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ほんとにあったら怖い話(2/2)

2017.09.02.Sat.
(前話はこちら)

 隣の和室へ移動して俺たちは抱き合った。キスしながら隙間なく密着する。俺の太ももの間に父さんの勃起したままのちんこが差し込まれ、俺もまた勃起した。

 それに気付いた父さんがちんこを二本握って扱いた。

「ああっ、あんっ、あぁんっ」
「気持ちいいかい?」
「気持ちいいっ、ああん、父さんのちんぽ、熱くて硬くて気持ちいいっ」
「ここへ入れてもいい?」

 父さんの指が俺の肛門をつんつんする。一瞬身がすくんだが、父さんに貫かれる自分を想像したらそれだけで幸せな気分になった。

「いいよ、俺も父さんのちんこ入れて欲しいっ!」
「うつぶせになって、腰をあげてくれるかい?」

 言われた通り、尻を父さんのほうへ向けた。何から何まで父さんに丸見えだ。穴の周辺を指でくるくると撫でられた。

「恥ずかしいよ!」
「痛くしないから大丈夫だよ」

 今度は生温かい舌でそこをピチャピチャと舐め始めた。

「ああっ、うそ、父さん……! そんなとこ、汚いっ」
「汚くなんかないよ。かわいらしい」

 慌てる俺の腰をしっかりつかんで、父さんは犬みたいに何度も何度も舐めてそこを唾液だらけにした。死ぬほど恥ずかしいと思うのに、俺のちんこはビンビンに勃起して、先っぽからは我慢汁がダラダラと溢れてきた。

「やだぁ……あぁんっ、父さんっ……変になっちゃうよぉ……!」
「どんなに乱れた明宏も、僕は大好きだよ」
「いやっ、あっ、ああっ」

 周囲を舐めていた舌がツプッと中へと入ってきた。狭い入り口をこじ開けて、伸ばせるだけ奥へと入ってくる。そして中の隅々まで舐め回した。

「ああっ、やっ、そんなとこ……やだぁ……父さん、もう抜いてっ」
「明宏のここ、すごく濡れてきたよ」
「やだっ、そんなこと言わないでよ!」
「男でも濡れるんだよ。明宏は素質があるみたいだね。グチョグチョになってきた」

 舌のかわりに父さんは指をいれてきた。長い指は舌じゃ無理だった場所まで届いて、体の中に父さんが入り込んでいるとしっかり自覚できるほどだった。

 指でこれなら、父さんのちんぽが入ったら……。想像しただけで体が震えた。

 父さんは念入りに中を解した。おかしな感覚になる場所は前立腺だと教えてくれた。そこをいじられるとビクンビクンと腰が跳ねあがって声を抑えられなかった。自分が自分じゃなくなるような感覚。淫らな格好で、女みたいに喘いで、ついには「早く入れて!」と叫んでいた。

「ねえ、早く……もう入れてよぉっ……父さんのちんぽ入れてってば!」
「わかったから、そんなに焦らないで」

 指が抜かれ、かわりにあてがわれたのはその何倍も太さのあるもの。父さんは自分の先走りを俺の肛門になすりつけた。ネチョネチョと音がする。

「いい? いまから入れるよ?」
「早く……!!」

 ゆっくり先端が押し込まれる。

「わかる? 僕のものが明宏のなかに入っていくよ」

 話しかけながら父さんは腰を押し進め、じわじわと時間をかけて僕の中に入って来た。尻に父さんの腹がぶつかり、全部入ったことがわかった。無意識に止めていた息を吐きだし、俺は深呼吸した。

「ありがとう、明宏。僕のを全部、飲みこんでくれたね。嬉しいよ」
「俺も嬉しい……父さんのちんぽ、すごく感じる……これで俺たち、本当の親子だよね」
「ああ。血は繋がっていなくても、身も心も繋がった正真正銘の親子だよ」
「父さん、俺のなかでイッて」
「かわいい明宏。愛しているよ」

 父さんのビキビキに勃起したちんこが俺の中を何度も何度も突きあげた。

 異物感があったのは最初だけで、前立腺をゴリゴリと擦られる度たび俺のちんこの先からは我慢汁が溢れ出した。ガンガン奥を打たれる動きに合わせてブルンブルンとちんこが揺れる。シーツにこすれる刺激も手つだって、触らなくてもイッてしまいそうになる。

「はぁ! あっ、あっ! あんっ! あぁん!! 父さん、止めてっ! ちんぽ止めてっ!」
「どうしたんだい?」
「あぁっ、イッちゃうっ、あっ、やぁっ、ちんぽズボズボされるの、気持ちよくてイッちゃうから! 止めて!!」
「もうイッちゃうの? 若い証拠だね」

 促すように父さんは俺のちんこを握るとコスコスと上下に扱いた。

「ああぁ!! だめってばっ! ほんとにイッちゃうっ、あっあっ、やだっ、ああっ、あぁああんっ!!」

 二回目だというのにビュルルルッと勢いよく精液が飛び出した。俺ばかりがイカされている。父さんは気持ちよくないのだろうかと不安になって振り返って見た。

 父さんの全身から男の色気がムンムンと立ちこめている。男というより、雄という匂いがする。胸がキュンとした。

「良かったかい?」
「父さんは良くない?」
「凄く気持ちいいよ。明宏のなかトロトロに仕上がってる。僕もこのなかに出していいかな? 実はさっきからずっと我慢してるんだ」
「俺のこと好き?」
「好きだよ」
「母さんより?」
「ああ。母さんよりも誰よりも、明宏を愛してる」
「じゃあ、父さんの精液、俺の中にいっぱい頂戴。俺を父さんの女にして」
「明宏はもう僕の恋人だよ」

 父さんは一旦ちんこを抜くと俺を仰向けにして再度挿入した。顔を見ながらの正常位の挿入は格別だった。

「俺また立っちゃうかも」
「何度でもイケばいいさ」

 父さんがキスをしてくれる。舌を絡ませながら父さんのちんこが俺の中を動く。

 しばらくして、父さんは俺の中で果てた。



 翌日の昼前に旅館を出た。父さんの車で家へと向かう。

「まだ時間もあるし、どこか遊びに行こうか?」

 父さんの提案に曖昧に頷き返す。今はとにかく二人きりでいたい。さっき通りすがりに見えたラブホテル。あそこだっていい。いや、ああいう場所がいい。

 昨日はほとんど一日中裸で過ごした。さすがに射精に至るようなセックスは疲れるから、肌と肌を密着させ、お互いの体を触ったり、キスしたり、イチャイチャしてばかりいた。

 今日もずっとそんなことをしていたい。

「コンビニがあるけど、寄るかい?」

 少し先にコンビニの看板が見えた。

「俺、あそこと同じ系列のコンビニでバイトしてたことある。母さんが父さんと再婚する前」
「知ってるよ」
「話したっけ?」
「母さんから君の話はよく聞いていたからね。自慢の息子だって」
「店長が嫌な奴で辞めちゃったんだよね」
「そうだったんだ。そんな店、辞めて正解だよ」

 コンビニにもどこにも寄らず、まっすぐ家に帰ることにした。助手席から父さんの太ももに手を乗せた俺の意図を父さんもわかってくれたらしい。父さんは俺の手を自分の股間へ導いた。布の下にある肉の塊。それを触っていやらしい気持ちになる日がくるなんて思いもしなかった。

 家のガレージに車を止め、トランクから荷物を出していたら近所のおばさんが声をかけてきた。

「あら、こんにちは。おでかけだったの?」
「ええ。たまには息抜きでもと思って温泉に」

 父さんが穏やかに笑いながら答える。

「まあいいわね。奥さんは? お留守番?」

 父さんはチラッと俺の方を見た。

「妻は体調を崩して前から実家のほうで静養中なんです」
「そうだったの? 私何も知らなくて。大変ね。じゃあ今はお二人で?」
「ええ。男二人ですけど、なんとかやれてます」

 感心感心とでもいうようにおばさんは頷いた。

「そういえば、田舎暮らし始めたっていうご両親はお元気?」

 えっ、と父さんを見上げる。父さんの両親はすでに亡くなっているはずじゃ?

「実は……」

 父さんは難しい顔で目を伏せた。

「田舎暮らしを初めてすぐの頃、車の事故で二人とも……。本当はお知らせしなきゃいけなかったんですが、突然のことで僕も心の整理がつかなくて」
「まあまあ!! そうだったの?! それはそれは……お気の毒ねえ。お葬式はどうなさったの?」
「田舎のほうで身内だけで……報告が今頃になってしまって申し訳ありません」

 父さんが頭をさげるとおばさんは顔の前で手をブンブン振った。

「そんな! 私こそ色々聞いちゃってごめんなさいね! 辛いこと思い出させちゃって! 奥さんもご病気だったなんて……ねえ……。お父さんを支えてあげてね」

 最後は俺に向かって言われたので、「はい」と頷いておいた。

 それでは、と父さんに背中を押されて家の中に入った。

「あの人話好きな人だから、色々聞かれちゃったね。母さんのこと、嘘ついてごめんね」
「いいよ。好きな男ができて出て行ったなんて恥ずかしくて言えないよ」
「母さんがいなくて寂しいかい?」
「父さんがいてくれるからそれでいい。ぶっちゃけ、今は母さんに帰ってきてほしくないかも」

 笑いながら父さんに抱きついてキスする。

「こんなとこ、見せらんないし」
「そうだね。僕も母さんより明宏のことを愛しているから、いま帰って来られても困るな」

 父さんの手が俺の尻を鷲掴む。その指先が奥の穴を探り当てる。

「そんなに俺が好き?」

 そう問いかける俺はすっかり雌の顔つきだ。見なくてもわかる。

「ああ。好きだよ。明宏だけが、ずっとずっと好きだった。初めて見た時から、ね」

 口を塞がれ舌を差し込まれる。のどの奥まで舐めつくすような激しいキスに呼吸が苦しくなる。喘ぐ俺の服を父さんが脱がせていく。

 きっと今日もどこにも行かずにセックスばかりしているだろう。盛りのついた猿みたいに。明日も明後日も、ずっと二人だけで。

 ※※※

 寝室まで待てずに、玄関に近い和室を明宏はセックスの場所に選んだ。もうすっかりセックスの虜だ。さっきのご近所さんがまだ外にいたら、明宏のはしたない声を聞かれてしまうかもしれない。

 両親のことを訊かれた時は少し焦った。しかしすぐ、明宏に聞かせていた話と繋げた新しい嘘を思いついた。

 30代に入ったあたりから、結婚はまだかと急かしてきた僕の両親。自分が男しか好きになれないと言ってみたら酷い剣幕で父は怒り、母はノイローゼになったと精神科へ通うようになった。

 あなたのせいで眠れなくなったと嫌味を言いながら僕の目の前で睡眠薬を飲む母を見て吹っ切れた。

 二人の食事に睡眠薬を入れ、ぐっすり熟睡している二人を手にかけた。二人の遺体は父の実家があった田舎へ運び、父所有の山林へ埋めた。帰りの山道、父の車を崖から落としておいた。その車が発見されるまでに三年かかった。遺体は動物に食われたか、事故直後まだ生きていた二人がどこかへ移動し、そこで力尽きたのだろうと判断された。

 本当の居場所には二人が欲しがっていた僕の妻も眠っている。

 彼女には申し訳ないことをした。明宏を手に入れるために彼女を利用してしまった。

 明宏を初めて見たのはたまたま入ったコンビニでだった。かわいい子が働いているなと気になって何度か通った。仕事終わりを待って尾行もした。彼が母子家庭であることを知り、ある計画が閃いた。

 彼の母親に近づき、結婚までこぎつけた。

 養子縁組を迫った時、彼女はそれを拒んだ。お金目当てだと思われたくないだとか言っていたが、彼女の慎ましさはただ鬱陶しいだけだった。僕はただ戸籍上でも明宏と結ばれたかっただけなのに。

 もしかしたらその頃から女の勘が働いていたのかもしれない。結婚数ヶ月後、彼女から「あなた、本当に私が好きで結婚したの? もしかして……」と最後言葉を濁した彼女の唇は次に「あ」という声を発しようとしていた。明宏の「あ」。

『もしかして、明宏目当てだったの?』

 彼女の心の声が聞こえた気がして、面倒なことになる前に口を塞いだ。

 彼女を手にかけた場所は偶然にも、いま明宏を抱いているこの和室だ。母親を奪ったことは申し訳ない。一生をかけて明宏には償いをしよう。母親とろくでもない男だったという実の父親、祖父母、彼らの分まで僕が明宏を愛そう。

「ああっ、あんっ、気持ちいいっ、父さんのちんぽ、気持ちいいっ!!」
「出すよ、明宏の中に」
「イッて! 俺のなか、父さんの精液でいっぱいにして!!」

 一心不乱に快楽を貪り、すすんでいやらしい言葉を口にするかわいい明宏。明宏は僕のものだ。この先、一生。何があっても。




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ほんとにあったら怖い話(1/2)

2017.09.01.Fri.
※義理父子。嫌な予感がしたらそっ閉じ推奨。幽霊は出ない。


「おはよう」

 キッチンにいる父さんへ声をかける。家に父さんの姿しか見当たらないことにも段々慣れて来た。

「早く歯磨きしておいで。すぐ朝ご飯の支度するから」

 父さんのエプロン姿も見慣れて来た。それを言ったら「恥ずかしいな」って父さんは照れて笑った。



 父さんは信じられないくらいいい人だ。

 高校生の息子がいるアラフィフの母さんと結婚してくれたのがまず信じられない。父さんはまだ三十代後半。もっと若い人と結婚して、自分の子を産んでもらうことも出来たはずなのに、母さんを選んでくれた。

 初めて顔を合わせた時から俺にも優しかった。食事の店を探す時も俺や母さんの意見を尊重してくれたし、ゲーム機をプレゼントしてくれた時は「一緒にやろう」とこちらが負い目を感じないやり方で場をなごませてくれたりした。

 酒乱で酒を飲むと暴力を振るっていた実父との落差に、同じ大人の男でもこんなに違うのかと驚いたほどだ。

 しばらくして「男同士で話がしたい」と二人きりで会った時には「絶対にお母さんを幸せにするから僕たちの結婚を許してくれないだろうか」と、高校生の俺なんかに頭をさげてくれた。

 俺が反対する理由なんかなくて、「よろしくお願いします」と同じように頭を下げたら、父さんは目を真っ赤にして「ありがとう」と俺の手を握って来た。

 結婚後は父さんの実家へと移り住んだ。父さんの両親はすでに他界していて、新しい親子三人、幸せに暮らせていたと思う。

 なのに、何が不満だったのか、結婚して一年も経たないうちに母さんは突然家出した。

『ごめんなさい。他に好きな人が出来ました。探さないでください』

 こんな短い書き置きを一枚残して行くなんてふざけてる。それを見つけた朝は頭が真っ白になった。父さんは手紙を持ったまま立ち尽くしていた。青白い顔で。

 父さんに申し訳なくて何度も謝った。

「明宏が謝ることじゃないよ。これは僕たち夫婦の問題だからね」
「警察に届けようよ! 捜索願とか、そういうの出せるんだろ?!」
「どうかな。単なる家出だと警察はちゃんと探してくれないかもしれない。それに見つかったとしても、母さんは僕たちのところへ戻ってきてくれるかな」

 自信なさげに呟く父さんを見て、俺は猛烈に腹が立った。もちろん母さんに、だ。好きな男が出来たからと旦那と息子を捨てていくなんてあの女どうかしてる。

 この時俺は自分が実の母親に捨てられたショックより、父さんへの申し訳なさと母さんへの憤怒のほうが強かった。五十手前の女が色恋に目を眩ませて家庭を壊すなんて、と軽く女性不信にもなった。

 怒りが収まったあと、すぐ我に返って不安になった。

 母さんがいなくなった今、父さんが俺を育てる義理はない。

 切りだされる前に自分から言おうと思って、数日後の夜、「部屋を借りられるだけのお金が貯まったら俺も出て行くから」と夕飯の支度をする父さんの背中に言った。

 父さんはびっくりした顔で振り返った。それはもう、怒っていると言ってもいいような表情だった。

「何を馬鹿なことを言っているんだ! 僕たちは親子なんだよ! 母さんがいなくたって、明宏が僕の息子であることにかわりはないんだ! 出て行く必要なんてない!」

 あまりの剣幕だったから俺はびびっちゃって、でもそれがすごく嬉しくて、泣きながらごめんって謝った。僕も大声出してごめんって父さんも目を潤ませながら謝ってくれた。この一件でより一層父さんとの絆が深まった気がする。

 だから母さんが家出した事実もわりと冷静に受け止められた。

 家事の役割分担を決めて俺も掃除や洗濯、たまに料理も手伝った。一人暮らし歴が長かった父さんの家事の腕前は母さんに負けないくらいで、正直、母さんがいなくなって不便を感じることも少なかった。

 不思議と寂しさも悲しみもなく、女の性を見せつけて跡を濁すような家出の仕方をした母さんが不潔で嫌らしいとさえ思っていた。
 


 父さんに言われた通り歯磨きをしてリビングに戻った。テーブルにはすでに朝食の皿が並んでいる。

「いただきます。明日は休みだし、俺が作るよ」
「それは助かるけど、たまには二人とも家事しないってのはどうかな?」
「どういうこと?」
「息抜きに温泉に行かない?」
「温泉!? 行きたい!!」
「じゃあ決まりだ。明日は一日、何もしないぞ」

 というわけで急遽温泉に行くことになった。



 翌日、父さんの運転で有名な温泉街へやってきた。硫黄の匂いがすることに俺がはしゃいでいると父さんは優しく目を細める。

 実父が家族サービスなんてしてくれたことはなかった。離婚してからはそんな金も時間の余裕もなくて来られなかった。

 ちらりと母さんを思い出した。今どこでなにをしているんだろう。新しい男と温泉旅行にも行ったのだろうか。会社も無断欠勤が続いてとっくの昔に退職扱いになっているらしい。収入もないのにどうしてるんだろう。

 またムカムカ腹が立ってきたが、仲居さんに案内された部屋を見て母さんのことは頭から吹き飛んだ。よくテレビで見るようなテーブルと座椅子があるだけの和室で、奥の窓から外の景色が見えた。隣にももう一つ部屋があり布団が二組敷かれている。その部屋の奥には小さい露天風呂があった。

 料金が高いんじゃないかと父さんを窺い見ると、俺の思考を読み取ったらしい父さんが「たまには贅沢しないとね」と微笑んだ。

 外を散歩するかと誘われたが断ってさっそく風呂に入った。下は川が流れ、川の向こうは竹林になっている。外気に触れながら入る風呂は解放感があって気持ちがいい。暗くなりかけの空もまたいい。

「僕もお邪魔するよ」

 だらしなく湯船につかっていたら父さんもやってきた。男同士だし全然平気だが、父さんの裸を見るのは初めてだと気付いたら妙にドキッとして焦った。

 ジロジロ見ちゃいけないと思うと余計目が釘付けになった。父さんは意外といい体をしていた。適度に筋肉がついていて、余分な脂肪もついていない。反射的にチェックしてしまった股間のものも、さすが大人だなと思えるものだった。

 自分のものを見下ろして少し恥ずかしくなるほど。

「気持ちがいいなぁ。来て正解だったね」

 体を洗いながら父さんがしみじみ言った。

「俺、旅館に来たの初めてなんだ」
「そうなの? また連れて来てあげるよ。何度でも」
「今度は俺が父さんを招待したい」
「嬉しいな。僕たちの恒例行事にしようよ」
「いいね。毎年一回は、どっか旅行しよう」

 母さんと結婚してくれた父さん。なのに母さんに逃げられた父さん。残ったのは血の繋がらい連れ子だけ。だけど追い出さずに親子を続けてくれた。父さんには感謝しかない。なにか親孝行したかった。それが旅行でもプレゼントでも、父さんのためなら、なんだってしてあげたい。

 胸の底から湧きあがる温かいような熱い感情。これはきっと愛というやつだ。俺は父さんと本物の親子に近づいてるんだ。

 感動したのも束の間、自分の体の一部が変化していくことに俺は慌てた。足を組んで股間のものを挟んだ。まさかこのタイミングで勃起するなんて。

 父さんは頭を洗っている。腕の動きに合わせて隆起する筋肉とか。脇の下の繁みとか。俺と同じ平らな胸とか。股の間にぶら下がるものとか。父さんが目を瞑っているのをいいことに、気付くと舐め回すようにそれらを見ていた。

 鼓動が早くなった。すでにのぼせたように顔が熱くなった。思わず舌なめずりした。俺ははっきり自分の欲求を自覚した。

 泡を流した父さんが俺の隣へやってきた。静かな俺に首をかしげる。

「どうした? のぼせた?」
「そうかも」
「外に出て風に当たるといいよ」

 父さんの提案に頷くことができない。いま出たら勃起した俺の一物を見られてしまう。なぜ立たせてるんだと怪しまれてしまう。

「明宏? 大丈夫?」
「大丈夫……」
「顔が真っ赤だ」

 父さんは俺の両頬を手で挟むと自分の方へ向かせた。至近距離から目を覗きこまれて眩暈がした。

「ほんと、平気」

 喘ぐように言って父さんの腕を振り払おうとした。そうしたら逆に腕を掴まれ、引きよせられた。湯の中だから簡単にバランスを崩して父さんの胸へと倒れ込んだ。

「僕は明宏の父親だよ。嘘はわかる。無理しないで一旦出よう」

 俺の脇の下へ手を入れた父さんが立ちあがる。俺を浴槽の縁へ座らせると、父さんはおやっという表情をして俺の股間を見た。

 顔から火が出るほど恥ずかしい瞬間だ。両手で必死に股間を隠してたら湯船から出られない理由なんてバレバレだ。こんな状況でも手の平の下で俺のちんこはドクンドクンと脈打つ。

「ああ……そういう……ごめん」

 父さんのほうも気まずそうだ。

「こっちこそ、ごめん。なんか急に立っちゃって」
「まだ若いからね。突拍子もないタイミングで立つことはあるよ」
「父さんもあった?」
「授業中とかね。あったよ」
「ほんと?」
「ほんとさ。今だってほら。明宏に釣られて僕も立ってきた」

 見ると父さんのものがゆっくり鎌首もたげてきた。俺は茫然とそれを見ていた。上を向くにつれどんどん太く大きくなっていく。浮き出た血管の脈動が、手の下に感じるものと重なって、父さんのものを触っているような錯覚を起こして頭がクラクラした。

「母さんがいなくなって、けっこう経つからね」

 言い訳するように父さんが呟く。手が勝手に動いて父さんのちんこを握った。

「すげえ」

 驚きと感心の声が漏れた。父さんはふふっと笑った。

「使っていれば嫌でもこうなるよ」
「まじで?」
「まだ経験ない?」
「……ない」
「じゃあ、扱き合いっこする?」
「えっ」
「明宏はしなくていいよ。僕がやってあげる」
「や、やだ。俺もしたいっ」

 父さんの笑みが深まる。口から心臓が飛び出しそうで、俺は無意識に唾を飲みこんだ。

 俺と父さんは向かい合って立つとお互いのものを握りあった。大きな父さんの手が俺のちんこをシュッシュと扱く。俺は簡単に果てそうだった。

「まっ、待って……もう、出そうだからっ」
「出せばいいよ」

 耳元で囁かれて背筋がゾクゾクとした。見上げる顔が、いつもの父さんに見えなくて混乱した。父さんの胸に視線を落とした。あの胸のなかに飛び込んで頬を擦りつけたいと思った。思いきり甘えたい、と。

 俺はもう父さんを父親として見られなくなっていた。

 俺たちは無言で手を動かし続けた。俺は荒い息遣いでたまに甘ったるい女みたいな声が漏れた。この恥ずかしい口を父さんの口で塞いで欲しかった。

 優しく俺を見つめる黒い目はそれに気づいているのかいないのかわからない。でもずっと俺を見つめ続ける。俺は体の芯から焦がされた。

「はあ、はあっ、あっ……もう、出る……出ちゃうよ、父さん……っ」
「いいよ」

 父さんの勃起を握りしめたまま俺は射精をした。たっぷり出たものがべっとりと父さんへと降りかかる。父さんは微笑んだままそれを湯で流した。

「ごめん、俺……」
「なんで謝るの?」
「父さんのこと、イカせらんなかった」

 意外な答えだったみたいで軽く目を見開いたあと父さんはプッと吹きだした。

「そんなこと。年が違うもの。僕はもう若くないから時間がかかるんだよ」
「父さんはまだ若いしかっこいいよ。母さんとは離婚して新しい奥さん見つけなよ」
「そうなったら明宏はどうするの?」
「父さんが幸せになってくれるなら、俺は喜んで今の家を出て行くよ」
「新しい奥さんはいらないし、僕の家族は明宏だけだよ」

 期待した嬉しい言葉が帰ってきて心がくすぐられる。

「俺が母さんの代わりになるよ」
「どういうこと?」
「父さんが嫌じゃなかったら、こっちも、俺が……」

 いまだ天を向いたままのちんこを握る。

「自分がなにを言ってるかわかってる?」

 俺の手に手を重ねて父さんが言う。断られたら死ねる。気持ち悪いことを言うなと罵られたら裸でここから逃げよう。ぎゅっと目を瞑った。

「お母さんが家出した負い目だけで言ってるなら、それは大きな間違いだよ」
「そんなんじゃない! 俺、俺……父さんのこと好きだから……!」
「明宏、目を開けて僕を見て」

 恐る恐る目を開け父さんを見る。いつの間にか目の前にあった顔。近いと驚いた次の瞬間には、唇が合わさっていた。

「嬉しい。ほんとに嬉しいよ。僕だって明宏のことが好きだよ。これから君は僕の息子であり妻であり恋人だ。そう思っていいんだね?」

 断られなかったことに安堵して、俺は何度も何度も頷くことしか出来なかった。







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