FC2ブログ

大迷惑@一角獣(2-2)

2014.03.01.Sat.
<前話はこちら>

 俺が部屋着に着替えている間、英一は強張った表情で正坐して待ったいた。英一は、借りてきたネコのようにおとなしかった。最初に俺に声をかけたきたときの大胆さはいったいなんだったのか。

「なんか飲むか?」

 無言で首を振る。かなり緊張している。疑念が浮かんだ。

「こういうの、初めて?」
「あ、ハハ…、はい…、知り合ってすぐ部屋に来たことは、ない、です」
「俺も誰彼構わず部屋に呼んだりしてないからな」

 言い訳する俺に、英一はかすかに笑った。沈黙。お互い相手の出方を待っていた。心のうちを探っていた。間が持たない。

「どうしよっか…」
「どうしましょうかね…」

 顔を見合わせ苦笑しあう。床に手をついて、体を乗り出した。顔を近付けると、英一も体を前に倒してきた。ゆっくりと、ぎこちない口付けを交わす。

 英一の乾いた唇が、しだいに湿ってく。生々しい他人の肌の感触。息遣い。温もり。鼓動が高鳴る。体温があがっていく。

 英一の口が遠慮がちに開いた。そこへそっと舌を差し込んだ。控えめに英一が舌を絡めてくる。

 口をはなした。間近で見つめあう。熱に浮かされたような英一の顔。上気した頬。濡れた唇。

「お、俺、男同士ってどうやんのか知らないから教えてほしいんだけど」

 恥ずかしいが正直に言った。英一が首に抱きついてきた。ふわりと体臭が鼻をくすぐる。不快じゃない。

「ムリ、しなくていいですよ。俺もそんなに経験ないんで。き、今日は、手だけって、どうですかね」

 ほっとした気持ちで頷いた。

 またキスした。今度は最初から深く。英一が躊躇いがちに俺の股間へ手を伸ばしてきた。ぎょっとなったが、いつの間にかそこは固くなっていた。気付かされ、顔が熱くなった。

 英一は俺の顔を見つめながら手を動かした。じっと凝視されながら扱かれる羞恥。たまらなくて目を閉じると、目蓋に英一の唇がおりてきた。ついばむようなキスにますます恥ずかしさが募る。


「ん…英一、くん…」
「呼び捨てにしてください…、どうしました?」
「その……、あの…、俺も、触ったほうが…?」
「じゃあ、俺のもお願いします」

 クスリと笑った英一は膝で立つとズボンをおろし、自分でちんぽを引っ張り出した。勢い良く飛び出したものは、すでにギンギンに勃起していた。それを見て思わず息を飲む俺。触れるだろうか…、扱いてやれるだろうか…、そう躊躇する俺の手を掴み、英一は自分の股間へ導いた。手に、肉の弾力。縋るように英一を見上げていた。

「不安そうな顔ですね。ムリならいいですよ」
「…いや、やる」

 英一だけにさせられない。決意して握った英一の性器。太く固い手ごたえ。熱い。

 英一は俺の肩に腕を絡ませ、膝で立ったまま俺を見下ろしていた。扇情的な表情。手を動かすと、息遣いが乱れた。しばらくして、先から汁が滲み出した。

「我慢汁出てきたぞ」
「ンッ…ハッ…アァ…、気持ちいいです…もっと…こすって…」
「こう?」

 手を激しく動かしながら上目遣いに英一を見る。英一は俺の首にしがみつき、大きく何度も頷いた。

「ハァ…アァ…アンッ…」

 耳元で荒く囁かれる喘ぎ声。もっと聞き出したくて、あいてる手で英一の乳首をつまんだ。

「アンッ!! や、だ…田中さんっ…、そんな…しないで、ください…!」
「ここ、気持ちいいんだ? 体、ビクンビクンしちゃってるけど」
「ウ、アァァッ、ヤッ…アァンッ…だめっ…!」

 ダメと言いながら、英一は腰をゆらゆら揺らしていた。ちんぽの先からは滔々と汁が溢れてくる。扱く俺の手にそれが絡みつき、ちんぽも先走りでヌルヌルに濡れた。すべりがよくなり、俺の手付きが早くなる。英一の腕に力がこもる。

「もうっ…やだっ…イく…、イッても、いいですか…ぁ…っ!」

 俺の返事を待たずに英一は達した。若さ溢れる熱い精液が、俺の胸にビシャッと当たった。英一をイカせたことに、俺は妙な達成感を感じていた。すっかり濡れた表情の英一が俺の顔を覗きこみ、キスしてくる。さっきより積極的に舌を絡ませたあと、英一はしゃがみこみ、俺の股間に顔を埋めた。

「さっきより大きくなってますね」

 ちんぽが英一の口の中におさめられた。生暖かい口腔内。興奮している英一は、わざと大きな音を立てながらちんぽをしゃぶった。

「ん……、うまい、な」

 頭を撫でてやると、英一は目をあげ、嬉しそうに微笑んだ。ちんぽをいったん口から抜き、俺に見せつけるように突き出した舌で下から上へと舐めあげる。尿道から出てくる我慢汁を舌の先でうまそうに舐め、俺の目を見ながら先端を啜った。根元までさがると、玉袋をほおばり、口の中で転がす。そんなこと、俺の嫁はしたことないぞ。

「英一…もう、いい…ちんぽしゃぶれ…イクぞ」

 自己処理ばかりだったせいで、早くイッてしまいそうだった。英一はちんぽを咥え、大きく上下に動いた。吸われながら扱かれ、俺の我慢も限界だった。四肢を突っ張らせながら、英一の口に射精した。英一は一滴も零さず飲み干した。まだ物足りないと言わんばかりに怒張したままの俺のペニス。英一は唇を舐めながら、ちんぽ越しに俺を見上げて笑った。

「まだイケそうですね」
「なんか…ハマッたかも…」
「俺のせいですか?」
「責任取れよ」
「どうやって?」
「飽きるまで抱かせろ」
「奥さんに知られちゃっても知りませんよ?」

 俺の左手薬指に光る指輪を見て英一が言う。俺は英一を押し倒し、肛門にギンギンに勃起したちんぽをブチ込んだ。英一の背がしなる。

「はぁんっ!! やっ…すごいっ…あっ、あぁっ、熱くて…太い…た、なかさんの…ちんぽ、すごい…!」
「おまえのケツマンもすごいぞ…っ、俺のちんこにキュンキュンにしがみついてくる。誰の穴より締り具合が最高だ!」
「ほん、と…? うれ、しっ…あっ…はぁんっ…ちんぽが…奥まで…僕、で…ちゃうっ…田中さんのちんぽも最高…っ、あっ、奥さんに、嫉妬しちゃう…!」
「これから俺のちんこはお前専用だ。毎日このケツマンに種付けしてやるから安心しろよ。あと3年、こっちで単身赴任だ。嫁にはバレない」

 腰を掴んで突き上げる。無我夢中で腰を振った。

「あぁぁぁっ、やっ、だめっ、激しっ…出ちゃう…からっ…田中さん…いっしょに…イッて…お願い…僕とっ…いっしょ…にっ!」
「イクぞ、英一、イクぞ…!」

 二人一緒に射精した。

 3年2ヶ月の過酷な一人旅? とんでもない、嫁に気兼ねせずに遊び倒せる夢のような時間。あと3年しかない。急に時間がもったいなく感じた。




スポンサーサイト
[PR]

大迷惑@一角獣(2-1)

2014.02.28.Fri.
 あぁ、最悪だ。どうしてこんなことになったんだ。

 俺は手の空き缶を握り潰した。それを少し離れたゴミ箱めがけて投げたが、縁に弾かれ地面に落ちた。誰もいない夜の公園に、空き缶が転がる音が不快に響く。

 単身赴任でこちらにやってきてまだ2ヶ月しか経っていない。あと3年、俺は見知らぬ土地で一人で暮らさなきゃならない。あの忌々しい係長め。俺の異動を嬉しそうに告げやがって。

 郊外に念願のマイホームを手に入れたばかりだ。そこではいま、俺の嫁が一人きりで暮らしている。俺とはいっしょに来てくれなかった。俺より新築の家を選んだ。

「人が住んでいないと、家が傷むでしょ?」

 そう微笑む彼女の温もりがいま、とても恋しい。

 仕事終わり、夕飯を買いに入ったコンビニで、弁当を買わずに酒ばかり買った。部屋まで待ちきれずに途中の公園で一本あけたら止まらなくなった。コンビニの袋からまた缶ビールを取り出し、栓をあけた。

「よく飲みますね」

 突然降ってわいた声に驚いて振り返った。俺が腰掛けるベンチのすぐ後ろから、ジャージ姿の青年が覗きこんできた。まだ若い。大学生くらい。

「ほっとけ」

 手を振って追い払った。青年はニコニコ笑いながら俺の隣に腰をおろした。俺は彼を睨みつけた。

「なんだ? オヤジ狩りか? あいにく金は持ってねえよ、俺は使い捨てのしがないサラリーマンだからな」
「そんなんじゃ。ヤケ酒?」
「うるさいなぁ、おまえに関係ないだろ」
「一人がいいならいなくなりますよ。いっしょに飲む奴が欲しかったら、俺が付き合いますよ」

 いらねえよ、開いた口がピタと止まった。一人で飲む酒は味気なかった。一人のワンルームに帰りたくないから公園で飲んだ。知らない土地。知らない顔ばかりの会社。たった2ヶ月でも、俺は嫌というほど孤独を味わった。

 開いた口を閉じ、ビールを一本、彼に渡した。

「仕方ねえな」

 ふてぶてしく言う俺からビールを受け取ると、彼は人懐っこい笑みを浮かべた。

「俺、英一っていいます」
「ん。俺は田中。こんな時間、何してたんだ?」
「このへん、よく走るんですよ」
「学生?」
「大学3年です」

 英一は俺の顔をまじまじと見て、思い出したように一人で笑った。

「なんだよ」
「なんでも」
「気になる、言えよ」
「言ったら怒りますよ」
「言わなきゃもっと怒る」

 英一は苦笑しながら顎をかいた。弱った、と顔に書いてある。

「言えって、怒らないから」
「実は…、ここ、ゲイの待ち合わせ場所なんですよね、だから田中さんもそうなのかと思って。でも違うっぽいから、俺の勘違いだったみたいで」

 すみません、と英一が小さく頭をさげた。

「へぇ、ここ、そうなのか」

 あたりを見渡したが、俺たちの他に誰もいない。英一も遠くへ視線を飛ばしながら、

「ここの反対側、国道に近い入り口のほうが、その場所としては有名なんです。あまりこっちは利用されてないんですけどね」
「やけに詳しいな。もしかして?」

 俺の視線を受け止めた英一は黙って笑った。困ったような、照れたような笑い顔。肯定と取っていいのだろう。思わず目の前の英一を観察してしまった。

 黒のジャージから伸びる手足は今時の子らしくすらっと長い。短く刈った襟足が涼しげで、珍しく染めていない黒髪はサラサラと風に揺れている。凛々しい眉、切れ長な目、羨ましくなる形の良い鼻梁、口角が上がり気味の唇。俺の不躾な視線に照れた英一は、前を向いてビールを啜った。

「俺はおまえのタイプだったわけか?」

 俺が言うと、英一はビールを吹き出した。

「なっ、なっ…」

 ビールが滴る真っ赤な顔で俺を見る。英一の慌てように、頬が緩んだ。

「どうなんだよ?」

 顔を覗きこむ。手の甲でビールを拭う英一は俺から顔を背け、小さな声で「すいません」と言った。図星だったわけか。

「俺のどこがいいんだ?」
「い、言わなきゃいけませんかね」

 あっちを向いたまま英一が言う。英一が照れているのが伝わってくる。俺は年上の余裕でそんな英一をかわいいと思った。からかいたくなって耳を指で弾いたら、英一がびっくりしたように振り返った。

「な? 俺のどこがいいんだ?」
「ど、どこって…、スーツが似合ってて、かっこいいなって…」
「スーツかよ」

 がっかりしてベンチの背もたれにふんぞり返った。英一が慌てて否定する。

「近くで見たら、顔もかっこよくて…、ドキドキしました」
「いまも?」

 横目に英一を見た。英一は真面目な顔で頷いた。俺は唇を舐めた。

「俺の部屋、来る?」
「え……」

 虚をつかれたように英一は黙った。顔にこそ出さなかったが、俺も自分の発言に驚いていた。部屋に誘うという行為には、性的なものが付き纏う。英一を相手に、俺にその覚悟があるのか?

 英一はしばらく呆然と俺の顔を見ていたが、やがて「じゃあ…、行こうかな」と呟いた。俺の頭は大混乱した。




群青のすべて