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2034.02.14.Tue.
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開設2014年2月14日


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続続続・嫁に来ないか(4/5)

2020.11.27.Fri.
お知らせ:明日(11/28)の更新はお休みさせていただきます。すみません。



 特にこれといった事件事故もなく、芸能人の離婚も結婚も熱愛もない平穏な日に、俺の記事が載った週刊誌が発売されてしまった。

 朝の芸能ニュースではどのチャンネルでも俺の記事が取りあげられた。「熱愛に次いで大麻疑惑再び?!」と誤解しか招かない酷い見出しと共に。

 雑誌では俺が小東から白く小さいものを受け取る写真が掲載されているらしい。小東からもらったものと言えば名刺しかないが、そう書かれるとヤバイものをやり取りしているように読める。

 そして俺がビールを一杯しか注文していないのに、一万五千円を払ったことまで書いてあるらしい。番組司会者がその部分を読み上げ「そんなに高級なビールなんですかね?」とわざとらしく首を傾げた。

 これで世間が俺に抱く印象はグレーに逆戻りだ。

 スマホが鳴った。城野さんからで電話に出ると『大澤くん、ほんまにやばいぞ』と切羽詰まった声。

「今日出た週刊誌のことですよね。あれは後輩に連れられて行った店がたまたま小東の店だったんですよ。ほんとに俺知らなくて」
『違う違う。それもあるけど、ほんまにやばいのはアリサちゃんのほうやって。読んでないんか?』
「自宅謹慎中で……雑誌は見てないです」
『アリサちゃん、東京連合と繋がりあるらしいで』
「えっ」

 今日発売の雑誌には俺と小東の記事だけでなく、神戸アリサが東京連合幹部の元カノだったという記事も掲載されているらしい。

 有名な半グレ集団。それと関わりのある神戸アリサ。彼女と熱愛記事を出された直後に、大麻使用の過去がある小東とのツーショットを撮られた俺も、東京連合と付き合いがあると世間は思うだろう。俺の大麻使用を疑わないだろう。俺はグレーどころか真っ黒だ。

 体から血の気が引いて行く。城野さんの声も遠のいていく。どんな弁解も弁明も無駄だ。誰も俺のことなんか信じやしない。

『とにかく事務所の人とちゃんと相談しいや!』

 城野さんの大声に我に返る。礼を言って通話を切った。冷たくなった指先を握りしめる。ショックで何も考えられない。なにをするべきなのかもわからない。とりあえずマネージャーに連絡だ。

 履歴の一覧に、ぜんぜん電話してこない中田さんの名前を見つけた。埋もれかけている名前を見ていたら目許が熱くなってきた。あんな薄情な奴、知るもんか。

 マネージャーに電話をしたら向こうもなんだか慌ただしい気配が伝わってきた。改めて神戸アリサとは付き合っていないのかと訊かれ否定した。東京連合の奴らと関わりがあるのかとマネは慎重な口調で確認した。普段ならあるわけないと笑い飛ばせる内容が今は冗談にもならなくて、俺も神妙に誓って関わりないと答えた。大麻のことを訊かれないのは俺への配慮なのか、どうせ本当のことを言わないと言う諦めなのかはわからなかった。

 事務所も神戸アリサの記事が載ることまでは把握しておらず、関係各所への事情説明に追われている状況らしい。ともかく話し合いが必要だと言うことで事務所に行くことになった。
 
 ◇ ◇ ◇

 事務所にはマネージャーと専務の番場さんが待っていた。番場さんは前回にも増して苦々しい顔つきで俺を出迎えた。

 テーブルには件の雑誌が広げて置いてある。ページの見出しには東京連合と神戸アリサの名前。交際時の写真と思われる画像の横に小さく先日の俺とのツーショットも掲載されている。これじゃ俺も東京連合の身内と思われても仕方ない。

 電話と同じ確認をここでもまた繰り返しされた。神戸アリサとは付き合っていない、東京連合の知り合いなんていない、一切関わりがない。そう訴えても番場さんの顔を見れば俺の言葉を信じていないことがわかった。

 訂正と、謝罪会見を開くこと。それは俺が来る前からの決定事項らしく、とにかくやれ、と頭ごなしに命令された。

 訂正はいい。でも俺は何を謝罪すればいいんだ。世間を騒がせたことに対して? 勝手に騒いだのはそっちだ。俺はただ、プロデューサーに誘われて飯を食っただけ、後輩に誘われて店に行っただけ。デタラメな記事を書かれ、騙し討ちで小東に引き合わされた俺こそ被害者だ。神戸アリサの元カレなんか知ったことか。俺まで疑惑の目で見られるなら、神戸アリサのマネージャーも事務所の人間も家族も全員、真っ黒ってことじゃないか。どうして俺だけが罰せられなきゃいけないんだ? 小東の大麻所持のときだって俺は何も知らなかった。あいつが一人で悪い連中とつるんで馬鹿をやっただけなのに、いまだに連帯責任を取らされている。俺がなにをしたって言うんだ。

「まったくお前はどうしてこう次から次に問題を起こすんだ。しかも後輩を巻きこんで」

 額に手を当て番場さんが吐き捨てる。全部俺が悪いという口ぶり。徹頭徹尾、俺に対する信用はゼロ。マネージャーも擁護のひとつもしてくれない。冷たく白けた空気が流れているだけ。

 ふつ、と糸が切れた。

 ここで頑張ることに、もう意味を見い出せない。

「俺、事務所辞めます。芸能界も引退します」

 ◇ ◇ ◇

 あと30分で謝罪会見が始まる。控え室で俺は一人きり。さっきから大人たちが何度も出たり入ったりと慌ただしかったが、誰も俺に声をかけてこなかった。空気のように、腫物のように。関わると呪いでもかかると思ってるんだろうか。

 この状況が小東の時とまったく同じだったせいで、思い出さなくてもいいことを思い出してしまった。デビュー1年足らずでいきなりの謝罪会見。まだ子供だった俺は緊張でガチガチになって震えが止まらなかった。

 そんな時に誰かの声が聞こえた。

「どうしてよりによって小東なんだ。どうせなら……ったく」

 当時の俺にはその言葉の意味を深く考える余裕がなかった。でもなんとなく忘れがたい言葉だった。数年後にふと思い出して、行間という奴を読んでみた。養成所時代からその整った顔で一際目立っていた小東。よりによってとは、商品価値のある小東を失う痛手のこと。どうせなら、とは商品価値のない俺だったらよかったのに、ということ。

 数年ぶりにその言葉の意味を解読し、まだ前向きに頑張ろうと思っていた当時は見返してやるという一心で奮い立ったものだ。まったく無駄な努力だったが。

 それももう今日で終わりだ。前日に、恩義ある事務所の先輩や芸能界の知り合いには引退すること、これまでの感謝の言葉を伝えておいた。数が少ないからすぐに終わった。

 今はアドレスの名前を1人ずつ消去しているところだ。「今度連絡しますね」「ご飯行きましょうね」なんてアドレス交換したけど、一度も連絡してない連絡先が腐るほどある。

 連絡しあう人ももちろんいた。でも俺が引退したらそれもきっとなくなる。大麻使用の疑いがあって、東京連合とも付き合いがあると噂される俺だ、誰も関わりなんか持ちたくないに決まっている。なにより相手に迷惑になる。

 親しい人たちのアドレスを消す時はちょっと泣きそうになった。芸能生活、悪いことばかりじゃなかったなんて、いまだに甘いことを考えている。

 中田さんのところで指が止まった。会わなくなってもう二ヶ月近く。あの人のせいで俺の部屋はゴミが溜まり放題、旨い料理も食べれてないし、野菜も不足している。あの人が勝手にうちに来て甲斐甲斐しく世話なんかしていくから、前まで普通にできていたことができなくなって、気付かなかったことに気付くようになってしまった。

 久しぶりに浮気アプリを起動してみた。中田さんは今日も元気に仕事のようだ。俺に一目惚れしたっていう、あの人が大好きな謝罪会見をこれからするっていうのに。案外テレビにかぶり付いて待ってたりして? こんな離れた場所で俺を世界に一人きりにして。

 スマホの画面が滲む。乱暴に目許を拭って電源を落とした。

 部屋に戻ってきたマネージャーと最後の確認をした。それも終わると会見まであと五分。マネージャーにこれまでの礼を言ったら「大澤さんを最後まで守れずすみませんでした」と真っ赤になった目で手を握られて、もらい泣きしそうになった。

「時間です」

 声がかかり、芸能活動最後の戦場へ赴いた。



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