可愛さも憎さも百倍(2/2)
2016.09.28.Wed.
<前話>
肛門にひろ君の先端があてがわれる。俺は鋭く息を吸いこんだ。次の瞬間、硬いペニスが俺を引き裂きながら中に入って来た。
「ひぃ……い、いっ……! あ、ああぁっ……!!」
「あー、すっごい、きつい……」
ひろ君は少し顔を歪めて笑いながら、背を伸びあがらせた。反り返ったペニスが俺の内部をグリッと抉って俺は息を詰まらせた。
「真吾のここ、想像してたよりすごくいいよ。処女まんこみたい」
「い、あっ……ひろ君……! やだぁあっ、あ、痛いっ……痛いよおぅっ」
「痛い? ……ほんとだ、少し血が出てるね。あとで手当てしてあげるよ」
俺に酷いことしながら、いつも通りの優しい口調で言う。言ってることと、やっていることがちぐはぐだ。これは本当にひろ君なのか? これは現実?
「ああぁっ、やだ、ひろ君、やめてっ、あっ、あっ」
ひろ君は抜き差しを止めない。頭を持ち上げると、ひろ君のペニスが俺の中を出たり入ったりしているのが見えた。
「やあっ、あっ、あんっ、だめぇっ」
「どこだったかな……ここ? ここかな?」
ひろ君は腰を小刻みに動かしながら、中での位置を微調整する。さっき指で見つけた前立腺とやらを探しているんだろう。
「あっ、や、そこ、いやっ」
ビクンッと体が跳ねあがる場所を突かれた。俺の様子を見てひろ君はにやりと笑った。
「ここか。真吾も気持ちよくしてあげるからね」
ひろ君は器用に前立腺を的確に擦りながら腰を振った。
「あっ、あんっ、あぁあっ、そこだめっ、ひろ君! やだっ、あっ、はぁんっ!」
痛みのなかに快感が生まれる。ペニスの根本を内側から刺激されて、そこを中心に快楽が広がっていく。だらんと力の抜けていた俺のペニスが、ふるふると立ちあがり始めた。
「真吾、気持ちいいだろう? 中がうねってる」
ふふっとひろ君の笑い声。俺は曖昧に首を振った。
「ああっ、違っ……気持ちよく、なっ、ああぁんっ」
「体は正直だよ。ほら、こんなに濡れてる」
俺のペニスを握り、先端をクチュクチュと揉みしだく。さっきの射精の残滓だけじゃない潤いが、そんないやらしい音を立てているのだ。顔だけじゃなく、体中が熱くなった。
「やっ、あっ! はぁっ! あんっ」
「気持ちいいんだろう? 真吾」
「ああぁんっ、やらっ……気持ち、よく、なっ……っ」
「真吾のオマンコは、グチュグチュに濡れて喜んでるよ」
「オマンコじゃ、ないよっ、はっ、あっ、ああっ」
「ちんこ突っ込まれたら、そこはもう、オマンコなんだよ。真吾は女の子になっちゃったんだ」
「違うっ、俺は……! 女じゃ、な、あっ、あぁんっ」
ペニスをごしごし扱かれて、咄嗟にひろ君の腕を掴んだ。
「そんな、しちゃ……、また、出ちゃうよ、ひろ君……」
「イッちゃいなよ。真吾のイクところ見せて。俺が好きなんだろ? お願い聞いてくれるよね?」
「なんで……? なんでこんなこと、するの? ひろ君は、俺のこと……好き?」
「もちろん。俺も真吾のことが好きだよ」
「誰よりも……? 彼女より?」
べそをかく俺を見て、ひろ君は苦笑した。
「順番に意味なんかある? そんなつまらないことにこだわっていたら、俺とこんなこと、出来ないよ? それでいいの?」
「いやっ……、あ、わかんない……っ、わかんないよ」
「真吾はまだ子供だから」
俺を子供扱いすることで、ひろ君はこの話題を切りあげてしまった。俺の腰を抱え直し、パンパンと音を立てながらペニスを突きたてる。
「ああっ、あんっ、だめ、ひろ君! 出ちゃうっ! また精液出ちゃうよ!」
「俺のことが好きなら、エッチな真吾を見せて」
「はあぁっ、あっ、あっ! ひろ君、好きっ! 大好き! 見て! 見てて! イクところ……! 俺がイクとこ、見てて……ッ!!」
「見ててあげる。イッてごらん、真吾」
俺はひろ君に見守られながら精液を吐きだした。ひろ君はあいかわらず優しい眼差しを俺に向けている。口の端には笑みが浮かんでいて、ひろ君の期待通りにできたのだと、俺は嬉しくなった。
「じゃあ、そろそろ俺も終わりにしようかな」
「ひろ君もイクの?」
「そうだよ。どこに欲しい?」
「えっ」
「真吾の中がいい? 顔? 口の中がいいかな? 初めてだから、真吾の希望を聞いてあげるよ」
ひろ君が提案する一つ一つの場面が、勝手に頭に描かれる。どれであってもぞくぞくと甘美な震えが走る。全部がいい。全部して欲しい。それはさすがに無理だから、俺は、「中に出して」とお願いした。
ひろ君は口を左右に吊り上げた。
「お望み通りに。俺の可愛い真吾」
そう言って、ひろ君は激しいピストンを開始した。
※ ※ ※
夕飯を食べていたら、母さんが思い出したように言った。大学を出たあと、ひろ君は家を出て一人暮らしをするらしい、と。
「そんなの俺、聞いてない!」
先週の日曜に、ひろ君の部屋でセックスした時には何も言われなかった。だから心底驚いてつい大きな声が出た。
「どうしてあんたに言わなきゃいけないの」
母さんは俺の剣幕に鼻白んだ顔つきで、次のおかずに手を伸ばす。
俺にはそれを聞く権利があるはずだ。だって、中三のあの日から、俺とひろ君はセックスする仲なんだから。
ひろ君はモテるから、俺の他にも大勢の女の子とセックスしている。ひろ君は皆を愛してくれるけれど、誰にも夢中にならない。平等にその愛を分け与えてくれる。この三年で俺以外に二人の男ともセックスしたみたいだけど、「やっぱり真吾が一番いい」と俺を抱いて言っていた。
男の中で俺が一番なら、それ以上望むことはない。人気者のひろ君を独占したいなんて、身の程知らずもいいところだ。けれど、愛の供給が終わるなんて話は受け入れられない。それがなくちゃ生きていられないほど好きにさせたのは、ひろ君本人なのに。
夕飯のあと、俺はひろ君の家に向かった。玄関を開けたのはひろ君のお母さんで、「宏之は自分の部屋にいるわよ」と教えてくれた。
ひろ君の部屋の戸をノックして、ドアノブを回す。勉強机に向かっていたひろ君が振り返り、俺だとわかると困った顔をした。
「これから出かけなきゃいけないんだ」
「彼女に会うの?」
「友達だよ」
「セックスする友達?」
「しない方の友達だよ」
ひろ君が苦笑する。ということは、大学の男友達なのかもしれない。
「引っ越しするって聞いた」
「ああ、おばさんに? そうだよ。ここからじゃ、就職先に遠いからね」
「俺を置いていくの? 俺はどうなるの?」
「俺のことは忘れて受験勉強に集中するんだね」
「嫌だ。今更ひろ君を忘れるなんてできないよ。俺のこと、好きって言ってくれたじゃん」
「好きだよ。今も昔も俺の可愛い真吾だよ。もう、可愛いって形容できる姿じゃなくなったけどね」
この三年で俺のほうが体格がよくなっていた。
「俺もひろ君が好きだよ。誰よりも好きだよ。だから行かないでよ」
「たまに遊びに来るといいよ。今はまず、受験に集中しないとね」
高校受験の時に俺に手を出しておいて、引っ越しするからと俺を突き放すなんて無責任だ。こんなに好き合っているのに。
「ひろ君、俺はもう子供じゃないよ」
「そうだね。だったら、俺の事情もわかるだろう?」
「初めてセックスした時の、ひろ君と同じ年になったよ」
一歩一歩、ひろ君に近づいた。ひろ君の顔から笑みが薄れていく。俺が目の前に立つと、その顔から完全に笑みが消えていた。
「ひろ君、俺が好きでしょ?」
何か言おうとしてひろ君の口が開いた。でも言葉が発せられることはなかった。
「俺もひろ君が好きだよ。だから、抱いてあげるね」
ひろ君は目を見開いた。椅子から立ちあがり逃げようとする。その腰に抱きついてベッドに押し倒した。ひろ君は見たことのない顔で「ふざけるなっ」と俺を殴った。酷い。三年前のひろ君と同じことをしているだけなのに。俺はあの時、殴ったりなんかしなかったのに。
カッとなってひろ君の首に手をかけた。力を込めるとひろ君は目を剥いた。俺の腕に爪を立て、足をばたつかせる。顔が赤くなっていくひろ君にキスした。
手を緩めると、ひろ君はゴホゴホと咳き込んだ。充血して涙の滲む目で俺を睨みつける。
「お前……っ、なんてこと……、くそっ! ゴホッ……退け! 可愛がってやった恩も忘れやがって!」
バチンと頬を打った。手加減したのに、ひろ君の体は大きく傾いでベッドに突っ伏した。ひろ君は怯えた顔で俺を見上げた。
「い、嫌だ、やめろ……!」
「土壇場になって怖くなっちゃった? 大丈夫だよ、誰だって最初は怖気づくものだから」
ひろ君は顔を歪めた。まさか自分が言ってきた言葉を聞かされる側にまわるとは思わなかったんだろう。
俺はひろ君の上に乗って、服のなかに手を入れた。
「ひっ……やめっ……真吾、嫌だっ、やめろ……!」
「静かにしないと、おばさんに聞かれちゃうよ」
ひろ君は助けを求める目を部屋の外へ向けた。でも結局迷って目を伏せた。年下の男に襲われている姿なんか誰にも見られたくないよね。馬鹿だなぁ。つまらないプライドにこだわって、逃げだせるチャンスを自分で諦めるんだから。
でも、そんなところも、俺は愛してあげるよ。
「俺の可愛いひろ君」
肛門にひろ君の先端があてがわれる。俺は鋭く息を吸いこんだ。次の瞬間、硬いペニスが俺を引き裂きながら中に入って来た。
「ひぃ……い、いっ……! あ、ああぁっ……!!」
「あー、すっごい、きつい……」
ひろ君は少し顔を歪めて笑いながら、背を伸びあがらせた。反り返ったペニスが俺の内部をグリッと抉って俺は息を詰まらせた。
「真吾のここ、想像してたよりすごくいいよ。処女まんこみたい」
「い、あっ……ひろ君……! やだぁあっ、あ、痛いっ……痛いよおぅっ」
「痛い? ……ほんとだ、少し血が出てるね。あとで手当てしてあげるよ」
俺に酷いことしながら、いつも通りの優しい口調で言う。言ってることと、やっていることがちぐはぐだ。これは本当にひろ君なのか? これは現実?
「ああぁっ、やだ、ひろ君、やめてっ、あっ、あっ」
ひろ君は抜き差しを止めない。頭を持ち上げると、ひろ君のペニスが俺の中を出たり入ったりしているのが見えた。
「やあっ、あっ、あんっ、だめぇっ」
「どこだったかな……ここ? ここかな?」
ひろ君は腰を小刻みに動かしながら、中での位置を微調整する。さっき指で見つけた前立腺とやらを探しているんだろう。
「あっ、や、そこ、いやっ」
ビクンッと体が跳ねあがる場所を突かれた。俺の様子を見てひろ君はにやりと笑った。
「ここか。真吾も気持ちよくしてあげるからね」
ひろ君は器用に前立腺を的確に擦りながら腰を振った。
「あっ、あんっ、あぁあっ、そこだめっ、ひろ君! やだっ、あっ、はぁんっ!」
痛みのなかに快感が生まれる。ペニスの根本を内側から刺激されて、そこを中心に快楽が広がっていく。だらんと力の抜けていた俺のペニスが、ふるふると立ちあがり始めた。
「真吾、気持ちいいだろう? 中がうねってる」
ふふっとひろ君の笑い声。俺は曖昧に首を振った。
「ああっ、違っ……気持ちよく、なっ、ああぁんっ」
「体は正直だよ。ほら、こんなに濡れてる」
俺のペニスを握り、先端をクチュクチュと揉みしだく。さっきの射精の残滓だけじゃない潤いが、そんないやらしい音を立てているのだ。顔だけじゃなく、体中が熱くなった。
「やっ、あっ! はぁっ! あんっ」
「気持ちいいんだろう? 真吾」
「ああぁんっ、やらっ……気持ち、よく、なっ……っ」
「真吾のオマンコは、グチュグチュに濡れて喜んでるよ」
「オマンコじゃ、ないよっ、はっ、あっ、ああっ」
「ちんこ突っ込まれたら、そこはもう、オマンコなんだよ。真吾は女の子になっちゃったんだ」
「違うっ、俺は……! 女じゃ、な、あっ、あぁんっ」
ペニスをごしごし扱かれて、咄嗟にひろ君の腕を掴んだ。
「そんな、しちゃ……、また、出ちゃうよ、ひろ君……」
「イッちゃいなよ。真吾のイクところ見せて。俺が好きなんだろ? お願い聞いてくれるよね?」
「なんで……? なんでこんなこと、するの? ひろ君は、俺のこと……好き?」
「もちろん。俺も真吾のことが好きだよ」
「誰よりも……? 彼女より?」
べそをかく俺を見て、ひろ君は苦笑した。
「順番に意味なんかある? そんなつまらないことにこだわっていたら、俺とこんなこと、出来ないよ? それでいいの?」
「いやっ……、あ、わかんない……っ、わかんないよ」
「真吾はまだ子供だから」
俺を子供扱いすることで、ひろ君はこの話題を切りあげてしまった。俺の腰を抱え直し、パンパンと音を立てながらペニスを突きたてる。
「ああっ、あんっ、だめ、ひろ君! 出ちゃうっ! また精液出ちゃうよ!」
「俺のことが好きなら、エッチな真吾を見せて」
「はあぁっ、あっ、あっ! ひろ君、好きっ! 大好き! 見て! 見てて! イクところ……! 俺がイクとこ、見てて……ッ!!」
「見ててあげる。イッてごらん、真吾」
俺はひろ君に見守られながら精液を吐きだした。ひろ君はあいかわらず優しい眼差しを俺に向けている。口の端には笑みが浮かんでいて、ひろ君の期待通りにできたのだと、俺は嬉しくなった。
「じゃあ、そろそろ俺も終わりにしようかな」
「ひろ君もイクの?」
「そうだよ。どこに欲しい?」
「えっ」
「真吾の中がいい? 顔? 口の中がいいかな? 初めてだから、真吾の希望を聞いてあげるよ」
ひろ君が提案する一つ一つの場面が、勝手に頭に描かれる。どれであってもぞくぞくと甘美な震えが走る。全部がいい。全部して欲しい。それはさすがに無理だから、俺は、「中に出して」とお願いした。
ひろ君は口を左右に吊り上げた。
「お望み通りに。俺の可愛い真吾」
そう言って、ひろ君は激しいピストンを開始した。
※ ※ ※
夕飯を食べていたら、母さんが思い出したように言った。大学を出たあと、ひろ君は家を出て一人暮らしをするらしい、と。
「そんなの俺、聞いてない!」
先週の日曜に、ひろ君の部屋でセックスした時には何も言われなかった。だから心底驚いてつい大きな声が出た。
「どうしてあんたに言わなきゃいけないの」
母さんは俺の剣幕に鼻白んだ顔つきで、次のおかずに手を伸ばす。
俺にはそれを聞く権利があるはずだ。だって、中三のあの日から、俺とひろ君はセックスする仲なんだから。
ひろ君はモテるから、俺の他にも大勢の女の子とセックスしている。ひろ君は皆を愛してくれるけれど、誰にも夢中にならない。平等にその愛を分け与えてくれる。この三年で俺以外に二人の男ともセックスしたみたいだけど、「やっぱり真吾が一番いい」と俺を抱いて言っていた。
男の中で俺が一番なら、それ以上望むことはない。人気者のひろ君を独占したいなんて、身の程知らずもいいところだ。けれど、愛の供給が終わるなんて話は受け入れられない。それがなくちゃ生きていられないほど好きにさせたのは、ひろ君本人なのに。
夕飯のあと、俺はひろ君の家に向かった。玄関を開けたのはひろ君のお母さんで、「宏之は自分の部屋にいるわよ」と教えてくれた。
ひろ君の部屋の戸をノックして、ドアノブを回す。勉強机に向かっていたひろ君が振り返り、俺だとわかると困った顔をした。
「これから出かけなきゃいけないんだ」
「彼女に会うの?」
「友達だよ」
「セックスする友達?」
「しない方の友達だよ」
ひろ君が苦笑する。ということは、大学の男友達なのかもしれない。
「引っ越しするって聞いた」
「ああ、おばさんに? そうだよ。ここからじゃ、就職先に遠いからね」
「俺を置いていくの? 俺はどうなるの?」
「俺のことは忘れて受験勉強に集中するんだね」
「嫌だ。今更ひろ君を忘れるなんてできないよ。俺のこと、好きって言ってくれたじゃん」
「好きだよ。今も昔も俺の可愛い真吾だよ。もう、可愛いって形容できる姿じゃなくなったけどね」
この三年で俺のほうが体格がよくなっていた。
「俺もひろ君が好きだよ。誰よりも好きだよ。だから行かないでよ」
「たまに遊びに来るといいよ。今はまず、受験に集中しないとね」
高校受験の時に俺に手を出しておいて、引っ越しするからと俺を突き放すなんて無責任だ。こんなに好き合っているのに。
「ひろ君、俺はもう子供じゃないよ」
「そうだね。だったら、俺の事情もわかるだろう?」
「初めてセックスした時の、ひろ君と同じ年になったよ」
一歩一歩、ひろ君に近づいた。ひろ君の顔から笑みが薄れていく。俺が目の前に立つと、その顔から完全に笑みが消えていた。
「ひろ君、俺が好きでしょ?」
何か言おうとしてひろ君の口が開いた。でも言葉が発せられることはなかった。
「俺もひろ君が好きだよ。だから、抱いてあげるね」
ひろ君は目を見開いた。椅子から立ちあがり逃げようとする。その腰に抱きついてベッドに押し倒した。ひろ君は見たことのない顔で「ふざけるなっ」と俺を殴った。酷い。三年前のひろ君と同じことをしているだけなのに。俺はあの時、殴ったりなんかしなかったのに。
カッとなってひろ君の首に手をかけた。力を込めるとひろ君は目を剥いた。俺の腕に爪を立て、足をばたつかせる。顔が赤くなっていくひろ君にキスした。
手を緩めると、ひろ君はゴホゴホと咳き込んだ。充血して涙の滲む目で俺を睨みつける。
「お前……っ、なんてこと……、くそっ! ゴホッ……退け! 可愛がってやった恩も忘れやがって!」
バチンと頬を打った。手加減したのに、ひろ君の体は大きく傾いでベッドに突っ伏した。ひろ君は怯えた顔で俺を見上げた。
「い、嫌だ、やめろ……!」
「土壇場になって怖くなっちゃった? 大丈夫だよ、誰だって最初は怖気づくものだから」
ひろ君は顔を歪めた。まさか自分が言ってきた言葉を聞かされる側にまわるとは思わなかったんだろう。
俺はひろ君の上に乗って、服のなかに手を入れた。
「ひっ……やめっ……真吾、嫌だっ、やめろ……!」
「静かにしないと、おばさんに聞かれちゃうよ」
ひろ君は助けを求める目を部屋の外へ向けた。でも結局迷って目を伏せた。年下の男に襲われている姿なんか誰にも見られたくないよね。馬鹿だなぁ。つまらないプライドにこだわって、逃げだせるチャンスを自分で諦めるんだから。
でも、そんなところも、俺は愛してあげるよ。
「俺の可愛いひろ君」

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可愛さも憎さも百倍(1/2)
2016.09.27.Tue.
※無理矢理、イミフ
塾からの帰り道、近所のひろ君を見つけた。道路を挟んだ反対側の歩道を、駅に向かって歩いている。その隣には彼女っぽい綺麗な女の人がいた。少し前、家の近くでひろ君と一緒にいた人とは違う人だ。
ひろ君はかっこいいからモテる。背も高くて、頭もよくて、運動神経も抜群だから、女の子が放っておかないのだ。
家が近所だから俺はひろ君とよく遊んでもらっていた。一通りの遊び方、集団での身の処し方、やっていいこととダメなことの線引き、人に対する思いやり、色んなことを教わった。
ひろ君が中/学生になってからは一緒に遊ぶことはなくなったけれど、たまに外で顔を合わせるといつも笑顔で声をかけてくれる。一人っ子の俺には、ひろ君は憧れの存在であり、親に相談しにくいことも話せるお兄さん的な存在でもあった。
俺は足を止め、遠ざかっていくひろ君の後ろ姿を眺めた。きっと彼女を駅まで送るところなのだろう。送ったあと、ひろ君は来た道を戻ってくるはずだ。
俺はひろ君を待つことにした。
20分ほどしてひろ君は一人で戻って来た。さっき別れた彼女とLINEでもしているのか、スマホを操作しながら歩いている。しばらくして、やっと俺に気付いた。
「真吾」
驚いた顔つきで俺の名前を呼んで、すぐ笑顔を見せてくれる。
「塾の帰り?」
「うん。さっき終わったとこ」
「来年高校受験だっけ。頑張らないとな」
「ひろ君も大学受験でしょ?」
「そうだよ。俺も頑張んないと」
俺たちは家に向かって並んで歩いた。ひろ君はスマホをズボンのポケットに仕舞った。ひろ君はマナーとか常識とかをわきまえている人だ。それがわかっていても、彼女とのLINEより俺を優先してくれたことが嬉しい。
「さっき彼女と歩いてるとこ見たよ」
「彼女じゃないよ、友達」
ひろ君は照れたように笑った。ひろ君は少し垂れ目気味だ。気弱に見える優しい笑顔が俺は大好きだ。
「じゃあ、前に家に来てた人が彼女?」
「よく見てるなぁ。あの子も違うよ、ただの友達」
「彼女いないの?」
「いるよ」
「彼女いるのに、女の子と二人で会ってるの?」
「勉強見て欲しいって頼まれたんだ。彼女も知ってるよ」
「怒らない?」
「怒ったりするような子じゃないよ」
俺だったら嫌だけどなぁ。高校生の恋愛は、まだ中/学生の俺にはよく理解できない。
「そうだ、ひろ君。俺にも勉強教えてよ」
「えっ?」
ひろ君はなぜか心底びっくりしたような顔で俺を見た。驚いて丸かった目を段々細めて、俺のことをまじまじと見つめたあと、「いいよ」と薄く笑った。
それはあまり見たことのない笑顔だった。
「じゃあ、次の土曜日、うちにおいで」
いつもの優しい顔に戻ってひろ君が言う。俺は喜んで「うん」と返事をした。
土曜日になって、俺は勉強道具を詰めた鞄を手に、ひろ君の家に向かった。約束をした夜から、毎日楽しみで仕方がなかった。
ひろ君は俺の憧れ。優しいお兄さん。ひろ君が作りだす柔らかい雰囲気が大好きで、一緒に遊んでもらっていた頃は、夕方になって別れるのが寂しくてしようがなかった。夏休みにはお互いの家に泊まりあいもした。俺の第一志望はひろ君が通っている高校だ。一緒に通えなくても、ひろ君が通っていた高校がいい。
俺はひろ君が大好きだ。クラスのかわいい子を見てドキドキするように、ひろ君に対してもドキドキしてしまう。これが恋なのかどうか、まだよくわからない。
インターフォンを鳴らすと、玄関の戸が開いてひろ君が出て来た。いつもの目尻の下がった笑顔で「どうぞ」と俺を中に入れてくれる。
小/学生の頃に何度も来たことのあるひろ君の部屋。ベッドが新しいものに変わっている。机に並ぶ教科書や参考書は難しそうなものばかり。クローゼットに入り切らない服がハンガーでカーテンレールにかけられている。もう小/学生の部屋じゃない。高校生の部屋。俺の部屋と比べて全然大人っぽく見える。
「ジュース入れて来るから待ってて」
ひろ君が部屋からいなくなった。俺は部屋を見渡したあと、ベッドに寝転がってみた。いい匂いがする。香水? 整髪料? 洗剤の匂い? とにかくずっと嗅いでいたい匂いだ。
このベッドの上で、ひろ君は彼女とセックスしてるんだろうか。
想像したら、股間が熱くなってきた。
慌てて床に正座した。ひろ君が戻って来る前に静めないと。
深呼吸を繰り返す。なかなか治まらない。足音が聞こえて来たので、床に正座し、テーブルの下に隠した。飲みきりサイズの缶ジュースを二本持ったひろ君が部屋に戻って来た。一本を俺に差し出す。それを受け取った。気付かれてはいないはず。
「勉強する?」
ひろ君は向かいに腰を下ろして胡坐を組んだ。
「もうちょっとあとで」
いまやってもどうせ集中できない。それにひろ君に近づかれたらバレるかもしれないし、余計に意識して困ることになりそうだ。
ジュースの缶に口をつけたひろ君が俺をじっと見ている。
「な、なに?」
「真吾も大きくなったなあと思ってね」
小/学生の頃と比べているのか、ひろ君は懐かしそうに目を細める。
「彼女はいるの?」
「いないよ、いるわけないじゃん」
「今まで一度も?」
「そうだよ」
「ふぅん、じゃあまだ何も知らないんだね」
ひろ君はジュースの缶をテーブルに置くと、床の上を移動して俺の隣にやってきた。肩に腕をまわし、顔を覗きこんでくる。
「勉強、始めよっか?」
囁くように言うと、俺の顎を掴んで自分のほうへ向け、キスをした。驚く俺の目の前に、ひろ君のドアップ。同じように俺を見つめる目がすぐそこにある。
唇には柔らかい感触。本当にキスされている。唇の表面を舐められた。間を割ってこじ開け、舌が中に入ってくる。それと同時に、服の下にひろ君の手が侵入してきた。手触りを楽しむように地肌を撫でる。
「んっ、えっ……あ、んっ」
舌を吸われた。ぬるぬると絡めとられて、舌の裏側や口蓋まで嘗め尽くされた。ほんわかとしたひろ君に似つかわしくない、凄くいやらしい動き。腰のあたりがジンと熱くなる。
「ちょ……ん、ひろ、君……っ」
胸を押し返した。ひろ君の顔が離れていく。でも服の中の手はまだ動き続けている。俺の乳首を探り当てると立たせるように摘まんで、こねくり回す。刺すような刺激。痛いわけじゃない。胸がどきどきする。
ひろ君はいやらしいことをしているのに、いつも通りの優しい笑顔で「ん?」と首を傾げた。
「えっ……? ひろ君……?」
ひろ君は一層笑みを濃くすると、俺の服をたくしあげ、現れた乳首をぺろりと舐めた。
「あっ」
裏替えった声が出た。悪戯っぽい目で俺をちらっと見てから、ひろ君は乳首を口に含んだ。見えないところでチュウチュウと吸われている。敏感に立ちあがった乳首にひろ君の舌を感じる。熱い空間の中で、ぬるぬると舌が軟体動物みたいに動いている。
「あっ、あっ、ひろ君っ」
俺の憧れのお兄さんが、俺の乳首を吸っている。その絵面に頭がクラクラする。
いきなり股間を触られた。いつの間にかそこはもうガチガチに勃起していた。それをジーンズの上から擦られた。
「やっ、あっ、だめ、ひろ君……!」
駄目と言いながら俺の足が勝手に開いて行く。望みを叶えるように、ひろ君の手がジーンズを脱がす。俺は腰をあげた。パンツまで脱がされて、勃起ちんこを隠すものは何もなくなってしまった。
乳首から口を離したひろ君が、俺の股間を見下ろす。ひろ君に見られていると思うと、先からカウパーがじわりと滲み出た。そのぬかるみに、ひろ君は爪を立てた。
「あうっ」
「男とするのは初めてなんだ。一応、調べたけどね」
「なに、なんのこと?」
「セックスだよ。もっと面倒なことになるかと思ったけど杞憂だったね。真吾もそのつもりだったなんて驚いたよ」
「えっ、違う、違うよ!」
「ここ、こんなにして、それは説得力がないよ。真吾も他の女の子たちと変わらないね。可愛いよ」
「えっ……?」
頭に蘇った光景。駅に向かって歩くひろ君と、かわいい女の人。ひろ君は彼女じゃないと言った。ただの友達だと。俺もあの人と同じってこと?
「ひろ君、この前の人とも、したの?」
「したよ。たくさんの人と、たくさんセックスしたよ」
「う、嘘」
「本当だよ。女の子はみんな、俺とヤリたがるんだ。勉強教えてって、口実使ってさ。まさか真吾も俺としたいと思っているなんて思わなかったけど」
ひろ君の口から出て来る言葉はおよそひろ君には似つかわしくない、信じられないような言葉ばかりだった。女の子に優しくしろと俺に教えてくれたのは、ひろ君じゃなかった?
ひろ君は微笑みながら、俺のペニスを握った。それはこの混乱した状況においても、パンパンに膨れ上がって、少し擦られただけでも爆発しそうになっていた。
「やめて、ひろ君! やだ、嫌だっ」
「土壇場になって怖くなっちゃった? 大丈夫だよ、誰だって最初は怖気づくものだから」
「いやだっ、やっ、あっ、だめ、ひろ君……! 出ちゃうよ、出ちゃうから!」
「案外、男相手でも平気なもんだね。真吾だからかな」
独り言みたいに感想を呟きながら、扱く手つきを速くする。
「あっ、あっ、やだやだっ、ひろ君、やだっ、ああっ」
「あはは、いっぱい出た」
ペニスから噴きあがる精液を見てひろ君は声を立てて笑った。そしてティッシュで手を拭いたあと、どこからか出したボトルの中身を手に出した。とろりと粘度の高そうな、透明な液体。
「じゃあ次は俺の番だね」
俺の尻をベトベトの手で撫でる。奥の穴を探りあてると、指を入れて来た。
「あっ、嘘!」
「どこかな……あ、これかな? これが前立腺かな?」
ぐりっと中を圧迫された。ペニスの根本に鋭い刺激が走る。
「ああっ、ひろ君!」
「やっぱりこれだ。ここだね。覚えたよ」
言うとひろ君は指を抜いた。膝で立ちズボンを下ろすとペニスを扱きだした。ひろ君はペニスを出してどうするつもりなんだろう。考えるまでもない。
「ひろ君、いやだ、やめてよ……」
俺が涙ぐんで頼んでも、ひろ君は鼻歌まじりに自分のペニスにローションを馴染ませる手を止めない。その作業が終わると、ひろ君は俺を押し倒した。膝頭を持って左右に大きく開く。ひろ君の目に、俺のすべてが晒される。
「最初は痛いかもしれないけどみんな経験してることだから真吾も我慢してね」
肛門にひろ君の先端があてがわれる。俺は鋭く息を吸いこんだ。次の瞬間、硬いペニスが俺を引き裂きながら中に入って来た。
塾からの帰り道、近所のひろ君を見つけた。道路を挟んだ反対側の歩道を、駅に向かって歩いている。その隣には彼女っぽい綺麗な女の人がいた。少し前、家の近くでひろ君と一緒にいた人とは違う人だ。
ひろ君はかっこいいからモテる。背も高くて、頭もよくて、運動神経も抜群だから、女の子が放っておかないのだ。
家が近所だから俺はひろ君とよく遊んでもらっていた。一通りの遊び方、集団での身の処し方、やっていいこととダメなことの線引き、人に対する思いやり、色んなことを教わった。
ひろ君が中/学生になってからは一緒に遊ぶことはなくなったけれど、たまに外で顔を合わせるといつも笑顔で声をかけてくれる。一人っ子の俺には、ひろ君は憧れの存在であり、親に相談しにくいことも話せるお兄さん的な存在でもあった。
俺は足を止め、遠ざかっていくひろ君の後ろ姿を眺めた。きっと彼女を駅まで送るところなのだろう。送ったあと、ひろ君は来た道を戻ってくるはずだ。
俺はひろ君を待つことにした。
20分ほどしてひろ君は一人で戻って来た。さっき別れた彼女とLINEでもしているのか、スマホを操作しながら歩いている。しばらくして、やっと俺に気付いた。
「真吾」
驚いた顔つきで俺の名前を呼んで、すぐ笑顔を見せてくれる。
「塾の帰り?」
「うん。さっき終わったとこ」
「来年高校受験だっけ。頑張らないとな」
「ひろ君も大学受験でしょ?」
「そうだよ。俺も頑張んないと」
俺たちは家に向かって並んで歩いた。ひろ君はスマホをズボンのポケットに仕舞った。ひろ君はマナーとか常識とかをわきまえている人だ。それがわかっていても、彼女とのLINEより俺を優先してくれたことが嬉しい。
「さっき彼女と歩いてるとこ見たよ」
「彼女じゃないよ、友達」
ひろ君は照れたように笑った。ひろ君は少し垂れ目気味だ。気弱に見える優しい笑顔が俺は大好きだ。
「じゃあ、前に家に来てた人が彼女?」
「よく見てるなぁ。あの子も違うよ、ただの友達」
「彼女いないの?」
「いるよ」
「彼女いるのに、女の子と二人で会ってるの?」
「勉強見て欲しいって頼まれたんだ。彼女も知ってるよ」
「怒らない?」
「怒ったりするような子じゃないよ」
俺だったら嫌だけどなぁ。高校生の恋愛は、まだ中/学生の俺にはよく理解できない。
「そうだ、ひろ君。俺にも勉強教えてよ」
「えっ?」
ひろ君はなぜか心底びっくりしたような顔で俺を見た。驚いて丸かった目を段々細めて、俺のことをまじまじと見つめたあと、「いいよ」と薄く笑った。
それはあまり見たことのない笑顔だった。
「じゃあ、次の土曜日、うちにおいで」
いつもの優しい顔に戻ってひろ君が言う。俺は喜んで「うん」と返事をした。
土曜日になって、俺は勉強道具を詰めた鞄を手に、ひろ君の家に向かった。約束をした夜から、毎日楽しみで仕方がなかった。
ひろ君は俺の憧れ。優しいお兄さん。ひろ君が作りだす柔らかい雰囲気が大好きで、一緒に遊んでもらっていた頃は、夕方になって別れるのが寂しくてしようがなかった。夏休みにはお互いの家に泊まりあいもした。俺の第一志望はひろ君が通っている高校だ。一緒に通えなくても、ひろ君が通っていた高校がいい。
俺はひろ君が大好きだ。クラスのかわいい子を見てドキドキするように、ひろ君に対してもドキドキしてしまう。これが恋なのかどうか、まだよくわからない。
インターフォンを鳴らすと、玄関の戸が開いてひろ君が出て来た。いつもの目尻の下がった笑顔で「どうぞ」と俺を中に入れてくれる。
小/学生の頃に何度も来たことのあるひろ君の部屋。ベッドが新しいものに変わっている。机に並ぶ教科書や参考書は難しそうなものばかり。クローゼットに入り切らない服がハンガーでカーテンレールにかけられている。もう小/学生の部屋じゃない。高校生の部屋。俺の部屋と比べて全然大人っぽく見える。
「ジュース入れて来るから待ってて」
ひろ君が部屋からいなくなった。俺は部屋を見渡したあと、ベッドに寝転がってみた。いい匂いがする。香水? 整髪料? 洗剤の匂い? とにかくずっと嗅いでいたい匂いだ。
このベッドの上で、ひろ君は彼女とセックスしてるんだろうか。
想像したら、股間が熱くなってきた。
慌てて床に正座した。ひろ君が戻って来る前に静めないと。
深呼吸を繰り返す。なかなか治まらない。足音が聞こえて来たので、床に正座し、テーブルの下に隠した。飲みきりサイズの缶ジュースを二本持ったひろ君が部屋に戻って来た。一本を俺に差し出す。それを受け取った。気付かれてはいないはず。
「勉強する?」
ひろ君は向かいに腰を下ろして胡坐を組んだ。
「もうちょっとあとで」
いまやってもどうせ集中できない。それにひろ君に近づかれたらバレるかもしれないし、余計に意識して困ることになりそうだ。
ジュースの缶に口をつけたひろ君が俺をじっと見ている。
「な、なに?」
「真吾も大きくなったなあと思ってね」
小/学生の頃と比べているのか、ひろ君は懐かしそうに目を細める。
「彼女はいるの?」
「いないよ、いるわけないじゃん」
「今まで一度も?」
「そうだよ」
「ふぅん、じゃあまだ何も知らないんだね」
ひろ君はジュースの缶をテーブルに置くと、床の上を移動して俺の隣にやってきた。肩に腕をまわし、顔を覗きこんでくる。
「勉強、始めよっか?」
囁くように言うと、俺の顎を掴んで自分のほうへ向け、キスをした。驚く俺の目の前に、ひろ君のドアップ。同じように俺を見つめる目がすぐそこにある。
唇には柔らかい感触。本当にキスされている。唇の表面を舐められた。間を割ってこじ開け、舌が中に入ってくる。それと同時に、服の下にひろ君の手が侵入してきた。手触りを楽しむように地肌を撫でる。
「んっ、えっ……あ、んっ」
舌を吸われた。ぬるぬると絡めとられて、舌の裏側や口蓋まで嘗め尽くされた。ほんわかとしたひろ君に似つかわしくない、凄くいやらしい動き。腰のあたりがジンと熱くなる。
「ちょ……ん、ひろ、君……っ」
胸を押し返した。ひろ君の顔が離れていく。でも服の中の手はまだ動き続けている。俺の乳首を探り当てると立たせるように摘まんで、こねくり回す。刺すような刺激。痛いわけじゃない。胸がどきどきする。
ひろ君はいやらしいことをしているのに、いつも通りの優しい笑顔で「ん?」と首を傾げた。
「えっ……? ひろ君……?」
ひろ君は一層笑みを濃くすると、俺の服をたくしあげ、現れた乳首をぺろりと舐めた。
「あっ」
裏替えった声が出た。悪戯っぽい目で俺をちらっと見てから、ひろ君は乳首を口に含んだ。見えないところでチュウチュウと吸われている。敏感に立ちあがった乳首にひろ君の舌を感じる。熱い空間の中で、ぬるぬると舌が軟体動物みたいに動いている。
「あっ、あっ、ひろ君っ」
俺の憧れのお兄さんが、俺の乳首を吸っている。その絵面に頭がクラクラする。
いきなり股間を触られた。いつの間にかそこはもうガチガチに勃起していた。それをジーンズの上から擦られた。
「やっ、あっ、だめ、ひろ君……!」
駄目と言いながら俺の足が勝手に開いて行く。望みを叶えるように、ひろ君の手がジーンズを脱がす。俺は腰をあげた。パンツまで脱がされて、勃起ちんこを隠すものは何もなくなってしまった。
乳首から口を離したひろ君が、俺の股間を見下ろす。ひろ君に見られていると思うと、先からカウパーがじわりと滲み出た。そのぬかるみに、ひろ君は爪を立てた。
「あうっ」
「男とするのは初めてなんだ。一応、調べたけどね」
「なに、なんのこと?」
「セックスだよ。もっと面倒なことになるかと思ったけど杞憂だったね。真吾もそのつもりだったなんて驚いたよ」
「えっ、違う、違うよ!」
「ここ、こんなにして、それは説得力がないよ。真吾も他の女の子たちと変わらないね。可愛いよ」
「えっ……?」
頭に蘇った光景。駅に向かって歩くひろ君と、かわいい女の人。ひろ君は彼女じゃないと言った。ただの友達だと。俺もあの人と同じってこと?
「ひろ君、この前の人とも、したの?」
「したよ。たくさんの人と、たくさんセックスしたよ」
「う、嘘」
「本当だよ。女の子はみんな、俺とヤリたがるんだ。勉強教えてって、口実使ってさ。まさか真吾も俺としたいと思っているなんて思わなかったけど」
ひろ君の口から出て来る言葉はおよそひろ君には似つかわしくない、信じられないような言葉ばかりだった。女の子に優しくしろと俺に教えてくれたのは、ひろ君じゃなかった?
ひろ君は微笑みながら、俺のペニスを握った。それはこの混乱した状況においても、パンパンに膨れ上がって、少し擦られただけでも爆発しそうになっていた。
「やめて、ひろ君! やだ、嫌だっ」
「土壇場になって怖くなっちゃった? 大丈夫だよ、誰だって最初は怖気づくものだから」
「いやだっ、やっ、あっ、だめ、ひろ君……! 出ちゃうよ、出ちゃうから!」
「案外、男相手でも平気なもんだね。真吾だからかな」
独り言みたいに感想を呟きながら、扱く手つきを速くする。
「あっ、あっ、やだやだっ、ひろ君、やだっ、ああっ」
「あはは、いっぱい出た」
ペニスから噴きあがる精液を見てひろ君は声を立てて笑った。そしてティッシュで手を拭いたあと、どこからか出したボトルの中身を手に出した。とろりと粘度の高そうな、透明な液体。
「じゃあ次は俺の番だね」
俺の尻をベトベトの手で撫でる。奥の穴を探りあてると、指を入れて来た。
「あっ、嘘!」
「どこかな……あ、これかな? これが前立腺かな?」
ぐりっと中を圧迫された。ペニスの根本に鋭い刺激が走る。
「ああっ、ひろ君!」
「やっぱりこれだ。ここだね。覚えたよ」
言うとひろ君は指を抜いた。膝で立ちズボンを下ろすとペニスを扱きだした。ひろ君はペニスを出してどうするつもりなんだろう。考えるまでもない。
「ひろ君、いやだ、やめてよ……」
俺が涙ぐんで頼んでも、ひろ君は鼻歌まじりに自分のペニスにローションを馴染ませる手を止めない。その作業が終わると、ひろ君は俺を押し倒した。膝頭を持って左右に大きく開く。ひろ君の目に、俺のすべてが晒される。
「最初は痛いかもしれないけどみんな経験してることだから真吾も我慢してね」
肛門にひろ君の先端があてがわれる。俺は鋭く息を吸いこんだ。次の瞬間、硬いペニスが俺を引き裂きながら中に入って来た。