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One Way(3/3)

2019.08.31.Sat.


 紺野さんは垣内の腰に跨った。ペニスに手を添え、自分のアナルに宛がうと、ゆっくり腰を落としていった。眉間にしわを寄せながら、唇を噛む。その表情がよく見える。白い顔は赤く上気し、セットされた髪は乱れ、汗をかいた額に前髪が張り付き、いつもの冷たい声じゃなく、熱く色のついた声を赤い唇から漏らす。

 今日、家の廊下の暗がりで見た紺野さんの姿を思い出した。あれから想像もできない痴態だった。

 全部を飲みこむと紺野さんはほっとしたように息を吐いた。

「体重分、深く咥えこんでお腹のなかが辛いだろう」
「……ん……はい……」
「どこまで僕のおちんちんが入ってるのか教えてくれるかい?」
「え……あ、こ、この辺りまで、でしょうか……」

 羞恥に満ちた顔で、紺野さんは律儀に答えながら下腹部を手でさすった。

「君のなかは狭くてきつくて、火傷しそうなくらい熱いんだよ」
「そ、そうですか……」
「ここに僕の精液をいっぱい出して、君の腸に吸収させてあげる。僕と君が混じり合って溶け合ってひとつになれるなんて素晴らしいと思わないかい?」
「はい……素晴らしい、です、社長」

 垣内の変態な言葉にも紺野さんは興奮するのか体を震わせた。

「よしじゃあ僕の精子が欲しかったら、頑張って動いてもらおうかな」

 戸惑いの表情で紺野さんがユサユサ腰を動かし始めた。陰部を擦りつけるような生温い動きだ。

「それじゃ僕はいつまで経ってもイケないよ」

 垣内は両手で紺野さんの乳首をいじった。唇を噛んで紺野さんが腹の上でビクビク跳ねる。乳首が感じるらしい。ここまで仕込まれるまでに一体何度、彼は男に抱かれてきたのだろうか。全部、親父の命令で。

「はあぁっ、あっうぅんっ……社長っ……あっ、ど、お……ですかっ……あっ」
「まだまだ全然だめだよ、紺野くん。もっと君の奥で僕のおちんちんを扱いてくれなきゃ。奥でおちんぽしゃぶるのが大好きだろ、君は」
「んっはあっ、は、いっ! お、ちんぽ……奥でおしゃぶり、らい、好きです……!」
「じゃあ遠慮しないで、もっとズボズボ出し入れしてごらんよ。僕のおちんちんが君のお尻の中を出たり入ってるしているところをよく見せておくれ」
「はい、社長……っ」

 紺野さんは垣内の腹の横に手をつくと尻を浮かせた。足と手で踏ん張りながら、腰を大きく上下させる。凶悪な肉棒が紺野さんの尻から見えたり隠れたりする。リズムよく腰を振りながら紺野さんはあられもない声をあげた。

「あっあっあぁぁっ、社長のおちんちんっ私ののおくまで……届いてっ……あぁっあんっあぁんっ!」
「そうそう、やればできるじゃないか。紺野くんは下のお口でもおしゃぶりが上手だね。とても気持ちいいよ」
「んっ! はあっ、あ、良かっ……たっ……アッ! 社長…乳首、やっああっあんっ」
「お尻の穴でおしゃぶりしながらここを弄られるのが好きだろ」
「はぁっあっああっ、あんっ、いやっ、ああっ、らめっ、社長、だめですっああっあぁんっ」
「君の中はずいぶん喜んで僕を締め付けてくるけどねえ。ほら、もっとちゃんと動いて。腰が止まってるよ」
「もうしわけ…ありま、せ……んっ、ああっ」

 垣内は上下運動を手伝うように紺野さんの腰を掴み、また自分からも腰を振った。垣内の腹の上を紺野さんが跳ねあがる。

「あぁっ! あっ! だめっ! 抜けちゃ…ッ…社長っ、だめ、ああっあんっ抜けちゃうっ、そんな……激しくしたらッ……おちんちんがっ……抜けてしまいます……っ!!」
「しっかり僕を咥えこんではなしちゃだめだよ」
「いああっ、あっあっ、ふ、かい……! ああっあっあんっあぁんっ、だめっですっ……社長……ッ」

 もう自分では動けないほどなのか、紺野さんは前に倒れ込み、垣内に抱きついた。垣内は構わず激しい突き上げを繰り返す。

「よし、いくぞっ! 出すぞ、紺野くん!」
「あっ、んっ、社長っ、私のなかに……どうぞ、おだしになって……くださいっ…社長の精子……わ、たしの、おなかに…はあっあ、ああっ…出して……!」
「いやらしい君の淫乱秘書ケツマンコに精子注いでやるぞ……! いくっ、いくっ、出るぞ……!」

 垣内が紺野さんの尻をぎゅっと鷲掴んだ。白い尻に力んだ太い指が食いこむ。隙間なく密着した2人の下腹部。確かめるまでもなく中出しだ。それを受けて紺野さんは恍惚とした表情を浮かべた。もしかしたら紺野さんもイッたのかもしれない。

 二人は音が立つほどのディープキスを始めた。俺はそっと襖を閉じた。

 ~ ~ ~

 事が済み、服を着た垣内が俺のいる部屋に戻ってきた。父ではなく息子の俺を見て一瞬驚いた顔をしたものの、「君が公維くんか。お父さんに似て男前だねえ、羨ましい」すぐ何事もなかったような顔つきに戻った。

「父がお世話になっております」

 深く頭をさげる俺に満足したように頷く。

「あとのことは任せるよ。選挙資金は心配しなくていいと、お父さんに伝えておいてくれるかい」

 俺の肩を叩いて垣内は部屋を出て行った。汗と精液の匂いが部屋に残る。

 隣に視線をやった。物音ひとつ聞こえない。立ちあがり、襖を開けた。布団の上に、精も根も尽き果てた紺野さんが横たわっている。ぼんやり俺を見上げて「先生」と呂律の回らない口で言う。

「親父はあんたを置いて帰ったよ」
「……君は……ああ、公維くんか……」

 のそりと体を起こし、自分の体が精液まみれだと気付くとため息をついた。あたりを見渡しティッシュを見つけて汚れを拭く。垣内は中にも外にもたっぷり出していったようだ。年のわりに俺より元気だ。薬でも飲んでいるのだろう。

「先生に私を押しつけられたんですか」
「まあそんなとこ」
「気分の悪いものを見せて申し訳ありません。先に帰って頂いて結構です」

 もういつも通りの無表情と冷たい声に戻っている。

「そんなことしたら俺が親父に怒られる。紺野さん、まともに歩けないんだろ」
「少し休んで行けば一人でも平気です」
「意地張んなよ。送るから」

 テーブルの上におしぼりを見つけた。それで俺も紺野さんの体を拭いてやる。

「公維くんにそんなことをしてもらうわけには」
「親父がやらせてるんだろ。俺にできるのはこのくらいだよ」

 紺野さんは黙って目を伏せた。悲しげな目元に見えた。

 服を着せ、紺野さんを抱えるように料亭を出た。見送りの女将が「まあまあ。紺野さんたらずいぶん酔ってらっしゃるのね」ととぼけたことを言う。知らないわけがあるまい。表向きそうしておきたいのだろう。

 酔っている紺野さんを後部座席に乗せた。一人暮らしをしているマンションを聞き出し車を走らせた。

 ルームミラーで見る紺野さんは疲れきった顔をしていた。白い顔がいまでは青白いほどだ。そこまでして親父に尽くす必要があるのだろうか。

「紺野さんはなんで親父の秘書やってんの?」
「……その質問には今日お答えしたと思うのですが」
「それは秘書になった理由だろ。いま俺がきいてんのは続けてる理由だよ。あんなことまでやらされて、命令した本人は一人でさっさと帰ってさ。それでも親父の秘書を続ける理由はなに?」

 窓の外に目をやって紺野さんは微かにため息をついた。

「君は気付いているでしょう」
「親父が好きなの?」
「そうです」

 冷たい声が少し熱を帯びた気がする。紺野さんがイラついている。

「どこがいいの? 紺野さんがあのおっさんにやられながら先生先生って親父を呼んでる時、なんて言ったと思う? 気持ち悪いって言ってたんだぜ。自分がやらせてるくせにさ。どんなに尽くしてやっても、親父はあんたに手を差し伸べることはないよ」
「わかっています」

 力んだ声が制止するように言った。

「そんなことは知っています。わざわざ教えてくれるなんて親切ですね。私が気持ち悪いなら構わなければいいんです。もうここでおろしてください」

 とドアに手をかける。

「わ、待て、違うって!」

 慌ててドアをロックした。むすっとした顔が鏡越しに俺を睨む。紺野さんが怒っている。はっきりと不快感を顔と態度に出している。今日は初めて見るものばかりだ。

「紺野さんにあんなことさせてる親父に腹が立ってるだけで気持ち悪いなんて思ってないよ。むしろ、あんな奴のためにそこまでしなくていいのにって思ってる。秘書なんか辞めちゃえばいいのに」
「馬鹿なこと言わないでください。そんなことしたら先生のそばにいられなくなるじゃないですか。くれぐれも先生に余計なことは言わないでください。お節介は間に合ってます」

 言うとツンとそっぽを向いた。ふと、垣内が紺野さんを「かわいそうでかわいい」と言った言葉を思い出した。本当にその通りだと思った。

 そこまで思われるほど、父は政治家として男として魅力があるのだろうか。父子だからか、俺にはまったくわからない。

 肩をすくめて運転を続けた。

「……ン……」

 かすかに声が聞こえた。鏡には、手で口を押さえた紺野さんが見える。切なげな表情は、料亭で見たあのときの顔に似ている。

「どうしたの?」
「……いえ、なんでもありません」

 声も上ずっている。

「なんでもないことないだろ」

 心配になって車をとめた。紺野さんはあいかわらず口を押さえたままだ。俯く瞼が細かく震えている。

「吐きそう? 気分悪い?」
「違い、ます……私は大丈夫ですから」
「いや、どう見ても大丈夫じゃないでしょ」

 車のなかを移動して後部座席へ移った。紺野さんの背中を撫でながらなにかないかと探す。運転席の下にゴミが入ったコンビニの袋を見つけた。それを開いて、紺野さんの顔の前にかざす。

「気持ち悪いならここに吐きなよ」
「本当に……違うんです……」
「いまさら遠慮することないだろ」

 薄目に俺を見て、紺野さんはふと笑った。

「それもそうでしたね」

 言うと背筋を伸ばしてブルッと体を震わせた。

「……垣内社長が……出したものが……少し、漏れてしまったんです」
「──え……? え、あ、ああっ!」

 遅れて意味を理解して俺のほうが動揺してしまった。いま目の前にいる男は、さっき中出しされたおっさんの精液を尻から漏らしていると言っているのだ。

「あ、なんだ、そういうことか。ごめん」
「いえ、私の方こそ……あ、シートを汚してしまいますね」

 紺野さんは背広を脱いで尻の下に敷いた。

「いいよ、そんなことしなくて」
「公維くんは優しいですね。先生とは違う」

 その言葉を聞いてなぜかカッと頭に血が上った。優しくなんかないと認めさせたくて紺野さんを押し倒し、親父とは違うと証明したくてズボンをずり下ろした。

「公維くん、なにをする気ですか……!」
「全部出さなきゃずっと気持ち悪いままなんじゃないの」
「我慢できますから早く運転に戻ってください」
「いや、出そう。手伝うから」
「ヒあ──ッ」

 紺野さんの穴を探りあて、中に指を潜り込ませた。想像していたより熱くて柔らかい。奥まで入れるとグチュリと濡れていた。垣内との性交の証。

「やめっ……公維くん、やめてくださいっ……いやっ……!」

 俺の服を引っ張ったり背中を叩いたりする紺野さんを無視して中から精液を掻き出した。何発出されたのか大量に溢れてくる。あのおっさん、好き勝手やりやがって。思わず舌打ちした。

「公維くん、もう……やめ、てくださいっ…あとは…自分で、やりますから……、きみの手が、汚れます……っ」
「このくらいなんでもないよ」

 紺野さんは俺にしがみつくようにしてぎゅっと固く目を閉じた。

 赤く薄い唇が震えるように動いて「先生……!」と掠れた声を漏らした。その唇にキスしたいと思うなんて、どうか俺の気の迷いでありますように。




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One Way(2/3)

2019.08.30.Fri.
<前話>

 父はゆっくり襖を開けた。

 10㎝ほどの隙間から、布ずれの音と、人のくぐもった声が聞こえてきた。ああ、やっぱり。見るまでもなく、中で行われているのは男女の営みに違いない。

 わかったよ、と父に視線を送ったら、ちゃんと見ろ、と父は顎をしゃくった。

 仕方なく10㎝の隙間から中を覗く。隣の部屋には布団が敷いてあって、小太りな男の背中と、その両脇から伸びる細い足が見えた。男の腰の動きに合わせて細い足がユサユサ揺れる。

 AVで見たことのある光景でも、生で他人がやっている現場は直視しがたいものがる。自然と顔が強張る。もういいだろ、としかめっ面を父に向けた。

 その時だった。中から甲高い声が聞こえてぎょっと視線を戻した。

「んん? ここが良かったのかな?」

 嬉しそうに言いながら男が腰を振る。

「アア──ッ……あっ……ん……ああ……ッ……」

 再び声をあげさせようと男は躍起に腰を振るが、女のほうは必死に声を我慢しているようだ。

「もっとかわいい声を聞かせてくれよ。どこが気持ちよかったのか言ってくれないと、僕にはわからないよ」
「い、や……あっ……ああ──ッ、あっ……んふぅっ……」

 女のわりに低い声だった。

「ちゃんと言ってくれないとイカせてあげられないよ。そんなの、辛いでしょ。ほら、こっちはもうベトベトになってるのに」

 男は腕を動かした。女の前を弄っているのだろう。男の脇から伸びる足がガクガク震えた。

「やめ──ッ、あっああっ、そ、んな……ああ……さわらな……で、くださ、い……!」

 掠れ気味のハスキーボイス。女でいないこともないだろうが、俺はある予感に怖々父を窺い見た。

 父はいつの間にか座布団の上に戻って煙草を吸っていた。

「ほおら、おちんちんからいっぱい透明なお汁がでてきたよ? 紺野くん、これはなにかな? 言ってごらん」
「いや、あ、あぁ……勘弁して、ください……!」

 なんてことだ!

 いつも無表情に冷たい声で喋る紺野さんが取り乱した声を出している。俺の目と耳ががおかしいのかもしれない。部屋の中に三人目を探した。だがどう見ても2人しか見当たらない。

 小太りの男に足を揺さぶられているのが紺野さんだなんて信じられなかった。

「おい、親父!」

 声を押し殺して親父に詰め寄った。

「あれはどういうことだよ。紺野さんになにやらしてるんだよ!」
「あれが紺野くんの仕事だ」
「なに馬鹿なこと言ってるんだよ! あれが秘書の仕事のわけないだろう!」

 前を向いたまま父が煙を吐きだす。事の重大さがわかっていないのか、悠然とした父の態度に腹が立った。こんなことが公になれば父の政治家生命はおろか、望月家が破滅する。録音でもされていたら一発アウトだ。明日から連日ワイドショーで取りあげられ、俺の内定は取り消され、おちおち外も出歩けなくなる。

 議員秘書はどんなことも耐え忍ぶと、父は本気で思っているのだろうか。時代錯誤というより、正気を疑うレベルだ。もしかしたら父はもう呆け始めているのか?

 今ならまだ息子の俺が誠心誠意謝罪すれば内密に示談の方向へ持っていけるかもしれない。マスコミに売ったって自分の恥が世間に知れ渡るわりに金にならないはずだ。父に復讐したい気持ちもあるだろうが、それを上回る金を渡すことができれば、もしかしたら──。

 忙しく頭を働かせている俺を、父は満足げに見ていた。

「なんだよ」
「おまえも成長したなと思ってな」

 呑気な父に思わず舌打ちした。やはり呆けている。

「だが、まだまだだな」

 父は煙草をもみ消すと、襖の隙間を目を向けた。

「はあっ……あっ……アアッ……垣内…社長っ……もぅ……ゆるして……ああ……だめ……そこはもう……いやっ……あっあっ……」

 鼻にかかった甘ったるい声。紺野さんがこんな声を出すなんて。

「よしじゃあ、紺野くんが好きな体位で抱いてやろう。君は後ろから突かれるのが大好きだろう?」
「ヒッ……い、あ、あぁっ」

 中からゴソゴソと物音。恐る恐る覗くと、男が紺野さんの体をひっくり返し、細い腰を引きよせていた。角度がかわったせいで、2人の横顔が見える。小太りの男の相手をしているのは、紛れもなく紺野さん本人だった。

 垣内と呼ばれた男は、焦らすようなゆっくりとした速度で紺野さんの中へ陰茎を抜き差しする。紺野さんは体を顎をあげたり下げたりしながら、切なげに声を漏らした。

 見れば紺野さんも勃起している。粘ついた液体が糸を引いて布団に垂れているのまで見える。

「紺野くんがまだ学生の頃にインターン生としてうちの事務所に来た。ちょうどおまえくらいの年だ」

 父の声にはっと振り返る。父は徳利から酒を注いでいた。

「一目見てわかった。この子は男に組み敷かれることが好きなタイプだとな」

 と一気に酒を煽る。

「卒業後もちょくちょくボランディアとしてやってきた。先生のためなら身も心も捧げますって顔で、俺のことを熱っぽい目で見るんだ。最初は扱いに困ったが、ある時、彼の正しい使い道に気が付いた。それがこれだ」

 隙間へ視線を送る。

「ん──ッ、あ、ああっ……そんな……あぁ……社長っ……ん、ひどい……私を……焦らして……っ」
「ゆっくり時間をかけて責めたほうが、君は素直で可愛くなるからね。それまで僕はイカないし、君もイカせないよ」

 垣内は抜けそうなほど腰を引いて、またゆっくり奥へ押し戻した。それを何度も繰り返す。紺野さんは嫌々をするように首を振った。

「もうすぐ選挙だろう。君の頑張りを望月先生も期待していると思うよ」
「はっ……ああっ、先生……っ、先生……!」
「君の献身ぶりには嫉妬するよ。そんなに望月くんが好きなのかい」
「は……いっ……わたし、を……拾ってくださった、先生には……ご恩がっ……んっ……あぁっ」
「ご恩だけじゃないだろう。本当に君はかわいそうでかわいい子だよ」

 また拷問みたいな長い責めが始まった。紺野さんは熱に浮かされたように親父を呼び続ける。当の親父はいつの間にか立ちあがって背広を羽織っていた。

「親父、どこ行くんだよ」
「俺はどんな女も抱ける自信はあるが、男だけは無理でな。あれには悪いが、見ているだけで気持ちが悪い」
「自分がやらせてるんだろ」

 父は苦笑いを浮かべた。

「その分給料は多く渡してある」

 そういう問題じゃないだろう。紺野さんの性的志向と自分への思いを利用して、選挙のために男に抱かせるなんて、我が父親ながら酷い真似をする。

「終わると紺野くんはまともに歩けなくなるんだ。家まで送ってやってくれ。今日からそれはお前の仕事だ。あとは頼んだぞ」

 勝手なことを言うとスーツの裾を翻して父は部屋を出て行ってしまった。一度言いだしたらきかない性格の人だ。追いかけても頭ごなしに「お前がやれ」と言われるだけだろう。

 納得できないが、紺野さんを置いて帰るわけにもいかない。仕方なく残るしかなかった。

 隣からはあいかわらず垣内の嫌らしい言葉責めと紺野さんの喘ぎ声が聞こえる。前より湿ってすすり泣きみたいな声に変わっている。

 まともに聞いていられない。酒を飲んで気を紛らわせたいが、運転しなきゃならないからそうもいかない。

 まったく面倒なことを押しつけてくれたもんだ。政治家がきれいごとだけでやっていけないと、世間の誰もが知っている。俺だって親父が清廉潔白だなんて思ってはいなかったが、これは予想外だった。種類が違う。

 溜息が零れた。時間の経つのが遅い。

 聞きたくなくても、隙間から紺野さんの声が聞こえてしまう。

「ああ……社長っ、社長……も、許して……、ちゃんと、なかを……っ」
「中をどうして欲しいんだ?」
「社長の……おち……ちんで……私のなかを……強く、こすって、ください……!」

 これをあの紺野さんが言っているのか?

 男と繋がっているのを目の当たりにしてもまだ信じられない。どんな顔で言っているんだ。膝で移動して隙間から中を覗いた。

 四つん這いの紺野さんと、後ろから犯す垣内が見えた。垣内は好色そうな笑みを浮かべている。

「どうしてそうして欲しいんだい?」
「ひどい……知って、らっしゃる、くせに……ッ」
「君の口からちゃんとおねだりして欲しいのさ」
「わ、私が……、おちんちんで、なかを……こすられるのが、好きな、淫乱……だか、ら…です……! おねがいですから……もう、焦らさない、で……!」
「そうだね、君は勃起したおちんちんでズボズボなかを擦られるのが大好きな淫乱秘書だからね」
「は……い……ああ……社長、お願いです……はやく……!」
「よしよし、君の望み通り、僕のおちんちんで擦りまくってあげるよ」

 垣内は宣言すると一気に紺野さんの奥へ根本まで突きさした。突然の激しい突き上げに紺野さんの背中が大きくしなる。

「ひぃ──ッ……!! ひ、あ、アアッ……!!」
「おお、おお。中がきつく締まったぞ。僕のちんぽを食いちぎる気か君は」
「ひあぁ……ぁああっ……あ、ああ……! だめ……いまは、まだ……動いては、だめ……んあぁ……社長、ああ、だめ、社長……っ!」
「はっは、中がびくびく痙攣して絡みついてくる。さては君、気をやったな。僕に無断で気をやるとはこれは許しがたいことだぞ」
「ああ、もうし、わけ……ありませ……んっ……社長のおちんちんが……強すぎ、て……はあぁっんっ」
「よしじゃあ罰として君が動いて僕をイカせるんだ」

 垣内はずぼっとペニスを抜くと布団の上に寝転がった。支えを失ったように紺野さんがぐったり倒れ込む。「上に乗るんだよ、さあ」と垣内は紺野さんの尻を叩いた。

 ハアハアと荒い息をしながら、紺野さんは震える腕で体を起こし、垣内の股間に目をやった。使いこまれた赤黒い極太のペニスがヌラヌラと濡れ光っている。

 紺野さんがごくりと唾を飲みこんだのがわかった。親父にむりやりやらされているのかもしれない。だが行為から快感を得ているのは確かなようだ。



太雄ーーーー!!(好き)

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One Way(1/3)

2019.08.29.Thu.
※モブ姦

 起きたらもう昼前だった。昨夜、仲間と遅くまで遊んだせいだ。二日酔いで頭が痛いし、なんなら軽い吐き気もある。とりあえず顔を洗って薬を飲もう。

 あくびしながら階段を下りたら、親父の書斎の前に人がいた。秘書の紺野さんだ。

「紺野さん、おはよー」
「……もう昼ですが」
「あ、じゃあこんにちはー」

 へらっと笑いながら手を振る。紺野さんは小さく頷くだけ。

 ぱっと見、顔は整ってきれいに見える。眉は細くて、目は一重で切れ長、鼻筋通って、薄い唇は赤い。喜怒哀楽を忘れたようにいつも無表情で肌も生ッ白いもんだから、この人の顔を一分も見ていたら爬虫類を連想するようになる。例えば白い蛇。

 紺野さんが家に出入りするようになって2年ほど経つが、俺がどんな冗談を言おうがからかおうが、この人は1ミリも表情を変えない。笑った顔も怒った顔も一度も見たことがない。能面みたいな人だが、まだ二十代のこの人を親父が私設秘書として雇ったということは優秀なんだろう。

 酒を飲んで親父の機嫌がいい時に「おまえも少しは紺野くんを見習え」と言われたこともあるほどだ。

 銅像のように書斎の前で立っている紺野さんと別れ、顔を洗い歯を磨いた。台所に行くと母親が家政婦の野崎さんとテレビを見ながら話をしている。

「おはよう」
「なにがおはようですか。何時だと思ってるの。今日学校は?」
「昼から」
「本当に? 単位は大丈夫なんでしょうね。留年なんてなったらお父さんカンカンに怒るわよ」
「ハイハイわかってますって。野崎さん、頭痛いから薬欲しいんだけど」

 家政婦の野崎さんが薬箱から鎮痛剤を出してくれた。それを飲んだあと、野崎さんが用意してくれた昼ご飯を食べる。

「昨日は何時に帰って来たの。頭が痛いってどうせ二日酔いでしょう。酒臭いったら。あなた自分が学生だって忘れてるんじゃないでしょうね。毎日毎日遊んでばっかりいて。あなたとお父さんは別々の人間だけど、世間はどうしたって望月欣二郎の息子だって目で見るんですからね。もう少しシャンとしてちょうだい」

 ここぞとばかりに母の説教が始まった。野崎さんは仕方がないという顔で苦笑を浮かべている。世間の評価は俺だって知ってる。望月議員の長男は出来損ないの放蕩息子。ただ年相応の遊びをしているだけでこの言われようだ。俺まで議員並みの品行方正さを求められちゃたまらない。

 政治家の父親なんか持つもんじゃないとつくづく思う。

「とりあえず卒業できればいいなんて考えてちゃ駄目だよ。なんのために大学まで行くのかよく考えなさい。自分のしたいこと、やりたいことを見つけるために行くのよ。そのためのお勉強をする場所なのよ、大学っていうところは」

 返事せずにほうれん草のごまあえを口に運んだ。母の言うことには反発しか感じない。好きな仕事をしろと幼いころから言われてきたが、父と母の口ぶりや眼差しから強い圧力をいつも感じる。後援会の人達はもっと露骨で「公維くんにはお父さんの跡を継ぐ意思をしっかり持ってもらわないと」と面と向かって言われる。

 実は父も世襲議員だ。質実剛健な祖父とは違い、父の最初の頃の評判は巧言令色鮮し仁。

 若い頃の父は銀幕スターかと言われるほどの色男で、女性からの支持も多く、テレビや雑誌の取材ではそれこそ芸能人ばりに愛想を振りまいていたらしい。

 甘言を弄して人心を惑わすが実が伴わない。風当りもきつかったらしいが、祖父が亡くなり告別式での毅然とした父の態度で評判は変わり始めた。質実剛健な祖父を思わせる言動を引き継いでからは剛柔使い分けのできるカリスマ政治家へと見事転身した。

 父に言わせれば、すべて最初から計算だったという。若造がどれだけ頑張ったところで世間は認めない。なら評判を落としておいて、いざという時、ひっくり返せばいい。落ちていた分、評価は爆上りする。

 いまの俺と変わらない年でそんなことを考えていたらしい。

 俺にはそんな計算も野望もない。

 政治家に向いてない、とはっきり言ったこともあるが、判断できるほどの経験もないくせに生意気を言うなと一蹴された。憲法第22条、職業選択の自由は俺には認められていない。だから母の言うことは詭弁である。素直にハイと返事できるはずがない。

「わかったってもう。ただでさえ二日酔いだってのに、ますます飯がまずくなるよ」
「自業自得でしょうが」

 ピシャリと母に言われて、これ以上反論するのはやめた。火に油を注ぐだけだ。

 軽く食べてあとは残した。母の説教のせいで食欲が失せた。

 午後の講義は端から出る気はなかったが、家にいたらまたガミガミ言われそうだから出かけるしかない。誰か誘える知り合いはいないかと頭のアドレス帳をスワイプしながら階段に向かう。

 書斎の前にはまだ紺野さんが立っていた。薄暗い廊下の暗がりに、色の白い顔が浮かびあがる。

 俺から話しかけないと、この人と会話は始まらない。

「さっきからなにしてるの?」

 声をかけると紺野さんは顔をこちらに向けた。あいかわらず能面無表情。

「先生が中で電話中ですので」
「だからそこで突っ立って待ってるの?」
「そうです」

 声に温度があるとしたら、この人の声はきっと冷たいに違いない。

「紺野さんはなんで親父の秘書になったの?」
「先生の政策、政治家としての在り方に強く惹かれたからです」
「俺じゃなくて紺野さんが息子だったら親父も嬉しいんだろうね」

 嫌味と冗談半分で言った俺の言葉に、紺野さんの口角がわずかに持ちあがった。

「私が? それはないでしょう」

 例え冷笑であったとしても、この人が笑うなんて滅多にない。いや初めてみた。茫然と見ていたらすぐ笑みは消えた。

「君は早く学校へ行きなさい」

 ここでも説教されちゃかなわない。すぐ退散した。

 ~ ~ ~

 結局午後の講義に顔を出し、そのあと友人たちと遊びに出かけた。ほとんどのメンバーは親父の会社を継ぐだとかコネ就職が決まっていて気楽なもんだ。俺も親父のツテでとある企業への内定が決まっている。

 そりゃ恵まれてると思うし、世間からやっかまれるのも仕方がないと思う。だけど生まれた時から他人とスタートラインが違うのは、持って生まれた運としか言いようがないので俺のせいじゃない。

 連日午前様だと母の説教が増える。今日は少し早めに帰宅した。「あら珍しい」と母の嫌味を受け流し、野崎さんの晩ご飯を食べる。

 食べ終わって熱いお茶を飲んでいたら家の電話が鳴った。野崎さんが母へ繋ぐ。

「公維なら家にいますけど」

 と母が俺を見たので嫌な予感がした。

 受話器を戻した母が俺に向き直る。

「お父さんが忘れものを届けて欲しいんですって。『いすゞ』まで行ってきてちょうだい。どうせ暇でしょ」

 ほらきた。

「いや、レポートとかあるし」
「帰ってきてからでもいいじゃない。昨日も今日も遊びほうけていて、どの口がレポートだなんて言うのかしらね。本当に勉強するのかどうか、野崎さんに見張っててもらいましょうか?」
「……わかったよ。行くよ。なに持ってきゃいいの?」

 やけくそで言うと、母は部屋を出て、封筒を持って戻ってきた。

「車で来なさいって」
「なんで? タクシーでいいじゃん」
「知らないわよ。お父さんが車で来なさいって言うんだから車なんでしょ」

 わけがわからない。俺が酒を飲んでたらどうするつもりだったんだ。精一杯の抵抗として肩をすくめてみせてから、母から封筒を受け取った。親のすねをかじっている間、どうしたって立場が弱いのは致し方ない。

 車を運転して指定された料亭へ向かった。政治家が密談する場所と言えば料亭。ベタすぎて笑える。「いすゞ」は祖父の代から使っていて父もその伝統を変える気はないようだ。

 話が通っていたようで、中に入るとすぐ仲居がやってきて「こちらです」と奥の座敷へ案内してくれた。仲居はそそくさといなくなった。

 襖を開けたら父がいた。ひとりで煙草を吸っている。

「密談は終わったの?」

 俺の冗談に「馬鹿か」と親父。そういえばいつも一緒の紺野さんがいない。だから車で来いと言われたのかと納得しかけた時、奥の部屋からくぐもった声が聞こえた。

 父は意に介さず煙を吐きだしている。

「おまえ、卒業後の進路はどう考えてるんだ?」

 俺は隣の部屋が気になって仕方がないのに、父はどうでもいい話をし始めた。

「どうって、××物産に内定もらってるじゃん」

 父の口利きだ。まさか忘れたのか。耄碌するにはまだ早いはずだが。

「そうじゃない。そのあとのことを言ってるんだ」
「そのあとって言われても……適当に結婚して子供作って──」
「俺の跡を継ぐ気はあるのかと言ってるんだ」

 呆気に取られて父を見た。父は真面目な顔つきだ。

「はは、ないない。俺には向いてないよ」
「サラリーマンなら向いてると言うのか?」

 向いてると断言できる奴なんているのだろうか。答えに窮していると父は煙草をもみ消した。

「おまえの人生だ。おまえの好きにすればいい。だがもし、俺の跡を引き継ぐ気が少しでもあるなら、おまえに見せておくものがある。あとで文句を言われたくないしな。どうする、見ていくか?」

 親父は奥の部屋に繋がる襖に手をかけた。さっきから明らかに不自然な物音が聞こえている場所だ。好奇心を人質に交渉する親父のやり方は気に食わない。

 政治家なんぞになる気はない。だが隣の部屋でなにが行われているのか興味はある。ある程度想像はつくが、それを目の当たりにしたあと、家に帰って母にどんな顔をすればいいのかわからない。親父もただの男だ。職業柄、精力的な人間でないと務まらないことは理解はできるが……。

「そんなもの、改めて見させられても困るよ。世間が抱く政治家がやってそうなこと、そのまんまじゃないか」
「見る覚悟がないなら帰れ。二度とお前に政治の話はしない」

 人間、切り捨てられるようなことを言われると、途端に惜しくなるものである。

 父が政治家であることで嫌な思いもした。父はほとんど家にいなかったし、帰ってきたとしても大人の誰かと話をしていて子供の俺の相手はしてくれなかった。選挙期間はさらに酷くて母も家に居なくなり、俺の相手をしてくれたのは家政婦の野崎さんだけだった。

 見知らぬ通行人から罵声を浴びせられたこともある。

 しかし嫌な思い出ばかりでもなかった。家に出入りする大人は俺には優しかった。選挙事務所に行けばお菓子やらジュースやらの歓待を受けた。ボランティアのお姉さんが俺の初恋だった。

 当選すればこれまでの罪滅ぼしだと父は俺を目いっぱい構って甘やかした。その時の父は本当に優しくて楽しい父親だった。

 政治家である父のことは嫌いではない。恥ずかしくて口には出せないが、誇りに思っているし憧れがないでもない。政治家になった自分を想像したことだってある。

 結局、覚悟と自信がない、というのが俺の本音なのだ。

 父は無言で俺を見つめる。

 父と子でなく、男同士、腹を割って秘密を共有しようとしてくれているのだと気付いた。俺を一人前に扱ってくれたのは、これが初めてじゃないか?

 その秘密が母には言えない男女の色事であったとしても、俺は父を責める気はない。もちろん軽蔑もしない。若い頃は浮名を流したようだが、母と結婚してからは愛妻家を気取っていた父もただの男だった、それだけのこと。男なんて生き物は常にその機会を狙ってるものだ。だからハニートラップなんて原始的な手がいまだに通用するのだ。

 俺は父に頷いてみせた。

「ここで見たことは他言無用だぞ」
「わかってるよ」

 じっと俺を見たあと、父はゆっくり襖を開けた。





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