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Congratulations(2/2)

2015.09.08.Tue.
<前話はこちら>

 どうすればいい、と先生に聞かれて困った。鬱陶しい先生を黙らせたくて思い付きで言っただけなのに。俺に考えがあるわけない。

「……じゃあ、とりあえず、裸見せて」
「わかった」

 先生はあっさり言うと服を脱ぎはじめた。最後の一枚も脱ぎ捨てて全裸になると、唖然としている俺を見下ろして、少し恥ずかしそうに笑った。

「そんなに見られると照れるな」
「触っていい?」
「いいぞ。お前のために出来ることはするって俺が言い出したんだ」

 恐る恐る手を伸ばした。意外に厚い胸板だった。発達した胸筋に触って、そのなめらかな手触りに眩暈がした。

「俺だけじゃ不公平じゃないか? お前も裸になれよ」
「やだよ!」
「脱がしてやろうか?」
「ばっかじゃねえの!」

 先生が俺の服に手をかける。居心地が悪くなるくらい優しく丁寧な手つきで俺の服を脱がせていく。女とやるときもこうなんだろうかと想像したら息苦しくなった。

「細いな」

 一糸纏わぬ姿になった俺の体を見て先生が言う。股間を隠す手を外された。半立ちになっていて死ぬほど恥ずかしい。先生はそれに手を伸ばしてきた。掴んで引っ張るように扱きだす。

「ちょっ……そこまでしろとか言ってないし……!」
「恥ずかしいのか? 反応していいんだ。それが普通だ。お前も触っていいんだぞ」
「この……淫行教師」

 先生にしがみついた。体の間で先生の手が動き続ける。付き合ってる彼女にしてもらうよりなぜか気持ちがいい。女の細くて小さい手より、先生の大きくて骨張った手のほうがいいなんて意味がわからない。

「…っ……立ってんの、きつい……」
「ベッドにいくか?」
「うん」

 先生は俺を横抱きに持ち上げると、そのまま隣の和室へ連れて行った。窓際のベッドに俺をおろして、覆いかぶさって来る。

「男同士は嫌か?」

 俺を見下ろしながら答えのわかりきっている質問をしてくる。

「やじゃない」
「他の所も触るぞ」

 言うや頭をさげて俺の乳首をべろりと舐めあげた。ぬるりとした感触に表皮がぞわりとする。口に含まれ歯を立てられた。俺が彼女にやるように、口のなかで吸われ、舌の先で転がされる。

「…んっ……あぁ……」
「どうだ?」
「いちいち聞くなよ、も……ぅ……アァッ……」

 今まで乳首なんていじったことはなかったのに、ちんこを扱かれながら触られるとムズムズと気持ちよくなってくる。自分でも乳首が勃ってるのがわかるくらい感じている。

 俺は膝を擦り合わせながら先生の体に手をまわした。逞しい大人の体。少し汗ばんでしっとりとした肌。欲望に突き動かされ、先生の前に触れた。先生も勃起させていた。熱い肉棒を握りしめる。太くて固い。慄きながら同時に興奮して手を動かした。

「あぁ……気持ちいいぞ、吉沢」
「俺に触られて気持ち悪くない?」
「馬鹿を言うな。お前は俺の可愛い教え子だぞ。気持ち悪いわけないだろう」

 言い切られて泣きそうになった。否定されず、受け入れられることがこんなに嬉しいことだったとは。あとは本能のまま手を動かした。反りを確かめるように竿を擦り上げ、鈴口の水溜りで指遊びして、陰嚢の手触りを楽しんだ。

 先生は笑いながら俺にも同じようなことをした。気が付くと息遣いが感じられるほど顔がすぐ近くにあった。直視する先生の眼差しが恥ずかしくて目を逸らしたら頬に髭が当たってチクチクした。

「痛いよ、ヒゲ」
「お前もいずれこうだぞ」

 わざと頬を合わせてくる。その拍子に唇が触れ合ってどきりと胸が高鳴る。俺が少し追いかけると、先生は焦らすようにゆっくり戻ってきて、ぴたりと唇をくっつけた。

 俺は先生とキスしていた。表面を合わせるだけのキスが、だんだん口を開いて深いものへとかわっていく。舌を絡めて、互いの唾液を飲み下す。

 先生に扱かれて俺は射精した。熱い塊を全て吐きだしたら、さっきまで尻込みしていたことが小さなことに思えてきた。女だけじゃなく、男も好きになってしまうなら、それは仕方ないことだと諦めるしかないんじゃないだろうか。そういう性癖の人はごまんといる。俺の場合は女もイケるから、人の倍楽しめるとも言える。

 そう考えたら途端に気が楽になって、むしろ楽しまなきゃ損だと思えてきた。

「吉沢、出すぞ」

 低く先生が言う。手つきを早くしたら、間もなく腹に生温かい液体が吐きだされた。それを自ら腹に塗り込めた。

「先生、もっかい」
「またか?」
「若いから、まだ出したりない」
「俺だってまだ若いんだぞ」

 先生は俺の乳首を舐めながらちんこを扱いた。またすぐ勃起した。俺も先生のちんこを扱いた。

 この日から、俺は先生の家にちょくちょく遊びに行っては先生に迫って扱き合いをした。仕事で忙しいと相手にしてくれない時も、ちんこを触り続けて勃起させると先生も乗り気になって俺を押し倒してきた。

 舐めてみたいと言ったときも、先生は止めなかった。しゃぶる俺の髪を撫で、手で頬を包み、「上手だぞ」と褒めてくれた。

 俺が男が好きかどうかを確かめるのが当初の目的だった。それを確かめられても、俺は先生のハイツに出入りして、裸で先生と抱き合い、触りあった。

 先生は大人だった。がっついて夢中になる俺を受け止めてくれた。先生が好きだと言えば、俺もだ、とキスしてくれた。焦らされる愛撫に身悶える俺を優しい目が見下ろしていた。知らなかった性感帯を開発されて、俺はたくさん気をやらされた。

 くたくたになって体がだるくても、先生の迷惑にならないように毎回家に帰るようにしていた。少し時間が遅くなったときは、先生はバス停まで送ってくれた。

「気を付けて帰るんだぞ。また明日学校でな」

 いつも笑顔で俺に手を振ってくれる。
 愛し合っていると思っていた。



 先生が、音楽の松野先生と結婚するらしいとクラスの女子が騒いでいるのを聞いた。先生に結婚するような相手はいない。そもそも俺と付き合っているのに。

 嘘だと思いつつ、休み時間に先生を捕まえて問いただした。周りの目を気にして、先生は会議室に俺を連れ込んだ。

「松野先生と結婚するってほんとなのかよ」
「聞いちゃったか」

先生はあっさり認めた。

「どうして? 彼女はいないって言ってたのに」
「いるなんて言ったら、絶対誰って聞くだろ?」
「嘘ついたの?」
「大人の事情ってやつだ。お前には最初に言わなきゃなと思ってたんだけど、松野先生のほうからバレちゃったみたいだな」

 先生は悪びれもせず頭を掻いて笑っていた。

「俺は? 先生は俺のこと、好きなんじゃなかったのかよ」
「もちろんみんなと同じように大好きだぞ」
「ほかの奴らと同じってこと? 俺って先生のなんなの」
「お前は俺の大事な生徒だ。だからお前が自分の性癖のことで悩んでいた時、俺は力になってやりたいと思ったんだ」
「じゃあ、俺のこと、好きじゃないの?」
「生徒以上の目で見たことは一度もない。勘違いさせたならすまなかった」

 勘違いで済む話だろうか。好きだと言って俺にキスして、俺の体に触って、俺にフェラさせて。俺にホモだと気付かせるためだけに? 気付いたあとも、それを続けていたくせに?

「松野先生のこと、好きなの?」
「当たり前だろ。だから結婚するんだ」

 俺も先生のことが好きなのに。先生がそう仕向けたくせに。先生が俺にあんなことしなければ、俺は自分がホモだと認めずに、男なんか好きにならずにいられたのに。

 その気にさせて捨てるなんて、ひどい裏切り行為だ。

「先生が幸せなら、俺も嬉しい」

 俺は先生に笑顔を向けた。先生も「お前ならそう言ってくれると思っていた」と無神経に笑った。

「じゃあ、こういうのも、最後にしたほうがいい?」

 先生の体に抱き付いて、チクチクする顎に頬ずりした。俺の腰に腕をまわしながら、先生の目が出入り口に向けられる。扉の向こうから休み時間の喧騒が聞こえて来る。誰か来るかもしれない。だけど先生は俺を止めなかった。むしろこの状況にスリルを感じているのか、鼻息を荒くしていた。

「俺はいつまでもお前の担任だ。お前の悩みや相談にはいつでも乗るぞ」
「相談だけ? もう俺にキスしたり、体に触ってくれないの?」
「触って欲しいのか?」
「先生の、もうおっきくなってるよ。舐めてもいい?」
「仕方のない奴だな」

 俺は床に跪いて先生のベルトを外した。中から取り出した勃起したものを口にくわえ、わざと音を立ててしゃぶった。

「俺のフェラ、松野先生より気持ちいい?」
「ああ、お前のほうが上手だぞ」
「だって、何回もしたからね」

 グボグボと俺の咽喉を犯して、先生はいつもより早く射精した。それを飲み込むと「こんなに愛しいと思う生徒はお前が初めてだ」と俺の頭を撫でた。

 チャイムが鳴る前に俺と先生は会議室を出た。先生は職員室へ。俺は松野先生を探して音楽室へ向かった。



 家に帰る途中、先生からガンガン電話がかかってきた。あのあと勝手に早退した俺を心配しての電話じゃなさそうだ。留守電に残された声が鬼気迫って尋常じゃなかったから。

『吉沢! なんてことをしてくれたんだ! 松野先生に……! すべて嘘だと言え、言うんだ!』
『さっきは怒鳴って悪かった。どうしたんだ、急に学校からいなくなって。心配しているんだぞ。先生に電話してくれないか?』
『これが最後だ。無視したらどうなるかわかってるな?! すぐに戻ってこい! ただじゃおかないぞ!!』
『おい、吉沢。どこにいるんだ? 怒っているのか? 話がしたいんだ。電話してくれ、頼む』

 二重人格かと思うような留守電が交互に入っていた。こちらから電話するとワンコールで出た。

『吉沢! お前いまどこにいるんだ?!』
「もうすぐ家につくよ」
『お前、自分が何をしたかわかっているのか?!』
「先生こそ、教え子の男子生徒に何をしたかわかってんの?」
『俺が何をしたって言うんだ! あれは全部お前が望んだことだろう!!』
「松野先生にもそう言えばいいじゃん。録音データ聞かせたときは、松野先生、顔面蒼白になってたから、信じてくれるかわかんないけどね」

 会議室でのやり取りをこっそり携帯電話で録音しておいた。それを音楽室で作業していた松野先生に聞かせた。松野先生は吐きそうになったのか、真っ青な顔で口を押えた。そして教師と女の入り混じった顔で、「どうして」と俺に言った。

 どうして、なんて俺が聞きたい。

「先生、結婚、おめでとうございます」

 俺が言うと、先生は電話の向こうで絶句した。



 数日後、先生は学校を辞めてしまった。松野先生も病気休暇を取って学校に来なくなったので妊娠説が流れたが、その後、教師を辞めて実家に帰ったとわかり、二人の結婚はなくなったのだと噂された。

 真相は誰も知らない。
 



グッドモーニング

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Congratulations(1/2)

2015.09.07.Mon.
※ハッピーエンドじゃない

 大きなマンションの前でバスがとまる。俺はそこでバスをおりて、通い慣れた道を歩く。バス停から五分のところにあるハイツ。チャイムを鳴らすと先生が扉を開けて俺を出迎えてくれる。

「だから、来る前には連絡しろって言ってるだろ」
「サプラーイズ」
「俺が喜ぶサプライズにしてくれ」
「じゃあ、次の数学のテスト、100点取る」
「よし、言ったな。とびきり難しい問題にしてやる」
「そんなことしたら平均点が下がって先生が困るんじゃないの」
「そうなんだよな」

 頭を掻きながら、先生は俺を中に入れてくれた。

俺が担任の家に出入りするようになったのは高3の夏の初め。仮病を使って保健室でさぼっていたら先生がやってきて、悩みなら相談に乗るぞ、と言ってきたのがきっかけ。

 生徒と一緒にハメを外してくれる性格がウケてるけど、一人にしておいて欲しいときは、距離を取らない先生は少し鬱陶しい。困らせたくなって「先生の家に泊めてよ」と言ったら「泊まらせるのは無理だけど、遊びに来るのはいいぞ」と言われて以来、家にいたくないときはこっちに来ていた。

 今日も大学生の姉ちゃんが彼氏を家に連れ込んだので逃げて来た

「ちゃんと家の人には言ったか?」
「二人ともまだ仕事。姉ちゃんは彼氏の相手するのに忙しそうだったから黙って来た」
「またお姉さんの彼氏が来てるのか?」
「今週二回目」

 先生は腕を組んでうーんと唸った。

「吉沢も受験を控えているし、ご両親にそれとなく言ってみたらどうだろう」
「……別にいい」

 俺が家に居づらいわけ。姉ちゃんの彼氏が原因だと先生はわかっている。だけどそれは付き合う男女に思春期の俺が動揺しているせいだと思っている。間違ってはいないけど、本当の理由は少し違うところにある。

 奥の部屋へ進む。先生は机の上のパソコンを閉じた。俺に見られてまずいもの?

「エロサイトでも見てた?」
「ばか、仕事してたんだよ」
「先生、彼女いるの?」
「今はいないよ」
「彼女いたことあるの?」
「あるに決まってるだろ、お前、俺をなんだと」
「じゃあ、付き合ってる時、エッチなことしてた?」
「そりゃあお前……俺も大人だからな、それなりには」

 先生が俺の知らない女と抱き合ってる姿をつい想像してしまう。そしたら、先日目撃してしまった姉ちゃんと彼氏がいちゃついてる場面が頭に甦った。友達の家から帰ったら、リビングのソファで男が寝そべってて、姉ちゃんは男の股間に顔を埋めてた。髪をかきあげながら男の陰茎をうまそうにしゃぶっていた。

 フェラチオに夢中の姉ちゃんは俺が帰って来たことに気付いてなかったけど、男は俺に気付いて、「しーっ」と人差し指を口に当てた。俺は黙って自分の部屋に向かった。

 見られてしまったからか、男はあれ以来両親が共働きでいないのをいいことに大胆に姉ちゃんに絡むようになった。俺が見ている前で姉ちゃんの胸を触ったりキスしたり。姉ちゃんは「弟が見てるから」と止めようとするけど、男の方は面白がってやめる様子はない。

 先生も姉ちゃんの彼氏みたいに、彼女の胸を触って、キスして、ちんこを舐めさせていたのかな。きっと、当たり前にそういうことをしていたんだろう。

「お前が見てる前で二人はいちゃつくのか?」

 先生の声に我に返った。肩を竦めつつ頷いた。先生は深いため息をついた。

「やっぱり親御さんに言ったほうがいいと思うぞ。勉強に集中できないだろう?」
「俺がここに来るの、迷惑?」
「そういう意味じゃないんだ。いつでも来ていい。だけど家で落ち着けるのが一番だ。そうだろう?」
「もう手遅れだよ。頭から離れないんだ」
「……なにがだ?」
「姉ちゃんが彼氏にフェラしてるとこ。見ちゃったんだよね」

 先生は難しい顔で口を閉じた。

「あの光景が目に焼き付いて、気が付くと思い出してるんだ。男のちんこが、姉ちゃんの口の中、出たり入ったりするところ」
「吉沢」

 もういい、と言う様に先生は俺の肩に手を置いた。だけど俺の口は動き続けた。

「一人で部屋にいる時とか思い出して、それをオカズにしてマスかいちゃうんだ」
「高校生なら普通だ」
「でも俺が思い出すのって、姉ちゃんの彼氏のちんこなんだよね。自分にもくっついてるもの思い出して、どんな味なんだろう、どんな舌触りなんだろうって、そっちばっかり気になるんだ。これって普通じゃないよね」

 絶対誰にも言えない俺の秘密だった。自分の異常な部分を誰にも知られたくないと思う反面、誰かに打ち明けたいとも思っていた。先生なら誰にも口外しないという確信があるから言えた。

「……確か、吉沢はいま女の子と付き合ってたよな?」

 先生が神妙な顔で尋ねる。よく知ってるなと思いつつ頷く。

「うん。女大好きだよ。かわいいと思うし、エロい気分にもなる」
「今まで男に興味があったことはあるのか?」
「わかんない。考えたこともない」
「お姉さんの彼氏が好きなのか?」

 いきなりの質問に面食らった。それこそ考えたこともなかった。姉の彼氏という興味以外抱かなかったのが、フェラの現場に居合わせてしまってから、男を意識するようになっただけ。それ以上のなにかはないはずだ。

「それもわかんない。でも、どうこうなりたいとかは一切思ってない。たぶん気の迷いってやつだし」
「急いで結論を出す必要はないだろう」
「そうかな。勘違いだって思っといたほうが今後楽だよね」
「自分に嘘をつくっていうのか?」
「ホモとか人生ハードすぎるじゃん。俺、女も好きだし勃つし、それでいいじゃん。別に男とヤレなきゃ死ぬわけでもないし」
「お前はそれでいいのか?」

 先生は険しい顔つき。その目に同情とか憐れみとかが見て取れて、なんとなくむかついた。

「じゃあ先生は俺にホモになれっていうの? どこにそんな相手いるんだよ。誰かを好きになったって、どうせ辛い思いしかしないだろ。そんなの嫌だよ。だったら誰も好きにならないで、なんの経験もしないで、自分に嘘ついてるほうがいい。俺はそっちのほうが楽だ」
「楽かもしれないけど、お前は本当にそれでいいのか? 始めから諦めてすべて手放して、それで幸せな人生なのか?」
「だったら先生、相手してよ」

 先生は見たことない表情で絶句していた。何か詰め込まれたみたいに口を半開きにして、間の抜けた顔でまじまじと俺を見つめた。

「俺が本当にホモかどうか、確かめさせてよ。そこまで言うなら、できるでしょ」

 さすがに先生でも無理だろうと思っていた。拒絶されると思ってたのに、先生は俺を抱きしめると「わかった。俺に出来ることはする」と腕に力を込めて来た。




1円の男