気づきもしなかった。きっとこいつとの記憶を封じ込めたせいだろう。

「ここで働いてるの?」
「うん、まあ」
「俺もこの近くで働いてるんだ。まさかこんな近くで村上が働いてたなんて思いもしなかった。偶然だよな」

 よりによって生田と仕事場が近いなんて最悪な偶然だ。

「あれって彼女?」

 手袋を手に取って見ている彼女に視線をやる。生田も彼女を見て頷いた。

「可愛いじゃん。生田が好きだったゆみりんにちょっと似てる」
「ゆみりんね。懐かしい」

 ゆみりんは語学留学したいと言ってアイドルグループを脱退後イギリスへ渡り、その二年後には現地の青年実業家と結婚したと報道があった。アイドルに興味なんかないのに、生田が好きだったという理由だけでゆみりんの動向には詳しくなってしまった。だが今の口ぶりだと生田はもうゆみりんのファンをやめてしまっているのかもしれない。

 あんなにゆみりんゆみりんと言っていたくせに。

 なんだか腹が立つ。腹を立てたら色々なことを一気に思い出した。スカートを穿いて生田に素股されたこととか、俺にマニキュアを塗ったあと「しごいて」と生田がちんこ出してきたこととか、ピンク色の口紅を塗った生田にフェラされたこととか、69したこととか。

 そしてそのあと俺たちはキスしたんだ。口紅を俺に塗るだけならわざわざキスなんかしなくたっていいのに。

 あの時の唇の柔らかさとか思い出したら、まともに生田の顔を見られなくなった。

「あのあと、どうしてたんだよ」
「あのあと?」
「引っ越したあと!」
「黙って行ったから怒ってる?」
「別に!」
「口調が怒ってる」
「俺には一言くらいあってもいいじゃん」
「村上にだけは言えなかったんだよ」
「なんで」

 なんでだろう、と生田は俺をじっと見た。懐かしむようでもあり、寂しげでもある、物憂げな眼差しだ。そんな目で見つめられたらのどがきゅっと狭まるじゃないか。

 気付くと手袋を見ていた彼女がこちらを見ていた。

「彼女のとこに戻ってやれよ。誕生日プレゼント買ってもらうんだろ」
「村上が見繕ってよ」
「やだよ。よその店で買え」
「そんなこと言って。店員失格だろ」
「うるせえ。仕事の邪魔。いちゃつくならよそでやれ」

 生田を彼女の方へ押しやった。やれやれって肩をすくめる生田が不意に振り返り、俺の耳元に顔を寄せて囁いた。

「そういえば、ローションは買ったくれた?」
「は……? え──あ……っ!」

 何のことか思い出した俺を見届けると、生田はにやりと笑みを残して彼女の元へ戻って行った。2、3言葉を交わすと二人は別の店舗へ移動した。

 それを見送る俺の頭の中ではさっきの生田の言葉が何度も何度も繰り返されている。

 生田も高校時代のあの出来事と最後のやりとりを完全に覚えているということだ。俺だってしっかり覚えている。簡単に忘れられるわけがない。生田も同じということだ。

 もし生田の引っ越しがなくて、あの続きがあったなら。俺たちはセックスしたんだろうか。




見せかけ俺さまくん




2017-11-20(Mon) 21:16| 雨の日の再会| トラックバック(-)| コメント 0

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