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ちょろくない(2/2)

2017.05.25.Thu.
<前話はこちら>

 五木の足の間に跪いて口を動かす。

 ちんこに馴染む、なんてこともあるんだろうか。久し振りに五木のちんこをしゃぶりながら、懐かしさみたいなものを感じていた。

 高校生だった俺を犯し、処女を奪った憎いちんこ。と同時に初めてアナルの快感を俺に教えたちんこでもある。

 五木がヘタクソだったら今俺はここにいないだろう。

「前よりうまくなったな」

 頭上から五木の声。スーツを着ていないし、髪を固めてもいないのに、俺のちんこはビンビンだ。結局俺が反応してたのは、最初の五木の印象ではなく五木本人だったのかもしれない。

「一回、出す?」

 五木のちんこもビッキビキ。どんなに憎たらしい相手でも、弱点であり、もっとも間抜けだと思う勃起ちんこを俺に預けてんだと思うとなんだか可愛く思えるから不思議だ。

「……出す。カメラ回そうか?」
「撮影してないと興奮しないのはあんたのほうじゃないの?」

 反論してくると思っていたのに、意外に五木は考えこんで「セックスってなにが気持ちいいのかわかんねえよな」と呟いた。

「若い頃は欲望のままにヤリまくってたけど、金が目的になると気持ちよさが半減するんだ。馬鹿女相手に勃たせるのも、なかなか苦労してたんだぜ」

 被害者から百回殺されても足りないような暴言だ。しかもそれを俺相手に言うなんて。

「お前はよく平気で勃起させられるな」

 感心した口調で言われ、恥ずかしくなる。

「触られたら勃つのって男の性じゃん。それに俺だって平気じゃない時もあるよ。勃たなかった時もあるし」
「俺が知る限りない。いつの撮影のときだ?」
「さ、撮影じゃなくてプライベート……」
「彼女いたのか?」

 驚いたように顔を見られた。相手は男で、女装してひっかけたなんて言い辛い。

「彼女ではないけど、タイプだなぁと思っていた相手で……でも結局無理だったんだけど……」
「お前のタイプって?」

 思わず五木の目を見つめた。誤魔化す言葉が出て来なくて不自然な間があく。焦ったら余計、頭が真っ白になった。

 五木は気付かないで首を傾げた。心臓がどくどく鳴る。顔も熱くなる。

「どうでもいいだろ、早く出せよ!」
「なんだよ急に」

 誤魔化すために五木のちんこを咥えた。滑稽な自分の姿が情けない。

 しばらくしゃぶったら五木は射精した。マズいのでティッシュに出した。

「面倒臭いから、自分でオナれ」

 酷い言い草だ。撮影でしたこともあるので、言われた通り自分のちんこを握った。気だるげな五木に見られながら扱く。先からは我慢汁がダラダラと溢れる。手を動かすたびにクチュクチュと音がする。

「女装してないお前のやらしい姿、初めて見るな」

 思い出したように言われて、そうだったと気付く。女装はしたくてしてたわけじゃない。金のため、身バレ防止のため、自分じゃない別人になりきるため。

 いましていることは、金のためじゃないし、別人にもなっていない。素の俺のまま、素の五木とこんなことをしている。

「もう、インポじゃないってわかっただろ」

 下半身剥きだしの状態で、五木の目には俺の勃起ちんぽが丸見えだ。ごまかしのない事実を見届けたはずなのに、五木は止める気配がない。

「もっと足広げろよ」

 撮影でもっとたくさんの赤の他人にいろんな角度からあらゆる場所を見られてきたのに、五木の部屋で一対一で言われると躊躇してしまう。

 ゆっくり膝を開いて行くと、五木は身を乗り出して股間をまじまじと見た。

「そっ、そんな、見んなよっ」
「後ろまで濡れ濡れじゃねえか」

 五木の手が伸びてきて、タマを持ち上げた。鈴口から流れ出た先走りが、竿からタマ、さらにその奥へと伝って濡れた道を作っていた。

 ぬめりを確かめるように、五木の指が奥をなぞった。

「……ッ」
「これじゃ、濡らす必要ねえな」

 俺の肩を押して床に押し倒すと、五木は中に指を入れて来た。ゾクゾクと体が震える。

 根本までひっかかりがないことを確かめると、五木は数を増やしてゆっくり指を出し入れした。摩擦で内部が熱くなるのに、そう時間はかからなかった。

「わかる? 中、もうトロトロになってんぞ」
「ああ……あっ、あっ、もう、や、だ……ぁ……」

 中で指をグリグリ回された。俺の体を知り尽くした五木は的確に前立腺に当てて来る。漏らしそうな感覚に全身の毛穴が開く。

「それっ……! そこばっか、やだぁ……あ、ああぁっ……あ、んっ」
「これだけでイキそうだな」

 からかうように言うと、それを実行するために執拗に指を動かした。前立腺をグイグイと擦られる。そのたびに先端からじわりと液体が滲んだ。

「ああっ、あ、あ、嫌だ、やっ、ちゃんと、して……!」
「ちゃんとって?」
「早く、入れて……あんたの……入れてくれよ……!!」
「女装してないお前にその台詞を言われると、不思議とグッとくるな」

 俺だって素の状態でこんな台詞、五木相手に言うなんて思ってもいなかった。

 五木は指を引き抜くと、完全に立たせたちんこを俺のなかに捻じ込んできた。それだけであやうく飛びそうになる。

「はあ……ッ……あっ……あ、ああぁ……!!」
「さんざん使ったのに、あいかわらずキツイな」
「い、あ……まだ、動かな……ゆっくり……!」

 ゆっくりと頼んでも五木は構わず腰を振る。

「最初にお前にハメてやったの、俺だって覚えてるか?」

 忘れるわけがない。あの恐怖も、身を裂くような痛みも。

「最初からイキまくってたよな、お前。男にヤラれるの、好きすぎだろ」
「ちがう……俺、あっ、あんたが……い、なきゃ……ッ……勃たな……もん……ッ…」
「どういう意味だよ」
「あんたがいないと……あんたに見られてないと、俺……男とデキねえんだよっ」
「どんな性癖だよ。やっぱ俺に惚れてんのか?」
「惚れてない……!」

 ブンブンと首を振る。惚れてるなんて馬鹿げてる。憎い。嫌い。大嫌いだ。

 五木はただ、最初に強烈な快感を俺に教え込んだだけ。性の刷りこみだ。男とセックスする時に五木の存在が必要になる。おかしな話だが、知らない大人に囲まれた撮影現場でも、五木を見るとなぜかその気になれるのだ。

「強/姦した奴を好きになるなんて、つくづくお前って変な奴だよ」
「好きじゃ……ないって……んはあぁあ!」

 角度をかえて突きあげられ、思わず大きな声が出た。

「お前、女装してなくても充分イケるよ。ホモビデオでもしっかり稼げよ」
「や、だっ……あっ、あんっ! 俺、ホモじゃ……な……あっ、あっ!」
「こんなことしといて説得力ねえよな。お前も、俺も」
「ああっ、あ、い、あっ、イクッ……イク……!!」

 腕を伸ばして五木の体を引きよせた。五木の唇に吸い付き、舌を入れる。吐息も、喘ぎ声も、唾液も、全部ぐちゃぐちゃに絡ませながら達した。

 ※ ※ ※

 バイト先と自宅の往復をする毎日を送っていたある日、いきなり事務所に呼びつけられて顔を出すと、いつも五木を見張っていた副社長の梶原から、五木が逮捕されたことを聞いた。

「あいつが前に仲間と素人の女を強/姦してたの、お前も知ってるだろう?」

 まっすぐ俺を見る目は、俺もその被害に遭った一人だと知っているようだった。

「まあ、それは……一応」
「その中の一人が被害届を出したらしくて五木が警察署に呼ばれた。当然五木は否認するだろうが、今頃被害届を出すくらいだから何か有利な証拠があるのかもしれない。ここにもガサが入るだろう。お前も事情聴取くらいは受けるかもしれない」
「えっ、俺、俺の、前の映像、見られるってことですか?」

 五木たちに輪姦されていた頃の映像を、客でもない奴らに見られて根掘り葉掘り聞かれるなんて耐えられない。

「あいつもそんな馬鹿じゃない。あの頃のデータは全部消してるそうだ。復元不可能レベルで消去してるから、訴えがないかぎり余罪の発覚もない」

 さすが用心深い。それとも、やくざの下請けになる際、ヤバそうなものは証拠隠滅の指示が出ていたのだろうか。いや、どうせ下請けで使っていた男一人がパクられたって、上は知らぬ存ぜぬのトカゲの尻尾切りでこの会社を切り捨てればいいだけのこと。五木の心配なんてしてくれるはずがない。

「一応あいつはここの代表だから、結果次第ではここを畳むことになる。お前はどうする? それまで残るか? 別の制作会社を紹介してやろうか?」

 別のところを紹介されたって、いまさら女相手のAVなんて恥ずかしくてできないし、ゲイビデオだって勃つかどうかわからない。

「そろそろ、やめようかなって思ってたんで……」
「そうか。正直、男の娘とかホモとか俺には手に負えないからお前の扱いに困ってたんだ。そう言ってもらえると助かるよ」

 話は以上だ、と言われたので事務所を出た。仕事を1つ失った。

 五木の部屋のゴミ箱で見つけた、死ねと書かれた手紙。被害届を出したのはあの送り主だろうか。五木は何年、刑務所に入ることになるのだろう。

 ※ ※ ※

「お疲れさまでしたー」

 と午後五時にアルバイトが帰った。

 俺がレンタルビデオ店の店長を任されるようになってもう四年が経つ。オーナーである前の店長は急に自分探しの旅に出る、と外国へ行ってしまった。

 いまはトルコで農業の手伝いをしていて、次はヨーロッパのどこかへ行くつもりらしい。まだ当分帰ってこなさそうだ。

 副業をやめて一年経った頃、そろそろ就職しないとやばいかなと考えていた時に店長をしてくれないかと言われた。断る理由もなかったので社員になったが、発展も進展もない個人経営のレンタルビデオ店なんて先が知れている。本当にここに就職して良かったんだろうかと悩む毎日だ。

 しかし店長を任されると前はなかった責任感が出て来て、すこしでも売り上げを上げようと色々試行錯誤するようになった。

 一つがアダルトコーナーの縮小。かわりに話題の映画やドラマの数を増やした。常連客向けの割引サービスも始めた。ほんの少しだが売り上げが増えた。

 アルバイトも一人雇った。以前の俺と同じようなシフトで朝から夕方まで入ってもらっている。やる気のなさも、以前の俺そっくり。

 一人になって店番をしながら伝票整理をした。それが終わると回転の悪いDVDを洗い出して棚から引いた。棚落ちしたDVDのなかに、かつて俺が出演した『ノンケカップルをナンパ!男の娘のボクと3Pしませんか?』があった。

 五年前のものがよく今まで残っていたものだ。裏返すすとちんこを咥えた俺の写真。まだ若い。完全に若気の至りだ。

 五木とヤッたのを最後に、男とはセックスしていない。

 女とは、知り合いに呼ばれた合コンでお持ち帰りした一人と、あとは風俗だけ。出会いがないので彼女もできない。

 負け惜しみでもなく、彼女が欲しいとも思わない。

 男とヤリたいのかと言うとそうでもない。あのあと来店した本田さんを何度も見かけるが、まったくムラムラしない。似たような背格好の人を見ても心は騒がない。

 どっちかと言うとたまにアダルトDVDを借りて行く若い女のほうにムラムラする。

 やっぱり俺は男より女のほうが好きなんだ。

 と、安心して日々を過ごしていたのだが──。

 店のドアが開いて客が一人入って来た。棚整理をしながらチラリと見る。客と目があった。

「まだここで働いてたのか」

 懐かしむような顔で笑いかけて来た。

 見覚えのある顔。手に持っていたDVDのケースが床に落ちた。

「あんた、いつ……」

 声が震えた。

「昨日。仮釈放で出て来た」

 五木はそばにくると俺が落としたDVDを拾い上げた。裏返し、ニヤリと笑う。

「まだこっちの仕事やってるのか?」
「やってるわけないじゃん」

 五木からDVDを奪い返した。あまりに突然のことで心臓がバクバクしている。

「何しに来たんだよ」
「飯。奢るって約束してただろ」

 五木と最後に会った五年前の夜。確かにそんな約束をした。ちゃんと覚えてたのか。

 いきなり俺の前から消えたくせに、またいきなり現れて、飯を奢るだなんて、なにを考えてるんだろう。

「焼肉! 寿司! 鰻! このどれか!」

 動揺してると悟られたくなくて間髪入れずに叫ぶ。

「ひとつと言わず、全部食わせてやるよ」

 五木は平然と太っ腹なことを言う。
 
 本当なら出所祝いで俺が奢ってやんなきゃいけないんだろうが、本人がその気なら金を出してもらおう。

「そんなに食えねえよ」
「日を分けりゃいいだろ」

 それはつまり、今日だけじゃなく、別の日にも俺と会うつもりがあるってことか。例えば明日とか。

「店は何時までだ?」
「あっ、だったらもう閉めるよ」
「閉店まで待つ。どうせ時間はあるんだから」

 五木はカウンターの向こうに行くと見つけた丸椅子に腰を落とした。

 待つと言われたので作業を再開した。カウンターに頬杖をついた五木から視線を感じる。やりにくいったらない。

「さっきのDVD貸せよ。暇だから時間潰しに見てる」

 悪趣味な五木にDVDを渡し、作業に戻った。しばらくして喘ぎ声が聞こえて来た。五木のにやついた顔を見るに、俺の声なんだろう。

 床に膝をついて棚の埃を雑巾で拭いた。綺麗になっても念入りに。いまちょっと、立ちあがれないから。

 ジーンズの前が窮屈でそっと位置をずらした。それも五木に見られていると思うと、口から熱い息が出た。

 好きとか嫌いとかよくわからないが、五木がいると勃ってしまうのは、何年経っても治らなかったようだ。




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ちょろくない(1/2)

2017.05.24.Wed.
「ちょろい」「やっぱちょろい」

※性犯罪注意

 五木から電話があったのは零時をとっくに過ぎた三時前だった。

 タクシーで五木のマンションに乗りつけた。運転手さんに領収書をもらう。

 電車が動いてないと言ったら「タクシーがあるだろ」って俺を呼び出したんだから、あとで五木に請求しよう。

 入り口で五木の部屋番号を押して待つ。これで寝てやがったらどうしてくれてやろうと不安だったが、あっさり「入れ」と五木の声が聞こえてきた。

 五木のマンションに来るのはこれが初めてだ。五木たちに犯されていた頃使っていた部屋はレンタルルームだった。五木の仲間は雑談まじりに自分の個人情報をしゃべっていたが、五木だけは自分が住んでいる場所も出身地も出身校の話も一切しなかった。

 思えばあの頃から用心深さだけは人一倍強かった。

 自分たちのしていることの罪深さをはっきり自覚していた証拠だ。

 そろそろ潮時だと思っていた矢先にやくざに目を付けられたと以前俺に愚痴っていた。絵に描いたような廃工場に連れて行かれて、そこで相当怖い目にあったという。

 仲間だった奴らは我が身可愛さに五木が主犯だと五木を売り、実家と金融会社に借金した金で見逃してもらったのだそうだ。

 五木は金を用意出来ず、またその行動力を買われて、やくざの下請けとして一生働くことで手を打ってもらったらしい。

 五木が名ばかり社長をしている制作会社の他のスタッフは半数がやくざの下っ端構成員で、逃げないように四六時中見張られているというのだから、まさに生き地獄だろう。

 オートロックで守られた気になれるこのマンションだけは、五木の安息の地なのかもしれない。

 部屋の前でもう一度インターフォンを鳴らしたら内側から扉が開いた。スウェットのルームウエア姿の五木が「入れ」と顎をしゃくる。

 いつも後ろに流してる髪が濡れて前に下ろされている。風呂上りかよ。

「時間考えろよ。明日でもいいじゃん」
「仕方ないだろ。仕事だったんだから。今度メシ奢ってやるよ」

 めちゃくちゃ高いやつを奢らせてやろう。

「仕事の話ってなに」

 奥へ進む五木の背中に声をかける。廊下の先に広いリビングがあった。黒い家具、黒い絨毯、調度品の配置はシンメトリーな印象。片付いていて、余分なものがない神経質っぽい部屋だった。

「インポって本当か?」

 五木は皮張りの黒いソファに腰をおろして言った。

「治った」
「ならいい。うちでも本格的にホモビデオ出してくことになったから、これから忙しくなるぞ、お前」
「えー、オカマに需要あんの?」

 五木は男の娘とか女装男子とかの区別がまったくつかない。全部オカマ呼ばわりだ。

「もう女装ものは終わりだ。男のまま、男とヤラせる」
「ちょっ、女装なしで出たらバレるじゃん! そんなの困る! 俺もう出ないからな!」
「いまさらこの業界から完全に足洗えるかよ、馬鹿が」

 それは俺だけじゃなく五木にも当てはまる。皮肉った笑みには諦めと苛立ちが見えた。

「どうせホモビデオなんてホモしか見ねえだろ。指摘してくる奴がいたら、そいつもホモってことだ」
「そうとは限んないじゃん。俺もあんたもホモじゃないし。この前の3Pのやつ、普通にアダルトコーナーに置かれてるし」

 五木は声をあげて笑った。

「笑い事じゃないんだけど。バレたら俺、外歩けなくなっちゃうじゃん」
「ゲイビ男優として生きてけばいいだろ」
「やっぱ俺、インポ治ってないかも」
「ほんとか?」

 笑い顔のまま、五木は目を据わらせた。こいつも半分やくざの世界に足を突っ込んでるから、時折こういう顔を見せる。冷静に見定める目。暴力の一歩前の目。

 俺は顔を背けた。

「なにか飲み物もらっていい?」
「勝手に飲め。俺はビール」

 持って来いということか。忌々しいと思いながらもキッチンへ逃げ込み冷蔵庫を開けた。冷蔵庫の中も整理整頓が行き届いていて逆に気持ち悪い。

 青い液体の入った瓶と、五木ご要望のビールを持って戻った。他に座る場所もなく、五木の隣に座った。瓶の蓋を開け、ソファの横に置いてあるゴミ箱へ蓋を捨てた。

 その時、見えてしまった。でかい字で「死ね」と書かれた紙を。何枚もある。

「これ……」

 拾い上げたら下から封筒が出て来た。表には住所と五木の名前が書いてあった。不気味なのは血のような赤いペンで書かれていることだ。

「気味悪いだろ」

 ビールを飲みながら五木がなんでもない口調で言った。

「前に金稼ぎでやってた時に犯した女の一人だろうな。興信所使ったんだか知らねえが、俺の居場所付きとめてたまに手紙を送ってくんだよ。俺を呪い殺そうとしてんだろうな」
「あんた、まじで恨まれてんじゃん」
「そりゃそうだろ。あんなことしてたんだから」

 と、唇の端を歪めて笑った。

 五木たちがやっていたことは犯罪だ。家出掲示板に書きこんだ女の子と待ち合わせをして、紳士的な態度で安心させてから部屋に連れこみ強/姦する。しかも口止めと販売目的でその様子を撮影するという悪質さだ。殺されたって文句は言えない。

「でも俺に言わせりゃ、男をみくびってほいほいついて来る女も頭悪いけどな。自分のまんこちらつかせれば金になることわかってたんだから、俺はそれを最大限に利用してやっただけだよ」
「前から思ってたけど、あんたって女に恨みでもあんの?」
「ない。あいつらには何の感情もない。ただの穴。よくできたダッチワイフだよ」
「サイコパスだ」
「流行りの言葉使っときゃいいと思うなよ。しいて言えば母親だろうな。俺の母親、男なら誰でもいいような色狂いだったから」

 驚いた。五木が身内の話を自分からするなんて初めてだ。五木もそれに気付いたのか、照れ隠しのような笑いをちらっと見せた。

「思春期の頃に母親が知らない男とセックスしてる声を頻繁に聞かされてみろ。しかもそれが原因で親が離婚したら、お前も女が汚く思えるようになる」

 汚い、という言葉を使うあたり五木らしい。性に奔放で息子がいようがセックスしていた母親と、小遣い稼ぎのために女である自分を商品にする家出娘。五木のなかでそれらは同列の「汚らしさ」なのだろう。

「あんた一生結婚できないね」
「結婚どころか、恋人もできねえよ」
「かわいそー」
「女と一緒になるくらいなら一生独身でいい」
「その前にあんた、刺されるんじゃね?」

 死ねだの許さないだの地獄へ落ちろだのと書かれた便箋に視線を落とす。相当な恨みが籠っているようで見てるだけで寒気がするほどだ。

「俺の心配してる?」
「はあ?! どの口が言ってんの?」
「よくよく考えたら変な奴だよな、お前。被害者面していいのに、たまに恨み言並べるだけで普通に俺と話するし、普通に割り切ってAV撮ってるし」
「普通ってわけじゃねえよ。俺だってめちゃくちゃ嫌だったし、あの時だって逃がしてくれってさんざん頼んだじゃん」
「そうだっけ。そうだったな。あの頃引っかかる女子高生全員カモにしか見えなかったから泣き言なんか聞いちゃいなかったわ」

 とせせら笑う。微塵も反省していない。

「極悪人」
「その極悪人のそばに、お前はなんでいるんだよ。もしかして俺に惚れてるとか?」
「ありえないっしょ!」
「良かった。俺もお前から告白されたらどうしようって焦ったぜ」

 言いながら俺の手から便箋を取りあげると顔を近づけて来た。

「なにする気?」
「ほんとにインポじゃねえか確かめる。それが目的でお前を呼んだんだし」

 言い終わると同時に唇がくっついた。五木のちんぽは何度もしゃぶったけど、キスはしたことがなかった。

「お、俺、仕事でしか男相手に勃たないんだけど」

 五木は俺の股間をチラッと見て笑った。

「これは仕事じゃねえぞ」

 ぎゅっと掴まれた俺のちんこ。本田さんの時にはぴくりともしなかったのに、今は簡単に勃起してる。