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誠意の見せ方(3/3)

2019.08.22.Thu.


 また指の動きを再開した。義兄の足は開きっぱなし。閉じる気配はない。俺を受け入れる覚悟ができたらしい。

「もうお義兄さんのなかに入りたいんですけどいいですか?」
「ここまで好き勝手やったんだ。いまさら俺に断りを入れるな」
「それもそうですね」

 膝の裏に手を当て持ち上げた。義兄のペニスは再び勃起していた。指で解した穴はヒクついている。それを見たら喉が鳴った。

「今回はいいですけど、次はちゃんと俺に入れてって言ってくださいよ」
「次はって……!」

 義兄の穴にペニスをあてがい、腰を押し進めた。きつい括約筋を割って亀頭が押し込まれる。

「奥までいきますよ」

 さらに腰を押しつけた。陰茎の見える部分が徐々に少なくなっていく。女より穴の具合が良くてズブッと串刺しにしたあと高速ピストンしたい衝動を抑える。義兄は辛いようで顔を歪ませていた。

「全部入りましたよ。根本までグッポリ。ほら、触って」

 義兄の手を取り結合部を触らせた。隙間なく蓋をされている場所を手で確かめ、義兄は顔を赤くして、色っぽく息を吐いた。

「最初はゆっくり動きます。さっき指で触ったところ覚えてます? あれを思い出してください。そこを擦られる感覚に集中して。一緒に気持ち良くなりましょう」
「君は……本当にこういうことに慣れているんだな」
「男とするのはお義兄さんが初めてですよ」
「怪しいもんだ」

 ふん、と顔を背ける。いちいち仕草がかわいい。

「ほんとですって。俺、女にもモテないですもん」
「既婚者なんだからモテなくていいだろう」
「お義兄さんにはモテたいな。なんちゃって」
「……ばか」

 呟いた「ばか」があまりにかわいかったので俺のちんこはちょっと大きくなった。義兄は眉を顰めた。お義兄さんがかわいいのが悪い。

 チュッチュとキスをしながらゆっくり腰を動かした。何度か擦っただけで出そうになる。他のことを考えなくちゃ。えーと、あの品行方正な義兄がいまは俺の下でケツにちんこ咥えこんでんだよな。股おっぴろげて。……逆効果だ。

 少し腰の動きを速めた。もう俺がもたん。

「んっ……はぁ……はっ……ああ……」

 義兄の口から漏れてくる息遣いもエロい。

「も少し、早くしますよ」

 義兄はこくんと頷いた。大きい動きを意識して出し入れした。グチョグチョと中でローションが掻きまわされる音がする。これもう女とするセックスとかわんねえな。

「はあっ……はっ、んっ……うぅ……ん……ッ」
「さっき俺が触った場所、覚えてます? あそこが熱くなってきたでしょ?」
「……ん……なってきた……」
「その調子でずっと集中して」

 前立腺の場所を意識しながらリズムよく義兄のなかを突く。一突きごとに義兄の表情が変化していく。不安と緊張で硬かった顔が、だんだん蕩けて、切なげに、エロく変わっていく。最高の眺めだ。

「あ、はあっ……はぁんっ……あっ」
「いい感じにトロトロになってきましたよ、お義兄さんのなか」
「そんなこと……いわなくて、い……はぁっ……あ、うっ……んっ、ああっ……」
「お義兄さんの顔も声も体も、全部エロい。普段のお義兄さんからは想像もつかないな。もっと乱れるところを見せてくださいよ」
「いや、だ……そんな……恥ずかしい……」

 口元に手をあて、消え入りそうな声で言う。そんなの見せられたら腰の動き止まんないじゃん。

 義兄の足をさらに押し上げた。ほとんど体を曲げたような格好にさせ、上から叩きこんだ。

「んっ、うっ、あっ、あっ、きつ……い……んあぁっ! あっ、いや、やめっ……尚之くん……いやだっ、この格好……! あっあんっ、深い…奥まで当たってる……!!」
「このまま結腸責めしちゃいます? 男の子宮口、俺のちんぽで突きまくって精子注ぎこんであげますよ」
「なに、言って……! んっ! あんっあっ、いやっ、ああぁっ……ふかいっ、いやっ、あんっ、やだぁっ……! 腰、止めてっ……はぁ、ああっ! あっあっあっ! やっ、あんっあんっ!」

 お義兄さん、もう声止まんないって感じだった。枕を必死に掴んで、イヤイヤするみたいに首を振る。俺ももう止まんなかった。義兄を気遣う余裕もなく一心不乱に腰を振った。義兄の奥深くへ穿ちこんだ。

「いやだっ、尚之くん! 止めろ!! あぁっ、あっ! やぁっ、出る! 出るぅ…あっ、あぁんっ、やだっ、こわい…! こんなの、知らなっ……気持ちいいの、止まらない…! 尚之くん、出るからっ! あぁぁっ、あっ、あんっ、イクッ、イッ──ッ!!」

 ギュッと義兄のなかが締まった。

「うっ、きっつい…!」

 義兄は体を硬直させながら果てた。ペニスから吐きだされた精液が義兄の顔めがけて飛んでいく。義兄のお綺麗な顔がいまやザーメンまみれだ。エロさ増し増し。

 口で荒い呼吸をしながら義兄はうっすら目を開けた。蕩け切って焦点が合ってない。唇を伝う精液を、たぶん何かわからず舐めとった。

「どうでした? 気持ちよかったでしょ?」
「ん…気持ちよくて……おかしくなりそうだ……」

 夢見心地な義兄の受け答え。まだ強い快感が抜けきっていない証拠。無防備な義兄はかわいかった。

「もうちょっと付き合ってくださいよ」

 義兄の両手首を手綱のように掴んでピストンを再開した。イッたばかりの義兄には刺激が強すぎるようで泣くように喘いだ。

「イ、いいっ──ッ、あっ、や──ッ!! まだ動くな、や……! あっあぁっ! い、あぁ! あぁっあっあぁぁん!」

 痛いほど中が締まる。俺も長く持たない。

「大丈夫ですよ、もう終わりますから」
「終わって……くれっ……! 早く、イッて! だめっ、あっあっあぁんっ、おかしくなるっ!!」

 取り乱す義兄を見ながら、遠慮なくたっぷり中出しさせてもらった。

 ¥ ¥ ¥

 その後、義兄を腕枕しながらイチャイチャピロートーク。 

 なんてするはずはなく、俺はまた床に正座させられていた。

 シャワーを浴びてすっきりした義兄は、ベッドに腰かけ鬼の形相で俺を睨みつけている。

「義理の兄弟でこんなこと……! 深雪に顔向けできなじゃないか!」
「別に普通にしてればいいんじゃないですか」
「ずいぶん慣れているようじゃないか。今回が初めてじゃないな? やっぱり君、浮気の常習だろう!」
「そんなことないです。本当にお義兄さんが初めてですよ」

 素人相手にセックスしたのはこれが初めてだ。風俗なら何度もあるけど。俺の性欲が強すぎて、深雪が毎回は無理!と音を上げ、風俗通いはOKになった。

「このことは絶対深雪には言うな」
「言えるわけじゃないじゃないですか。俺たち共犯ですよ、お義兄さん」
「気持ち悪い言い方をするな」
「またしましょうよ、俺たち体の相性良かったし」
「馬鹿か?! 正気か?!」

 義兄が目を剥く。ここで素直に「気持ちよかった、またしたい」と言える義兄ではないのだ。

「お義兄さんが相手してくれなかったら俺、他の女と浮気しちゃうかもしれないなー。そんなことしたら深雪が悲しむだろうなー」
「……我慢すればいいだけの話だろう」
「我慢できないから、こういう事態になってるんですよ。また美人局に引っかかったらどうしよう。深雪、泣いちゃうだろうなー。かわいそうだなー。お義兄さんは深雪が悲しんでもいいっていうんですかー?」
「俺を脅しているのか?」
「違いますよ。俺のだらしない下半身をお義兄さんが見張っててくれれば深雪は悲しまない、俺もお義兄さんも気持ちいい、誰もがハッピーって話です。正直に言うと俺、お義兄さんとこれっきりにしたくないんですよ。お義兄さん、すっごいかわいかったから。今まで知らなかった一面を知れて嬉しいっていうか、もっと仲良くなれるんじゃないかって思ってるんです。お義兄さんにももっと俺を知ってもらいたいし、もっとかわいいとこ俺に見せて欲しいんですよ。お義兄さんなら俺のわがまま全部許してくれるって期待しちゃってるんですよね」

 義兄のやり方をまねて矢継ぎ早に言いながらじりじり近づいた。足を組んだ義兄の膝にキスした。義兄がうろたえる気配。上目遣いに見つめると、義兄は俺から目を逸らした。

「た、確かに、どこの馬の骨ともわからん女に引っかかるくらいなら、俺が君を見張っているほうがいいかもしれんな」
「そうでしょ。お義兄さんと仲良くなれば深雪も喜びますし」
「深雪のためなら、仕方ない」
「俺と仲良くしてくれるってことですか?」
「仕方なく、だ。また仕事中に呼び出されるのは困るしな」
「じゃさっそく都合のいい日、教えてもらえません?」
「……週末、俺の家に来ればいい。住所は知っているだろう」

 これってお泊りのお誘いだよな。我慢しきれず義兄を押し倒した。

「おい、もう今日は無理だ!」
「わかってますよ、キスだけ。お義兄さんかわいい。俺もう、あんたにメロメロだよ」

 こうして俺と義兄のいけない関係が始まってしまったのだった。





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誠意の見せ方(2/3)

2019.08.21.Wed.
<前話>

 義兄の顎を押さえ、唇を押しつけた。大きく見開かれる目を見つめながら唇を舐めてみる。柔らかくて心地よいキスの感触。そこに男女の違いはない。

「おまえっ、ばかっ、なんてことを!」

 俺を押しのけて義兄が声を荒げる。テンパると語彙力が幼稚園児並みにまで落ちるらしい。こりゃあいい。

「お義兄さんが可愛い顔するからですよ。俺、据え膳はありがたく頂いちゃうほうなんで」
「なっ、おい、ばか! どこを触っているんだ!!」

 肩で義兄を押しつけながら服をたくしあげ、直接肌に触った。細い腰。滑らかな触り心地を味わいながら、平らな胸の小さい突起を見つけた。

 クニ、と指で押しつぶすと義兄の体がビクンと反応した。

「敏感ですね」
「違う! いきなり触るから、驚いただけだ!」
「ほんとですかね」

 指で小さな乳首をこねくり回す。義兄は唇を噛んで俺を睨んだ。

「立ってきましたよ。ほら、コリコリにしこってる。乳首感じるんですか? 歴代彼女に開発された? それとも自分でいじってます?」
「もう謝っただろう! 気持ち悪い意趣返しはやめろ…不愉快だっ!」
「気持ち悪い? 気持ちいいの間違いじゃないですか。だって、ほら、こっちも立ってるじゃないですか」

 ゴリゴリと股間を擦り合わせた。俺もだが、義兄も硬くなりはじめていたのだ。

「そんなものを擦りつけるなっ、いい加減にしないか!」
「もうこの際、お互い出すもん出してすっきりしませんか。お義兄さんも、そっちのほうが仕事に集中できると思いますよ。このまま帰ったら悶々として仕事どころじゃないでしょ。誰もいないオフィスでオナニーってシチュは興奮するけど、俺はそれ見らんないし」
「そんなことするわけないだろう! 君じゃあるまいし!」
「じゃあやっぱりここで出していくしかないですよ」
「どうしてそういうことになるんだ!」

 グーで俺の胸を殴ってくる義兄の股間を膝で押して刺激を与える。そこはみるみる硬く、大きくなっていく。

「俺を侮辱するのもいい加減にしろ! そんなに腹が立ったのなら口で言い返せばいだろう! 力づくで辱めるなんて、人として最低だ!」
「もう腹は立ってないですよ。お義兄さんとどこまでできるかなって、ただの好奇心っていうか、チキンレースていうか。俺けっこうその気です。男は無理だけど、お義兄さんならイケる気がします」
「なっ?!」

 眉を顰める義兄の胸に吸い付いた。小さく力のない乳首を舌で掬い上げ、チュウチュウと吸った。ふと、学生の頃付き合った、貧乳の女の子を思い出した。あの子元気にしてるかな。

 義兄は喚きながら俺の服を引っ張ったり背中を叩いたりする。髪の毛を掴まれたときはさすがに痛くて頭をあげた。

「なんですか、もう」
「なんですかじゃない! 自分がなにをしてるかわかっているのか?! さっき痛い目に遭ったばかだろう! 悪乗りはいい加減にしろ!」
「なんなんですかね。お義兄さんの、男をその気にさせる魅力っていうか、色気っていうか。男にモテるんじゃないですか? 今まで経験あったりします?」
「あるわけないだろ!」
「じゃあ俺が初めてだ」

 ズボンの上から股間を揉んだ。逃げようと義兄が体をくねらせる。

「汚れたら恥ずかしいでしょ。腰浮かせて。脱がせますから」
「いっ、嫌に決まってるだろ!」
「染み作ったズボンで外歩けるんですか? そういう趣味?」
「馬鹿にするのもいい加減にしろ!」
「じゃあ脱がないと」

 ズルッとズボンとパンツをずり下ろした。勃起したペニスがこんにちは。あまり使いこんではいないようできれいな色だ。少し細めかな。

「い、やめろっ、このっ」
「抜き合いするだけですって。この程度でギャーギャー騒ぐなんて、お義兄さん、童貞ですか?」
「そんなわけないだろう! あ、ばか、どこを触ってるんだ!」

 義兄のペニスを掴んで上下に擦った。温かい肉の棒。男のちんこ。なぜか抵抗は感じない。

 足が閉じられないよう、ズボンを蹴り下ろし、膝の間に割って入った。もう足の痺れは治っているが、面白い遊びを止めるつもりはない。

「そんなこと言って。先走りすごいんですけど。俺の手ビチョビチョですよ。見ます?」

 粘ついて糸引く指を義兄に見せた。義兄は顔を真っ赤にして目を逸らした。恥ずかしくて何も言えない様子だ。

「かわいい顔しますね」
「もう……やめろ、やめないか……っ」

 強張った体。震える声。背けた顔から伸びるおいしそうな首筋。軽く歯を立てたら、「んんっ!!」と義兄は体をビクビク痙攣させながら射精した。

「早くない?」

 うっかり零れる本音。ギッと俺を睨む義兄の目が赤く潤んでいる。いじめすぎた? 罪悪感半分、もっといじめて色んな顔が見たい欲望半分。

「お義兄さん、次は俺の番ですよ。ほら、握って」
「いやだっ、断る」
「人にシコらせておきながら、自分はいやってズルくないですか」
「俺はやめろと言ったのに、君が勝手にしたんじゃないか」

 吐き捨てように言って、義兄は俺の下から逃れようと体を動かした。うつ伏せになって匍匐前進する。

「うーん、手でしてくれないなら、こっち使わせてもらいますね」

 尻の割れ目を指でなぞった。義兄の体がビクッと飛び跳ねる。

「なっ、どこを触って……!」
「ローションなんて使ったことないでしょ。俺が使い方教えますよ。彼女ができたらローションプレイできますよ」
「誰がそんなこと!」
「楽しいですよ、ローション」

 蓋をあけたボトルを義兄の尻の上で逆さにした。ボトボト勢いよくローションが零れる。それを義兄の尻になすりつけながら、尻の奥まで行き渡らせた。

「やめっ、やめろ! なにを考えてる! 正気か!!」
「お義兄さんがね、女の子だったら俺の指テクでビチョビチョに濡らせて軽くイカせる自信あるんですけど、男だからそういうわけにもいかないし、俺も男とヤルのは初めてなんで念を入れてローションでベトベトに濡らしておきますね」

 指で肛門を触ったらそこはキュッと窄まった。中指を奥へ入れてみる。意外と侵入は容易い。入り口のキツさは女とさほどかわらない。未使用なことを思えばこっちのほうがキツいかもしれない。

「ううっ、気持ち悪い、なんてことするんだ…! いまやめれば水に流してやる、だから、指を抜けっ! 抜かないかっ!」
「水に流すなんて絶対嘘だもん。めちゃくちゃ怒るでしょ。同じ怒られるなら、最後までヤンなきゃ損ですよ」

 女とヤルときと同じ要領で指を出し入れした。ローションのおかげでスムーズだ。高速で動かしてみた。グチョグチョといやらしい音。

「やめっ、もうっ、ううっ、いやだ、どうして俺がこんな目に…!」
「ははっ、ほんとですよね。仕事中ラブホに10万もって来いって呼び出されて、義理の弟に尻穴ほじられてるんですから」
「やめろ、やめてくれ、ほんとに、頼むからっ」
「大丈夫、そのうち気持ち良くなってきますから」

 風俗で前立腺マッサージを受けたことがある。それを思い出しながら指を動かしてみた。中にあるこぶのような盛りあがり。そこを何度も擦った。義兄の肩がたまにピクンと反応を見せた。

「んっ、ふうっ、う、ううっ」
「良くなってきました? ここ、男でも気持ち良くなっちゃうとこですから、声、我慢しなくていいですよ。ほらほら、聞かせてくださいよ、お義兄さんの声」
「誰が…! ばかにするのも、いい加減にしろ……!」
「強情だなあ」

 ローションを注ぎ足し、指を二本に増やした。前立腺を重点的に責める。義兄は反応を止められないようで、体がビクビク震え出した。

「いやっ、あっ、あ、やめろ、いやだ、んんっ」
「根本の奥のほうがじんわり熱くなる感じないですか? ちんこ勃ちそうっていうか、おし/っこ出そうっていうか。痛いような、気持ちいいような感覚。ないですか? あるでしょ?」

 手を動かしながら問いかけると、義兄は小さく頷いた。

「その感覚に集中してください。普通にオナニーするより、気持ちいいですから」
「いやだ、こわい、こんなの……俺は知らない、知りたくないっ」

 不覚にも胸がキュンとした。義兄がこんなかわいいことを言うなんて思いもしなかった。

「こわい? 俺がいるからこわくないですよ」

 俯いたまま首をフルフル左右に振る。

「君がこわいんだ」
「俺?」
「いつもヘラヘラ笑ってるくせに、今日は別人みたいだ」
「いつもと同じですよ、ほら、こっち向いて」

 肩を持って仰向けにしたら、ほとんど半泣きの義兄がいた。また胸がキュンとなる。

「そんなかわいい顔、他の男の前でしちゃだめですよ」

 肩を掴んだまま義兄にキスした。顎を引いて一瞬逃げようとした義兄も、諦めか好奇心が勝ったのか、自分から口を開いて俺を受け入れた。しっかり密着させ、奥で縮こまっている舌を絡め取った。おずおず応える義兄にまた胸が高鳴る。

「君は誰にでもかわいいなんて言っているのか」
「そりゃあ、口説くために過去にたくさん言いましたけど、いまはお義兄さんだけですよ。もちろん口先だけじゃないですよ。本気でかわいいって思ってます。お義兄さんがかわいいから、キスしたくなったんです」
「男相手に……俺なんか、嫌味で横柄でどこもかわいくないのに」
「あ、自覚あったんだ」

 と笑ったら潤んだ目が俺を睨んだ。いつもみたいな迫力はもうない。またキスしたくなって口を塞いだ。少しして、義兄は目を閉じた。




誠意の見せ方(1/3)

2019.08.20.Tue.
※美人局。義兄弟

 あの人のことが苦手なんだが背に腹はかえられない。嫌味も言われるだろうが、仕方がない。

「お金貸してくれそうなアテがあるんで電話していいですか」

 思いきって言ってみたら、チンピラなお兄さんは俺を睨めあげた。

「警察に電話すんじゃねえだろうなあっ?! そんなことしてみろ、まじでおめえの会社まで行って人の女に手出したこと言いふらしてやっからな!!」
「しません! 義理の兄です!!」

 さっきまで俺に気があるふりで可愛かった怜奈ちゃんが冷たい目で俺を見る。その顔はもう愛嬌たっぷりの可愛い顔じゃない。俺を敵、というより、カモとしかみていない。

 冷静になってみれば最初から不自然だったんだ。ひとりで飲んでたらめちゃくちゃかわいい怜奈ちゃんが「横いいですかあ?」っていい匂いを振りまきながらやってきた。俺なんかがモテるわけないのに。

 怜奈ちゃんとの会話は弾んだ。当たり前だ。カモの気分を盛り上げるのが怜奈ちゃんの役割だから。すすめられるまま酒を飲んで良い感じに酔っぱらって「場所変えません?」って怜奈ちゃんのお誘いにもホイホイついていって。

「ちょっと酔っちゃった。休憩しませんかあ?」

 って怜奈ちゃんが俺を連れこんだのはラブホテル。嫁の顔が頭をチラついたけど、こんなの浮気の数にも入らない。一夜限りの風俗みたいなもん! と自分を誤魔化してホテルの部屋に入った途端、「ひとの女になにしてくれてんだゴラアアッ!!」って強面のお兄さん登場。

 あとはもう免許証取られて、誠意見せろって脅されて、財布の有り金全部取られた。これじゃ少ないって言われて、財布のひもは嫁が握ってるから俺がおろせる金はないって正直に白状したのに、なんとかしろ、の一点張り。

 そんな時頭に浮かんだのが義兄だった。聞くところによると有名企業に勤める高給取りらしい。あの人結婚もしてないし、仕事が趣味みたいなひとだから金はそうとうためこんでいるはずだ。

 出てくれよ、と怖々期待しつつ、義兄に電話をかける。呼び出し音が切れた。

「あ、あのっ、お久しぶりです、尚之です」
『久しぶり。尚之くんが電話してくるなんて珍しいね。どうかした?』
「あのー、非常に申し上げにくいんですが……」

 これこれこういうわけで、と今夜のことを話したら電話の向こうから大きな溜息が聞こえた。

『馬鹿か、君は。いまどき美人局だなんて。そんなものに引っかかる愚か者が令和になってもまだ存在したなんて驚きだよ。深雪は知っているのか?』
「知らないです。言えないです」
『だろうな。言わなくていい。深雪がかわいそうだ。それで俺にどうして欲しいんだ』
「お金を貸してもらえないかなーと。あの、10万。必ず返しますから」
『当たり前だ。君の助平心になぜ俺が10万くれてやらないといけないんだ。こっちはまだ仕事中だっていうのに、それを抜け出して君の尻ぬぐいのために10万持ってラブホテルへ行けっていうのか?』
「そういうことになります、はい、すいません」
『この借りは高くつくぞ』

 やっぱこの人に電話したのは間違いだった、と後悔したがもう遅い。ホテルの場所を伝えると、『おとなしく待ってろ』と電話は切られた。

 一時間ほどして俺の携帯が鳴った。部屋の番号を伝える。しばらくして扉をノックする音。対応のため向かった怜奈ちゃんの彼氏を押しのけ、義兄がズカズカ部屋に入ってきた。床に正座する俺、ベッドに寝転がる怜奈ちゃんを見て、また盛大な溜息をつく。

「10万持ってきた。これでいいんだな」

 腕を組んで出口を塞ぐ怜奈ちゃんの彼氏に義兄が言う。

「なんだあ、その態度はよおお。怜奈はレ/イプされそうになった被害者なんだぞお?! その慰謝料をたったの10万ぽっちで済ませてやろうって言ってんのに、そっちがそういう態度取んなら出るとこ出てやろうかあ?! あぁん?!」

 と義兄に顔を近づける。さっきから思ってたけど、この人言動がいちいち任侠映画に出てくる昭和やくざぽいんだよな。しかもチンピラ役の。

「10万で済ませてやろうというのはこっちの台詞だ。出るとこ出る? 上等だ。警視庁に知り合いがいるからそいつを呼んでやる」

 と背広のポケットからスマホを出した。彼氏が「なんだとっ!」と顔色を変える。

「ちなみに、部屋に来る前に5分経って俺が出て来なければすぐ警察を呼ぶようフロント係に言ってある。騒ぎになったらあがりの時間が遅くなるぞと脅しておいたから、今頃時計を睨みながら受話器を握りしめている頃じゃないか? 警察を呼ばれて困るのはそっちだろう。ふたりが酒を飲んだ店の防犯映像なんて警察が言えばすぐ見れる。先に声をかけたのはどちらかで、警察の心証はかなり違うと思うがね。それにもし万が一同じ店に君が映っていたら、状況は圧倒的に君たちに不利になる。それでも警察を呼ぶか?」

 義兄は腕時計を叩いた。早口でまくしたて考える隙を与えない。義兄のやり口だ。

 彼氏は必死に考え事をしているようだが嘘と真、それを確かめる時間も材料もない。最終的に「覚えてろよ!」と吐き捨てると、義兄から10万引っ手繰って部屋を飛び出した。「待ってよー」と怜奈もあとを追う。バタンと扉が閉まって、義兄の冷たい目は、俺に向いた。

「申し開きはあるか。あるなら聞いてやる」
「ないです。申し訳ありません。助けて頂き、ありがとうございます」

 深々義兄に頭をさげた。また溜息。

「まったく。深雪は君のどこがよくて結婚したんだ?」

 声が移動する。頭をあげると、義兄がベッドに腰かけていた。

「あの、警察が来るんじゃ?」
「はったりだ。この程度のことで警察の手を煩わせるまでもない。それに本当に警察が来たら君は無実を証明できるのか? 女が襲われそうになったと言えば、警察はその方向で調べるしかないんだ。そうなったら面倒事が増えるだけだ」

 言いながら室内を見渡す。サイドボードの備品を見つけて「こんなものまで揃えているのか」とひとりごちる。

「もしかして、お義兄さん、ラブホは初めてですか?」
「大事な女性をこんな場所に連れこもうとは思わないな。……深雪と来てないだろうな?」

 慌てて首を振った。けど、結婚するまえ、何度かラブホには行った。ほんとのことを言ったら殺されそうだ。

「ならいいが。さっきの女は深雪とは似てもにつかないタイプに見えたが、深雪のなにが不満であんな女に引っかかったんだ」

 長い足を組み、身を乗り出す。俺はタイミングを逃して正座したまま。そろそろ足の感覚なくなってきた。

「深雪に不満なんてないです。仕事しながら家のことも全部やってくれますし」
「ではなぜだ」
「酒に酔ってたっていうにもありますけど、やっぱ、俺も男ですから、目の前にヤレそうな空気だしてる子がいたらいっちゃうじゃないですか。据え膳食わぬはっていうし」
「猿か。君に理性はないのか。女とみれば誰でもいいのか。だからあんなしょうもない手口にひっかかるんだ。百歩譲って独身なら勝手にすればいい。俺には関係ない。だが深雪と結婚して縁続きなったいまは違う。君の恥は俺の恥でもあるんだ。君が親からどんな教育をされたのかは知らないし、興味もないが、俺たちに迷惑をかけるのだけは金輪際やめてくれ。俺たちは据え膳に飛びつくような下品な育てられ方をしていないんだ。こんなこと、深雪が知ったらショックで寝込むだろう。俺も義弟がここまで馬鹿だったなんて知ってがっかりだ。失望したよ」

 まったく長々とよく喋る口だ。俺のことはいい。でも俺の親のことを悪く言うのだけは許せない。俺の親はどっちかっていうと躾けにはうるさいほうだった。俺がだらしないのは俺個人の問題だ。親は関係ない。

「……いませんした」

 怒りを押し殺し、声を吐きだす。

「なんだって?」
「すいませんでしたって言ったんですよ! さっきから黙って聞いてりゃネチネチネチネチ嫌味ばっかり! そんなだからいつまで経っても結婚できないんですよ! どんなに条件良くても性格がこれじゃ誰も嫁にはなってくれないでしょうね! 俺が女でも嫌ですもん! 料理から掃除から洗濯から、やることなすこと、全部チェックして上から目線の説教してきそうですもんね! 家のなかがそんなじゃ息がつまるってもんですよ!」
「なっ、なに……君に俺のなにがわかるって言うんだ……! 訂正しろ! 謝罪して、訂正しろ!」

 義兄は顔を赤くして怒鳴った。こんなに取り乱した義兄は初めて見る。

「図星ですか?! だからそんなに目くじら立てて怒ってんでしょ!」
「違う! 俺はまだ結婚する気がないだけで、結婚できないんじゃない!!」
「どうだっていいですよ、俺には関係ないですもん」

 もう帰ろう。バカバカしい。膝に手をついて立ちあがる。膝が痺れてよろめいた。目の前には義兄。押し倒すように倒れ込み、2人折り重なった。

「なにふざけてるんだ!!」
「ふざけてんじゃないですよ。足が痺れてるんです。うるさいから耳元で喚かないでくださいよ。男のヒスってみっともないですよ」
「ひ、ヒスってなんか!」
「それをヒスって言うんです」

 なにを言ってもヒスだと言い返されると思ったのか義兄は黙った。足が痺れて何かに触れるだけで痛い。

「悪いんですけど、もうちょっとだけこのままでいさせてくださいよ。足が痺れて動けないんです。すぐ収まると思うんで」
「早くしろ。こんなの……誰かに見られたら一生の恥だ」
「はは、大げさな。まあ、いまの俺たちってゲイカップルにしか見えないでしょうね。ついでにキスしちゃいます?」

 義兄への腹立たしさはまだおさまってなくて、ちょっとからかうつもりで言った一言だった。義兄はこの手のことが苦手というか、猥談は下品!って考えの人だったから、弱点を突いただけのつもりだったんだ。

 案の定、義兄は顔を真っ赤にして、慌てて手で口を隠した。

「あははっ、冗談ですよ。本気にしたんですか。いくら節操のない俺だってお義兄さん相手にそんな気分にならないですよ。俺だって一応、相手は選びますから」
「……さっき、君のご両親を貶した腹いせか」

 わかってたんだ。黙って目を見つめたらふいと逸らされた。

「さっきは確かに俺が言い過ぎた。こんなバカバカしいことに巻きこまれて腹を立てて、言ってはいけないことを言った。君のご両親を侮辱するつもりじゃなかったんだ。すまなかった。謝罪する」
「えっ? なんですって?」
「悪かったと言ったんだ! 聞こえているくせに性格の悪い!」

 俺を睨む目は気のせいか潤んで見える。深雪の性別をかえて美形にしたようなお義兄さんの顔。さっきそんな気にならないと言ったけど、これ案外イケるかもしれない。そう気付いたら確かめたくなってしまった。元来好奇心は強いほうなんだ。




10DANCE 5巻

あんな終わりかた生殺しだ~!